札幌市立平岡中央中学校の取組【読書：図書館活用授業】

平成 27 年度 札幌らしい特色ある学校教育推進事業
実践報告書
札幌市立平岡中央中 学校の取組 【読書 ：図 書館 活用授 業 】
１．研究のねらい
札幌らしい特色ある学校教育推進事業における【読書】の研究実践校として６年目を迎
える本校は、
「 教 育 課 程 の 展 開 に 寄 与 す る（『 学 校 図 書 館 法 』）」学 校 図 書 館 を 目 指 す 中 で 、毎
年 重 点 を 決 め て 実 践 を 進 め て き た 。今 年 度 は 国 語 科 と 連 携 し 、昨 年 か ら 試 行 し て い る「 読 書
生 活 デ ザ イ ン ノ ー ト 」（ 全 国 学 校 図 書 館 協 議 会
発行）の活用の在り方を探るとともにその
効 果 の 検 証 を 目 指 し た 。学 校 図 書 館 を 活 用 し た 授 業 と し て は 古 典 分 野 に お け る 比 較 読 み な ど
を 実 施 し た 。そ の 他 、国 語 科 以 外 で も 、学 校 図 書 館 機 能 や 学 校 図 書 館 メ デ ィ ア の 活 用 を あ ら
ゆ る 場 面 で 働 き 掛 け 生 徒 の 言 語 活 動 の 充 実 を 図 る と と も に 、思 考 力・表 現 力 の 育 成 を 目 指 し
た。
２．取組内容
(1) 古 典 分 野 に お け る 比 較 読 み
中学１年「蓬莱の玉の枝」―『竹取物語』から
中 学 １ 年「 蓬 莱 の 玉 の 枝 」―『 竹 取 物 語 』か ら（『 国
語１
光 村 図 書 出 版 』） に 関 連 し て 、 寄 託 図 書 も 利
用 し て「 か ぐ や ひ め 」と い う 題 名 の 、原 典 と す る 本
が 違 う ２ 冊 の 絵 本 、星 新 一 訳 の 文 庫 本 、漫 画 の 計 ４
冊 を 読 ん だ 。２ 冊 の 絵 本 は 観 点 を 決 め て 違 い を 表 に
まとめた。その後、この内容や読書についての「は
が き 新 聞 」 を 書 く 言 語 活 動 に 取 り 組 ん だ 。「 は が き
新 聞 」で は 、目 的 に 応 じ て 必 要 な 情 報 を 集 め る こ と
や教科書の読書活動で学んだキャッチコピーを参
考に、見出しを適切につけることをねらった。
(2) 「 読 書 生 活 デ ザ イ ン ノ ー ト 」 の 活 用
➀中学２年
「読書スピーチ」
今 年 度 か ら「 読 書 生 活 デ ザ イ ン ノ ー ト 」に 取 り 組
み始めた２年生では、読書をテーマにしたスピー
【学校図書館での絵本比較】
チで活用した。
「 読 書 ス ピ ー チ 」は 、図 書 館 学 習 と し て 行 っ た 読
書交流会を基に次のような流れで指導した。
・もう一度、本を読む。
・「 読 書 生 活 デ ザ イ ン ノ ー ト 」 に メ モ を 取 る 。
・メモを基に、スピーチの構成を考える。
・発表メモを書く。
・近くの人からメモへのアドバイスをもらう。
・スピーチの練習をする。
・メモを見ないで発表する。
【読書の魅力を伝えよう】
「園・学校における図書館活用授業研究実践校」札幌市立平岡中央中学校
図書館学習の読書交流会は次のようなものだ。解題を基に生徒が読みたい本を選ぶ。
選んだ本を指示されたポイントに従って各自が読み取りを深める。同じ本を選んだ生徒
が 集 ま り 、読 み 取 っ た ポ イ ン ト に つ い て デ ィ ス カ ッ シ ョ
ンをしてワークシートにまとめる。
②中学３年「読書生活をデザインしよう」
昨年度から活用している「読書生活デザインノート」
