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オリエンタル鍍金株式会社

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オリエンタル鍍金株式会社
オ
リ
エ
ン
タ
ル
鍍
金
株
式
会
社
半
導
め体
っ部
き
品
加の
工
で
飛
躍
電 子・ 半 導 体 部 品を中心とした電 気
持しなければいけません。わが社では
潤を確保し続けること。それを達成す
研究機関の協力を得ながら薄膜化に取
るためには、自分たちの仕事が常にお
り組み、パラジウム層の膜厚を 0.065
客様を満足させるものでなければいけ
µm か ら 0.025µm に、 金 層 を 0.01µ
ません。企業として生き残れるかどう
m から 0.006µm に下げ、特性の維持
かも、そこにかかっています。
にも成功しました。
高橋宏忠 社長
はニッケルめっきを施す「多条ストラ
イプめっき」は、わが社を代表する技
術のひとつです。
で、既存の技術の向上や、新分野の開
レベルな膜厚管理を高く評価していた
拓に一丸となって励んでほしいという
だき、現在は国内トップレベルのシェ
思いから、昨年は社内の組織改革を実
1950 年∼
アを誇っています。また、LED 用の
行しました。これまで技術部と製造部
パラジウムめっきのフレームにピンポ
に分かれていたのを生産技術部として
イントで銀めっきを加える技術精度も
一本化、その下に既存の技術を改善す
56 年、オリエンタル鍍金株式会社へ
改組し、会社設立。工業用硬質クロ
ム めっき を主 力 事 業とする。59 年、
半導体分野に参入。
高めてきました。
る工程設計課や、新技術の創出に取り
1960 年∼
多条ストライプめっき、パラジウム
組む開発技術課など 4 課を設け、各
めっきの精度を一定に保ち、お客様に
課が技術面・情報面で連携を取りやす
安心してご利用いただくために、それ
い体制を構築しました。
63 年、 ゲルマニウムトランジスタ用
シェル(キャップ)の錫めっきの量産
開始。67 年、第二工場を建設。68 年、
プラナ型トランジスタのリードピンの
部分金・銀めっきの量産開始。 69 年、
第三工場を建設。
て品質チェックを徹底しています。
にチームを編成し、各チームが開発計
りでなく、さらなる高機能・高付加価
画に沿って活動を進め、年度末にその
値を有するめっき皮膜の研究開発も
成果について妥当性、実現可能性を評
ストライプの幅が 0.1㎜違っただけ
きた専門技術は「めっき」。めっきを
で規格外とみなされる寸法精度に厳し
行っています。
価および審査する取り組みも行ってい
施す材料や製品は多岐にわたります
い業界にあって、誤差を± 0.05 ∼ 0.07
ます。当然、うまくいくこともあれば
が、現在わが社が主力としているのは、
㎜に抑える技術を確立し、高い信頼を
電子・半導体部品のめっき加工です。
得ています。
多様な材料に対応する
ノウハウを蓄積
電気めっきについては、半導体用
社の知恵の引き出しとして確実に残
は、創業地の神戸が鉄鋼や造船といっ
42 アロイ材という鉄ニッケル合金を
リードフレームの他にも、銅箔や銅ワ
り、いつか何らかの形で活かせるとき
た重厚長大型の産業がさかんだったこ
使用する場合がありますが、そこにダ
イヤ、難めっき材料である熱電素子な
が訪れるはず。いま高い評価を受けて
ともあり、関連機材などへの硬質クロ
イレクトかつ密着性高く銀めっきを張
ど、様々な分野で技術開発を行い、独
いる技術も、失敗と反省の繰り返しに
ムめっきが中心でした。電子・半導体
る技術を有するのは全国でわが社だけ
自のプロセスや製造技術を確立してき
よって確立されたものだからです。
部品へシフトした当時も売上の半分を
です。リードフレームへの使用率は
ました。
徐々に減りつつありますが、加熱によ
また、電気を使用しないで皮膜を生
ロムの環境におよぼす影響が問題視さ
る変形が少なく、剥がれにくいという
成させる無電解めっきの研究開発も長
に応えられる知恵と技術を身に付け、
れつつあるなか、潔く撤退を決めまし
特性を、別の分野で応用する余地は十
年にわたって続けており、立体成型
その力を次世代に通用する新しいめっ
た。半導体分野の成長を予見できてい
分にあります。
基板やニッケル水素 2 次電池用極板、
き技術の開発に結集させていきたいと
セラミックス基板上の独立回路など、
考えています。
るオリエンタル鍍金株式会社。8 0 余
様々な材料に対応する技術も磨いてき
年の長い歴 史のなかで蓄 積した豊 富
チャレンジをする、わが社の基本姿勢
鉛規制に対応する鉛フリーの「薄膜パ
ました。
な経 験をベースに研 究 開 発を積 極 的
を如実に表す転機のひとつです。
ラジウムめっき」
。従来の銀めっき、
に進 め、 常 に新しく高 度 なめっき技
半導体基板で
発揮される二大技術
あるいは鉄ニッケル合金の銀めっきの
や実績を新しい分野に活かすために、
