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波なし船型の研究と“くれない丸"における大型球状
Kobe University Repository : Kernel Title 造船資料保存活動の報告(Preserving Activities of Naval Architectural Articles) Author(s) 造船資料保存グループ Citation 海事博物館研究年報,38:51-67 Issue date 2010-03 Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 Resource Version publisher DOI URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81005608 Create Date: 2017-04-01 造船資料保存活動の報告 造船資料保存グループ 海事博物館の“海事"は幅の広い言葉であって 一部は当館内では造船資料保存グループの名称で 海運・航海・港湾などいわゆる商船大学が対象と 当館特別専門員として活動して行くこととなっ してきた分野のほかに造船・船舶という大学工学 た。(関商支部内における委員会の名称は 2 0 1 0 年 部が対象としている分野も含まれている。当博物 近代造船に関する資料が収蔵されている O しか 1 0月に「造船資料保存委員会 Jに改められた。) 本年報では、過去 3年間の造船資料保存グルー プの活動の概要を報告し、さらにこの間に 2回行わ し、整理が出来ていないままであり、またその後 れた収蔵品の展示会の内容についても報告をする。 館でも過去に故南波松太郎先生時代に集められた 収集が途絶えたままで、現在に至っていた。 一方、海事科学部もその一員となっている日本 1.活動経過 船舶海洋工学会関西支部では、技術の進歩に従っ 当グループの活動内容は資料 1 I 年表Jに示す て失われて行く過去の技術遺産を保存しておく必 とおりであるが、大きく分けると次のような内容 要があるのではないかという機運が持ち上がり、 である O 2 0 0 7年 1 0月に「造船資料・用具の調査・保存委員 l 保存活動の意義、活動の拠り所となる“規 会Jが発足し、ただちに用具や資料などの収集に 約¥発表の方法など活動の骨格に関する検 着手した O その段階で活動の拠点として当博物館 討 に協力の申し入れがあった。当館としても海事を 幅広く解釈し、造船分野についても収議品を増や すことは望ましい方向であるので、相互に協力し 2 物品・資料などの収集に関する呼びかけ 3 収集・整理・保管・発表・報告などに関す るハード、ソフト再面のインフラの整備 てこの活動を実施すべきであるという判断で、先 4 保存すべき資料の所在地に出向いての調査 ず試行に協力してきた。 5 同種の活動を行っている博物館・団体など 3年間の試行期間の活動は誠に目覚ましく、大 きな成果を挙げたので同学会関西支部としては今 後も継続的に活動を行うという判断に至ってい るO この状況に基づいて、 2 0 1 1年 1月初旬に同支 の調査 6 具体的な収集・整理・保管等の作業 7 ホームページによる蒐集物の発表、展示に よる実物の開示 部と神戸大学海事科学研究科との開で協力協定が 3年間で上記各ジャンルの活動を一巡すること 締結された。これによって保存委員会メンバーの が出来、その成果はドキュメント、電子ファイル 年 月 造船資料保存委員会の活動経過(年表) i 設 動 〉 内 容 日 場 ι 所 日本船舶海洋工学会関西支部 Kシニアグループ海友フォーラム第 1回懇談会におい 1 1 1 1重パトリシア会館 てメンバー藤村洋氏から計算尺など用具の保存の必要性についてメモ提出 i 海友 Fの運営活発化に関する有志懇談会において藤村氏よりテーマのーっとして用 2 0 0 7 5月2 3日 具などの保存活動についてのメモが提出された、討議の結果具体的活動を立ち上げ 六甲道“すかいらーく" ることで合意 2 0 0 7 5月1 8日 !関商支部総会懇親会の場で藤村氏が南波壮八氏をこの活動に勧誘、爾来南波氏が参 5臼 2 0 0 7 5月2 加し幹事役として活動 三菱神戸・懇親会場 海友 F会長岡本洋氏が石田憲治博物館長にメールで蒐集物の収納場所として海事博 物館の利用可否検討を依頼、以後関係者間で協議 9日 石田博物館長から岡本氏あて協議を踏まえて協力する旨、回答信 2 0 0 7 6月2 i 毎友 F有志、神戸海運監理部大局慎自氏、内田誠教授が発足準備メンバーとして打 海事科学部交流棟 6F 2 0 0 7 7月 2日 合せ、基本理念組織など素案作成、 Kシニア総会に提出準備、事後博物館見学 -51- 年 月 日 活 動 内 場 ~営~ 2 0 0 7 7月1 8日 Kシニア総会にて保存活動 G発足(代表.藤村洋)承認、参加者募集開始を決定 2 0 0 7 9月 8日 “造船資料・用具の調査・保存グループ"第 1回発足メンバー会議、関西支部内の 活動として申請すること決定、幹事 4名を選出 2日 2 0 0 7 9月1 関西支部運営委員会で「造船資料用具の調査・保存委員会の設置を承認(期間 3 年) 所 神戸クリスタルタワー 3F 六甲道“すかいらーく" 1日 第 1団幹事会、委員会設置決定を受けて基本方針-通常要領など協議 2 0 0 7 9月2 六甲道“すかいらーく" 保存委員会準備会、委員 8名、委員長藤村洋を選任、基本方針・運営要領など決 2 0 0 7 1 0月1 7日 定、支部運営委員会に申請する予算案、収集の依頼書など 海事科学部 2号館会議室 2 0 0 7 1 0月2 4日 関西支部運営委員会で「造船資料・用具の調査・保存委員会の運営要領などを承 認、委員の委嘱、委員長など承認、活動開始を決定 2 0日7 1 1月1 4日 アドパイサリーメンバー 3名(石田、内藤、池田教授)就任承諾 