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教育研究支援センター報 - 津山工業高等専門学校

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教育研究支援センター報 - 津山工業高等専門学校
教育研究支援センター
教育研究支援 センター報
センター 報
第 1号
2004年
2004 年 9 月
津山工業高等専門学校
目
次
1、教育
1、教育研究
教育研究支援
研究支援センター
支援センター報
センター報 発刊に
発刊に寄せて
校
長
阿部 武治 ………………………………………
2、「教育
2、「教育研究
教育研究支援
研究支援センター
支援センター報
センター報」発刊にあたって
発刊にあたって
教育研究支援センター長
福田 昌准 ………………………………………・
3、「教育
3、「教育研究
教育研究支援
研究支援センター
支援センター報
センター報」創刊と
創刊と技術職員
技術職員の
職員の歩み
教育研究支援センター 技術長 鷲田 廣行 ………………………………………・
4、教育
4、教育・
教育・研究支援
研究支援一覧
支援一覧
教育研究支援センター支援一覧(~H15) ……………………………………………………・
5、技術
5、技術報告
技術報告
( _アンダーラインは支援センター職員)
(学会)
学会)
地域協力の一環としての「レゴ・マインドストームを用いた親子ロボット組み立て教室」の試み
吉冨秀樹 , 浅野芳宏 , 柴田哲郎
技術長 鷲田 廣行 , 第1班 大谷 賢二 ,中尾 三徳 …………………………・
地域協力の一環としての公開講座におけるミニロボコンの実施
-ライントレースロボットの製作-
技術長 鷲田 廣行 ……………………………………………………………………
レゴ・マインドストームを教材に使ったロボット工学実験・実習(マイクロマウス製作)
第1班 中尾 三徳 ……………………………………………………………………・
パソコンの動画再生を利用した NC 設備操作の実習指導
第1班 神田 尚弘 ……………………………………………………………………・
(紀要)
紀要)
レゴ・マインドストームを教材に使ったメカトロニクス教育とその教育的効果
第1報-中学生のためのロボット教室への適用例
吉冨秀樹 , 浅野芳宏 , 柴田哲郎
技術長 鷲田 廣行 , 第1班 大谷 賢二 ,中尾 三徳 …………………………・
フリーウェアを用いた PC サーバによるホームページ作成実習システム
第1班 中尾 三徳 ……………………………………………………………………・
津山高専における小型分散発電装置導入の検討
宗高 大悟 , 吉永 洋一 , 第1班 中尾 三徳 …………………………………
(研究発表
研究発表会
発表会)
広範な目的に利用可能な教育用システムの設定と運用
寺元 貴幸 , 第2班 日下 孝二 , 大西 淳 , 岡田 正 ……………………・
多目的なコンピュータシステムの構築と安全な運用
寺元 貴幸 , 第2班 日下 孝二 , 大西 淳 , 岡田 正 ……………………・
多目的なコンピュータシステムの構築と安全な運用Ⅱ
寺元 貴幸 , 第2班 日下 孝二 , 大西 淳 , 岡田 正 ……………………・
教育用システムの運用と新キャンパスネットワークの構築
寺元 貴幸 , 岡田 正 , 第2班 日下 孝二 , 大西 淳 , 最上 勲 ……・
総合情報センターにおける各種サービスとセキュリティ対策について
寺元 貴幸 , 岡田 正 , 第2班 日下 孝二 , 大西 淳 , 最上 勲 ……・
公式 Web サイトの長期的視点に立った管理運用
岡田 正 , 寺元 貴幸 , 第2班 日下 孝二 , 最上 勲 ……………………・
レゴマインドストームとブレッドボードを組み合わせたメカトロニクス教材と創造演習教育
吉冨 秀樹 , 第1班 仲井 正明 ……………………………………………………
(技術発表
技術発表)
発表)
地域協力の一環として「元気君神社の製作協力」
技術長 鷲田 廣行 ……………………………………………………………………
微小表面材料特性評価システムについて
第1班 川村 純司 ……………………………………………………………………・
銀天街アーケイド上に太陽光発電装置を設置し、自然エネルギーを有効に利用する考察
田辺 茂 , 2班 板谷 憲治 …………………………………………………………
第11回中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修(情報系、物質系)技術課題発表
「走査型電子顕微鏡による IC の観察、および分析」
第2班 西 彰矩 ………………………………………………………………………・
フリーソフトと Quick Circuit を使って手軽にプリント基板を作る
第2班 小坂 睦雄 ……………………………………………………………………・
Windows パソコンによる外字フォントファイルの共有化
第2班 日下 孝二 ……………………………………………………………………・
(公開講座
公開講座)
講座)
公開講座「ミニ・ロボコン2003」支援報告
第1班 中尾 三徳 ……………………………………………………………………・
平成15年度中学生体験講座 「電子顕微鏡でミクロの世界探検」
第2班 西 彰矩 ………………………………………………………………………・
中学生を対象とした出前授業用教材の製作と実施
第2班 徳方 孝行 ……………………………………………………………………・
(大学・
大学・高専等
高専等研修会)
研修会)
平成15年度国立学校等技術専門官研修
技術長 鷲田 廣行 ……………………………………………………………………
第6回西日本地域国立高等専門学校協会技術職員特別研修(機械系)を受講して
第1班 大谷 賢二 ……………………………………………………………………・
平成15年度中国・四国地区国立学校等技術専門職員研修報告
第1班 仲井 正明 ……………………………………………………………………・
(学内研修会)
研修会)
支援センター主催 第1回技術研修会 「初めてのホームページ作成講座」
第1班 中尾三徳 ………………………………………………………………………
支援センター主催 第2回技術研修会 「マシニングセンター使用法」
第1班 神田 尚弘………………………………………………………………………
支援センター主催 第3回技術研修会
「走査型電子顕微鏡・X 線マイクロアナライザーの操作法」
第2班 西 彰矩 ………………………………………………………………………・
支援センター主催 特別技術研修会 「光岡輝旨技官 定年記念最終実習(鋳造)」
第1班 大谷 賢二 ……………………………………………………………………・
6.地域
6.地域共同
地域共同テクノセンター
共同テクノセンター各種
テクノセンター各種機器
各種機器講習会
機器講習会報告
講習会報告
計測解析部門研修
第1班 大谷 賢二 ……………………………………………………………………・
走査型電子顕微鏡、X 線マイクロアナライザー研修会
第2班 西 彰矩 ………………………………………………………………………・
7.大学
7.大学・
大学・高専等
高専等研修会
大学・高専等研修会一覧 …………………………………………………………………
8.科学
8.科学研究費
科学研究費補助金
研究費補助金(
補助金(奨励研究
奨励研究)
研究)
奨励研究申請交付状況 ………………………………………………………………………
9.学外
9.学外技術
学外技術講習会
技術講習会報告
講習会報告
研削といし技術講習会
第1班 仲井 正明 , 河原 みほ……………………………………………………
ガス溶接技能講習
第1班 川村 純司……………………………………………………………………・
アーク溶接等の業務に係る特別教育
第1班 大谷 賢二……………………………………………………………………・
「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」の報告
第1班 神田 尚弘……………………………………………………………………
日本顕微鏡学会関西支部 平成15年度特別講演会
第2班 西 彰矩 ……………………………………………………………………・
安全管理講習会受講して
第1班 大谷 賢二 …………………………………………………………………・
特許取得支援事業計画に関する講習会受講報告
第2班 徳方 孝行 …………………………………………………………………・
「労働安全衛生法に関する講演会」
第1班 中尾 三徳……………………………………………………………………
10.教育
10.教育研究
教育研究支援
研究支援センター
支援センター関連
センター関連資料
関連資料等
資料等
津山工業高等専門学校教育研究支援センター規程…………………………………………・
津山工業高等専門学校教育研究支援センター運営委員会規程 …………………………・
教育研究支援センター設備一覧………………………………………………………………・
教育研究支援センター組織図 ………………………………………………………………・
教育研究支援センター構成図と職員写真 …………………………………………………・
11.編集
11.編集後記
編集後記
編集後記 …………………………………………………………….…………………………・
教育研究支援センタ-報 発刊に寄せて
校
阿部
長
武治
津山高専は昨年創立40周年を迎えました1)。 技術系職員の方々もこれまで40年余
にわたって,教育,研究の支援業務を推進して来られ,本校の発展に多大の貢献をしてこ
られたことに,先ずもって感謝したいと思います。
本校に教育研究支援センターが設置されたのは,平成13年 4月のことで,それ以来ま
とまった支援組織として活動しています。
ところで,昨今の高専をとりまく状況は大きく変化しています。まずあげられるのは,
平成16年4月に全国55校の国立高専が一つにまとまって独立法人化され,これまで文
部科学省の直轄の機関であった形から離れたことです。これによって,教職員の身分も国
家公務員ではなくなりました。
文科省の説明によりますと,教育機関というものは,公共性をもったサービス機関とて
して定義されるとのことです。すなわち,教育を受けたいという人達へのサービス提供を
第一義として存在するわけですが,その際公共性をもっていることから一定の制約を受け
ることになると考えられます。
独立法人化には,制度面,人事面,予算面など種々の問題があります。独立法人化はそ
の出発点から,国の財政の緊迫化から,国の財政支出を減らすということと表裏一体とし
て推進されている側面があります。これはある意味では大変不幸なことでもあります。も
ちろん文科省は,独立法人化によって各大学や高専の自由度が増し,個性的な学校を作る
ことが可能になったという点を強調しています。しかし,政府・与党,財務省などの見方
は,とにかく財政支出を減らそうという発想のようです。これも膨大な借金によって国家
財政が破綻に近づいている現状からすれば仕方のないことかも知れません。しかしながら
他方では,教育は国家100年の計に必須なことでもあります。
今回の独立法人化に伴いまして,高専の業務として,従来からあった教育のほかに,国
立高等専門学校機構法によって,創造的な人材の育成および地域連携がつけ加えられまし
た。したがって,支援センターの役割にも,従来からの実践的技術者の養成に加えて,創
造的人材の育成や,地域と共同して行う教育研究活動に対する支援業務が加わると考えら
れます。
今後はこれらの目的を達成するために,教員と技術系職員が,実験・実習科目を中心に,
連携をとり,また相互乗り入れをする必要があると思われます。また,いろいろな工夫に
よって,限られた人的資源を有効に活かし,各教職員が意欲的に職務を果たすことによっ
て,津山高専が活性化することを期待します。
1)
津山工業高等専門学校
40周年記念誌
(2003)
「教育研究支援センター報」発刊にあたって
教育研究支援センター長
福田
昌准
教育研究支援センターが設置されてから3年が経過しました.実践的技術者の育成を目
的とする高専において,教育研究支援センターの果たす役割は大きく,センター所属の技
術職員には実験・実験の技術指導を中心に以下の業務が要求されています.
(1)教育及び研究に対する技術支援の基本計画の策定に関すること.
(2)技術の継承及び保存並びに技術向上のための技術研修,技術発表会及び技術講演会
等の企画,実施等に関すること.
(3)学生の実験,実習,卒業研究等の準備等及び技術指導に関すること.
(4)技術支援に関すること.
(5)技術資料の作成,保管及び提供等に関すること.
(6)その他センターの目的達成のため必要な事項に関すること.
しかし技術職員の業務やその活動状況が,本校の教職員を含めて外部から十分に理解さ
れているとは言えないのが現状です.そこで教育研究支援センターの活動状況をまとめ,
「教育研究支援センター報」として発刊することとしました.
センター報はセンターの活動記録であり,支援センター職員が自ら積極的,意欲的に準
備を進めてまいりました.内容的には,技術研修・公開講座・研究・地域支援・センター
主催研修会等の報告を中心に,教育・技術支援成果の積極的な外部発表や独立行政法人化
に伴う技術講習会への参加機会の増大により,センター報は予想以上に分厚い冊子となり
ました.
内容の整理が不十分な箇所もありますが,支援センター職員の業務内容が多岐にわたる
ことを理解いただけると思います.また活動状況を整理することによって,センター業務
の中で取り組みが不十分な項目も明らかとなり,今後の業務推進の参考となります.発刊
に満足することなく,2号,3号の継続的な発行に向けて,センター職員が努力すること
を願っています.これがセンターの発展と職員の能力と技術向上につながると信じていま
す.
最後になりましたが,これからのセンター活動に生かしたいと思いますので,ぜひセン
ター報についての建設的な意見や批評をお寄せ願います.そして今後とも教育研究支援セ
ンターへのご理解とご支援を宜しくお願い申し上げます.
「教育研究支援センター報」創刊と技術職員の歩み
教育研究支援センター
技術長
鷲田廣行
平 成 13 年 、個 々 の 技 術 職 員 が 組 織 化 さ れ 、「 教 育 研 究 支 援 セ ン タ ー 」が 発 足 し 、早 満 3
年を迎えた。ここに、組織化以来 3 年間の活動を「教育研究支援センター報」として発行
するはこびとなり、発行にさいしお力添えを頂きました関係者の皆様に心から御礼申し上
げます。
国 立 工 業 高 等 専 門 学 校 は 昭 和 37 年 度 よ り 、「 5 年 間 の 一 貫 し た 教 育 に よ り 豊 な 教 養 と 高
度 の 専 門 技 術 を 身 に つ け た 技 術 者 を 育 成 す る 」( S43 年 3 月 教 育 課 程 の 標 準 総 則 ) こ と を
目的に設立された。
津山高専はその翌年、第二期校として創設され、初年度は市中心部の二階町での仮校舎
に よ り 第 一 歩 を 踏 み 出 し 、翌 39 年 4 月 、第 一 期 工 事 完 成 に よ り 、現 在 地 の 津 山 市「 沼 624
- 1」 に 移 転 し 以 後 学 年 進 行 、 学 科 増 設 、 改 組 等 を 繰 り 返 し 、 平 成 15 年 40 周 年 を 迎 え 現
在に至っています。
写真1 第一期工事・管理棟他
津 山 高 専 10 周 年 記 念 誌 よ り
本校は南に鶴山城址を望み、隣地に古代遺跡の弥生式住居址が存在する高台に在り、高
等教育機関の立地にはぴったりの地といえます。さらに、ピッタリなのが「沼」という地
名で、雨でも降った日にはまさに、泥「沼」と化し、長靴無しではどうにもならない状態
でした。
私 が こ の 津 山 高 専 に 国 家 公 務 員( 電 気 )と し て 採 用 さ れ た の は 津 山 高 専 創 立 か ら 2 年 後
の 昭 和 40 年 4 月 、 ま さ に 高 専 の 創 設 期 と し て 歩 み 始 め た ば か り の 時 期 で し た 。
勤務当初は会計課業務係に配属され、一般事務職員の方と机を並べていました。そして
午 後 3 時 過 ぎ と も な る と 毎 日 の よ う に 事 務 長 か ら 号 令 が 掛 り 、「 沼 地 」 対 策 に 校 舎 周 辺 の
敷地や通路にマサ土を入れたり、ローラーをかけ填圧したりといった土木作業員に変身し
たものでした。
その後電気工学科に部屋を移し同期の技術職員と共に、実験室の整備・実験装置の設置
や実験器具等の整理、実験指導書の作成などやっと技術職員らしい業務も行った。特に当
時の実験指導書の作成は、いわゆる「ガリバン刷」であり、鉄筆でまさに「ガリ・ガリ」
と 書 い た も の で す 。と て も 今 の「 ワ ー ド 」と か「 一 太 郎 」な ど 考 え も つ か な い こ と で し た 。
そのような仕事をしながらも相変わらず土木作業の呼び出しはかかってきました。こうい
ったことも今となっては懐かしい思い出となっています。
裏門を入ってすぐの右手に寄棟のバラックが建っていた。あるとき好奇心から恐る恐る
入ってみると、なんとそこが実習工場の仮建屋で、作業着姿の二人の男が旋盤に向かって
いた。その鋭い眼差し・風貌はまさしく「職人気質」という言葉がぴったりであった。し
ば ら く し て 挨 拶 す る と 、 に っ こ り 笑 っ て 、「 お ー ! 新 入 り か ! し っ か り 頑 張 れ よ ! ・ ・ ・ 」
と優しく言葉をかけてくださったことを懐かしく思い出します。その後実習工場も新築さ
れ 、実 習 係 と し て 確 立 し 、係 員 も 7 人 と な っ た 。そ の 実 習 係 も 今 は 支 援 セ ン タ ー に 合 流 し
た。当時の職員も退職されて久しく、今日までに 4 名の方が逝去されました。
当時の設置基準においては、第8条において「・・・・必要な相当数の事務職員その他
の職員を置かなければならない」としており、技術職員については特に定められてはおら
ず、また、技術職員の職務等についても明確に規定されていませんでした。
「 配 属 は 教 務 係 で あ る の で 事 務 の 指 揮 下 だ 」、 と か 、「 い や 実 態 か ら い っ て 学 科 で あ る と
か 」、そ う い っ た こ と が 度 々 持 ち 上 が っ た も の で す 。そ の 度 に 技 術 職 員 と し て の 身 分 の 不 安
定さとか将来への不安を感じたものでした。
学科によって多少の違いはありましたが、その職務内容は、単に実験・実習の準備と後
片 付 け 、そ の 他 雑 用 程 度 の こ と が 多 か っ た り 、実 験 実 習 に お い て は 、
「学生に対して技術職
員 が 指 導 し た り 教 え た り し て は い け な い 。」な ど と 言 わ れ た こ と が あ っ た り 、ま た そ の 逆 に 、
いくら高度なことをやったり教官と共同で研究をしても何ら報われないことを実感したり、
そんなことから無力感に陥る技官もあったように思う。
そ し て こ の よ う な 状 況 は 本 校 だ け で は な く 、全 国 の 高 専 に お い て も 同 様 な 問 題 が 存 在 し 、
技術職員の在り方、待遇等を巡って全国的な問題として議論が高まり全国的な運動が展開
さ れ る に 至 り ま し た 。( 技 術 職 員 と し て の 「 職 」 の 確 立 「 専 技 職 」 俸 給 表 の 新 設 と か 、「 専
門 行 政 職 俸 給 表 」適 用 の 要 求 な ど 。全 国 高 専 教 職 員 組 合 協 議 会 、全 国 大 学 高 専 教 職 員 組 合 )
そういった状況下で、平成3年3月には、国立高専事務部長協議会庶務部会が開かれ、
技術職員の待遇改善に関して議論された。
例えばとして
・ 技術職員の職務の高度化、専門化を鑑み技術職員による組織化・・・
・ 実習工場を発展的改組し共同利用施設にし・・・
・ 職務と責任の明確化、待遇の改善、資質の向上と優れた人材の確保
本 校 に 於 も 、 平 成 3 年 11 月 事 務 部 長 よ り 、 技 術 職 員 の 組 織 化 と し て 「 実 験 実 習 係 」 を
設置する旨の試案が示され、何度かに渉り技術職員との間で議論した。待遇の改善と言い
ながら、職務内容が補助的業務中心であるとか、あまりにも定員削減対策が全面に出され
たことなど、これまでの不信感などから組織化の実現には至らなかった。
その後、
・ 科学技術基本計画(平成8年総理府)
・ 大 学・高 専 等 の 教 育 研 究 に か か わ る 技 術 職 員 問 題( 平 成 9 年 8 月 技 術 職 員 待 遇 改 善 検
討会見解)
・ 技 術 専 門 官 及 び 技 術 専 門 職 員 に 関 す る 訓 令 ( 平 成 9 年 11 月 )
等に於いて、近年の学術研究の加速度的進展に伴い、教育研究を専門的技術の側面
から支える大学・高専等の教室系技術職員の職務は、一層複雑高度化し、その役割は更に
重 要 性 増 し て い る 。・ ・ ・ ・ 等 と し て 、「 組 織 化 の 推 進 」 及 び 「 新 た な 職 の 導 入 」 等 に よ り
技術職員の待遇改善について一定の方向性を示した。同時に、全国的に組織化の動きが強
まった。
本 校 に 於 い て も こ う し た 全 国 の 流 れ の 中 で 平 成 13 年 度 よ り 、「 教 育 研 究 支 援 セ ン タ ー 」
として二班体制で組織化された。
現 有 職 員( 定 員 内 )13 人( 1 班 7 人 、技 術 長 含 む 、2 班 6 人 )の 内 、平 成 18 年 度 3 名 、
19 年 度 4 人 と 、今 後 の 4 年 間 で 実 に 7 人 も の 技 術 専 門 職 員 等 が 退 職 す る こ と と な る 。特 に
2 班に於いては現有職員の内 2 名が残るに留まり、さらに、その内一人は情報センター中
心ということであり、今後の技術の継承をどの様に進めていくかが大きな課題となってい
る。また1班に於いても 2 班ほど極端ではないが同様の問題を抱えている。
今後、津山高専の将来を見据えた大局に立った検討、人事等が求められる。
この数年で創設期以来津山高専と共に歩んできた技術職員の半数以上が退職することに
な り 、こ こ に 簡 単 に 歴 史 の 一 ペ ー ジ を 記 し「 支 援 セ ン タ ー 報 」発 刊 に 添 え た い と 思 い ま す 。
教育研究支援センター支援一覧(~平成15)
1.
