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条件及び期限
条件及び期限 ① 農地の売買契約において「知事の許可を得ることを条件とする」ことの意義 ② 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げた場合と民法130条の類推適用の有 無(最判昭36.5.26) ① 知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても,いわゆる停止条件を 付したものということはできない。 ② 農地の売主が故意に知事の許可を得ることを妨げたとしても,買主は条件を成就したもの とみなすことはできない。 ■関連条文 民法127条,民法130条,農地法3条 ✐ポイント 農地法の許可のような法定条件について130条を適用すると,当事者の通謀により,意図的にその成 就を妨害することによって成就したものとみなすことが可能となってしまい,条件を法定した趣旨(農 地法3条であれば農地取得者の農業従事者適格性を知事等に審査させる)を没却するため妥当でない。 条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときと民法130条の 類推最判平6.5.31) 条件の成就によって利益を受ける当事者が故意に条件を成就させたときは,民法130条の類 推適用により,相手方は条件が成就していないものとみなすことができる。 ■関連条文 民法130条 ✐ポイント 本判例の事例は以下のとおりである。まず,かつらメーカーA社及びB社の間で特許紛争があり, その和解契約として,「A社は,特定の種類のかつらの製造販売をしない。」旨の違約金条項付きの 合意がされた。その後,B社の指示を受けた者が通常の客を装ってA社従業員に対して当該種類の かつらの製造販売を強く要求し,やむなくA社の従業員がこれに応じた。判例は,この場合, A社は,条件が成就していないものとみなすことができるとして,B社の違約金の請求を否定した。