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めっきはなぜ必要か? 電気めっき法 めっきの種類
18 技 術 資 料 めっきの特性 金属や非金属の表面に金属の薄い膜をかぶせる技術を「めっき」といいます。 「めっき」の歴史は、西暦紀元前1500年前にスズめっきがメソポタミア北部のアッシリアで行なわれたと の記録があります。日本で最も古いめっきと考えられるものは、中国から仏教が伝わったとき、仏像や仏 具にめっきがしてあったといわれています。そして18世紀に入ってから工業の発達と共に電気めっき技術 も急速に進歩し現在に至っています。 また「めっき」という言葉は日本語であって「塗金」→「滅金」→「鉱金」→「鍍金」→「めっき」と変 化したと言われています。 めっきはなぜ必要か? 装飾めっき 外観を良くするために行なうめっきで、古くから使われていた方法です。古くはアクセサリーから現代では自 動車のエンブレム、ボールペンや万年筆のキャップまで、数え上げればきりがありません。注目すべき点は原 材料のほとんどがプラスチックやゴムをベースとしていることです。軽く、加工しやすく、安価な材料にめっ きをすることで、本当に本物に近い商品ができあがるという訳です。 機能めっき 装飾めっきと比較すると歴史はまだ浅く、ごく最近、発達した方法と言われています。機能めっきは素材にな い機能や性質を、めっきすることによって付加するめっき法です。機能めっきの用途は様々な種類が考えられ ており、これから先のめっき業界において最も注目されているものです。 18 技 めっきの工程 術 素 材 加 工 治 具 取 付 資 初 段 電 解 洗 浄 浸 漬 脱 脂 酸 洗 電 解 洗 浄 酸 活 性 化 料 め っ き の 特 性 前処理 前処理工程 無 電 解 ニ ッ ケ ル 金 ・ 銀 ・ 錫 ・ 各 種 合 金 ・ 亜 鉛 ・ 工 業 用 ク ロ ム 銅 ・ ニ ッ ケ ル ・ ク ロ ム めっき工程 中 和 ク ロ メ ー ト 処 理 変 色 防 止 後処理工程 乾 燥 治 具 取 り 外 し ベ ー キ ン グ ・ 塗 装 な ど 検 査 ・ 包 装 保 管 後作業 ※この工程はモデル工程です。 めっきの種類 電気めっき法 湿式めっき法 化学めっき法 熔融めっき法 めっき 真空蒸着 真空めっき法(PVD法) スパッタリング イオンプレーディング 乾式めっき法 化学気相めっき法(CVD法) 電気めっき法 一般的に直流電流を流すことにより、素材に電気化学的に金属を 折出させる方法です。めっきする被塗物は電気が流れる材質でな いとめっきできません。(樹脂などの通電性のない素材でも無電解 めっきを施せば可能です) (+)極(アノード)には各めっきの種類に応じて、ニッケル・銅・不 溶性陽極などを使用し、(−)極(カリード)にはめっきする被塗物を 掛けます。 めっき液も様々あり、例えば銅めっきに使用するめっき浴だけで も、シアン化銅浴、ほうフッ化銅浴、硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴 などがあり、各液により長所・短所があります。 1044 めっきの種類は、その方法と目的によ って区別されます。 大まかには、湿式法と乾式法の二つに 分けられ、その中から更に、めっきす る金属の種類や特殊な方法など、多種 多様に派生しています。 ニッケルめっきとか、クロムめっきと いう言葉はめっきする金属を指す言葉 から生まれた用語です。 真空めっき法 真空めっきの中でも「PVD」(セラミックコーティング)といわれる物理的蒸着法は、電気めっきと違いプラズマ空間で処理 することから、金属以外のガラスやプラスチックの製品にも塗膜することができます。 