...

No_36_J_May_Jun_2012

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

No_36_J_May_Jun_2012
Issue No
36
ことがある。テナントと従業員に対する信頼が高まれば、監督
の必要性も下がる。大量の契約にもかかわらず、大型取引や
持続する関係は、握手によって確認される。率直さと透明性
が陳腐な決まり文句でなく、商慣行として実施されれば、信頼
は養われる。共通目的、共同での問題解決、相互のメリット
を通じて、協力関係は信頼を構築する。
信頼の当然の帰結は、評判である。顧客やステークホルダー
が裏切られたと感じたら、評判はすぐに損なわれる。信頼を強
調することなく、前述の要素を実行することは可能だが、戦略
に則って行った方が、より高い効果が得られる。
不動産戦略の見直しは、生き残りから好業績へ、競争から
協力へ、プロジェクト志向から顧客志向へ、と方向性の変化
につながる可能性が高い。この新たな方向性は、組織にとっ
て永続的な遺産となるかもしれない。
ヤング • リーダーズ • グループ
ウォーターフロント・ネットワーキング・クルーズ開催 YLGパネルディスカッション開催
ULI ジャパン・ヤング・ リーダーズ・グループでは来る 7
月 4 日(水)、MGPA の協賛の下、毎年好評のウォーターフ
ロント・ネットワーキング・ クルーズを開催します。19:30
に芝浦埠頭を出航し、東京湾を一周します。料理や飲み物
とともに、クルージングをお楽しみ頂き、帰港後には懇親
会をご用意しています。なお、お申し込み多数のため、受
け付けはすでに終了いたしました。今回楽しみにしていた方
には大変申し訳ございませんが、次回をお楽しみにお待ち
ください。それでは、当日は天気に恵まれることを祈ってい
ます。
BULLETIN
現在、国内物流市場は東日本大震災の影響により大き
な変革期を迎えています。ヤング・リーダーズ・グループ・
ステアリング・コミッティでは 9 月下旬に、大和ハウス工業
株式会社の協賛の下、パネルディスカションを開催します。
物流施設所有者、物流施設運営会社、国内小売事業大手
から専門家を迎えて市場の変化とその背景を考察し、サプ
ライチェーンの強化・最適化、環境負荷の増加を伴わない
既存施設の改修・付加価値向上、国内物流市場に対する
外国人投資家の関心の高まり、今後の需給逼迫の可能性、
などを検証します。
Issue No.
電力不足懸念の再燃
2 012
2012 年も我々は数々の出来事に遭遇しています。欧州におけるギリシャ
の政治・社会情勢の悪化や周辺国への波及懸念の浮上。足元の日本では
震災から 15 カ月が経過した今もなお政府は原発事故後のエネルギー政策
を確立できておらず、今夏も再び深刻な電力不足が懸念されています。
5
7 月 5 日(木)に開催される ULI ジャパン・サマー・カンファレンス
2012 では、多数の専門家とともに不動産を取り巻く国内外の環境を確認
し、それらの影響および国際的な視点から見た日本のイメージに与える影
響について検証します。
当日、会場で皆様にお会いできることを楽しみにしています。
月
/
合場 直人
ULI ジャパンカウンシル会長
三菱地所株式会社
常務執行役員
ULI ジャパン・サマー・カンファレンス 2012
詳細は改めてご案内いたしますが、8 月中旬~下旬の受
付開始を予定しています。多数の皆様のご参加をお待ちし
ています。
7 月 5 日(木)アカデミーヒルズ 49F
まだお申込をされていない方は、
ULI ジャパン事務局までご連絡をお願いします。
次号のお知らせ
ご来場をお待ちしております!
