...

知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
診療所
あまみ
中
中 央
事務局
研究所
しらさぎ
つなぐの
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2352 号 2015.3.6 発行
==============================================================================
故黒田裕子さんが活動けん引
神戸の被災者支援団体解散へ
神戸新聞
2015 年 3 月 4 日
復興住宅で暮
らす住民の交
流のために開
いた催しで、参
加者と語り合
う故黒田裕子
さん(左)=2
013年4月
28日、神戸市
西区井吹台東
町1
脱水症状の予
防で、仮設住宅
にスポーツ飲
料を配る=1
995年8月
11日、神戸市
西区平野町、西
神第7仮設住
宅
阪神・淡路大震
災や東日本大震
災の被災者らを
見守り、支えてき
たNPO法人「阪
神高齢者・障害者
支援ネットワー
ク」
(神戸市西区)
が3日、解散を決めた。活動をけん引した前理事長の黒田裕子さんが昨年9月に亡くなっ
たこともあり、区切りを付けた。
「助かった命」を重んじ、寄り添い続けた20年。メンバ
ーは「思いは受け継ぐ」とし、活動は形を変え各地で残っていく。(阿部江利)
「このままでは、お年寄りがバタバタ死んでしまう!」
震災直後の1995年1月20日、神戸市内で、後に同ネット発起人の一人となる中辻
直行さん(故人)らが声を上げた。寒さに震え、食事やトイレに困っていた高齢者。急い
で場所を確保し、医師らが対応したのが始まりだった。
6月には、同様の活動をしていた黒田さんも合流し、同ネットが発足。市内最大だった
西区の西神第7仮設住宅に拠点を設けた。
「絶対に孤独死を出さない」が合言葉。行政の手が届かない24時間の見守りを始めた。
同ネット理事長で医師の梁勝則(リャンスンチ)さん(59)は「そんな取り組みは例が
なかった。まさに現場から出てきた発想」と振り返る。
仮設から復興住宅へと移ると、心の問題が浮かび上がる。
99年には、地下鉄伊川谷駅構内に「伊川谷工房」を設けた。お茶会を開き、寂しさを
癒やす。
取り組みは、東北にも広がった。宮城県気仙沼市内の避難所や仮設住宅で24時間の見
守りを実施した。
中辻さんが2013年に亡くなり、14年には黒田さんも逝った。メンバーも多くが6
5歳を超えた。
伊川谷工房は3月末に閉じる。復興住宅から10年近く通った濁池文子さん(76)は
「ここは最高やった。なくなるんはつらいですわ」と涙を浮かべる。
東北からも3月末で引き揚げる。気仙沼市面瀬中仮設住宅の尾形修也自治会長(70)
は「神戸の方々に教わったように、地域で連携し支援が切れないようにしたい」と力を込
めた。
同ネットの宇都(うと)幸子事務長(70)は「高齢者の見守りは今も不十分。黒田さ
んと同じようにはできないが、それぞれの現場で引き継いでいく」。今後は有志で任意団体
を作り、復興住宅の支援を続けたいという。
善意の米 今年も届いた
◇日野町、継続に感謝
読売新聞
2015 年 03 月 04 日
滋賀
今年も届いた善意の米(日野町役場で)
日野町役場に3日、匿名の贈り物として30キロ入りの米袋7袋
が届いた。袋の図柄は2種類あり、別々の贈り主の可能性もある。
役場には約40年前から年末に匿名で米の寄贈が続いていたが、昨
年末は届かなかった。町は善意の米の〈再開〉に感謝し、13日ま
で役場玄関ロビーで展示。町社会福祉協議会を通じて福祉施設に配
る。
3日午前8時頃、庁舎周辺を清掃していた町職員が、玄関の中央
付近に3袋、右端に4袋を発見。右端の袋の山には紙片が添えられ、
「町内の者です 品種はキヌヒカリです お役立て下さい」と書か
れていた。
町には記録が残る1977年から年末に匿名で米の寄贈が続き、「福祉のために」との手
紙が残されていたこともあった。2013年には「森のイノシシ」と名乗る人から届いた
