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受託会社を利用する事業体に 関する監査上の考慮事項

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受託会社を利用する事業体に 関する監査上の考慮事項
IFAC
International
Auditing
国際監査基準 402
(本基準は有効であるが、将来発効する改訂にあわせた修正を含む)
and Assurance
Standards Board
受託会社を利用する事業体に
関する監査上の考慮事項
Issued by the
International
Federation of
Accountants
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co p yright of the International Fed eration of Acco untants (IFAC), 545 Fifth
Av enue, 14 t h Floo r, New Yo rk , New York, 10017, USA;
tel: 1-212/286 -9 344, fax: 1 -212 /286 .9570 , Intern et http ://www.ifac.o rg
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permission of IFAC.
The IFAC pronouncements in this volu me have been translated into Jap anese
by/under the supervision of The Japan ese Institu te o f Certified Pub lic
Accountants and are rep roduced with the per mission o f IFAC. The app roved
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翻 訳 に 関 す る 国 際 会 計 士 連 盟 ( IFAC) のコピーライト 及び 承 認 について:
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す べ て の基 準 、ガ イ ド ラ イ ン 、デ ィ ス カ ッ シ ョ ン ・ ペ ー パ ー 及 び そ の 他
の I FA C の 文 書 に 、 I FAC は コ ピ ー ラ イ ト を 持 つ 。
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545 Fifth Avenue, 14 t h Flo o r, New Yo rk, New Yo rk 1 0017, USA;
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かなる部分も、電子的、機械的、写真複写、録音、その他のいかなる形態又はいかなる
方法によっても複製し、検索システムで保存し、又は転送することは認められない。
I FAC の 本 公 表 物 は 、 日 本 公 認 会 計 士 協 会 国 際 委 員 会 に よ り 日 本 語 に 翻
訳 さ れ た も の で あ り 、 I FAC の 許 可 の 下 に 複 製 さ れ る 。 承 認 さ れ た す べ て
の I FA C の 文 書 の 正 文 は 、 I FA C に よ り 英 文 で 公 表 さ れ る も の で あ る 。
<注>
本 翻 訳 は 、 Audit Risk Conforming Amendments と し て 2004 年 2 月 に IFAC
か ら 公 表 さ れ て い る I SA402(Conformed) で あ る 。 公 表 さ れ て い る 原 文 に お い
て は 、修 正 箇 所 が修 正 記 録 と し て 本 文 中 に記 載 さ れ て い る が 、翻 訳 の 都 合 上 、
す べ て修 正 箇 所 反 映 後 の原 文 をもと に翻 訳 を作 成 して い る 。
国際監査基準 402
受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項
(本基準は有効であるが、将来*発効する改訂にあわせた修正を含む)
目次
パラグラフ
序
説 ......................................................................................................... 1-3
被監査会社の監査人の考慮事項 .............................................................. 4-10
受託会社の監査人の報告書 .................................................................... 11-18
ISA402“受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項”は、ISA の権限や適
用を定めた、「品質管理、監査、保証業務及び関連サービスの国際基準に関する趣意
書」とあわせて読まれるべきである。
*
ISA315“事業体とその環境の理解及び重要な虚偽表示リスクの評価”、ISA330“評価されたリスクに
対応する監査人の手続”、ISA500(改訂)“監査証拠”からなる監査リスク基準の設定により、ISA402
は対応する部分の修正が生じた。これらの修正は 2004 年 12 月 15 日以降に開始する期間の財務諸表に
係る監査に対し発効する。
受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項(Conformed)
序
説
1.
本国際監査基準(ISA)の目的は、事業体が受託会社を利用している場合に、その
監査人に対して基準を確立し、指針を提供することにある。ISA は、その事業体の
監査人により入手されるであろう受託会社の監査人の報告書についても言及して
いる。
2.
監査人は、重要な虚偽表示リスクを認識・評価し、追加の監査手続を設計・実施
するために、事業体の受託会社の利用が、事業体の内部統制に対してどのような
影響を与えているかを検討しなければならない。
3.
