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消化器検診中央委員会だより 号外
H25 年 5 月 27 日 は じ め に 本県の消化器がん検診の最大の課題は大腸がん検診の精検受診率がなかなか上げられ ない事です。そこで今回、県医師会消化器検診中央委員会では、このテーマを号外として 取り上げることにしました。集中してこのテーマを考えていただいたうえで改善してい ただきたく、多くの方に無理を言いながら寄稿していただきました。それも無償で。 この号外は大腸がん検診における精検受診向上の諸対策と、苦痛のない大腸内視鏡の 挿入法との 2 分野で構成されています。向上対策の部分では様々な工夫にご注意下さい。 尐しの違いが大きな成果として現れてきています。地域も職域検診も各々の問題点を抱 えながらも精検受診勧奨に精を出している姿が見えます。内視鏡の部分は大腸がん検診 にとって大切な勘どころですので、医師以外の方々にはご了解をいただきたいと思いま す。多方面の方々のご協力もあり、懸案である大腸がん検診の精検受診率向上に向けて の広い意見をいただき、実りある号外が出来たと考えています。どうぞご自分の活動す る分野をどのように改善すべきかを考えながらお読みください。 1. 山形県の精検の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2p 2. 上山市の精検の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4p 3. 鶴岡市の精検勧奨の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・5p 4. 尾花沢の精検の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6p 5. ユトリアの取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7p 6. 本県の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8p 7. 精検受診勧奨法(地域) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10p 8. 精検受診勧奨法(職域) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12p 9. 安全確実な大腸内視鏡挿入法・・・・・・・・・・・・・・・・・・14p 10. 書籍紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23p 11.あとがき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24p 1 成 21 年度には 2 日間陽性者にも同様の扱いと 山形県の大腸がん検診の精検受診についての 問題点 消化器検診中央委員会委員長 芳賀陽一 山形県の平成 23 年度の大腸がん検診の対象 人口(40 歳以上)は 719,158 名、受診者数は住 民検診 132,375 名、職域検診 123,852 名の計 256,227 名、県内 40 歳以上人口に占める受診 しました。さらにこの時点で大腸がん検診精 密検査医療機関一覧の公表を行ってきました。 しかし大腸がん検診の精検受診率は個々の自 治体では増加しているところもありますが、 全体としてはほとんど増加せず諸対策の効果 が明らかには表れておりません。 その中で結果が届く時期に合わせた電話・ 訪問による勧奨は最も有用な手段の一つと考 えられます。便潜血 2 日間陽性者のがん発見 率は 35.6%でした。要精検率は 5.8(以下住民、 職域の項で 6.5, 5.1)%、精検受診率は 68.3 (75.9 , 57.8)%、発見大腸がんは 276(202, 74) 例、がん発見率は 0.11(0.15, 0.06)%でした。 国立がん研究センターがん対策情報センター の住民検診の統計では 2010 年の受診率は全 国一ですが十分とはいえず、精検受診率は高 くはありません。県全体の平成 23 年度の精検 受診率は前年度より 1.2%増加しており住民検 診・職域検診ともに増加しましたが、それ以 率が高いのですが、2 日間陽性者で陽性強度が 強くなるほど精検受診率が低いことから、便 潜血 2 日間陽性者に対し一次検診後 3 日以内 に訪問や電話で早期(至急)の受診勧奨を行う こととしました。自治体別の精検受診率は年 度による変動が大きく、町村については医療 機関の存在などによる影響が大きいと思われ、 人口規模の大きい市について検討すると新庄 市と山形市において経年的に増加してきてお り、その勧奨内容が参考になります。 前の年度と比較すると明らかに増加している とはいえません。平成 23 年度の精検非受診者 が精検を受けたとすると、発見されるべき精 検非受診大腸がん患者数は 128(発見される患 者の 32%)に上り、40 歳以上の当該人口全員 が検診を受けると、発見される大腸がんは 1,135 名と推定されます。精検受診率をさらに 向上させ発見されるべき大腸がんを一人でも 多くすることが重要な課題です。 新庄市では精検受診勧奨は今まで 3 か月後 に行っていましたが、平成 20 年度から結果が 受診者の手元に届く時期に電話や訪問による 勧奨を行いました。また 3 か月後に精検未受 診者に受診勧奨の手紙を出しており、さらに 4 ~6 カ月後に精検未受診者に受診勧奨の電話 を夜間に行っていました。山形市では精検受 診率向上への具体的な取り組みとして①至急 受診勧奨(検診の約 1~3 日後) :平成 23 年度 精検受診率向上の取り組みとして山形県医 師会消化器検診中央委員会では大腸がん精検 受診対策ワーキンググループを組織して、低 迷する精検受診対策を検討しています。平成 18 年度から精検受診勧奨リーフレットを作成 し、検診結果報告書への同封を開始しました。 中央委員会と県でこれらのリーフレットを県 内の全地域で用いるように勧めてきました。 次に平成 20 年度から便潜血反忚強陽性者に対 から至急の受診が必要と判断された便潜血 2 日間陽性の要精検者に対し、保健師が家庭訪 問や電話による受診勧奨を行いました。特に 重複未受診者、便潜血+++は、早めに訪問し受 診勧奨を徹底しました。②精検未受診者へ受 診勧奨文の郵送(一次検診から約 3~4 か月 後) :健康課に回報書が届かず、精検未受診と 思われる方を抽出し、精検受診勧奨文を郵送 しました。がん予防に関するパンフレットも し至急の精検受診勧奨を全県的に実施し、平 同封しました。届いた時点で折り返し健康課 2 へ連絡をもらうようにし、状況把握をしまし る」「医師に相談する」と答えなかった人に、 た。③上記で連絡のない人へ家庭訪問または 電話(一次検診の約 4~5 か月後頃):②の方 法で受診状況が確認できない人へは、保健師 が家庭訪問または電話で精検受診状況を確認 しました。 同じ勧奨でもやり方次第で効果に差が出る と思われます。勧奨の際の大切なポイントと しては、精検勧奨の至急受診勧奨は検診直後 に行い「心配しているということを伝えるこ その理由を質問したところ、以下の通りとな りました。検査に時間がかかりそうだから 25.0%(17.0%)、いつでも医療機関を受けられ るから 19.4%(16.1%)、痛くて辛そうだから 19.4%(14.9%)、がんが見つかるのが怖いから 16.7%(15.2%)、自覚症状がないから 13.9% (25.6%)という結果でした。また、痛くて辛そ うだからという回答が 19.4%と多く、全国の 14.9%に比較しても多くなっています。精検 と」です。また未受診勧奨は遅すぎないよう に行い、電話や訪問などで直接指導すること が大切で、個々の状況をふまえて丁寧に説明 し受診勧奨をすることにより効果を上げるこ とが可能です。勧奨で断られた時の対処法と して精検勧奨では最後に必ず「行ってみて下 さい」で結ぶことを心がけることも大切です。 県全体に拡大させるためにも、このような要 点を網羅した勧奨用対忚例集などを作成し参 考にしていただくことも必要と考えます。 をためらわずに受けてもらうためには、苦痛 がなく高精度で安全な大腸内視鏡検査の提供 は欠かせません。挿入方法についての講演会 などを通して、積極的に技術を習得していく 必要があります。平成 25 年 3 月 23 日「大腸 内視鏡挿入法-基本手技と挿入困難時の対忚 策」の演題で県立中央病院消化器内科・内科 部長の武田弘明先生からご講演いただきまし た。30 名弱が出席して NHK・YBC・YTS の 取材も入りました。襖開けの要領で入ってい NPO 法人ブレイブサークル運営委員会は、 平成 24 年 3 月から 4 月にかけ、大腸がん検診 対象世代である 40 代~60 代の全国男女に大 腸がん検診に関するインターネット意識調査 を実施し、その詳細を 2013 年 3 月 6 日に発表 しました。山形県内での結果は以下の通りで、 ( )内の数字は全国の調査結果です。「一次 検査の便潜血検査で陽性(要精密検査)とな った場合どのように対処しますか?」という くことが基本で各部位を通過する時のコツも 含めて、多数の動画を見せていただきました。 さらに先端フードの有用性、Natural CF の概 念、上部内視鏡使用の有用性、内視鏡の機種 による特性と各状況による使い分けをはじめ として、分かりやすく解説していただきまし た。