教育研究支援
実験実習支援・卒研等の支援
2.
技術支援
①依頼作業 実習工場関係
大谷 6件、光岡 5件、神田 2件、川村 3件
②電気工事士 第一種、第二種資格取得支援:2班
2班 板谷憲治
③電気主任技術者資格取得支援:2班
2班 板谷憲治
①NHK ロボコン支援 主に第1班班員
3.
地域協力
(技術相談等)
◎要請企業等:福祉作業所「フレンズ津山」
相談内容:視覚障害者のための計測器の開発
相談回数:1回
担当技術職員:鷲田、小坂、徳方
◎要請企業等:津山銀店街共同組合
相談内容:アーケイド上の太陽光発電設備
相談回数:10 回
担当技術職員:板谷憲治
◎ 要請企業等:中山石灰工業
相談内容:原料鉱石の電子顕微鏡写真および分析
相談回数:3件
担当技術職員:西 彰矩
◎ 要請企業等:アイテックツリタニ
相談内容:電子部品の電子顕微鏡写真および分析
相談回数:1件
担当技術職員:西 彰矩
◎ 要請企業等:蒜山中学校
相談内容:鉱物の電子顕微鏡写真および分析
相談回数:1件
担当技術職員:西 彰矩
◎ 要請企業等:大石金属
相談内容:プレス部品の電子顕微鏡写真および分析
相談回数:3件
担当技術職員:西 彰矩
◎ 要請企業等:(株)電研社
相談内容:電線保護チューブの欠陥部の形状観察
相談回数:3件
担当技術職員:西 彰矩
◎要請企業等:釣谷電子製作所
相談内容:電子部品の電子顕微鏡写真および分析
相談回数:3件
担当技術職員:西 彰矩
◎要請企業等:アネスト
相談内容:フィルムに塗布した光触媒の効果を確認する
相談回数:1件
担当技術職員:西 彰矩
◎要請企業等:三社電機製作所
相談内容:クレームのついた電子部品の原因を探りたい
相談回数:1件
担当技術職員:西 彰矩
◎要請企業等:株式会社 アイテックツリタニ
相談内容:新蓄電ディバイスに対する電子回路
相談回数:3回
担当技術職員:徳方孝行
(協力要請等)
◎ 公開講座
(平成13年)
「夏休み機械工作教室」(パソコンで書いた絵が実物になる)中学生向け
内容:最新の機械加工技術の機種を用いて「ものづくり」体験をする講座
期間:8月1日、2日、3日
支援技術職員:1班
1班 大谷
「ミニ・ロボコン2001」小中学生向け
内容:ロボット製作・工作と実験を通してメカトロニクスのおもしろさを体験していただきま
す。
期間:8月8日、9日、10日
支援技術職員:1班
1班
鷲田 ,中尾 ,永禮
「ワープロ・表計算ソフト入門と応用」
内容:ワープロ・表計算ソフトの使い方を初歩から易しく教える講座です。
期間:8月10日、11日、12日
支援技術職員:2班
2班 小坂
(平成14年)
「ミニ・ロボコン2002」小中学生向け
内容:ロボットを製作してコースを走行させます。この工作とコンテストを通してメカトロニ
クス(機械工学+電子工学の面白さを体験する講座です。
期間:7月31日、8月1日、2日
支援技術職員:1班
1班 鷲田 , 中尾 , 永禮
「電気ガッテン教室(ロボット製作からインターネットまで)」中学生向け
内容:実際にものづくりやパソコン体験を通して電気の面白さを味わってもらいます
期間:7月29日、30日、31日
支援技術職員:2班
2班 徳方
「夏休み機械工作教室(コンピュータでオリジナルキーホルダを作ろう!)」中学生向け
内容:放電ワイヤーカットを用いた「ものづくり」を体験する。
期間:8月5日、7日、8日
支援技術職員:1班
1班 大谷 ,河原
(平成15年)
「初心者のための CAD 入門講座」
内容:CAD による機械製図の基礎を体験的に学習し、CAD の基本操作を修得する講座です。
期間:6月21日、22日、28日
支援技術職員:1班
1班 河原
「ソフトウェアで操るロボットを作ろう」
内容:市販のレゴロボットを組み立て、プログラムの方法を学習し、動作させることを体験し
ていただきます。ロボット制御の楽しさを学ぶ講座です。(レゴロボットとは、ブロッ
クの組み立てで、作成できるロボットのことです。)
期間:7月30日、31日、8月1日
支援技術職員:2班
2班 小坂 , 徳方
「ソーラーカーを作ろう」中学生向け
内容: ソーラーカーを作ることにより、ものづくりの面白さを体験していただくとともに地
球環境を守る大切さを認識していただく講座です。
期間:8月2日、4日、5日
支援技術職員:1班
1班 大谷 ,仲井 , 神田 , 河原
「ミニ・ロボコン2003」小・中学生向け
内容:光センサーで動くロボットを製作し、走行コンテストを行います。工作とコンテストを
通して、メカトロニクスの面白さを体験してもらう講座です。
期間:7月31日、8月1日、2日
支援技術職員:技術長
技術長 鷲田 ,1班 中尾 , 永禮
◎岡山ファーマーズマーケット・ノースビレッジ
日 時:平成 15 年 4 月1日~27 日
要請内容:元気君神社のバージョンアップに関する要請
担当技術職員:鷲田廣行
(出前授業等)
◎津山西中学校
日 時:平成 16 年1月 20 日
担当技術職員:徳方孝行
4.JABEE
4.JABEE 受審
◎JABEE 受審に向けての各種 FD に積極的に出席
◎技官の面接を想定してのプレ発表:鷲田廣行
◎実地審査対応支援センター会議開催:福田センター長を迎えて
日時:平成 15 年 10 月 23 日 16:40~
◎関係各実験室等点検整備
◎実地審査当日 平成 15 年 10 月 27 日~28 日
※ 授業参観、実験室視察等
※ 電子制御実験Ⅲ:鷲田廣行、中尾三徳
※ 機械制御実験室:仲井正明
※ 機械加工室:神田尚弘
※ X線・電顕室:西 彰矩
◎技術職員との面談
※ 機械・制御:鷲田、大谷、仲井、中尾
※ 電子・情報 第1グループ:鷲田、板谷、小坂、上田
※ 電子・情報 第2グループ:西、徳方、日下
地域協力の一環としての「レゴ・マインドストームを
用いた親子ロボット組立教室」の試み
Creative Robotics Exercise for Parent and Child by using LEGO MindStorms
as the Area Collaboration
○正
吉富秀樹(津山高専) 正 浅野芳宏 鷲田廣行 正
中尾三徳 柴田哲郎(つやま新産業開発推進機構)
大谷賢二
Hideki YOSHITOMI, Tsuyama National College of Technology, Yoshihiro ASANO,
Hiroyuki WASHIDA, Kenji OTANI, Mitsunori NAKAO, Tetsuo SHIBATA, Tsuyama New
Industrial Development Organization
As the part of area collaboration activities, the creative educational projects opened to the region
community such as mechatronics lecture for children become significant in recent year. The authors
tried to lecture on the robot assembling exercise to parent and child in the area. The target participants
are junior high school students and their parents. In this event, the students assembled the line tracing
autonomous robot by using the programmable robotics product named LEGO Mindstorms. The participants enjoyed the event for two days. This paper shows the contents of the exercise, response of the
participant and others.
Key Words: robot, mechatronics, robotics exercise, area collaboration, LEGO Mindstorms
1.緒言
近年,高専や大学にはさまざまな形態で地域協力が求め
られている.地元企業との共同研究や技術支援は言うまで
もなく,地元の子供達を対象とした「ものつくり教室」など
も重要な地域協力活動の一つであろう.これらは,近年よ
く言われている理工系離れをくい止めるための対策として
も意義あるものと考えられる.
ところで,ロボット等を製作する「ものつくり教室」を実
施する場合には,材料や工具の準備に手間がかかるし,材
料を加工する場所と時間を確保することも大変である.そ
こで,必然的に組立キットを利用するケースが多くなる
が,キットを使うと単にマニュアル通りに組み立てるとい
う単純作業に陥りがちであり創造性を発揮しにくい面があ
る.このような問題を一挙に解決する教材として最近レ
ゴ・マインドストーム が注目されている 1).これはプログ
ラム可能な組立ロボットであるが,ブロックピースによっ
て組み立てるためさまざまな形に再構築でき,創造性を発
揮するための試行錯誤が容易となるよう配慮されている.
著者らは,平成 13 年に岡山県津山市で開催された”夢と
技術の産業展”において,地域協力活動の一環として中学
生の親子を対象とした「レゴ・マインドストーム を用いた
親子ロボット組立教室」を指導する機会を得た.本報で
は,製作したロボットの概要,準備作業,指導内容と時間
配分,参加者の反応および問題点などについて報告する.
する)と呼ばれている製品は1998年にレゴ社とMITによっ
て共同開発されたもので,Robotics Command System (以
下,RCXと略称する)と呼ばれるマイコン制御のコントロ
ーラによってロボットを自律的に動かすことができる.今
回のロボット教室ではRIS基本セット(日本語版)を使用
して,
参加者の自由な発想に基づいてロボットを製作し,
も
のつくりの面白さを体験してもらった.Fig.1に構成部品の
一部を示す.図中の四角形の箱型のものがRCXで,3個の
センサ入力ポートを持ち,
3個までのモータを制御できる.
なお, RCXのプログラムはRCX CODEと呼ばれており,パ
ソコンで作ることができる.このRCX CODEはGUI化され
ており,前進,後退などと書かれた積み木状のブロックを
パソコン画面上で組み合わせてゆけば簡単にプログラムが
できる.C言語などになじみの薄い中学生でも抵抗感なく
プログラミングに取り組めるよう工夫されている.パソコ
ンで作ったプログラムは,パソコンとUSB接続されるIR
TOWERという赤外線通信装置でRCXへ送ることができる.
2.レゴ・マインドストーム
2.1 レゴ・マインドストームの概要
レゴ・マインドストームは,ブロックで有名なレゴ社が
発売しているマイコン制御のロボットシリーズの名称であ
る.その中で,Robotics Invention System (以下,RISと略称
Fig.1. Parts of LEGO MindStorms
2.2 計画したレゴ・ロボット
RIS基本セットには2個のモータと光センサが入ってい
るので,RCXで制御すれば自律型の移動ロボットが製作可
能である.そこで,各種メカトロ教室では定番となってい
るライントレースロボットを製作することとした.ライン
トレースロボットは,言うまでもないが,センサ信号を処
理してアクチュエータを動かすというメカトロニクスの基
本を体験できるからである.
3. 親子ロボット教室
3.1 概要
事前検討の結果,相当な時間がかかることが予想された
ので,参加者には土曜・日曜の2日間連続で参加してもら
った.なお,集中力を維持するため1日当たりの時間は4
時間に抑え,2日間で合計8時間をかけた.時間配分につい
ては,参加者はほとんどが初心者と思われるので,初日に
はライントレースロボットの基本型の製作とプログラミン
グの方法のみを講習した.そして,2日目はほとんどを自
由製作時間とし,各自の発想に基づいてオリジナルなロボ
ットへ改良してもらった.最後に,Fig.2に示す一周9mのコ
ースでタイムトライアルコンテストを行った.
3.2 事前準備
このロボット作りにはパソコン操作によるプログラミン
グが必要であるので,初心者には少し難しい面がある.そ
こで,2組当たり1人のTAを配置して指導することとした.
また,準備できるパソコンの台数には限度があるが,今回
は幸い参加者1組当たり1台のパソコンを用意できた.イ
ベント当日は全員がパソコンに張り付き状態となったの
で,パソコンは一人1台必要である.また,著者ら指導す
る側にとってもレゴ・マインドストームを教材として使う
のは初めてであったので,TAを依頼している高専生を相手
に予行演習を行い時間配分などを検討した.
3.3 指導内容
初日は,まずパソコンにレゴ・マインドストームのソフ
トをインストールするところから始めた.これは,パソコ
ンが当日にしか入手できなかったためで,可能なら事前に
設定しておいた方が良い.次に,各自のRCXにファームウ
ェアと呼ばれるOSを入力した.これらの手順は講師のパソ
コン画面をプロジェクタで表示しながらゆっくり丁寧に説
明した.基本型ロボットの製作作業は,RIS付属のCD-ROM
に入っているトレーニングミッションに沿って説明してゆ
くのがよい.各自のパソコンから日本語音声で説明が流
れ,指示に従ってゆけば自然にローバーボットと呼ばれる
基本ロボットが作れ,このミッションを通してRCXの操作
方法やプログラミングの基本を修得できるようになってい
る.また,製作の各ステップは,講師のパソコン画面を示
しながら,一人でも遅れる者がいないよう,ゆっくり進め
ていった.
2日目は各自で独創的なロボット作りを楽しんでもらっ
た.初日に作った基本ロボットは速度が遅いので,コンテ
ストのための高速化が主な改良点であり,これが2日目の
集中力を維持するモチベーションとなる.このときに
は,TAにいろいろ質問が来るので,TAも事前によく勉強
しておく必要がある.
3.4 製作したロボットとコンテスト
製作したロボットとコンテスト
ライントレースロボットの操縦は,一般的には左右いず
れかの車輪を止めて曲がる方式が用いられる.その典型が
Fig.3のクローラ型ロボットであるが,この形式のロボット
は高速化に難がある.Fig.4はコンテストで優勝したロボッ
Fig.2 Time Trial Course
Fig.3 Crawler Type Robot
Fig.4 Three-Wheeled Robot
トである.これは,前輪ハンドルにモータを取り付けてお
り,普通の三輪車のようなハンドル操作が自動でできるよ
う工夫されている.また,後輪はディファレンシャルギア
で駆動している.一方,うまく曲がれないロボットもあっ
て,かなり苦心していた親子もいたが,あきらめずに時間
ぎりぎりまで調整に頑張っていた.
3.5 参加者の反応と問題点
終了時にアンケートをお願いしたが,ほとんどの親子が
「大変おもしろかった.また参加したい」と書いていた.課
題としては,オリジナルロボットを完成させるにはもう少
し時間がほしいとの意見もあった.
4. 結言
中学生の親子を対象としてレゴ・マインドストームを用
いたロボット組立教室を開催した.参加者全員が自由な発
想に基づく「ものつくり」を楽しめ,親子のコミュニケーシ
ョンにも一役かったようである.
参考文献
(1)例えば,中島,萩原,松丸:レゴ・マインドストームを用いたメカ
トロニクス体験学習の検討,JSME RoboMec'01, 2A1-A2,(2001)
地域協力の一環としての公開講座におけるミニロボコンの実施
-ライントレースロボットの製作-
○ 鷲田 廣行
津山工業高等専門学校
Enforcement of the Mini Robot Contest in the Open Class as the part of Regional Cooperation
-Production of a Line Tracing Robot-
-
○ Hiroyuki WASHIDA
Tsuyama National College of Technology
1 .はじめに
3.ライントレースロボット
最近子供達の「理系」離れ「工学」離れが進んで
ライントレースロボットとは、その名の通りあら
いる、ということをよく耳にしますが、そのことの
かじめ引かれたラインに沿って動いていくロボット
真偽はさておき、子供たちに「物作りの楽しさ」や
で、何らかの方法でラインを感知し、ラインからは
完成した時・うまく動いた時の「やったー!」とい
ずれないように移動する能力を自身で持っているロ
った「感動」を体感していただき、「工学」に少しで
ボットのことです。
も関心を持っていただければと思い、ここ数年小学
ここでは、タミヤの「フォークリフト工作セット」
校高学年から中学生を対象に地域協力の一環として、
を母体とし、これに電子制御回路を搭載して目的の
物作りを中心とした公開講座を行ってきました。
ライントレースロボットを完成させます。
平成 9、10 年の 2 年間は当時子供達の間で大変人
ロボットがラインを間違えずにトレースするため
気のありました「ミニ四駆」をテーマにその周回時
には、ロボットがライン上にいるのか、右に外れた
間を測定する「電子回路製作」を、また平成 11 年か
のか左に外れたのか自分自身で判断する必要があり
ら 14 年には「ミニロボコン」と題して光センサーを
ます。ここではラインとそうでない部分との光の反
応用した「ライントレースロボットの製作」を実施
射の違いによりライン上であるか、左右いずれかに
し、受講生達からそれなりの評価を受けることがで
外れたのかを検出する人間でいう目の役割をする
きたと思っています。
「センサー」(フォトトランジスタ)を左右2個用い、
ここでは「ミニロボコン/ライントレースロボッ
ト製作」の講座内容について発表します。
そのセンサーからの信号をコンパレータ(比較器)
に入力しそのときの状態を判断して、どちらにも外
れていなければ「そのまま直進」し、左に外れてい
2.ミニロボコンの概要
ここでいう「ミニロボコン」とは、コースに貼ら
れたラインを忠実にトレースする能力を持った「ラ
「ラ
れば「左のモーターだけを回転」させ、右に外れた
ならば、「右側だけのモーターを回転」させることに
より常にラインをトレース出来るようにします。
イントレースロボット」を製作し、そのロボットを
イントレースロボット」
さらにもう一つの「目」(センサー)をリフトの荷
使ってライントレースの能力を競ったり、操縦者の
台に取り付けライン上に置かれた荷物を感知し、荷
マシンコントロールの能力を競ったりする、遊び心
台に積むよう改良する。Fig.2、Fig.3 に概念図を示し
も含めそれらを通して物作りの楽しさを体感しても
ます。
らうのがこの講座のめざすところです。Fig.1 にコン
テスト風景を示します。
Fig.1 Contest scenery
以上のようなロボットの実現を目指し3日間の講
座を実施しました。
Fig.2 Action principle of the line tracing robot
計測自動制御学会中国支部津山地区計測制御研究会講演論文集(2003 年 2 月 15 日)
6.まとめ
受講生が小学校高学年から中学生ということもあ
り、内容的にかなり難しいので、講義のとき退屈す
るのでは、全員完成させることが出きるだろうか、
などいろいろ心配しましたが、受講生全員終始熱心
に生き生きと、さらに楽しく面白く取り組んでいた
だくことが出来ました。
アンケート結果を見ましても、圧倒的多数の受講
Fig.3 Action principle of the line tracing robot
生から、「とっても楽しかった」「また参加したい」
という評価を得ることが出来ました。
4.ロボット製作と注意点
受講者が小学校高学年からということであり、理
解してもらうとなるとかなり大変です。内容が難し
このように、この講座を通して初期の目的を一定
程度達成することが出来ましたこと、企画立案者の
1人として深く感謝しています。
いと、とかくその理解はさておいてということにな
り、ともすれば、「組み立て」
・
「ハンダ付け」実習に
終始してしまいがちになることが多いのではないで
しょうか。
私たちスタッフ一同は受講者の皆さんに出来る限
り理解しやすいように、しかも「楽しく」「面白く」
「解りやすく」を目標に、それぞれ工夫をこらしな
がらロボットの完成を目指して講座を進めていきま
した。
4.1
講義・実験・製作
Fig.4 Experiment circuit by the Bread Board
例えばセンサーについての理解では、まず簡単に
説明した上で、その内容をブレッドボード(試作ボ
ード)上に回路を自分で組んでもらいLEDなどを
点灯させたり、反対に消灯させたりし、センサーの
仕組みについて、遊び心を交えた実験を行なうこと
により、感覚的・体感的に理解してもらうことに成
功したと思います。
このように、講義、実験を適宜はさみながら制御
回路を基板上にハンダ付けしていきました。このよ
うな試み(工夫)により危惧された、「単なる組み立
て」「ハンダ付け」実習という講座にはならなかった
のではないかと思われます。Fig4 から Fig6 に実験
Fig.5 Experiment scenery by the Bread Board
風景および完成基板を示します。
5.コンテスト
ライントレースロボットは受講生の熱心な取組み
により全員時間内に完成することが出来ました。
最終日には出来上がったロボットによるコンテス
トを行なったところすべてのロボットが難コースを
見事完走することが出来ました。また、番外編とし
てロボット相撲を行なったところこれが以外に面白
く、受講生は勿論スタッフ共々大いに盛り上がりま
した。
Fig.6 Control circuit completion foundation
レゴ・マインドストームを使ったロボット工学実験・実習
(マイクロマウス製作)
○中尾三徳
津山工業高等専門学校
Robotics experiment that uses LEGO MindStorms(Making of Micromouse)
○ Mitsunori NAKAO
Tsuyama National College of Technology
1.研究目的
できる(従来は一度ロボットを製作すれば,パーツ
に分解,再組立,再利用が出来ない ).なおかつ実
津山工業高等専門学校電子制御工学科ではロボッ
験・実習の部品が再利用可能で,再利用前に製作し
ト工学関係の実験において,マイクロマウスキット
たハードウェアの形状や形態,知識(ノウハウ)の
を使った迷路探索実験を行っていた.この実験は,
継続や蓄積が可能となり,学生のもの作りの技術や
ハードウェアの再利用が難しく,形状の変更や改良
興味が向上すると思われる.
