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環境報告書-2011

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環境報告書-2011
環境報告書-2011-
化血研
目次
■ごあいさつ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■報告に当たっての基本的要件
・・・・・・・・・・・・・
■環境マネジメントシステムの状況
■環境目的・目標及び達成状況
■環境会計
・・・・・・・・・・・・・
2
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
・・・・・・
5
・・・・・・・・・・・・
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
■環境に関する社会貢献活動の状況
■環境コミュニケーション
■環境負荷の低減に向けた取り組み
□省エネルギー・地球温暖化防止
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
8
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
□廃棄物削減とリサイクル推進
□化学物質の管理
□大気汚染防止
□騒音防止
2
・・・・・・・・・・・・・
■環境に関する規制順守の状況・事故および苦情
□節水
1
・・・・・・・・・・・・・
10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
□グリーン購入
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
□製品の環境配慮
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
■編集後記
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
ごあいさつ
このたびの東日本震災において、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復興を心より祈念致します。
化血研本所は緑と水に恵まれた熊本市の北方(大窪)に位置し、1945 年の創業以来、60 年以
上に亘って人体用ワクチン・抗毒素、動物用ワクチン及び血漿分画製剤等の生物学的製剤の研
究開発、製造、販売を通じて人々の健康の維持と畜産業界の発展に貢献してまいりました。
化血研は、国際的な競争が激化する中で、バイオテクノロジーなど最先端の技術開発に努め、
世界に通用する製品を供給できる技術レベルの構築を目指す一方で、環境面及び社会面での企
業の責務がますます大きくなってきていることを認識し、これらの問題にも積極的に取組んで
います。
本所では、2001 年 11 月に ISO14001 の認証を取得し、以降、環境マネジメントシステ
ムの継続的改善及び環境負荷の低減に努めています。また、2003 年度からは菊池研究所、阿
蘇支所を含む全事業所に本所に準じた又は簡素化した環境マネジメントシステムを導入し、全
事業所で環境保全活動を展開しています。
「21 世紀は環境の世紀」といわれ、地球温暖化を始めとする環境問題及び社会問題に適切に
対処し、企業としての社会的責任を果たすことなくして社会と企業の存続はありえないことを
胸に刻み、世の中の役に立つという使命とチャレンジ精神を持って、化血研は前進して参りま
す。
今般、昨年度に引き続き 2010 年版環境報告書を作成いたしました。ご一読いただき、適切
なご指導、ご教示を賜ることができれば、これ以上の喜びはありません。皆様方の忌憚のない
ご意見をお寄せいただきますようお願い申し上げます。
2011年11月吉日
化血研
理事長
1
報告に当たっての基本的要件
1.対象組織
本報告書は、原則として本所(熊本市大窪)を対象としています。
2.環境負荷の捕捉状況
本所の事業全体の環境負荷(エネルギー)に占める割合は 70%でした。
捕捉率は、本所、菊池研究所、阿蘇支所のエネルギー投入量から算出しました。
2010 年度実績
エネルギー投入量(千 GJ)
割合(%)
本所
517
70
菊池研究所
198
27
22
3
737
100
阿蘇支所
合計
3.対象期間
本報告書は 2010 年度の実績を取りまとめたものです。
4.対象分野
本報告書の対象分野は以下のとおりです。
本所における医薬品の研究・開発・製造・販売・管理業務及び臨床検査業務
