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平成21年度ネギ品種展示圃の結果概要
平成21年度ネギ品種展示圃の結果概要 JA全農さいたま (担当) 営農支援課 高 橋 兼 一 埼玉県は深谷ネギをはじめ、全国的 に有名なネギの産地として知られてい ます。その作付面積や出荷量は全国第 2位の位置を占めています。そこでJ A全農さいたまは、昨年に続き更なる 産地の発展を図るため、本県の立地条 件に適した優良品種を広く普及し、高 品質・安定生産と主産地の発展を図る ため、JAふかやと深谷地区内にある 澁澤農場のご協力により、品種比較展 示圃を設置しました。そこで種苗メー カ ー 7 社 の 協 力 に よ り 10 品 種 の 展 示 栽 培を行いましたので、その結果の概要 ネ ギ 展 示 圃 場 について報告いたします。 1 栽培の概要 ( 1 ) 試 験 場 所 : 深 谷 市 上 手 計 ・農 家 圃 場 ( 2 ) 供 試 品 種 : 10 品 種 ( 表 1 に 掲 載 ) ( 3 ) 供 試 面 積 : 苗 の 都 合 で 1 区 97,2 ㎡ ( 3 畦 ) 及 び 1 区 64,8 ㎡ ( 2 畦 )1 反 復 (4)播 種 : 4 月 7 日 ( 平 床 ) (5)定 植 : 7 月 6 日 (6)栽 植 密 度 : 株 間 6 ㎝ × 2 条 × 畝 間 90 ㎝ ( 7 ) 施 肥 量 ( 10a 当 た り ): 元 肥 ( 色 葉 堆 肥 940 ㎏ 、 サンライム 100 ㎏ )、 追 肥 ( マ ト リ ッ ク ス 有 機 12-12-12 ) 80 ㎏ 、 ふ か や有機 ( 14-10-10 ) 30 ㎏ ) ( 8 ) 土 寄 せ : 9 月 ∼ 11 月 20 日 迄 、計 5 回 実 施 ネギ堀取り機の実演 ( 9 ) 収 穫 : 12 月 17 日 ( 10 ) そ の 他 の 栽 培 管 理 は 現 地 慣 行 に よ る 2 気象経過と生育 8 月上旬の気象は、台風9号や海上から湿った空気が入った影響で曇りや雨の日が 多く、中旬以降は高気圧に覆われて曇りや晴れの日が続きました。 9 月は高気圧に覆われて晴れる日が多く、日照時間が多くなりました。秋雨前線の 活動が弱かったため、降水量は平年より大幅に少なかくなりました。 10 月 は 本 州 の 南 に 停 滞 し た 前 線 や 台 風 18 号 の 影 響 で 大 雨 が 降 り ま し た 。 11 月 は 低 気 圧 が 次 々 と 通 過 し た た め 、 周 期 的 に 曇 雨 天 と な り 、 特 に 10 日 ∼ 11 日 には関東地方の沿岸を通過した低気圧の影響で県内各地に大雨が降りました。 12 月 は 上 旬 か ら 中 旬 に か け て 周 期 的 に 低 気 圧 が 通 過 し て 、 こ の 時 期 と し て は 降 水 量が多く、日照時間が少なくなりました。中旬から下旬にかけては、冬型の気圧配置 となり晴天が多くなりました。 1月前半は冬型の気圧配置が続いたが、移動性高気圧が周期的に覆ったため、冬型 は長続きせず気温は高くなりました。 病害虫の発生は、昨年のような長雨は少なく、軟腐病、白絹病の発生は少なくなり ました。調査時点では、さび病、黒斑病及び紅色根腐病が少々見えた程度でありまし た。また、害虫についても少なく、ネギアザミウマが散発程度でした。 調 査 は 8 月 19 日 と 9 月 17 日 の 2 回 、 1 m 当 た り の 植 栽 本 数 、 草 丈 及 び 茎 径 に つ い て 行 い 、 そ の 結 果 、 第 1 回 調 査 ( 8/19 ) で は 、 草 丈 は 「 味 十 八 番 」、「 龍 ま さ り 」、「 鳳 帝 」、 の 順 に 高 く 、 最 も 低 か っ た の は「 M S I − 856 」 で あ っ た 。 