Comments
Description
Transcript
画像検査における注意点
画像検査における注意点 ●臨床情報を充分吟味して、検査目的を明確にしておく ●画像所見のみで判断しない ●安易な検査依頼は控える ●CT、MRI検査における画像所見の意味するものを理解 CT検査における注意点 ●問診票/検査承諾書について ●検査指示について ●放射線被曝について ●造影の必要性について 私案ですが、参考にしてください ①現在活動性で、薬剤などでコントロールできていない 状態 → 原則禁忌 ②薬剤などでコントロールされている状態 → 慎重投与~原則禁忌 ③小児喘息や過去の喘息で、現在無治療でも発作のな い状態 → 慎重投与 ビグアナイド系糖尿病薬との併用についてはやや混乱して いるのが現状 詳細は糖尿病専門医にご相談ください 参照(ESURガイドライン) e-GFR60ml/min以上→ 投薬は持続可 e-GFR30-60ml/min → 前後5日間投薬中止 e-GFR30ml/min以下→ メトホルミン禁忌 ポピドンヨードによるヨードアレルギー(接触皮膚炎)は禁忌 ではなく、他のアレルギーを有する患者と同様に慎重投与 CTとMRIでは使用する造影剤が異なるため、どちらかで アレルギーの既往があっても他方は禁忌ではない 私案ですが、参考にしてください ① e-GFR30ml/min以下もしくは血清クレアチニン 2.0mg/dl以上→ 禁忌 ② e-GFR30-60ml/minもしくは血清クレアチニン 1.2-2.0mg/dl→ 慎重投与~原則禁忌 ※透析中であれば透析担当医にご相談ください 記入をお願いします 胸部・腹部・骨盤 ●胸部ー骨盤部造影(D上腹部~骨盤部)の指示 ●胸部ー骨盤部造影2相+単純の指示 ① ② ③ ① → 単純 ② → 造影早期 ③ → 造影後期 ① ② ① → 造影早期 ② → 造影後期 上腹部 ●上腹部造影2相+単純(胸部~上腹部)の指示 ① ② ③ ① → 単純 ② → 造影早期 ③ → 造影後期 ●上腹部造影2相(D胸部~上腹部)の指示 ① ② ① → 造影早期 ② → 造影後期 CT検査と放射線被曝について ① ●福島原発事故以来、市民団体の活動が活発化 してきており、 医療被曝に対する関心も高まってきている。 ●医師として日頃から被曝に対するしっかりした考えを持っておく ことが重要。 ●吸収線量(Gy)や実効線量(Sv)などの基礎知識も必要。 ●妊娠の可能性のある女性や子供では特に注意が必要。 ② 当院での平均的な被曝線量(実効線量) ①頭部CT 小児 1mSv程度 成人 4mSv程度 ②躯幹部CT 小児 2-8mSv程度 成人 10-30mSv程度 ※ 機種や個人差で大きく異なることに注意 CT検査と放射線被曝について CT検査と放射線被曝について 造影の必要性について ●CTではコントラストが低いため、造影することが多い ●特に実質臓器内の局在病変や大動脈病変などでは 造影検査が必要 ●ダイナミック撮像による質的診断の可能性 ●肺内病変(転移や肺炎など)は造影の必要はない ●結石の検索では単純も必要 小児、高齢者のCT ●腸管ガスが多く、脂肪が少ない 臓器の分離同定が難しく、詳細不明となる ことが多い ●概略がわかる程度の画像 ●造影の効果は限定的 64才 6才 87才 絞扼性イレウスのCT ●一般的には造影CTの適応 ●状態が悪く、造影剤を使用できない症例もある ●絞扼性イレウスの発症から壊死に至る経過 closed loop→捻転→静脈還流障害→動脈血流障害→壊死 ●絞扼を疑わせるCT所見 腸管壁肥厚、壁内出血、腸間膜静脈の怒張、腸間膜脂肪濃度の混濁、血管の渦巻き像 血管の放射状分布、造影されない腸管壁、腸管壁内ガス、門脈内ガス、遊離ガス、腹水貯留 ●患者の状態は刻々と変化する→状況の変化に応じて再検も考慮(単純可) ●画像よりも臨床を優先して 急性虫垂炎のCT ●小児では被曝の問題がある(単純と造影?