環境マネジメントシステムの状況
2001 年 11 月 22 日、本所において環境マネジメントシステムの国際規格 ISO14001:
1996 の認証を取得し、改定された規格 ISO14001:2004 への移行審査を 2005 年 10 月
に終了しました。また 2007 年 10 月に2度目の更新審査を終了しました。
菊池研究所及び阿蘇支所では、2003 年度から ISO14001 に準じた環境マネジメントシス
テムを構築し、廃棄物削減、毒劇物・危険物の管理の強化などを中心とした環境管理活動を展
開しています。
更に、東京、福岡、長崎の各事務所、営業所、出張所及び配送センターにおいても、省エネ
ルギー、廃棄物削減などエコオフィス活動を推進しました。
2
環境目的・目標及び達成状況
当所では、日常業務の中で環境負荷低減につながる業務を積極的に環境目標として取上げる「業務直結型」の環境目標設定方
式を採用し、環境と経営の一体化を図っています。
環境
項目
省エネ・
地球温暖化防止
2
製品における
環境配慮
1
主な活動実績
自己
評価
関連
ページ
環境に配慮し
た製品の開発・
改善・改良を推
進する
環境に配慮した製品の
開発・改善・改良を推
進し、省エネルギー、
廃棄物・有害物質の削
減を図る
製剤の ①室温保存化:2製剤完了、1製剤が試
験継続中。 ②混合化:2製剤完了、2製剤遅延
中。③有効期間延長:1製剤完了、1製剤事項変
更中止。④組織培養化:1製剤完了、1製剤継続
中。 ⑤製剤の保存剤削除:2製剤が計画変更継
続中。 ⑥容器の減量化:1製剤継続試験中。
○
12
環境に配慮した設計・
建設で環境配慮なしと
の対比で 20%CO2削
減
・ER棟省エネ項目により、CO2削減量 37%達成。
・M1 棟での予測的省エネ効果は 18.1%で僅かに
未達。 新管理棟は 16.9%で未達であった。
○
8
◎
8
△
-
△
10
◎
10
◎
6
◎
-
○
-
△
5
2012 年度まで
に CO2排出量
の絶対値を
2007 年度比減
少に転ずる
廃棄物削減
4
省資源
5
社会貢献
環境配慮
販売
環境法規順
守
8
環境
教育
7
△ ・・・達成できなかった
△
2010 年度
環境目標
2012 年度の地
下水使用量を
2007 年度比
5%削減する
6
○ ・・・ほぼ達成できた
○
環境目的
2012 年度の廃
棄物発生量を
2007 年度比
10%削減し、ゼ
ロエミッションも
維持する
3
◎ ・・・達成できた
社会貢献の
推進
環境教育の
推進
環境に配慮し
た販売活動を
推進する
環境法基準を
100%順守する
・2010 年度の電力使用量 4020 万kwh、前年度比
0.6%減、25 万 kwh 削減。 重油の使用量は 3205
kL、前年度比 9.2%減、325kL の削減となった。
見える化システムの活
・CO2換算で 880.5t の削減量となり、達成基準
用も含め既存設備に
おける CO2年間排出
350t 以上削減を達成した。
量を 350 トン以上削減 ・主な改善:①還水ライン保温、廃蒸気の有効利
用。 ②NS棟冷水ポンプへインバータ設置。 ③
する
見える化システムによる空調及び凍結乾燥機電力
削減。 ④蒸留塔への還流比例制御の導入等。
棚卸額の適正化を図
営業・製造部と連携して適切な生産計画で実施し
る
たが、生産量増加で前年比 8%の増加であった。
・全体の廃棄物発生量は、3609 トンで前年度
2010 年度の廃棄物発
7.1%増加。 ゼロエミッションは達成できた。
生量を前年度比 2%削 ・ワクチン製造量の増加で、廃卵が大幅に増加し
たのが未達の主原因である。
減し、ゼロエミッション
を維持する
・自家検定 100%合格 ・製造ロス削減本数は目
標を達成した。
・地下水の使用:2010 年度の井水+市水総使用量
2010 年度の水使用量 は、36.7 万 m3 で前年度に対して 4.9%、19,000m3
を前年度比 1%削減す の削減となった。
る
・生産工程における主な節水:F 棟での製造用水
(UFW)の工程見直しによる使用量削減等。
2010 年度の近隣の清 ・6 月の県下一斉清掃及び10月の町内一斉清
掃活動およびボランテ 掃。11月のエコウオーキング大会 2010 年度の参
ィア活動の参加者をの 加のべ人数は、108 名で前年度比 130%アップ。
べ 80 人以上にする
部門目標、全体目標共に達成した。
・環境教育・啓発の充実:内部環境監査員の養成
2010 年度の環境提案
・環境教育資料の水平展開:環境レポート配布等
を 50 件以上にする
・環境提案の年度累計は、69 件で目標を達成。
