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マルチメディア演習 第2回:非言語コミュニケーション(1) 担当:金城 豪

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マルチメディア演習 第2回:非言語コミュニケーション(1) 担当:金城 豪
マルチメディア演習
第2回:非言語コミュニケーション(1)
担当:金城
豪
講義のねらい
世界がますます「縮まりつつある」現在、異国民、異文化への理解能力を身に付けることは大変
重要である。
人間がことば以外の方法でコミュニケーションを行う実態を、それぞれの文化形態に沿って解説
していくとともに、言語と非言語の両面からコミュニケーションの向上を目指し、人間理解を深
めていく。
9つの非言語メディア
①人体、②動作、③目、④周辺言語、⑤沈黙、⑥身体接触、⑦対人的空間、⑧時間、⑨色彩
ことば以外の表現手段それぞれに差異をもたらす 4 つの大きな要因
①個人的差異、②男女性別による差異、③文化形態による差異、④状況による差異
◆隠すより現れる
―送った信号を相手が受け取ったかどうかは、うなずき、目の動き、顔の表情の微妙な変化等、
ことば以外の形で返ってくることが多い。
―非言語メッセージが、ことばでのメッセージと矛盾する可能性があること。
―非言語メッセージは特に意識的に習得したものではないため、理屈抜きだからこそ正確に感じ
られる。
◆ボディ・ランゲージ
―非言語コミュニケーションは、時折それ自体で人間の態度、個性、感情などを伝達する場合が
ある。
―全国レベルの公職者は非言語コミュニケーションの達人である。(有能ぶりを態度で示せる)
―「他人を何者だと思っているか」という問題を暴露してしまう場合がある。
◆社会環境
―非言語コミュニケーションは学習によって身につけることができる。
―文化形態、またそれぞれの時代にあった理想像を求めるようになる。
―子どもの「模倣」による社会習慣の形成
◆女性優位?の領域
―一般に非言語メッセージを解読する能力は男性より女性の方がすぐれているという事実。
―色彩等微妙な差異は女性の方が敏感に反応できる。
―歴史的背景から、女性は言語以外のさまざまなものに対する認識力が発達した。
人体によるメッセージ(コミュニケーション当事者の遺伝子的要因に関わるもろもろの身体的
特徴の中で、なんらかのメッセージを表すもの。性別、年齢、体格、皮膚の色など)
◆五官(目・耳・鼻・舌・皮膚)を働かせる
― コミュニケーションは最低二人の人間が関わりあうプロセスである。メッセージの送り手と
受け手があり、受け手は自分の五官への刺激を知覚し、自分の経験域内で、その信号化されたメ
ッセージを解読する。同時に意識的・無意識的に送り手に対して自分からのメッセージを送り返
し、最初の送り手がそれを受けて処理する。
赤ん坊は、触覚にたよる非言語コミュニケーションに反応しやすい。大人に触られたり、撫でら
れたりすることによって、安心感を得たり、また自分で物を触ったり、口に入れてみたりするこ
となどがある。
◆人間の持つ生理的な匂い
日本人など多くの民族では、自分の体臭を気にする。他人に対して自分の匂いを隠すため、香
水、石鹼等を用い相手に不快感を与えないように努める傾向がある。ところが、文化形態によっ
ては、人間自身の持つ自然な匂いを大切にする文化も存在しており、アラビア諸国などでは逆に
香水等をつけることによって、嫌悪感を示されることもある。
匂いによって、相手の感情(恐怖、親近感等)を読み取れるのではないか、という研究も進んで
きている。
→多くの動物は人間に比べて嗅覚が発達しており、犬や猫などが匂いによって、自分に危害を加
えない人間を見分けることができる、といわれる一因ではないかとされる。
◆対人評価
初対面の場合、まずお互いの身体的特徴や匂い等から相手の全体的な魅力の度合いが評価され
る。このボディ・メッセージから引き出された判断が、その後に続くことばでのコミュニケーシ
ョンの話し方のレベルや種類を決定することになる。日本のように、相手によって敬語を使うこ
とを強要される文化も数多く存在する。
身体的特徴への偏見
我々は共有固定概念(ステレオタイプ)を根拠として解読したメッセージに判断を下すことが
多く、身体的特徴を述べる場合、差別と偏見につながる危険性がある。皮膚の色が自分と違った
り、障害を持つ人間に対して、共有固定概念から逸脱する存在、として捉え意識することによっ
て、結果差別を生み出すことがある。
◆身体の奇形化
中国の纏足(てんそく)やビルマの首長族のような、一般的に見て身体的に悪影響を及ぼすよ
うな風習も、美と地位のシンボルを表すものである。共有固定概念から外れる風習に見えるが、
異文化においてはそれが常識であることもある。現在、多くの若者が耳にピアスを開けたり、整
形手術をしたり、タトゥーを入れたりすることは、一昔前までは考えられなかった現実である。
参考文献:
ソシュール・F 2000「一般言語学講義」Cours de linguistique générale ,Payot 社
マジョリー・V 2002「非言語コミュニケーション」新潮選書
竹内一郎
2005「人は見た目が 9 割」新潮社
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