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法定地上権

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法定地上権
法定地上権
先順位抵当権消滅後に後順位抵当権が実行された場合と法定地上権の成否
(最判平19.7.6)
土地を目的とする先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が設定
契約の解除により消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にす
るに至った場合,当該土地と建物が甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかった
としても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する。
■関連条文
民法388条
✐ポイント
①
本件2番抵当権者の抵当権設定当時における認識としては,仮に,本件1番抵当権が存続し
たままの状態で目的土地が競売されたとすれば,法定地上権が成立しないことになる(最判平
2.1.22参照)ものと予測していたということはできる。しかし,抵当権は,被担保債権の担保
という目的の存する限度でのみ存続が予定されているものであって,本件1番抵当権が被担保
債権の弁済,設定契約の解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことで
あるから,本件2番抵当権者としては,そのことを予測した上,その場合における順位上昇の
利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきで
ある。したがって,本件1番抵当権が消滅した後に行われる競売において,法定地上権が成立
することを認めても,本件2番抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえないから,民法388
条が規定する「同一所有者要件」の充足性を,本件1番抵当権の設定時にさかのぼって判断す
べき理由はない。
② 民法388条は,土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地
又は建物につき抵当権が設定され,その抵当権の実行により所有者を異にするに至ったときに
法定地上権が設定されたものとみなす旨定めており,競売前に消滅していた本件1番抵当権で
はなく,競売により消滅する本件2番抵当権の設定時において「同一所有者要件」が充足して
いることを法定地上権の成立要件としているものと理解することができる。原判決が引用する
平成2年判例は,競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当
権の設定時を基準として「同一所有者要件」の充足性を判断すべきことをいうものであり,競
売前に消滅した抵当権をこれと同列に考えることはできない。
建物の共有者の一人がその敷地を所有する場合と法定地上権の成否(最判昭46.12.21)
建物の共有者の一人がその敷地を所有する場合において,上記土地に設定された抵当権が
実行され,第三者がこれを買い受けたときは,上記土地につき,建物共有者全員のために,
法定地上権が成立するものと解すべきである。
■関連条文
民法388条
地上建物の共有者の一人にすぎない土地共有者の債務を担保するため土地共有者の
全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとされた
事例(最判平6.12.20)
地上建物の共有者9人のうちの一人である土地共有者甲の債務を担保するため土地共有者の
全員が共同して各持分に抵当権を設定し,かつ,甲以外の土地共有者らが甲の妻子である場
合に,上記抵当権の実行により甲だけについて民法388条本文の事由が生じたとしても,甲以
外の土地共有者らが法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができる客観
的,外形的事実があるとはいえず,共有土地について法定地上権は成立しない。
■関連条文
民法388条
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