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阿尻研究室のKeywords - 東北大学多元物質科学研究所
阿尻研究室のKeywords 超ハイブリッド ナノバイオ・医療 メタマテリアル 超臨界反応 ナノテク 融合学術 バイオ 計算科学 名嘉助教授 (物理) 物理 大原助手 (ナノテク) 阿尻研究室のKeywordsは 超ハイブリッド、医療を含めたナノバイオ、そしてメタマテリ アルです。 レゴで遊ぶように、分子やナノビルディングブロックを自在に組み上げる設計をできて、 しかもそれが自然にその構造へと組みあがっていく。 その構造が、バイオ、医療、そして新しい物性を発現する材料であったりしたらいいで すね。 当研究室では、物理に立脚して新しい物性を予測し、 私が始めた超臨界反応の研究に、ナノテク、そしてバイオを融合させ、 そして計算科学の支援を受けてそれを達成させていきます。 1 メタマテリアル・左手系材料 創成 光 (1)負の屈折率 (2)光学系の等価電気回路 (物理の予測) (物理の予測) μ n<0 0 μ<0 ω ε 0 磁性体と誘電体 ε<0 ω p ω 光の発振器・アンテナ 光学系の革命 自在に分子やナノビルディングブロックを組み上げられるとどのようなことが 期待できるでしょうか。その例をいくつか考えて見ましょう。 メタマテリアルや左手系材料という言葉は始めて聞かれる方がほとんどでしょう。 例をあげましょう。 たとえば光は、屈折率の違う媒体があると、屈折します。 が、赤い線のように負に屈折することはありません。 このような物質は自然界には存在しません。 しかし、磁性体と誘電体を配列することでそれが達成されうることが 最近の物理で予測されています。 光学系には電気回路のようなものはありません。 しかし、これも最近の物理で、光の波長よりも十分に小さな誘電体と金属を 配置することで、電気回路と等価の光デバイス、たとえば、 発振器やらアンテナを想定できることが予想されています。 このようなものができれば、従来の光学系は根底から変ってしまいます。 まさに光学系の革命、ノーベル賞級の発明とのことです。 このためには、ナノ粒子を自在に配置できなければなりませんね。 このような材料系の開発にチャレンジしています。 2 超ハイブリッド (高分子と無機ナノ粒子の分子オーダーの融合) 経済産業省プロジェクト: 40億円 2007-2011 ナノ粒子は光の波長よりも十分に小さいので完全に分散していれば透明です。 高屈折率のナノ粒子をプラスチックに分散できれば、プラスチックの加工性と 透明性を保ちながら 屈折率を大幅に上げることができます。強度もあがり、耐熱性や導電性ももたせ ることもできます。 半導体ナノ粒子をインクに分散できれば、インクジェットプリンターで半導体回 路が描けます。 ナノサイズの粒子と高分子とを分子オーダーで相互作用を制御できれば、単 独の材料では なしえなかったトレードオフ(相反)機能を発現させることもできます。 この「超ハイブリッド」の技術は、本年から経済産業省のプロジェクトとして開始 されることが決まりました。 3 超臨界ハイブリQDと DDS、バイオイメージング 磁性ナノ粒子 R G DC C D GR SS SS JST振興調整費 2006-2008 厚生労働省科学研究費 2006-2009 感染研・東北大医学部との共同研究 CDGR SS C R GD S S C R GD S S SC D GR S 抗体・ペプチド ウイルス-QD ナノ粒子の大きさは、ウイルスよりも2桁も小さく、 DNA2重螺旋の幅程度の大きさです。 発光ナノ粒子や磁性ナノ粒子を抗体やペプチドあるいはウイルスと融合させることがで きれば、 そのナノ粒子を、たとえば、癌や疾病の部位につけることができます。したがって、光学 系やMRI、X線CTで画像化することが可能となります。 それだけでなく、その構造をうまく設計すれば、 外場から磁場を加えることで、発熱させて、癌の温熱治療をしたり、粒子クラスターをポ ンピングさせて薬剤を投与したりすることができます。 この研究は、JST「超臨界ハイブリQDによるDDS・治療」プロジェクトや厚生労働省の研 究プロジェクトとして、 感染研や医学部の先生方と共同研究を進めています。 4 必要な要素技術 高次の自己秩序化構造の発現 ・ナノ粒子の粒子径・形状 ・粒子間相互作用の制御 (任意の有機・バイオ分子修飾) 今述べてきたような技術を達成するためには、どのような要素技術が必要でしょうか。 無機の結晶を考えてみましょう。 イオンの大きさと電荷で構造が決まっています。 タンパクでは、どうでしょうか? より複雑な分子間相互作用で、高次の自己秩序化構造が発現しています。 つまり、ナノ粒子のサイズとその粒子間相互作用を制御することが重要です。 