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膵がんについて - 栃木県立がんセンター

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膵がんについて - 栃木県立がんセンター
膵がんについて
栃木県立がんセンター外科
菱沼正一
2011.11.05 市民公開講座
膵がんは増えている!
国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスHPより引用
国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスHPより引用
膵臓はどこにあるの?
膵臓の構造
食物
胆汁
膵液
膵臓の働きは?
食物の消化
血糖の調節
胃酸の中和
膵がんの危険因子
50歳以上で20倍
黒人は白人の1.5倍
男性は女性の1.3倍
喫煙者は非喫煙者の2倍
膵がんの危険因子
胆石症
アルコール
慢性膵炎
膵石症
膵の嚢胞性
病変
膵がん
膵がんの症状
腹痛
(みぞおち)
腰背部痛
黄疸
食欲不振
体重減少
膵がんの大きさと初発症状
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
糖尿病は膵がんの危険因子?
• 糖尿病の膵がん発症の危険度は2.1倍
• 多くは膵がん診断の2年以内に糖尿病
が診断されている
このような糖尿病は要注意!
膵がんが隠れている可能性がある

血縁者に糖尿病がいない

50歳以上で初めて糖尿病といわれた

食欲不振のある糖尿病

血糖コントロールが急に悪くなった

血糖コントロールが良いのに体重が減少する
がんには3つの特徴があります

自律性増殖

浸潤と転移

悪液質(あくえきしつ)
良性腫瘍の発育形態
膨張性発育
がんの発育形態
浸潤性発育
がんの転移
血行性転移
静脈
がん
肝臓・肺・骨転移
全身へ
リンパ管
リンパ行性転移
腹膜播種
リンパ節転移
膵がんの特徴→神経浸潤
神経
動脈
神経叢
がん
門脈
十
二
指
腸
腹腔動脈
膵臓
上腸間膜動脈
上腸間膜静脈
脾
臓
門脈
上腸間膜動脈
腹膜
前
腹部大動脈
神経・リンパ管・脂肪
腹腔動脈
後
門脈
腹腔動脈
脾静脈
上腸間膜動脈
上腸間膜静脈
胆管
膵がんの進行度(Stage)

大きさだけで決まるものではない

T 因子 (周囲にどの程度広がっているか)

N 因子(リンパ節転移はどの程度あるか)

M 因子(遠隔転移はあるのか無いのか)
T1:腫瘍径が2cm以下で膵内に限局
2cm
T2:腫瘍径が2cmを超え膵内に限局
2cm
T2:腫瘍径が2cmを超え膵内に限局
2cm
T3:がんの浸潤が膵内胆管、十二指腸、
膵周囲組織のいずれかに及ぶもの
(大きさは関係ない)
T3:がんの浸潤が膵内胆管、十二指腸、
膵周囲組織のいずれかに及ぶもの
(大きさは関係ない)
前
後
T4:がんの浸潤が隣接する大血管、膵
外神経叢、他の臓器に及ぶもの
(大きさは関係ない)
門脈
腹腔動脈
上腸間膜静脈
上腸間膜動脈
T4:がんの浸潤が隣接する大血管、膵
外神経叢、他の臓器に及ぶもの
(大きさは関係ない)
門脈
腹腔動脈
上腸間膜動脈
上腸間膜静脈
神経叢
膵臓周囲のリンパ節
リンパ節
N因子(リンパ節転移の程度)