が困難である.またハードウェア材料に多額の費用
3.従来のマイクロマウス実験
がかかる .そこで ,LEGO 社のマインドストーム( 以
後マインドストーム)を使うことにより,マイクロ
マウス(以後マウス)のハードウェア分解,再組立
キットで購入したマウスの電子部品を組みたて,
てを可能とし,マインドストームのもつ自由な構築
パソコンで, Z80 のアセンブラで作成したマウス動
形態機能を使って,学生の自由な発想によるもの作
作用のプログラムを RS232C を使って有線で,パソ
りロボット工学実験・実習を,ハードウェア組立て
コンからマウスに送りこむ.そしてマウスを実行さ
からソフトウェア作成まで一貫して行えるようにす
せ,迷路の探索をさせる.マウスは Fig.1 のような
る.
概観であり, CPU には Z80 が使われている.実験
当初はマウスのハードの組みたてがあり,ソフトウ
2.研究内容
既存のマウスのコース(大会仕様)を利用して,
コース上の壁(白色)や通路(黒色)の光の反射光
を,マインドストームのセンサーで受けて動作する
マウスを製作する.
キットではハードウェアの形状や形態は変更する
ことはできないが,マインドストームでは,各学生
の独創的発想でマウスの形状や形態を決定すること
F ig.1 Micromouse made of kit
ができる.
ハードウェアの製作に続いて,各学生のパソコン
エアも各自のパソコンで作成し,マウスに転送して
で作成したマインドストーム用の走行ソフトウェア
いたが,初回以後は,ソフトウェア作成の実験にな
をマインドストームにダウンロードし,既存のコー
った.その後,使用回数が進む毎に電子回路のハン
ス内を走行させ,走行時間を競わせる.このように
ダ接合部分等が劣化して,マウスが動作不良になる
マイクロマウスの形状や形態並びに走行用ソフトウ
ことが多発し,マウスの保守管理が難しくなってき
ェアを学生に自由な独創的発想で製作させる.
ていた.これを受け,最近では,マイクロマウスシ
この研究では以下のことについて明らかにする.
ミュレータを使って,マウス動作をパソコンでソフ
1.マインドストームでどの程度のマウスが製作で
トウエア的にシミュレートする実験に変更されてい
きるか明らかにする.
2.マインドストームでどの程度までロボット工学
の実験・実習できるか明らかにする.
る.
既存のマウス走行コースは,マイクロマウス大会
の公式コースを元に作成されたもので迷路は18㎝
以上の実験・実習が実現できれば,コスト(費用)
×18㎝の単位区画から構成され,全体の大きさは
のかかるロボット工学実験・実習のハードウェア
16×16区画となっている.区画の壁の高さは5
(モータ,基板,電子素子等)の費用を有効に使用
㎝,厚さは1.2㎝で,迷路全体の外周の壁は全て
計測自動制御学会中国支部津山地区計測制御研究会講演論文集(2004年2月14日)
存在する.迷路の材質は,木材の合板でその表面に
といけないので,できるだけ最小サイズにする.タ
白と黒のペンキで着色している.
イヤは左右のモータに直付けとし,3つある入力ポ
ートには,左右のライトセンサーとメカニカルスイ
4.マインドストームを使った
マイクロマウス実験
ッチを接続している.ライトセンサーは,迷路壁の
上を照らすように設定してあり,これを検出して,
マウスは左右のモータを動作するようになってい
マインドストームの「 ROBOLAB 」セットではプ
る.メカニカルセンサーはマウスの先頭に取り付け
ログラム言語として, LabVIEW の言語をベースに
てあり,迷路を直進して壁に接触したら,180度
開発された「 ROBOLAB 」を標準言語としてマウス
反転して,走るようにプログラムする.
の動作を記述していく.マウスを使ったロボット実
6. プログラミング言語
験では,ライントレースロボットをよく使うが,こ
れは,アルゴリズムが基本的で簡単なので,比較的
容易に作成することができるからである.マウスの
マインドストームで使用できるプログラミング言
アルゴリズムもライントレースのものとよく似てい
語 は
るので,応用として考える.
「 ROBOLAB 」やパソコンの VisualBasic の ActiveX
LabVIEW を 用 い た グ ラ フ ィ カ ル な
マインドストーム「 ROBOLAB 」用の標準言語は ,
コンポーネントの1つである Spirit.ocx を用いる方
LabVIEW 言 語 を ベ ー ス に 開 発 さ れ た GUI の
法,C 言語に似たプログラミング言語を用いた
「 ROBOLAB 」言語であり,処理対象をアイコンで
RCXCC や NQC 等
あらわし,それを処理の順番にワイヤーで接続して
付のグラフィカルな ROBOLAB を用いた.
1)2)3)
があるが,今回は,標準添
いけば,その接続順に処理が進んでいくので実行の
7. 迷路探査アルゴリズム
様子が視覚的に理解しやすいというものである.
今回,作成しているマウスの制御プログラムは
Fig.2 のようになっている.この言語ではタスク制
迷路の探査アルゴリズムは誰にでも分かりやすく
御もでき,同時にいくつかのプログラムを並行に実
するため,左手法というマウスの入門用を使った.
行できる.
これは,左手を壁につけている状態で迷路を進んで
行くといつかは,ゴールにたどりつけるというもの
である.
8. まとめ
左手法で迷路探査を行ったが,タイヤの制御がま
だ不完全なので,直線コースは走行したが曲がり角
で失敗することが多かった .マイクロマウスの構造 ,
Fig.2 Program language ROBOLAB
迷路探査プログラムのアルゴリズムを改良して,DC
モータの動作を正確に制御すれば,マウスはゴール
5. 製作したマイクロマウス構造
に到達することができると考える.
今後は,直流モータの制御とマウスの方向転換を
現在製作したマウスの概観は Fig.3 であり,マウ
正確にし,各センサーの信号によって,ゴールに到
達するマウスを製作する. ROBOLAB 以外の言語に
ついてもプログラミングしてみる.
参考文献
Fig.3 Micromouse made of MindoStorms
ス本体は迷路コース内をスムーズに動きまわらない
1) http://www.mi-ra-i.com/JinSato/MindStorms/index.html
2)鶴 孝之:レゴ事例アイデアと研究発表集 No 1,
ロゴジャパン株式会社
3)鶴 孝之:レゴ事例アイデアと研究発表集 No 2,
ロゴジャパン株式会社
パソコンの動画再生を利用したNC設備操作の実習指導
○神田尚弘
津山工業高等専門学校
Practice Instruction Using Animation Reproduction
of a Personal Computer of Equipment Operation
○ Naohiro KANDA
Tsuyama National College of Tecnology
1.はじめに
3.デジタルビデオカメラによる撮影
現在,津山工業高等専門学校機械工学科2年生で
デジタルビデオカメラはミニ DV 方式のものを購
は,NC 旋 盤 実習 を 行っ ている .一度 に多人数 の学
入,使用した.ミニ DV 方式のビデオカメラは初期
生を技術員1人で指導するため,全員に技術習得を
のものを除き,パソコンに接続するためのインター
させるのが困難であった.そこで,実習内容の一部
フェイスが設けられている.また,パソコン接続キ
をあらかじめビデオ撮影して,それを CD-R に記録
ット(CD-ROM,接続ケーブル)同梱のものも多い.
し,学生が個々にパソコンで再生させて学習できる
撮影では音声も同時に録音した.パソコンに映像
ようにすることを試みた.今までに2グループに対
を取り込んでから,マイクを使用して音声を追加す
して使用し,概ね良好な結果を得たと思われる.
ることも可能である.
2.NC旋盤実習
4.パソコンへの映像の取り込み
1グループ10~12人で週2時間を6週行って
ビ デ オ カ メ ラ と パ ソ コ ン の 接 続 は 通 常 , USB か
いる. 内 容と して は, NC 言 語 を用い たプログ ラミ
IEEE1394( DV 端 子)を使用する.今回は,USB 接
ング, NC 旋 盤を 操 作し てのプ ログラ ムチェッ クの
続を選択し,ビデオカメラ付属のソフト Image Mixer
2つを 柱としている.しかし Fig.1 の ようにNC旋
with VCD( ビクター社製)を使用した.接続中は,
盤の操作盤はスイッチが非常に多く,操作が複雑な
ビデオカメラの再生・停止・早送りなどの操作をパ
ため,指導者1人では時間的に対応しきれず,プロ
ソコン側から行う事ができる.また,このソフトを
グラミ ン グに 指導 が偏 り,NC 旋 盤の 操作につ いて
用いて取り込んだ映像は MPEG-1 形式のファイルと
はほとんど指導できない状態であった.そこで,NC
して保存される.MPEG とは,映像データの圧縮方
旋盤の操作及びプログラムチェック方法をデジタル
式の規格で,画像の中の動く部分だけを検出し保存
ビデオカメラで撮影し,その映像をパソコンに取り
するな どし てデータ を圧縮 してい る.MPEG-1 は そ
込み,編集して CD-R に記録した.学生は NC プロ
の中 の 1つで, 再生 品質は VTR 並 みとさ れてい る
グラミング時にパソコンを使用しており,そのパソ
1)
コンで再生し学習する.
再生可能である.
Fig.1
Fig.2
Operation board of NC lathe
.この形 式のフ ァイル は多くの映像再生ソ フトで
「Image Mixer with VCD」 Screen 1
計測自動制御学会中国支部津山地区計測制御研究会講演論文集(2004 年 2 月 14 日)
ヘッドホン端子
LINE OUT 端子
Fig.4 CD-ROM Drive
Fig.5 Rear of a PC
7.まとめ
Fig.3
「Image Mixer with VCD」 Screen 2
一 方, IEEE1394 接 続し ,最 近 の Windows パ ソコ
ンにインストールされているソフト Windows Movie
Maker を 使用する方法がある.この方法ではファイ
ルが Windows Media 形 式となる.
この CD-R を使用した実習授業後の学生への聞き
取り 調 査結 果は 良好 であ り,NC 旋 盤操作 手順が 理
解で き たと のこ とで あっ た.本校 には ,NC 設 備 と
して旋盤の他にマシニングセンタ及びワイヤ放電加
工機があり,この2台についても同様の実習指導が
可能であろう.ただ,あくまでも技術員1人で実習
を行うためのやむをえないものであり,本来は学生
に対して直接指導することが理想的であると考え
5.映像の編集とCD-Rへの書き込み
る.また,学生単独での NC 旋盤の操作は機械損傷
の可能性はあるものの,作業者自身への危険度はか
Image Mixer with VCD で は,取り込んだ映像の不
なり低いと思われるため,実習授業に使用できた.
要部分をトリミングしたり,音量調整や音楽を挿入
つまり,現時点では汎用機械の実習への展開は困難
するなどの加工が可能であるが,学習に不必要な編
だと考えている.
集は行わないようにした.
よって,このシステムは NC 関連及び危険度の低
また、このソフトはビデオ CD を作成することが
い実験・実習授業に使用するほかに,学生が実習や
で き る . ビ デ オ CD は パ ソ コ ン だ け で な く 市 販 の
機械操作の予習・復習に使用するための教材作成用
DVD プレーヤー等でも再生が可能である.しかし,
として,また指導者同士の実習指導要領伝達用とし
書き込み時にデータをさらに圧縮するため再生品質
ての使用を検討中である.
が低く,操作盤のスイッチ類の文字が識別しにくい
などの問題があり,またパソコンでの再生を前提と
しているので,使用を避けた.
今回はパソコン内のファイルをそのまま書き込む
ことにした.700MB の CD-R で約 30 分の映像を記
録できる.CD-R/RW へ の書き込みは Windows Me や
2000 パ ソ コ ン で は ラ イ テ ィ ン グ ソ フ ト を 必 要 と し
ていたが,XP では標準でサポートしている.
6.実習での使用
学生は,個人差により NC プログラミングの終了
時が異なる.そのため,終了した者から順にこのプ
ロ グ ラ ム チ ェ ッ ク 方 法 の CD-R を 視 聴 し 学 習 し た
後,それにそって自分で NC 旋盤の操作を行い,プ
Fig.6
Study scenery
ログラムチェックをする.
視聴時は他の者の迷惑にならぬようヘッドホンを
使用する.CD-ROM ド ライブのヘッドホン端子は音
楽 CD 専用であり(Fig.4),MPEG ファイル等の音声
は再生できない.そこで,本体後部の LINE OUT 端
子を使用した.(Fig.5)
参考文献
1)http://computers.yahoo.co.jp/dict/
フリーウェアを用いたPCサーバによる
ホームページ作成実習システム
中
尾
三
*
徳
A Practice System for building a Web Page on a PC Server
using Free Wares
Mitsunori
NAKAO
A practice system was developed for building a web page on a PC server using free ware. It was found that
this system, which (except for the OS) required only free ware, is not only easily be set up by beginners, but
may be used by advanced programers as well, to build complex web sites. It also turns out that the system
works well under a simple standard PC environment without a LAN card or modem.
Key words : web page, Free ware, Server, practice system
1.は
じ
め
に
現在,津山高専電子制御工学科では,電気,機械,
制御,マイクロコンピュータ,情報関係の実験・実
習を行っている.情報関係の低学年の実習には DTP
技術としてワープロソフトによる文書処理があり高
学年では,LaTex を使った DTP 実験・実習がある.
筆者はこの低学年の実習に HTML 言語で WWW
のホームページを作成する内容を付加したいと考え
ている.これは,理系,工学系のほとんどが DTP
技術として組版系ソフトである LaTeX を論文,報
告書の標準ソフトとして使っている.しかし,取り
扱いが簡単ではなく,初心者向きではない,そこで
この組版系 DTP と類似な処理をする HTML 言語を
使って低学年で組版系の概念を身につけ,学年進行
と共に高学年で組版系の LaTeX を扱うようにすれ
ば統一した同様の処理で DTP 技術を身につけられ
る.
現状では,津山高専のホームぺージ作成実習は総
合情報センターの UNIX サーバを使う.しかし,総
合情報センターは利用が過密なため,小人数の実習
では利用がし難く,CGI 等のダイナミックなホーム
ページを作成しようと考えれば,セキュリティの面
から難しい.
そこで,Windows の標準的なパソコンを使って,
モデムアクセスのプロバイダー,校内(構内)LAN
の UNIX WWW サーバと同様なシステムをローカ
ルに実現できれば,この実習を自由な時間に組み込
むことが容易になり,セキュリティの面もあまり考
慮しなくても良くなり,CGI などのダイナミックな
ホームページ作成実習を組込める.その上,このシ
ステムを学生個人が所有している単体の Windows
パソコン上で動作させれば,学生も随時,自宅にフ
ロッピーディスクで HTML データを持ち帰り,予
1)2)
習復習
をすることが出来,学生のホームページ
作成技術が飛躍的に向上すると思われる.この
WWW サーバシステムはフリーウェアの UNIX -
OS,WWW サーバ(Apache),IIS(microsoft Internet
Information Server)等のプログラムを利用すれば,
パソコンの上級者であればシステムを構築出来る
が,高専の低学年のレベルで WWW サーバを構築
させるということを目標にして,WWW ホームペ
ージ作成実習システムを作成した.
2.
実習システム構成
2.1
標準 PC を用いたホームページ作成システ
ムのハードウェア
今回考えているサーバシステムのハードウェア構
成 は 図 1 の よ う に な っ て お り , HUB
SWITCHING-HUB
10/100base-t自動切替
PCクライアント
PCサーバ
100BASE-t
100BASE-t
標準PC
原稿受付
平成13年8月31日
*教育研究支援センター第1技術班
ローカルには8台まで接続可能
図1
ハードウェア
(10base,100base-T 自動切替スイッチングハブ)を
中心に PC が最大8台まで実習可能となっている.
実際には HUB をカスケードに接続すれば,IP アド
レスの各クラス(A,B,C)の割り振られた数まで PC
を増設することが出来る.このシステムの標準的 PC
(以後標準 PC)は,このシステム構築時点(20
00年6月)のインターネット上の秋葉原情報等か
ら PC の出荷台数,人気がある物を検索した結果,
価格が 10 万円台の PC を標準パソコンとした.購
表1
標準PC仕様
CPU
533MHz Celelon
メモリ容量
64MB
ディスク容量
7.5GB
CDROM
40倍速
モデム
56KBPS
LANカード
10BASE/100BASE-T自動切替
ディスプレイ
15インチ
スピーカ
アンプ付き
マウス
バスマウス
OS
Windows98 second edition
入した標準 PC の仕様を表1に示す.ネットワーク
接続用の HUB はカスケード接続に制約のないスイ
表2
HUB仕様
・100BASE-TX/10BASE-Tオートネゴシエーション8ポート
(内1ポートはカスケードとして使用可能
・Fullデュプレックス(全2重対応)自動対応
・学習MACアドレス数:8192件
・ストア&フォワード転送方式採用
・フロー制御完全対応
・LEDインジケーター
・外形寸法:W150×H27.5×D79(mm)
で検索した結果,表3のような WWW サーバがみ
つかった.この中で設定が GUI で容易,マニュア
ル等が充実している,日本語対応(日本製),CGI
等のダイナミック機能をサポートしているという事
表3 WWW サーバ
サーバ名(プログラム名)
設定形態
設定の容易さ
Apache
CGI
難
可
フリー
外国
IIS
GUI
簡単
可
シェア-
外国
An Httpd
GUI
簡単
可
フリー
日本
作成国
を採用し,Anhttpd WWW サーバプログラムを採
用した.
2.4 WWW ブラウザ
HTML のブラウザは Windows 上ではマイクロソ
フトの Internet Exploler と Netscape の Netscape
Communicator の2つが市場を分けて使用されてお
り,優劣が付け難いが,今回,システムをフリーウ
ェ ア と い う こ と で 構 築 し て お り , Netscape
Communicator を採用することにした.
2.5 HTML 言語記述用エディター
これは,ブラウザと同様にフリーウェアという事
で Netscape の Netscape Composer を採用すること
にした.このエディタは Netscape のブラウザに同
封されているので,ブラウザと同時にインストール
される.
2.6 FTP クライアント
Windows 上で動作する GUI のクライアントプロ
グラムは表4のように種々あるが一番利用者が多
表4
ッチング HUB を用いて PC と PC を繋いだ.この
HUB の仕様は表2のようになっている.価格は1
万円程度で導入出来た.
