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調査レポート② 研究成果・実用化
(石川県立大学 006)
遺伝子多様性解析法を用いた
ボーダレス研究戦略
石川県立大学食品科学科分子生物学
海老原 充 准教授
研究分野
分子生物学 細胞生物学を中心とした遺伝子解析
研究テーマの狙いとその成果
分子生物学研究室では、味覚の受容機構の解明と食品開発への応用、および食品素材を中心とした遺伝的多
様性の解析とその応用を2本の柱として研究している。伝統的食文化を守るとともに、加賀野菜を主軸に広く
全国展開を視野に入れた発展に貢献できるものと考えている。
(1)加賀野菜ブランドを守るための遺伝的多様性解析
加賀野菜は、地域ブランド野菜として全国に名前を知られて
おり、その機能性研究などが進められている。しかし、ブランド
野菜が持つ付加価値にフリーライドされる懸念は捨てきれな
い。加賀野菜ブランドを守るためには、
「This is 加賀野菜」とい
う定義づけが必要であるとともに、その裏付けとしての系統の
遺伝子レベルでの差別化をはかる必要がある。当研究室では、金
時草・加賀太胡瓜などの代表的な加賀野菜と他地域で栽培され
ている見かけ上区別できない類似野菜を遺伝子レベルで鑑定で
図1 加賀野菜である金時草と熊本産の水前寺菜
きる技術を開発し、ブランド野菜の保護を行っている(図1)。
(2)鳥類雌雄鑑別技術
トキをはじめとし、鳥類の約半数はみかけで雌雄を判断することができない。ペット愛好家はもちろん、繁
殖業者や販売業者にとっても雌雄ペアで販売
することには大きなメリットがある。当研究室
では、様々な鳥類の雌雄鑑別を行ってきてお
り、また、親子兄弟等の解析法を確立してきた
経験を持つ。この技術は、動植物はもちろん、食
品中の有害微生物の検出にもつながる技術で
あり、ニーズに合わせた鑑定・検出法を迅速に
開発できると考えられる(図2)。
図2 ペンギンとイルカ
ペンギンの雌雄は外見ではわからない。イルカは味覚を感じていない。
応用分野
食品素材の遺伝子レベルでの解析(組換え DNA 食品、食品産地偽装、肉、魚・米等の偽装鑑定)、
動植物の血統・系統解析(犬の血統、親子鑑定)
連携を希望する企業の業種・技術
食品のトレーサビリティーを遺伝子レベルで確認したい企業
動植物の血統・系統、雌雄鑑別等を付加価値として鑑定したい種苗業者やペット業者や動物病院
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