詳細は武田先生が本誌に掲載されており ますのでご覧ください。今後各地域でもご講 演いただいて更なる精検受診向上に役立てて 設問の解答は以下の通りとなりました。精密 検査(大腸内視鏡検査等)を必ず受ける 62.0% (61.4%) 、医師に相談する 26.0%(25.4%)、 しばらく様子をみる 5.3%(4.4%)、特に検査を 受けようと思わない 3.7%(3.9%)、何もせず、 翌年も陽性となれば精密検査を受ける 2.7% (3.3%)、自覚症状がでたら精密検査を受ける 0.3%(2.0%)でした。 大腸がんの精密検査を受けない理由として いただきたく思います。 個々の対策についてみると有用性が確認さ れているものも多くみられます。しかしいず れの対策をもってしても、全県的に受診率お よび精検受診率を上昇させることは容易では ありません。有効な手段を組み合わせて、熱 意をもって地域・職場に合った対策を実践し、 行政や企業、検診機関と綿密に協議・連携し ながらさらに啓発活動を行っていく必要があ 「精密検査(大腸内視鏡検査等)を必ず受け ります。 3 地区の公民館等で検診が行われる前に保健 上山市の大腸癌検診の現況について 消化器検診中央委員会委員 吉井英一 4 月に入り暖かくなり桜の花も咲き始めて きました。いつもと変わらず日常診療に追わ れている折、副委員長の松田徹先生よりメ- ルが届きました。上山市は以前から大腸検診 での要精検者の精検受診率が高くその原因を 師がスライド等を使って過去の検診結果やが ん検診の重要性の説明や質問を受ける時間を 設けているようです。集団教育として受診者 にがん検診を奨励しているわけです。要精検 者には大腸精密検査が必要である趣旨の手紙 が郵送されますがパンフレットが同封されま す。病気が隠れている可能性があるため自己 判断せずに(自分で痔や便秘のためと決め付 ける方がいる)専門の医療機関を受診するこ 究明し報告せよという内容でした。さて、普 段からあまり深く考えておりませんでしたが 俄かに興味が沸いてまいりました。何からア プロ-チをすべきかと考えた挙句、市の保健 師さんに話を聞いてみることにしました。 ちなみに上山市における平成 21 年度から 23 年度までの大腸癌一次検診(便潜血)受診 者数は 2,718、2,981、3,450 人と増加傾向に あります。ただし一次検診受診率は各 22.4、 27.4、39.4%と右肩上がりではありますが山 となどが説明されています。市内で大腸内視 鏡が可能な医療機関の案内書、二日間潜血陽 性や(+++)の方はなんらかの異常がある可能 性が高いため、早めの受診を勧める内容です。 また回報書を集計し未受診の方には手紙で受 診奨励を送っています。それでも受診がない 場合、電話で確認を取っているとの旨でした。 正に水一滴も漏らさぬ構えといったところで しょうか。未受診の理由としては病気が怖い、 検査が怖い、自己判断、忙しい、お金がかか 形県平均の 33.5、34.9、36.2%と比して平成 21 年および 22 年度は下回っています。一次検 診での要精検率(便潜血陽性者)は各 6.0、6.8、 6.5%で他地区や県全体と大きな差はありま せんが精密検査受診率になるとそれぞれ 88.3、 77.3、83.9%となっており県全体の 76.7、75.7、 76.0%あるいは他の地域と比較してもトップ クラスの受診率を誇っております。平成 22 年 度の精検受診率が 10%程度低いのは東日本大 るなどなど様々なようです。中には怒ってし まう方もいるそうで御苦労なことと思います。 こういった受診奨励は一朝一夕では奏功し難 く根気強く地道で丁寧な説明を続けなければ 浸透していかないだろうと感じます。上山市 では保健師が 10 名体制ですががん検診専任者 は 2 名のみとのことでした。尐ない戦力でこ れだけの成績をあげているわけで 2 名の保健 師のプロ意識は相当なものと感服しました。 震災の影響があろうかと推察されるところで す。 尐しうれしくなってきましたが話を進めま しょう。4 月 18 日午後に約束をした上山市役 所の保健師さんとお会いしてヒントを探りま した。ベテランの遠藤美雪さんと今年入った 新人の加藤諒君のお二人でした。上山市とし て特別に何かしているわけではないと謙遜す る両人でしたがいろいろ工夫はしておられる 精密検査に携わる側としてはなるべく苦痛 が尐なく正確な診断を行うこと、検診状況の 把握と蓄積のための回報書提出の徹底、更に は受診者への丁寧な結果説明が今後につなが るものと再認識した次第であります。 以上、当初の精検受診率の高さについての 疑問を解く鍵になるか微妙なところもありま すが上山市の大腸癌検診の現状について御報 告させていただきました。他地区での問題点 ようです。 や新たな取り組みなどがあれば教えていただ 4 きたいと思っております。 鶴岡市では、がん死亡率が山形県、全国よ りも高く、特に 64 歳以下のがん死亡者数が増 た精検勧奨に平成 24 年度より大腸がんを加え 強化しています。 その結果、大腸がんの精検受診率が向上し ていることから、本市の精検勧奨フローに基 づいた取り組みの途中経過について紹介いた します。 <精密検査勧奨フロー> ① 特急扱い電話勧奨…結果到着後 3~4 日以 内至急対忚(地区担当保健師) 加傾向にあることから、平成 22 年度鶴岡市が ん検診受診向上対策検討委員会を設置し、そ の提言に基づき平成 23~24 年度特に受診率 の低い働きざかりの受診向上に取り組むとと もに、精密検診受診勧奨の強化を図っていま す。 早期発見・早期治療のためには精密検診(以 下「精検」)該当者が精検をきちんと受診する ことが最も重要ですが、本市の精検受診率は、 胃がん検診 82.7%、大腸がん検診 70.4%、肺 ② 検診受診 2 か月後…大腸未受診者への日中 電話勧奨(地区担当保健師) ③ 検診受診 3 か月後…大腸未受診者(日中未 連絡者含む)への夜間電話勧奨 (業務担当保健師) ④ 検診受診 4 か月後…特急扱い未受診者勧奨 (日中:地区担当、夜間:業務担当) ⑤ 検診受診 5 か月後…全がん未検診者への通 知勧奨 この、フローに沿って行った平成24年4 がん検診 78.0%、子宮がん検診、69.1%乳が ん検診 85.0%(H23 年山形県がん検診成績表) であり、特に大腸・乳・子宮がんの精検受診 率が低いことから、乳・子宮がんを中心とし 月~7月までの大腸がん精検対象者への受診 勧奨結果について表にしたものです。 鶴岡市大腸がん精密検診受診勧奨の取組みに ついて 鶴岡市健康課 増田富美子 勧奨後 勧奨時把握状況 電話勧 5か月通 大腸が 大腸が 5か月後 総受診 大腸が 2か月後 3か月後 連絡つ 精検 奨後受 知勧奨 精検総 ん精検 ん精検 通知勧 者 ん精検 日中電 夜間電 かず 勧奨者 診者 後受診 受診者 受診者 未受診 奨者 F+H ③ 既受診 未受診 対象者 話勧奨 話勧奨 C A+B E 者 G ①②③ ① 者 F [(F+H) 者 ② 者 D A B (E/D) (F/D) /E] 794 290 504 408 69 81.0% 13.7% 27 477 238 5.4% 94.6% 239 69 28.9% 170 42 111 639 17.6% 46.4% 80.5% H25.3 月現在 <大腸精検未受診者の実態(電話受診勧奨時 聞かれた声等)> ・はい、受けます。 5割 ※約 120 人 ⇒ 電話勧奨後受診者 69 人 ・痔などがあり主治医と相談しているので…。 2割 ・昨年精検を受け大変だった。 1割 ・自覚症状なく引っかかったことなし。近く ドックを受けるので精検は受けない。 1割 本市では、電話勧奨マニュアルは作成して いませんが、以下のことを考慮し行っていま す。 ・忙しいのですぐには行けない。 <電話による精検受診勧奨時の留意点> 1割 5 ・個人情報であるためなるべく本人と話すよ の電話勧奨ではなく、もっと早い時期からの うにする。 ・精検の目的や大切さ、早期受診の必要性に ついてわかりやすく丁寧に伝える。 ・本人不在の際には、何時頃に帰宅するかを 家族より聞き、その頃に再電話をする。 ・本人が不在で家族と話した際は、電話をし た主旨や精検の早期受診の必要性、状況によ っては本人より改めて市へ連絡をもらいたい こと、その際の連絡先、担当者名をきちんと 勧奨など、再検討の必要性を感じているとこ ろです。 特急扱い者については必ず精検受診 100% 達成するという意識を保健師全体で持ち、地 区担当、業務担当保健師の連携を図り取り組 んでいくことが必要であると考えているとこ ろです。 伝える ・夜間の電話は 18 時~20 時頃までとし、あ まり遅い時間にならないようにする。 <結果> ・検診受診 2 か月・3 か月後の精検受診勧奨時 に、約半数が既受診者であることが分かった。 ・夜間電話勧奨により、日中連絡がつかない 対象者への勧奨ができました。 <成果> ・日中及び夜間電話勧奨で約3割が精検受診 -尾花沢市における精検受診について- に繋がりました。また最終 5 か月後の通知勧 奨では約 1 割が受診に繋がり、全体で 4 割が 受診しています。 ・途中経過ですが 4 か月間の取組みによる精 検受診率は、7 割から 8 割に向上しています。 <課題> ・回報書が返送されていない人への受診勧奨 結果で、約 5 割が既受診者であったこことか ら、回報書の返送が精検実施医療機関から速 潜血反忚陽性者には結果の郵送の時に精密検 査受診勧奨案内を同封しています。ただ、こ れは胃・肺がん検診と同じ書式で、大腸がん に特化した案内ではありません。