環境に配慮した販売活 ・未消化率目標 8%以下:出荷可能本数 8,054,436
動を推進し、省エネル
本 消化本数 6,950,888 本 消化率 86.3% 未消
ギー、廃棄物削減を図 化率 13.7%未達であった。 ・環境配慮製品の売
る
上げ向上は目標達成。
・ER棟増設工事等のため騒音が 2 件公害防止協
定値オーバー。 M1・新管理棟新築における工事
環境法基準を 100%順
で、雨水の溜り水を排水したことにより、SS(浮遊
守する
物質量)が水濁法基準値をオーバーした 1 件の協定
違反が発生した。改善策後再測定:基準値以下。
3
環境会計
2010 年度における環境保全コストと環境保全活動に伴う環境保全効果及び経済的効果を環境省の環境会計ガイ
ドラインを参考に計算しました。
今後更に、環境投資と環境負荷低減の関連性を明確にして、より効果的な環境
経営に役立てていく所存です。
●環境会計の集
集
計
範
囲:一般財団法人
化学及血清療法研究所(本所)
環境保全コスト:環境保全設備投資額と各コストの費用額を集計
環 境 保 全 効 果:エネルギー、地下水及び廃棄物などの増減を集計
*1 投資額:環境保全を目的とした支出
資産の計上
*2 費用額:当所の費用のうち環境保全を
経 済 的 効 果:省エネルギー活動等に伴う費用削減を集計
目的とした発生額を計上
環境保全コスト (対象期間:10年4月1日~11年3月31日)
分
類
1,公害防止
事
コスト
業
エ
リ 2,地球環境
保全コスト
ア
内
コ 3,資源循環
ス
コスト
ト
小計
単位:千円
主な取り組み例
投資額*1
費用額*2
下水道料金、排水設備修理、雨水側溝修理、防油堰板設置、下水
道調査、アスベスト除去費用、排水ピット修理、排水配管更新工
事、純水装置・中和設備配管改修、ブロー排水管改修工事等
25,994
148,600
INV 交換、配管断熱、エコノマイザ洗浄、台数制御修理、蒸気トラッ
プ修理、フリーザ冷媒回収・破壊費、冷媒振れ止め工事、配管保温
断熱工事、蒸気熱回収工事、還水メーター取付け等
148,206
24,931
軟水配管修理、中水濾過器修理、薬注ポンプ修理、古紙・ダンボ
ール回収費、廃卵乾燥装置、バッチ炉等点検・修理、生ごみ処理
機、焼却炉類エネルギー費、廃棄物運搬・処分外部委託料等
146,229
247,331
320,429
-
420,862
22,180
上・下流コスト
所車リース代グリーン化(30%)、古紙配合率相違品等
管理活動コスト
ISO更新・定期審査費用、審査対応費用、環境管理室備品代、環
境法規調査費用、環境管理人件費、排ガス測定費用、水質検査費
用、ダイオキシン測定費用、電波障害事前調査等
795
44,131
環境R&Dコスト
-
-
-
-
1,645
-
484,955
321,224
973,773
社会活動コスト
環境損傷コスト
水田湛水事業協力金、阿蘇グリーンストック、くまもと緑の財団、熊
本県環境保全協議会会費、火の国くまもと打水大作戦協賛金、
オイスカ会費等
汚染賦課金(公害健康被害の補償に関する法律)、産業廃棄
物税、旧銀大跡地ボーリング゙調査、新棟建設土壌汚染対策費等
合 計
環境保全効果 (対象期間:10年4月1日~11年3月31日)
分
類
電力 万kwh
重油 KL
CO2 t- CO2
化学物質 %
廃棄物排出
井水
排水
地下水涵養
t
m3
m3
m3
主な取り組み例
吸収式冷凍機を超高効率ターボ冷凍機に更新及び冷水供給の効率化等
吸収式冷凍機撤去及び還水ライン保温・断熱、エタノール蒸留塔改修等
省エネルギー活動等に伴う CO2削減
PRTR指定化学物質の使用管理の徹底及び一部生産品の減少等
生産原料の削減等
中水の有効活用による冷却塔補給水削減等
製造関連節水活動に伴う削減
水田湛水推進事業 に伴う涵養量 (湛水延べ面積:9.4ha)
経済的効果 (対象期間:10年4月1日~11年3月31日)
分
類
△:減
主な取り組み例
電力料金
省エネルギー活動等に伴う費用削減
重油料金
省エネルギー活動等に伴う費用削減
増減量
△ 25
△ 325
△ 1,200
△46.6
△64
△ 19,000
△ 11,000
620,000
単位:千円
削減額
2,800
19,273
22,073
合計
4
環境法規制順守及び事故・苦情・要望への対応状況
本所に適用される主な環境関連法規及び事故・苦情等の順守・対応状況は、以下のとおりです。騒音の自主検査
で基準値オーバーが2件、水質汚濁防止法で公害防止協定オーバーが1件発生しました。この原因は新設建築工事
によるものであり、改善後再測定の結果基準値以下になっております。又、クレームが建設工事に伴う騒音と電波