つまり、ナノ粒子を作りつつ、その表面を任意の有機・あるいはバイオ分子で修飾するこ とが 大切です。 5 C Fe O C O Fe O O O Fe O Fe Fe O C O C C O M2O3 MO M(OH)2 M Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe O O Fe O C O O C O O O O Fe O C OO O C O FeCO OFe C Fe O C O O O O O O Fe Fe OO CC O O C Fe O COFe O O Fe OO CO O Fe O O CO O C O C OFeO O Fe O C O C Fe O OFe C OO CC O O O O FeC Fe O O O O O O CO O O Fe O O C O O FeC OFe O C O C O O C O Fe O O OO O OFe OO CO OO C O FeC OFe C Fe O C O O O O O O O O Fe O O C O O FeO C OFe C Fe OO O C O O O O O O OC Fe O C Fe C O O Fe C O O Fe C O O O C O O O O Fe O CO Fe O C Fe O C O OO O O O O O M2+ M(OH)+ M(OH)2 M(OH)3 T P Fe 生命誕生の場 O M(NO3)2 C Fe Fe2O3 Fe 気体・水が均一相 有機物質・水が均一相 特異反応 O O 超臨界状態 Tc = 374 ℃ Pc = 22.1 MPa O O C 有機・無機・生体分子のハイブリッドナノ粒子 反応制御 Bio Molecues 生体分子 そのために、当研究室では、超臨界状態を利用した独創的な方法を用いていま す。 374℃以上、220気圧を超えた高密度の水蒸気状態、 これは丁度海底火山の近くと同じような状態です。 この場では、水蒸気ですので気体とも完全に均一相を形成し、 誘電率も低くなり水と油も均一相を形成します。 そして、水分子そのものが酸や塩基触媒として働き、特異な反応が生じます。 鉱物もこのような状態でできてきますし、「生命の誕生の場」であることが知られ ています。 この状態を利用すれば、鉱物を作りながら、有機分子や生体分子と融合させる ことができると考えました。そして、世界ではじめて、有機・無機・バイオ分子がハ イブリッドしたナノ粒子を合成することに成功しました。 6 これが、超臨界水熱合成装置です。 1時間で数10gのナノ粒子を合成することができます。 大学の研究室としては大型の装置ですね。 当研究室では、このような装置も自分で設計・製作します。 7 サイコロナノ粒子 CeO2 7nm 室温でも働く自動車用排ガス触媒 この方法でできたナノ粒子を見てみましょう。 これは、7nmのサイコロ状のCeO2ナノ粒子です。 表面に有機分子が結合していることも見えています。 表面は、通常のCeO2と異なり、最も活性な(001)面だけが表にでています。 そのため、通常二百数十℃以上でしか機能しない自動車用排ガス触媒が、 室温でも機能することがわかりました。 8 完全に分散させることができる(透明) O O C 有機分子を修飾した 粒子ができると・・・ O C O C O Fe O Fe O C Fe O O Fe Fe2O3 O Fe Fe Fe O C O O C C O 「超ハイブリッド」のためには、ナノ粒子を完全に分散させることが必要でした。 このナノ粒子は表面に有機分子を修飾させることができていますので、 溶媒に完全に分散させることができます。 もちろん、ナノ粒子は、光の波長よりも十分小さいので、透明に見えています。 9 どんどん濃縮していくと。。。 Liquid Powder ・高分子とのハイブリッド ・医療応用 50nm 濃縮してくとどうでしょうか。 濃縮していっても、このように液体状態です。 これであれば、高分子とのハイブリッドや医療応用等 いろいろな分野への利用が期待できますね。 10 ナノ粒子を並べる 2.5nm 配列させることはできるでしょうか。 この粒子は、直径2.5nmのCeO2です。 まさに、DNAの幅と同程度です。 1層目、2層目、3層目と同じ大きさの粒子がきれいに配列しています。 11 ナノ粒子配列に高次階層構造を持たせる Chimney at submarine (Copy right NHK, 1994) O Origin of Life C H2 NH2 OH C + H C H2 C CH C OH H2 N O O O C 生命誕生の場 O C Fe O C O Fe O O O C Fe O Fe Fe2O3 C H2 O H O N C H C H2 C CH C N Fe Fe Fe O C O O O H C C O ペプチドやタンパクの自己組織化の助けを借りてみましょう。 