2.2 標準 PC を用いたホームページ作成実習
システムの OS
高専の低学年がシステムを構築するということを
念頭にして,OS については,UNIX 系のフリーの OS
である FreeBSD,Linux 等があるが,CUI(Character
User Interface)で操作が煩雑なため初心者向きでな
いと 判 断し ,マ イク ロソ フ ト社の GUI(Graphical
User Interface)の OS を使用することとした.これ
は,現在販売されている PC には最初から何らかの
バージョンの Windows がプレインストールされて
いるからである.2000年6月時点では,
Windows98 Second Edition が主流であったのでこ
れを使用した.
2.3 WWW サーバ
OS を Windows 系とし,費用,著作権等を考慮し,
フリーウェア関係の WWW サーバを INTERNET 上
CGI等の実行 フリー又はシェア-
FTP クライアント
プログラム名
フリー又はシェア-
NextFTP
シェアー
備考
作成国
日本
FFFTP
フリー
左右分割型
日本
CuteFTP
シェアー
安定度が高い
外国
FTP.COM
シェアー
右クリックメニューからファイル転送 日本
WS_FTP Limited Edition
フリー
FTP_Explolor
シェアー
個人使用フリーの定番ソフト
日本
エクスプローラー風FTP
外国
く,古くから教育機関で使用されている FFFTP ク
ライアントを採用した.
2.7 FTP サーバ
FTP サーバはファイルの転送を行うサーバプログ
ラムであり,UNIX 系の OS ではシステムに標準で
表5 FTP サーバ
プログラム名
設定形態 フリー又はシェアー 性能 マニュアル等
Tiny FTPdeamon
GUI
フリー
優
優
IIS
GUI
シェア-
可
可
組込まれている.Windows 系でこの FTP サーバを
検索した結果,表5のように2種類存在したが,フ
リーウェアを使用するということと,機能的に IIS
の FTP サーバはバージョンによってマニュアルの
説明,機能等にばらつきがあり,扱い難い.この為,
日本語ファイル名にも対応し,細かい設定が可能で
ある Tiny Ftpdeamon を採用した.
2.8 CGI(
(Common Gateway Interface)用言語
)用言語
プログラム
これは,ダイナミックなホームページを作成する
ため CGI を実行するためのものであり,フリーウ
ェアの Jperl を採用した.これを WWW サーバ上で
動作させるには,Windows 上で,システムスター
トアップ時に Jperl.exe ファイルのあるフォルダー
図2
Autoexec.bat
をパス指定しなければ,動作しない.注意する必要
がある.図2のように Windows の Autoexec.bat フ
ァイルの環境変数に Jperl.exe が存在するフォルダ
ー名を Path 指定すればよい.
ムページや雑誌の付録 CD によって手に入れた図3
の setup プ ロ グ ラ ム ( cc32d475.exe) を 起 動 し
図4 設定
Netscape Communicator の設定を行う.この時ロー
カル IP アドレスで使用するため図4のようにイン
ターネットに直接接続するにチェックを入れる.ま
た,単体のパソコンでシステム構築する場合,
Windows のネットワーク設定に TCP/IP プロトコル
を加えなければならない.最近の PC は,モデム又
3.実習システムインストール
3.1
ホームページ作成実習システムのソフトウ
ェアの入手方法
表6の WWW アドレスから FTP クライアントプ
ログラムでそれぞれのフリーソフトウェアを入手す
るか又は雑誌の付録 CD を利用する.
表6
プログラム名
WWW アドレス
図5
コンポーネントの選択
は LAN カードが付いているパソコンが多いためネ
ットワークに TCP/IP プロトコルが加えてあるが,
ない場合,図5のようにコンポーネントで TCP/IP
入手アドレス
Anhttpd
http://www.st.rim.or.jp/~nakata/
FFFtp
http://www2.biglobe.ne.jp/~sota/
Netscape Communicator http://home.netscape.com/ja/download/download_comm.html
Tiny FTPdeamon
jperl
http://hp.vector.co.jp/authors/VA002682/tftpd_frame.htm
http://www.harukaze.net/~mishima/perl/win/jperl.html
3.2 WWW ブラウザのインストール方法
ま ず 最 初 に WWW ブ ラ ウ ザ の Netscape
Communicator をインストールする.これは,ホー
図6
図3
Setup プログラム
プロトコルの選択
を追加する.その状況を図6に示す.
3.3 WWW サーバのインストール
Anhttpd WWWサーバのインストールは図7のア
ーカイバファイル(httpd131c.zip)を解凍し,展開さ
れた図8のフォルダーの httpd.exe プログラムを実
行し,図9のように GUI 環境でWWWサーバーの
諸設定を決定する.実習者が多数いるときは図10
のようにエイリアスで仮想パスを指定し,その中で
図7
関しての細かい FAQ は Anhttpd のホームページ
にある.
3)
アーカイバファイル
図8
図10
エイリアス設定
図11
バーチャルホスト設定
展開フォルダー
図9 一般設定
各実習者のホームページを作らせる.単体のパソコ
ンで実習する場合は,バーチャルホストで図11の
ように Localhost(127.0.0.1)を設定する.この設定に
図12 Setup プログラム
3.4 FTP サーバのインストール
この実習システムでは,実習者から WWW サー
バへファイルの転送が必要になるため,FTP サーバ
(Tiny FTPdeamnon)をインストールする.これ
は,図12の Setup プログラム(tftpd52b.exe)を実行
する.この時,使用する実習ユーザの数だけ図13,
図14,図15のようにユーザ編集を行う.TCP/IP
図13
起動画面
表7
プライベートアドレス
クラス
IPアドレス範囲
A
10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
B
172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
C
192.168.0.0 ~ 192.168.255.255
を使用しているが,表7のアドレスから利用者が適
宜選べば良い.
単体で使用する場合は,ローカルホストアドレス
である 127.0.0.1 を使用する.このローカルホスト
アドレスで単体の PC でも FTP 等のファイル転送を
PC 内で行う事が出来る.
4.実習システムの実行例
図14
全般設定
4.1 実習システムの概要
インターネット上のホームページ作成者がインタ
ーネットのプロバイダーのサーバ上にホームページ
を作成する場合,各自のパソコン上で HTML エデ
ィタを使ってファイルを作り,それをプロバイダー
の WWW サーバに FTP 転送し,プロバイダーに転
送した HTML ファイルを WWW ブラウザでアクセ
スし,動作を確認し,異常があれば再編集し,同様
の処理を繰り返してホームページを作成する.この
実習システムではこれを TCP/IP 上のローカルなプ
ライベートアドレス上で行う.そしてローカル IP
アドレス(127.0.0.1)を使用することにより単体の
パソコン上で WWW サーバ,FTP サーバ,WWW
ブラウザをネットワーク(internet)に繋がれてい
るときと同じように操作することが出来る.
4.2 ホームページ作成実習システム例
1)HTML
エディターを使って実習者ホームペー
1)
ジ TOP の index.html ファイルを作成する.
2)作成した
HTML ファイル(index.html)を FTP
2)
クライアントで WWW サーバの実習者フォルダへ
転送する.
3)WWW
3)
ブラウザで実習者のホームページアド
レス(例えば http://localhost/hanako/)を指定し,自
分の作成したホームページを表示する.設計どおり
に表示出来なければ,1)
1)に戻って同様な処理を行
1)
う.図16は今回作成したホームページの1例であ
る.
5.ま
図15 ユーザ編集設定
のネットワークアドレスについては,インターネッ
トで使用出来ないクローズドなローカル使用のプラ
イベートアドレスを使用する.今回は 172.16.xx.xx
と
め
1)今回構築したフリーウェアによるホームページ
1)
作成実習システムでは基本的に Windows の動作す
る PC であれば初心者でも簡単に設定でき,ネット
ワーク環境,インターネット接続がなくても実習シ
6)小学校,中学校,高校の様な小規模な教育機関
6)
でも HUB を中心にした校内 LAN を構築し,この
4)-6)
簡単な WWW サーバでローカルホームページ
を構築することが出来る.
謝
図16
ホームページ例
ステムの構築が出来ることが判った.
2)パソコン初心者の学生でも
GUI の設定環境で
2)
数ヶ所だけ設定すれば WWW サーバを動作させる
ことができ,非常に有用なシステムであることが判
った.
3)通常ホームページ作成実習では,サイトの主な
3)
WWW サーバを実験実習のサーバと共用しており,
この為,CGI 等のダイナミックなホームページは,
セキュリティの面から,実習し難い構造になってい
る.このシステムのようにクローズドされたローカ
ルな環境で実験実習が行えるため,WWW 管理者
の負担を軽減することが出来る.
4)単体の標準
PC でローカルアドレス指定をすれ
4)
ば LAN に繋がれた状況と同じ環境を提供できるの
で標準 PC のある場所であれば,いつでもどこでも
この実習を行うことが出来る.
5)フリーウェアでシステムを構成しているため,
5)
PC の購入以外では,追加予算を投入する必要がな
い.
辞
本研究は,平成12年度科学研究費補助金(奨励
研究(B))課題番号 12919095 の援助を受けた.本
システムの構築にあたり,いろいろと便宜をはかっ
てくださった本校教育研究支援センターの山下鉄雄
技術長,鷲田廣行班長,永禮康恵技術補佐員,並び
に電子制御工学科の教官の皆様に感謝いたします.
また,本報告の投稿を教職員(技術職員,事務職員)
に許可して下さった研究紀要編集委員会の高本洋祐
委員長並びに委員会の皆様に篤くお礼申し上げま
す.
参
考
文
献
1)岸本俊祐:”フリーソフトウェアの教材化Ⅰ-コンピュー
タ実習導入教育への応用-”津山高専紀要,No.30(1992)
pp.43-48
2)岸本俊祐:”フリーソフトウェアの教材化Ⅱ- C 言語学習
システムの構築-”津山高専紀要,No.32(1993) pp.59-64
3)Anhttp:http://www.st.rim.or.jp/~nakata/
4)橋本好幸:”学内における WWW サーバの構築と運用”,
平成8年度情報処理教育研究集会講演論文集,pp.205-207,
1996
5)中井優一:”Linux を用いた教育用計算機システムの構築”,
平成8年度情報処理教育研究集会講演論文集,pp.220-223,
1996
6)黒田純子,佐竹卓彦,中井優一:”Web とデータベースを
連携させた物品・図書・出張処理-現在の業務からのスム
ーズな移行をめざして-”第 19 回高専情報処理教育研究発
表会論文集, pp.163-166,1999
広範な目的に利用可能な教育用システムの設定と運用
寺元貴幸
日下孝二
(津山工業高等専門学校
大西
淳
岡田
正
総合情報センター)
E-mail: {teramoto, kusaka, a-onishi, okada}@tsuyama-ct.ac.jp
概要
このたび更新した津山高専の教育用電子計算機システムは、端末位置
によらない個人環境の保証、3層構造によるWindows環境からUnix環境へのア
クセスなどの工夫により、学生教育から公開講座等の一般利用までの広範な目
的に対応できる。このシステムの最終的な機器構成を紹介するとともに、幅広
い利用に向けた運用管理の詳細を報告する。
・新しい利用に耐える最新性と拡張性
・運用の安定性と管理の容易性
昨年の本研究会で報告したように、津山高専で
・現有システムとの接続性
といった目標を掲げて検討を進めた[1]。
は教育用電子計算機システムを平成13年3月に更
限られた予算内で最大限の効果を上げること
新した[1]。津山高専の教育用システムは、すべ
ができるよう、3部屋115台の端末パソコンを導
ての学科の情報関連の教育のみならず、公開講座
入することを前提に、採用するプログラムとネッ
等で一般市民向けの教育等にも使用される。この
トワーク記憶装置・ネットワーク機器とのバラン
ため、多種多様な利用要求があり、これらを可能
スを検討した。設置後に変更の難しいハードウェ
な限り満たすよう仕様策定を行ってきた。
ア機能は極力高度化しており、追加や変更の容易
今回の報告では、最終的に導入された機器を紹
介するとともに、その運用や管理について触れる。 なソフトウェアに関しては、フリーウェアを積極
的に採用しているが、商用ソフトウェアについて
どの端末から利用しても同じ個人ファイルをア
は一部の部屋にしか導入できないものも生じた。
クセスできる環境の提供、3層構造によるHTTP
最終の機器やソフトウェアの仕様を次に示す。
ベースのWindows環境からUnix環境の利用など
・端末パソコンの構成(教官機3台を含み3部屋で
の特徴と、教育用ユーザの旧システムからの移行
合計115台)
と管理、3部屋115台に上る端末パソコンの運用
外形:デスクサイド型(ミニタワー型)
などについて、実際のデータを交えながら問題点
CPU:Intel Pentium III Processor (800MHz)
を含めて報告したい。
1.はじめに
システムメモリ:SDRAM 128Mバイト
ハードディスク:20Gバイト
2.導入機器と特徴
教育用電子計算機システムの更新にあたって
は、
・これまでの授業との連続性
グラフィックスチップ:NVidia Riva TNT2 Model64
付属品:マウス、OAGD上位互換109キーボード、3.5
インチFDD、50倍速CD-ROMドライブ、CREATIVE
VIBRA 128サウンドカード(マルチメディア室のみ)、
USBポート、100BASE-TX NIC
ディスプレイ:17インチCRTカラーディスプレイ
・導入ソフトウェア
ハードディスク:18Gバイト
OS:マイクロソフト社日本語MS-Windows 2000
Professional SP1
日本語MS-Office2000 Standard
OS:UnixWare7リリース7.1.1
教育用端末パソコンからのUnixアプリケーション
SR-1
言語処理ソフトウェア
MS-Visual BASIC Ver.5 &
タイピングソフトウェア
TypeMaster for Windows
Ver1.2 & MIKATYPE 美佳のタイプトレーナ
・ネットワーク関連機器
ネットワークプリンタ
合計5台
プリンタ:RICOH IPSIO NX-710(基礎情報演習室の
Ver2.02
エディタ
の利用:Tarantella EnterpriseII
言語処理プログラム:gcc, g++, g77
Boland C++ Compiler 5.5
みA3サイズ増設ユニットを追加)、100BASE-TXに
AzEdit Ver1.01
よりネットワーク接続
AL-Mail32 Ver1.11
FTPソフトウェア
ネットワーク記憶装置NAS(Network Attached
Storage)
WS_FTP Pro Ver.6.0
TELNETソフトウェア
CADソフトウェア
Tera Term Pro Ver2.3
テクノグラフィーNetFORCE1500
JW_WIN Ver2.16
電子回路シミュレーションソフトウェア
PSpice
ハードディスク:163.8GB (RAID5構成時に
127.4GB)
Ver7.1.3
Web閲覧ソフトウェア
Internet Explorer 5.5 SP1
ドキュメント閲覧ソフトウェア
マルチメディアソフトウェア
PDF reader Ver4.05a
Quick Time 4.1.2(日本
以上、3室共通
CADソフトウェア
Unix系OSとMS-Windowsの両OSにファイルシステ
ムを提供可能
100BASE-TX×2によるネットワーク接続
ルーティングスイッチ
語版) & RealPlayer8
Auto-CAD LT2000(基礎情報演習
室)
Planex Communications FML-24
スイッチングハブ
Planex Communications FML-24I
データ可視化ツール
MicroAVS Ver.5.0(応用情報演
習室)
英語学習ソフトウェア
MicroEnglish98(マルチメディ
ア室)
統合辞書
付属品:3.5インチFDD、48倍速CD-ROMドライブ、
100BASE-TX NIC
統合ソフトウェア
メーラ
システムメモリ:ECC SDRAM 1Gバイト
Bookshelf3.0(マルチメディア室)
・サーバ
MS-Windows環境用ユーザ認証サーバ
2台
CPU:Intel PentiumIII Processor (933MHz)
システムメモリ:ECC SDRAM 256Mバイト
ハードディスク:9.1Gバイト(ミラーリング)+9.1G
バイト
付属品:3.5インチFDD、48倍速CD-ROMドライブ、
100BASE-TX NIC
OS:日本語MS-Windows2000 Server
Unixユーザ認証サーバとの連携:Microsoft Services
for UNIX 2.0
ウイルス検出サーバ:NORTON AntiVirus
ただし1台は別途準備
Unixアプリケーションサーバ(Unix環境用ユー
ザ認証サーバ兼用) 2台
CPU:Intel Pentium III Processor (933MHz)
7台
Planex Communications GS-2008NW, FML-1 SX 1組
上記の設備により、以下の機能を実現できた。
・3つの部屋の機能がほぼ同じで、どの端末パソ
コンから利用しても同一環境を提供可能
・これまで行っていた教育を引き続いて行えると
ともに、ワープロ・プレゼンテーションなどの
リテラシー教育や本格的CAD教育などの新し
い内容にも対応可能
・Windows環境とUnix環境との共存を、利用者側
に特別なソフトウェアを必要とせず、利用環境
に依存しにくいHTTPベースで運用
・独立のネットワーク記憶装置を導入し、利用位
置およびOSに依存しない個人情報を保持可能
・教育用システムの情報ネットワーク環境を既存
ネットワークから論理的に分離することによ
るネットワーク全体の高速化と効率化
・端末パソコンでユーザ認証とセキュリティ管理
を行えるようにし、不要なプログラムのインス
トールなどの防止
・各種の管理ソフトウェアを導入し、障害の事前
防止と発生時の迅速な復旧に対応
ここで述べた設備のほとんどは通常の借料で
手当てしたが、一般利用可能なマイクロソフト社
のライセンス追加、NASの追加ディスク、英語学
習ソフトウェアのバージョンアップ、統合辞書な
ど、別途予算措置をしたものもある。
3.設定方針と運用
新しい教育用システムの設定にあたっては、こ
れまでの方針を可能な限り引き継ぎ、問題点があ
れば解消できるように配慮した。
3.1 利用環境設定
これまでWindowsNTサーバで運用してきた2
種類の学生ユーザ(授業専用の年度更新ユーザと
在学中有効な個人ユーザ)[2]は、そのまま引き
継いだ。教育利用では、Windows2000 (Win2K)
サーバによる認証でログオンし、パスワードの変
更もWin2K上で行う。UnixサーバへはSevices for
UNIX 2.0のNIS機能により、一方向の伝達により
利用している。なお、今回のシステム変更で
Windows系ユーザにおける学生と教職員との管
理情報を分離でき、セキュリティに配慮した運用
となった。
Win2Kによるユーザごとの資源管理のため、
Active Directoryの組織単位(OU)を導入し、実習
用ユーザ・学生ユーザ・教官ユーザ等により、セ
キュリティポリシを管理している。例えば、シス
テム設定情報の変更が可能/不可能、監査(ログ
イン情報の記録など)の有無、Internet Explorer
の設定、起動アプリケーションの制御(Outlook
Expressやゲームは起動不可)、ファイルのリダイ
レクト、一時プロファイルの削除など、細かな設
定を行っている。
各端末パソコンでは、共通のプログラム等はロ
ーカルディスクに入れて、システム領域に一般ユ
ーザは書き込めないようにしている。また、NAS
上のユーザ領域30MB、プロファイル2MBの制限
を課している。この値が適切かどうかなど、まだ
問題が残っている(後述)。一方、個人情報や教
材等の共通情報はNASに保存する。このための領
域を次の通り確保した。
個人情報用(学生からはhome):82GB
教材提供用(学生からはread-only):20GB
結果提出用(学生からはread-write):4GB
また、ネットワーク利用環境は、次のようにな
っている。まず、電子メールでは、初心者用に外
部とやりとりのできない教育用ドメインに閉じ
た環境と、学外にも出せる環境とを選ぶことがで
きる。また、WWWアクセスは、従来通りSquid
設定により部屋ごとの制限をかけている[3]。
最後に、上記のActive Directoryによる資源管理
のために既存ネットワークから教育用ドメイン
を分離した。教育用ドメインはWin2Kサーバの
DNSで管理しているが、既存ネットワークの一部
に寄生しているため既存DNSサーバに警告がで
る。また、Win2Kの名前付けの問題で、教育用ド
メインに限りBINDの名前チェックを行わないよ
うにした。
3.2 システムの運用管理
今回のシステムにはNorton Ghostが導入されて
おり、サーバにディスクイメージを作成しておい
て、端末パソコンにネットワーク経由で転送可能
である。ドライバの更新やソフトウェアのバージ
ョンアップなど、すべてのパソコンに共通の変更
が必要なときはイメージを作りなおして、それぞ
れのパソコンに配信する。
端末パソコンに小さな管理領域を確保してあ
り、サーバ側からマルチキャストにより強制的に
書き込みできる。配信台数によらず約10分で全台
に転送可能となっている。さらに、MACアドレ
スとIPアドレスの対応表を持ち、ネットワーク環
境は自動設定できる。しかし、ワークグループを
ドメインに書き換えることは、手作業で行わなけ
ればならない。
次に、コンピュータウイルス対策用にNorton
AntiVirusが入っている。Win2KサーバにNorton
AntiVirusのサーバ機能を載せ、最新のパターンフ
ァイルとなるよう更新しておく。端末パソコンへ
は、ログオン時にパターンファイルを自動で転送
するようになっている。ウィルスを検出すると管
理者宛にメールでの連絡が届き、発見したウィル
スはサーバに隔離する。
また、ユーザのログオン/ログオフ情報を保存
し、誰がいつどこからログオンしたかの記録をと
る。プリンタ出力に関しても、ユーザ名と枚数の
記録をとっている。その他に、ログオンスクリプ
トとログオフスクリプトを走らせ、不要ファイル
を削除しローカルディスクを掃除する。サーバに
ついては、定期的な再起動が必要である。なお、
ネットワーク監視・通知ツールのWhatsUp Gold
によって、ネットワーク状態をリアルタイムで監
視できる。
4.現状と問題点
正式に運用を開始してから3ヶ月強が経過し、
・前年度までの教育内容の移行
・端末位置によらない個人環境の保証
・各アプリケーションの動作
・Windouws環境とUnix環境の連携(Windows
側でファイルを作成し、Unixサーバ上でコン
パイル可能など)
といった、所期の目標の多くは実現できているこ
とを確認した。ここでは、アプリケーション等の
起動時間と、残されている問題点を取り上げる。
4.1 起動時間
1クラス(約40名)の学生が一斉に利用したと
きのアプリケーション等の起動時間を測定した。
まず、電源オンから起動画面まで1分42秒、ロ
グオンから初期画面まで31秒となっており、実用
上十分なものといえる。ログオン時の認証も待た
されるという感覚はない。
次に、代表的なアプリケーションの起動時間を
以下に示す。これらも問題ない。
Word: 2.8秒
Excel: 1.7秒
PowerPoint: 2.0秒
InternetExplorer: 6.3秒
AL-MAIL: 3.7秒
jw-win: 1.9秒
最後に、NASを中心としたファイル転送時間を
10Mバイトのファイルを使って測定した。
readonry→MyDocument(NAS上):3.45秒
NAS→端末パソコンlocal:2分57秒
ただし、再現性なし
端末パソコンlocal→NAS:29秒
ここで問題なのは、NAS (Unix)から端末パソ
コン(Windows)への転送時間が異常に長いこと
である。本原稿を執筆時点では解決できていない
が、後述の原因が考えられるので納入業者に検討
を依頼している。
4.2 問題点
・端末パソコンとNASとの不安定な転送
上で述べたようにNASとパソコン間の転送速
度が異常に長くなったり、NASのCPU利用率が
100%近くに跳ね上がるという障害が時々発生し
ている。この問題は、色々なところで報告されて
いるマイクロソフト社のTCP/IP実装に起因する
のではないかと疑っている。パケット解析、NIC
やHUBの組み合わせなど、調査を進めているとこ
ろである。
・ディスク容量制限に伴う障害
ディスクを共用するので、容量制限をかけてい
る。このため、学生の利用状況によっては、ログ
オンまたはログオフできなくなるという障害が
発生している。
まず、プロファイル容量制限を超えた場合にロ
グオフできなくなる。これは、デスクトップにフ
ァイルを書いたり、Wordのバックアップファイ
ルやHTMLヘルプのインデックスファイルなど
がある場合に発生する。プロファイルに影響のあ
る一時ファイルを削除するバッチファイルを用
意し対処している。
一方、ローカルディスクのクオータ制限(警告
レベル4Mバイト、ディスク領域10Mバイト)を
かけることにより、ユーザが無制限にファイルを
書きこむことを防いでいる。しかし、IEの一時フ
ァイルやドクターワトソンのメモリダンプファ
イルのように、ユーザが意識しない場所にファイ
ルが保存されることがあり、ログオンできなくな
る。これも、不要ファイルを削除するログオフス
クリプトを作成して対応している。
・その他
最後に、残された問題点を示す。
・NISによるパスワード更新に時間がかかり、
新規ユーザ登録のとき、その情報がNASに直
ちに反映されない。
・JW-CADが移行できなかった。
・NAS領域を使ったVisual C++ Ver.6 のコンパ
イルができない。
・MS-OfficeをCドライブに置かないと、Book
sheifをインストールした場合MS-Officeの動
作が異常になる。
・ネットワークトラフィックの分離や最適化が
十分でない。
5.あとがき
津山高専に導入された教育用システムの最終
仕様と運用管理の状況を報告した。一部解決しな
ければならない問題はあるものの、予算の減った
なかで大幅に機能強化したシステムを実現でき
た考えている。本年度から学生教育での利用が始
まるとともに、マイクロソフト社のライセンス問
題をクリアするために一般利用可能な追加契約
を結んだ上で、公開講座での利用も始まっている。
さらに運用経験を積んで、より使いやすく安定な
システムに向けての検討を進めたい。
参
考
文
献
[1]大西・岡田:“津山高専の新しい教育用シス
テムについて”、情報処理教育研究発表会論文
集、20、pp.59-62 (2000-8).