障害が発生し、利害関係者へのお詫びと改善を実施済です。事故は2件発生、原液漏洩とフロンガス漏洩が発生し
ています。原液漏洩は、緊急水槽へ貯留し、次亜塩素酸で消毒を講じ、フロンガスは、漏洩箇所を修理済です。
<規制順守状況>
環境法令
要求事項
順守・対応状況(2010 年度)
大気汚染防止法
・ばい煙排出基準の適用
・ばい煙発生施設の届出等
ダイオキシン類対策特別
処置法
・ダイオキシン排出基準の適用
・特定施設設置・使用・変更届出等
水質汚濁防止法
・排水基準の適用
・特定施設の使用・変更・廃止届出等
下水道法
・排除基準の適用
・特定施設の使用・変更・廃止届出等
・各項目とも基準値以下。
・特定施設変更届出等提出。
騒音規制法
・騒音基準の適用
・特定施設の数変更届出等
・自主検査で基準値オーバー2 件発生
(新設建築工事に伴うもの)。
・届出等は期間中該当なし。
振動規制法
・振動基準の適用
・特定施設の設置数届出等
・基準値以下であった。
・届出等は期間中該当なし。
悪臭防止法
・特定悪臭物質規制基準の適用等
・測定義務なしのため未測定。
エネルギーの使用の合理
化に関する法律(省エネ
法)
・エネルギー管理者の選任・解任届出
・定期報告、中長期計画の届出等
・エネルギー管理統括者等選任届出。
・定期報告、中長期計画届出済。
消防法(危険物関連)
・貯蔵所・取扱所等の設置又は変更許可
・指定数量倍数変更届出
・危険物保安監督者の選任・解任届出等
・届出等は期間中該当なし。
特定工場における公害防
止組織の整備に関する法
律
・公害防止統括者及び公害防止管理者の選
任・解任届出等
・届出等は期間中該当なし。
・廃棄物の適正な分別・構内保管・処理
廃棄物の処理及び清掃に関 ・廃棄物処理業者への委託
・マニフェスト管理
する法律
・産業廃棄物処理計画書の提出等
PRTR 法
・指定化学物質の排出量、移動量の報告等
・土地利用状況報告書の提出
土壌汚染対策法
・搬出土壌の有害物質溶出量調査等
毒物及び劇物取締法
・盗難・紛失を防ぐための処置
・容器、被包、貯蔵場所への表示
・各項目とも基準値以下。
・届出等は期間中該当なし。
・ダイオキシン排出基準値以下。
・測定結果報告書提出。
・届出等は期間中該当なし。
・SS 公害防止協定値オーバー1 件
新管理棟新築における工事で、改善
策後再測定:基準値以下。
・随時届出。
・産業廃棄物処理計画書提出済。
・その他の届出等は期間中該当なし。
・ダイオキシン排出・移動量報告済。
・土地利用状況報告書を提出済。
・土地利用方法変更届出書提出。
・保管庫等への施錠、出納記録作成。
・表示等適正に実施されている。
<事故・苦情・要望等>
項目
事故・苦情等の内容
事故
原液の漏洩
事故
フロンガス漏洩
騒音
電波
障害
工事騒音クレーム
テレビの映りが悪い
原因・状況 等
原液を流水凍結融解中に PP ボトル 1
本が破損し流出した。
凍結乾燥機の冷媒フレキシブルホース
にピンホールが発生し漏出。
建設機械操作音等
新設建築物による電波障害と考えられ
る。
5
是正対応の概要
排水を堰き止め、緊急水槽に貯留
し、次亜塩素酸で消毒一晩ポンプ
攪拌を行い通常処理。
4 台の内故障機 1 台を停止し、予
備部品で復旧させた。
請負業者と対策協議し改善済
障害が出たことへのお詫びとア
ンテナ調整。
環境に関する社会貢献活動の状況
化血研が活動の拠点としている熊本市は、豊富な地下水と緑に恵まれた都市です。医薬品の製造に大量の水を
必要とする当所では、水資源を確保する立場から、内部の節水活動に加えて外部機関と連携した地下水涵養事業
等を展開しています。また、各種の環境関連イベントにも参加して、地域のみなさんと積極的な交流を図ってい
ます。以下にその活動の一端を紹介します。
●地下水涵養事業
2005 年 4 月 26 日、化血研と水循環型営農推進協議会との「白川中流域における水田湛水推進に係る協定」
に基づき、水田から転用されている畑に、作物を植え付ける前の約 3 ヶ月間、農業用水を湛水(水を溜めること)
し、地下水の涵養を行ってきました。2010 年度の実績は湛水のべ面積 9.4 ヘクタール、地下水涵養量 62 万ト
ンで当所の水使用量 37 万トンに対して 100%超の地下水還元を達成することができました。2011 年度も地
下水涵養量 45 万トンの涵養を目標に熊本の地下水源の涵養に貢献していきます。
37
2010年度
62
水使用量
水田湛水量
39
2009年度
47
42
2008年度
69
0
●化血研の森林
も り
20
40
60
80
万トン