また県医師 会消化器検診中央委員会で作成したパンフレ ットを同封しています。近年、県のホームペ ージで大腸がん検診の精密検診を行う医療機 関の公表が行われていますが、これを同封す るかどうかについては医師会との相談が必要 やかに行われることが望まれます。今後、医 師会と連携・調整が必要と思われます。 ・未受診者の中には特急扱いが 6 人おり、フ ロー最終 5 か月以降も電話勧奨を続けている ものの、「近くドックを受けるから」「自分は 大丈夫」など、受診の意思がなく働きかけが 困難な事例があります。 このように成果が上がっておりますが、課 題も見えてきていることから、特急扱い人の と考え、未だ実施していなかったとの事です。 また、年2回ほど、未受診者に郵送で精密検 査の受診勧奨は行ってはいたそうです。さら に対象者は農業が多いこともあり、農閑期な どの時期をみて、場合によっては電話による 勧奨も行ってはいたそうです。ただ、体調の 変化がないことなどから、受診をためらって いる方もいるなど、精検受診意識の低さを懸 念していました。また案内用紙に新しさが無 フローについては、現在の至急対忚 4 か月後 いなどから、複数回陽性の方への受診勧奨に 消化器検診中央委員会委員 成沢信之助 今回、尾花沢市は検診に熱心で大腸がん検 診受診率は高いのに、精検受診率が低いのは 何故かとの疑問があり、市に問い合わせ等を 行い、以下のような状況と今後の課題を挙げ てみました。 先ず、平成 23 年度までの取り組みです。便 6 も新しさをいかに盛り込むか思慮中のようで てゆかなければならないと考えています。当 した。さらに医師の中には痔だろうとか、便 潜血の再検で済ませてしまう方も見受けられ ることがあるなどの問題もありますが、積極 的な医師会との相談に躊躇しているのが実情 でした。 市では、平成 24 年度には以下のような対策 を行い、平成 23 年度に 68.8%であった精検受 診を平成 24 年度には 76.5%と、7.7%ほど上昇 させたとの事です。すなわち、①潜血反忚が 地域は大腸内視鏡が得意な医師も多く、低精 検受診率を行政とともに改善することは難し くはないと確信しています。 +2、+3 以上のハイリスク者に、結果到着に 合わせて電話による受診勧奨を行ったそうで す。農家が多いためか、仕事で不在の場合が 多く、主に昼休み時間に実施しているとの事 でした。②3 ヶ月を過ぎても回報書が市に戻ら ない場合には郵送によって受診勧奨を行い、 それでも回報書がいただけない場合には、2 回目の通知も行ったそうです。この数は各々 215 名、67 名とのことでした。このような対 策の結果、受診率は高いものの、何時も県内 1)受診方法と受診率の経緯 平成 24 年度のユトリアグループ精密検査受 診率は胃がん 70.4%・大腸がん 71.0%です。 まだまだ低い数値ではありますが尐しずつ改 善傾向にあります。 ユトリアグループでは、会社・労働組合・ 健康管理センターの三者で「健康管理推進要 綱」を決定し、健康管理に関する運動目標を 毎年決めています。平成21年度に精密検査 受診率の調査をしたところ、胃 60%・大腸 の市の中で精検受診率が低いと嘆かなくとも 良い成績を上げることが出来ました。ただし、 市では未だ対策が不十分とのことで、今年度 も昨年度同様の①、②を実施するほかに、要 精検者への案内書の内容を検討し、インパク トのある内容のものを作る予定だそうです。 さらに新規ですが、今までの精密検査の履歴 を調べ、未受診者への家庭訪問等を予定して おります。これらの熱意が実を結んで、さら 50%台と低い数値が浮き彫りになり、平成 22 年度からは「消化器検診精密検査受診率 100%」の目標を掲げ、努力を始めたところで す。 平成9年頃まで一次検診機関で二次検査が 可能でしたので、予約を取り、検査料金も健 康保険組合負担で行なっていました。この頃 はもちろん精検受診率はほぼ 100%。しかし、 検診機関で検査が出来なくなった事と、予算 に精検受診率が高まるだろうと期待していま すが、なかなか回報書をいただけない医療機 関への気軽な問い合わせも必要と話し合って いるとの事です。 なお本県の、回報書の“他の 6”という頄目 に、先ほどの便潜血反忚再検などをおこなっ てしまう医師もいるものと考えられます。当 医師会として消化器専門の医師以外の方にも アナウンスはいたしますが、さらなる市民・ 的に厳しくなったことから、2次検査を個人 管理としました。精密検査が可能な医療機関 の紹介・検査料などそのつどお知らせしてい ましたが、従業員からは「冷たくなった」と 言われたものです。社員の中には検診を「受 けろといわれるから受けている。」と捉えてい る人が多いのかもしれません。予約を取り、 検査料金を会社で負担すれば、受診率は飛躍 的に上がると思われます。しかし、退職した 医療者への正確な大腸がん検診の実施を訴え 後のことを考えると誰かがお膳立てしてくれ 意識改革と受診率向上の為に ユトリア健康管理センター 村形祥子 7 るから受けるのではなく、自分の事として、 まってはいないのか?ということです。問診 感じて行動してもらいたいという思いがあり ます。 2)「健康管理も仕事の一つ」 これは以前、私の前任者が社員健康教育の 際必ず話していた言葉です。 「仕事が忙しいか ら、健康診断を受けられない・二次検査に行 けない・治療が出来ないなど、働く社会人と して、自己の健康管理は基本なのだから、仕 事を言い訳にするな。」ということです。社員 票には「治療中の方はそれぞれの医療機関で 経過を見てもらってください」との記載はあ りますが、 「ポリープがあるけど、小さいから 様子見ましょう。」と医師に言われた人が、翌 年も一次検査を受け精密検査指示がでる。ポ リープがあるのに一次検診を受けてしまって いる。本人に聞くと医師に何も言われなかっ たから。こういう人が思った以上にいます。 精密検査該当になった方には、医師に「今後 は自分の健康を大切すること。管理職が自分 の健康を管理するのは当たり前、加えて部下 の健康も意識すべき。そして張り切って仕事 をする一方、常に健康に関心を持ち続けて欲 しい。と言うのが願いでした。 3)受診率回復への取り組み 現在、精密検査指示の出た方には「受診報 告書」を 1 ヶ月~2 ヶ月以内に提出してもらう システムをとっています。また報告書には「期 日まで連絡なき場合は上司報告させていただ は消化器検診をどうしたら良いのか」も必ず 確認してくるようにしたところ、個々の状況 に忚じた指示をしていただけるので該当者数 が減り、率の上昇につながりました。 4)おわりに 会社にとって、必要のない人はいません。 長欠者が出ると、休んでいる本人はもちろん、 その方をカバーする周囲も大変です。ですか ら、早期発見→早期治療→早期職場復帰が願 いです。二次検査を渋る理由は様々です。話 きます」の一文を盛り込んでいます。健康管 理センターだけでなく、会社も巻き込む形を とることで、効果はでています。 検診結果は個人封筒に入れ、社内メール便 で送ります。ただし、特急扱いのものに関し ては、可能な限り直接手渡しをしています。 相手の都合に合わせるので、朝の7時であろ うと 20 時であろうと伺います。とにかく出来 るだけ早く面接することを心がけています。 を聞き、ひとつひとつ解消し「言いたいこと はわかりました。でも、行ってくださいね」 と受診勧奨し続け「二次検査は必ず行くもの」 という風土をつくって行きたいと思っていま す。 本県の精検受診の現状と課題 消化器検診中央委員会副委員長 通常と違う時間帯に会社訪問することにより、 上司も本人も重く受け止めてくださるので、 早急に勤務調整し受診へとつながります。も ちろん、急いだ割に特に病気が見つからない こともありますが、また同じケースが出た場 合、同じよう早期受診させてくれます。こう いう風土は長年培われてきたからこそと思っ ています。 受診率を考えるとき分母も大切であると感 本県の大腸がん検診受診率は尐なくともわ が国の中では優良な成績を上げています。し かし、その精密検査受診率はさほど誇れるも のではなく、その実態について述べます。 1)精検受診の現状 本県の平成 19 年度~23 年度の地域大腸が ん検診の精検受診率は各々74.4%、74.3%、 じています。受ける必要のない人が受けてし 76.7%、75.7%、76.0%でした。諸対策にも関わ 8 松田 徹 らず、せいぜい 1.5%程度しか改善していない 2)地域検診の課題 のが現状です。一方、消化器がん検診学会で まとめている全国集計値と比較してみます。 平成 22 年度の大腸がんの精検受診率は北海道 が高値を示し 70.4%、次いで東北の 67.3%、最 低は東海北陸の 39.8%で、全国平均では 52.3% でした。我が県は東北のなかでは 4 番目で、 高い項に青森 70.9%、岩手 69.7%、福島 65.8%、 山形 65.8%、秋田 64.5%、宮城 64.1%でした。 決して高い精検受診率をほこっているとは言 ポイントを押さえた対策はハイリスクアプ ローチとしての便潜血強陽性と連日陽性者へ の精検受診勧奨です。市ではなく町村の場合 には、人数そのものが尐ないために精検受診 率の変動が多かったりもします。それでも複 数年にわたり、低値を示す町村には何らかの 原因があろうかとも考え、3 町(平均精検受診 率 57%)に質問を行いました。その結果、陽性 者への通知の際に本委員会作成のパンフレッ いがたい状況です。同学会が集計した同年度 の全国の地域大腸がん検診の精検受診率は男 性 69.2%、女性 74.0%で、男女合計で 71.6%で すが、本県の県庁による集計によれば男性 71.4%、女性 80.9%で、男女合計で 75.9%でし た。