被監査会社は、取引を実行し関連する説明責任を維持したり、取引を記録し関連す
るデータを処理したり(例:コンピュータ・システム・受託会社)する受託会社を
利用する場合がある。受託会社によって維持される方針、手続及び記録は被監査会
社の財務諸表監査に関連する可能性がある。
監査人の考慮事項
4.
受託会社が、事業体の内部統制に影響を与える方針と手続を確立し実行している場
合がある。これらの方針や手続は物理的にも経営上も、事業体から分離されている。
受託会社により提供されるサービスが、事業体の取引を記録し処理することに限定
され、事業体が説明責任の権限と維持を保持している場合には、事業体はその有効
な方針と手続をその組織内に確立することができるであろう。受託会社が事業体の
取引を実行し、説明責任を維持する場合は、事業体は受託会社での方針と手続に依
拠することが必要と考えるであろう。
5.
事業体とその環境の理解を得る為に監査人は、事業体にとっての受託会社の活動
の重要性と監査への関連性を決定しなければならない。そのためには、監査人は、
以下の事項について理解を得ることが適切であろう。
z
受託会社が提供するサービスの種類
z
事業体と受託会社との契約の条項及び両者の関係
z
事業体の内部統制が、受託会社の組織と相互作用する範囲
z
以下のような受託会社の活動に関連する事業体の内部統制
○
○
6.
受託会社によって処理された取引に適用されたもの
受託会社の利用に関連するリスクを事業体が認識し、管理する方法
z
受託会社の業務の停止が及ぼす事業体に対する影響を含む、受託会社の能力
及び財務体質
z
利用者マニュアルと技術マニュアルに反映されているような受託会社に関す
る情報
z
コンピュータ情報システムにおける全般的統制のような受託会社の情報シス
テム及び業務処理統制に関連する統制に対して入手可能な情報
被監査会社の監査人はまた、受託会社の内部統制並びにその運用と有効性に関する
情報を得る手段として、受託会社の監査人、内部監査人若しくは監督官庁からの第
三者による報告書の存在についても検討する。監査人が内部監査人を利用する意向
である場合、ISA610”内部監査業務の検討”が、監査人の目的のために内部監査人の
作業の十分性の評価の指針が用意されている。
1
受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項(Conformed)
6a.
得られた理解により、監査人が重要な虚偽表示リスクにおける統制リスクの評価が
受託会社での統制によって影響されるものではないという結論に達する可能性が
ある。その場合、本 ISA に関する追加の検討は不要である。
7.
監査人が、受託会社の活動が当該事業体にとって重要であり、かつ監査に関連す
ると結論を下した場合、監査人は、重要な虚偽表示リスクを認識・評価し、そのリ
スク評価に対する追加の監査手続を設計するために、内部統制を含めて事業体と
その環境についての十分な理解を得なければならない。監査人は、財務諸表レベ
ル及び取引の種類、勘定残高及びその開示について主張(Assertion)レベルにおける
重要な虚偽表示リスクを評価する。
8.
得られた理解が不十分である場合には、被監査会社の監査人は、受託会社に対して、
必要な情報を提供するためのリスク評価手続をその監査人に実施してもらうこと
を要請する必要性や、あるいはその情報を入手するために受託会社を往査する必要
性を検討する。受託会社に往査することを望む監査人は、事業体に対し、受託会社
に、監査人が必要な情報にアクセスできるように要請することを勧告するであろう。
9.
被監査会社の監査人は受託会社の第三者による監査人の報告書を読むことにより、
受託会社に影響される内部統制について十分な理解を得ることができるであろう。
それに加え、受託会社の内部統制により影響を受ける主張(Assertion)に関する重要
な虚偽表示リスクを評価する場合にも、監査人は、受託会社の監査人の報告書を利
用するであろう。監査人が受託会社の監査人の報告書を利用する場合には、監査
人は、受託会社の監査人が担当する特定の職務との関連でその監査人の職業的専
門家としての能力に関して質問を行うことを検討しなければならない。
10.
