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1.はじめに
1.はじめに 1)温根湯温泉の変遷 旧留辺蘂町の温根湯温泉は、無加川沿いに湧出する温泉を夏期の狩猟の湯治場として 利用していたアイヌの山中木蔵から譲り受けた国沢喜右衛門が、明治 32 年、北海道に温 泉出願をし、許可を得たのが開祖とされている。以来、100 有余年、オホーツク圏域を はじめ北海道有数の温泉地として発展してきた。 かつて当温泉は、国道 39 号の交通要所の地の利に恵まれ、また、木材やイトムカ水銀 鉱山の景気に沸き、無加川沿いに複数のホテル・旅館が建ち並び、土産物屋や飲食店の 温泉街(温泉通り)は肩が触れあうほどの観光客で賑わい活気に満ちていたが、昭和4 5年以降は、農家の離農、イトムカ水銀鉱山の閉鎖や企業撤退、木材工場の倒産などに より人口の減少とともに、観光客、宿泊客は減少していった。 平成 7 年、国道 39 号沿いに「道の駅おんねゆ温泉」が指定され、その後「果夢林(ハ ト時計)」をはじめ観光施設の整備を進め、年間 50 万人を超える入り込みとなっている。 しかし、北海道観光の低迷と同じく、平成 10 年を前後には、相次ぐ大型ホテルの廃業 に連動しみやげ物店や飲食店なども廃業し、中心となる温泉街は、空き店舗・シャッタ ー街(約 70%)の現状にある。 当地区の観光入込客は、平成 10 年の 941,300 人をピークに減少し、平成 18 年には 774,500 人に、宿泊客数は、平成9年の 390,800 人をピークに減少し、平成 18 年には 226,100 人となっている。また当地区の人口も平成 8 年 2,904 人が、平成 18 年には 2,027 人と減少し、高齢化率は 34.2%と超高齢社会の状況にある。少子高齢化の進行は大きな 課題となっている。 2)温泉街と再生に向けたこれまでの取り組みと経過 平成5年、道の駅おんねゆ温泉の整備事業を契機とし、温根湯温泉の観光活性化を目 指した温根湯温泉地域の自治会はじめ各種団体・事業所等で構成する住民主体のまちづ くり組織「温根湯観光活性化委員会」が組織され、町の観光施策・事業への参画と関連 事業への実施協力を行ってきている。特に平成6年には「花のエリア」構想を立ち上げ、 地元温根湯中学校生徒や老人クラブ・恵愛会(女性団体)などのボランティアの協力も 得て、花のエリア事業への実施協力などの活動を展開してきている。 旧留辺蘂町第四期総合計画(平成 12 年度∼21 年度)では、快適なまちづくりとして 温泉市街地景観の向上、公園・緑地の整備、みどり豊かな都市環境の形成、自然環境の 保全、自然体験の推進、活力あるまちづくりとして花のエリア事業の推進、温泉街周辺 の環境整備、道の駅のイメージアップ、観光資源の連携を図ることとしている。また、 町民や来訪者すべての人が、憩い・楽しめるまちを築くため全町におけるバリアフリー の導入など全町福祉村化プランの推進を掲げた。 一方、温根湯温泉街を流れる無加川は、北海道の河川改修計画があり、その河川改修 事業を契機に温泉街の景観等を含めた整備と再生をめざそうと、さまざまな団体機関に よる構想が策定されてきた。留辺蘂商工会議所観光振興委員会では、平成6年から観光 振興調査研究が進められ、平成 10 年∼14 年度と(社)北海道中小企業総合センターの 専門家の指導・助言を得て「観光振興構想」を策定。特に平成14年度「無加川河川改 修に伴う温根湯温泉通りの整備構想」には、それらの検討協議が集約されている。 また、平成12年度には、オホーツク委員会主催により、町の第4期総合計画に掲げ られている温根湯温泉街の空洞化対策、まちづくりの活性化、温泉街周辺の整備につい て「まちなみ診断ミレニアム in おんねゆ」が実施され、東大教授など3人の専門家の指 導のもと、地域住民、商工会議所青年部、観光活性化委員会などによるワークショップ とフォーラムを開催し、さまざまな角度からアイディアや意見が出され報告書としてま とめられている。 平成15年度、旧留辺蘂町は、これらの団体機関や地域からの機運を受け、無加川(温 根湯市街地区)周辺基本計画を策定している。 平成17年度、北海道の河川改修事業を契機に道路や橋の整備に合わせた景観の整備 など温泉街再生を目指した再生計画を策定すべく、温根湯地域住民による「温根湯温泉 街再生整備検討委員会」を設置し、検討協議を重ねてきている。 平成18年3月5日、留辺蘂町は他2町と共に北見市と合併したことから、新市総合 計画の策定(H21年度∼)までの間は、合併協議会で決定された新市まちづくり計画 に基づき事業実施されることとなるが、その計画の留辺蘂自治区の主要拠点事業として 「温根湯温泉街再生整備計画」が掲げられている。 また、合併し北見市となったことから留辺蘂自治区住民に拡大再編した検討委員会(1 8人)を平成18年8月9日に設置された。 再編した検討委員会では、地元地域や関係団体等の議論経過や蓄積された構想、さら には平成17年度の検討委員会での検討協議を踏まえ、これまで計8回に渡り、検討協 議を行ってきた。