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人の子
親権 親権者が自ら及び子の法定代理人として約束手形を共同で振り出した場合において 利益相反関係を生じないとされた事例(最判昭42.4.18) 親権者が子の法定代理人として約束手形を振り出し,自らもその共同振出人となった場合において, 上記手形が子を主債務者とし親権者をその連帯保証人とする借受金の支払のために振り出されたもの であるときには,子と親権者との間に民法826条所定の利益相反関係は生じない。 ■関連条文 民法826条 ✐ポイント 取引の安全のために外形標準説の採用を明らかにした判例である。 利益相反肯定例①(最判昭43.10.8) 第三者の金銭債務について,親権者が自ら連帯保証をするとともに,子の代理人として,同一債務に ついて連帯保証をし,かつ,親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示事実関 係のもとでは,子のためにされた連帯保証債務負担行為及び抵当権設定行為は,民法826条にいう利益 相反行為に当たる。 ■関連条文 民法369条,民法826条 ✐ポイント 債権者が抵当権の実行を選択した場合には,子の持分の競売代金が弁済に充当される限度で親権者の 責任が軽減されるという意味において利益相反が生じ,また,債権者が親権者に対する保証債務の履 行請求を選択し親権者が弁済した場合には,親権者が子に対して求償権を取得し法定代位するという 意味において利益相反を生ずることが,連帯保証契約及び抵当権設定契約の外形上当然に予想される。 利益相反肯定例②(最判昭48.4.24,最判昭49.7.22) 遺産分割の協議は,その行為の客観的性質上,相続人相互間に利害の対立を生ずるおそれのある行為 と認められるから,(相続権を有しない)親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協 議をすることは,仮に親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく,親権者の代 理行為の結果,数人の子の間に利害の対立が現実化されていなかったとしても,826条2項の利益相反行 為に当たる。 ■関連条文 民法369条,民法826条 ✐ポイント 外形標準説の帰結である。この場合には,数人の子のうち当該親権者によって代理される一人の者を除く 未成年者については,各別に選任された特別代理人がその各人を代理して遺産分割の協議に加わることを 要する。