生命誕生の場と言いました。 この場では、アミノ酸は重合し、さらに自己秩序化して、数10ミクロンの大きな 構造を作っていきます。 まさに生命誕生の場であることがわかります。 このような研究も進めています。 が、ここに、鉱物があるとどうでしょうか? 金属酸化物はナノ粒子となりその表面はアミノ酸で修飾されます。 そして、先ほどの大きな自己秩序化構造に入っていきます。 高次の階層構造を作ることもできます。 12 自在なナノ粒子の配置 JST大学発ベンチャー創出推進事業 2006-2008 生体分子 表面修飾した 半導体ナノ粒子ナノ粒子を自由に配置する。 生体分子 最近の研究によって、ナノ粒子には、量子サイズ効果といって、 サイズによって、物性が変ることがわかっています。 新たしい半導体特性を示す粒子もできていますが、 それを並べられなければ、デバイスにすることはできません。 まるでチェスをするように、駒を好きな場所に配置するにはどうしたらよいでしょうか。 それには、チェス盤とナノ粒子の間に、特異的に結合するサイトが必要です。 それには、抗原抗体反応やDNAの相補的結合のような、生体分子の特異的結合が必 要です。 13 設計通りのナノ半導体の配置 Au DNA Au Au Au Au Au Au Au DNA Au Au Au DNA EcoR Ⅰ 100nm λDNA GAATTC CTTAAG 200nm ナノ粒子に生体分子をつけることができていますので、 DNAを構造化させた上で、その上にナノ粒子を配置させることもできます。 また、DNAを特定の配列で切断する酵素(EcoR I)をつければ、DNAの上に ナノ粒子を配置することもできます。 14 無機ナノ粒子を認識するペプチド ハイブリッド ナノ粒子 ナノ粒子を認識するペプチド 基板 計算科学による 機構の解明 遺伝子操作 Binding of peptide to ZnO particle Displayed peptide in vitro selection infection Pepide :12 amino residues Library :109 Ph.D.-12 Phage Display Peptide Library Kit, New England Biolab Sequencing amplification もう一つお話しましょう。 今までは、ナノ粒子をハイブリッド化させていました。 基盤側を修飾して、ナノ粒子を認識することができないでしょうか。 つまり、ペプチドやタンパクにナノ粒子を認識させることができないでしょうか。 実は、遺伝子操作を使えば、それができる可能性があります。 われわれはすでに、ここに挙げられているような様々な金属酸化物、セラミックスに 結合するペプチドを見つけています。 それがなぜ結合するのか、計算化学を援用によって、明らかにしようとしています。 15 高い志と大きな夢をもって 挑戦 学生の皆さんへ そして大きく飛躍! 平成14 平成15 平成16 平成17 平成18 化学工学会優秀発表賞(4年) 化学工学会優秀発表賞(4 化学工学会優秀発表賞(4年) 生物工学会優秀発表賞(D2 ) 生物工学会優秀発表賞(D2) 化学工学会優秀発表賞(4 化学工学会優秀発表賞(4年) ホソカワ粉体工学振興剤算(D ホソカワ粉体工学振興剤算(D2) 環太平洋化学工学国際会議優秀発表賞(D3 )、 環太平洋化学工学国際会議優秀発表賞(D3) 化学工学会優秀発表賞(4 化学工学会優秀発表賞(4年) ホソカワ粉体工学振興財団(D3 ) ホソカワ粉体工学振興財団(D3) 超臨界国際会議Poster 賞 (M2、 超臨界国際会議Poster賞 M2、D3) ソルボサーマル・水熱国際会議Poster 賞(D D3、M2 、M1 計5名) ソルボサーマル・水熱国際会議Poster賞( 3、M2、 化学工学会優秀発表賞 (4年) 学生の受賞 当研究室では、すでに紹介したいくつものプロジェクトの他、 海外の企業も含め、20を超える企業との共同研究が進んでいます。 また、職員だけでなく、学生は、毎年のように、国際学会を含め、 発表に対して、多くの賞を受賞しています。 このことからも当研究室の研究が世界中から注目を集めていることがわかります。 最後に、学生の皆さんに(そして自分自身にも)、以下の言葉を贈りたいと思います。 「高い志と大きな夢をもって、挑戦、そして大きく飛躍!」 16 阿尻研究室へ 片平キャンパス 反応研究棟1号館4階 青葉山 キャンパス NIChE イノベーション・スクエア 当研究室は、多元研の反応研究棟1号館4階にあります。 それとは別途、大学からの支援により、 青葉山キャンパスの、NIChE およびイノベーションスクエアにも 研究室を2ヶ所研究室があります。 そちらでは、ベンチャー立ち上げ研究と、企業との共同研究を中心に 進めています。 17