2月 3日 第 1回保存委員会、各社への寄贈願い、受入要領など決定 2 0 0 7 1 海事科学部父流棟 5F 7日 関西支部長、保存委員会委員長名で会員各位へ保存活動への協力依頼発信 2 0 0 7 1 2月2 8日 神戸海運監理部へ活動開始の挨拶、賛意を得る 2 0 0 8 1月1 2 0 0 8 1月3 0日 第 2回保存委員会、 2008年度活動方針ほか協議 海事科学部 2号館会議室 2 0 0 8 2月 1日 藤村-木村が大崎海星両校訪問、残っている教材の提供を打診 広島県-大崎上島 2 0 0 8 2月1 5日 藤村・南波が神戸海運監理部訪問小型船舶工業会への協力を依頼 2 0 0 8 3月 3日 大谷・黒井・鹿瀬・島本・谷田-松永の 6氏に委員委嘱状発給 2 0 0 8 3月 4日 藤村・南波が神戸港振興協会・神戸海洋博物館を訪問意見父換 2日 2 0 0 8 3月1 第 3回保存委員会、新委員の紹介、資料受領の状況、メーリングリスト構築など協 議 0日 2 0 0 8 3月2 j 毎事科学部 1号館 1Fに博物館の活動の一部として作業室開設、電話・什器など整 備開始 2 0 0 8 5月1 6日 日本海事史学会安達会長に南波委員が挨拶、協力の同意を得た 東尽大学船舶工学科大和教授に南波委員が挨拶、教室内の古い物の調査につき打合 2 0 0 8 6月 5日 せ 海事科学部 2号館会議室 東尽 東京大学 ∞ 第 4回保存委員会、 HP、資料管理システム、電気関係資料の収集-整理方針、 l 海事科学部 2号館会議室 0日 2 8 6月2 品 l葉リスト作成方針など協議 2008 6月30R 作業室の通信回線開通、 PC整備など進む 7日 Kシニア総会にて保存 Gの活動状況報告 2008 7月1 神戸クリスタルタワー 3F 2 0 0 8 7月25日 東京大学の資料調査(藤村-南波)以後 3回調査(南波) 東京大学 2 0 0 8 7月26日 東京地区での類似活動調査(藤村・南波) 東尽船の科学館ほか 5日 HP開設、 KANRIN9月号に紹介記事掲載 2 0 0 8 9月1 2 0 0 8 1 0月 8日 淡路・増井造船所訪問図面など調査(南波・藤村) 淡路・福良 0月2 7日 第 5回保存委員会、 HP内容充実、受入品整理書式、作業分担など 2 0 0 8 1 海事科学部 2号館会議室 L J・南波・藤村)がユニバーサル造船舞鶴館を見学 1月20日 委員 4名(城野・杉 L 2 0 0 8 1 ユニ造舞鶴館 拡大委員懇談会、佐回国支部長、石田、内藤教授、保存委員、委員会の今後の取り 2 0 0 8 1 2月27日 組み方針、収集品の権利関係など懇談協議、懇親会 海事科学部父流棟セミ ナー室 2日 呉市海事歴史科学館「大和ミュージアム」見学調査(南波・島本・川崎・木村) 2 0 0 9 1月2 呉 4日 甲南大学出口晶子教授を訪問和船のことなど意見父換(藤村・南波) 2 0 0 9 1月2 甲南大学 2 0 0 9 3月1 0日 大崎・増井など新たな収蔵品置き場として実験棟を整理(集中作業) 深江 2 0 0 9 3月1 3日 淡路-増井造船所の図面寄付品を受け取り、実験棟に搬入(集中作業) i 菜r I 大崎 i 毎星品校にて寄贈品搬出・積み込み作業実施(木村-藤村)同窓生数人の協力 4日 2 0 0 9 3月2 を得る 大崎上島、木江 2 0 0 9 3月2 6日 大崎海星品校よりの寄贈品多数トラック 2台にて深江に搬入・積み年1し作業多数で 実施 深江 2 0 0 9 3月3 1日 東大・粟飯原専攻長と面談、寄贈品を確定、搬出日程打合せ 東大 0日 函館ドック訪問調査、資料を入手(藤村・杉山) 2 0 0 9 4月1 函館ドック 2 0 0 9 4月20日 東大資料搬出(南波) 東大 1日 東大資料到着、実験棟に搬入(総員作業) 2 0 0 9 4月2 深江 2 0 0 9 4月24日 資料整理のシステムとして ACCESSを検討、凸版印刷の知恵を借りる 海事科学部 2号館会議室 2 0 0 9 4月3 0日 東大資料整理のため 2日に亘り集中作業 実験棟 海事博物館企画展の会場の一部を造船保存委員会に提供可能との石田館長意向が不 5月25日 された、第 l回展示会開催の初めての動き 0 0 9年度総会で藤村委員長がアピールのため講演 2 0 0 9 5月28日 日本船舶海洋工学会2 神戸市産業振興センタ 2 0 0 9 5月29日 同上春季講演会ポスターセッションにポスターと展不品を並べた 神戸市産業振興センタ -52- │ 年 刃包 t 舌 重b 内 宅 手 2 0 0 9 1 6月2 0日│委員有志の定額給付金カンパにより PCを更新、 2台購入 場 所 i 12 0 0 引 6月20日 第 l回展示会構想が南波委員より発表された i I o " l I ' I ^ ^I 口内「門 2 ∞ 916月2 5日 いい v , 川山 第 6回保存委員会、大崎・東大・増井など受領報告、第 l回展示会の構想、第 2回 二 │海事科学部交流棟 6F 展示会のアイディア、今後の作業計画などを協議 U 2 0 0 9 1 6月2 9日 アドパイサリーメンバ l名交替(内藤→長谷川教授)委員 1名(小嶋)新規委嘱 7月 5BI船の科学館訪問、小堀学芸部長と面談、収蔵庫など見学(藤村・南波) 東示 一一一 一 一 一 一 横浜 17 f l 旦団関こてV erkehr1';;合に参加、協議(藤村城野南波) 7月 7日 横浜みなと博物館見学、 NYK歴 史 資 料 館 見 学 ( 藤 村 ・ 南 波 横 浜 … “ n 2 0 0 θ“ 門 ー 第 1回展示会「広島県立大崎海星高校・!日木江土業高校造船科の軌跡j開幕、会期│ 7 1 7日 1 ご よ 、品河川海事博物館展示場 ・月 , . .~ 1 0 月末まで i m o θ 日一!