が、14年末にはなく、町は「贈り主の体調が悪いのではないか」と心配していたという。
町は届いた米袋に藤沢直広町長の礼状を付けて展示。今後も贈り主を特定する予定はな
いといい、町福祉課の担当者は「温かい善意に感謝しています。長い間、寄贈が続いてい
ることをうれしく思います」と話していた。(小宮宏祐)
娘の介護怠り死なせた疑い 78歳の義母を書類送検
朝日新聞 2015 年 3 月 3 日
知的障害があり、寝たきりだった義理の長女(当時66)が感染症にかかったのに、必
要な治療を受けさせずに死なせたとして、大阪府警は3日、大阪市西成区の無職の女性(7
8)を保護責任者遺棄致死容疑で書類送検し、発表した。長女は十分な介護を受けていな
かったとみられ、死亡時の体重は27・5キロだった。
西成署によると、女性は昨年6月初旬ごろ、自宅の離れで寝たきりの長女の傷口から細
菌が入って感染症となったにもかかわらず、治療を受けさせるなどの措置を怠り、同22
日に敗血症で死亡させた疑いがある。床ずれで骨の一部が露出していたという。女性は「具
合が悪いことは気付いていたが、周囲に知られたくなかった。食事は与えていた」と供述
している。
長女は女性の夫の実子。夫の生前は母屋で同居して介護していたが、2008年に死亡
後、長女は離れに移った。その前から10年ほどは「入浴や着替えをさせていなかった」
という。
長女の死後、女性宅から119番通報があったが、状況を不審に思った府警が捜査して
いた。女性が高齢で容疑を認めていることなどから、任意捜査で書類送検することにした。
音楽療法の補助廃止 - 行革で減額の末/奈良市
奈良新聞 2015 年 3 月 4 日
音楽を生かし、心身の障害の回復や機能維持・
向上を図る「音楽療法」。国内の自治体で初めて
独自の音楽療法士認定制度を設けるなど、先進地
だった奈良市が、事業主体の市社会福祉協議会
(福井重忠理事長)に交付していた音楽療法関連の
補助金を、本年度で打ち切ることが分かった。平
成 21 年度の市の事業仕分けで「不要」と判定さ
れていた。
奈良市内の福祉施設で行われた音楽療法=平成 16 年(市社
協提供)
市社協は今後独自で事業の存続を図るという。行革推進の中、奈良市の施策から高齢者福
祉の事業がまた一つ姿を消す。
「地域と共に考える高齢化」テーマに 三木で講演
神戸新聞
2015 年 3 月 4 日
地域と共に考える高齢化をテーマにしたパネルディスカッショ
ン=三木市志染町青山7
障害者支援施設「三木精愛園」
(兵庫県三木市緑が丘
町本町2)主催のセミナーが3日、三木市志染町青山
7のコープこうべ協同学苑であった。
「地域と共に考え
る高齢化」をテーマに、障害のある人が高齢になった
時の課題についての講演があった。また、実際に支援
をしている人たちが登壇し、必要だと考える支援や仕
組みについて話し合った。
講演では、姫路市香寺地域包括支援センターの伊東圭一さんが、障害者制度から介護保
険へ移行した人や高齢になってから障害者制度を利用している人などの事例を挙げた。「高
齢者と障害者の制度が縦割りになっていて、当事者が不利益を被る可能性がある。支援者
は双方の制度を知っておく必要がある」と述べた。
一味違うメニューに舌鼓
イデアル・アトレ/施設の子どもらディナー招待/豊橋
東日新聞 2015 年 3 月 4 日
料理を頬張る子どもたち
東三河でイタリアンレストランを展開するイデアル・アト
レ(豊橋市牛川町)は2日、豊橋市内の知的障害児支援施設
「豊橋ゆたか学園」で生活する子どもたちにディナーを振る
舞った。 外食する機会の少ない施設の子どもたちのために、
と始めて5年目。
障害児施設に保存食を寄贈 - フードドライブ活動
奈良新聞 2015 年 3 月 3 日
家庭で余った缶詰や乾物などの保存食品を集めて福祉施設などに寄付する米国発祥の慈
善活動「フードドライブ」に取り組む女性限定のフィットネスチェーン「カーブス」は 2
日、同市菅野台の福祉型障害児入所施設、県立登美学園(増田誠司園長)を訪れ、ダンボール
10 個分の保存食品を寄贈した。
ひきこもり支援を強化
