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国立大学法人としての新たな挑戦 ・・)離

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国立大学法人としての新たな挑戦 ・・)離
一
新春教育随想
∼名 古 屋 大 学 が めざ す も の∼
国 立 大 学 法 人 と し て の新 た な 挑 戦
は じめ に
平 野
眞 一
(
名古屋大学総長)
国 立大 学が 法人 化と な つ てか ら 一年 を 迎え ようと し て いる。本 学 では法 人化 前 から基 本的 な制 度 設計 など に ついて の検
討を 重ね 、それ なり に周到な 準備を 進め て いた 。そ れにも拘 わらず 法人化 直後 に は大 学運営 の根 幹を 揺 るがす ほど のこと で
はな いも の の多種多 様 な課 題 や問題 に直面 し、 しば しば 、それ らを解 決す るため に膨大 な人 的資 源 や時間を 費 やし てき た。
それ ほど法 人化 に付 随す る業 務量 は膨大 なも の であ った が、幸 いにして、全構 成員 の不 断 の努 力 によ って運営 体制 も軌 道 に
乗 り つつあ る。同時 に研 究面 では 一四件 の研究 テー マが 二 一世紀 CO Eに、ま た、教 育面 では 二年連 続 で特色 G P (
グ ッド
だ か らと い って、 現在 の社 会 環境 の諸状 況 に鑑 み 、 これ で満 足 し、 安穏 と し て いるわ け ではな い。 本 学と し ては、 今
プ ラクテ ィス ・プ ログ ラム)に採択 され るなど 、本 学 が掲 げ た中期 目標 ・中期計 画 の達成 に向 け て着 実 に進 展 し て いる。
を スタ ートと し てグ ローバ ル時 代 に相 応 し い総 合 大学 を 目 指 す た め、 こ れま で 以 上 に全 力 で挑 戦 し続 け る決 意 であ る。
こ の決 意 の実 現 に向 け て、私自 身 を奮 い立 たせ るた め に本 学 の将 来像 に つ いての 一端 を 述 べさ せ て頂 く こと とし た。
二 社会環境と大学教育
我 が 国 が抱 え る構 造 的 な 財 政赤 字 の問 題と 相 侯 って、急 速 な 少 子化 及び 高 齢 化 社会 の到 来 な ど 社会 基 盤 の根 幹 に 関
わ る問 題 、金 融 機 関を はじ め と す る大 規 模 企業 の合 併 ・リ ス ト ラ ・失業 ・年 金 な ど 生活 基 盤 に関 わ る 問 題、 そ し て若
年 層 に纏 わ る無 惨 な事 件 の多 発 に見 ら れ る 不条 理 な 問 題 な ど、 こと さ ら終 末 観 を 思 わ せ る情 報 が 氾 濫 し て いる。 こ れ
ら の現 実 に触 れ るた び、 か つてな いほど の不確 実 性 や閉 塞感 に戸 惑 いを 感 じ て いる 人 は多 いと 思 う 。 こ の よう な 社会
し てく る 。 そ の結 果 、仲 間 と一 緒 に居 ると き で さえ 孤 独 感 や疎 外 感 を 覚え る よう にな って いる。 そ し て 、 入学 後 しば
環 境 下 で育 った 若 者 達 は、 程 度 の差 はあ れ 、多 く は内 面 に心 許 な い存 在 感 (置o忌 曙 9 。・
一
。・
) を 抱 え な が ら大 学 に入学
らく す ると 、 潜 在化 し て いた 葛 藤 が 現象 と し て顕 れ る。 本 学 でも 学 生 相 談件 数 が年 々多 く な って いる 傾向 にあ る が、
件 数 の多 さよ りも 悩 み の多 様 性 に学 生 相 談担 当 教 員 は驚 か さ れ て いる も の の、 そ の悩 み の根 源は 同 一と捉 え て いる。
さ て、 学生 は 入学 後 に初 め て最 高学 府 に相 応 し い深 遠な 学 問 の世 界 に触 れ る こと にな る が、自 身 の基礎 学 力 の欠 如 か
らか 、次 第 にそ の深 遠 さ に喜 びを 感 じ ること も 無 く、 単位 の修得 と 学位 の取得 に目標 が 移 ってく る。 こ のよ う な様 相 が
現代 の大 学 が抱 え て いる問 題 の実 像と 理 解 し て いる。 つ い最 近ま で ユ ニーバ ー サ ル化 によ って若 者達 のレジ ャー ラ ンド