日(1!if1{'F 8月一 2 4日両実験棟の収蔵品を中庭書庫に移動のため整理作業(集中作業 U lu i i T - 12 ∞.g18月2 7日 実験棟から中庭書庫に大量の収蔵品を移動、学生諸兄の応援受ける i 1200919月1 5日 委員 3名演回、溝下、米田)新規委嘱 │ 側 同l 印 刷 上 島 在 住 の 木 江 高 OB19 名川二て来神、展示を見学 --------- J∞.gi9月 3Otl 三 井 玉 野 の 木 浦 OBlO名草分乗にて来神、展示を見学 2 0 0 911 0 月 7R 金川造船 l l 原図場を見学(米自・黒井・藤村 m09I 1 Of l 1 5日 増井造船寄贈の図面の詰め替え整理付番(集中作業 12 0 ω 1 0月2 3日 支部運営委員会にて運営規則改正承認(会員資格範囲拡大 12009i 1 0月2 3日 委員 1名(矢木)新規委嘱 │ │2川.g11 0月 1 2 8日 アムテ い桐生市アムテヅク事務所 グ 十 日f 主の資料展示を見学(南波)、 GA原紙多数保管を確認 1 1月 5 日 大崎 OB岡崎氏より寄贈品送付、見学した OBからの寄付数件あり i 川町内門 第 7回保存委員会、第 l回展ボ状況、 2 0 1 0 年度計画・予算申請、第 2回展示の言十九と市出 1 月 1 1 2日 二 日 什毎事科学部交流棟 6F 初 日 9I1 プ N }J W 圏 、" AC CE亡 SS導入の検討 けゆ-=P-Tl rV¥An 山-l.l.- . J . L . i は00911 2 月16日 作業室書棚東隣に一部移設、 PC腐り模様替え 岡山 1 月 6tll献委員自宅で急逝、委員会の中核を折、言ト報伝達 I 2 0 1 0I1月9日 故萄波壮八氏葬儀 西宮山手会館 2 0 1 011 月1 8日 深江作業室に委員集合、南波氏逝去後の対策について協議 深江作業家 国立同会図書館データベースサービスより「デジタル造船資料館」をリンク先に加 2 01 O ! 1月20U I えることの了解取得申し出あり、了承と回答 両 l2 i 5日 1 2 0 1 012月1 0日 ?杭 Fにて藤村委員長が保存活動の状況を報告 l川重パトリシア会館 IHI アムテック訪問(木村・藤村)山上和政氏と面談、同所の保存品をデジタ J~ 造l / ,.品 I IHIアムテック事務所 山 一 一 小 船資料館に掲載すること、委員会に参加することに同意を得た l 伊勢市の旧市川造船所の資料調査、伊勢工業高校の造船資料室見学(小嶋・演田・ │伊勢市 2 0 1 0 1 2月2 6日 木村) 瓶一世畑一畑 第 8間保存委員会並びに懇親会、新委員 5名推挙、 2 0 1 0 年度計画と予算、保存活動 1 1阪急六甲“愛蓮" の進め方についての自由討議 ! ユニ造舞鶴にて中村氏と面談、委員就任を要請、 HP掲載を協議 │ユニ造・舞鶴 金川造船進水前作業(位置移動)見学(黒井・演回神戸市 兵庫区金川造船 金川造船進水式・作業見学記録(黒井・漬田神戸市・兵庫区金川造船 120101 3月1 9日│支部運営委員会にて太田 加藤・内藤・中村・山上 5名の委嘱承認 I~^, ^I . u ,~~ I 支部研究委員の府大馬場教授と第 2回展示・シンポについて協議(内藤・岡本・木 2 0 1 0 1 4月1 6日-i “ V V 1 -r l ) V I -I村・藤村) . . . L .L 臼竺国型部作業の成果「電却装備機器の変遷」を日些塑 2 0 1 014f l l 9日│第 1回展示の片づけ作業、記録写真撮影も実施 深江作業家 博物館展示スペース 2 0 1 014月1 2 0日 第 2回展示の計画案につき東大乾名誉教授に状況報告書鱈発信 201015月 7 日 第 2回展示とシンポジウムを切り離すこと長谷川支部長に報告 型斗旦1 4日 三菱神戸・会議室 支 部 年 度 総 会 目 巴 開 笠 型 二 材 す 黒 井 4名 付 部 長 賞 受 賞 2 7日│舞鶴・中村委員と舞鶴館 HP掲載について協議(黒井・藤村) 0 1 015月1 深江作業室 2 0 1引 6月 8E lI 東京にて乾-宮田両先生に内藤委員が状況報告、懇談 東尽 ~口市,, 1 第 9 田保存委員会、第 2 回展示会の開始日、テーマ、作業分担を決定、副委員長・ 2 0 1 01 6 月1 7日│ I J J I'-'1 幹事制を決め内藤副委員長・各幹事を推挙 山山 小 川 1 ¥J 海事科学部交流棟 6 F J . . 一2 0101 7月 1 1 4日 展示スペースの]11 崎家パネル、 OSK社長の座像徹去移転 円門 神戸大学海事科学研究科長小田啓三教授より第 2回展示を後援する旨書簡受領、案 内 i ¥l A I 2 0日 I 8 月2 日 工 山山 V JJ ~ W 内チラシなどに明示可能となった Fhd qJ 活 動 内 2 0 1 0 8月 9R 大崎展不品の撤去、収納場所への移動(総員作業) 年 月 日 廿 dv 場 所 博物館展不スペース 2 0 1 0 8月 9日 第 2回展不のくれない丸水槽試験模型の補修“三輿"より納入 2 0 1 0 9月 2日 第 2回展不の準備、展不品配置、 3日まで(総員作業) 4日 神戸海洋博物館よりくれない丸完成模型借用、搬出、輸送(佐川急便) 2 0 1 0 9月 1 博物館展示スペース 第 2凶展不「波なし船型の研究とくれない丸における大型球状船首の実船試験」開 5日 幕、午後 l時石田館長、藤村委員長テープカット、故南波壮八氏夫人、元関西汽船 博物館展示スペース 2 0 1 0 9月 1 工務塙友雄氏ほか関係者参列、見学者多数 2 0 1 0 9月2 4日 第1 0回保存委員会、第 2回展示の状況、委員会の継続と名称変更、正副委員長の推 挙、委員の退任、研究委員会との合同シンポジウム開催 j 毎事科学部交流棟 6F 支部運営委員会にて保存委員会の継続、名称の変更、委員長の委嘱副委員長、委員 2条 2 0 1 0 1 0月 5t : 1 長代行の人選、委員の継続委嘱、退任(岡本-島本)など承認、取りあえずは 1 委員会として継続、次期総会にて(設置研究会)へ 2 0 1 0 1 0月3 1日 第 1期保存委員会任期終了 1月 1日 2 0 1 0 1 第 2期「造船資料保存委員会」内藤林委員長の下に発足、委員に委嘱状発給、なお 学会は公益社団法人として承認されこの日よりスタート 1月 5日 2 0 1 0 1 支部研究委員会と Kシニア合同主催のシンポジウム「船型開発のあけぼのーパルパ スバウを中心として」開催、藤村-塙-岡本各氏が講演 1日 2月 2 2 0 1 0 1 1回保存委員会、(第 2期の第 1同)ならびに懇親会、方針・短中期行動計画な 第1 ど審議 2 0 1 1 1月 7日 海事科学研究科・海事博物館と学会関西支部・保存委員会の問で「海事史料保存活 動に関する協力協定」締結、調印 海事科学部交流棟 5F 等の形で蓄積されているが、活動の実績による 東コーナーにおいて当グループの収集物の展示を フィードパック、幅の広がりによる改訂が必要と 行った。 