[2]寺元・日下・長井・岡田:“WindowsとUnix
混在環境の運用方針と設定”、情報処理教育研
究発表会論文集、16、pp.35-38 (1996-8).
[3]寺元・日下・岡田:“WindowsとUnix混在環
境の運用方針と設定Ⅱ”、情報処理教育研究発
表会論文集、17、pp.88-91 (1997-8).
多目的なコンピュータシステムの構築と安全な運用
寺元貴幸,日下孝二,大西淳,岡田正
津山工業高等専門学校 総合情報センター
teramoto,kusaka,a-onishi,[email protected]
あらまし
平成 13 年 3 月に津山高専の総合情報センタ
ーでは教育用電子計算機システムの更新[1]を行
った。今回の更新では学生が使用する端末の
位置によらない個人環境やデータの保証,3
層構造による Windows 環境から Unix 環境への
アクセスなどの工夫により,学生教育から一
般市民が参加する公開講座等による利用まで
の多目的に対応できることを目指してシステ
ムを構成した。このシステムの最終的な機器
構成を紹介するとともに,幅広い利用に向け
た運用と耐故障性に優れた管理の詳細を報告
する。
2
導入機器と特徴
津山高専総合情報センターには,基礎情報演
習室(49 台),応用情報演習室(17 台),マル
チメディア室(49 台)の三つの演習室があり,
今回これら 3 部屋のすべてのクライアントパ
ソコンとユーザ認証などを行うサーバの更新
を行った。教育用電子計算機システムの更新
にあたっては,次のようなコンセプトに基づ
いてハードウェアならびにソフトウェアの選
定,そして機器の設定を行った。[2]
・ これまでの授業との連続性[3]
・ 新しい利用に耐える最新性と拡張性
・ 運用の安定性と管理の容易性
・ 現有システムとの接続性
1 はじめに
・ ハード・ソフトとネットワーク機器の金
津山高専では教育用電子計算機システムをリ
銭的なバランス
ースにより構築しているため 5 年に1度シス
・
フリーウェアを積極的に採用
テムの入れ替えを行う必要がある。本年 3 月
導入すべきコンピュータは,クライアント
がこの更新時期にあたり教育システムの全面
パソコン
115 台,ユーザ認証を行うサーバが 2
的な更新を行った。津山高専の教育用システ
ムは,すべての学科(機械,電気,電子制御, 台,Unix 環境を提供するサーバが 1 台,ネッ
ト ワ ー ク 記 憶 装 置 NAS (Network Attached
情報工学科)の情報関連の教育のみならず,
Storage)が 1 台,レイヤ 3 の HUB が1台,レ
卒業研究や専攻科生の利用,また公開講座等
イヤ 2 のスイッチング HUB が 7 台,ギガビッ
で一般市民向けの教育等にも使用される。こ
トのモジュールが 1 組,そしてネットワーク
のため,多種多様な利用要求があり,これら
プリンタ 5 台である。以下にクライアントパ
を可能な限り満たす必要がある。
ソコン,サーバ, NAS についての構成を示す。
今回の報告では,このような多目的に利用可
[クライアントパソコン]
能な教育用電子計算機システムの概要と最終
・ハードウェア
的に導入された機器を紹介するとともに,そ
CPU:Intel Pentium III Processor (800MHz)
の運用や管理について触れる。本システムは
システムメモリ:SDRAM 128M バイト
どの端末から利用しても同じ個人ファイルを
ハードディスク:20G バイト
アクセスできる環境の提供,3層構造による
付属品:マウス,キーボード,3.5 インチ
HTTP ベースの Windows 環境から Unix 環境の
FDD,CD-ROM ドライブ,サウンドカ
利用などの特徴もつ。また更新前の旧システ
ー ド ( マ ル チ メ デ ィ ア 室 の み ),
ムからのスムーズな移行を行う必要もあり,
100BASE-TX NIC
3部屋115台に上る端末パソコンの運用な
ディスプレイ:17 インチ CRT
どについて,実際のデータを交えながら問題
・導入ソフトウェア
点を含めて報告したい。
OS: MS-Windows 2000 Professional
Office:MS-Office2000 Standard
プログラミング言語:MS-Visual BASIC &
Boland C++ Compiler※
タ イ ピ ン グ : TypeMaster for Windows &
MIKATYPE 美佳のタイプトレーナ※
エディタ:AzEdit※
メーラ:AL-Mail32※
FTP:WS_FTP Pro※
TELNET:Tera Term Pro※
CAD:JW_WIN※ Auto-CAD LT2000
ウィルス検出:NORTON AntiVirus
電子回路シミュレーション:PSpice,ATP※
データ可視化ツール:MicroAVS Ver.5.0
英語学習:MicroEnglish98
統合辞書:Bookshelf3.0
(注:※はフリーソフトをあらわす。)
[ユーザ認証用サーバパソコン]
・ハードウェア
CPU:Intel PentiumIII Processor (933MHz)
システムメモリ:SDRAM 256M バイト
ハードディスク:Ultra160 9.1G バイト(ミ
ラーリング)
・導入ソフトウェア
OS:日本語 MS-Windows2000 Server
Unix ユーザ認証サーバとの連携:Microsoft
Services for UNIX 2.0
ウィルス検出サーバ:NORTON AntiVirus
バックアップ&再インストール:NORTON
Ghost
[Unix サーバパソコン]
・ハードウェア
CPU:Intel Pentium III Processor (933MHz)
システムメモリ:ECC SDRAM 1G バイト
ハードディスク:18G バイト
・導入ソフトウェア
OS:UnixWare7 リリース 7.1.1
教育用端末パソコンからの Unix アプリケ
ーションの利用:Tarantella Enterprise II
言語処理プログラム:gcc, g++, g77
[ネットワーク記憶装置(NAS)]
ハードディスク:163.8GB (RAID5 構成時
に 127.4GB) , Unix 系 OS と MSWindows の両 OS にファイルシステム
を提供
ネットワーク:100BASE-TX×2
3
利用環境
2 章の機器構成を利用し,またサーバ等の連
携を設定することにより,利用環境として以
下の機能を実現できた。
・ 3つの部屋の機能がほぼ同じで,どの端末
パソコンから利用しても同一環境を提供が
可能
・これまで行っていた教育(更新前は
Windows95 ならびに WindwosNT4.0 を使
用)を継続可能
・ ワープロ・プレゼンテーションなどのリテ
ラシー教育や本格的 CAD 教育などの新し
い内容にも対応可能
・ Windows 環境と Unix 環境との共存を,ブ
ラウザベースにより実現
・ 独立のネットワーク記憶装置 NAS により
利用位置および OS に依存しない個人情報
を保持可能
・ 教育用システムの情報ネットワーク環境を
学内の既存ネットワークから論理的・物理
的に分離することによるネットワーク全体
の高速化と効率化
これらの機能を正しく動作させシステムに安
全に動作すると同時に,異常が発生した場合
も迅速に復旧できるように準備する必要があ
る。
4 運用と管理
4.1 ユーザ管理
教育利用のユーザは Windows2000 (Win2K)サ
ーバで認証を行う。各ユーザがパスワードを
変更する場合も Win2K 上で行い,Unix サーバ
へは Services for UNIX 2.0 の NIS 機能により,
一方向の伝達することにより利用している。
なお,今回のシステム変更で Windows 系ユー
ザにおける学生と教職員との管理情報を分離
でき,各種セキュリティに配慮した運用とな
った。
Win2K によるユーザごとの資源管理のため,
Active Directory の組織単位(OU)を導入し,実
習用ユーザ・学生ユーザ・教官ユーザ等によ
り,セキュリティポリシを以下のように管理
している。
・ システム設定情報の変更の制御
・ 監査(ログイン情報の記録,プリンタ出
力の記録など)の有無
・ Internet Explorer の Proxy 設定
・ 起 動 ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 制 御 ( Outlook
Express やゲームは起動不可)
・ ファイルシステム NAS へのリダイレク
・ ログオフ時に一時プロファイルを削除
4.2 ファイルシステム
各端末パソコンでは,共通のプログラム等は
ローカルディスクに入れて管理し,システム
領域に一般ユーザは一切書き込めないように
している。ユーザが作成したファイルはすべ
て NAS に保存し,ユーザプロファイルについ
ても認証サーバに保存している。これにあわ
せて,各ユーザには以下のような容量制限が
ある。
・ NAS 上のユーザ領域:30MB
・ プロファイル:2MB
・ ローカルクォータ:無制限
このため NAS には以下のように領域を確保
した。
個人情報用(学生の home):82GB
教材提供用(学生からは read-only):20GB
結果提出用(学生からは read-write):4GB
4.3 WWW アクセス・電子メール
近年学生の Web による情報検索や電子メー
ルによる情報交換はかなり一般的となり,多
くの教育で利用されている。しかし,ネット
ワークを利用する上での知識やマナー教育が
十分でない学生をインターネットに接続させ
るには多くの問題がある。そこで,津山高専
では次のようなネットワーク利用環境を整備
している。
学内の IP アドレスはすべてプライベートア
ドレスとし,直接インターネットに接続する
ことは不可能としている。
学外 WWW へのアクセスは,Proxy ソフトで
ある Squid の設定により各演習室(場合によっ
てはパソコン単位)ごとにアクセス制限をか
けている。[4]
学内だけのメールサーバと,学外とも送受信
ができるメールサーバの二つを用意し,初心
者用は外部とやりとりのできない教育用ドメ
インに閉じた環境を利用する。マナー教育と
実習を十分に行った後に学外にも出せる環境
を利用可能とする。
4.4 システムの安全性と復旧
教育システムはいかなる場合でも安定に動作
し,仮にトラブルが発生した場合でも迅速に
対応可能な準備が必要である。
まずコンピュータウイルスの対策用に Norton
AntiVirus を導入した。クライアント上のウィ
ルス監視ソフトは Win2K サーバで管理を行い,
定期的なパターンファイルの更新やウィルス
の検索,発見時の対応などすべてサーバで管
理が可能である。クライアントパソコンでウ
ィルスが検出された場合は,学生へのメッセ
ージ表示と同時に管理者宛にメールで連絡が
届くように設定している。発見したウィルス
はサーバの特定フォルダに隔離する。
また各種問題に対応するため,ユーザのログ
オン/ログオフ情報を保存し,誰がいつどこ
からログオンしたかの記録残している。プリ
ンタ出力に関しても,ユーザ名と枚数の記録
を行い,異常に出力枚数の多い学生には警告
を行っている。その他に,ログオンスクリプ
トとログオフスクリプトにより,不要ファイ
ルを削除しローカルディスクを掃除している。
また,ネットワーク監視・通知ツールの Whats
Up Gold によって,ネットワーク状態をリアル
タイムで監視可能である。
クライアントパソコンのシステムに異常が発
生した場合,ソフトウェアの新規インストー
ル,ドライバソフトの更新等により,クライ
アント機のシステム変更が必要となった場合
のために我々は Norton Ghost を導入した。こ
れはあらかじめサーバにクライアントパソコ
ンのディスクイメージを作成しておいて,ネ
ットワーク経由でインストールを行うことが
できる。マルチキャスト送信により配信台数
によらず約 10 分で全台にイメージを転送可能
となっている。さらに,MAC アドレスと IP ア
ドレスの対応表を持ち,ネットワーク環境は
自動設定できる。しかし,ワークグループを
ドメインに書き換えることは,手作業で行わ
なければならため,1教室分の更新には 30 分
程度必要となる。
利用状況
5
新システムは多目的に利用できることを最大
の目的としており,実際に多くの,しかも多
様な講義や演習に利用されている。1クラス
が収容できる基礎情報演習室(Room1)とマルチ
メディア室(Room2)の利用状況を表1に示
す。
表1
Mon
教育システムの利用状況
Tue
Wed
Thu
Fri
Room 1 Room 2 Room 1 Room 2 Room 1 Room 2 Room 1 Room 2 Room 1 Room 2
1
2
3
4
5
6
7
8
回4
回4
英4
プ2
プ2
プ3
プ3
英3
英3
英4
英4
基1
基1
プ2
プ2
製5
製5
基1
基1
英4
英4
英4
英4
基1
プ3 基1
プ3 基1
プ2 プ3
プ2 プ3
製2 基3 プ5
製2 基3 プ5
プ3 実2
プ1
実3
実3
実3
英4
実2
英3
英3
実2
実2
英4
英4
プ4
プ4
英=英語、プ=プログラミング、実=工学実験、製=製図(CAD)、
基=基礎科目、回=回路演習
ローマ数字=学年(専=専攻科)
表1からわかるように,リテラシー教育,英
語教育,プログラミング教育をはじめ,CAD
教育や回路シミュレータによる回路演習など,
多目的に利用されていることがわかる。利用
率は71%であり,カリキュラムの編成を考
慮すれば,最大限に利用されていると言って
よい。
また,一般利用として公開講座や各種研修に
利用されており,平成 13 年度の現在までに表
2のような講座が実施されている。
表2
一般利用
タイトル
パソコンによる情報操作入
門
インターネットによる情報
操作入門
夏休み機械工作教室(CAD)
日付(時間数)
6/9,10,16(15)
対象
一般
参加者
9人
6/30,7/1,7 (15)
一般
16 人
8/1,2,3(15)
11 人
IT,インターネット設備見
学及びインターネット体験
津山市教育委員会パソコン
研修会
ワープロ・表計算ソフト入
門と応用
8/6(数時間)
小 中 学
生
中学生
8/9,10(10)
8/10,11,12(15)
小 中 学
校教諭
一般
30 人
以上
40 人
ファイルやドクターワトソンのメモリダンプ
ファイルのように,ユーザが意識しない場所
にファイルが保存されることがあり,ログオ
ンできなくなる現象が発生した。これはロー
カルディスクのクォータ制限は解除し,ロー
カルにある各ユーザの不要ファイル(サーバ
と同期を取るためにローカルに記録されるフ
ァイル)を削除するログオフスクリプトを作
成して対応している。
その他現状では以下の問題がある。
・ NIS によるパスワード更新に時間がかか
り,新規ユーザ登録のとき,その情報が
NAS に直ちに反映されない。
・ NAS 領域を使った Visual C++ Ver.6 のコ
ンパイルができない。
・ ネットワークトラフィックの分離や最適
化が十分でない。
21 人
まとめ
今年度から本格運用を開始した総合情報セン
6 現状と問題点
ターの新教育用計算機システムの概要につい
正式に運用を開始してから3ヶ月強が経過し, て各仕様と運用・管理状況を報告した。一部
解決しなければならない問題はあるものの,
所期の目標の多くは実現できていることを確
予算の減ったなかで大幅に機能強化したシス
認した。ここでは,残されている問題点を取
テムを実現できたと考えている。多くの学生
り上げる。
教育に利用され多くの成果を上げている。ま
・端末パソコンと NAS との不安定な転送
たマイクロソフト社のライセンス問題をクリ
ネットワーク記憶装置 NAS とパソコン間の
アするために一般利用が可能なライセンスを
転送速度が異常に長くなったり,NAS の CPU
追加契約し,公開講座での利用も本格的に始
利用率が 100%近くに跳ね上がるという障害が
まっている。今後はさらに運用経験を積んで,
時 々 発 生 し て い る 。 パケ ッ ト 解 析 , NIC や
より使いやすく安定なシステムに向けての検
HUB の組み合わせ,NAS のファームウェアの
討を進めたい。
バージョンアップなど各方面から調査を進め
ているところである。
参考文献
・ディスク容量制限に伴う障害
サーバのディスクを全ユーザで共用するため,
[1] 寺元貴幸・日下孝二・大西淳・岡田正:” 広
使用できる容量に制限をかけている。この制
範な目的に利用可能な教育用システムの設定
限が原因で,学生の利用状況によってはログ
と運用”, 第 21 回高等専門学校情報処理教育
オンまたはログオフできなくなるという障害
研究委員会研究論文集 21 号,pp. 178-181,2001.