にな って いると 大学 は 椰楡 さ れ て いた。 だ が、 今 でも ユ ニーバ ー サ ルであ る 状況 は変 わ って いな いも の の、 最 早、 椰楡
のよう な パラダ イ ム シ フト (Paradigm
にあSっ
hて
i、
f大
t学
)も 無 関係 では いら れな い。 時 代性 か らく る 学生 達 の新 た な
も でき な いほど 社会 環 境 は混 迷 の度合 いを 深め 、 我 が国 の将 来を 担 つ若 者 社会 にも悪 影 響を 及 ぼ し て いると 感 じ る。 こ
問題 の解 決 は 、鎮 痛剤 のよう な 一過 性 の方 策 では 事 足り るも の ではな い。 ﹁
何 を﹂ を も って解 決 の根 本と す べき な のか。
私は ﹁
教 育﹂に求 める 以外 にな いと信 じ て いる。 そし て社 会自 体 も ﹁
教育 ﹂の重 要 性を 再 認 識 し、 教育 を 教育 機 関 に委 ね
ると いう 消 極的 な 風潮 から 、社 会 全体 が ﹁教育 ﹂ のため に何 を なす べき かを 問 う時 代 になら なけ れば な ら な いと考 え る。
三 名古屋大学 の学術憲章
こ のよう な 社会 環境 にあ って、本 学 では 二 〇〇 〇年 二月 一五 日、本 学 の憲法 とも いう べき ﹁
名 古 屋大 学学 術憲 章 (
以下
﹁学術 憲立
星 と いう )
﹂を 制定 した 。 こ の ﹁学術 憲立
星 には本 学 が果 たす べき 使命 、教 育 研究 活動 に対 す る理 念、及び ﹁
手 本﹂
28
29
とす べき 行動 規範を 定 め て いる。 ﹁学術憲章﹂ の詳細 は本 学 の HP に掲 載 し て いる ので省略 す るが 、﹁学術憲章﹂ の エ ッセ ン
を意 味す るも のでは なく、勇 気あ る﹁個々の人﹂を指 す ことは言 、
つま でも な い。 そ の具体的
スをあえ て ワン フレーズ で言うな らば ﹁
勇 気あ る知識 人を育 てる﹂ こと であ る。無 論、ここ に いう ﹁知識人 ﹂と は、いわ ゆ る
﹁大衆﹂
と対 比す る階層 的な窪
人物像 を ﹁
学 を授 け知 識を付 与す る こと によ って、総合 的 、自 主 的判 断力 に支え ら れた豊 かな 人間 性を有 し 、現代 社会 にお
いて存 在す る諸問題 の解決 に向け て主体 的 に、か つ果敢 に取り 組む 、創 造性 にあ ふれ心身 とも に健康 な人材 ﹂と定義 した。 、
﹁
学 術憲章﹂ で謳う 理想 は 、本 学 が如何 な る社 会環 境 下 にお かれ よう とも 不変 であり 、 そ の実 現 のた め、全 教 職員 は想
いを 一にし て教育 研 究 に邁進 し て いると こ ろであ る 。 こ の ﹁
学 術憲章﹂ に対 し 、あ ま り にも理 想 主義 的 すぎ ると の御 批
判 はあ ろう かと思 う 。 しか し、 私 は、 高邁 な 理想 を 掲げ 、 そ の実 現 に向 けた 行動 こそ が、 現代 社 会 に おけ る諸 問 題を 解
決 す るた め の必然 的 行為 であ ると 考 え て いる。 そ のた め にも 一切 の妥 協 を排 し 、 最大 限 の努 力 を 傾注 す る決意 であ る 。
こ のこと が 国民 か ら付 託 され た 国立大 学 法 人名 古 屋大 学 の使命 であ り 、間 断無 き 挑戦 と 心得 て いる。 そ の結 果と し て本
学 の在 学 生 や卒業 生 の 一人 一人 が社 会 から賞 賛 され るよう にな ること を願 って やま な い。
四 教育 研究 に関する基本姿勢
昨年 、 総長 と し て ﹁
名 古 屋大 学 運営 の基 本姿 勢 (
以下 ﹁
基 本姿 勢﹂ と いう 。)
﹂ を 取 りま と め 、学 内 はも と より H P に
掲 載 し 、広く 社 会 に公 開し た 。 こ こで は ﹁基本 姿 勢﹂ で述 べた考 えを基 に、少 々具体 的 に教 育 研究 や学生 支援 のあ り方
現 在 、学 問 ・科 学 が迫 ら れ て いる課 題 は いよ いよ 明確 にな って いる。急 速 に発 達 し てき た科 学技 術 は 、人 類 の福 利 と
など に ついて述 べる。
いう ﹁光﹂ と とも に、 そ の生 存 を脅 か す ﹁