考えている。現時点の成果はすべてホームページ 「デジタル造船資料館 j に収録しであるのでそれ 第 1回は;ー 閉幕日:2 0 0 9 年 7月 1 4日 を参照願いたい。 様々な形態を持つ収集物の現物保管は大きな問 題であるが、博物館全体を考慮した館長の配慮に 広島県立大崎海星高校 テーマ: I 旧木江工業 高校造船科の軌跡」 より実務上は支障なく経過してきた。今後も引き 同年春、大崎海星高校から寄贈された造船科 続いて新しい場所の整備など努力が必要と考えて の教材・資料などを展示し、資料から作成した いる O 年表などをベースに日本全国の工高造船科の歴 史状況をマクロに紹介した。参考として開催案 2. 活動内容 内、図録、会場写真を添付する O 活動は 3年間でほぼ一巡したが、その流れは資 来場者は同高校 OBを中心に幅広い範囲に及 料2I 造船資料保存活動のフローチャート」に示 び 反 響 も 好 評 で 、 展 示 参 観 後 OBから自分の すとおりである 持っている資料の寄贈申し出があるなど、新た O このフローは絶えず繰り返し 廻っているものであり、内容は実績を反映して逐 次修正されるものである な4 又集につながった。 O 資料 2は2 0 0 9 年1 1月に作成したものにその後の 実績を入れて修正したものである O 右隅に点線で 囲った部分「デジタル造船資料館」の英訳版によ る海外発信は未着手であり、これを完成して日本 近代造船業の発展史を海外に向けて発信すること が次の大目標である O 第 2回は;ー 閉幕日:2 0 1 0年 9月 1 5日 テーマ:I 波なし船型の研究と“くれない丸" における大型球状船首の実船試験」 2 0 0 9 年春、東京大学旧船舶工学科にあった標 本、水槽試験模型、器具・用具、資料などを譲 り受けた。そのうち主として水槽試験に関する 3 . 収集物の展示会 海事博物館の企画展に併催する形で展示場の北 -54- ものを展示して東大における波なし船型の研究 の歴史を紹介した。開催案内、図録、会場写真 遊戯妻子表彰探疾彦選参dJ7 U ーデャ一件 07年 10月発足 犬も歩け f ;i様に当たる 新たな寄贈+ーー反響 石の上にも 3年 │神戸大学海事博物館│ シンポジウムと展示の併催) 他委員会と共同開催 テーマ別収集への一歩 ' i10年 11月 5日開催 ¥ 船の科学館 ユニ造舞鶴館 函館ドック アムテック相生 陀リ 呉・やまとミュジアム 全世界へ (2011/3/6修 正 藤 村 ) を添付する O 場 所 : 神 戸 大学海事科学部学術交流棟 1Fコ ンファレンスホール この展示で開陳した資料は主として故南波壮 八委員が東大関係者と折衝の結果寄贈に至った r テーマ : 船型開発のあけぼのーバルパスパウ J を中心として - 物である O 展示 の構想、は南波委員が亡くなる直 前まで検討していたので、逝去により作業は一 時中断のやむなきに至った 。 しかし、関係者の 努力により続行が可能となり、研究の当事者で 講演者と演題 1 展示企画からみえるもの 保存委員会藤村洋 あった乾崇夫東大名誉教授のお話も伺いやや遅 れて 9月とな ったが無事開幕に漕ぎ着けた 。 ま 2 くれない丸球状船首実船試験の思い出 0 た、展示 に華を添える物としてくれない丸の 5 一船型開発初期の回顧一 K シニア 分の l完成模型を神戸海洋博物館から借り入れ ることが出来た 。水槽試験用模型と完成模型と が一堂に並ぶのも珍しい光景であ ったO 同館の ご厚意に感謝する O 故南波委員検討段階から展示とそれに関連する 3 塙友雄 r 日本造船発展期の船型共同研究」とい くつかの設計事例 海友フォーラム 岡本洋 このシンポ ジウムは現役と OBが共同で実施 した初めての試みとして相当な反響を呼んだ。 シンポジウムを行う構想、があったが、これも引き これを機会に現役 /OB共同の活動を幅広く展 継がれて支部研究委員会と K シニアとの共催の 開してはどうかという意見も出てきた 。 このシ 形で下記の通り開催された 。 ンポジウムの内容については研究委員会から冊 開催日:2 0 1 0年 1 1月 5日 ( 金) 子が発行されている O -55- 「配布資料 1J T 造船資料・用具の調査・保存委員会J収蔵品展示(第 1回) 当委員会では各位から頂戴した収蔵品は逐次公 開していくことを原則としておりますが、今回そ から頂戴した旧造船科の教材などを下記要領で展 示公開することとな りました 。 の第 l回として、去る 3月広島県立大崎海星高校 公開展示のテーマ :I 広島県立大崎海星高校 ・旧木江工業 高校造 船科の軌跡」 展示の場所 :神 戸大学海事博物館(神戸市東灘 区深江南町) 0 分) ( 阪神深江駅から徒歩 1 展示の要領 :上記博物館で 同時期に 開催される企画展 「 歴史の中で日本商船隊の辿 った軌跡」 の会場の一部に て同時開催 0 0 9年 7月17日 (金) ~1O月 30 日(金) 展示の期間 :2 ( ただし、月、水、金の博物館開館日の午後 l時から 5時まで のみ観覧可能ですからご注意下さい ) 展示準備作業 博物館正面 u i s • 遥 S i i!