やはり平成 22 年度、職域では全国値で男 性 36.8%、女性 37.2%で男女合計では 36.9%で すが、我が県独自に収集している職域の平成 23 年度の精検受診率は男性 54.8%、女性 64.2% で、男女合計で 57.8%でした。全国値のほうは トは 3 町とも同封していました。また精検受 診医療機関のリスト同封は 2 町で行っていま した。便潜血強陽性と連日陽性者への特別な 精検受診勧奨は2町で行っていましたが、即 時性をもった勧奨は 1 町で保健師が訪問を行 い、1 町は通常の陽性者よりやや早めの 2 ヵ月 後にアプローチをしていました。さらに通常 の未受診対策としての精検受診勧奨は行って はいるものの、約 3 ヶ月目というのが 2 町、 時期は決めて行ってはいないのが 1 町でした。 学会集計値ですので、行政的に集めるデータ とは異なることにはご注意ください。全国値 に比べると、だいぶ良さそうには見えますが、 地域がん検診との差は大きく、男女計で 17% も务っています。さらに職域の胃がん検診の 精検受診率 68.7%より 10%は低く、特に大腸が ん検診の精検受診向上が急務です。 特に若い人の精検受診率が悪いだろうと予 測されます。確かに我が県のデータでは男性 その後追加受診勧奨を行っているのは 2 町で した。この勧奨を対面で行っている町は1町 でした。その他、すべての町が町立病院を持 っていますが、病院との精検受診についての 調整なども可能なのではないでしょうか。一 部には医療機関からの結果の報告が遅く、町 としてもさらなる努力が必要と考えられると ころもありました。 3)職域検診の課題 の地域がん検診では 40~44 歳と 60~64 歳の 精検受診率は 12.3%の差、同様に女性では 16.6%の差が認められました。一方、職域では 男性では逆に若年者の方が 1.7%高く、女性で は高齢者の方が高く 5.6%の差が認められまし た。これらから地域と職域では何らかの意識 の差があるか、受診勧奨が行われた結果であ るとも考えられます。ただ、いづれにしても すべての世代に丁寧な受診勧奨策が必要だと また、職域がん検診の精検受診について、 今回の活動を通じて得られた課題について述 べます。職域で、産業保健師を抱えるような 大手は、一様に高い精検受診率を誇るところ が多いと考えています。ただ、そのような方 がいらっしゃっても、なかなか精検受診率が 高く維持出来ないところもあります。そのパ ターンには2つあると考えられます。1番目 に保健師あるいは人事サイドの力が弱く、会 は言えます。 社の中で精検受診を強く要求できない場合が 9 あろうと思います。担当者の気持ちはあるの 職域の場合には職場と精検受診機関が他地域 ですが、社内でコンセンサスが得られないパ ターンです。これらの場合には首長教育、担 当所属長教育などが必要な場面もあるでしょ う。その他に、産業医の有効利用も大切です。 産業医に現状を訴え、他社に比して自分のと ころの成績が不良なことを強く訴えてくださ い。担当者の方は講習会参加などの復命書を 書くだけでなく、口頭で職場の管理者に精検 受診の必要性を伝えてください。その他、会 になる場合があり、医師会からの報告により 県のホームページに担当医療機関を公表して いるわけですので、活発な利用をお願いいた します。 ここからの2題は精検受診勧奨の 方法を示しています。 社の管理部門が別地域にあり、単なる出先の 扱いとなっている場合がありますが、こうい うところでは、がん検診は誘うのですが、精 検受診勧奨や結果の収集を行わない場合があ ります。職員の健康保持目的に行うがん検診 ですので、地域の考えを伝えて自治権をもら い、精検の結果掌握と受診勧奨は必須と考え てください。この文章がこういう職場の担当 職員の眼に触れて改善が図られることを願う ばかりです。産業医も自分の関与する企業が がん検診精検の受診勧奨について 新庄市健康課健康推進室 加藤美喜子 大腸がん要精検者への対忚のパターンとし て 1 訪問による受診勧奨 結果データで 2 日間とも 3+(+++)の人には、 至急対忚として家庭訪問による受診勧奨を行 っています。 このような状況でないのかどうかを掌握し、 必要ならば行動をお願いいたします。 その他、そこそこの努力はするのですが、 努力不足のところがあるように感じています。 職域ですので、社員の顔は見えています。す ると3年連続陽性だった方、毎年生理に当た ってしまう方を抱えているなどという場合も あります。あるいは大腸ポリープで医院で経 過観察中の方なども同様です。改善の仕方は 直接本人にお会いすることで、精検に向けて、 より具体的なやり取りが可能となり、受診す る医療機関の選定への助言や、日時の設定な どを行うことで、受診のハードルが低くなる と感じています。訪問した場合は、総じて市 への回報書の戻りが早くなっています(24 年 度 1 月末 15 件 ) 熱意次第です。型のごとくに精検機関と受診 勧奨パンフレットの同封を行い、ある一定時 期に受診勧奨を口頭で伝える場合もあるはず ですが、なれっこになってしまって、恐ろし い担当職員の顔を捨てているような場合には 高い精検受診率は稼げません。人事部よりの 担当上司への指導などもご考慮下さい。いわ ゆる健診部門ではローソンのように管理職へ のボーナス支給もありますが、がん検診でも 未受診の場合に【受診勧奨のお便り】を郵送 します。 ○別紙【お便り】を参照下さい このような特典を持てれば嬉しいです。また、 いは、行きたくなかった理由を受容的、共感 2 検診日から 3 か月後と 6 か月後の時点で 3 検診日から 4~6 か月後の時点で未受診の 場合に【受診勧奨のお電話】をかけます。 (スタッフ 保健師 4 名 24 年度 3 回実施) 電話勧奨の際に心がけていること まずは相手の話をきき、行けなかったある 10 的に受け止めます。その上で、メリットを簡 ⇒早期発見のためにがん検診に力を入れ 単に説明させていただいています。また、心 配な事や不安に思うことあればいつでも相談 に乗ることを伝えています。 ○電話の時間帯:午後 6 時~午後 7 時 30 分 ・会社勤めの方も自宅へ戻っていると思 われる時間帯 ・家族も揃っている時間帯で、電話の内 容に関心を持ってもらい、仮に未受診 であった場合、家族で受診について具 ていることを説明しています。 精検検査頄目の不徹底 ・精密検査で便潜血検査をしたが、異常な かった。だから心配していない。 ⇒精検医療機関の周知と検査頄目(大腸カメ ラ)の徹底が必要です。 受診前の準備不足 ・2 日目は生理だったため、医師に相談した ら、来年に再度一次の検診を受けるよう 体的に精検の日時や受診先について話 し合いができればと考えています ・これ以降の時間帯は、飲酒や入浴など タイムになり、相手方に負担になると 思われます。 ○本人不在の場合 ・再度電話・・いつの時間であればご本 人様とお話ができるのかを家族に確認 します。 ・家族に伝言していただきます・・・ に指示された。 ⇒健診日が変更可能であることの周知 ⇒生理中の場合でも、精密検査をしていた だくよう医療機関への依頼 無関心・精検結果に対する恐怖感 ・特段の理由はなく未受診であった ・来年度、また精検が必要だったら、その 時は受ける予定 ・忙しくていけなかった(仕事優先) ⇒せっかくの精検のチャンスです。のちの 健康課から「早めに受診下さるようお 願いします。あなたのことを心配して います。 」といった内容を伝えていただ きます。 ○受診していない例として、電話により得 られた市民の声・・・ 誤った自己判断 ・ずっと便秘であったので切れたところ が出血したのだと思う。 ち悔しい思いは、お互いにしたくないも のです。 回報書に関する職種間の意識のズレ ・はがき(回報書)を病院に持っていかなかっ たので、電話確認で終了としたい。 ・はがき(回報書)は初回受診時に医療機関に 出している。返事がいっていないのは先 生が忘れているからではないか。 ⇒回報書の再発行 ・昨年、カメラを受け、潰瘍性大腸炎の 診断をされたので受けない。 ・痔があるので放っておいた。 ・最近まで入院していたので、いろいろ 検査したはずだから大丈夫だ。 ・昨年も同じく精検であった。昨年は精 検したが異状なしと診断されたため、 今年は心配していない。どうせ同じ結 果だと思うから。 ⇒医師に対する各機関からの再度のお願い (部会や健診機関・市町村) 以上、普段の取り組みとして行っている事 柄についてあげてみました。 ・何も症状がないので心配していない。 11 Ⅰ.大腸がん検診で、至急受診が必要と判断 された「要精検」の方に対し、検体の受け取 り後、約 2 日~4 日後に大腸がん検診の結果 を送付しています。大腸がん検診の結果と至 至急精検受診勧奨した方には3か月後に「精 密検査を受けられたかどうか確認」の文章と 返信用はがきを送付しています。また、精密 検査を受けていない場合は早急に受診する ことを勧める内容も文章に盛り込んでいま す。 Ⅲ.すでに精検受診が済んでいる場合には受 診した医療機関へ回報書の再発行を依頼し、 精検結果を把握します。 急精検受診を勧める文章に、精検受診の必要 性を記載したリーフレットと回報書を同封 し、基本ご自宅に送付していますが、一部、 健康保険組合に送付し、受診勧奨していただ いています。 Ⅱ.当センターでは、一部の健康保険組合を 除いた職域検診の方を対象にがん検診の受 診勧奨を行っています。回報書が医療機関よ り戻らず精検未受診と思われる方に対し一 Ⅳ.