監査人のリスク評価が受託会社の統制の運用有効性の予想を含む場合若しくは実
証手続だけでは主張(Assertion)レベルにおける十分かつ適切な監査証拠を提供しな
い場合、監査人は運用有効性に関する監査証拠を得る。監査人はまた、統制評価手
続から監査証拠を入手することが効率的であろうとの結論を下すことがある。統制
の運用有効性に関する監査証拠は以下の手続によって入手できる。
z
z
z
受託会社の活動を通じて事業体の統制評価手続を実行すること
監査に関連する受託会社の活動に対する、受託会社の内部統制の運用有効性
に関して意見が表明されている受託会社の監査人の報告書を入手すること。
受託会社を往査し、統制評価手続を行うこと。
受託会社の監査人の報告書
11.
受託会社の監査人報告書を利用する場合、監査人はその報告書の性格と内容を検
討しなければならない。
12.
受託会社の監査人の報告書は、通常、以下の2種類のうちの一つである。
Aタイプ−内部統制のデザイン及び適用状況に関する報告書
(a)
受託会社の内部統制についての記述、通常、受託会社の経営者により作成さ
れる
2
受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項(Conformed)
(b)
受託会社の監査人による以下の意見
(i)
上記の記述は正確であること
(ii)
内部統制が定められた目的を達成する為に適切にデザインされているこ
と
(ⅲ) 内部統制が実施されていること
Bタイプ−内部統制のデザイン及び適用状況と運用有効性に関する報告書
(a)
受託会社の内部統制についての記述、通常、受託会社の経営者により作成さ
れる
(b)
受託会社の監査人による以下の意見
(i)
上記の記述は正確であること
(ii)
内部統制が定められた目的を達成する為に適切にデザインされているこ
と
(ⅲ) 内部統制が実施されており、そして
(iv)
統制評価手続の結果に基づき、内部統制が有効に運用されていること。
運用有効性に関する意見に加えて、受託会社の監査人は、実施された統
制評価手続とその結果を明確にする。
受託会社の監査人の報告書には、通常、その利用に関する制限が含まれている。
(一
般的には経営者、受託会社及びその顧客並びに事業体の監査人)
13.
被監査会社の監査人は、受託会社の監査人により実施された業務の範囲を検討し、
受託会社の監査人により発行された報告書の有用性と適切性を評価しなればなら
ない。
14.
Aタイプの報告書は、監査人が内部統制について必要な知識を得るには役立つが、
監査人はこの報告書を統制の運用有効性に関する監査証拠として利用しない。
15.
これに対してBタイプの報告書は、統制評価手続が実施されているので、監査証拠
を提供する。Bタイプの報告書が、統制の運用有効性に関する監査証拠として利用
される場合には、監査人は、受託会社の監査人によりテストされた統制が、事業体
の取引、勘定残高、開示及び関係のある主張(Assertion)に関連しているか、並びに
受託会社の監査人の統制評価手続とその結果が十分であるかの検討を行う。後者に
関しては、受託会社の監査人のテストが対象とする期間の長さと、かかるテストの
実施時期からの時の経過が二つの主要な考慮事項である。
16.
関連性を有するかかる特定の統制評価手続とその結果に関し、監査人は、テスト
の性質、時期及び範囲が内部統制の運用有効性に関し、監査人の評価した重要な
虚偽表示リスクを裏付ける十分かつ適切な監査証拠を提供するかを検討しなけれ
ばならない。
3
受託会社を利用する事業体に関する監査上の考慮事項(Conformed)
17.
受託会社の監査人が、事業体の監査人にとって有用な実証手続を行う契約を締結す
る場合がある。当該契約には、事業体とその監査人、及び受託会社とその監査人に
よって合意された手続の実施が含まれるであろう。
18.
監査人が受託会社の監査人からの報告書を利用する場合、事業体の監査報告書に
おいて、受託会社の監査人の報告書に言及してはならない。
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