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6 特別活動 - 東京都教育委員会
6 特別活動 特別活動では、「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、団や 社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間として の生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。」ことが目標となっており、特に学級活 動では、「健康や安全に関すること」において、「学校内外を含めた自分の生活行動を見直し、安全 に配慮するとともに、危険を予測できる力や的確に行動できる力を高めていくよう日ごろからの注意 の喚起や指導が必要である」とし、また「自然災害等に対しての心構えや適切な行動がとれる力を育 てることが大切である」とされる。 (1) 安全管理 特別活動では、家庭や地域と協力し連携を深めながら、自然や文化との触れ合い、地域の人々と の幅広い交流など、自然体験や社会体験等の充実を図ることが大切であり、校外での学習の機会が 一層増えることが考えられる。教職員の協力体制を確立し、活動内容に応じて、積極的に家庭や地 域との交流が進められるようにし、活動場所を実地踏査するなどして、安全管理に努める必要があ る。 (2) 安全教育 ① 特別活動における安全指導 ア 学級活動 学級活動における安全指導のねらい ・ 学校内外を含めた自分の生活行動を見直し、安全に配慮するとともに、危険を予測 できる力や的確に行動できる力を高めていくよう日頃からの注意の喚起や指導が必 要である。 学級活動における安全指導では、「生活安全」や「交通安全」、「災害時の安全や 防犯」、「生命の尊重」、「環境整備」に関することなどの内容を取り上げている必 要がある。 「生活安全」に関わる事故は、学校生活における生徒の日常生活の中で起きるもの がほとんどである。このことから、学級における指導の重要性を認識し、安全な学校 生活を意識させなければならない。 「交通安全」については、登下校時や、自転車に乗っているときに交通事故に遭う ことが多くなっている現状を踏まえ、「交通安全」に対する意識を高めさせるととも に、道路を通行する場合は、周囲の状況を把握し、自己の安全とともに、思いやりを もって、他の人々の安全にも配慮することが重要である ことを理解させる。被害者としてだけではなく、加害者 となりうることも認識させたい。 「災害安全」については、地震等の自然災害や火災等 から身を守るために、避難訓練等実施しているが、救命 講習会等で応急手当の技能を身に付けたり、学校、地域 の防災や災害時のボランティア活動の大切さについても理解を深めたりして、積極的 に参加できるようにすることが大切である。 - 79 - イ 学校行事 学校行事では、遠足や修学旅行、校外学習、奉仕活動など、その他、安全で規律あ る行動の体得をねらいとして、避難訓練・防災訓練・セーフティ教室や交通安全教室 等が実施されている。避難訓練等では、生徒の実態や地域の状 況に応じて、体験を重視した具体的な内容となるよう配慮する とともに、警察署(スクールサポーター)や消防署等、地域の人 材や教育ボランティアの積極的な活用を図っていくことも必要 である。 体育的行事については、綿密な計画のもとに実施されている にもかかわらず、事故が発生している。その現状を踏まえ、計 画を見直すとともに、生徒の自主的、自発的な活動を伸長しな がら、ルールや集団の規律を身に付けさせ、準備や後片付けの安全についても十分に 指導することが大切である。 ウ 生徒会活動 生徒会活動では、学校生活の充実や改善、向上を図るための生徒会総会や各種の委 員会において、学校における事故、登下 校時の交通事故の防止等について話し 合い、基本的な行動目標を決定し、委員 会活動等で具体的な実践活動を行うこ となどが大切である。 また、学校行事の企画・運営に協力す る活動においては、安全について考えさ せ、ルール作りや計画の作成等に参加させる必要がある。 