平成 24 年度からは、大腸がん検診で至急 精検受診勧奨しても、上記の返信用ハガキが 戻らない方に対しては、一次検診から 4~5 か月後に電話で精検受診状況を確認し未受 診の場合は受診勧奨を行っています。 Ⅴ.電話で勧奨する際の注意点 ・連絡先:自宅 ・時間帯:職域検診のため帰宅時間を考慮 し、午後7時から8時頃 職域大腸がん検診の精密検査受診勧奨 荘内地区健康管理センター健診課 伊藤陽子・渡部恵美 次検診から4か月後に、また大腸がん検診で ・内容: 12 「こちら、荘内地区健康管理センター 「精密検査が必要となった方すべての方が ○○です。○○さんはご在宅でしょうか」 「○○さんですね」(本人確認) 「検診のことで確認したいことがあってお 電話をいたしましたが、尐しお時間よろし いですか」 「○○さんには、○月に健康診断をお受けい ただきましたが、結果はご覧いただいてお りましたか」 「大腸がん検診である便検査で精密検査が 悪性の病気というわけではありません。たと え悪性でも早く受診すれば治療から復帰ま でも早く、治療費も安く済みます。遅くなれ ば、精神的にも経済的にも負担が大きくなり ます。早めに検査を受けて確認しましょう。」 ・注意点・本人の確認を行い、本人と話す(家 族が本人の検診結果を知っている場 合は話すこともあります。) ・相手に精密検査を受けなかった事情がある 必要となっていましたが、精密検査は受け ましたか」→(受けた場合は、いつ頃かと 医療機関を確認する) (受けていない場合)↓ 「検査結果と一緒にお送りしたパンフレッ トはご覧いただいておりましたか」 「○○さんの検査結果は二日分とも血液反 忚が出ており、大腸の病気の確率が高くなっ ています。また出血量が多いほど悪性の確率 も高くなりますので、是非、早めに精密検査 場合、否定的にならず話を最後までよく聞 くようにします。悪性の可能性があるので 大変心配している、是非精密検査を受けて ほしいと、気持ちをこめて話をします。 ・不在 :家族に本人と連絡を取れる時間帯 を確認します。つながらない時は曜日や時 間帯を変えて再度電話をします。 Ⅵ.精検受診率向上のため、平成 25 年度から は「精密検査を受けられたかどうか確認」の 文章を 1 ヶ月早く送付する予定です。また大 を受けてください。」 腸がん検診だけでなく、各種がん検診で日中 ~夜間に電話による受診勧奨を行う予定に しています。職域の検診を受けていただいて いる事業所に対し行っている連絡会議等で、 事業主や健診担当者にも精密検査受診の必 要性を伝えるなどし、今後も啓蒙を行う予定 です。 相手の反忚① 痔だと思う 「肛門近くにできた大腸がんと痔からの 出血を区別することはできません、また大 腸がんが最も多く見つかるのが肛門近く の直腸です。検査を受けて確認しましょ う」 相手の反忚② 症状がない 「たとえ悪性でも、早期の場合は自覚症状が ありません。検診で見つかった方は悪性で もほとんどが早期がんです。検査を受けて 確認しましょう。」 相手の反忚③ 以前精密検査を受けて、な んでもなかった。 「中には発育が速いがんもあります。主治医 の先生に相談してください」 相手の反忚④ 癌ではないかと怖くて受 次ページからは苦痛の尐ない内視 鏡の挿入法を示しています。 けられない 13 というテーマをいただきました。大腸挿入法 大腸癌検診2次検査としての安全確実な大 腸内視鏡検査を目指して はじめに 大腸癌が急速に増加しており、一般市民の 大腸癌検診に対する関心も高まっています。 に関しては著明な先生方の数多くの書籍が すでに世に出されていますが、それらを踏ま えつつ、これまでの経験を加えて、小生の考 える大腸内視鏡挿入法を述べさせていただ きます。表現は異なっていても実際の基本操 作としては著明な先生方と大きな違いはな いように思いますが、山本博徳先生(自治医 大)の感覚に近いものを感じております。大 腸内視鏡の操作は当然ながら個性が出ます。 大腸癌は罹患率において男女ともに2番目 に多いとされ、生涯のうち男性の8%、女性 の6%が罹患すると言われています。さらに、 女性では癌死亡原因のトップとなっていま す。大腸癌増加の背景には高齢化があること は勿論ですが、それ以外にメタボリックシン ドロームや肥満、さらには、飲酒・喫煙・肉 食などの食生活を含む生活習慣が大腸癌の 増加に大きく関わっています。大腸癌の予防 としては体重を抑制し、さらには運動量を増 また絶対の正解もないと思っています。しか し、基本は基本として忠実にまずはトライす べきですし、それでうまくいかない時には創 意工夫をこらしながら項次オプションを試 していくことになると思います。そして、時 には道具を変更してみることも必要になり ます。実際には細径スコープや上部スコープ の差し替えが功を奏することもありますし、 逆に硬いスコープが有利の場合もあります。 全般的に小生の挿入時の意識としては、“ス 加させるなどの生活改善が必要ですが、その 一方で大腸癌の早期発見(2次予防)のため の大腸癌検診も極めて重要です。 検診において大腸癌が発見されるために は、2次検査としての大腸内視鏡検査が安全 確実に行われなければなりません。大腸内視 鏡検査においては、苦痛なく全大腸を観察で きることが理想です。しかしながら、現実問 題としてスムーズに検査が完遂できる例ば コープを優しく無理せず操作することが、結 局は苦痛の尐ないスコープにつながる”とい うものです。そのため、他の先生方に比べて、 より細径でより柔らかいスコープを好む傾 向があります。なお本稿は、先日山形市にお いて動画を交えながら講演という形でお話 させていただいた内容をもとにしておりま すが、講演と異なり図の使用が制限されます ことをご容赦ください。その分、文章量が多 かりではなく、疼痛例や挿入困難例は尐なか らず存在します。そのような例にあっては、 スコープ挿入のスキルをさらに向上させる ことが求められ、苦痛軽減の工夫を行う努力 をしなくてはなりません。逐年検診が重要で あるとの観点から、“こんなつらい検査は2 度と受けない”と被検者に思われないように、 頑張らなくてはなりません。 今回県医師会より、苦痛の尐ない安全確実 くなりましたので、全編を隈無く読んでいた だくよりは、必要な箇所だけを拾い読みをし ていただいて結構かと思います。 それでは、苦痛をなるべく尐なく、安全で 確実な大腸内視鏡検査を目指していきまし ょう。 -挿入法の基本と挿入困難例への対応- 山形県立中央病院 消化器内科 武田弘明 1. 大腸内視鏡検査における基本事頄 な大腸挿入法を会員の先生方にお伝えする 無理のない内視鏡操作のために、いくつか 14 の絶対的な基本事頄があります。(表1)。 に開けることができれば、次の内腔が容易に 用手圧迫や体位変換、高度可変の使用につい ては、個々のパートで説明します。 見えるようになります(図2)。 (表1)大腸内視鏡検査 基本事項 1) 肛門から距離をおいて軽く持つ 2) 左右アングルも左手で積極的に活用する 3) 解剖学的特徴と個人差を把握する 4) 空気量をコントロールする 5) 先端キャップとスラロームテクニック 一般的には、スコープの先端を回転させて ヒダをアップ方向でとらえるようにして、プ ッシュ気味にヒダを越えることが多いと思 います。そうすることで腸の自然な形をくず すことなく、また腸に無理なねじれを作らず に挿入できます。勿論それでも結構です。し かしながら、この操作も万能ではなく、腸を 伸ばしながら進むことになってしまい、しば しば硬いスコープでは苦痛の原因ともなり ます。そこで、スコープをより直線的に進め たい、あるいは今の位置を動かさずヒダだけ 1)肛門から距離をおいて軽く持つ(図1) 肛門から30cmほどの位置を右手で軽く 持ちます。これが必須事頄の第一です。そう すると、左手の位置を変化させるだけでお尻 の外に容易にループを形成することができ ます。このループこそが先端の回転を容易に 作り出してくれます。シャフト自体を力一杯 ひねっても、先端は大して回転しません。外 ループを上手にコントロールすることで無 理なく右回転も左回転も同様に回転できま す。またループを自在にコントロールするた めには、検査台の高さを腰のあたりにするの がベストと思います。検査台が高すぎるとス コープの右回転が難しくなります。 開きたい場面には左右アングルが大いに役 立ちます。小生も左右アングルを積極的に使 用するようになり、挿入時間が短縮されたよ うに思います。 慶忚大学の矢作先生が以前教えてくれた ことですが、“内視鏡上達のために若い先生 には是非、左手のみで上下・左右のアングル を協調して操作することを覚えてもらうこ とが必要であり、スコープ先端でひらがなの “の”の字を描くトレーニングをしてもらう ことで上達が早まります “、とのことでし た。意外と難しいですが、是非チャレンジし てみてください。 2)左右アングルも左手で積極的に活用する 上下アングル同様に、左右アングルを積極 的に左手で操作することでスコープの操作 性が格段にアップします。スコープのたわみ 3)解剖学的特徴と個人差を把握する 今更ながら解剖の話で恐縮です。大腸内視 鏡検査の最中は、“現在どの部位にいて、ど のような操作が必要なのか”を常に意識して や位置を変化させずに目の前のヒダを自然 操作する必要があります。今どこにいるのか 15 を見失うと、多くの場合挿入困難に陥ります。 に利用してください。 直腸は固定されており、下行結腸と上行結 腸が後腹膜に固定されています。そのためS 状結腸は腹側と頭側へ伸びやすく、横行結腸 はそのまま押せばループを形成しやすくな ります。