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第 25 回 日本食品微生物学会学術総会 鳥インフルエンザ
第 25 回 日本食品微生物学会学術総会 鳥インフルエンザウイルスのマヨネーズ中での不活化 指原 信廣1)、大河内 美穂1)、長谷川 峯夫1)、伊藤 壽啓2) 1)キユーピー株式会社研究所、2)鳥取大学農学部 [目的] 鳥インフルエンザは東南アジア、北アメリカ、ヨーロッパで散発的に発生している。一方 日本では、本年 1 月に 79 年ぶりに発生した。 鳥インフルエンザウイルスは鶏卵への垂直感染があると報告されている 1)。鶏卵を利用 した製品であるマヨネーズでは、ウイルスが混入した場合製品中でどのような挙動をする のかを知ることは、食の安全・安心の観点からも有意義であると考える。 そこで本研究では汚染鶏卵を介してマヨネーズに本ウイルスが混入した場合を想定し、そ の後のウイルスの不活化の程度を経時的に検討した。 [材料および実験方法] 市販の卵黄タイプマヨネーズを生理食塩水で 2 倍に希釈し、3 種類の亜型(H5,H7,H9) のウイルス株(106 EID50 /0.1ml)を等量接種した。25℃で所定の時間転倒混和した後、そ れらの 10 倍階段希釈液を、10 日齢発育鶏卵の漿尿膜腔に 0.1 mlずつ接種した。37℃で 2 日間培養後、赤血球凝集試験により増殖の有無を確認し、Reed and Muench2)の方法を用 いて 50%発育鶏卵感染量を算出した。 [結果および考察] H7 とH9 ウイルスは接種直後には全て不活化した。一方、H5 ウイルスは接種後 10 分まで は感染性が残存(102.8 EID50 /0.1ml)しており、接種後 30 分で検出限界以下となった。 Scholtissek3)は本ウイルスが低 pH で不活化することを報告していることから、この不 活化は pH4.1 というマヨネーズの低 pH によるものと考えられる。またマヨネーズ中の油 脂によってウイルス粒子の脂質二重膜が損傷を受けた可能性も考えられる。 以上のことから、万一、原料の液卵やマヨネーズに本ウイルス汚染があったとしても、本 ウイルスはマヨネーズ中では速やかに不活化することが確認された。 従って、マヨネーズが本ウイルスの運搬役とはなりえないことが強く示唆された。 [参考文献] 1)Bean, W.J. et al.: J. Virol. 54(1), 151-160 (1985). 2)Reed, L.J. and Muench, H.: Am. J. Hyg. 27, 493-497 (1938). 3) Sholtissek,C. :Arch.Virol., 85(1-2),1-11(1985).