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光触媒に鮮やかな発色をあたえる - AIST: 産業技術総合研究所
光触媒に鮮やかな発色をあたえる 構造性発色構造が可能にした美しい光触媒材料 特許 第 3443656 号(出願 2000.5) パテント・インフォ ● 関連特許 ( 国外出願中:1 件 ) 目的と効果 高い光触媒機能を有しながら、希望する色に発色させることで、材料としての価値を高めることを 目的として、周期的な開口を有する光触媒薄膜層と空隙層の多層膜の構造とその製造方法を考案しま した。この技術では光触媒効果に侵されない素材で光触媒薄膜層を支えて誘電体多層膜構造を実現し ているため、有効接触面積を増大させつつ、その効果を半永久的に持続させることができます。また、 構造性の発色を実現することで、あざやかな発色効果を得ることにも成功しました。 [適用分野] ● 気体や液体に清浄効果を持たせる電化製品や宝飾品など 技術の概要、特徴 TiO2 などでできた短冊状の光触媒物質薄膜層と、光触媒薄膜層よりも細い短冊状の SiO2 などでで きた支持物質薄膜層を交互に積層した多層構造体を形成し、この多層構造体を複数配列することを構 造上の特徴とする光発色部材です(図 1) 。この多層構造体は、スパッタリングなどによる多層薄膜形 成の後にドライエッチングやウエットエッチングによって支持物質を適度に除去することで実現しま す。空隙のある多層膜構造とすることで、光触媒が接触する表面積を従来の光触媒材料に比較して大 きくとれるために、より高い光触媒効果が期待できます。また、光触媒層と空隙層の光学的層厚を発 色光波長の 1/4 ずつにすることによる光干渉効果と、配列された構造体による回折格子効果により、 金属光沢を持つような鮮やかな発色を実現できます。この発色の色や分布は触媒層と空隙層の間隔や、 構造体の配置周期を変更することによって設計することができます。 発明者からのメッセージ 南米のモルフォ蝶は、色素なしで 鮮やかなコバルトブルーに発色する 光触媒(TiO2)薄膜層 羽根を持っています。この鱗粉の構 } 造を工学的に光触媒材料で実現した ものです(図 2) 。共同研究先や技術 空隙層 支持物質(SiO2) 移転先を求めております。 断面図 基板 構造性発色光触媒部材(拡大図) 図1 構造性発色光触媒部材の構造とその断面図 産総研イノベーションズ (経済産業省認定 TLO) 紹介案件担当者 山上 〒 305-8568 つくば市梅園 1-1-1 産業技術総合研究所 図2 モルフォ蝶の羽と構造性発色材料の比較 200 µm 0.5 mm 情報技術研究部門 つくば中央第 2 左:色素なしで青く見えるモルフォ蝶の表側鱗粉 右:試作した構造性発色材料 ( TiO2 の0.6 µm周期) TEL :029-862-6158 FAX:029-862-6159 E-mail:aist-innovations @m.aist.go.jp 産 総 研 TODAY 2005-06 39