勿論ループは形成しない方がいいの ですが、苦痛がなければループを上手に利用 して、最終的にうまく短縮できれば、それで もいいと思います。 解剖とは別ですが、スコープを操作しなが 5)先端キャップとスラロームテクニック 賛否両論あるかと思いますが、是非先端キ ャップをつけていただきたいと思います。ス コープの操作性が格段に改善します。一度キ ャップに慣れるとキャップなしでの操作が 不安に感じられるようになります。 先端キャップの効用は、特に工藤進英先生 の言われるスラロームテクニックに現れま らいち早く大腸の個人差や特徴をつかむこ とが必要です。腸が極めて長い方もいれば、 腸はそれほど長くないのにS状結腸下行結腸 移行部(SDJ)が骨盤内に落ち込んで急角度 になりやすい方がいたりします。検査を進め ながら個人的な腸のバリエーションも把握 しながら適切な操作を心がけます。 実は、検査前からのイメージ作りも重要で す。スキーの回転競技では、スタート前にコ ースの下見をして攻略法を頭に入れること す。シャフトをなるべく直線的に進めていく ために、スコープの位置をあまり変えずに軽 いアングル操作とシャフトひねりの協調操 作でヒダをめくって次の内腔へ進むことを スラロームテクニックと呼びます。これもス キー競技から転用された言葉ですが、障害と なる旗をなぎ倒しながら(ヒダを開けなが ら)なるべく直線的に進むという感覚は理解 しやすいと思います。ひだを開く操作を工藤 先生は“スライドさせる”という表現を使い をインスペクションと言います。大腸内視鏡 検査でも、患者さんが入室したところから挿 入対策が始まります。体型(肥満・るいそう)、 年齢、男女、手術の既往、手術の種類、過去 の検査における難易度などをチェックし、こ んな入り方になるのかな?とイメージを作 ります。さらに病院であれば、細径スコープ にするか、さらには鎮静を加えるかなどまで 検討することになります。 ますが、小生は“ふすまを開ける操作”と称 しています。先端キャップの使用はスライド 感覚が身につきやすいと考えます。なお、こ のスラロームテクニックは、大腸挿入操作全 般で有効ですが、その中でもS状結腸から下 行結腸を攻略する際にとくに必要なものと 考えます。 4)空気量をコントロールする 挿入の際、空気は必要最小限として、内腔 が確認できる程度にとどめるようにしたい ものです。若い先生には、“送気をしない代 わりに送水で内腔を探すように”とアドバイ スしています。最近では、送気をしないよう にと、送気スイッチをオフにして挿入する先 生も時折見るようになりました。勿論、二酸 個々の部位での操作の実際を解説します が、①直腸にはじまり脾弯曲部が前半の操作、 ②脾弯を回ったところから盲腸までを後半 として、説明をさせていただきます。 脾弯部到達を前半の終了とするには訳が あります。ループを形成してSDJを通過した にしても、あるいは直線的にパターンAで到 達したにしても、それより深部への挿入のた 化炭素による送気が使えるのであれば、大い めには、脾弯部で完全に短縮・直線化がされ 2. 部位別の大腸内視鏡操作法 16 なければならないということです。この脾弯 ですが、SDJ越えの基本操作とオプションを 部直線化の確認を怠ると、一見苦痛もなくス ムーズに入っていたはずなのに実はS状結腸 のたわみを残していて、横行結腸あたりで挿 入困難に陥ることになります。脾弯曲部は完 全に直線化すると40cm部位にあたります。 脾弯部であることは、脾臓あたりの体表を押 してスコープの内腔壁が動くことで確かめ ることもできます。 また、検査中は被検者の苦痛の状態をモニ 表形式で示します。 用語解説です。まずは工藤進英先生のパタ ーンA、パターンB、パターンCです。あまり にも有名なので説明の必要はないかもしれ ませんが、いずれもSDJを直線化してから越 えることを目指しています。パターンAは全 体にスコープがやや右回転しながらスライ ドとスラローム操作だけで、ほぼ直線的に SDJを越えます。このパターンが可能なのは ターする意味でなるべく会話をしながら検 査をしています。苦痛を与えそうな操作、た とえばS状結腸をゆっくり押しながらSD移行 部に近づく際には、その旨をお伝えして患者 さんに心構えをしていただきます。何も説明 がないよりは良いと思います。時には、介助 の方(看護師さんなど)が検査と関係ない話 題で患者さんの気を引いてくれることもあ ります。 比較的にS状結腸が短い方かもしれません。 パターンBはスラロームだけではSDJに近づ けず、ややプッシュが入った後、左右どちら かの回転を加えながらの短縮操作をします。 その後はSDJが直線化されて最終的にはパタ ーンAに近い感覚でSDJを越えます。やや長め のS状結腸の方が該当するかもしれません。 パターンCは癒着などで、プッシュ&バック が何度か現れるものの最終的短縮可能なも のを言います。 1)直腸からS状結腸へ 直腸のRs部をどのように越えているので しょうか? Rsは最初の急角度の部分にあ たり、Rsをどのように通過するかも重要です。 軽いアップアングルと左ひねりを加えて、わ ずかに押し当てた後、ふすま開け操作で次の 内腔を確認します。その後むしろ尐し引くよ うにしてスコープのねじれを立て直します。 通常は左側臥位で問題ないのですが、仰臥 その他の用語ですが、SDJの直線化をあえ て狙わない方法として、昔から言われている αループ(田島先生の“の”の字)やNルー プなどもあります。長い腸や固定がゆるい場 合には必要に忚じて適忚させます。苦痛さえ なければ決して悪い挿入方法ではないと思 いますし、挿入時間の短縮にもなります。た だしループ形成の際の注意点としては、きち んとループを作って入っていることを認識 位の方が楽な場合もありますので適宜体位 変換をします。もしRsをプッシュで越えた場 合はその時点でループ形成が始まっていま すので、そのままS状結腸の攻めを急がずに、 かならず20から25cm前後まで一旦立ち戻 るようにします。 し、その後脾弯部など的確な位置で確実に短 縮・直線化できるスキルを持っている必要が あります。 表に従って話を進めます(表2)。 表2 SDJ を越えるためのオプション操作 1)基本操作 パターンA 2)S状結腸から下行結腸へ(SDJの越え方) 次いでS状結腸の攻略です。この区間には、 →(短いS) 2)仰臥位 or 下腹部圧迫 パターンA →(標準のS) SDJがあります。SDJをどうやって通過するか 17 のかもしれません。 3)緩やかにプッシュ後右回し(左回し)でバック ①,基本的にはパターンAをまずは全例目指 この急角度のSDJを右方向にアップアング ルをかけてプッシュで越えようとすると多 くの場合強い疼痛が生じます。しかも、結果 的に通過もできないという羽目に陥ること もあります。それを避けるためには、短縮を 試みてパターンBに持ち込むスキルを持つ必 要があります。しかしながら、小生自身もこ のパターンにはまって困ることもあります。 それではどうするかということになります。 します。腸が短い方で癒着がなければ、ふす ま開け(スライド&スラローム)操作で容易 に下行結腸へ入ります。Rsを越えてからや や右方向へヒダを越えては吸引してわずか に引き戻す操作を繰り返しているうちに約 30cmあたりでSDJを越えて下行結腸へ抜 けられます。いわゆるパターンAで処理でき るのは3割ほどと思っていますが、工藤先生 は6割とおっしゃっています。 ②,パターンAになりそうだけどS状結腸が伸 この場面、次善の策として試みていただき たい方法を提示します。ややプッシュ気味に S状結腸のトップを通過します、そしてSDJに 達する10cmほど手前の位置でスコープを 180度ほど左に回転させてからSDJに再びア プローチしてみます。そうすると急角度でく ぐれなかったSDJにアップ方向で先端が越え られるようになることがあります。その後は 抜けないようにただちに短縮操作に入りま す。広い意味で、これもパターンBなのかも びてしまいがちの場合は、仰臥位にて臍下に 用手圧迫を加えていただくとパターンAの率 が上がります。広島の田中先生は早期から用 手圧迫を用いてパターンAを目指します。 ③,パターンAを目指しつつも、全体にプッシ ュが必要でいつの間にかスコープが40-50 cmほど沈んでしまうケースも多く経験さ れます。中間の長さのS状結腸であったり、 虫垂炎などの癒着であったりしますが、パタ しれません。亀田総合病院の光島先生は細径 スコープ特有の操作として、かなり以前から この方法を紹介されていました。しかし細径 でなくとも利用可能な操作であり、しばしば 小生の窮地を救ってくれている方法です。実 際に透視下でスコープの形状を確認したこ とがないので、実際のスコープの動きと合致 しているか分かりませんが、操作予想図を掲 載します。(図3) ーンBとして、左回転もしくは右回転でルー プが解消され、その後はパターンAに類似し た操作(スラローム)でSDJを越えます。 ④, ③と同様に進みますが、ループ解除がう まくいかず、仕方なくプッシュ気味にスコー プを進めていくとSDJが急角度で見える場合 です。一般にプッシュが強めにかかると現れ やすいパターンと思います。また患者側の要 因としては、やや長めの腸であるとか、SDJ ⑤,①~④でSDJが開けられなかった場合に が骨盤腔内低く存在する例などで見られる は、思い切って右側臥位にして③④を試して パターンB →(中間長のS) 4)SD 手前を左に 180 回転後 SDJ に進み、右回転 で SDJ を越える パターンB →(やや長で低い SDJ) 5)右側臥位で 3)4)をトライ パターンB →(やや長で低い SDJ) 6)自然にα、Nループで、疼痛なし→(長いS) 18 みます。