の ・ H" i j 展示ブース入り口 -56- 船大工道具 「配布資料 2 J 日本船舶海洋工学会関西支部 造船資料 ・用 具の調査 ・保存委員会 広島県立大崎海星高校 収蔵品展示 ( 第 1回) 旧木江工業高校造船科の軌跡 開催場所:神戸大学海事科学部(深江キャンパス)海事博物舘内 1 年7 月1 7日 (金) ~10 月 30 日(金)毎週月・水・金曜日 開催期間:平成 2 13:00 ~ 1 7 : 0 0 展示品の一部(木造船建造用船大工工具) く造り、契約通りの納期に引き渡すことが出来る 日本船舶海洋工学会関西支部「造船資 料・用具の調査・保存委員会j の活動 日本の造船産業は昭和 3 1年(19 5 6 ) に建造量世 それを支えていた優秀な中堅技術者は日本造船産 界ーになって以来、世界経済の変動に左右されな 業の実質的な担い手の中心でした 。 この造船界の がらも、半世紀以上に亘り毎年世界の船舶建造量 実質的な担い手の育成機関として重きを成した工 0%以上を作り続けるという偉業を成し遂げて の3 業高校造船科の教育について、その資料を展示 きた 。 し、その活躍振りに思いを寄せて頂く事にした 。 という総合的エンジニアリング力の高さであり、 保存委員会は、その過程で造船に携わる多くの 造船に関わる学科を持つ工業高校は、総数とし 人達が、考え、作り、使ってきた文物を次の世代 2校を数えたが、第 1次、第 2次石油危機を契 て2 に引き継ぐことが文化的責任であるとの認識の 機とする長期に亘る造船産業の量的低迷や社会の 9年 1 0月に発足し、現在までに、約 4, 0 0 0 下、平成 1 1年度には僅か 2校に減少 高学歴化の影響で平成 2 点の貴重な資料を収集することが出来た 。 してしまった 。 これらの資料は神戸大学海事博物館に収蔵する この中で、歴史も長く、ほぼ完全な形で資料が ことを原則としており、従って収蔵物の展示も海 残されていた広島県立大崎海星高校(造船科が 事博物館の展示と 連動して行うこととなる。 あった当時の校名は木江工業高校)から造船教育 今後は収集と併行して、資料の整理を行い、逐 に関する貴重な資料を頂戴したので、工業高校に 次展示すると共に、デジタル化を行い、「デジタ おける造船教育の一例として展示する事にした 。 ル造船資料館 j として内外の研究者の利用や青少 今ここに同校の活動を偲ぶ展示をすることが、 年の教育に役立てたいと考えている O 熱心に教育を行われた関係者への感謝を表すこと につながり、また本展示会をご覧下さる同校関係 今回の展示会の趣旨 者が往時を偲ぶよすがとなれば幸いであります。 日本の造船業の強さは、どんな船でも間違いな -57- 広島県立木江工業高校造船科の歴史 大正 8年 ( 1 9 1 9 ) 6月1 3日当時の丈部省令第20 スの中堅技術者を送り込んだ。 号(徒弟学校規定)に基づき「広島県豊田郡立造 造船不況は回復不能な打撃、ついに造船科廃止 9 年伊勢地 船徒弟学校j として設立された。明治 2 昭和 4 0 年代後半以降、造船不況や、高学歴指向 区に設立された大湊造船徒弟学校につぐ我が国第 の影響を受け、大手造船会社における工業高校卒 2番目の古い造船中堅技術者養成機関である。 業技術者の採用は次第になくなり、工業高校にお ける造船教育はその存立基盤を失って行った。 民間活力で出来た・・創立の背景 「幕末より明治・大正に亘り大崎島地帯が造船 海運業隆盛一蟻装もスクーナーとなり、船体も大 型化し、かつ機帆船が導入・・・ 木江工業高校も大崎高校との合併→大崎海星高 校と身をよじるような変遷の末、ついに平成 1 0年 ( 1 9 9 8 ) 造船科は廃止やむなきに至った。 木造船・海運業が 隆盛を極め… j 一一同校史 f 6 0 年のあゆみ」所 展示品一覧 載一一創立当時の教員原武司氏の記述にあるこ <学校沿革> のような状況の中にあって、男子卒業生がことご -広島県大崎高等学校学校一覧 とく大工か船員になる状態に鑑み、同氏は生徒父 -広島県大崎高等学校造船科学校要覧 兄の要望を入れ、地元船大工棟梁などの協力を得 ・広島県大崎高等学校 て造船の基本知識養成に切り替えた。これが県視 -広島県立木江工業高等学校学校要覧 学の知るところとなり、徒弟学校設立につながっ ・広島県立大崎高等学校 た 。 -広島県立大崎海星高等学校学校要覧 学校要覧 学校要覧 -広島県立大崎海星高等学校 就職は海軍・大手企業におよぶ・・教師の熱心な 大正 8年 となって輝く海星 -木江造船工手学校 指導の成果 第一期卒業生写真 昭和 6年の 1 2年間の卒業生総数. ・木江造船学校校舎全景 2 3 6名、就職先は海軍・官庁、大手会杜など:1 3 6 -木江工業高校校舎全景 名、自営ほか・ 7 2 名となっている。このような成 -昭和 2 3 年春休み 果の背後には学校を工業学校として独立させたい ・昭和 2 4 年夏 という願いがあった。その先頭に立ったのは当時 -大崎海星高校造船科6 0 年史 の校長宗藤氏であり、大阪高等工業出身などの熱 一人一人が主役 春季工場見学写真 夏期工場実習写真 <授業用参考資料、教科書等> 心な教員たちがその後にいたと記されている O 昭 -高等学校用 和 9年(19 3 4 ) には念願かなって工業学校として -造船力学 独立し、併せて航空科が設置された。 .造船実習書 造船製図 ワークブック ・船舶製図 戦後の造船界を支える全国版優秀校に・-教科書 -船舶蟻装 作りに教師陣の努力 ・船舶計算 敗戦後の学制改革で、工業学校は工業高等学校 .造船力学 となり、教育の目的も技能者養成から技術者養成 ・造船工学 へと変わった。しかも卒業後の就職先である造船 .船舶工作 所の建造船や建造法は大きく変わりつつあった。 ・商船設計 この変化の中、教育を行う第一練の先生方の教 ・高等学校用船舶ぎ装 科書作りの努力などもあり、木江工業高校は時代 ・高等学校用船舶構造 に即した優秀な人材を輩出し、鋼船建造に転換し ・生徒講義ノート た木江地区の地元造船所の発展に大きく寄与する -広島県工業教育研究会 と共に、世界ーの建造量を誇りつつあった大手造 ・船舶応用力学 船会社、また官庁・船級協会などにもトップクラ -船舶応用力学上巻 -58- 下巻 資料綴り <木造船建造用船大工道異> -船舶設計 ・工業数理に関する基礎的研究 -木挽鋸 .5 1回し鋸 -かんがり鋸 .高等学校学習指導要領 -通し鋸 -ばらめ鋸 -両刃鋸 -切込鋸 -銭(マサカリ) ・突き撃 -ちょうな -前ちょうな -叩き撃 -ボールト錐 -玄能 -指金 -片つば撃 -両つば撃 -高等学校学習指導要領 ・全国造船教育研究会 工業科編 会誌 -昭和 6 2 年度(第 2 9回)全国造船教育研究会総 会並に研究協議会記録 -全国造船教育研究会 第 3回総会参加者写真 -船釘(通し釘海折釘落し釘) .造船力学 -平錨 -脇取錦 -台直し錨 ・日本の造船百年 -作理飽 -内丸錨 -面錨 -外丸錨 -特殊錦 -造船力学ワークブック 解答集 ・造船力学最終草案 -墨壷悪さし く材料標本> -船舶計算 ・目黒水槽施設利用計画書 -国産木材標本(樹皮付) ・ノート断片 .輸入材標本 わが国に於ける軍艦の沿革につ ・槙皮(マキハダ)原料製品 いて -百屯曳船兼交通船製造方法書 -百屯曳船兼交通船船体部重量区分明細簿 ・綿糸くず(紡績糸)マキハダの代用品 く製囲用品> .3 9 8トン銅製貨物船船体部仕様書(例) -生徒各自持ちの製図用具セット ・舵教材プリン ト .三角定規 -線図教材プリント ・三角スケール .中等数学第一類 ・コンパスセット ・物理学実験指針吉田卯三郎、武居丈助著 ・美術定規 .E l e c t r i cAr cWeldingi nShipC o n s t r u c t i o n -雲形定規 •B lu e p r i n tReadinga tWork 米国海軍 ・鉛筆削箱 .S h i p b u i l d e r .羽刷毛 .S h i p b u i l d e randMarineEngineB u i l d e r ・造船製図付図 .Motorboat .ビームコンノ fス .P r a c t i c a lS h i pB u i l d i n g .T定規 -情報技術教育特別委員会(教材編)積り -スチールパー ・全国情報技椛教育研究会 ・雲形定規 会報 :生徒の作品、その他> <計算道具> ・一般配量図 中央断面図(第一いづみ丸) ・インテグレータ ・四角錐製図 レタリング -計算尺両面型片面型 -教育用大型計算尺 .プラニメータ .ヘルメット ・タイガー計算機 :授業参考用模型> -オムロン 卓上電子計算機 -船台上船体及び進水台模型 ・カシオ 卓上電子計算機 .丸型ボイラー構造模型 .NECPC9801 -船体線国教育用船体模型 -シャープ電子プリンタ ・船体構造模型(リベット式) -59- 造船資料保存委員会第 1回展示会場写真 (2009 年 7月開幕) 盃 ・*江工銭奮筏 遭編劇"の航蹄 ‘ .z--sa--g-- 入り口右側:パネルはすべて手作り 左手奥の木工工具のパネル、教室のまま 教師周の大きな計算尺、下は模型類 初期のパソコン 、正面は川崎家展示 進水台上の船:天皇が見られたもの ショウケース内は木材見本、プラニメータ製図用具、計算機 などの教材、教科書など -60- 「配布資料 3 J f 造船資料・用具の調査・保存委員会j第 2回展示会のお知らせ 当委員会では収蔵品は逐次公開していくことを 原則!としております 。 ら寄贈を受けた旧船舶工学科の実験模型、資料な どを下記要領で公開展示いたします。 今回その第 2回として、 2 0 0 9年春に東京大学か 展示テーマ :I 波なし船型の研究と “ く れない丸"に おける 大型 球状船首の実船試験J 展示場所 神戸大学海事博物館 ( 阪神深江駅から徒歩 1 0 分) 展示要領:神戸大学海事博物館にて開催される企画展 「 江戸時代の海路の賑わい」の会場の一部にて同時開催 展示期間 :2010年 9 月 15 日 (水 )~終了 日未定 ( ただし、 毎週 月、水、金の博物館開館日の 午後 l時か ら 5時 までのみ観覧可能ですか らご注意下さ い) 「くれない丸 J(上) r むらさき丸J(下) 神戸大学 神戸大学 海事博物館 海事科学部 「くれない丸 J(左) 原型船首バルブ(右) 大型船首バルブ fl~ 宗パルプ 「くれない丸」模型 今回の展示会の趣旨 理論船型模型 C201 の後の発展の過程を示す貴重な品々が有りました 2 0 0 9年春、当委員会は東京大学から旧船舶工学 0年前に行われた東京大学乾崇夫教授ほ が、丁度 5 科の教材、実験用機材、資料など多数の品物の寄 かによる、関西汽船の高速客船「くれない丸」に 贈を受けました 。 よる球状船首の実船実験と、それに先立 つて東大 これらの資料の中には、日本の造船近代化とそ で行われた「波なし船型」に関する理論研究なら -61- びに模型試験、それに引続いて続々と展開され 分野である船型に関する基本的な知識を理解頂け た、日本の理論船型学の広がり、各種の船型開発 るよう、関連する水槽試験や船型設計のことにつ についての歴史も紹介いたします 。 いても簡単な紹介を試みました。この分野に関する 船首バルブは関西汽船と三菱神戸で、船尾端バ 知識を豊かなものにして下されば幸いであります。 ルブは川崎重工で、のように、関西にゆかりの船 保存委員会の第 2回展示会は、神戸大学海事科 主や造船所のこの分野での活躍振りの一例です。 学研究科の後援、神戸大学海事博物館の協力を得 これを機会に造船の技術の中でも最も特徴的な ております。 「配布資料 4 J 日本船舶海洋工学会関西支部 造船資料保存委員会 第 2回展示会 「波なし船型の研究と“くれない丸"における大型球状船首の実船試験j 2 0 0 9年春、 当委員会は東京大学から旧船舶工学 の実験用機材、 資料など多数の品物の寄贈を受け て続々と展開された、日本の理論船主~!