影 ﹂を も も たら し て いる。 二 一世 紀 にあ っては 、学 問 .科 学 は ﹁光 ﹂ の面 を
進 展 させ ると とも に ﹁
影 ﹂ の面 を 制御 し て、全 地球 規模 で の持 続 可能 な 発展 を 図 る こと が最も 重 要 な課 題 であ り 、 そ の
実 現 が責 務 であ ると 考 え る。本 学 もま た 、 こ のよう な 人類 史 的課 題 の解 決を 担 う ﹁
知 の拠 点 ﹂と し て、 そ の活 動 を 展開
す る こと が 求 めら れ て いると 認識 し て いる。 そ のた め には ﹁創造 的 な研 究 活動 によ って真理 を 探求 し 、世 界 屈指 の知的
成 果を産 み出す ﹂ こと であり 、今 ひ と つは ﹁
勇 気 あ る知 識人 を育 てる ﹂ こと であ る 。す なわ ち 、本 学 では研 究重 点 大学
と し て世 界最 高水 準 の学術 研究 を推 進す る ととも に、勇気 あ る知 識人 を育 成 す ること が本 学 の使命 と心 得 て いる。
一口に科 学技 術 におけ る ﹁
影 ﹂ を制御 し ﹁
光 ﹂ の面を 進展 さ せると い っても、 それ を達 成す る ため の ﹁人﹂ の存 在 が鍵
と な る。従 って、自 己 の創 造性 を 駆り 立 て ﹁真 理 の探究 ﹂ への強 い意 志 と 忍耐 強 さを 持 った 研究 者 、ま た ﹁
勇 気 あ る知
て いる。 し かし な がら 、﹁人 ﹂にはそ れ ぞ れ個性 があ る よう に、 適性 があ る こと も見 逃 せ な い。 こう し た観 点 から 、 人材
識 人﹂の育成 を喜 びと す る教育 者 の存在 が 不 可欠 であ る。私 自身 は 優れ た研 究者 は 、同時 に優れ た教 育者 であ ると 確 信し
起 用 にあ っては ﹁
研 究者 ﹂ま たは ﹁
教育 者 ﹂ の適性 を見 極 める こと が重 要な こと と な ろう 。 更 には、 知 の継承 と次 世代 へ
の文化 の発 展 を支え るた め には、 異分 野間 での協 力関 係も 必 要不 可欠 な 要素 であ る 。 いう ま でも な く学 術 ・文化 は ﹁
人﹂
が創 造す るも のであ り 、﹁学 ﹂はま さ にHumani
そt
のy
も のであ る。 ﹁
学﹂ の発 展 のた め には文 系 ・理系 の強 い連携 が 必須
であり 、いわ ゆる文 系部 局と 理系 部局 が 一体と な り ﹁俯瞰的﹂見知 か ら発 展す る こと が極 め て大 切 であ ると 認識 し て いる。
な お、 一口に教育 と い っても 家 庭教育 、 初等 中等 教 育 、高等 教 育、 ま た他 者 や社会 と の関 わ りか ら学 び取 る 教育 など 、
そ の有 り様 は多 様 であ る が、 突き 詰 め ると こ ろ ﹁
自 己 教育 の方法 を確 立 す る﹂ こと にあ ると 思う 。 大 学 はそ のた め の最
高の ﹁
場﹂ でな け れば なら な いと 自覚 し て いる。 そ の ﹁
場 ﹂ を醸 成 す るた め には 、大 学 固有 のミ ッシ ョン や特 質 を 活か
しな がら 、他 の大学 と ﹁
質 の高 い教育 実 践﹂ を 基軸 と し て連 携す るとと も に競 い合う ことを ﹁是﹂と す る教育 パ ラダ イ
ム の創造 が不 可欠 であ る。 そ の行 き 着 く先 が ﹁
学 生 中 心 の大 学 ﹂ と いう こと にな ろう。 しか し 、 ﹁
学 生 中心 の大 学﹂ は
﹁
学 生 におも ね る﹂ こと では な い。 こ のこと は学 問 の伝 授と 真 理 の探求 のた め の人間 集 団が 最終 的 にUniver
とs
しi
てt
結y
実 し た歴史 的事 実 から も 、大学 は 、 ﹁
学 ﹂を 中 心と した ﹁場﹂ であ る こと は明白 であ る。 学生 の多 様 な ニーズ に可能 な限
り 真 摯 に応え な が らも 、彼 等 の良 心 、智 慧 、個 性を 開 花 させ 、 社会 へ送り 出 す こと が大 学 の使 命 であ り 、 ひ いては 現代
社 会 が抱え る 諸問題 を 解決 す るた め の最 善 の方途 であ り 、最も 近道 であ ると考 える。
五 教育環境