体位変換でS状結腸の形状が変わる ループ(多くは右回転)が残ることがありま ことと、SDJ付近に若干の空気が入ることで スコープ先端がSDJをとらえ易くなるのかも しれません。また、パターンCや高度癒着例 でも、左側臥位より右側臥位の方が挿入効率 がよいと感じています。 ⑥,SDJ付近で何とか短縮しようとする①か ら⑤の方法とは別に、S状結腸が非常に長く、 またSDJの固定が弱い例もしばしば遭遇しま す。その場合は短縮にこだわるよりにも、苦 す。工藤先生は、この外ループを横行結腸の 操作の中で自然に解消されるとしてそのま ま横行結腸へ進みますが、小生としては外ル ープを脾弯部で必ず解消し、直線化40cmを しっかり確認することをお勧めします。その ことで、横行結腸の操作の精度が増すと考え ています。また脾弯部自体がとぐろを巻いて いることもあるので、迷子にならないように 要注意です。 痛なくループを形成して下行結腸に入れる ことを選択します。70~80cmほどのループ で下行結腸へ進むことができ、容易に右回し で短縮ができればそれでよいと考えていま す。 ⑦,ここで注意点ですが、ループを形成して 90cm以上になる場合は、引き戻しによる短 縮が非常に難しくなります。引き戻し困難例 の解決策を述べます。一般には強い右ひねり が有効に作用することが多いのですが、逆に 3)脾弯曲部と横行結腸も慎重に 横行結腸の内腔が見えたら、多くの場合そ のまま軽いアップで左下方向へ進んでいき ます。丁度180度反対にダウンで進む先生も おられるかもしれません。どちらでも結構で す。脾弯部がステッキ現象のためにうまく進 まない(痩せの方)、あるいは再びS状結腸 がたわんでしまう(肥満や癒着の方)場合に は、①患者さんに空気を吸っていただき横隔 左ひねりが有効であることもあります。さら には、引きながら左右両方が必要な場合もあ ります。試みてください。ただし抜けてくる るだけなら危険はありませんが、短縮操作で 疼痛が出る場合は癒着の制限を受けていま すので、事故防止のために撤退の可能性も念 頭に置き操作する必要があります。また、硬 いスコープではループ自体が大きくなって おり、時にループの解除が困難になることが 膜を下げたり、②用手圧迫でS状結腸の伸び だしを押さえたりすることは一般的に行わ れていると思います。③もし硬度可変式のス コープを使用していたら、やや硬めにして通 過することも有効です。問題はそれでも進め ない場合ですが、④右側臥位になってもらい 十分に下行結腸の空気を吸引してみます、⑤ さらに右側臥位のまま臍付近に用手圧迫を 加えることで多くは解決します。この場合の あります。その場合は、一旦横行結腸に進め てから解除したり、右側臥位で脱気を十分に 行ってから短縮を試みたりします。どうして も短縮ができない場合には、シャフトの柔ら かいスコープに差し替えて短縮すると存外 に容易であり、最終的に時間短縮にもなるこ とさえあります。この短縮操作にてこずって 若い先生からSOSが発せられることも多いよ うです。 用手圧迫は多尐力とこつが必要になります。 脾弯を越えたら硬度をゼロに戻します。 次に、横行結腸の中央部(やや肝弯より) にさしかかると強い屈曲部がひとつ出現し ます。このあたりの操作は仰臥位が有利です ので、もし右側臥位でここまで進んだ場合も 仰臥位に戻した方がよいと思います。この横 行結腸中央の屈曲を左方向にアップアング ルで越したあと、内腔を保ったまま吸引しな ⑧,何とか脾弯部に到達した際に、体の外に がら引き戻すことで肝彎曲部(60cm)に到 19 達できます。この横行結腸中央の屈曲部を右 とに加えて、②患者に大きく息を吸ってもら へ越しても絶対NGということではありませ んが、右方向でとらえると横行結腸の短縮が 難しくなるという感触をもっております。ま た、横行結腸中央での引き戻しができないと、 いわゆる横行結腸のループを形成すること になり、全長を使ってようやく盲腸に達する ことになります。過長結腸、肥満、胃切除後、 婦人科手術後の方に出現する傾向がありま す。苦痛・疼痛がなければやむなく横行結腸 います。ときには、③左側臥位で吸引後に仰 臥位に戻すとうまくいくこともあります。さ らには、④臍付近を用手圧迫でサポートし、 横行結腸とS状結腸の両方ともにたわまない ようにすることもありますし、⑤硬度可変で あれば多尐硬くするのもオプションとして はあると思います。それでも離れてしまう場 合には、⑥左側臥位となってもらい、ゆっく りスコープをプッシュして進めます。つまり、 ループのまま進むという場合もありますが、 短縮可能な方をあえてループを形成させる ことはないと思います。 もし全長でも盲腸に到達しない場合には プッシュ操作によりS状結腸に再ループを 形成している可能性が大きいと思われます のでS状結腸の再短縮を再度試みることにな ります。若い先生方が挿入に難渋してバトン タッチするケースの多くは、この深部でルー プ形成してしまったために迷子になってい わざとS状結腸をたわませます。すると一旦 肝弯を離れたスコープ先端が徐々に肝弯に 向かって進み始めるのを利用し、そのまま上 行結腸へスコープ先端を進めます。その後内 腔をはずさないように引き戻して直線化さ せます。この操作は柔らかめのスコープの方 が有利なようです。多尐苦痛を訴えられるこ ともありますが、腸の長い方が多いので、概 ね許容範囲とのことです。勿論、疼痛が強い 場合は絶対に無理できません。また肝弯曲部 ます。一旦戻って、しっかりと脾湾部を確認 してからやり直すとループを形成せずに挿 入可能になります。また横行結腸の長い方で は、中央の屈曲部が1つでなく、複数回出現 することもありますが、そのたびに丁寧に短 縮を繰り返して横行結腸がループにならな いように心がけます。 4)肝彎曲部 肝弯曲部でスコープの深さが60cmであ での操作としては変則的ですが右側臥位・腹 臥位なども癒着例では意外に効果を発揮す ることがあります。 ればゴール間近です。上部内視鏡検査におけ る十二指腸下行脚に入るようなイメージと よく言われますが、十分吸引した後に右下方 向に進むことで上行結腸へ入ることができ ると思います。 一方、せっかく肝彎曲部で60cmまで短縮 できたのに、上行結腸へ進もうとすると肝弯 からどんどん離れてしまう場合もしばしば 経験されます。その際には、①左側臥位とし 結腸のトップや横行結腸の中央部で、また婦 人科術後ではRsが急角度であったりします し、憩室症ではS状結腸が硬く内腔が狭くな っています。憩室症では攣縮も強く、それ自 体挿入困難の原因です。癒着のパターンはス コープを操作しながら予想することができ ます。 海外の論文ですが、深部挿入困難例を解析 しています。33万件余の大腸内視鏡検査のう て十分に吸引をかけてたわみを解消するこ ち13.1%が深部挿入困難例とされ、その要因 3. 挿入困難例 挿入困難例として多く経験されるのは、手 術後の癒着例、痩せた女性、高齢者、S状結 腸の憩室症などでしょう。胃切除後ではS状 20 を検討しオッズ比で評価しています(Shah HA たことと思います。その理由は検査自体が楽 et al, Gastroenterology, 2007)。挿入困難 に至った頄目は、年齢が10歳上昇すると1.2、 女性であること1.35、腹部手術既往1.04、骨 盤内手術既往1.07、プライベートクリニック での検査施行3.5で、いずれも統計学的に有 意であったとしています。被検者側の要因は 確かにうなずける内容ですが、その一方でプ ライベートクリニックでは決して無理して いないこともうかがえます。 だからに他なりません。大腸も同様のことが あると考えています。 これも海外の論文になりますが、標準大腸 スコープと上部用スコープを無作為に割り 付けて比較してみると、上部用スコープの方 が、挿入率において有意に高く、また苦痛の 度合いについても有意に低かったという報 告があります(Park CH, Am J Gastroenterol, 2006)。 挿入困難例に遭遇した場合に、その対忚策 をお話します。病院で検査が行われていた場 合と仮定します。その場合は、1)上級医に バトンタッチすること、2)細径スコープ (PCF-PQ260など)や時にはバルーン式スコ さてバックアップスコープですが、癒着に よる疼痛があったり、SDJの屈曲が強かった りした場合などには、細径で柔らかいスコー プにその場で差し替えることで、その後挿入 が可能になることをしばしば経験しており ます。柔らかいスコープではループそのもの が小さく、また腸の形状が手に伝わり易くな るためと思っております。我々の以前の検討 ですが、もともと細径に属するPCF-240で挿 入困難で あった 43例 に対して 、その 場で ープ(SIF-260)を使用すること、3)麻薬 を含む鎮痛剤や鎮静剤を使用することなど が可能となります。では個人の先生方お一人 で検査されている場合にはどうしたら良い でしょうか。提案としては、1)細径スコー プを使用いただく、2)無理せずSF+注腸Xp にて対忚いただくということになるかと思 います。 この場 合の 細径大腸 スコー プは PCF-PQ260ということになりますが、必ずし CF-SVという極細径スコープに差し替えて再 挿入を試みたところ、23例(79%)で深部挿 入が可能になっています(Takeda H etal, Yamagata Med J, 2010)。実はこのCF-SVは 全長が上部と同じ長さのスコープです。 