を 今 年 度 も 継 続 し て 使 用 し た 。昨 年 は 学 校 保 管 と し 、国
語 や 総 合 的 な 学 習 の 時 間 、朝 の 一 斉 読 書 で 読 ん だ 本 に つ
い て 記 入 し た 。記 入 に 慣 れ て き た の で 、今 年 は 家 庭 に 持
ち 返 り 記 入 を 続 け 、読 書 傾 向 の 振 り 返 り に 生 か し た 。２
学期終了時にアンケートでおおよその傾向を捉えた。
【書き続けたノート】
３．成果と課題
(1) 成 果
①古典分野における比較読み
２ 冊 の 絵 本 を 比 較 し 観 点 を 決 め て 表 に ま と め た 。そ
の 過 程 で 、基 に し た 本 の 違 い が 絵 本 の 内 容 の 違 い に つ
な が っ た こ と を 、後 書 き か ら 読 み 取 っ た 。後 書 き の 役
割 に 気 付 く と と も に 、絵 本 の 価 値 を 見 い だ し た 生 徒 も
多 か っ た 。 そ の 後 、「 は が き 新 聞 」 を 完 成 さ せ た 。
②「読書生活デザインノート」
【読書をテーマにしたはがき新聞】
２ 年 生 で は「 読 書 生 活 デ ザ イ ン ノ ー ト 」を 活 用 し た 授 業 を 実 施 し た 。実 際 の 活 用 場 面 を
設けることでノートへの記載が進み、スピーチの内容も深まった。
昨 年 か ら こ の ノ ー ト を 利 用 し て き た ３ 年 生 の ア ン ケ ー ト で は 、ほ ぼ 半 数 の 生 徒 が こ の ノ
ー ト の 利 用 を「 良 か っ た 」と し て お り 、何 が 良 か っ た の か を 尋 ね た（ 複 数 回 答 可 ）と こ ろ 、
「 感 想 を も て る 」が 一 番 多 く 、次 に「 考 え る 力 が 付 く 」、そ の 後「 書 く 力 が 付 く 」
「読書傾
向 を 振 り 返 る こ と が で き る 」が 同 数 で 並 ん だ 。思 考 力・表 現 力 の 育 成 に も 何 ら か の 影 響 を
与 え て い る よ う だ 。 ノ ー ト に 、「 本 が 好 き に な っ た 。」 と 記 載 し て い た 生 徒 が 10％ 程 度 い
る こ と に も 注 目 し た い 。指 導 し た 教 師 、生 徒 か ら 挙 げ ら れ た 改 善 点 は 共 通 し て い た 。そ れ
は 、「 学 校 で 保 管 し て 記 入 で き る よ う に す る こ と 」 で あ る 。 ア ン ケ ー ト で は 、 80％ の 生 徒
が 「 学 校 で 読 ん だ 本 と 自 分 の 読 ん だ 本 の 内 容 は 違 う 。」 と 答 え て い た 。 教 科 ・ 総 合 的 な 学
習 の 時 間・学 活・朝 の 一 斉 読 書 で の 読 書 指 導 の 結 果 、生 徒 の 読 む 本 の 範 囲 を 広 げ た こ と が
伺えた。
(2) 課 題
学習指導要領に基づき「読書」を「本、雑誌、新聞、調べるために何かを読むこと」
と 捉 え 、「 読 書 パ フ ォ ー マ ン ス 」 を 始 め 、 新 聞 を 含 め た 様 々 な 「 読 書 」 の 取 組 を ６ 年 間 に
わたって実施してきた。その集大成として、活用してきた本を中心に、今年度「平岡中
央 中 学 校 推 薦 図 書 30 選 」 を 制 定 で き た 。 今 後 の 課 題 は 、「 読 書 」 の 取 組 を 継 続 し な が ら 、
「 学 習 セ ン タ ー 」「 情 報 セ ン タ ー 」 と し て の 学 校 図 書 館 活 用 を 推 進 す る こ と で あ る 。