﹁勇気 あ る知 識人 ﹂ を陸続 と 輩 出す るた め には どう す るか 。 しごく 当 たり 前 に いえ ば 、体 系 的 か つ先進 的 な カリ キ ュラ
ム に基 づき 、人 間 的 にも教 育 者と し ても 優 れ た ﹁人﹂ によ って教育 が行 わ れ る こと であ る 。 こ の原理 の実現 は極 め て厳
し い現実 にあ るが 、あえ て挑 戦 し てみた い。
学生 にと って良 い影 響を与 えてく れ る教員 と の出会 いは、学 生 の将来 にわた って重要 な意 味を も つことは いう ま でも な
30
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い。 私自 身 も高校 や大 学時 代 に出会 った先 生 の魅 力 によ って自身 が高 め ら れ、今 日 の自 分 が形 成 され たと 思 って いる。 日
本学 術 振 興会 が 発行 し て いる学 術月 報 に ﹁師を 語 る﹂と いう 記 事 が長 年 に渡 って掲載 さ れ て いる が 、これを 読 む たび に、
そ れ こそ数 え 切れ な いほど の科 学者 達 が ﹁
良 き 師﹂に巡 り会え た こと への感 謝 の念 が綴 ら れ て いる。 そ の思 い入 れ のほど
は 、私も 共感 でき る。 そう し た思 いか ら ﹁あ の先生 が いる大 学だ か ら入 りた い﹂と か ﹁名古 屋大 学だ か ら こそ入 学 した い﹂
と 思 ってく れ るよう な魅 力 あ ふれ る大 学 に した いと 思う 。 そ のた め にも 学 生達 を 決 し て失望 さ せ る こと のな い教 育 環 境
を 創 りた い。 そ れ は学生 一人 一人 が良 い個 性を も って いると 思う が 故 に、彼 等 の感 性 に耐 え ら れる ﹁場﹂の創 造 が不 可 欠
であ ると 感 じ て いるか ら であ る。 私自 身も 経 験 した が、講 義 のな か で学 生達 が 学 問 のすば ら し さ に ﹁は っ﹂と す る よう な
経験 を し てほ し いと 念 願 し て いる。 こ のよう な良 き 教員 と 出会え る環 境 の創 造 に努 めた い。 そ の上 で、純 粋 で多 感な 一、
二年 生 の段階 に学 問 の成 り立ち を 十分 に理 解さ せ、か つ批判 的思 考力 を つけ させ る ことが 、と ても重 要 であ ると 考え る。
先 の想 いの試 みと し て、 本学 では平 成 一三年 一二月 に学 内措 置 により ﹁教養 教育 院 ﹂ な る組 織を 設 置 した 。 こ の組織
(一) 教養 教 育 院
は、 本学 の全 学 教育 (
共 通教育 ) に関す る 企画 、立 案 、実 施 及び 評 価 の ヘ ッド クオ ー ターと し て、全 学 教育 の管 理 運営
進化 さ せ 、初 年次 教 育 の資 質 向 上﹂ させ る た め の組織 であ る。 そ のな か にあ って特 徴 的 な試 み であ る ﹁基 礎 セ ミナ ー﹂
上 の全 責 任を負 う 組織 であ る。具 体的 には ﹁カ リキ ュラムと 授業内容 を 絶え ず点 検 .評 価 し、 リ ニ ュー ア ルし て、成 長 、
に つ いて紹 介 した い。 こ のセ ミナ ーは 少 人数 教育 の コア科 目 であ り、 理系 ・文系 の学 生 が同 じ セ ミナ ー に参 加 し 、学 問
的知 識 の探 求 プ ロセ スと そ のおも し ろさを 体 験 し、 自立 的 な学 習 能力 を育 成 す る こと を 目的 と し て いる。 授業 ア ンケ ー
ューを 是 非と も 取り 入 れ た いと考 えて いる。 全 人教 育 のため には、 体験 学 習 や課 外活 動 も極 め て重 要 な手 段 であ る。特
ト 調査 結 果 で見 る限 り 、学 生 から は高 い支持 と満 足 感 を得 て いる。 さら には、 初年 次 に全人 教育 の基 礎を 築 く教 育 メ ニ
に少 子化 や 電子 情報 化 の中 でとも す れば 孤 立的 状況 にあ る現 代 の学 生 には 、集 団 的 な体 験 の場 が必 要 であり 、 そう し た
皮 膚感 覚 で の体験 を通 し て本来 的な ﹁
人 ﹂と し て の成 長 が図 られ ると 考 えて いる から であ る。