ボランティア活動等の教育的な価値をもつ社会活動への参加や協力、他校との交流 や地域の人々との幅広い交流等、学校外における活動においても、安全に関する意識 を高め、安全な生活態度や習慣の形成を図る。 エ 部活動 部活動は、学校において計画する教育活動であり、 学校管理下の活動として、施設・設備の安全管理とも 関連させ、生徒の発達段階に配慮しながら、安全な活 動(施設・設備の使用法、体調管理や水分補給等)の仕 方について適切に指導する必要がある。 また、休養日や練習時間を適切に設定していくこと やその指導が徹底するよう配慮するとともに、常に事 故防止に留意し、必要に応じて直ちに応急処置等がとれるよう準備しておくことが重 要である。 - 80 - ◇部活動に求められる機能 指導の側面 ○人格形成 ○個性・能力の伸長 ○豊かな人間関係づくり ○学校への所属意識の高揚 ○生涯学習の基礎づくり 管理の側面 ○計画・運営 ○連絡・調整 ○健康・安全への配慮 ○生活指導 ○保護者への連絡 <部活動基本問題検討委員会報告書(東京都教育委員会)平成17年10月より> ◇部活動に関連する法令等 ○学習指導要領には部活動に関する定めはなく、事故発生後の治療費等の給付を定めてい る独立行政法人日本スポーツ振興センター法等に、教育活動としての位置付けが示され ている。 ○この法律は、学校の管理下における児童・生徒等の災害に関して必要な給付を行うこと 等を定めている。 ○同法施行令においては、児童・生徒の事故や災害等に際し災害共済給付を行うことを定 めるとともに、学校が管理する範囲を決定し、部活動を教育活動に位置付けている。 *同法施行令が定める「学校の管理下」 (学校の管理下における災害の範囲) 第5条 災害共済給付に係る災害は次に揚げるものとする。 2 前項第一号、第二号及び第四号において「学校管理下」とは次に揚げる場合をいう。 一 児童生徒等が、法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を受けている場合 二 児童生徒等が学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けている場合 三 前二号に揚げる場合のほか、児童生徒等が休憩時間中に学校にある場合、その他校長の指示 又は証人に基づいて学校にある場合 四 児童生徒等が通常の経路及び方法により通学する場合 五 前各号に揚げる場合のほか、これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合 ◇運動部活動の運営の改善 ○児童生徒の主体性を尊重した運営に努める。 ○スポーツに関する多様なニーズに応え、柔軟な運営に努める。 ○発達段階に応じて年間を通じての練習日数や1日当たりの練習時間を適切に設定する。 ○学校週5日制の趣旨も踏まえて、児童生徒が学校外の多様な活動を行ったり、体を休め たりできるよう、都道府県学校体育大会の試合期を除いて、学校や地域の実態に応じ、 土曜日や日曜日などを休養日とするなど、適切な運営に努める。 <スポーツ振興基本計画(文部省)平成 12 年9月告示より> ② 内容例、事故・災害事例 ア 生活安全 ・学校生活における危険と安全確保 -授業中、休憩時間、給食時間、清掃活動等における安全- ・運動会、体育的行事、集団宿泊的行事等における危険と安全確保 ・犯罪被害の危険(危険予知)と安全確保 ・携帯電話やインターネットによる犯罪被害の防止と適切な利用法 ・雨天時、湿気の多い廊下で滑り、転倒し後頭部を打った。 ・清掃中、3階の窓を拭いていて、バランスを崩して窓から転落した。 ・清掃中、廊下をモップで拭いていて、走ってきた生徒とぶつかり転倒し、顔面を打 った。 - 81 - ・休憩時間中、廊下で友だちとふざけていて、教室に走り込もうとして机にぶつかり 転倒し、頭部を打った。 ・休憩時間中、校舎裏の体育倉庫屋根に上り転落した。 ・運動会の騎馬戦で、騎馬が崩れ、その下敷きとなって負傷した。 ひね ・運動会でむかで競走をしていて倒れ、手を捻ってついて、右ひじを負傷した。 ・キャンプで食事の用意をしていて、なべをひっくり返し、やけどをした。 ・レーザーポインタを友だちの顔に照射し、目に光が当たり、視覚障害が起こった。 ・給食の準備中、スープの食缶を倒し、ヤケドを負った。 ・文化祭の準備中、木材から突出している釘を踏み抜き負傷した。 ・野球部の練習中、ノックのボールがイレギュラーし、顔面に当たって負傷した。 ・柔道部の練習中、投げられて受け身が取れずに、頭部から落ち、頸部を負傷した。 ・夏休み中の剣道部の練習中、熱中症で倒れ、意識不明となった。 イ 交通安全 ・交通法規の正しい理解と遵守 ・自転車の点検整備と正しい乗 り方 ・交通事故の責任 ・交通機関利用時の安全な行動 の仕方 ・登校中、歩道から車道に飛び出しダンプカーにはねられた。 ・下校時、友だちとの話に夢中になり走行中の車と接触し、転倒した。 ・自転車で走行中、信号のない交差点で出合い頭に乗用車にはねられた。 ・自転車で走行中、路地から出てきた人と衝突し、相手を倒し頭部を負傷させた。 ウ 災害安全 ・火災発生時における危険の理解と安全な行動 ・地震発生時の危険の理解と安全な行動 ・台風(大雨・暴風)発生時の危険の理解と安全な行動 ・登校中、大雨で増水した川に転落した。 ・登校中、強風により吹き飛ばされた看板が頭に当たり負傷した。 ・地震時、家庭で勉強中に倒れてきた本棚で頭を打った。 ・雪で凍結した道路を歩行中、足を滑らせて、横の川へ転落した。 ・河川敷グランドで、野球の練習中に落雷に遭い全身にヤケドを負った。 (参考:日本体育・学校健康センター<現 日本スポーツ振興センター>死亡・傷害事例集) - 82 - ③ 学級活動における安全指導年間指導計画例 月 主題 4 安全な登下校 5 学校生活ときまり ねらい 指導内容 ・通学路の確認と危険個所の把握 ○登下校のときに起こる事故につ ・登下校時の心身の状態と事故 いて理解し、安全な行動ができる ・不審者への注意と通報の仕方 ・寄り道の危険と防止 ようにする。 ・防犯ブザーの携帯 ○きまりを守り、落ち着いて学校 生活をすることがみんなが安全に 過ごすための第一条件であること を自覚する。 ・廊下、階段等で起こる事故とその原因 ・休み時間の過ごし方 ・校庭で遊ぶときのきまり ・清掃活動の安全な作業の仕方 ・安全に注意した配膳と片づけの仕方 ・雨の日の自動車からの視界 ・雨の日の安全の確かめ方 ・雨の日の安全に配慮した服装や持ち物 ・安全な傘の利用 ・雨天時の校舎内での事故原因 ・雨天時の校舎内での過ごし方 ・プ-ルでの危険な場所と事故原因 ○プ-ルでの事故や安全な使用 ・プ-ルでの事故の防止 について考える。 ・水の事故と安全 ○落雷による危険と安全な行動 ・落雷しやすい気象条件 の仕方を知る。 ・落雷に遭わない安全な行動 ・地震のときに発生する様々な危険(家屋 の倒壊、地割れ、山崩れ、流砂現象、 陥没、落下物) ・正しい情報の入手 ○地震発生の場合、危険な行動 ・パニック防止と安全な行動 に走りやすいことを理解し、安全 ・地震災害と家庭での備え ・地震に応じた避難経路と避難場所確認 な行動ができるようにする。 ・様々な場面に応じた避難の仕方 ・津波による危険 ・津波警報と避難の仕方 ○降雨により登下校時の道路環 境が変わることを理解し、危険を 的確に判断し安全に行動できるよ 6 梅雨期の安全な過ごし方 うにする。 ○雨天時に校舎内で安全な行動 がとれるようにする。 水泳と安全 7 落雷の危険 9 地震災害時の安全 10 自転車の安全な利用 11 火災時の安全 ・中学生に多い自転車事故の特徴 ・自転車の安全な利用の仕方 ・自転車専用道路、車道、歩道通行可等 の通行区分 ・道路条件や交通環境に応じた安全な走 行の仕方 ○自転車の安全な利用、点検や ・自転車事故の状況、原因と事故防止 整備について理解を深め、交通 ・事故の発生とその対応 の決まりや約束を守って安全な乗 ・単独走行の場合と集団走行の場合の 車ができるようにする。 危険の違い ・自転車の各部の名称と働き ・乗車前の点検箇所と点検の仕方 ・自転車に関する基本的な交通法規理解 ・駐車のマナーの現状と問題点 ・防犯登録の必要性と放置や盗難の防止 ・火災の原因と危険 ・火災に対する心構え ○火災のときに起こりやすい危険 ・有害な煙に対する行動の仕方 な状況を理解し、適切に行動でき ・初期消火の仕方と救助器具の使い方 るようにする。 ・避難経路と避難場所の確認 ・様々な場面に応じた避難の仕方 - 83 - 月 主題 12 道路の歩行と横断 1 地域・社会での安全 2 災害・事故への 備えと協力 3 健康の維持と生活 主題 学校行事における安全 適 宜 避難場所の役割と安全 火山災害時の安全 交通事故の防止 ねらい 指導内容 ・信号・標識・標示の種類と意味の理解 ・通学路・スクールゾーンの設定の意味 ・安全な通学の仕方 ・車両の動きと安全 ○道路の役割・きまりや道路にお ・交差点の正しい横断の仕方 ける様々な危険について理解し、 ・危険の予測と安全確認の仕方 安全な歩行ができるようにする。 ・歩行者の心理とその理解 ・踏切など鉄道での安全 ・白杖や点字ブロック等の理解 ・交通機関利用時のマナー ・被害に遭わない日頃からの行動 ・被害にあった場合の適切な行動 ○地域・社会で起こる犯罪や危険 ・犯罪が起こりやすい時間帯・手口・場所 について理解し、安全に行動でき ・防犯対策の理解と安全な生活の仕方 ・防犯のための自分たちの責任と役割 るようにする。 ・携帯電話やネットワークの危険情報 ・防災訓練等の意義 ○防災訓練等の意義を理解し、 ・防災訓練等への積極的な参加 積極的に参加できるようにする。 ・地域防災活動への参加 ○事故が発生したときの通報の仕 ・家庭における避難場所・連絡方法 方、簡単な応急手当の仕方につ ・けが人の介助と通報の仕方 いて理解し、適切に行動できるよ ・止血法・人工呼吸の方法と実践 ・熱中症等の症状と応急手当の仕方 うにする。 ・薬物について考える ・たばこの煙と環境 ○喫煙・飲酒・薬物乱用を防止 ・喫煙の健康への影響 し、健康な生活を実践する態度を ・飲酒の健康への影響 育てる。 ・薬物乱用の健康への影響 ねらい 指導内容 ・体育祭での種目別事故状況と原因 ・種目別の安全な参加の仕方 ・遠足等で起こる事故の現状と原因 ○学校行事等における事故の発 ・遠足等での安全な行動の仕方 生状況と安全の決まり・約束や安 ・集団宿泊的行事等で起こる事故の 全の確保の方法等について理解 現状と原因 し、安全な行動ができるようにす ・集団宿泊的行事等での安全な行動 の仕方 る。 ・事故災害が起きたときの行動の仕方 ・勤労生産的活動時の事故とその防止 ・奉仕的活動時の事故とその防止 ・災害発生時の避難場所の意義と役割 ○災害発生時における避難場所 ・ライフラインとしての避難場所での生活 の役割とそこでの生活を理解し、 ・ボランティア活動への参加 安全な行動ができるようにする。 ○火山災害が発生した場合の危 ・火山活動による危険 険を理解し、安全な行動ができる ・火山情報と避難の仕方 ようにする。 ・自動車の種類による死角と内輪差 ○自動車の特性について理解 ・自動車の速度と停止距離 し、道路を安全に歩行・走行し、 ・夕方・夜間の自動車の危険 交通事故を防止する。 - 84 - ④ 活動内容例 ア 犯罪被害防止教育 1 活動名 「学級で行うセーフティ教室」 2 活動の目標 (1)自ら学び、自ら考える活動を通して、犯罪の被害から身を守る態度や能力を養う。 (2)青少年の健全育成にかかわる諸問題を自分のこととしてとらえ、自主的に実践する力を身に付ける。 (3)健全な生活を送ることの大切さを知り、その実践方法について理解する。 3 活動の概要 今、深刻化しつつある青少年犯罪等について、班ごとに、東京都や地域の少年非行等の実態について調査活動 を行い資料化する。そして、その資料を基に、犯罪被害の原因や課題について考える。 学級活動の時間では、非行被害に遭わないための方法を考える。また、少年センター指導員の方からのアドバ イスにより、犯罪被害から身を守るための「断り方」を考える。ロールプレイングにおいて、 「断り方」を演じ、 他の生徒の「断り方」を見たりする中で適切な方法を身に付ける。犯罪から身を守るためには「断る勇気」が必 要であるということを理解させる。 4 活動の流れ 学級活動 「悪い誘いを断る」 ワークシート 事前の活動 ★空欄に自分のシナリオを作ろう。 Aさんは、休日に洋服を買おうと、電車で出かけました。買 ・班長会による活動計画の立案 い物が終わり、家の近くの駅に戻るともう夜になっていまし ・班ごとにテーマ、調査方法を協議し調べ学習を行う た。駅前には数人の人がいて、一人の人が話しかけてきまし た。その人は、Aさんのよく知っている同じ中学校を卒業した 学級活動1 卒業生のBさんでした。 ・各班から青少年の非行等に関する調査の内容を報告 Bさん:あれ、久しぶり、何やってんの。 ・学級全体で現在の少年犯罪の傾向等について意見を出 し合い、なぜ発生するのか等についてまとめる。 Aさん: Bさん:時間はたっぷりあるから一緒に遊ぼうぜ。 Aさん: Bさん:金あるんだろ。いいとこあるからさ、 着いてきなよ 学級活動2 Aさん: ・各自が断り方をワークシートに記入する。 Bさん:誘ってるのに、断るなよな。 Aさん: ・班ごとに断り役、観察役を交代しながら行う。 ・ロールプレイングの講評を含め講師の話を聞く。 5 指導の工夫 ・導入の段階で、少年犯罪についての実態調査に生徒自ら取り組み、関心を高める。 ・生徒の取材を基にロールプレイングのシナリオを考えさせ、全員で取り組むことにより、自分自身の問題として とらえさせる。 ・事前に生徒が少年センター等を訪問し、取材活動をとおして、考えさせるようにする。 6 評 価 ・生き方についての自覚と責任を持ち、心身の健康の保持・増進に努め、積極的に自己を生かそうとしているか。 ・社会における健全育成上の諸問題を自分の課題として受け止め、その解決に向けてよりよい方法で自主的に実践 することができるか。 ・健全な生活を送ることの大切さを知り、犯罪や非行から自らを守る方法等について理解しているか。 - 85 - ※ロールプレイングの指導上の留意点 ・登場人物は2~3人とし、簡潔で分かりやすい場面の設定であること。 ・シナリオは簡潔にし、演じる時間は3分以内とする。 ・クラスや学校に実在する名前やニックネームなどは使わない。 ・登場人物の立場になって考え、演じるようにする。 ・生徒自身が自分なりに思考し、他の人の考えを知ってさらに思考を深めるといった過程を重視す ること。 ・演じた生徒に対する役のイメージが定着し、いじめ等につながることを防ぐため、教員が「誘う 役」を務め、生徒には、 「断る役」をさせる。 「誘い役」を生徒にさせるときは、感情移入をさせ ず、棒読みをするように指導し、演技の終了後、それぞれの役柄を解いたことを本人及び全員に 知らせる。 ・コミュニケーションのタイプの違いを区別するようにする。 ①非主張型・・・屈服したり、あきらめたり、他人が自分の権利を侵すことを認めてしまう。 ②攻撃型 ・・・相手を犠牲にしてでも自分の欲求を通そうとする。 ③主張型 ・・・相手の話を聞き、権利を尊重した上で、自分の権利を論理的、合理的に主張する。 ・ロールプレイング中は、他の人は口を挟まないようにする。 ・教員は、演技についてよい点があったら褒め、課題はまとめの段階で触れる。 ・教員は、演技した生徒に演じているときに感じたことを尋ね、授業のねらいにあった発言は、本 人及び全員に知らせる。 ・演技終了後が重要な学習になるので、十分に時間をかける。 イ 喫煙防止教育 1 活動名 「健康の維持と生活」 2 活動の目標 3 活動の概要 (1) たばこの煙が環境を汚染し、健康にも影響 を及ぼすことを理解する。 (2) 正しい意志決定と行動選択ができるように し、望ましい生活態度や習慣の形成を図る。 本活動は、たばこの煙により喫煙者自身だけ でなく、周囲の人にも影響を及ぼすことを知る。 正しい意志決定や行動選択ができる力を、意 見交換をとおして、身に付ける。 4 活動の流れと指導の工夫 保健の時間に 「たばこの煙 と環境」につ いて学ぶ。 たばこに関する 健康被害への課 題について班ご とに調査活動を する。 班ごとに調査した たばこの健康被害 を班長会でまと め、問題提起をす る。 ◎活動内容の工夫 保健の時間の「たばこの煙と環境」の学習と関連させ、 身近な問題としてとらえさせる。 5 評価 班 長会か らの 問題提 起をもとに、たばこに つ いて班 ごと に意見 交換を行い、学級全体 で 望まし い生 活態度 と 習慣に つい て考え る。 ◎指導体制の工夫 保健体育科教諭や養護教諭との連携を 図る。担任は、班ごとの話し合いを踏 まえ、総括をする。 (1) たばこの煙が環境を汚染し、健康にも影響を及ぼすことが理解できたか。 (2) 望ましい生活態度と習慣について考え、自己の生活に生かそうとする能力が身に付いた か。 - 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