• ULI ジャパン • サマー • カンファレンス 2012 レビュー
• U LI ジャパン • パネル • ディスカッション 6 月 14 日 レビュー
第6回 ULIジャパン・リーガル・ランチ•セミナー開催
4 月 20 日にジョーンズ・デイ法律事務所(東京・虎ノ
門)で第 6 回 ULI ジャパン・リーガル・ランチ・セミナー
が開催され、会員を含む 35 名の参加がありました。大
越修氏(株式会社オオコシセキュリティコンサルタンツ代
表取締役社長)の挨拶に続いて、ジョーンズ・デイ法律
事務所パートナーの伊奈弘員氏と同アソシエイトの松田
暖氏による講演が行われました。
36
反社会的勢力の排除に向けた取り組み
重な判断を求めています。
大越氏は警視庁に 20 年間在籍した経験を活かし、過
去 15 年にわたりセキュリティコンサルタントとして、企業
のセキュリティ管理の構築・強化を支援しています。
この場をお借りして、講演者の皆様、会場を提供いた
だいたジョーンズ・デイ法律事務所に御礼申し上げます。
今後リーガル・ランチ・
東京都は反社会的勢力による被害の防止への総合的
セミナーで取り上げて欲
な取り組みの一環として、2011 年 10 月に「暴力団排除
しいトピック等ございま
条例」を施行しました。伊奈氏と松田氏は、ケーススタ
したら、ULI ジャパン事
ディを取り上げたほか、
「暴力団等反社会的勢力」に対す
〒 101-0047
務局までご連絡くださ
東京都千代田区内神田3-2-8
るこれまでの法的な措置、ならびに法制の最新動向の概
い。皆様からのご意見
COI 内神田ビル 8F
要を紹介しました。同条例では、事業主のみならず暴力
をお待ちしています。
TEL: +81-3-5297-6132
団排除に向けた市民の取り組みに対する指針のほか、罰
FAX: +81-3-5297-6133
則や規制の詳細も定めています。同条例は不動産取引契
URL: http://japan.uli.org
E-mail: [email protected]
約にも大きな影響を及ぼしており、取引関係者に、取引
先やテナントの事前審査に当たって、これまで以上に慎
ULI Japan
6
月
Vol. II
スティーブのブログ
ULI全米不動産市場のコンセンサス予想
ULI は 2012 年 2 月下旬から 3 月上旬にかけて全米の有力な不動産エコノミストやアナリスト 38
名を対象に第 1 回「不動産コンセンサス予測」調査を実施した。同調査はエコノミスト/アナリスト
の大多数の見解、ならびに不動産取引高、CMBS 発行額、不動産投資利回り、各不動産部門の
空室率・賃料、住宅着工件数、住宅価格など 26 の経済指標に関する予想の平均値を示すもので
ある。各数値については、米国が景気後退に喘いだ 2009 年から2014 年の期間の年間推移で示す。
第 1 回調査では楽観的な見方が大勢を占め、今後 3 年間に米国経済、不動産資本市場、不動産
ファンダメンタルズおよび住宅産業が大幅に改善すると予想されている。
<筆者>サンディ・アプガー
アーバンランド• オンライン • マガジン 2011 年 12 月 13 日号
サンディ・アプガー氏はシニア・エグゼクティブやボードメンバーに対し、不動産戦略および不動産管理の助言を行う。
数々の受賞歴を持つ公吏、コンサルタント。著書多数。ULI 創設に携わったほか、3 つの ULI プロダクト・カウンシルのチェアを務める。
スティーブ• R •ブランク
ULI
(アーバンランド •
• 商業用不動産の取引高は約 50% 増加
インスティテュート)
• CMBS の発行額は倍増
シニア•レジデント •フェロー
• 機関投資家適格不動産および REIT の年間利回りは 8.5%~ 11%
• オフィスビル、商業施設、産業施設の空室率は 1.2% ~ 3.7% 下落、賃貸集合住宅の空室率は低水準で推移、
ホテルの稼働率は上昇
• 2012 年は全物件タイプで賃料が上昇(商業施設は 0.8%上昇、賃貸集合住宅は 5.0%上昇)
• 住宅着工件数は 2014 年にはほぼ倍増。住宅価格は 2013 年より上昇し始め、2014 年には 3.5%上昇
これらの強気の予想は経済全体の明るい見通しに基づくものである。また GDP 成長率について、2012 年は 2.5%、
2013 年は 3%、2014 年は 3.2%と着実に上昇すると予想される。失業率については、2012 年には 8.0%、2013 年に
は 7.5%、2014 年には 6.9%に低下すると予想される。また 2012 年には 200 万件、2013 年には 250 万件、2014 年