学の広がり、 各種の船型開発についての歴史も紹介いたします。 船首バルブ、 は関西汽船と 三菱神戸で、船尾端バ ました 。 これらの資料の中には、日本の造船近代化とそ ルブは川崎重工で、のように、関西にゆかりの船 の後の発展の過程を示す貴重な品々が有りました 主や造船所のこの分野での活躍振りの一例です 。 J度 50年前に行われた東 これを機会に造船の技術の中でも最も特徴的な 京大学乾崇夫教授ほかによる、関西汽船の高速客 分野である船型に関する基本的な知識を理解頂け 船「くれない丸」による球状船首の実船実験と、 るよう、関連する水槽試験や船型設計のことにつ それに先立 って東大で行われた「波なし船型 Jに いても簡単な紹介を試みました。この分野に関する 関する理論研究ならびに模型試験、それに引続い 知識を豊かなものにして下されば幸いであります。 が、今回の展示会では、 . . . . . ・ ・・ ・C 岡崎明 r 「むらさき丸 J(下) くれない丸J(上) 「くれない丸j新造時公式試運転時 「くれない丸」の大型球状船首(パルパスバウ)の実船実験は 1 9 6 1年(昭和 3 6年) 3月 1 6日に行わ れた。 同型船で、小型バルブの付いている「むらさき丸 Jとの並走写真の撮影も、この日の午後行なわれ た。 これをヘリコプターから撮影した写真は翌日の新聞の社会面に掲載され注目を集めた 。 さらに、後日この写真は関連する研究の成果と共に東京大学乾崇夫教授によ って米国造船造機学会 に発表され、一躍世界の造船界にセンセーションを巻き起こした。 -62- 水槽試験に用いられた大型バルブ付き 2.5m模型 「くれない丸 Jの球状船首については、東京大学の乾崇夫教授に よって理論研究 、模型水槽試験が 行われた O この試験では、東大水槽が開発した新しい船型試験法である、水面にアルミ箔を撒いて船の造る波 を写真撮影するという方法で行われた。 実船試験は、ま ず小型バルフゃ 付き原船型で行 われた 。 その後 2日間の突貫工事で大型バルブがかぶ せられ、次の日にその大型バルブ付きの試験が 行われた 。 その後、「むらさき丸」との並走デモがおこ なわれた 。 「くれない丸 j 小型バルブ付き原船型(左) 大型バルブ取り付け工事(右) 実船試験の結果は、模型試験で予測 された通 . 5 5ノットの増 り、馬力減少 13%、速力にして 0 加となった 。 旋回性はやや悪くなったが、操舵追従性、針 路安定性はよくなった 。 速力試験成績(左)旋回試験成績(右) 船尾パルプ 船菖パルプ 水槽試験に用いられた理論船型模型 C201 船尾パルプなレ 船首パルプ伺き 東京大学では、「くれない丸」の研究に先駆けて、理論船型に船首バルブ、船尾バルブを付け、波 なしを実現する研究が行われた 。 201で船首バルブの有り無しの差を比較し ここに示した模型船の波の写真は、この理論船型模型 C たものである O -63- 写真撮影のための台車 ステレオ写真解析機 船カf造る波の等高線図 航走する模型船が造る波を写し解析するためには様々な工夫が要る O 写真撮影のための台車が新しく製作され、ステレオで撮影した写真を、解析機を持つ専 / " j業者に委 託し 、波の等高線図を作成した 。 . 一 ・ 青函連絡船模型 東京大学で は、「くれない丸」の研究に引 き続 いて、新しい青函連絡船の船型決定の研究が行わ れた。 この研究では、理論に従 って設計された母船型! に、それに合ったバルブを付けるという理想的な 手順で船型設計が行われた O 、 1 この研究結果は、乾崇夫教授が<日本学士院賞 3 >を受賞されたとき、天皇陛下に説明をする際の 資料として使われ た。 造波抵抗の減少を示す実験結果 学士院賞を受賞した造船技術研究者(敬称略) 第 3回 大正 2年 帝国学士院賞 近藤基樹 「軍艦の 設計 j 第1 2回 大正 1 1年 帝国学士院賞 末広恭二 「伝動軸の振り計の研究」 第1 6回 大正 1 5年 帝国学士院賞 元良信太郎 「元良式船舶動揺制止装置の研究」 第1 8回 昭和 3年 帝国学士院賞 平賀 第3 9回 昭和 2 4年 日本学士院賞 渡漫恵弘 「船舶の動揺に関する研究」 第5 6回 1年 昭和 4 日本学士院賞 吉識 雅夫 「船舶大型化に関する構造力学上の研究」 第6 8回 3年 昭和 5 日本学士院賞 乾 崇夫 「船舶の造波抵抗に関する研究」 2 表 「高速度艦船 に関する研究」 文化功労者に選ばれた造船技術研究者(敬称略) 昭和 4 2 年 山 県 昌 夫 │ 昭 和5 0 年 吉 識 雅 夫 │ 昭 和6 3年 乾 (船型学)文化勲章 -64- 船 体 構 造 力 学 船 型 学 ) 崇夫 乾崇夫教授らの球状船首に関する研究に刺激され、それ以後の日本の船型学は一斉に花開く様相を 呈 し、多くの優れた研究が発表された 。 関西に関係あるトピックスとしては、川崎重工が東京大学宮田秀明教授との協力によって開発した 船尾端バルブ ( S t e r nEndBulb)が挙げられる O 船尾造波抵抗の発生 粘性抵抗の発生 j 必?花、有{}が発作tさせる船体!羽辺の波紋は、凶 1のよう に、船首 (A)、 船 1 ( ;(B)から八千:形に広がリ、また船 f己 (C) には臼く i包吹った ~l支崩れができます 。 この B の i 大に、'1<の乱丸、すなわち「渦」についてみますと、 限式的には阿 2のようになり、船尾端部における形状 の不j 主j h tによる流れの乱 f l、およ 地絞から船 j 己i 皮型 j Z i :i 皮扱抗が、また Cによって局所非 び~~守の(絡によ って 、 線 引 泣J i 刻正抗 (Rw.2)I J f先生します。 情性祇抗が ~tll : し ます 。 