栃木県
「サポーター」養成し全市町へ 新年度から訪問活動
下野新聞 2015 年 3 月 3 日
ひきこもりや不登校の若者などへのきめ細かい支
援を進めようと、県は県内全市町のボランティアによ
る「ひきこもりサポーター」の養成を本格化している。
サポーターは養成研修を受けて県に登録した上で、2
015年度以降に各市町が設置する派遣窓口を通じ、
家庭訪問や相談、家族支援などを担う。
ひきこもり対策として県は昨年 10 月、「ポラリス
☆とちぎ」を開設。電話やメール、来所面接による相
談支援、セミナーなどを開催している。
サポーター養成も同センターの活動の柱で、2月 24、25 の両日、県庁で初めて研修会を
開催。具体的事例、発達障害などに関する知識を学んだ。
サポーターは同センターの相談員と連携し、ひきこもり当事者の同意を得て家庭訪問す
るなど、比較的軽度のケースを担当。活動状況の報告や継続研修を行う。民生委員や保健
師、社会福祉士、NPO法人などで子どもや若者支援などを担った人が対象となる。困難
なケースは同センタースタッフが担当する。
県障害福祉課によると、サポーター派遣は国の生活困窮者自立支援制度として市町村が
補助を受けて行う。
県は今秋にも再び養成研修会を開いてサポーターを増員、全市町で活動できる態勢を整
えたい考えだ。
同センターには、開設から4カ月で電話や訪問などによる相談が延べ755件あり、ス
タッフ8人で対応している。
「施設に住みたくない。この街にいたい」…障害者4人組のパンクバンド快進撃
産経新聞 2015 年 3 月 3 日
「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」のフィンランド代表に
選ばれたパンクバンド「ペルティ・クリカン・ニミペイベット」
のメンバー。右からリーダー兼ギター奏者のペルティ・クリカさ
ん、ベース奏者のサミー・ヘレさん、ボーカル担当のカリー・ア
ルトさん、ドラム担当のトニー・バルトロさん=2月28日、ヘ
ルシンキ(AP)
1956年に欧州で始まった音楽の国別対抗戦「ユー
ロビジョン・ソング・コンテスト」のフィンランド代表
に、知的障害や学習障害のある中年男性4人で結成されたパンクバンド「ペルティ・クリ
カン・ニミペイベット(PKN)
」が選ばれた。スウェーデンの男女4人グループ、アバを
輩出するなどポップミュージックが中心のユーロビジョンにパンクバンドが出場するのは
初の快挙という。フィンランド代表では、2006年大会でやはり異色のハードロックバ
ンドが優勝しており、母国の栄誉をかけて5月の本戦に出場する中年バンドへの期待が高
まっている。
(SANKEI EXPRESS)
日常の鬱憤を熱唱
フィンランドの放送局YLEによると、2月28日に首都ヘルシンキで行われた代表を
決める決勝大会で、PKNは食事や掃除、洗濯といった日常生活で感じる鬱憤や怒りをラ
ップに乗せた楽曲「アイナ・ムン・ピター(いつも何かを強要される)」を熱唱。見事優勝
を果たした平均年齢40歳超のメンバー4人は、喜びを爆発させた。
「障害を持つすべての人は、より勇敢であるべきだ」。ボーカル、カリー・アルトさんは
こう語り、会場の喝采を浴びた。
英BBC放送などによると、PKNは09年に、作詞作曲を手掛けるリーダーでギター
担当のペルティ・クリカさんを中心に、ヘルシンキ北部の街カリオで結成された。バンド
名は「ペティ・クリカの命名日=洗礼名をもらった日」という意味。4人とも自閉症やダ
ウン症といった先天的な障害がある。
「施設に住みたくない。この街にいたい。俺は尊厳を失った。生命は平等だ」などと歌
うデビュー曲「PKN」が地元でヒットし有名に。
12年に公開された彼らを紹介するドキュメンタリー映画「ザ・パンク・シンドローム」
がフィンランド・アカデミー賞のドキュメンタリー賞を受賞し、全国にその名を知られる
ようになった。これまでに発表したシングル5曲はすべてフィンランド語で歌われている
が、英、米、カナダ、ドイツ、オランダなどでも演奏ツアーを行うなど海外での評価も高
まっている。