茎 径 は 「 龍 ま さ り 」、 「 夏 扇 パ ワ ー 」、「 緑 の 剣 」 の 順 に 太 く 、 最 も 細 か っ た の は 「 味 十 八 番 」 及 び 「 ホ ワ イトタイガー」でした。 第 2 回 調 査( 9/17 )で は 、1 m 当 た り の 植 栽 本 数 は 、 「 F 1 宏 太 郎 」、 「 M S I − 856 」、 そ し て 「 夏 扇 パ ワ ー 」、「 味 十 八 番 」、「 鳳 帝 」 の 順 に 本 数 が 多 く 、 最 も 少 な か っ た の は 「 龍 翔 」 で し た 。 草 丈 は 「 龍 ま さ り 」、「 龍 翔 」、「 味 十 八 番 」 の 順 に 高 く 、 最 も 低 か っ た の は 「 ホ ワ イ ト タ イ ガ ー 」 で し た 。 茎 径 は 「 夏 扇 パ ワ ー 」、「 龍 翔 」、「 龍 ま さ り」の順に高く、最も低かったのは「鳳帝」でした。 表1 № 生育調査の結果 会 社 名 品 種 第1回調査( 8月19日) 本数/1m当 1 草 丈 茎 径 第2回調査(9月17日) 本数/1m当 草 丈 茎 径 龍 翔 31 48.6 11.1 31 61.7 14.4 鳳 帝 33 50.5 9.7 33 55.1 11.9 3 龍まさり 35 51.0 11.9 32 63.2 14.3 4 味一八番 33 55.3 8.6 33 59.2 13.1 5 タ キ イ 種 苗 ホワイトタイガ ー 31 42.9 8.6 32 46.2 12.4 6 サカタのタ ネ 夏 扇 パ ワ ー 33 48.4 11.8 33 52.2 14.6 7 トキタ種苗 32 43.9 11.4 32 51.8 14.3 8 武蔵野種苗 MSI−856 34 42.4 11,1 34 49.6 14.1 9 関羽1本太 33 43.8 10.5 32 48.9 13.7 F1宏太郎 34 45.4 9.7 35 56.5 13.0 2 10 横浜植木 トーホク種苗 深 町 緑の剣 表2 № 収量調査の結果 会社名 品 種 項 目 (平成21年12月17日調査) 収 量 調 査( 調 査 は J A ふ か や 一 元 出 荷 規 格 ) 糖 度 アンケート 3L 2L 龍 1 鳳 2 翔 帝 横浜植木 龍まさり 3 味十八番 4 5 タキイ ホワイト 種苗 タイガー 夏扇 6 サカタ のタネ パワー 緑の剣 7 トキタ 種苗 8 武蔵野 MSI 種苗 −856 L M S 曲 B 計 調査 12 34 4 2 2 2 64 度 比率 % 12.5 18.8 53.1 6.3 3.1 3.1 3.1 100 5㎏箱 12 21 16 2 3 9 63 比率 % 19.0 33.3 25.4 3.2 4.8 14.3 100 5㎏箱 13.5 19.5 3 1.5 1.5 4.5 比率 % 31.0 44.8 6.9 3.5 3.5 10.3 100 5㎏箱 16.5 25.5 7.5 0 7.5 3 60 比率 % 27.5 42.5 12.5 0 12.5 5.0 100 5㎏箱 1.5 19.5 24 6 1.5 0 1.5 54 比率 % 2.8 36.1 44.4 11.1 2.8 0 2.8 100 25 21 4 1 1 6 61 4.9 41.0 34.4 6.6 1.6 1.6 9.9 100 28 20 7 3 8 9 82 比率 % 8.5 34.1 24.4 8.5 3.7 9.8 11.0 100 5㎏箱 13.5 30 12 3 3 6 67.5 比率 % 20.0 44.4 