が発生している。
[2] 大西淳・岡田正,” 津山高専の新しい教育用
まず,プロファイル容量制限を超えた場合に
システムについて”, 第 20 回高等専門学校情
ログオフできなくなる。これは,デスクトッ
報処理教育研究委員会研究論文集 20 号,pp.
プにファイルを書いたり,Word のバックアッ
59-63,2000.
プファイルや HTML ヘルプのインデックスフ
[3] 岡田正,日下孝二,寺元貴幸:”津山高専の情報
ァイルなどがある場合に発生する。プロファ
通信環境の運用管理”,論文集「津山高専紀
イルに影響のある一時ファイルを削除するバ
要」要第 21 号,233-238(1998-3).
ッチファイルを用意し対処している。
[4] 大西淳,岡田正:"情報教育システムのセキュ
一方,ローカルディスクのクォータ制限(警
リティ管理と学生教育",平成12年度情報処
告レベル 4M バイト,ディスク領域 10M バイ
理教育研究集会講演論文集 ,pp. 188-190,2000.
ト)をかけてユーザが無制限にファイルを書
きこむことを防いでいた。しかし,IE の一時
7
多目的なコンピュータシステムの構築と安全な運用Ⅱ
寺元
貴幸, 岡田 正, 日下 孝二, 最上 勲
津山工業高等専門学校 総合情報センター
{teramoto, okada, kusaka, mogami}@tsuyama-ct.ac.jp
はじめに
・ アクセス権などの設定変更の申し入れ
実際に変更ならびに新規に導入したソフトウ
津山高専総合情報センターでは 3 つのパソコ
ェアについて報告する。導入されたソフトウ
ン演習室を運用しており、専門学科の情報関
ェアを以下に示す。
連の教育のみならず、英語教育、研究利用、
・ エディタ TeraPad Ver.2.3
一般市民向けの公開講座、放課後のクラブ活
・ ブラウザ IE6(IE5.5 より更新)
動等に広く利用されている。このように多様
・ CAD ソフト AutoCAD LT 2000i アカデ
な利用要求を満たしつつ、しかもシステム領
ミック版
17 ライセンス(応用演習室
域や各ユーザのファイルについては安全に保
にライセンスの追加)
護されている必要がある。また仮に避けられ
・ 歯車作成ソフト Inv Ver. 0.85
ないハードウェアの問題よりシステムに重大
・ グラフ作成ソフト Wgnuplot Ver. 3.7
な傷害が発生した場合においても、可能な限
・ 回路網シミュレータ ATP Draw Ver. 2.4
り迅速でしかも完全な復旧を行う必要がある。
・ 回路シミュレータ OrCad 9.2
今回の論文では、運用開始後 2 年目になった
・ 可 視 化 ソ フ ト
MicroAVS Ver.6.0
システムの現状と昨年の発表以降の改良点に
(Ver.5.0 より更新)
ついて報告したい。また演習室の利用状況や
・ 画像処理ソフト HALCON 6.0
実際に発生した問題についても報告したい。
・ 英語学習ソフト TOEIC 高得点多郎 LAN
対応
2 学生機の新規導入物品
これらのソフトウェアを全部の学生用パソコ
2.1 ソフトウェア
ンにインストールする作業は大変である。そ
津山高専総合情報センターには、基礎情報演
こで、4.2 で説明する Ghost を利用したイメー
習室(49 台)、応用情報演習室(17 台)、マル
ジの配信機能を活用している。
チメディア室(49 台)の三つの演習室があり、 2.2 ハードウェア
平成 13 年 4 月から新しいハードウェアならび
以前にくらべ英語教育におけるパソコンの利
にソフトウェアによる運用を開始[1]-[3]し、1
用が増えたため、カリキュラム的にマルチメ
年間実際の講義・演習に使用してきた。
ディア室だけで講義を行うことが非常に困難
演習室を実際に使用している教科担当より、
となってきた。また、ストリーミングサーバ
教育のさらなる充実を図るために毎年多くの
の設置などマルチメディア機能に対する要求
要求が提出される。OS やハードウェアが安定
がますます強くなってきている。そこで昨年
化し、システムの操作にも慣れてきたために、 度まではマルチメディア室のみにインストー
新ソフトウェアのインストール希望は徐々に
ルしていたサウンド機能(サウンドカード、
増加している傾向にある。これらの要求もと
ヘッドフォン、マイクロフォン)を、他の 2
に運営委員で審議し、ソフトウェアの導入を
演習室についてもインストールした。実際の
決定する。ソフトウェアの追加および変更を
運用状況において、ヘッドフィンをパソコン
行う要因を以下に示す。
に常時設置した場合、不注意や故意による破
・ アプリケーションに不具合の発見
損や盗難の危険性が高いと想像した。そこで
・ セキュリティ上の問題の発見
必要なときにだけ、教官が配布して使用する
・ ライセンスの追加
形式とし、ヘッドセットを容易に取り外しで
・ 担当教官から新ソフトウェアインストー
きるよう以下の機器を導入した。
ルの申し入れ
・ サウンドカード
1
「プログラミング言語教育」
・ Boland C++
・ Fortranコンパイラ(Unix)
・ VisualBasic
「英語教育」
3 利用状況
・ MicroEinglish 98
・ TOEIC 高得点多郎
教育用電子計算機システムは教育[4]・研究
・ Microsoft Bookshelf
活動、さらに部活動や公開講座などで広く利
「専門教育」
用されている。実際の講義・実験での利用状
・ JW-CAD
況を図 1 に示す。この図より 3 演習室のうち
・ AutoCAD 2000
マルチメディア室と基礎情報演習室は利用率
・ ATP Draw
が 92%であり、ほぼ限界近く利用されている
・ OrCad
ことがわかる。また応用演習室は講義・実験
・ MicroAVS 他
での利用こそ少ないが、常時インターネット
使用を希望するアプリケーションにフリーソ
に接続可能な設定を行っているため、空き時
フトおよびフリーソフトに準じるアプリケー
間や放課後でも学生の利用が多く、放課後に
ションが多く含まれるようになり、安定動作
おいてはほぼ 100%に近い使用率となっている。 を保証するためには、綿密に設定を確認する
利用の内容は従来からあるリテラシー教育や
に必要がある。現在演習室で運用している OS
言語教育に加え、学生の自主性を尊重する自
である Windows 2000 システムは、各ユーザの
発的学習の利用が新たに増え、より多様なサ
行える操作(設定の変更やファイルの保存)
ービスを要求されるようになっている。以下
には多くの制限を設けており、複数のアプリ
に複数の講義・実験で使われるような利用頻
ケーションにおいては、設定変更やファイル
度の高いアプリケーションを示す。
を保存する場合に著しく使い勝手の悪いアプ
リケーションが発生した。この場合は、セキ
「リテラシー教育」
ュリティの維持と利便性のバランスを考慮し
・ Microsoft Office (Word, Excel,
ながら設定を調整する必要があり、検証のた
PowerPoint)
め多くの時間を必要とする。
・ エディタ(TeraPad)
・ キーボード練習(KBT:津山高専情報工学
科による自作ソフト)
・ ペイント(OSに付属)
・ 5インチベイ用サウンドボックス(トライ
コーポレション USB Audio フロントポ
ートバーゼル)
・ ヘッドセット
M on
Tue
R1
R2
R3
R1
1
英語
(3 )
情報
処理
(3 )
英語
(4 )
2
英語
(3 )
情報
処理
(3 )
3
プログラ
ミング
(2 )
プログラ
ミング
(2 )
4
プログラ
ミング
(2 )
5
R2
W ed
R3
R1
R2
実験
(1 )
実験
(1 )
プログラ
ミン グ
(3 )
英語
(4 )
実験
(1 )
実験
(1 )
電エネ
(専 1 )
英語
(3 )
プログラ
ミング
(2 )
電エネ
(専 1 )
電工実
(2 )
英語
(3 )
6
電工実
(2 )
英語
(3 )
7
英語
(4 )
電気
機器
(4 )
8
英語
(4 )
電気
機器
(4 )
Thu
R1
R2
制御
基礎
(1 )
情報
処理
(1 )
プログラ
ミン グ
(3 )
制御
基礎
(1 )
電気
基礎
(2 )
情報
処理
(3 )
実験
(2 )
英語
(3 )
課題
研究
(2 )
情報
処理
(3 )
実験
(3 )
製図
Ⅴ
英語
(3 )
実験
(3 )
製図Ⅴ
英語
(3 )
実験
(3 )
R2
R3
プログラ
ミン グ
(1 )
英語
(4 )
CAD
(3 )
情報
処理
(専 1 )
情報
処理
(1 )
プログラ
ミン グ
(3 )
英語
(4 )
CAD
(3 )
情報
処理
(専 1 )
実験
(2 )
英語
(専 1 )
プログラ
ミン グ
(3 )
実験
(1 )
英語
(4 )
CAD
(3 )
画像
処理
(専 2 )
実験
(2 )
実験
(2 )
英語
(専 1 )
プログラ
ミン グ
(3 )
実験
(1 )
英語
(4 )
課題
演習
(3 )
画像
処理
(専 2 )
情報
処理
(5 )
プロⅣ
実験
(5 )
シ ミュ レ ー
ション
(5 )
情報
処理
(2 )
情報
処理
(5 )
プロⅣ
実験
(5 )
シ ミュ レ ー
ション
(5 )
情報
処理
(2 )
創造
演習
(2 )
創造
演習
(2 )
実験
(5 )
創造
演習
(2 )
創造
演習
(3 )
創造
演習
(2 )
創造
演習
(2 )
創造
演習
(2 )
創造
演習
(3 )
リテラシ関連
専門科目関連
自発的学習課目
語学関連
システムメンテナンス
図1
F ri
R1
プログ ラミング 関 連
R3
演習室の利用状況
R3
R 1: マ ル チ メ デ ィア 室
R 2: 基 礎 情 報 演 習 室
R 3: 応 用 情 報 演 習 室
運用と管理
キュリティパッチの適応
10 回
4.1 システムの強化
・ その他設定変更
MS-Windows 環境ユーザ認証用サーバならび
7回
にファイルサーバ(2 台)と Unix サーバ(2
・ ハードウェア追加
台)を設置しているが、機能拡充とシステム
1回
の安全性のために以下のような強化を行った。
このことより、Ghost を利用する主な目的は
これらの増設は、管理するユーザ数の増加と
ハードウェアやデータの破損によるシステム
端末機用ハードディスクのイメージデータの
修復のためではなく、新規ソフトのインスト
種類が増えたことが主な理由である。またサ
ールや設定変更であることがわかる。
ーバを無停止で安定に動作させることも大き
な目標である。
5 まとめ
・ メモリ増設 256M→1.28GB
昨年度から本格運用を開始した総合情報セン
・ RAID装置増設 80GB×6(RAID5)
ターの新教育用計算機システムの概要につい
Ultra160(新設)
て、その変更点と運用状況を報告した。正式
・ NASのCPUの高速化(PentiumIII
に運用を開始してから 1 年 4 ヶ月強が経過し、
766MHz→800MHz)
昨年度の報告時に解決できていなかった問題
・ NASのメモリの増強(256MB→512MB)
の多くはハードウェアの増設や NAS のファー
このほかサーバ OS や NAS のファームウェ
ムウェアのバージョンアップ等により解決で
アのバージョンアップを可能な限り迅速に行
きた。しかし、NAS が完全に安定動作してい
い、安定な動作並びにセキュリティホールの
ないという問題は今なお未解決であり、今後
削除に努めている。
も調整を進めていきたい。今後はさらに運用
データバックアップの体制も強化し、重要な
経験を積んで、より使いやすく安定なシステ
データは自動的にミラーリングしている。ま
ムに向けての検討を進めたい。
た別サーバに設置したテープバックアップ装
置により、サーバシステムの全ファイルをシ
参考文献
ステムの運用を停止することなく、定期的に
[1] 寺元貴幸・日下孝二・大西淳・岡田正:“多
バックアップを行っている。
目的なコンピュータシステムの構築と安全な
4.2 システムの安全性と復旧
運用”, 平成 13 年度情報処理教育研究集会
教育システムはいかなる場合でも安定に動作
講演論文集 (2001-10-13) , pp. 378-381.
し、仮にトラブルが発生した場合でも迅速に
[2] 寺 元 貴 幸 ・ 日 下 孝 二 ・ 大 西 淳 ・ 岡 田 正 :
対応可能な準備が必要である。またソフトウ
“広範な目的に利用可能な教育用システムの
ェアの新規インストール、ドライバソフトの
設定と運用”, 第 21 回高等専門学校情報処
更新、セキュリティパッチの適応により、ク
理教育研究委員会研究論文集 21 号,pp. 178ライアント機のシステムをすべて変更する必
181,2001.
要が生じた場合のために、我々は Norton Ghost
[3] 大西淳・岡田正, “ 津山高専の新しい教育
を導入している。これはあらかじめサーバに
用システムについて”, 第 20 回高等専門学
クライアントパソコンのディスクイメージを
校情報処理教育研究委員会研究論文集 20
作成しておき、必要な時にネットワーク経由
号,pp. 59-63,2000.
でインストールを行うことが可能である。
[4]
大西淳,岡田正:“情報教育システムのセキ
平成 13 年 4 月より 14 年 7 月末までの間に、
ュリティ管理と学生教育”,平成12年度情
実際にどのような目的でイメージの配信を行
報
処 理 教 育 研 究 集 会 講 演 論 文 集 ,pp. 188ったのか以下にまとめる。
190,2000.
・ クライアントマシーンのディスク・マザ
4
ーボードの故障
4回
・ ドライバー、DLLの更新・追加
9回
・ アプリケーションソフトのインストール
11 回
・ バージョンアップ、サービスパック、セ
教育用システムの運用と新キャンパスネットワークの構築
寺元貴幸
岡田
正
日下孝二
(津山工業高等専門学校
大西
淳
最上
勲
総合情報センター)
E-mail: {teramoto, okada, kusaka, a-onishi, mogami}@tsuyama-ct.ac.jp
概要
平成13年春に全面的に更新を行った総合情報センターの教育システム
も運用を開始して1年4ヶ月が経過し、初期の障害を解決し安定に運用するため
の設定もほぼ固まりつつある。今回は、昨年の発表以後に行った改良点ならび
にシステムの問題の発生状況について報告したい。また昨年度末に導入した新
キャンパスネットワークの概要について、システムの方針や実際に導入した機
器について報告する。
1.