「同情票は入れないでくれ」
「われわれは何があってもパンクのスタイルを固持し、さまざまな方法で社会に反逆し
ている。でも政治的なバンドではない」。決勝大会を前に、ベース担当のサミー・ヘレさん
は英紙ガーディアンに、バンドのスタイルをこう説明。
「多くの人たちがライブに来てくれ、
ファンになってくれるので、最近は少し態度を軟化させているよ。でも俺たちはみんなと
大差ない知的障害を持つ普通の男だ。同情票は入れないでくれ」と語っていた。本番でも
音楽の実力で勝負するという。
ユーロビジョンは、欧州放送連合(EBU)加盟放送局によって開催される歴史ある音
楽コンテスト。各国代表の歌手やバンドが生放送で楽曲を披露し視聴者は数億人に上ると
される。これまで1974年に優勝したアバに代表される大衆的なポップミュージックが
中心だった。
しかし、2006年には奇抜なコスチュームで人気のハードロックバンド「ローディ」
がフィランド代表として初優勝。昨年はオーストリア代表のヒゲ面のドラッグ・クイーン
(女装する男性の同性愛者)
、コンチータ・ウルストさんが勝ち、その後、大ブレークし話
題になった。
英ブックメーカー(賭け屋)は、早くもPKNを本戦での有力な優勝候補に挙げている。
小児医療センター
移転跡地に障害児施設
知事が方針
東京新聞 2015 年 3 月 4 日 埼玉
県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)のさいたま新都心への移転計画で、上田清
司知事は三日、移転後のセンター跡地に、障害児の短期入所や外来診療を行う「医療型障
害児入所施設」を整備する考えを示した。県議会二月定例会の予算特別委員会で、佐藤征
治郎氏(社民)の質問に答えた。
移転をめぐっては、現在の小児医療センターに通う患者の家族から、通院時間が大幅に
増えることなどを不安視する声が上がっており、上田知事が二〇一二年二月の県議会定例
会で「現在地に一部機能を残す」との考えを示していた。
県によると、医療型障害児入所施設には在宅で医療を受ける障害児が必要に応じて短期
入所し、日常生活の指導や治療を受けることができる。医師や看護師が二十四時間常駐し、
規模は四十床程度。平日には外来診療を受け付ける。
一六年に予定されている小児医療センターの移転後、まずは週二日の医療支援を行う診
療所を開設。その後、病棟の改修が完了次第、医療型障害児入所施設の運営を始める。運
営は社会福祉法人などへの委託を検討している。
上田知事は三日の予算特別委員会で「平日には利用者の急病急変に対応が可能になる。
一定の機能を果たすものだと思っている」と話した。
県立小児医療センターの存続を求める患者家族の会代表の藤田けい子さん(42)は「二
十四時間体制で医師や看護師が常駐する意味は大きいが、センター移転でこの地域の小児
医療が切り捨てられないか心配だ」と話した。 (岡本太)
いじめや虐待、何でも相談して…、大阪・柏原の市長と教育長ができるだけ答えます 子
供電話受付始める
産経新聞 2015 年 3 月 3 日
大阪府柏原市が始めた市長の子供電話相談のイメージ
いじめや親からの虐待など、子供からのさまざまな相談に
直接、市長と教育長が答えますー。大阪府柏原市は、市内の
小中学生からの相談に中野隆司市長(58)と吉原孝教育長
(59)が直接答える電話相談を始めた。市長や教育長が子
供からの電話相談に直接対応する例はほとんどなく、成果が
注目される。
川崎市で中学1年の男子生徒が遺体で見つかり、殺人容疑
で少年3人が逮捕される事件が発生。事件発生後、市長と教
育長は悩みを抱えていても大人に相談できない子供がいると
考え、急遽、今回の電話相談実施を決めた。
市はすでに「人権いろいろ相談」など3種類の相談電話を開設しているが、新たな窓口
を増やすことで、子供たちが抱える悩みなどをより掘り起こしていくのがねらいという。
対象は、市内に計16ある市立小中学校の児童と生徒。今月2日までに各学校を通して、
児童、生徒に「友達関係やいじめに悩んでいる。親から虐待を受けてつらい…。もしも、