N0: リンパ節転移なし

N1: 1群(がんに近い)リンパ節のみに転移

N2: 2群(少し離れた)リンパ節まで転移

N3: 3群(遠く離れた)リンパ節まで転移
M因子 (遠隔転移の有無)
肝

M0: 遠隔転移なし

M1: 遠隔転移あり
腹膜
肺・骨
3群リンパ節
膵がんの進行度(Stage)
診断時の膵がん進行度の移り変わり
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
膵がん切除率の移り変わり
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
膵がん治療成績は向上している?
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
膵がんが切除された場合の生存率
〈診断時の進行度と治療成績〉
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
膵がんが切除されなかった場合の生存率
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
膵がんの治療法
 手術(外科的切除)
局所治療
 化学療法(抗がん剤治療)
 放射線治療
局所治療
膵がん対する治療選択の原則
Stage Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
切除可能
外科切除
補助療法
Stage Ⅳa
Stage Ⅳb
切除不能
緩和ケア
放射線化学療法 化学療法
(抗がん剤+
(抗がん剤)
放射線治療)
膵がんに対する手術
臓器を含めたがん病巣の切除+リンパ節郭清
結合組織
脂肪組織
がん
リンパ管
神経組織
膵体・尾部がんの手術
膵体尾部切除術
膵頭部がんの手術
膵頭十二指腸切除術
膵頭部がんの手術
幽門輪
膵頭十二指腸切除術
幽門輪
胃を全部温存
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術
胃を約1/3切除
門脈に浸潤する膵頭部癌
門脈合併切除
門脈
門脈
上腸間膜静脈
上腸間膜静脈
膵頭部がんの切除範囲
膵頭十二指腸切除術
結合組織
脂肪組織
リンパ管
神経組織
膵頭十二指腸切除後の状態
胃
胆管
膵
小腸
十二指腸
消化管再建
食物
胆汁
膵液
Child
法
Child法
今永法
術中迅速病理検査の重要性
膵頭十二指腸切除術→膵全摘術
病理検査による最終的な進行度の診断
Stage Ⅲ
Stage Ⅳb
T3N1
T4N2
リンパ節転移
手術所見
病理所見
がんは取り切れたか?
治癒切除(
R0)
治癒切除(R0)
非治癒切除(
R1)
非治癒切除(R1)
化学療法の効果とは
生存期間を延長する効果
症状を緩和する効果
痛みの改善効果
全身状態の改善
化学療法(抗がん剤治療)
1. 膵臓以外の臓器、例えば肝臓、肺、腹
膜などに転移がある場合(StageⅣb)
2. 局所進行膵がん(StageⅣa)
3. 膵がん手術後に再発した場合
R
• ゲムシタビン(ジェムザール )
R
• S-1(ティーエスワン )
ゲムシタビンの投与法
1コース
1コース
day 1
2コース
2コース
3コース
3コース
8 15 22 29 36 43 50 57 64 71 78
休
休
休
• 1回量1000mg/m2をday1、day8,day15に30分間
の点滴静注で投与
• 28日を1コースとして、明らかな症状の悪化や継続
不能な副作用を認めない限り繰り返す
ゲムシタビンの治療成績
欧米の臨床試験
日本
奏功率
10%
10.6%
生存期間中央値
6∼7カ月
6.8カ月
1年生存率
20%
21.6%
日本でのゲムシタビンの使用は2001年から
日本膵臓病学会
日本膵臓病学会 膵がん登録報告2007より引用
膵がん登録報告2007より引用
S-1(ティーエスワン R)の投与法
2コース
2コース
1コース
1コース
day 1
1
8
15 22 29 36 43 50 57 64 71 78 85
28
48
70
• 28日間連日経口投与し、その後14日間休薬
• 42日を1コースとして、明らかな症状の悪化や継続
不能な副作用を認めない限り繰り返す
S-1の治療成績
日本での治験成績
奏功率
21.1∼37.5%
無増悪生存期間
2.6∼3.7
生存期間中央値
5.6∼9.2
ゲムシタビンとS-1の併用療法
(GS療法)
2コース
2コース
1コース
1コース
day 1
8
15
22
29
36
43
ゲムシタビン
ゲムシタビン
S
-1
S-1
1
14
22
35
• ゲムシタビンは1回量1000mg/m2をday1とday8に30分間
の点滴静注で投与
• S-1を14日間連日経口投与し、その後7日間休薬
• 21日を1コースとして、明らかな症状の悪化や継続不能な
副作用を認めない限り繰り返す
GS療法の治療成績
単施設の臨床試験
(日本)
多施設の臨床試験
(日本)
奏功率
48%
44.4%
無増悪期間
5.4カ月
5.9カ月
生存期間中央値
12.5カ月
10.1カ月
臨床試験(ランダム化比較試験)
登 録
無作為割り付け
従来の治療法
新しい治療法
治療成績の比較
がん細胞と正常細胞の違いをゲノム
レベル・分子レベルで解明
↓
がんの増殖や転移に必要な分子を特
異的に抑える薬剤を開発
分子標的治療薬
ゲムシタビンと分子標的治療薬の併用
GEM+マリマスタット
GEM+ティピファニブ
ゲムシタビン(GEM)
タルセバ
GEM+エルロチニブ
GEM+ベバシズマブ
GEM+セツキシマブ
ゲムシタビンとエルロチニブの併用療法
1コース
1コース
day 1
8
2コース
2コース
15 22 29 36 43 50 57
ゲムシタビン
エルロチニブ
• ゲムシタビンは1回量1000mg/m2をday1、day8、day15に30分
間の点滴静注で投与
• エルロチニブは100mgを1日1回連日投与
• 28日を1コースとして、明らかな症状の悪化や継続不能な副作用
を認めない限り繰り返す
エルロチニブの上乗せ効果
Moore
2005
治療法
患者数
生存期間
中央値(月)
GEM+エルロチニブ
285
6.24
GEM
284
5.91
P値
0.04
放射線治療の適応

主要な血管など周囲の組織への浸潤が高度なた
め、手術で完全に病巣を取り除くことができな
い

他臓器への転移を認めない
→StageⅣaの中でも進行した膵がん(局所進行膵がん)

全身状態が比較的良好に保たれている

活動性の胃・十二指腸潰瘍がない
放射線治療の適応となる膵がん
肝
肺・骨
リンパ節
腹膜
• ゲムシタビン
• S-1
• 5-FU
化学療法との併用
(放射線化学療法)
各種放射線の生体内における線量分布
X線
相対線量 (%)
中性子線
γ線
重粒子線
陽子線
炭素線
がん病巣
体の表面からの深さ (cm)
(放射線医学総合研究所資料HIMAC 2003.8)
術後の補助療法
抗がん剤
放射線照射
見える
がんの塊
切除範囲
見えないがん
細胞の遺残
再発の原因
膵がん術後補助化学療法の臨床試験
抗がん剤を投与しないで経過観察する群
膵がん切除症例
抗がん剤(ゲムシタビン)を投与する群
手術後にゲムシタビン
を投与する方法が標準
治療となった!
2年
5年
現在進行中の臨床試験
S-1を投与する群
膵がん切除症例
ゲムシタビンを投与する群
ゲムシタビン+S-1を投与する群
膵がん切除症例
ゲムシタビンを投与する群
チームによる治療前カンファレンス
担当医
病理診断医
外科医
患者さん
放射線
治療医
画像診断医
腫瘍内科医
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