当所では水源涵養の目的で、熊本県山都町内大臣の国有林(6.24 ヘクタール)について九州森林管理局と
分収造林契約を結び、1997 年より植樹を行っています。この森林には、約 19,000 本のケヤキやブナなど
の広葉樹が植えてあり、九州森林管理局によると、その環境貢献度は貯水量 4183m3/年、CO2 吸収量 23.4
トン/年に相当すると試算されています。
●環境レポートの配布
当所の地下水涵養事業や CO2 削減活動を見やすいイ
ラストにまとめた環境レポートを作成しました。特に水
の循環をまとめたイラストは、熊本の豊富な地下水を守
る当所の取り組みを表しています。見学者をはじめ、お
客様や従業員等のステークホルダーに配布しています。
●地域清掃活動
毎年6月、10月に敷地周辺の草刈り、
清掃活動を行っています。新入職員も参
加して、近隣住民のみなさんといっしょ
に汗を流しています。
●野焼きイベント
阿蘇支所では地元のみなさんの協力のもと、毎年 3 月初旬に阿蘇
支所から米塚周辺の一帯で野焼き作業に協力しています。
6
環境コミュニケーション
地球の温暖化の影響で異常気象が、地球全体で発生しています。この温暖化対策が待ったなしの状況のなかで、当
所の環境保全活動の考え方や活動内容を広く知って頂くために、活動事例を積極的に所内外に情報発信することが重
要と思われます。環境ビジョンに「環境情報の公開」を掲げ、当所の環境保全活動の情報を積極的に開示し、多くの
ステークホルダー(利害関係者)との双方向のコミュニケーションを推進しています。
環境情報の公開
環境報告書に、環境目標の達成状況、環境会計、環境に関する社会貢献活動状況、環境負荷の低減に向けた取組み
等を記載しています。当所のホームページの「環境への取り組み」紹介コーナーでご覧いただけます。
URL http://www.kaketsuken.or.jp
利害関係者とのコミュニケーション
●熊本県環境保全協議会との連携
当協議会は県内の事業者等が、環境保全のための知識や情報を交換し、事業者相互の交流等を図ることで、地域におけ
る環境保全のための取り組みを推進し、より快適な環境づくりに貢献することを目的として設立された団体です。この
会の会長を当所環境担当理事が又、企画委員に環境安全課課長が就任しています。このように人員派遣と情報提供等を
通じ環境保全活動を双方向で実施しております。
●見学会
内閣府 地域社会雇用創造事業の一環として、「地域カーボンカウンセ
ラー」養成講座インターンシップ見学会で当所の生産設備や環境管理
活動の概要を紹介しました。九州各県から集まった 47 名が参加され、
インフルエンザワクチンの製造方法や廃棄物の処理法、省エネ設備の
管理等熱心なご質問を頂きました(2010 年 10 月 19 日)。
●事例発表
熊本県関連のイベントとして開催された韓国の大田・忠南環境保全
協会視察団の来熊交流会において、熊本県環境保全協議会の会員企
業として、当所の環境管理活動の概要について事例紹介を行いまし
た。日韓親善協会他 84 名(韓国 30 名、日本 54 名)が参加され
ました。(2010 年 10 月 15 日)。
内部コミュニケーション
●環境ニュース
EMS(環境マネジメントシステム)に関連する従業員への情報伝達
は K-Portal(当所構内 LAN)に掲載し、各管理職に掲載案内を送付
し周知徹底を図っております。
また、従業員への情報伝達の一つの手段として、他部署の参考にな
る取り組み等を掲載した「環境ニュース」を毎月各部署に配布して紹
介しています。(右写真)
その他に、従業員からの「環境に関する改善提案」については、当
所改善提案制度に基づいて提出されていますが、全所的に取り組むべ
き内容については、事務局より水平展開できるよう情報を K-Portal
で情報伝達しております。
7
環境負荷の低減に向けた取り組み
省エネルギー・地球温暖化防止
2010 年度は、電力使用量で 0.6%、重油使用量で 8.7%前年度より削減し、そのことにより CO2 排出量は前年度比
3.8%(912 トン)削減することができました。また、今年度は新棟建設に着工し、設計の段階から省エネ仕様を取り
込みました。今後は、新棟建設に伴いエネルギー使用量が増加する見込みですが、ボイラーを重油使用から都市ガス使
用へエネルギー転換し、二酸化炭素排出量を抑える取り組みも計画しております。
以下に当所における省エネルギーの取り組みの一部を紹介致します。今後も無駄を省き、積極的な省エネに努めてま
いります。
CO2排出量
エネルギー投入量
千GJ
電力
800
A重油
千t-CO2
ガソリン
電力
A重油
ガソリン
40