はじめに
津山高専では教育用電子計算機システム
[1][2]を平成13年3月に更新した。学内外からの
多様な利用要求を満たし、しかも安定に動作する
ように設計し運用を行ってきた。導入から1年4
ヶ月が経過し、初期の障害や問題点はほぼ解決で
きた。14年度からは新しいソフトウェアやハード
ウェアも導入し、さらに広く利用されるよう改善
を行っている。その点について2章で報告したい。
また、全国高専に認めたれた新キャンパスネッ
トワークを津山高専でも敷設し14年3月から稼働
を開始している。以前のATMネットワーク網を残
しつつ、新たにGigabit網を敷設しネットワーク
の高速化と安定化を図ったので、その概要につい
て3章で報告したい。
2. 教育用システム
2.1 利用状況
教育用電子計算機システムは3演習室に合計
115台のパソコンを導入し教育・研究活動、さら
に部活動や公開講座などで広く利用されている
(講義・実験での利用状況を図1に示す)。3演習
室のうち2演習室は利用率が92%であり、ほぼ限界
近く利用されている。円滑な講義・演習を行うた
めには、システム全体が安定に動作することが必
要不可欠となっている。
利用の内容は従来からあるリテラシ教育や言
語教育に加え、学生の自主性を尊重する自発的学
習の利用が新たに増え、より多様なサービスを要
求されるようになっている。
Mon
Tue
Wed
Thu
Fri
Room1 Room2 Room1 Room2 Room1 Room2 Room1 Room2 Room1 Room2
1
2
3
4
5
6
7
8
英語Ⅲ リテラシ 英語Ⅳ リテラシ プロⅢ リテラシ リテラシ プロⅠ
英語Ⅳ CADⅢ
英語Ⅲ リテラシ 英語Ⅳ リテラシ プロⅢ リテラシ リテラシ プロⅠ
英語Ⅳ CADⅢ
プロⅡ
プロⅡ
英語Ⅲ リテラシ リテラシ リテラシ 実践英語 リテラシ 英語Ⅳ CADⅢ
プロⅡ
プロⅡ
英語Ⅲ 課題研究 リテラシ リテラシ 実践英語 リテラシ 英語Ⅳ 課題演習
リテラシ 英語Ⅲ 製図Ⅴ 英語Ⅲ リテラシ プロⅣ
リテラシ 英語Ⅲ 製図Ⅴ 英語Ⅲ リテラシ プロⅣ
英語Ⅲ 回路Ⅳ
シミュレー
ションⅤ
シミュレー
ションⅤ
リテラシ
リテラシ
創造演習 課題演習 創造演習 課題研究
英語Ⅲ 回路Ⅳ
創造演習 課題演習 創造演習 課題研究
プログラミング関連
リテラシ関連
専門科目関連
自発的学習課目
語学関連
システムメンテナンス
図1
Room1:マルチメディア室
Room2:基礎情報演習室
演習室の利用状況
2.2 システムの変更点
昨年度にシステムの概要を報告したが、それ以
降も各種の要求を受け整備を進めた。今回は、前
回の報告[2]以降で追加・変更が行われた部分に
ついてハードウェア、ソフトウェア、サーバそし
てネットワークに分類して報告する。
端末パソコンの追加ハードウェア
・ サウンドカード(CreativeVIBRA128 PCI Audio)
・ 5インチベイ用サウンドボックス(トライコーポレシ
ョン USB Audio フロントポートバーゼル)
・ ヘッドセット(エレコムMS-HS10)
これは従来1演習室のみに導入していたサウン
ド機能を他の2演習室にも導入し、全演習室で語
学教育が可能とした。これによりカリキュラム編
成の自由度が増し、時間割の作成が楽になった。
またストリーミングサーバによる動画配信をど
の演習室でも視聴可能となった。導入したヘッド
セットは一定レベルの音質を確保し、故障・破損
の少なさを考慮して選択した。また本体との接続
もできるだけシンプルになるよう、5インチベイ
に格納するタイプの接続端子を選択した。演習室
を開放している放課後には、学生へのヘッドフォ
ンの貸し出しを実施している。
端末パソコンの新規導入ソフトウェア
ネットワーク関連機器
○ネットワークプリンタ
・ 印刷枚数の掲示
サーバに蓄積される全ユーザの印刷のログを
集計し、特に印刷枚数の多い学生を掲示し注意を
促した。その後、印刷枚数が劇的に減少しプリン
タの紙詰まりも少なくなった。
○ネットワーク記憶装置NAS
・ ファームウェアのバージョンアップ
・ エディタ
TeraPad Ver.2.3
・ CPUの高速化(PentiumIII 766MHz→800MHz)
・ ブラウザ
IE6(IE5.5よりバージョンアップ)
・ メモリの増強(256MB→512MB)
・ CAD ソ フ ト
AutoCAD LT 2000i ア カ デ ミ ッ ク 版
17ライセンス(応用演習室にライセンスの追加)
・ 歯車作成ソフト
Inv Ver. 0.85
・ グラフ作成ソフト
Wgnuplot Ver. 3.7
・ 回路網シミュレータ
MicroAVS Ver. 6.0(5.0よりバージョ
ンアップ)
・ 画像処理ソフト
HALCON Ver. 6.0
・ 英語学習ソフト
TOEIC 高得点多郎LAN対応
これらのソフトウェアは教科担当者からの組
み込み依頼書により導入の検討が開始される。イ
ンストールの手順は、最初演習室と全く同じ環境
にあるデモ機にインストールを行い、動作を検証
するとともに他のソフトウェアとの相性、そして
学生ユーザのアクセス権でも正常に動作するた
めの設定方法などを調査する。問題ないことを確
認したのち、ハードディスクのイメージを作成し、
Ghostにより演習室の全パソコンに一斉配信を行
う。組み込みの検証には最低でも数日から長いも
ので1ヶ月程度必要であり、場合によってはファ
イルのアクセス権を再調整することもある。
OSやブラウザのセキュリティパッチ、サービス
パックなどの適応についても、緊急度によっては
即時配信を行う。
教育用サーバの増強
・ メモリ増設
・ RAID装置増設
・ Planex Communications FML-24
→Planex Communications FML-24NX
ATP Draw Ver. 2.4
・ 回路シミュレータ OrCad Ver. 9.2
・ 可視化ソフト
システム的な障害を改善するために、NASのフ
ァームウェアのバージョンアップを行っている。
○ルーティングスイッチ
1.28GB
80GB×6(RAID5) Ultra160
MS-Windows環境ユーザ認証用サーバ(2台)を
設置しているが、機能拡充のため上記のような追
加を行った。これらの増設は、管理するユーザ数
の増加と端末機用ハードディスクのイメージデ
ータの種類が増えたことが主な理由である。また
サーバを無停止で安定に動作させることも大き
な目標である。
1演習室とサーバ間の通信にGigabitを敷設し
たが、Ghostによる配信が正常に終了しないとい
う障害が発生した。検討の結果問題のあったスイ
ッチングハブを交換したが、原因の究明と機器の
交換に多くの労力を必要とし、ネットワーク機器
の不具合の深刻さを実感する結果となった。
2.3 教育システムの運用状況と問題点
教育システムの初期不良がおおむね出尽くし、
その後は安定に動作をするようになった。それで
も散発的にトラブルが発生するので、これをハー
ドウェア関連、ソフトウェア関連等に分類し、
「:」以降にその対策を示す。
○ハードウェア関連
・ マザーボード不良のためWindowsが起動しない・電源
が入らない:マザーボードの交換 8件
・ FDD不良のためFDが読み書きできない:FDDの交換 1
件
・ マウス不良のためポインティングデバイスが使用で
きない:マウスの交換 6件
○ソフトウェア関連
・ Windowsが起動しない:Ghostによるイメージデータの
再配信 3件
○すべてのマシンに関連する事項
・ ローカルディスクにクオータ制限をかけるとログオ
ンできないユーザが発生する:ローカルのクオータ制
限は行わないこととした。
・ MS PhotoEditeにおいてエラーが表示され起動できな
い:レジストリのユーザ制限を解除した。
○NAS関連
・ ユーザのHomeフォルダにつながらない。
・ 複数の動画を同時に配信可能な高速性
・ 新しい機能の追加や拡張の可能な柔軟性と拡
張性
・ 一部機器の障害があっても機能を全停止しな
い堅牢性
・ 多様な機器の導入されている各高専の既存設
備との連続性
・ モデルシステムとなりうる標準性と先進性
・ NAS上にあるべきユーザのHomeフォルダがない。
・ 時々(数日に1回から、1週間に1度程度)自動的にシ
ステムの再起動がかかる。
・ 希ではあるがシステムが完全にハングアップする。
:以上の症状は、正確な原因究明が困難なためNASのファ
ームウェアのバージョンナップを複数回行った。
以上の状況から、ハードウェアについては安定
期に入ったといえる。またソフトウェアに関して
も、要望により新しいソフトウェアを追加するこ
これらの理念を元に、実際に機器の選定を行い、
とはあるが、そのためのノウハウも蓄積されてき
津山高専では図3に示すようなネットワーク機器
の導入を行った。
たため、大きな問題は発生しなくなっている。し
かしNASに関してはトラブルが多く、
津山工業高等専門学校 学内基幹情報ネットワークシステム 設備概念図
電子制御工学科棟
かなり頻繁にファームウェアの更
ならびに共同実験棟
第2実習
情報工学科棟
管理・実験研究棟E棟
工場
新(2ヶ月に1回程度)が行われてい
る。そのためNASについては安定に
動作しているとは言い難い。
3F
Edgeスイッチ2
2
メディア
コンバータ
1F
第1実習工場
Edgeスイッチ
1
Edgeスイッチ1
1
1F
1
2F
1
3F
1
管理・実験研究棟C棟
4F
1
SCS制御室
オンデマンド用
配信サーバ
Centerスイッチ
Edgeスイッチ1
Frontスイッチ
管理・実験研究棟A棟
1
UTP CAT5e
既設の
図書館 ゲートウェイ
(2F)
・Proxyサーバ群
Edgeスイッチ1
1
1
1Gigabit
光ファイバ
MM(50μ)
1000Base-SX
Edgeスイッチ1
Frontスイッチ
1
1
Edgeスイッチ1
学外接続用
事務既設端末
総合情報センター
サーバ群A
Frontスイッチ
Edgeスイッチ1
新規購入サーバ
コミュニケーションサーバ
&RAIDシステム(1台)
バックアップサーバ
&RAIDシステム(1台)
ゲートウェイサーバ(2台)
フィルタリングサーバ(2台)
プロキシサーバ(2台)
Edgeスイッチ1
1F
1
4F
図書館・総合情報センター棟
Centerスイッチ
Frontスイッチ
1
1
2F
Edgeスイッチ1
専攻科棟
SCS講義室
Edgeスイッチ1
1
1
動画配信ストリーミングサーバ
コンテンツ管理用パソコン
1
Edgeスイッチ1
3F
Edge
スイッチ2
Frontスイッチ
Edgeスイッチ1 Frontスイッチ
Edgeスイッチ1
1F
2
メディアコンバータ
Edgeスイッチ1
Frontスイッチ1
1
Edgeスイッチ1
2F
4F
1
3F
1
Front
スイッチ
3F
3.1 導入経緯
昨年度群馬高専の室賀先生、福井
高専の藤原先生、長岡高専の山崎先
生、並びに津山高専の岡田の4名に
より、高専全体の情報通信基盤高度
化要求[3]がなされた。全国高専に
補正予算が配分され、さまざまシス
テムが導入された。予算申請段階で
の標準的なネットワーク構成を図2
に示す。
2F
1
Edgeスイッチ1
2F
3. 新キャンパスネットワーク
1F
1
1
1
4F
Edgeスイッチ1
1
3F
Edgeスイッチ1
1
2F
Edgeスイッチ1
1F
1
Edgeスイッチ2
2
総合情報センター
サーバ群B
メディアコンバータ
総合情報センター
サーバ群C
SINETへ
メディアコンバータ
メディアコンバータ
第1体育館
2
友朋会館
CCCN-IIJへ
Edgeスイッチ1
既設の教育用計算機群
Edgeスイッチ2
寄宿舎管理棟
2
メディアコンバータ
既設のスイッチとルータ
UTP Cat5
(既設)
FL→100Base-FX
(既存の光ファイバを流用)
Edgeスイッチ2
2001.12
図3
津山高専のネットワーク構成図
3.2 新キャンパスネットワークの概要
今回更新を行った基幹ネットワークは、基本的
に既存のATMネットワークのトポロジをそのまま
受け継ぎ、大規模な工事や構造の変更は行わない
ことを原則に行った。サーバ類も特別な装置は導
入せず、現在のサービスの高速化と安定運用を中
心に機器を選択し、また機器の設定もこの原則に
のっとった。
・ 基幹部分(Centerスイッチ-Frontスイッチ間)は光
ファイバ(50/125μm GIマルチモード光ファイバケー
ブル)を使ってギガビット化
図2
予算請求時の構成図案
・ 基幹部分は光ファイバを2重化し信頼性を向上
・ 中間接続部(Frontスイッチ-Edgeスイッチ間)はUTP
各種議論の末、また次世代高専の情報通信基盤
に必要とされる機能として、次のような条件が設
定された。
ケーブル(CAT-5e)を使ってギガビット化
・ 末端部(Edgeスイッチから情報コンセント間)は従来
のケーブルを使用
・ 重要な装置(仮に停止すると学内のネットワーク全体
に影響が出る装置)は2重化を行い信頼性を確保
・ 動画サーバを導入しSCSの画像を学内全体に配信
・ ATMネットワークは光ファイバ・機器ともにそのまま
残し、緊急用のバックアップ、実験的なネットワーク
の構築に利用
・ 学内の一部に無線LAN(IEEE802.11a)を導入
導入機器
実際に導入した機器を以下に示す。
○ギガビットネットワークシステム
3.3
○各種サーバ・セキュリティシステム
サーバ機を複数導入し、ネットワークサービス
(mail,Web,news,dns,proxy,file 他 ) [4] を 行 う
各種サーバの構築を行った。Unix系サーバのOS
はすべてFreeBSDを使用し、Windows系はWindows
2000 Server を 使 用 し た 。 ま た 必 要 に 応 じ て
Gigabit EtherカードやRAID装置を追加し高速性
ならびに信頼性の確保を行っている。
○無線LANシステム
・ アクセスポイント
Proxim Skyline 802.11a
・ Centerスイッチ Summit5i (2台)
・ 無線LANアクセスコントロールシステム (1台)
・ Frontスイッチ
Summit1i (10台)
・ 無線LAN電源供給システム (2台)
・ Edgeスイッチ
HP ProCurve Switch (27台)
・ 無線LANカード (15台)
・ ケーブルテスタ
フルーク製 DSP-4300 (1台)
・ ネットワーク機器監視用ノートパソコン
1台
これらの機器は、十分なファブリック容量とル
ーティングスループット(これはライン上を
64byteのパケットが最大限通過する場合の1ポー
ト当たりに必要な速度を計算し、最大ポート数を
掛けて基準となる数値を計算)をもち、また2回
線によるスパニングツリーを形成した。今回導入
した機器は、故障が発生した場合の自動切り替え
に非常に高速なプロトコル(ESRP他)を実装して
いるが、今回はより一般的なOSPFを使用すること
により再接続までの時間よりも別の機器との互
換性を優先した。
○動画像配信システム
・ Centerスイッチ
Summit5i (1台)
・ 動画配信ストリーミングサーバ
・ オンデマンド用配信サーバ
・ コンテンツ管理用サーバ
1式
1式
1式
動画像配信システムの目的は主にSCSの受信画
像を学内に配信し、学内のどのパソコンでもSCS
を視聴可能にすることである。配信システムはリ
アルタイム配信を行うストリーミングサーバ、過
去のデータやテープ媒体の映像を電子化して蓄
積するオンデマンドサーバ、そしてそのコンテン
ツを管理するコンテンツ管理サーバの3台から構
成 さ れ る 。 エ ン コー ダ に はViewcast Osprey 500DV 、 デ ー タ ス ト レ ー ジ に は RAID (40GB × 8
台:RAID5)、コンテンツ管理システムとしてVideo
DataBank(MicrosoftSQL Server2000, Coldfusion
を含む)を導入した。実際にSCSを利用した講習会
のストリーミング配信、講演会や専攻科生の学外
での発表風景そしてロボコンの競技風景などを
オンデマンドで配信している。
(8台)
試験的に無線LANシステムを導入し、管理方
法・転送速度・セキュリティの確保などの検証を
行い、将来的に学内全体へ拡充したいと考えてい
る。
○テープバックアップ装置
・ SONY AITテープライブラリLIB-162/A2
これはAIT-2カセット16巻で2.08TBのバックア
ップを行うことができる。また、複数サーバのバ
ックアップを一括して行うことが可能なソフト
ウェアとしてNetVault 6.5を導入した。
4.
あとがき
教育用システムの改善と新キャンパスネット
ワークについて報告を行った。安定運用のノウハ
ウも蓄積が進み、システムに影響を与えるような
大きな故障はNASを除いてなくなった。今後はさ
らに運用経験を重ね、より使いやすく安定したシ
ステムの構築に向けての検討を進めたい。
参
考
文
献
[1]大西・岡田:“津山高専の新しい教育用シス
テムについて”、情報処理教育研究発表会論文
集、20、pp.59-62 (2000-8).
[2] 寺元・日下・大西・岡田:“広範な目的に利
用可能な教育用システムの設定と運用”、情報
処理教育研究発表会論文集、21、pp.178-181
(2001-8).
[3]岡田:“高専における高度情報通信基盤の整
備”、http://www2.tsuyama-ct.ac.jp/okada/
kousen-LAN/ (2001-2).
[4]岡田:“安全性と保守性を考慮したネットワ
ークサーバの更新”、情報処理教育研究発表会
論文集、21、pp.182-185(2001-8).
総合情報センターにおける各種サービスと
セキュリティ対策について
寺元貴幸
岡田
正
日下孝二
(津山工業高等専門学校
大西
淳
最上
勲
総合情報センター)
E-mail: {teramoto, okada, kusaka, a-onishi, mogami}@tsuyama-ct.ac.jp
概要
津山高専総合情報センターでは教育システムのサービスだけでなく,
学内LANを利用して教職員ならびに学生に対して各種情報提供やファイル共有
等のサービスを提供している。これらサービスの内容と利用状況について報告
すると同時に,バックアップ体制やウィルス対策などセキュリティに関する対
策について報告したい。
1.
旧が必要不可欠となっている。
はじめに
津山高専総合情報センターでは教育用電
子計算機システム [1]-[4] をサポートするだけ
ではなく,学内外のネットワークおよび事務
系も含めた教職員への全般的なサービスな
ど,コンピュータ・ネットワークに関する幅
広い支援を行っている。
平成9年に総合情報センターの管理運営方針
について報告を行ったが[5],今回は実際に総合
情報センターが行っている日常のサービスの
概要を報告する。またシステムが故障した場合
に備えるバックアップ体制や,重要な情報が漏
洩しないためのセキュリティ対策等について
述べるとともに,昨年度以降のシステムの変更
点についても紹介する。
Mon
R1
R2
Tue
R3
R1
R2
Wed
R3
R1
R2
Thu
R3
R1
R2
Fri
R3
R1
R2
R3
1
実践英語
画像処理 英語Ⅲ
情報実験 電制実験
アルゴリ
電制基礎
ズム
プログラミ
情報処理 実験実習 情報処理 設計図
ング
2
実践英語
画像処理 英語Ⅲ
情報実験 電制実験
アルゴリ
電制基礎
ズム
電制実験 情報処理
情報処理 設計図
情報実験
実験実習
3
英語Ⅲ
英語Ⅲ
情報処理
プロ言語 実験実習 情報実験 電制実験 情報処理 情報演習 創作英語 設計図
情報実験
4
英語Ⅲ
英語Ⅲ
情報処理
プロ言語 実験実習 情報実験 電制実験 情報処理 情報演習
情報実験
5
英語Ⅲ
英語
情報実験 自動製図
6
英語Ⅲ
英語
情報実験 自動製図
7
創作英語
8
情報処理
特論
機械創作
演習
情報
処理
電気実験
情報実験
課題演習
電気実験
課題演習
プログラミング関連
実験関連
自発的学習課目
語学関連
2. 各種サービス
本章では,津山高専総合情報センターが日常行
っているサービスについて報告する。また、シス
テムの機能追加など変更点について述べる。
2.1 教育用システム
教育用システムは3演習室に合計115台のパソ
コンを導入し教育・研究活動、さらに部活動や公
開講座などで広く利用している。図1に各演習室
の利用状況を示すが、3演習室のうち2演習室は利
用率が90%以上となり、ほぼ上限となっている。
このような状況でも円滑な講義・演習を行うため
には、システムの安定動作と故障からの容易な復
情報
処理
図 1
数値解析 情報処理 実験演習 創作英語
プログラミ
電気実験
ング
情報処理
プログラミ
特論 機械実験 数値解析 情報処理 実験演習 創作英語
ング
電気実験
電盛創作
機械実験 創作演習 電制課題 実験演習
演習
設計製図 電気実験
電盛創作
機械実験 創作演習 電制課題
演習
設計製図
専門科目関連
平成15年度前期
R1: マルチメディア室
R2: 基礎情報演習室
R3: 応用情報演習室
各演習室の利用状況
2.2 教育用システムの変更点
昨年度の発表でシステムの概要ならびに平成
14年8月までの変更点を報告した[3]。前回の報告
以降に追加行われた部分について主にソフトウ
ェアに関して報告する。
・ 有限要素解析ソフト ANSYS ED 6.1(17
ライセンス)
・ Math Type5.0 日本語版(Windows版)ス
クールパック
・ Paint Shop Pro7J アカデミックライセン
ス(115ライセンス)
・ Star Suite 6.0 スクールライセンス
これらのソフトウェアを導入することにより,
専門的な講義や演習に対応できるようになった。
また,昨年度から実施している学生のプリント
アウト枚数の掲示についてもより詳細に行うこ
ととし,15年度からは毎月一度掲示を行っている。
図2にここ1年間における毎月の印刷枚数と利用
者の所属をまとめた。
8000
7000
6000
その他
電子制御工学科
電気電子工学科
情報工学科
機械工学科
実習用ユーザ
印刷枚数
5000
4000
3000
2000
1000
2003年6月
2003年5月
2003年4月
2003年3月
2003年2月
2003年1月
2002年12月
2002年11月
2002年9月
2002年10月
2002年8月
2002年7月
0
年月
図 2
学科別印刷枚数
ネットワーク管理
総合情報センターでは学内LANならびに対外接
続の管理・運営を行っている。学内LANはGigabit
を中心としたネットワークとなっている[3][5][6] 。
平成14年度末に事務用パソコンの更新を行った
がそれに伴い,事務部(庶務,用度など)の各事
務室にアクセスポイントを設置した。以下に追加
した機器を示す。
・ アクセスポイント (7台)
・ 無線LANアクセスコントロール (1台)