そんな苦しみを抱えていたら、一人で悩まずに、私たちに電話してください」という内容
と電話番号を記したプリントを配布した。
受付時間は平日の午前9時~午後5時。市役所不在時などを除き、できるだけ市長、教
育長が自ら対応するという。
中野市長は「市としていじめなどを決して許さないという姿勢を表すために相談に応じ
ることにした」と話している。
相談は市役所代表番号(?072・972・1501)に電話し、電話交換手に内線番号
(中野市長は内線2000、吉原教育長は同5000)を伝える。
【社説】厚木2児殺害事件 悲劇なくす努力続けよ
神奈川新聞 2015 年 3 月 3 日
厚木市でまた、幼い命が犠牲になる事件が起きた。6歳と3歳の姉妹を自宅で首を絞め
た殺人未遂容疑で母親が逮捕された。育児に悩んだ末に突発的に犯行に及んだ可能性が高
いとみられている。
昨年5月には、市内のアパートで白骨化した男児の遺体が見つかった。約8年前、父親
が当時5歳だった長男に食事を与えずに衰弱死させた。地元の児童相談所が一時保護した
が、それ以降は行政機関による安否確認がなされないまま、最悪の事態に至った。
この事件を受け、市は児相を含めた関係機関からなる要保護児童対策地域協議会を招集
し、1カ月後に再発防止策をまとめた。その主な柱は情報の共有化と連携の強化だった。
児童虐待が疑われる事例を報告する基準をフローチャート形式で示し、家庭訪問の回数な
ど対応の仕方などを明確にした。
今回、事件の再発に関係者はショックを受けているというが、当然といえよう。改善策
に不足した面はなかったか、検証が必要だ。
市によると、今回のケースでは母親からの育児相談はなく、姉妹に対する乳幼児の定期
健診もきちんと受診させていた。4月には姉が地元の市立小学校に入学するため、1月に
開かれた新入学児童保護者説明会にも出席していた。
気になるのは、母子が市の子育て支援センターをよく利用していたことだ。核家族化が
進む中で、市が強化する子育て支援の拠点施設になっている。専門のスタッフが常駐して
助言・相談、育児情報や交流の場の提供をしているが、変わった様子は見られなかったと
いう。
育児不安は大半の保護者が抱えている。育児情報が氾濫する中で、マニュアル通りにい
かずに自信を失うケースがある。小さいストレスの積み重ねは非常に分かりにくく、本人
でも気が付かない場合もあると、専門家は指摘している。
だからこそ、孤立・深刻化する前に不安を軽減する支援が重要になる。一方で、児童福
祉の現場からはスタッフの人的不足や能力向上の課題が指摘される。
厚木市のセンターは昨年5月に移転・拡張され、多くの利用者が訪れている。危機意識
を持続するのは難しいが、悲劇を繰り返さないためには、教訓を導き出して改善策を模索
する努力を続けるしかない。
社説 :受精卵検査 命の選別にしてはならぬ
新潟日報 2015 年 3 月 4 日
子宝に恵まれぬ夫婦の「福音」か、多様な存在を否定しかねない「命の選別」か。検討
しなければいけない課題は多い。
日本産科婦人科学会(日産婦)は、体外受精した受精卵の染色体異常を調べる「着床前
スクリーニング」
(受精卵検査)の臨床研究を正式承認した。
正常な受精卵を選んで子宮に戻し、出産を試みる技術だ。3回以上の体外受精で妊娠で
きなかった人と、2回以上の流産経験のある人の計300人が対象となる。
流産率や出産率などに違いが出るかを検証し、生まれた子供は就学するまで健康状態を
追跡調査する。限られた医療機関で2015年度にも始める。
染色体異常に伴う流産を防ぎ、妊娠率を上げることが期待される。科学的な証拠を得る
ことが目的だが、子供のほしい夫婦にとっては希望の光といえる。
一方、重大な懸念が指摘されている。検査で不適とされた受精卵が破棄されることに対
してだ。
流産せずに生まれる可能性のあるダウン症や、ターナー症候群などの性染色体異常も破
棄の対象となっている。
病気や障害に対する差別を助長しかねず、障害者団体などから「やめてほしい」との反
発が出るのも無理はない。
障害があるなら生まれない方がいいという価値観を醸成しかねないことに、歯止めが講