5
5
600
242
214
0.3
4
3
181
138
400
0.3
30
3
126
15
20
200
451
376
430
393
10
391
32
115
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
1990年度
2010年度
(京都議定書基準年)
14
2
4
0
0
1990年度
0.2
17
2006年度
13
0.2
0.2
10
9
17
15
14
14
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
(京都議定書基準年)
※GJ=109J
CO2年間排出量の削減
●省エネに配慮した新棟建設
2010 年度より3つの新棟の建設に着工しました。設計の際には、当所の施設・設備環境配慮基準に基づき、施設ア
セスメントを実施、可能な範囲で省エネ仕様としました。
例えば、ER棟では外壁には金属断熱サンドイッチパネル、窓には高性能熱反射ガラスを用い高い省エネ効果を考慮
しています。空調ではインバーター化を、室内の照明にはタスクアンビエント照明を導入し、全体を照明するベース照
明を半分にし、作業面を照らすLEDスタンドを各机に設置し、必要に応じて点灯するようにしました。また、廊下等
で明るい部分には、照度スイッチ付人感センサーで省エネを実現しています。
●電力の「見える化」
2009 年 9 月にモデル棟に「見える化」システムを導入し、各個別の電力量が見えるようになり、低温融解室と空
調機の給気温度の連携を行うことで、空調機用冷凍機の使用電力量を前年度比 19%削減できました(約 31000kwh/
年)。また、製造用水作成設備系統に「見える化」の電力量計を取付けたことによって、電力量の把握ができるように
なり、冷水ポンプにインバーターを取付けたことにより、900kwh/週の省エネが達成できました。この他にも「見え
る化」による電力量把握が容易になったことで、現在も引き続き電力の無駄な使用がないかチェックしています。
●廃熱の有効利用
ボイラー設備に蓄熱槽を設け、より有効に熱回収できるようになったため、還水を出来るだけ高温度のままかえすよ
うに、途中での放熱をすくなくするために保温施工しました。還水温度が高ければ、蒸気を作る時の加熱量を少なくす
ることができます。
また、還水タンク通気管に熱交換器をつけて、熱回収し、温水加熱を行うようにしました。このことにより、大気中に
無駄に捨てていた熱を回収し、温水加熱の補助に使用しています。
8
身近な省エネルギーの推進
当所では、従業員の責務として省エネルギーについても環境マニュアルで規定しており、日常的に以下のような
省エネルギーに取り組んでいます。
-
従業員の責務(環境マニュアルからの抜粋)
-
不在時及び不要時の消灯又は減灯に努めること
パソコン、プリンター、コピー機等の OA 機器につき、長時間使用しない場合に電源を OFF にすること
一般空調区域の温度管理(冷房時 27℃以上、暖房時 21℃以下)を主体的に行うこと
エアコンフィルターの定期清掃を行うこと
●COOL BIZ の導入
2004 年度より COOL BIZ を導入しており、本年度もノーネクタイ、ノ
ー上着を実践しています。また、弊所を訪問された方にもその旨を伝達する
ために玄関、会議室にはポスターを掲示し協力して頂いております。
●省エネパトロール
当所では、省エネルギー推進員、省エネルギー専門委員会を設け、定期的
COOL BIZ を呼びかけるポスター
に省エネ勉強会や省エネパトロールを実施しています。
●自動室温記録計
事務棟、製造棟の記録室を中心に冷暖房使用時の室温を決め、自動室温記録計で計測しています。また、部屋毎に室
温管理担当者を設け、省エネの啓発を行っています。
●人感センサー採用の照明
昼休みなど不要時の消灯・オフィス機器の電源オフはもちろんのこと、蛍光灯の間引き、人感センサーの設置なども
積極的に行っています。
●LED 照明の導入
事務棟等に LED 照明を数箇所導入しました。現在新設中の新棟には、可能な限り LED 設置を実施しております。
●アイドリングストップの実施
構内駐車場に掲示し、従業員はもちろん、構内でアイドリングをしている車両を見かけたら、アイドリングストップ
を呼びかけるようにしています。
9
環境負荷の低減に向けた取り組み
節水・廃棄物削減とリサイクル
当所が活動の拠点としている熊本市は、生活用水のほとんどを地下水で賄っ
節水
ていますが、年々その水位が低下しています。当所も医薬品の製造という事業
の性質上、その恩恵を受け多くの水を使用していますので、節水に関しては従来より積極的に取り組んできました。