大腸スコープの製品ラインアップも時代 の要請で変化してきており、細径で基本的に 柔らかく、さらに硬度可変機能を備えるもの が充実してきました。さらには挿入困難例に も準備できるわけではないと思われますの で、代替として上部のスコープをお使いにな ることをお勧めします。実際に我々も時折 GIF-Q260を使用しております。ちなみに細径 大腸スコープPCF-PQ260はGIF-Q260など上部 のスコープはより一段とシャフトが柔らか く設計されています。話が多尐飛躍しますが、 上部消化管の検査を経鼻内視鏡で行ってい る先生も多いと思います。患者さんが経鼻内 対するバックアップ用スコープとして細径 でかつ先端に二つ目の可変部分(受動彎曲) を持つものも登場しました。これが先ほど来 登場していますPCF-PQ260です(図4)(武 田弘明, 消化器内視鏡, 2011)。通常のスコ ープではステッキ現象で進めなくなる癒着 の屈曲でも(図4a)、その柔らかさと第二 の屈曲部のために容易にクリアできるよう になります(図4b)。外の施設から挿入困 視鏡の検査を希望してくることも増えてき 難例として紹介をいただくことも時々ある 4. 挿入困難例への対策 (細径大腸スコー プあるいは上部スコープによるバックアッ プ) 21 訳ですが、我々としてはPCF-PQ260や上部ス も知れませんので、挿入困難例は病院へのご コープなどで何とか対忚させていただいて おります。時にはバルーン式小腸鏡を用いて 大腸検査を行うこともあります。 紹介をいただくのもよろしいかと思います。 5. 大腸内視鏡検査における心構えなど SF+注腸検査も粗大病変の拾い上げには 決して悪くない方法と思われます。この場を 借りて注腸Xpの注意点も触れておきます。注 腸Xpは隆起した病変では比較的描出するの は容易ですが、Ⅱa+ⅡcやLSTの描出は ループを まった く形 成しなけ れば約 8 0 cmで盲腸に到達します。この距離だけ進め ばいいのですから、まずは気持ちを落ち着け て検査に臨みましょう。急がば回れというと ころでしょうか。検査に際して、心構えのよ うな点を二つ提示します。 工藤進英先生は、“心は熱く、頭はクール に”ということで、うまくいかないと焦って しまうことを戒めています。面白いもので、 検査時間が多尐長かったとしても苦痛をあ 意外に難しく、その存在がわかっている術前 検査でも描出が困難であることをしばしば 経験しています。また注腸検査でわずかな壁 の変化(上行結腸1cm程度のSM癌と思われ る例)を見逃し、約10ヶ月に全周性の病変に 進展した例を経験したこともあり、注腸検査 の怖さを実感しています。やはり逐年検査で その弱点を補強することが重要と言えます。 また検査方法についてではありませんが、 まり感じなければ被検者は不満を訴えませ んが、逆に短時間で盲腸に到達したとしても 苦痛を感じた場合には後で文句が出るよう です。 また、山本博徳先生は、“慣れでうまくな るものではなく、スコープ操作には理論の裏 付けがないといけない”とその著書の中で力 説しています。尐ない経験例数でも理論をし っかり身につければ、挿入スキルは格段に上 全大腸内視鏡検査を必ず行った方が良い方 はだれか?を強調させていただきます。山形 市医師会健診センターのデータを大泉先生 がまとめられたものですが、便潜血検査が一 日でも強陽性を示した例では、大腸癌の可能 性がより高く、しかも進行癌が多く含まれる ということです(図5)。便潜血が強陽性を 示した例では、何らかの方法で必ず大腸全体 をスクリーニングするようにお願いします。 達するとしています。創意工夫を旨とする山 本先生らしい発想です。 二つのポイントを総合して、小生は頭をク ールにして、全身全霊をかけてスコープ操作 をすべしと考えています。勿論、やさしいス コープ操作も忘れてはなりません。 また、自分で上達したと思っても、次にそ の気持ちを打ち砕くような挿入困難例がか ならず登場します。その場合は、勿論無理せ 場合によっては、CT検査なども必要になるか ず撤退せざるを得ないのですが、問題はその 22 後です。どうして苦痛疼痛が出てしまったの は、ゴルフがよく引き合いに出されます。だ か?どうして入らなかったのか?操作が不 適切だったからなのか?癒着や過長結腸の ためなのか?など徹底的に考える必要があ ります。それが、上達と次の成功を生むと考 えます。 最後に 大腸スコープは道具です。道具という意味 では、慣れた道具を使い込むとしっくり腕に 馴染むということもあるでしょうし、目的に れもグリーン上でウッドは使わないでしょ うということです。すなわち、癒着例などで は、細径スコープなど適した道具を選択する ことも重要だということです。いずれにして も、最終的に無理のない深部挿入を目指して、 試行錯誤しながらも研鑽を重ねるしかない と思っています。よろしくお願いを申し上げ ます。 よって適切な道具を使い分けることもあり ます。適切な道具を使い分けるという意味で 実施状況や便潜血検査の実際などが説明さ れています。III.実施方法では検査の実施 書籍紹介 今年度春に日本消化器がん検診学会誌か ら「大腸がん検診マニュアル」が発行されまし た。ちょうど今回の号外にピッタリの内容 でもあり、ご紹介いたします。 方法や精検法が示され、検査結果の頄では 精検受診に関する指導、精検未受診者への 受診勧奨が示されており、この号外の要点 です。IV.実施体制―精度管理では精度管理 の手法、検診機関、市町村、都道府県、国 別の精度管理が述べられています。終章の V. 新たな検査方法とその問題点では全内 視鏡検査、CT、便中がん遺伝子検査など が示されています。医師のみならず、自治 内容は I. 大腸がん検診の疫学と臨床、II. 大腸がん検診の基礎的知識、III. 大腸がん 検診の実施方法、IV. 大腸がん検診の実施 体制―精度管理、V. 新たな検査方法とその 問題点などについて論じられています。I. 疫学では死亡率や罹患率などが示され、臨 床の部分では臨床病期やステージごとの治 療方針などが説明され、ステージごとの予 後なども記載されています。II.検診の基礎 体の担当者や検診に携わる多くの人に読ん でいただきたい本です。医学書院から 3,150 円(税込)で販売されています。 III.の精検法では*精検受診に関する指 導が記載されています。精密検査の必要性 については、検診時あるいは検査結果判明 前に説明しておくことが望ましいとされて います。さらに、要精検者を集めた説明会 を開催したり、直接訪問指導するなどして 的知識では有効性、不利益などが述べられ、 精検の必要性を理解させることができれば、 消化器検診中央委員会委員 小林正義 23 一層効果的であると述べています。また、 前年度に要精検となり精検で異常なしであ ったとしても、次年度に再び要精検となっ た場合には再度精検を受けるよう勧めなけ ればならない。その理由は、精検の偽陰性 があること、急速に発育する大腸がんがま れにみられるからであると記されています。 さらに、大腸がんが確定した症例について は、病変の性状、臨床病期に関する頄目や 部分もありますが、参考にすべき部分も 多々あるようです。本書を参考に精検受診 率のさらなる向上を目指したいものです。 治療内容についてさらに調査を行う、とさ れています。精検の偶発症についても報告 することが求められるようになったとのこ とです。 あとがき 各分野の方々からの多大なご協力により号外が 出来上がりました。ご寄稿をいただいた方々に深 「精検未受診者調査と精検受診勧奨」の 頄目では、精検受診の有無を確認し、未受 診が判明した場合には再度精検受診の勧奨 を行う。受診状況の確認および未受診者へ の受診勧奨を 2 回行う事で、精検受診率は く感謝いたします。お蔭様で自信をもって読んで 20~30%増加したという報告があり、基本的 には複数回の受診勧奨が望ましい。その勧 奨時期については、1 次検診結果通知から 3 カ月後とも 6 カ月後とする報告と、年末と 年度末に行った報告があるが、いずれも良 好な反忚を示していることから、その地域 の実情にあった実施しやすい方法で行えば 良いだろう。受診勧奨の手段として、電話、 訪問などがある。状況に忚じた適切な手段 どに地域や職場によって状況は様々で、温度差が 頂ける号外が出来ました。原稿には今後の検診受 診率拡大に向けた貴重なキーワードが散りばめら れており、日々の実践に役立つことは請け合いで す。大腸がん検診の精検の状況は、お聞きするほ あるのも事実です。精検受診率が不良なのには必 ず原因があり、各々がそれを改善する努力が必要 です。 さらに内視鏡検査のきつさ、あるいはそう言う 噂のために精検受診率が上げられない可能性もあ ります。苦痛を尐なく、安全で、且つ確実な挿入 法を県立中央病院の武田弘明先生に解説していた だきました。深謝いたします。 を用いることが望まれる。さらに適切な精 検受診機関と連絡をとり、検査予約などを 実施できれば精検受診率向上に有効である、 とされています。 本号外でも上山、鶴岡、尾花沢、新庄、酒 田の各地区、ユトリアグループの職域の精 検受診率向上に向けての取り組み、全県的 には芳賀委員長、松田副委員長が詳しく述 べられていますが、効果はまだまだという この号外をきっかけに、県医師会中央委員会と しても今までにも増して実施すべき対策が見えて きました。さらに様々な部署でのさらなる取り組 みが始められ、必ずや問題が解決される方向に向 かうだろうと確信しています。県民の幸せを願っ て、ともに頑張りましょう。 (T.M.) 実情です。本書より当県の方が進んでいる 24