造影2相?) ●あまり虫垂結石や糞石にこだわらないように ●単純でもある程度の診断は可能→盲腸周囲の脂肪量が重要 ●膿瘍などの合併症→超音波検査よりも造影CT MRI検査における注意点 ●問診票/検査承諾書について(体内金属) ●検査指示/制限について ●造影の必要性について 造影MRIでなければ記入の必要は ありません Gd造影剤を使用する時NSF発症を 予防する目的で腎機能に注意 e-GFR→60ml/minでは問題なし e-GFR→30-60ml/minでは慎重投与 e-GFR→30ml/min以下では原則禁忌 ※プリモビストはGd製剤に準じて考慮する ※リゾビストは腎機能と無関係に投与可能 妊娠中は胎児の影響を考慮して 原則禁忌としています 必ず記入してもらってください どちらかにチェックしてください 記入をお願いします MRIと体内金属について 安全なもの ●止血クリップ、腸管の吻合や縫合に使用するステープラなど ●通常の歯科治療に使用するもの(アマルガムやクラウン)、矯正歯科用ワイヤー ただし磁石部分が脱着不能な義歯は禁忌なので注意 ●整形外科領域で使用するほぼすべてのインプラントや材料 ●胸骨ワイヤー ●人工心臓弁 ●血管内コイル、ステント(冠動脈、大動脈など)、フィルタ(IVC)など 非磁性体は全く安全、 磁性体であっても術後6週間以上経過していれば安全 ●鍼灸院での埋没鍼(金鍼) ●子宮内避妊器具(IUD) ※検査自体は安全に行えるが、局所アーチファクトのため、撮像部位に注意が必要なものがある(下線など) 危険なもの ●体内の電子機器 ペースメーカー、埋め込み型除細動器など ●脳動脈瘤クリップ 確実に安全と判明しているもの以外は禁忌 ●人工内耳 ●磁力で装着する義眼、強磁性体を使用している眼瞼 スプリングやワイヤなど ●磁石部分が脱着不能な義歯 ●目などの決定臓器に近接する鉄片 失明例がある(職業上あるいは事故などで可能性が 高いときはX線やCTで確認) 注意を要するもの ●入れ墨、アートメーク、メークアップ 頻度は低いが熱傷の可能性があるので事前に説 明しておくことが望ましい また簡単に除去できるものは事前に除去しておい てもらう ●ニトロダーム 皮膚に熱傷の報告有り ●陰茎インプラント 不快感を伴うものがある(禁忌ではない) MRIと体内金属について ● 体内金属の参考資料 オーダ運用ガイド 各種オーダの説明・注意点 (矯正歯科用ワイヤー) 放射線画像オーダ関係 MRIと体内金属について ※ 最新情報はwebサイトを参照 (http://www.MRIsafety.com/) (Zenith大動脈ステント) MRIの撮像制限について ・頚椎検査の際についでに腰椎も撮像してください ・右膝のついでに左膝も検査してください 簡単ではありません ・静止磁場の均一性による制限 ・コイルによる制限 ・スループットの悪さによる制限 MRI 上肢・下肢(軟部) 体表軟部腫瘤 造影の必要性について ●MRIはCTと違って、基本的に組織コントラストが高く、単純で十分な ことが多い ●病変の血流情報は既にCTで得られていることが多い ●肝臓病変では臓器特異性のあるEOB造影検査が有用 ●消化管腫瘍の周囲臓器浸潤の判断は単純あるいは造影のいずれか ●軟部腫瘍での造影検査は有用性が確立されていない ●骨転移の検索は単純で十分、造影しても鑑別は困難 骨・脊椎転移のMRI ●造影の必要はない(むしろ単純が良い)→脂肪髄が良好なコントラスト ●造影は軟部への進展を判断するとき ●欠点は広範囲の撮像が困難→骨シンチ等である程度撮像範囲を絞ってから