代わりに、ニッケル、パラジウム、金
現在は大学や公的研究機関との連携、
の 3 層めっきを施します。パラジウ
国家プロジェクトへの参画なども進め
ムが加わることで、製品の耐熱性や耐
ながら研究開発に取り組んでいます。
食性が向上します。
顧客を意識した
研究開発を前進
べく、技術志向の組織づくりも徹底。
わが社がめっき加工を施す主な半導
体部品は、半導体パッケージの土台と
なるリードフレームです。厚さ 80µ
このめっきの最大のポイントは膜厚
このように長年積み重ねてきた経験
そんな同 社を率いる高 橋 宏 忠 社 長に
m、長さ 3000m におよぶスタンピン
です。金とパラジウムという 2 種類の
グ前の銅板に、電気めっき法によって
貴金属を使う以上、コストを抑えるた
わが社の究極の使命は、様々な社会
様々な思いをうかがった。
1 ∼ 30 数条のストライプ状に銀また
めにできる限り薄く、しかも特性を維
的責任を果たすもととなる、適正な利
30
このような日常的な活動を通じて、
占める需要があったのですが、六価ク
に誇れる技術がもうひとつ。世界的な
多 様な顧 客ニーズに全 社で対 応する
たとしても無駄ではありません。わが
また、フレーム材には銅板以外に
たことも決断の理由に挙げられます。
可 能 性を秘めた幅 広い分 野も含めた
そうでないこともありますが、失敗し
1978 年に本格的に参入するそれ以前
自分たちで培った技術を糧に、新たな
半 導 体 事 業 にとどまらず、 次 世 代 の
り組むテーマを決め、開発テーマごと
そして、現状の品質を維持するばか
めっき加 工で業 界 屈 指の技 術力を誇
術の確立を目指している。
また、毎年年度初めには重点的に取
創業以来 80 余年、わが社が培って
そして、リードフレーム分野でとく
1930 年∼
30 年、元町鍍金工業所として創業。
43 ∼ 45 年、第二次世界大戦により
事業中断。46 年、神戸市長田区にお
いて事業を再開し、社名をオリエンタ
ル鍍金工業所に改める。
量産対応はやや後発でしたが、ハイ
ぞれに適した高度な検査機器を導入し
重工業から
電子・半導体分野へ
社員にもそうした目的意識のもと
Corporate
History
一人ひとりがお客様のニーズに速やか
1970 年∼
70 年、本社工場を拡張。71 年リードフ
レームの全面銀めっきの量産開始。76
年、IC・LSI 等のスポット銀めっきマシ
ンの自社開発により量産増産体制に入
る。77 年、フープめっきの量産化およ
び本格生産体制に入る。78 年、工業
用硬質クロムめっき事業撤退、すべて
半導体部品めっき加工分野へシフト。
1980 年∼
83 年、カプラ用リードフレームのめっ
きの量産開始。42 アロイ材に銀めっ
きの増産および安定供給体制を整え
る。87 年、事業拡大にともない西神
インダストリアルパーク内の新工場へ
移転(第二・三工場閉鎖)
1990 年∼
94 年、ニッケルリン(Ni-P)めっき
のストライプおよび全面めっきの量産
開始。 96 年、環境問題に対する鉛フ
リー化の一環としてパラジウムめっき
の試作に着手。98 年、パラジウムめっ
きの量産開始。99 年、42 アロイ材に
全面銅めっきの量産開始。
2000 年∼
P ro f i l e
高橋宏忠(たかはしひろただ)社長
1953 年( 昭 和 28) 兵 庫 県 神 戸 市 生 ま
れ。甲南大学法学部卒業後、大手輸入
車 デ ィ ー ラ ー を 経 て、1978 年( 昭 和
53)オリエンタル鍍金株式会社に入社。
1993 年(平成 5)代表取締役社長に就
任する。半導体事業を本格化した当初か
ら関わり、技術の高度化と事業拡大に貢
献、同社をリードフレームめっきのトッ
プメーカーに押し上げた。2006 年(平
成 18)大阪国税局局長表彰、
2011 年(平
成 23)兵庫県自治賞受賞。兵庫県鍍金
工業組合副理事長、長田納税協会常任理
事など要職も多数。
00 年、西神工場増築。02 年、「合金
めっき技術を利用した次世代高容量
電極の開発」事業化の検討に産官学
共同で取り組む。03 年、本社工場・
西 神 工 場で ISO9001 :2001 を取 得。
04 年、パラジウムめっき薄膜化技術
検討に取り組む。
「電子部品の鉛フリー
の対応」ホイスカーの発生しない錫
めっき技術の開発に成功。05 年、薄
膜化対応パラジウムめっきの生産に
着手。06 年、財団法人神戸市産業振
興財団より「神戸発・優れた技術」
の認定を受ける。LED 用リードフレー
ム全面銀めっき増産設備を導入。08
年、ISO14001 :2004 を認証取得。
31
オリエンタル鍍金株式会社
世界初・日本初
優れた薄膜化技術の最新事例
ナンバーワン性能
トップシェア
従来、電子・半導体部品の基板には、部品を固定するために鉛と錫の合金である半田が使
技術等概要
限りなくパーフェクトな
寸法精度を誇るリードフレーム加工
多条ストライプめっきは、半導体パッケージ用にスタンピ