これ ま で文 明 や文化 を 支え てき た のは、 広義 の基礎 科 学 の幅 広 い展 開 があ ったか ら であ る と認 識 し て いる。 持続 可能
(二) 専 門教 育
な 社会 の構 築 のため には、 自然 と の調 和を 考 慮 した ﹁人 の営 み﹂ を基 軸 と した 教育 .研究 が 必 要 であ る。 そ のた め に専
門教育 では 、専 門 分野 に おけ る高 度 の専 門 性と 独創 的 な 発想 で展 開 す る学 際 的分 野 で の資質 を 育 て る複 眼的 な 素養 を 酒
社会 が要 請 す る実力 を つけ る上 でよ り深 化 さ せ ること も 必要 ではあ る が 、同 時 に他 の分 野 を俯瞰 的 に捉 え 、次 な る展 開
養 す る よう な 教育 を 求 め た いと 思 って いる。 そ のた め にも 学部 間 履修 の促 進 を 図り た い。 専 門 教育 は 学 問を 発 展 さ せ、
を総 合的 に判断 し 、新 し い学 問分 野 や新 し い科 学 技 術を 創 生す る能 力 を持 った意 欲 あ ふれ る 人材 を養 成 す る ことも 必 要
であ る 。新 し い教育 組 織 であ る専 門 職大 学 院 に ついては 、 母体 とな る研究 科 が責 任 をも って支 援 す る こと は当 然 であ る
が 、学 内 で開 講 され て いる他 研 究科 の関連 カ リ キ ュラ ムをも 受 講 でき る プ ラ ット ホー ムを 設定 し、 広義 の意 味 で のリ ベ
ラ ル アー ツの充実 を 図る こ とも重 要 であ ると 考え る 。学 生 には 学 部 およ び大 学院 教 育 を通 し て未 解 決な 問 題 の解 決 や新
規分 野 の創成 に チ ャレ ンジす る経験 を積 ま せ て いき た いと思う 。
六 学生支援
財政 的 には厳 し い状 況 にあ るが 、 平成 一七 年 度 か ら毎 年 約 一億 円 程 度 を 新 た に捻 出 し 、 学 生 の福 利 厚 生 の強 化 ・充
実 経費 に充 て る予 定 であ る 。ま た、 近 々 ﹁名 古 屋 大 学基 金 (
仮 称 )﹂ を 創 設 し、 こ の基 金 のな か か ら本 学 独 自 の ﹁育
英制 度 ﹂ を 設 け る こと も計 画 し て いる。 こ のよう な 経済 的 支援 も さ る こと な が ら、 学 生 が 様 々な問 題 や悩 み に直 面 し
た とき に気 軽 に、 し か し な がら 専 門 的 で十 分 にケ ア が でき る学 生相 談 体 制 の充実 を 図 り た い。 そ の中 心 的役 割 は当 然
﹁学 生 相 談 総合 セ ン タ ー﹂ が 担う が 、学 生 ボ ラ ン テ ィア 団 体等 と の連携 など 、あ ら ゆ るチ ャ ンネ ルか ら学 生 が抱 え る
学 生支 援 は各 大 学 が 独自 に強 化 ・充実 を 図 る こと が基 本 であ る 。 しか し な が ら 、先 に述 べた ﹁
社 会 が教 育 のた め に
問 題 や悩 みを キ ャ ッチ でき る シ ス テムを 構 築 し た いと 考 え て いる 。
何 を なす べき かを 問う 時 代 に な らな け れば な ら な い﹂ こと を 単 な る 理想 と す る こ と は でき な い。 そ こ で昨 年 (
平成 一
六 年 ) 六月 、愛 知 県 下 の国 公私 立 大 学 、愛 知 県 、 名 古 屋市 及 び 愛知 県 経 営 者 協 会等 の諸 団 体 が 連携 し、 学 生 の修 学 と
生 活 に かか る支援 を 行 う ﹁あ いち 学 生 支援 コン ソー シ ア ム﹂ を 設 立 し た。 そ し て、 こ の コン ソー シ ア ムと 日 本学 生 支
最後 に、少 し世 界 に目 を向け ると経 済至 上主義 や利 己主義的 な 流れが 強く感 じら れ る。 こ のよう な流れ を感じ る限 り、 こ
援 機構 が 一体と な って 、積 極 的 に学 生 支援 に関 す る事 業 を 展開 す る 試 みを 始 め た。
れを変 革 してゆく ﹁
勇 気あ る知識 人﹂の育 成 に全 力を 尽くす こと こそが 、本学 の使命 であ ると認識 を強 め て いる昨今 であ る。
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