2005 年度をピークに、水資源投入量、総排水量ともに年々減少しており、2010 年度はグラフのとおり水資源投入
量で対前年度比 5%減少し、総排水量も 5.6%減少しました。また、2006 年度からは、排水の全量を下水道へ接続し
たことから、節水活動が下水道料金削減にも繋がるので、今後もより一層の取り組みを続けていきます。
千m3
500
水資源投入量
総排水量
千m3
500
400
400
300
300
482
448
200
422
386
200
367
100
347
343
335
324
306
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
100
0
0
2006年度
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
●中水の再利用
洗浄のすすぎ水等きれいな水は中水タンクに集めて、トイレの洗浄水等に使
用しています。また、それ以上に余った中水は別の棟の中水タンクへ溜め、
その棟のトイレの洗浄水等にも使っています。
●そのほかの取り組み
1回の製造量を多くして製造回数を減らすことによる水使用量の削減、工程
の改善など様々な取り組みを行っています。また、昨年度から始めているア
ルコール蒸留塔の冷却方式も通年を通して、ワンウェイ方式から循環方式に
する等、まだ使用できる水を大切に使っています。
廃棄物処理の推移
廃棄物削減とリサイクル推進
2010 年度の廃棄物発生量は、3,609 トンで前年
度比 7.1%増加しました。また、発生量に対する埋
立量の割合は 0.6%となり、ゼロエミッションは達
成されました。
主な増加要因は、インフルエンザワクチン増産に
よる廃卵の増加であり、ワクチンの製造には卵を使
発生量
t
4,000
再資源化量
最終処分量
3,490
ゼロエミッション指標
%
2.0
3,609
3,371
3,104
2,834 1.4
3,000
1.5
1.2
2,000
1,474
1,468
※ゼロエミッション・・・当所の基準は廃棄物発生量に対する最終処分量の割合が1%未満のこと
41
11
41
20
2007年度
2008年度
2009年度
2010年度
0.0
廃棄物発生量の割合
●廃棄物発生量の抑制
当所の廃棄物発生量の内訳はグラフのようになっており、インフルエンザ
ワクチンの製造には卵を使用するため、
廃卵が全体の 7 割強を占めています。
2010 年度はインフルエンザワクチン増産の為、昨年度より 280 トン以
上も多く廃卵が発生しました。生産量が増加すればおのずと廃卵も増えるこ
とになりますが、卵を使わない方法の開発、収率の向上、自家検定・国家検
プラスチッ
ク類
3.7%
紙類
3.9%
PEG廃液
8%
その他
9.0%
総発生量
3,609t
定の 100%合格、また製造ロスの削減及び生産計画の精度向上などの発生量
廃卵
75%
抑制策に取り組んでいます。
また、一部のものを除き、ほとんどの廃棄物をリサイクルしております。
10
1.0
0.5
0.4
7
2006年度
1,716
1,692
0.6
0.2
0
1,780
1,709
1,551
1,514
1,394
1,336
1,000
用するため、生産量が増加すればおのずと廃卵も増
えることになります。
排出量
環境負荷の低減に向けた取り組み
化学物質管理・大気汚染防止・騒音防止・グリーン購入
化学物質の管理
当所で使用している化学物質は少量多種に亘り、PRTR 指定化学物質、毒物・
劇物、危険物と様々です。これらの使用、保管、排出、廃棄に関する手順は、
使用する部署毎に手順書を作成し、手順の教育、緊急事態対応訓練を毎年実施
し、見直されています。また、毒物・劇物については、施錠付の保管庫に入れ
厳格に管理し、年間使用量が1kg 以上になる PRTR 指定化学物質については、
年間使用量、年間排出量、排出先を調査し、その状況も確認しています。
2010 年度は、1種類の化学物質の届出を行いました。
●緊急事態対応訓練の実施
当所では、薬品の漏洩、重油の漏洩などを想定して、定期的に緊急事態対応
訓練を実施しています。2010 年度は、排水滅菌装置タンク配管から未加熱の
廃液が流出したとの想定で訓練を行いました。また、訓練結果に基づいて手順
書を改定した場合は、手順の再教育を行っています。
大気汚染防止
当所の生産活動に伴って排出される大気汚染物質の管理を適切に行っています。焼却炉の燃焼によって発生する
ダイオキシン対策として、炉内を再燃バーナーにて 800℃以上に加熱し、バグフィルターで微粒子を取り除いて