イオンプレーティング スパッタリング − 品 物 − − + Ar + Ti タ ー ゲ ッ ト イオン化電極 + e- 電子ビーム + Ti Ti − e- 品 + Ti 物 高電圧 蒸 着 材 熱電子放射電極 電子銃 Ti (フィラメント) タ ー ゲ ッ ト Ti 高電圧 + e- Ar Ar → Ar++e- Ar+によってTiが叩き出される。 機械内部を10-3Pa∼10-5Paの高真空にして、電子ビームを 蒸着材に照射し、蒸発させます。蒸発源に電圧をかけ(+)イ オンとした蒸着粒子は被塗物に付着し、急速に冷却されて 固化します。また、反応性ガス(窒素やアセチレン)を導入す ることにより、ガスの原子を巻き込んで膜が形成されるた め色が付いて見える。色の濃度の設定が可能。 イオンプレーティングと同様に機械内部を高真空にして、 ターゲットに数百∼数千Vの電圧をかけ、ガスを使ってプラ ズマを発生させ、ターゲットの原子と反応し、膜を形成し ます。イオンプレーティングと違うところは、ターゲット を溶解させないため、蒸発温度の違う合金や、非常に高沸 点のものもターゲットとして使用できるところです。 18 試験および検査方法 技 塩水噴霧試験 neutal salt spray test(JIS H 8502) 術 恒温恒湿槽(MT-020-E02) 5%の塩化ナトリウム水溶液(pH6.5∼7.2、噴霧量1.0∼2.0h/80^/h、温度 35℃)を噴霧した雰囲気において、めっきの耐食性を調べる試験。 試験時間は8の倍数が一般的で8時間、16時間、24時間、48時間、96時間、240 時間、480時間、720時間が多く採用されます。 5%塩水 デシケータ 試験片 キャス試験 CASS test (copper-accelerated acetic acid salt spray test) 酢酸でpH3に調整された塩化ナトリウム水溶液に塩化第二銅を0.268f/i添加し た溶液を噴霧した雰囲気においてめっきの耐食性を調べる試験。 引きはがし試験 peeling test めっき被膜の一定の幅を垂直にはがして素地との密着力を求める試験。 基盤目試験 tape-peeling test 塗料やめっきの材料への付着性を調べるための試験。塗料面やめっき面にカッター ナイフを用いて、直行する縦横11本ずつの平行線を1\の間隔で引いて、1^の中 に100個のます目ができるように基盤目状の切り傷を付ける。 基盤目の部分にセロテープを密着させ、急激に引き離し、表面の付着性を確認する。 判定は全く剥離が無ければ「100/100剥離なし、合格」とし、剥離がある場合は、 残った基盤目の数を記録する。 強くひきはがす に近づける 180° めっきの表示方法(JIS H0404 電気めっきの記号による表示方法) ① ― めっき方法 Ep 電気めっき ELp 無電解めっき ② 素地の種類 Fe Cu Zn Al / ③ めっきの種類 鉄鋼 銅・銅合金 亜鉛・亜鉛合金 アルミニウム アルミニウム合金 Mg マグネシウム マグネシウム合金 PL プラスチック CE セラミックス Ni Cr ICr Zn Cu Sn Ag Au ④ ⑤ めっきの厚さ めっきのタイプ ニッケル クロム 工業用クロム 亜鉛 銅 スズ 銀 金 最低厚さを μm単位の 数値で表す / ⑥ 後処理 b 光沢めっき s 半光沢めっき v ビロード状めっき n 非平滑めっき m 無光沢めっき CP 複合めっき bk 黒色めっき d 2層めっき t 3層めっき r 普通めっき mp マイクロポーラスめっき mc マイクロクラックめっき cf クラックフリーめっき : ⑦ 使用環境 HB 水素除去 ベーキング DH 拡散熱処理 CM1 光沢クロメート処理 CM2 有色クロメート処理 A B C D 腐食性の強い屋外 通常の屋外 湿気の強い屋内 通常の屋内 1045 資 料 め っ き の 特 性