じられないならば、倫理的に問題の残る臨床研究だと言わざるを得ない。
命の選別とならないよう、検査でどのような基準を設けるのかの徹底した議論が求めら
れる。
これがないまま、一般的な医療行為として普及していくことは断じて認められない。
検査技術が男女の産み分けにつながる懸念もある。遺伝情報の解析技術が進歩すれば、
親が望んだ「いい子」だけを選んで産む時代がくるかもしれない。
障害を含め、多様な人が生きていける社会が続いてほしい。そのためには、子供はあく
まで授かりものであるべきだろう。
日産婦はもともと受精卵の診断を認めない立場で、習慣流産や筋ジストロフィーなど重
い遺伝病に限って認めてきた。
転機となったのは、2013年に導入された新出生前診断だろう。妊婦の血液でダウン
症を含む胎児の異常を調べる検査だ。
これと比べ、受精卵段階での診断には、中絶の必要がなく女性の心身の負担が少ないた
め、検討を求める声が出ていた。
背景にあるのは晩婚化、晩産化の進行だ。加齢に伴い妊娠や出産の確率は下がり、染色
体の異常や流産は増えてくる。
加齢による不妊に悩む夫婦は多く、不妊治療の体外受精により誕生した子供は、27人
に1人の割合となっている。
受精卵検査を受けるかどうかは個人の決断であり、尊重されなくてはいけない。
何よりも命の選別を避けるためには、病気や障害があって生まれても、安心して暮らし
ていける社会環境こそが必要なのだ。
社説:国保見直し 医療「最後の砦」守れ
中日新聞 2015 年 3 月 4 日
政府は三日、医療保険制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出した。国民健康保険
は、非正規労働者や会社退職後の無職者などにとって「最後の砦(とりで)」だ。財政を強
化し、この制度を守るべきだ。
改革の柱は、市町村が運営する国民健康保険(国保)の財政運営を都道府県に移管する
ことだ。
国保は財政難に苦しんでおり、運営する市町村の五割超が一般会計から繰り入れして、
赤字を埋めている。二〇一三年度の赤字総額は三千五百億円。
かつては、農林水産業者と自営業者が加入者の六割を占めていたが、今は非正規労働者
と会社退職後の無職者などが七割を超える。低所得者が多い上に、医療費がかかる高齢者
が増えているのが赤字の要因だ。加入者一人あたりの平均所得は一二年度で国保が年八十
三万円なのに対し、大企業サラリーマンなどの健康保険組合(健保組合)は二・四倍の同
二百万円。国保は保険料格差も大きく、全国で見るとその差は五倍以上だ。
改革では、都道府県に財政責任を負わせた上で、三千四百億円の公費を投入し、財政基
盤を強化する。都道府県は市町村ごとに「標準保険料率」を定める。保険料の格差が是正
されることも期待される。一八年度の実施を目指す。
当面の財政は安定するとしても、国保に低所得者や高齢者が増えているという構造は変
わらない。高齢化が進む中、さらなる改革が必要だ。国保の保険料は割高だ。平均の保険
料負担率は所得の9・9%と、健保組合の倍近い。健保組合など被用者保険は、扶養家族
の保険料は徴収しないが、国保の場合は子どもを含めた家族の人数に応じて加算される。
国保の保険料滞納世帯は一四年で17%に上っている。
非正規労働者の被用者保険への加入条件緩和をさらに進め、保険料の軽減を図るべきだ。
一六年秋に一定程度緩和され、約二十五万人の非正規が新たに被用者保険に加入するが、
まだまだ不十分だ。
また、厚生労働省は併せて、七十五歳以上の高齢者の保険料軽減特例を一七年度から段
階的に廃止するとしている。夫婦二人世帯で、それぞれの年金収入が八十万円以下の場合、
月七百四十円の保険料が二千二百円余と、三倍になる。入院時の食事代自己負担も一食二
百六十円から四百六十円に引き上げる。消費税増税に加え、物価は上がり、公的年金は実
質目減りしていく。低所得者へのきめ細かい配慮が求められる。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
Fly UP