国2 4 プロペラ渦 国 1 SEBによる造波干渉 SEBによる鉛尾部流場の整流 |χ13 のよ うに 、 SEB の f;':;民・形 ~k つ まコ ミ 三 を迎 、日! こ泣 ~Iーすることによ っ て j造 ;度 r;~主を起こさせ、 if!i雪!!j立 i皮 tJUiL oo ¥ {氏、1"))を減ずるニとができます 図3 また、骨fìf己端の JI ' ~:(; に乱 il t.こ流坊 の4 11 で、向 3の i M 線 引 SEBによる 守 ; M m:効来によ って 、 I n j所J ド船烈ilL i 則正抗、キM生ほ抗を減少させるニ とができます。 ー《二三う eSEBに よ る 船 体 抵 抗 減 少 の 原 理 舎 略 近 式 で 示 し ま す と 、 次 の よ う に な り ま す 。 ムRームR IャムR 2 ムRJ. . . .・ . ・ . . (1) ムR J'X:(A-8F-Al………・…・・(2) H ムR SE8による怒抗減少分 ムRl= ム 品以外 (RW 2 、 削減少分 A ~ 紛尾波高(図 3 ) ムRl=船尾波干渉による R削減少分 ム向 -SE8の毘有縁抗 8=SεB波高(図 3) A Bのときム R= -A2ームA2-ム向く 0……(3) となり、大きい抵抗減少が得られます 。 KAWASAKISEBの パ ン フ レ ッ ト に 書 か れ た 原 理 説 明 姉 財 閥 姐 川崎船層錨パルプ “すとれちあ丸" “おが、さわら丸" 船尾端バルブ (SEB) の第 1号機を取り付け -65- 船型研究と、それによる船型開発によって、船舶の性能はどれほど向上したのであろうか? 日本船舶海洋工学会関西支部 K シニアのメンバーである塙友雄氏は今回の展示 に関連して 書 かれ た「随想」の中で興味ある比較計算をしている O それによれば、タイタニック号を今の時代に計画したならば、所用馬力は 29%減らせただろうし、 同一馬力の場合は、排水量を 64%増やしたもっと幅の広い大型船でも、同じ速力が期待できたであろ つ O ①欄 項 目 状 有E 原 LwlxB xD ( m) タイタニック号 型 ②欄 現世代船型に変更 同長広幅船型 航海状態 航海状態 航海状態 2 6 0x4 4x1 1 . 2 排 水量 ( t ) 2 6 0x2 8 . 2x9. 8 9 . 2 5 0 1 5 4, 船速 ( k t s ) フルード 数 Fn 2 10 . 2 1 4 。 2 10 . 2 1 4 七機 ( MCO) 種類 4 6, 0 0 0 p s( 3 3, 81 Okw) R, T 3軸 31 , 0 0 0 p s( 2 2, 785kw) デイ ーゼ ル 2軸 4 3, 7 0 0 p s( 3 2, l20kw) 5%i J o X :I デイ ーゼル I軸 所 要 馬力 3 2, 7 0 3 p s( 7 1% MCO) 2 3, 2 9 5 p s( 7 1% MCO) 剰 余抵抗38%減 9%減 馬力 2 L lB ク ク ク 5 . 9 8 9, 3 0 5 64%増 3 2, 6 4 3 p s( 7 5% MCO) タイタニ ックと馬力は同 一 広 幅 化 し 、 排 水量 増 加 タイタニック号の主機は R (レシプ口蒸気機関 2軸)と T (蒸気タービン 1軸 ) の 合 計 3軸 船型研究、設計の元になる船体形状を表す図面を “ 線図 ( LINES) " と言 うO これを描くための道具はバ ッテンとウエイトである O 東大水槽で、用いられていた木製バッテンとそれを押さえるウエイトを 今回の展示会場に展示した 。 また、船体の断面積を 計 るプラニメータ(面積計) や、手回しのタイ ガ一計算機も大事な道具 だった。 写真:“「目白水槽の思い出からの発想 J田中拓氏日本造船技術センタ一目白史 ( 36年の 歩み)より" 誌面の制約上パンフレットに盛り込むことが出 がらも、半世紀以上に 亘 り毎年世界の船舶建造量 来 なかった事項、付随する「随想 Jなどは、下記 の3 0%以上を造り続けるとし寸偉業を成し遂げて のホームページ「デジタル造船資料館」に掲載し きました 。 ておりますので、 是非こちらもご覧にな って下さい o 当保存委員会は、 繁栄 の過程で造船に携わる多 h t t p : / / w w w . j a s n a o e . o r . j p / k s e n i o r / h o z o n k a t u d o u / くの人達が、考え、作り、使 ってきた文物を次の 保存委員会の 第 2回展示会は、神戸大学海事科 世代に引き継ぐことが、私達の文化的責任である 学研究科の後援、神戸大学海事博物館の協力を得 ております 。 との認識の下、平成 1 9年 1 0月に発足しました 。 以来、まさに失われようとしている資料の収集 に取り組んできましたが、 幸 いにして個人、 学 校、企業 のご協力を得て、多数の貴重な 資料を頂 <日本船舶海洋工学会関西支部「造船資 料保存委員会」活動の紹介> 戴することが出来ました 。 これらの資料は神 戸大 日本の造船産業 は昭和 3 1年 ( 1 9 5 6 ) に建造量世 学海事博物館に収蔵することを原則としており、 界ーになって以来、世界経済の変動に左右されな 従 って収蔵物の展示も海事博物館の一部を利用し -66- て行っております。 今後は収集と並行して、資料の整理を行い、逐 次展示すると共に、デジタル化を行い、「デジタ ル造船資料館 Jとして内外の研究者の利用や青少 年の教育に役立てたいと考えてい ます 。 保存委員会作業室 干6 5 8 0 0 2 2 神戸市東灘区深江南町5 1・1 神戸大学海事博物館気付造船資料保存委 員会 E m a i l : k h o z o n @ m a r i t i m e . k o b e u . a c . j p 造船資料保存委員会第 2回展示会場写真 (2010年 9月開幕) テープカット 石田館長、藤村委員長 2つの水槽模型と多数のパネル 崎広 くれない、むらさき両船並走写真 脱着式の大型バルブと 2.5m水槽試験模型 圃園田門 壁画に吊した理論船型模型 S・2 01 -67-