には 275 万件の雇用が創出されると予測される。調査回答者は、景気の回復は高インフレと金利の上昇をもたらし、最
終的に消費者および投資家の借入コストの上昇につながると考えている。インフレ率(消費者物価指数)は 2012 年、
2013 年、2014 年にそれぞれ 2.4%、2.8%、3.0%になると予想される。そしてインフレに伴って、10 年物国債の利回
りは 2012 年には 2.4%、2013 年には 3.1%、2014 年には 3.8% に上昇すると見られる。
なお経済は散発的ではなく安定的な成長を遂げると予想されているが、欧州債務危機の継続的な影響、間近に控え
る米国および主要国の大統領選挙の影響、米国および外国のより厳格な金融規制の複雑性など、多くのリスク要因を考
慮する必要があることに留意が必要である。
また商業用不動産の取引は活発化し、総取引高が 2012 年の 2,500 億ドルから 2014 年には 3,120 億ドルに増加す
るとともに、商業用不動産の主要な資金調達源である CMNS 発行額は 2012 年の 400 億ドルから 2014 年には 750 億
ドルに急増すると予想される。
エクイティ・リートの総利回りは 2012 年に 10%、2013 年に 9%、2014 年には 8.5% になると見られる。2009 年と
2010 年には 28% に急上昇したが、2011 年と同様により持続可能な水準に落ち着くと見られる。機関投資家適格不動
産の利回りも、NCREIF インデックスに示されるように、過去 2 年間に好調を記録したが、これらの利回りは 2012 年に
11%、2013 年に 9.5%、2014 年に 8.5% と引き続き堅調に推移すると見られる。
過去 2 年間において投資家が好感した賃貸集合住宅は若干の落ち込み傾向を見せたが、他の不動産タイプは今後 2
年間にわたって躍進すると予想される。不動産タイプ別に見ると、2012 年の機関投資家適格不動産の総利回りは賃貸
集合住宅が 12.1%で最も高く、続いて産業施設 11.5%、オフィス 10.8%、商業施設 10%となり、2014 年にはオフィス
と産業施設が 10%で最も高く、続いて賃貸集合住宅 8.8%、商業施設 8.5%となると予想される。
住宅産業は 2012 年から緩やかではあるが好転に向かうと見られる。戸建住宅の着工件数は過去 3 年間、史上最低
水準にあったが、2012 年に 50 万戸に、2013 年に 66 万戸、2014 年には 80 万戸に達すると予想される。全国平均住
宅価格は 2012 年に下落が止まり、2013 年に 2%、2014 年には 3.5%の上昇が見込まれる。住宅バブルの崩壊によっ
て最も深刻な影響を受けた市場では大量の差し押さえ物件が出たが、このことは住宅市場の回復に引き続き影響を与え
るだろう。とはいえ、全体としては雇用見通しの改善と消費者信頼感の改善によって、住宅市場に買い手が戻ってくる可
能性は高い。
本調査報告全体については ULI ウェブサイト(www.uli.org)より閲覧可能。次回の不動産コンセンサス予測は 2012
年 9 月の発表を予定。
結果を一部引用する形で紹介する。
不動産戦略の見直し (第2回/全3回連載)
戦略は組織を長期的な成功へと導く。熱意や行動を捉え、
機会を浮き彫りにし、役割を定め、収益構造を構築する。
景気後退と不確実性によって現在の戦略に暗雲が立ち込め
ているのなら、短期的な生き残りと長期的な持続性に向けて戦
略の見直しを検討するとよい。そして、これらの目標を補完的
なものとすべきである。長期にわたる困難を伴う回復過程にお
いては、資産の最適化に向けて今日細心の注意を払うことで、
明日夢を実現させることが可能になる。
る。にもかかわらず、オフィスデベロッパーは、創意工夫を凝ら
したデザインや独創的なマーチャンダイジングを軽視することが
少なくない。ここで大切なのは、
「作業スペースを売り込むこと」
である。開発と運営のあらゆる側面に魅力を注入し、テナント
と顧客の双方を魅了するよう商品を差別化するのである。彼ら
の立場に立って、自らの妥当性と影響力を高めるのである。競
合相手に先んじて、テナントや顧客との関係を深め、新たな市
場を確保することが大切である。
想像力: 戦略とは将来を予想することではなく、想像するこ
とである。生来想像力を持ち合わせている人もいるだろうが、
たいていの場合、後天的に習得するものである。戦略的想像力
を養うには、何が機能し、何が機能しなかったか、その理由
個々の案件から利益を上げることができるかもしれないが、
は何かを分析することから始まるとよい。全体的な視野で物事
明確かつ確固たる戦略を立てることにより、プロジェクトとプロ を捉えるのである。断片的なアプローチは、創造的な戦略を損
