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60 - 素形材センター
素形材センター会長賞・環境負荷量低減表彰 株式会社アーレスティ山形 ダイカスト工場 1.はじめに 当社は、アルミダイカスト製品製造で 1953 年に 4 月に労働安全衛生マネジメントシステムを構築、 創業、2002 年に ISO14001 を取得し幅広い活動で継 作業者の職場環境改善等への取組みを行ってきた。 続的な環境改善で成果を上げてきた。また、2004 年 2.工場内外の環境の概要 山形県の南部に位置する白鷹町東部工業団地、最 製品の集約を行い敷地面積で 1.5 倍(35,023m2)、建 上川と山に囲まれた自然豊かな場所に立地している。 屋面積で 2 倍となった。 2005 年にグループ企業との合併、2008 年に製造 3.環境優良工場としての特徴と環境負荷量低減 (1)騒音 によりアルミ返材の落下音低減が図られた。 当社は、工業専用地域に属しているが、山形県で は、規制を設けていないため該当しないが、工場境 (2)ばい煙 界線での騒音の自主基準を定め年 2 回、朝・昼・夕・ A 重油より硫黄分を 70 ∼ 80%カットしたローサ 夜の 4 時間帯に定期測定を実施している。 ルファー重油を使用して SOX の低減を行った。 対策例としては、夜間におけるフォークリフト ビープ音の廃止(ライトを付けるとビープ音が鳴ら 60 (3)省エネルギー・CO2 発生抑制 ない回路への変更)や、コンプレッサの吸気口の羽 省エネアルミ溶解炉(リジェネバーナ仕様)(写 の向きと絞りを調整する等の改善を行った。 真 1)の導入やコンプレッサのインバータ化。A 重 また、溶解炉をタワー炉から平炉に変更したこと 油からハイカロリー重油へ変更し溶解原単位の向 SOKEIZAI Vol.51(2010)No.12 特集 素形材月間 ∼環境優良工場∼ 上。個別設備の電力使用量を測定しメンテナンス時 08 年に工場増築等で増加したが、09 年に排水処 の改善や更新。電力デマンド監視装置を導入して電 理から発生する余剰汚泥の圧縮装置導入および廃切 力使用効率改善により、06 年の CO2 排出量原単位(生 削油(廃油)を濾過してのリユース等により、再び 産重量)1,658(kg-CO2/t)から 09 年の 1,468(kg- 04 年度比 47%まで削減できた(生産重量原単位で CO2/t)への改善が図られた(図 1)。 は 07 年 66%、09 年 63%削減)(図 2)。 写真 1 省エネ アルミ溶解炉 図 2 年間廃棄物総量と生産重量原単位 また、サーマルリサイクルからマテリアルリサイ クルおよびリユースへ切り換えとリサイクルの質の 改善を行っている。 (5)土壌汚染に関するリスク調査と予防活動 近年、土壌汚染による環境破壊の報道が後を絶た ない。発生すると近隣住民への被害が大きく、また、 対策も容易ではない。このため当社では、操業前 からの土地利用の履歴調査や生産活動によるリスク を洗い出し重要と思われる事項について予防活動を 図 1 CO2 排出量原単位と生産重量 行っている。また、地形を考慮し観測井戸を設置し、 今までの生産活動で汚染がないことを確認した。今 後も継続して水質測定を行っていく。 (4)廃棄物排出量削減 廃棄物は、工程排水の処理で発生する汚泥、廃油、 (6)グリーン購買、購入 廃プラスチックの順に多い。04 年の年間排出量は、 当社では、生産に係わる資材・副資材等の調達を 254t であった。05 年に排水処理設備の更新(写真 2) グリーン購買、文具・事務用品等のオフィス使用の と薬品使用量の最適化、工程での水漏れ改善による 物品の購入をグリーン購入と定義づけている。 排水処理量削減により 04 年比で 07 年に 57%減。 写真 2 排水処理装置 図 3 グリーン購入率 Vol.51(2010)No.12 SOKEIZAI 61 ① グリーン購買 06 年 エア洩れ改善による電気使用量削減 ガイドラインを制定し環境保全に積極的な委託 07 年 排水処理リスク評価 先から環境負荷の少ない製品を調達している。ま 08 年 コンプレッサ電力使用量削減 た、委託先との勉強会を企画し ISO14001 または、 09 年 廃切削油リユースによる廃棄物削減 エコアクション 21 を 2015 年末までに主要委託先 100%取得を目指し活動している。 (9)周辺との調和等 ② グリーン購入 工場周辺住民からの潜在苦情を明確にするために 事務用品、用紙、オフィス家具等を分類して購 毎年、聞き取り調査を行い対策している。 入率目標を定め、環境配慮製品の購入を推進して また、山形県や白鷹町主催の環境ボランティアに きた。活動当初は、50%にも満たなかった購入率が 加入し年間 5 ∼ 6 回計画・実施(写真 3)し、地域 09 年には 99%まで上昇(図 3) 。今年度上期は全分 住民からも喜ばれている。従業員の関心も年々向上 類においてグリーン購入率 100%を更新中である。 し 2009 年度は、延べ参加人数 275 名、年間 1 回以 上参加した社員の割合が 82%と高くなっている。 (7)環境教育(意識改革) 全社員対象での環境教育を毎年実施している。 また、東京商工会議所主催の『エコ検定』や当社 独自の『エコライセンス』の受験を推奨しており、 合格者が社員の 29%に達している。 (8)グリーン大会での報告と情報交換 アーレスティグループの各工場が毎年、環境改善 活動を報告し知識の共有化と意見交換を行っている。 当社では以下の報告を行った。 05 年 排水処理汚泥削減と水質改善 写真 3 フラワーロードボランティア風景 4.経営への寄与 環境会計による環境保全コストの把握と情報の開 環境活動を通して、産業廃棄物処理費用の大幅削 示を行っている。 減および、電気・燃料費の削減効果が出ている。 5.人、設備、生産活動の現状 ・従業員数:234 名 ターニングセンタ 9 台 ・生産量重量:4,919 トン(2009 年度) NC 旋盤(2 軸を含む) 18 台 ・主要設備: 自社製作専用機 18 台 ダイカストマシン 135 トン∼ 500 トン 22 台 ・試験設備:デジタル X 線画像処理装置、分光分析機、 マシニングセンタ 75 台 金属顕微鏡他 6.将来展望、抱負 アルミダイカストをコア事業としている当社では、 鉄に比べて比重が 3 分の 1 というアルミの特色を活 かして今後増加するハイブリッドや電気自動車など の軽量化にますます貢献したい。新しい技術や既存 技術の高度化により克服すべき技術課題などに対し て挑戦して環境対策に貢献して行きたい。 62 SOKEIZAI Vol.51(2010)No.12 株式会社 アーレスティ山形 〒 992 - 0832 山形県西置賜郡白鷹町大字荒砥乙 65 TEL. 0238 - 85 - 5233 FAX. 0238 - 85 - 0149