排ガスを処理しています。また、ボイラーの運転はすべて完全自動でコンピュータ管理されています。これらの使
用、管理に関する手順書を作成し、手順の教育、緊急事態対応訓練を実施し、見直しを行っています
騒音防止
製造棟屋上にアルコール蒸留設備の節水
改善に伴う冷却塔を設置した際に、超低騒音
型の冷却塔を導入し騒音対策を実施しまし
た。また、蒸気の減圧弁の設置場所が屋外設
置であった為、蒸気通過状態等で騒音が発生
していたので、屋内に移設しました。このよ
うに騒音対策を考慮した設計施工に配慮し
ております。
グリーン購入
グリーン調達率
当所の物品の購買は、2005 年度からインターネットで
100%
84.2%
のアウトソーシング型購買システムを導入しております。
また、システムの定着を進め購入率が向上するよう、全部
52.8%
署で取り組み、毎月部署毎の購入率を電子公開しています。
また、2009 年度からグリーン購入率の定義見直しも行
い、購入率が大幅に上昇しました。
87.8%
70%
47.3%
61.2%
40%
2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
11
環境負荷の低減に向けた取り組み
製品の環境配慮
2010 年度も、ワクチンの組織培養化、血液製剤の室温保存化、ワクチンの有効期間延長、ワクチンの混合化、ワク
チンの保存剤削減・削除等に取り組みました。
ワクチンの組織培養化
●これまで動物を原材料として培養・精製を行ってきたワクチンの組織培養化に取り組みました。動物の代わりに培養
細胞を使用するため、動物由来の廃棄物の削減につなげることができます。
組織培養技術で製造したワクチン
培養細胞のようす
製品の開発・改善・改良
●血漿分画製剤の室温保存化
製品の中にはその品質を保つために使用する直前まで冷蔵庫での保管が必要なものもあります。冷蔵庫での保管では、
輸送や保管時の冷却を行うためのエネルギーが必要です。そこで製品の品質を確保したまま、従来の冷蔵庫保存から室
温保存に変更することで、ユーザー様の取扱の容易さ及び冷却に必要な電力を削減することが、一部の製品でできるよ
うになりました。今後も他製品にも適用できるように継続して取組んでいきます。
●ワクチンの有効期間の延長
ワクチンにはそれぞれ有効期間が設定されており、有効期間を過ぎたワクチンは廃棄しなければなりません。その為、
有効期間が短い場合、需要の変化による影響が大きく、製品を増産しても有効期間を過ぎて大量に廃棄しなければなら
ないものがありました。この事象を避けるため、新たに安定性データを取得して有効期間を延長することによって、廃
棄量を減らすことができます。今後も他製品にも適用できるように継続して取組んでいきます。
●ワクチンの混合化
例えば、三つの製品を単品で作製する場合は、三製品を混合して作製した場合に比較して、環境面から考察すると多
大のエネルギーや容器・包装資材等が必要になります。よって、混合化が可能なものを多く作製することによって、
資源の削減及び医療廃棄物の削減にも貢献できるので、積極的に取組みを継続しています。また、一回の接種で済むこ
とになり接種者の負担も少なくなります。
●ワクチンの保存剤削減・削除
当所で製造されているワクチンには、その無菌性を保つために微量の保存剤が使用されているものがあります。製造
方法を改善することによって、保存剤を含まないワクチンの開発を進めています。
12
編集後記
2010 年度の環境管理活動がまとまりましたので、報告させていただきました。近年の異常気象や
大規模な災害を目の当たりにするたびに、地球温暖化が想像以上のスピードで進行していると感じま
す。また 3 月 11 日に発生した東日本大震災並びに原発事故による全国的な電力供給不足の事態が続
いており、消費エネルギーを抑える事が社会的な責務であると認識し、活動しています。結果として、
CO2 排出量の削減(対前年 3.8%減)は達成することができました。一方インフルエンザワクチンの
増産等により廃棄物発生量が増加しましたが、最終処分量の減少によりゼロエミッションを達成する
ことができました。
今後も環境パフォーマンス改善のため、環境方針に基づき、関連の環境法規等を遵守し、環境負荷
の低減や社会貢献の推進に全従業員が自覚を持って取り組んでまいります。
本報告書は、化血研の社会的責任の遂行という意味からも、継続して公開しますので、ご覧になら
れた皆様からのご意見・ご感想をいただければ幸いです。
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