グラムというポートフォリオ全体を通じて時間をかけて、ビジョ なう。過去の出来事から推測するだけにとどまってはならない。
ンは必ず実行されることになる。ビジョンとレトリックは戦略に 成功を手にするデベロッパーは既存の市場だけでなく、人口動
とって代わるものではなく、リーダーが戦略を伝える際のツール 態・政治的・技術的な動向にも順応するのである。
として機能するものである。
「ギャップ分析」を実施して、現在提供している商品/サービ
本稿では皆さんが他で読むことができるような内容や、すで ス内容や、競合相手が提供している商品/サービス内容と、ニー
にご存じの内容を繰り返すのではなく、私の経験をもとに、上 ズが一致しない個所は何かを確認するのである。従来考えられ
級役員や取締役会によって見過ごされることが多い、成功する なかった選択肢を特定するのである。中には現実的でないもの
不動産戦略に必要な 5 つの要素を紹介したい。
や、実行可能なものがあるだろう。
不動産業界は日和見的でありながら物件固有の性質を有す
るため、不動産に携わる一部の者にとって、戦略は矛盾する言
葉であるといえる。
価値:戦略的なデベロッパーは、現実ではなく可能性を視覚
化することによって価値を創出する。空間を 1 つのリソースとし
て、建物を商品として捉える。そして、事業の将来的な発展に
ついて考える場合、目標の達成に向けて利用する人的資本と金
融資本とを、単なる所有物、手元にあるモノ、入手可能なモノ
としてではなく、
「資産」として捉える。用途の経済性と利用の
管理を組み合わせる。権利付与は物件価値を制限することが
あるが、用途は代替可能である。物件所有者と協力して建物に
新たな目的を与えていく。テナントの固定費の変動費化を支援
し、ユーザーの柔軟性を高めることによってテナントを獲得する。
現在活用している機能にとどまらず、施設機能のバリューチェー
ン全体を活用する。戦略の核となる機能とそれ以外を見極め、
次に、非中核機能の除去、外注、専門家との連携を図ること。
独自の構成配列を取り、商品/サービス提供のライフサイクル
の簡素化・迅速化を図り、リスクに応じたプレミアムを上乗せし
て価格を決定する。そして実物の資産価値の主要な評価指標
である各施設の用途を測定すること。
新たな取り組みを支持(または阻止)するために、事実にこ
だわり、既存の取り組みを擁護(または挑戦)するのである。
予知能力ではなく、創造力を追い求めるのである。物事を想像
の中でデザインするのである。ハインズはオフィスでこのことを
実証し、ディズニーはテーマパークでこのことを証明した。しか
しラウズの例が示すように、リテールセンターでは、デザイナー
を管理する必要が出てくる。
「将軍たちに任せておくには、戦争
は重要すぎる」との格言が示すように、
「戦略をデザイナーに任
せておくには、デザインは重要すぎる」のである。 コミュニティ:戦略は私的な目標とともに、組織の公的な目
標を定めるものでなければならない。
不動産のバリューチェーンにおける役割が何であれ、建物や
自然環境の形成に影響を及ぼすことになる。単独の建物から街
全体へと、コミュニティを作りだして運営することになる。それ
が不動産に従事する者の使命の実現となる。あなたの商品は、
人々の満足感または軽蔑を引き出す中で存続する。そのため、
戦略は、現在および将来の住人のことを考慮したものでなけれ
デスティネーション:いずれの建物もデスティネーションとして
ばならない。仕事、生活、遊びの相互作用を促し、環境配慮
機能する。価値を創出する最も確実な方法は、人々を魅了する
の機能を強調し、自身の活動(社会的・経済的・身体的・環境的)
デスティネーションとなることである。
「働きがいのある職場」ラ
の影響を評価するのである。政府や大学と異なり、自身の影
ンキングに選出された企業は活気ある複合施設内に位置してお
響は軽視することを選択することはできるが、少なくとも事実に
り、ショッピング、サービス、レストラン、集合場所が従業員を
ついて決定することは必要である。これらの側面を理解するこ
魅了している。ボルチモアのインナーハーバー地区やサンフラン
とにより、自らの組織や投資家に対する選択肢を高めることが
シスコのミッション地区がこうした基準を設けている。ここで環
できる。
境に目を向けてみよう。若手専門家はスペースの大半を占める
大きな設備を備えた職場よりも、活気ある職場の方が魅力的だ
信頼:信頼とは戦略的資産であり、不動産パートナーシップ
と考えるが、それでも一定のプライバシーを確保する必要があ
において重要な要素である。物件自体よりも高い価値を有する
(次のページへ)
Fly UP