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高機能光触媒材料の開発 ダイヤモンドの電気化学的応用に関する研究
ライフ サイエンス ●ナノテクノロジー・材料 首都圏北部4大学研究室紹介 音波として測定する光音響分光法を用い、 めっきや光 宇都宮大学大学院工学研究科 電気化学反応の解析を行いました。 当時、 私が前任地 吉原研究室 (東京大学) から宇都宮大学に赴任して最初に立ち上 情報通信 げたテーマでしたので、装置の作製も一から修士の学 URL:http://www.cc.utsunomiya-u.ac.jp/~sachioy/frame.htm 生と行いました。 私も一生懸命でしたが、 学生が非常に ■研究テーマ 熱心に取り組んでくれたことを思い出します。その結 ●高機能光触媒材料の開発 ●ダイヤモンドの電気化学的応用に関する研究・電気めっき ●無電解めっきの応用研究 環 境 果、宇都宮大学における業績として評価して頂けて、 非常に嬉しく思い、 その後の研究への励みとなりました。 ■キーワード 光触媒、 ダイヤモンド、 めっき、 イオンマイグレーション、磁気研磨、電気二重層キャパシタ また、卒業した学生達が様々な分野で活躍しているこ マイクロ波プラズマCVD装置 とも、 私にとって印象深く喜ばしいことです。 当研究室の ナノテクノロジー・ 材料 ③めっき ■産業界の相談に対応できる技術分野 大きな特徴は、社会人ドクターが多数在籍している点 光触媒、 ダイヤモンド、 めっき、 イオンマイグレーション、磁気研磨、電気二重層キャパシタ ■主な設備 吉原佐知雄准教授 マイクロ波プラズマCVD装置 ・原子間力顕微鏡 ・電気化学測定システム 在は4名が研究に取り組んでいます。 各人が、 様々な分 オートバイや自動車は、 燃費向上のため1gでも軽く作 野で花開き活躍しています。 これは、 私にとっても研究 りたいというニーズがあり、軽量のアルミを用います。 し 室にとっても財産と言えます。 現在、 複数の学会で理事 かし、 アルミは比較的軟らかい性質を持つため、 磨耗し などをさせていただいている関係で、 栃木に限らず、 全 てしまいます。 その表面に鉄あるいは鉄クロムめっき処 国・世界中の研究者とのつながりも深いです。 光触媒材料をコーティングし、 汚れない・曇らない表面 理をすることにより、表面だけの性質を変えることがで にすることが出来ます。 しかし、 高活性の光触媒を密着 きます。軽い・放熱しやすいという優れたアルミの性質 私達の研究室、 無機工業化学研究室では、 電気化 性よく比較的、低い温度で作製することは困難です。 を生かしつつ、表面が高硬度になって磨耗に耐える性 ◆◆◆ 学や表面処理技術を中心に研究しています。主な研 そこで、 我々は、 光触媒材料を電気化学的な手法で作 質になります。県内の企業さんと一緒に実際の商品に 我々が光触媒やダイヤモンド電極の研究を通じて、 究テーマを、 いくつかご説明します。 るということでこの問題のブレークスルーとなれればと 近い形の応用研究を行い、 自動車やオートバイの量産 開発した技術で、 より多くの人の幸せな生活に貢献す ①光触媒 思い、 研究しています。 車のディスクブレーキやピストンの表面処理で実際に ることを目指しています。 最終的には、 人々が幸せに長 当研究室では、 最近メディアでも多く紹介されるよう ②ダイヤモンド 使われています。 生きするための研究開発ができたらと考えています。 実 になった光触媒材料について、 10年以上前から研究し ダイヤモンドは最高硬度の材料として、削る・彫る・ 以上の三研究以外には、 際の暮らしに役立つ物の製品化はもちろん、地球環境 ています。 光触媒材料と光の相互作用で様々なものを 切断という用途に使われています。 また、機械材料中 ・イオンマイグレーション (プリント配線基板における絶 に優しい技術の追求も大切です。 人類全体への貢献を 分解するという機能性が注目され、細菌やかび、悪臭 で一番熱を伝えやすい性質を利用して様々な応用が 縁不良の一種で、 配線間が短絡する現象) に関する 目指して研究に取り組んでいます。 等の分解に利用されています。 ビルの壁や、 窓ガラスに なされています。 10年ほど前、 国のプロジェクトで、 ダイ 研究 ○産学連携について ◆ た、 電気を通すボロンドープダイヤモンドの研究を行い ・電池と比較して急速に充放電が可能な電気二重層 たいと考えています。 これまでも、 栃木県内の企業さん キャパシタの研究 から相談を受けたり共にニーズを発掘したり、 様々な形 イヤモンドを作る原料の中にホウ素の化合物を少し入 等も行っています。 で共同研究や研究開発をして来た経緯があり、製品 化・実用化の例もあります。 特徴と強み 県内では、 我々の専門分野であるめっき・プリント配 ◆◆ 線基板・エレクトロニクス実装産業・自動車産業に関連 ます。 例えば、 金属電極ではノイズに隠れてしまう微量 十数年前に、 「光音響分光法を用いた電気化学系の した企業さんが多く活躍しています。その企業さんに な信号も分析できます。 特に、 化学的に非常に安定で 解析」 というテーマで、電気化学会の進歩賞を受賞し とって、 ただ単に近いというメリットだけではなく、 頼りに あるという特徴は、 電極として大きな利点です。 たことです。 試料に光を当てた時に発生する熱応答を されるような実力ある研究室を目指しています。 4u Vol.1 埼玉大学 いユニークな電極として望ましい特徴を沢山持ってい 群馬大学 環境中の有害物質 (細菌・悪臭・カビなど) 宇都宮大学 ました。 私達は、 マイクロ波プラズマCVD装置により、 ダ のボロンドープダイヤモンドは、 通常の電極材料には無 分解 攻撃 4u Vol.1 私は、 地元の企業さんに頼りにされるような研究をし れ、 プラズマを用いてダイヤモンド膜を作製します。 そ 活性酸素 光触媒のしくみ ・金型の微細な部分の表面処理や磁気研磨の研究 茨城大学 バイバイ ヤモンドの構成元素の炭素を一部ホウ素に置き換え フロンティア 光触媒 環境中の 水や酸素 今後の展開 社会基盤 光 115 鉄および鉄クロム合金めっきの研究をしています。 製造︵ものづくり︶ 技術 研究概要 です。 これまで10人以上のドクターの学生を輩出し、 現 エネルギー 連 絡 先 宇都宮大学大学院工学研究科 吉原佐知雄 TEL:028-689-6150 FAX:028-689-6150 e-mail:[email protected] ③めっき 116