17.8 4.4 4.4 8.9 99.9 18 30 8 2 2 4 65 1.5 27.7 46.1 12.3 3.1 3.1 6.2 100 15 15 3 4.5 6 10.5 10.0 25.0 25.0 5.0 7.5 10.0 5㎏箱 5㎏箱 比率 % 5㎏箱 9 ト ー ホ ク 関羽 5㎏箱 種苗 比率 % 10 深 1本太 町 F1 宏太郎 5㎏箱 比率 % 8 3 7 1 6 17.5 結果 人 5.3 7 6.7 0 6.9 12 6.0 6 6.5 13 6.6 14 6.6 12 7.2 12 5.9 3 6.9 9 43.5 60 100 (注)収量調査(規格別調査)は、苗の都合で2畦と3畦作があったため、2畦作の品種 「青色で表示」は、3畦作に比率を合わせて表示した。 3 調査及び結果 収 量 調 査 は 、 生 産 者 に よ っ て 12 月 17 日 に 収 穫 さ れ た 1 区 当 た り 97.2 ㎡ の 規 格 別 収 量 ( J A ふ か や 一 元 出 荷 規 格 に よ る )、 糖 度 計 に よ る 糖 度 調 査 及 び 参 加 者 か ら の ア ン ケート調査をそれぞれ行いました。 そ の 結 果 、 収 量 調 査 で は 最 も 収 量 ( 出 荷 箱 数 ) が 多 か っ た の は 、 82 箱 の 「 緑 の 剣 」 で 、 次 い で 「 M S I − 856 」 の 67.5 箱 、「 関 羽 一 本 太 」 の 65 箱 、「 龍 翔 」 の 64 箱 の 順 でした。また、収益性の最も高いL品率で見ると、コントロール品種の「龍翔」が が 34 箱 と 最 も 多 く 、 次 い で 「 関 羽 一 本 太 」、「 M S I − 856 」 の 30 箱 、 以 下 「 味 十 八 番 」 の 25.5 箱 、「 ホ ワ イ ト タ イ ガ ー 」 24 箱 の 順 で し た 。 糖 度 の 調 査 で は 、 最 も 高 か っ た の は 「 M S I − 856 」 の 7.2 度 、 次 い で 「 龍 ま さ り 」 と 「 F 1 宏 太 郎 」 の 6.9 度 、 そ し て 「 鳳 帝 」 6.7 度 の 順 で し た 。 ア ン ケ ー ト 調 査 の 結 果 は 、「 夏 扇 パ ワ ー 」 が 14 票 と 最 も 多 く 、 次 い で 「 ホ ワ イ ト タ イ ガ ー 」13 票 、 「 龍 ま さ り 」、 「 緑 の 剣 」、 「 M S I − 856 」が 同 率 の 12 票 で 続 き ま し た 。 4 まとめ 今 回 、供 試 品 種 の 中 で 総 合 的 に 優 れ た も の を 判 断 す る と 、 「 緑 の 剣 」、 「 M S I − 856 」、 「 関 羽 一 本 太 」、「 龍 翔 」、「 夏 扇 パ ワ ー 」 及 び 「 ホ ワ イ ト タ イ ガ ー 」 の 5 品 種 を 選 抜 し ました。選定理由としては、栽培しやすくて生育も良く、総収量があり、販売価格の 高いL品率が高く、糖度(良食味)も高く、そして、アンケートの評価も高かった品 種が選定されました。 今年で品種展示も2年目になりますが、産地の維持・発展を図るためにも非常に有 意義な展示圃の設置であったと思います。益々産地間競争の激しくなる今日、産地に 合った適性品種の検討は大きな意味を持っていると思われます。これからもJA全農 さいたまとしても、皆様と連携をとり産地発展のために頑張っていきたいと思います ので、よろしくお願い致します。 最後に、この検討会の実施に当たり展示圃を提供・管理していただいた澁澤様、県 指導機関及び大里農林振興センター農業支援部、関係JAの皆様方のご協力に感謝申 し上げます。