ングする前の下処理として行う電気めっき加工です。銅ま
用されていましたが、環境や人体への影響が問題視され、現在は鉛フリーのパラジウムめっ
きが普及しています。その付加価値を追求した結果、薄膜パラジウムめっきが生まれました。
たはニッケルのフープ材にストライプ状の銀めっきを施す
多条ストライプめっき
もので、半導体の高密度化にともないストライプの数が 30
条以上におよぶこともあります。長年にわたって培ったノ
ウハウを活かし、高精度・高密着性の多条ストライプめっ
き材を提供します。
【特徴 1】
【特徴 2】
業界トップクラスの寸法精度
豊富な加工バリエーション
半導体用リードフレームの高密度化にともない、めっき
要望に応じて、素材やめっき材、加工法を変えて対応し
パターンの微細化が進み、多条ストライプめっきの条
ます。素材は銅または 42 アロイ材、めっき材は銀また
数も増加の一途をたどります。条数が増えるにつれて生
はニッケル、加工では 2 層ストライプや逆ストライプな
じやすくなるストライプの幅や間隔の誤差を± 0 .05 ∼
どが可能です。なかでも 42 アロイ材に銀めっきを直接
0 .07㎜にとどめ、寸法精度に厳しい半導体業界のニーズ
施す方法は当社オリジナルです。
に応えています。寸法変動を見
薄膜化によって
低コストで供給可能に
パラジウムめっきは、地金属の銅
板上に付着させる、ニッケル、パ
ラジウム、金の 3 層の皮膜から構
成されます。半導体パッケージ内
における素子の固着性(ダイボン
ディング性)や金線・銅線などの
固着性(ワイヤーボンディング性)、
半田付けのしやすさ(半田付け性)
が良好で、耐熱性、耐食性などに
逃さないように、CCD カメラ
優れている点も特長です。しかし、
での計測を徹底し、高精度の
パラジウムと金が貴金属であるこ
品質保証を実現しています。
様々な多条ストライプめっき
ここに
注目
とから、材料コストがかかりやす
く、生産コストに少なからず影響
をおよぼします。
パラジウムめっき基板
そこで、オリエンタル鍍金株式会
背 景
独自性
今後の事業展開
半導体業界への本格参入以来、高精度か
約 3000 m におよぶフープ材に連続して
多条ストライプめっきを加工。大量供給
だけでなく、ストライプの寸法誤差を±
0 .05 ∼ 0 .07 ㎜まで縮めた寸法精度や、
電気めっきによる密着性の高さが自慢
です。多条ストライプ用に限らず、使用
する薬液のほとんどを自社で分析・管
理しているので、膜厚の改善などに素早
く対応できます。また、製造ラインのエ
ンド側に CCD カメラを設置し、寸法の
ズレや表面異常をチェック。フープ材全
長の品質を高く保ちます。
半導体リードフレームへの電気めっきの
高度化を進めるとともに、電気めっき・
無電解めっきに関わらず、長年培ってき
たノウハウを活かし、様々な分野で開発
から試作品作成、量産化のお手伝いに
至るまで、一貫してサポートできる体制
を整え、多様なニーズに即応できるよう
努めていきます。
つ多様なニーズに対応する技術革新を続
けてきました。多条ストライプめっきもそ
のひとつで、かつては 10 条前後が主流で
したが、半導体部品の高密度化が予測さ
れたことから、20 ∼ 30 条の要求にも応
じられる技術開発に取り組んできました。
会社概要・基本情報(2012 年 1 月現在)
所在地 〒 653 -0032
兵庫県神戸市長田区苅藻通 6 丁目
1番5号
U R L http://www.oep.co.jp/
T E L 078 -671 -4745(代表)
F A X 078 -651 -3153
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薄膜パラジウムめっき
社では、低コスト化を図るために
主にパラジウムと金の膜厚を最小
限に抑える研究を推し進め、業界
トップの薄膜管理技術を確立しま
した。パラジウムは 0 .025 µm、金
パラジウムめっきで表面処理をしたリードフレーム(サンプル)。パラジウム
およびニッケルの膜厚を極限まで薄くしながらも、パラジウムめっき本来の
特性を維持しています。
は 0 .006 µm と、 い ず れ も 従 来 の
半分以下の膜厚です。今後もさら
なる薄膜化へ向けて研究に取り組
んでいきます。
業務概要
既存のスポット銀めっき技術を併用可
従業員数 115 名
半導体リードフレームへのめっき、表面処
資 本 金 1300 万円
理技術の研究開発、製品への応用等の受託
薄膜パラジウムめっきのリードフレームは、需要拡大が続く LED 用に
創 業 1930 年
開発。
使われるケースが増えています。その際は、長年にわたり IC・LSI 用
設 立 1956 年
代表者名 代表取締役社長 高橋 宏忠
のリードフレームで培ってきたスポット銀めっきの技術を応用。必要
な場所に的確に銀めっきを施し、製品価値を高めています。
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