・ 無線LANカード (36台)
無線LANはパソコン配置の自由度を増すために
導入したが,無線LANによる常時接続にはいくつ
かの技術的な問題があることが分かり,通常は
100Base-TXを利用し,会議等でノートパソコンを
利用する場合や一時的に接続する場合に無線LAN
を使っている。
津 山 高 専 で は 対 外 接 続 と し て 2 系 統 (SINET,
CCCN)の接続を行っている。本年度,この速度を
以下のように変更した。なおSINET側は岡山県情
報ハイウェイを利用した接続である。
・パワードコム経由 CCCN接続
1.5Mb → 5Mb
2.3
・岡山情報ハイウェイ経由 SINET接続
128kb → 44Mb
2.4 ファイル共有
教官会議の議事録や各種委員会の報告書など,
教職員で共有すべき情報は多い。津山高専では,
これらの情報を平成11年度から順次電子化して
おり,平成12年度からすべての委員会の議事録を
電子化している。これらの書類は教職員のみがア
クセスできるサーバで管理を行い,ネットワーク
で共有を行っている。このサーバに収録されてい
るフォルダ数を以下に示す。
・委員会フォルダ:35個
(過去の委員会フォルダを含む)
・教官用共有フォルダ:12個
(規程集,共済関係,各係フォルダ、庶務専門
職員、総合情報センター他)
・事務官用共有フォルダ:11個
・教官会議フォルダ:5個
(年度毎の資料フォルダと議事録)
・校正用フォルダ:1個
教職員だけでなく学生や公開講座など広く公
開するファイルを共有するためのサーバを別に
用意している。共有を行っているファイルは以下
のようなものである。
・ 教官個人用フォルダ(講義の資料等)
・ 共有フォルダ(CD-ROM,公開講座資料等)
・ 総合情報センターサポートソフト
・ Windows関連のサービスパック等
・ 各種フリーソフト
・ Windows用外字ファイル
・ 各種設定ファイル(メーラ用等)
2.5 ビデオサーバ
SCSの受信画像や学内で開催される各種講演会
のビデオ情報を学内LANに限り視聴できるシステ
ムを準備してる。配信システムはリアルタイム配
信を行うストリーミングサーバ、過去のデータや
テープ媒体の映像を電子化して蓄積するオンデ
マンドサーバ、そしてそのコンテンツを管理する
コンテンツ管理サーバの3台から構成される。現
在以下のような講座やコンテストの映像を合計
50時間程度(約80GB)記録している。
る。以下に多重化することにより,安全性を向上
させている点をまとめる。
・ サーバのディスクにはRAID1, RAID1+0,
カテゴリ
コンテンツ
本数
RAID5を導入しディスクの故障に備える
11本
コンテスト・大会等 ロボットコンテスト
・ スパニングツリーを用いてネットワーク
プログラミングコンテスト
セコム・レスキューロボコン特集
(基幹部)の2重化
2本
各種説明会
大学説明会他
・ 主要スイッチの電源の2重化
4本
教養
エイズ、タバコの害他
・ Windows系サーバの2重化
6本
研究発表会等
中四国専攻科交流会
・ ウィルス駆除用サーバの2重化
ITによる科学能力開発国際会議他
・ 無線LANのアクセスコントロールシステム
11本
一般情報処理教育
講演会
21世紀大学フォーラム
の2重化
先端技術特別講義 他
3.2 バックアップ
5本
その他
語学学習,校歌 他
システムの安全性において、多重化は非常に有
効な手段であるが、全ての装置を多重化すること
2.6 教務・事務用システム
は困難であり、また非効率でもある。そのため、
総合情報センターが直接管理運営を行ってい
データを別の場所もしくは別のメディアへバッ
るのではないが,技術的にサポートしているシス
クアップする方法がある。
テムとして,成績管理を行う教務システムがある。
我々のシステムにおいて非常に重要な情報(サ
教務システムはその機密性から学内LANとはルー
ーバの設定ファイル、ユーザ情報、議事録等の重
タを介して隔離したシステムとなっており,総合
要なドキュメント他)は、ネットワークを利用し
情報センターではこのルータの管理をサポート
て、別のサーバのハードディスクへ自動的にバッ
している。また事務用パソコンのユーザ管理およ
クアップを作成している。これらは主に、ミラー
びバックアップを行うためのサーバの管理を行
リングを行うソフトウェア(Unix:rsync 2.5.6,
っている。
Mirror 2.9,Windows:DirSync Ver. 2.62)を利
さらにサイボウズを利用したスケジュール管
用している。
理や共有物品(公用車,会議室,プロジェクタ他)
ハードディスクへのバックアップは価格、速度、
の管理業務を支援している。
リストアーの容易性など優れた特徴を持つが、非
2.7 その他作業
常に大規模な障害(火災、地震等)でサーバシス
上記以外のサポートとして以下のような作業
テムそのものが破壊されるような場合には対応
や支援を行っている。
できない。そこで、重要なデータやシステム情報
・ パソコンのネットワーク設定
の多くはテープ装置を使ってテープメディアに
・ ウィルス発見時の対応
記録している。我々が利用しているのはSONY AIT
・ 津山高専公式ホームページのメンテナンス
テープライブラリLIB-162/A2にAIT-2カセット16
・ ハードディスクの完全データ消去
巻を装着して2.08TBのバックアップが可能なシ
・ LANケーブル作成
ステムである。また、複数サーバのバックアップ
を一括して行うことが可能なソフトウェアとし
3. セキュリティ対策
てNetVault 6.5を導入し、さらにWindows系のサ
システムを安定に動作させるためには,日頃か
ーバにおいて開いているファイルのバックアッ
ら十分名セキュリティ対策をたてる必要がある。 プを行うアドオンソフトを導入している。
本章では,津山高専が行っているセキュリティ対
3.3 予備装置
策の概要を報告する[7]。
システム障害を迅速に復旧するためには、デー
3.1 多重化
タのバックアップだけでは不十分である。迅速で
システムを安定に動作させるもっとも効率的
容易な障害復旧を可能にするにはハードディス
な方法はシステムを多重化することである。それ
ク装置やサーバ本体の予備を持つ必要がある。
と同時に障害が発生したときに,自動的にバック
我々は以下の対策を実施している。
アップシステムに切り替わる仕組みが必要であ
・ サーバとRAID装置は必ず1個以上の予備
表 1 オンデマンドコンテンツ
ハードディスクを準備
・ サーバの機種を可能な限り統一し、予備の
サーバを2台程度確保する
・ 冷却ファンなどの消耗品を準備する
3.4 ウィルス対策
コンピュータウィルスによる被害はOSのダウ
ンやネットワークシステムの機能停止といった
障害だけでなく、社会的な責任問題の発生など大
きな損害をもたらす。ウィルス対策には多くの方
策があるが、我々は水際でウィルスを発見駆除す
る方法を選択している。現状ウィルスはWindows
系OSを標的としているものが大多数であり、その
進入経路は電子メール、ファイル共有、Web経由、
学生のFDやCD-Rの持ち込みなど多種多様である。
そのためサーバ側の対策では対応できないと考
え、各ユーザのパソコン上でウィルスを発見駆除
するソフトウェアを導入することが最適と考え
た。
パターンファイルの更新を怠ることによる機
能低下を防ぐために、ウィルバスターコーポレー
トエディションを導入することにより、各ユーザ
の作業負担を軽減することとした。
3.5 情報漏洩対策
情報漏洩の対策はシステム的な側面と、ユーザ
自身の問題意識による側面がある。これらを考慮
して、以下のような対策を行っている。
・ パスワードによる保護の推進と啓蒙
・ サーバには最低限のユーザしか登録しない
・ アクセス権設定を厳重に行い、不要な権限
を与えない
・ 平文によるパスワードの通信を避ける
・ 無線LANはマックアドレスフィルタを適応
・ 無線LANに通信をWEPで暗号化
・ スパイウェア駆除ソフト(Ad-aware 6.0)の
導入
3.6 その他
IPアドレスの一元管理は、セキュリティ上重要
である。各教職員のパソコンおよびネットワーク
装置のIPアドレスは基本的に総合情報センター
が一元管理し、IPアドレスも静的な割り振りとし
ている。これによりIPの不正使用をある程度発見
できるようにしている。
これ以外にもOS(特にWindows系)やブラウザ
(IE6)のセキュリティパッチ、サービスパックの
情報は電子メールで教職員に告知し、各ユーザの
パソコン環境を可能な限りセキュアに保つよう
にしている。
ネットワークの設定やセキュリティに関する
情報を冊子「つなかん」として毎年発行している
が,今年度からはWeb上からも閲覧できるように
した。これにより,設定に関する基礎的な質問が
減りセンターの業務を効率化する事ができた。
4.
あとがき
本論文では、津山高専総合情報センターが行っ
ている事務系も含めた教職員への全般的なサー
ビスをはじめ,コンピュータとネットワークの安
定利用について支援状況を報告した。これらのサ
ービスは多くの教職員にとって不可欠な存在に
なってきている。またシステムに事故や故障が発
生した場合に備えるためのバックアップ体制や,
機密情報が漏洩しないためのセキュリティ対策
について報告した。
ここで述べた対策は、それぞれ決して大げさな
ものでもないく、一般的によく言われている対策
方法である。しかし、このような対策を地道に行
うことでが、結果的に高いセキュリティ能力を維
持することに結びつくものである考えている。
参
考
文
献
[1]大西・岡田:“津山高専の新しい教育用システムにつ
いて”、情報処理教育研究発表会論文集、20、pp.59-62
(2000-8).
[2] 寺元・日下・大西・岡田:“広範な目的に利用可能
な教育用システムの設定と運用”、情報処理教育研究発
表会論文集、21、pp.178-181 (2001-8).
[3] 寺元・岡田・日下・大西・最上:“教育用システム
の運用と新キャンパスネットワークの構築”、情報処理
教育研究発表会論文集、22、pp.111-114 (2002-8).
[4] 寺元・岡田・日下・最上:“多目的なコンピュータ
システムの構築と安全な運用II”、平成14年度情報処
理教育研究集会講演論文集、pp.343-345 (2002-10).
[5]岡田・前原・樋口・本元:“津山高専総合情報センタ
ーの運用状況”、第17回(平成9年度)高等専門学校
情報処理教育研究委員会研究発表会(情報処理教育研究
発表会論文集、17、pp.84-87 (1997-8).
[6]岡田:“高専における高度情報通信基盤の整備”、
http://www2.tsuyama-ct.ac.jp/okada/
kousen-LAN/ (2001-2).
[7]岡田:“安全性と保守性を考慮したネットワークサー
バの更新”、情報処理教育研究発表会論文集、21、
pp.182-185(2001-8).
公式 Web サイトの長期的視点に立った管理運用
岡田
正
寺元貴幸
(津山工業高等専門学校
日下孝二
最上
勲
総合情報センター)
E-mail: {okada, teramoto, kusaka, mogami}@tsuyama-ct.ac.jp
概要
津山高専の公式 Web サイトは、信頼感のある情報提供を基本方針
にして管理し運用している。このためには、誰に向けてどんな情報を提供す
るか、その情報の質をどう維持するか、どのようにすれば効率的に管理でき
るかなど、多くのことを整備する必要がある。これらの課題について、7年
間の実績をもとに紹介する。
1.はじめに
セスしていただいた方に信頼感のある情報を提
WWW ホームページによる情報提供は、多く
供しなければならない。信頼感のある情報とい
の組織で重要な役割を担っている。良好に管理
う言う場合、必要なときに求める情報が見つか
されていれば、費用をかけずに個別に適切な情
り、得られた情報が適切で間違いないと思える
報を提供できる。しかし、間違ったり不適切な
ことが重要であると考える。こうした Web サイ
情報を公開すると、一気に信頼を失うことにな
る。Web サイトの管理運用においては、どんな
トを実現するために、情報の収集から公開まで
の各段階で、次のような方針で運用している。
情報をどのように提供するかについて、長期的
(1)組織全体の Web サイトという意識
で総合的な視点から取り組まなければならない。
誰が、どのような目的で、どんな情報を求
本報告では、津山高専の公式 Web サイトの管
めるかが不明な Web ページでは、公開可能な
理運用について、7年間の実績をもとに総合的
情報をバランスよく提供し、常に最新の状態
に報告する。アクセスしていただいた方に信頼
に保つことが必要である。津山高専では、
「情
感ある情報を提供することを基本に、情報の収
報化委員会」[1]により何を公開するかの基本
集から加工・公開までを一貫した方針で管理し
方針を定め、各部門から公開すべき情報を随
運用してきた。まずは、各部門から情報の提供
時提供してもらうという体制をとっている。
を受けながら、公開する情報の質を保証し、継
これによって、組織全体の Web サイトである
続的に長期間安定に維持するため、基本方針を
という意識を作っている。
明確にし周知する必要がある。さらに、複数の
管理者が分担して処理でき、可能な限り容易に
(2)情報の質の保証と統一した提供
情報を公開するとき、質の高い情報を提供
管理できなければならない。一方で、個人の情
することはもとより、同質の情報は漏れなく
報を必要なら確認をとりながら、比較的自由に
公開されていなければならない。例えば、学
公開する仕組みも必要である。こうした、Web
科に関する情報で、ある学科は公開されてい
サイト管理の実例を紹介したい。
るが、他の学科に見つからないと言ったこと
がないように管理すべきである。これを実現
2.公式 Web サイト運用管理の基本方針
公式ホームページとして公開するには、アク
できるよう、情報収集時に注意を払っている。
(3)継続性のある情報の提供
一度公開した情報は、継続的に提供し続け
るべきである。誰かが再び必要になったとき、
3.コンテンツと管理方法
無くなっているというのでは信頼感を損なう。
上で述べたような信頼感のある情報を提供し
津山高専の Web サイトでは、過去に公開した
ようとしたとき、少数の管理者で日常的に運用
コンテンツは原則すべて残すように管理して
可能でなければ破綻するであろう。また、すべ
いる。
て公式な情報だけではないので、個人の責任で
(4)正しい文法と各ページの様式統一
公開する情報については、管理者の関与なしで
情報を正確に伝えるためには、正しい
簡単に公開できなければならない。一般に、管
HTML 文法で書かれていて、使用するブラウ
理を容易にしようとすると、使いやすさが損な
ザ等の環境に依存しないよう各ページを構成
すべきである。ワープロ等で自動生成した
われる。このトレードオフに留意しながら、コ
ンテンツ管理を行っている。
Web ページは公開に適さないので、すべての
まず津山高専の Web サーバとコンテンツの
ページはエディタによる直接編集で作成して
流れを説明しておく。津山高専はマルチホーム
いる。また、各ページの様式を統一しており、
接続をしており[2]、2台の学外 Web サーバを
どのページからも一つ上とトップページとに
設置している。これらのサーバに、学内 Web
戻れるようになっているし、いつ作られたも
サーバの一部にある公開用(β版)コンテンツ
のかもわかるようになっている。
を管理者が転送する。β版領域への転送は、デ
(5)要望の受け入れ
ータサーバ上で編集した公式コンテンツを管理
質問や要望を受け入れて、双方向の情報交
者が行うか、許可を得た一般ユーザが転送した
換が行えるよう、電子メールアドレスを入れ
公開用(個人)領域のコンテンツを管理者が同
る必要がある。各場所の目次ページにリンク
期処理するかであり、学外公開前にβ版および
付きで紹介するとともに、すべてのページに
ソースレベルで埋め込んでいる。このアドレ
個人の2つの段階で内容の確認が可能である。
この関係を図1に示す。
スに外部から連絡のあった場合には、管理者
から適切な担当者に転送し、対応をお願いし
ている。
インターネット
Webサーバ
Webサーバ
(学外メイン)
(学外ミラー)
一般ユーザ
同期ftp
管理者
転送ftp
公開コンテンツ
直接編集
(編集用)
同期ftp
管理者ftp
データサーバ
(Windows2000 Server)
公開用
公開用
(β版)
(個人)
学内専用
Webサーバ(学内)
図1
津山高専 Web コンテンツの管理状況
このように、公的な情報と個人管理の情報を
・全文検索用インデックス
別々に処理できるようにして、情報の質を保証
学内サーバのコンテンツを学外に転送して
しながらも個人の責任で公開できるような仕組
いるので、学内サーバ上で作成したインデッ
みとしている。学外で公開されるコンテンツは、
クスを学外サーバに転送すればよい。この処
最終段階で管理者による転送が必要で、問題の
理を自動化しており、現在は週に2回実行し
ある内容が公開されることはない。
ている。
図1のような少し複雑な仕組みのため、管理
これまで述べたような処理を安定に行うには、
の手間を省く工夫が必要である。コンテンツの
作成・更新は、複数の管理者が Windows 環境の
サーバの安定運用が前提である。サーバ管理の
技術面やセキュリティ対策に関しては別に報告
データサーバ上で行う。残している過去のペー
しているので[3, 4]、そちらを参照願いたい。
ジを流用したり、各部門から電子データを提供
してもらうことで、比較的短時間で処理可能で
ある。このとき、日付とバージョン管理を行い、
いつ処理されたかがわかるようにしている。
4.運用状況と課題
津山高専の公式 Web サイトは 1996 年7月 25
日に公開され、原稿執筆時点でほぼ7年経過し
次に、自動化できる処理は極力自動処理を行
たことになる。この間、各種の情報を提供する
っている。現在、自動化しているのは、次の処
とともに、公開した情報を蓄積してきた。運用
理である。
状況を各種のデータから紹介する。
・学外公開コンテンツの同期
・ページ数とコンテンツ容量
学内サーバ上の公開用(β版)コンテンツ
7月 15 日現在のコンテンツ数は 24,826 で
を、2台の学外サーバに同期させるため、
mirror による処理[2]を自動実行させる。この
あり、このうち HTML ファイル(Web ページ)
が約 9,000 となっている。このコンテンツを
とき、特定ユーザの読み出し専用モードで転
納めたディスク容量は 477MB であり、過去
送しセキュリティを高めるとともに、ログフ
のコンテンツを残したとしても、現在のディ
ァイルのみは書き込み可となるスクリプトを
スク容量からすればまったく問題にならない。
動かしている。
・更新回数
現在は改竄の確認を兼ねて、6時間ごとに
情報を最新に保つためには適切な更新が必
転送させている。実行のたびに電子メールに
要である。公開後 2,550 日経って 725 回の更
よる通知があるので、管理者間で更新された
新が行われており、3.5 日に1回(1週間に
ファイルの確認ができる。また、合格発表の
2回)は新しい情報が提供されている。一度
ような所定時刻に公開する処理にも便利であ
に更新されるページは多くの場合複数で、体
る。
育大会関連や個人ページのように更新回数に
・個人公開コンテンツの公開用(β版)への統
合
許可された個人(学生を含む)が、各個人
含まれていないものもあり、常に最新の情報
を提供しているといえよう。
・アクセス数
用領域に転送したコンテンツを、公式ページ
アクセスカウンタを設けた以降の、1ヶ月
の所定位置に統合しなければならない。現在
単位のトップページのアクセス数を図2に示
は1日に1度自動で処理しているが、問題が
す。
ある場合は自動処理を止めたり、至急に公開
したいとの要望があれば手動で処理するとい
った対応をしている。
る力が弱いとの欠点にもつながる。必要な情報
公式ホームページアクセス数
がどこにあるかわかりにくいとの批判を含めて、
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
これまでの方針を維持しながら、分かりやすく
訴える力を持ったページ作りを行う必要がある。
最後に、管理面では認証部分の確認方法に問
題がある。サーバ環境に依存した設定を行う必
図2
2003年7月
2003年1月
2002年7月
2002年1月
2001年7月
2001年1月
2000年7月
2000年1月
1999年7月
1999年1月
1998年7月
1998年1月
要があり、個人ページの認証動作を学内で確認
トップページアクセス数の推移
1,000 件程度だったアクセス数が、現在は
7,000 件に達するまでに増加している。従来
は合格発表の月にアクセスが急増していたが、
現在は平均してアクセスされるようになって
いる。細かな分析は行っていないものの、ト
ップページを経ないでのアクセスも多く、
2003 年6月に約 30 万コンテンツのアクセス
があった。
上で報告したデータに見られるように、公式
Web サイトは津山高専の情報提供メディアと
して、十分な役目を果たしていると考えている。
事実、中学生や高校生から進路に関する相談が
あったり、求人や研究に関する連絡も入ってお
できないため、管理者が関与しなければならな
い。
5.あとがき
津山高専の公式 Web サイトについて、情報公
開の基本的な考え方から、実際のコンテンツの
流れと運用結果までを報告した。WWW ホーム
ページによる情報提供が重要になるなかで、一
貫した管理運用により、信頼感のある情報提供
を実現できている考える。特に、情報の質をそ
ろえて同質のコンテンツをすべて得られる点や、
過去の情報が残っていていつでも参照できる点
は、外部から評価していただいている。
情報提供の方法が多様化・高度化するなかで、
Web サイトと他のメディアとの連携と使い分
けを行いながら、さらに有効な情報提供メディ
アとなるよう、検討を進め実現していきたい。
り、津山高専の顔として機能している。
ただ、幾つかの課題もある。組織全体の Web
サイトとしての意識を持ち、各部門から適切な
情報を提供していただかなくてはならない。し
かし、部門の長や担当者の交替で、その部門か
らの情報更新が遅れることがある。この場合は、
総合情報センター担当者から連絡をとり、情報
の提供を促している。
最近は個人ページの公開が増え、アクセスし
た人にとって公式ページとの見分けが難しくな
っている。情報の質を統一するのが難しくなっ
ているので、何らかの対策をとる必要がある。
部門間での調整を誰が行うか、公式見解と個人
意見をどう知らせるかなどについて検討してい
る。
技術的に正しく環境に依存しないページ作り
を行っているが、このことは見栄えが劣り訴え
謝
辞
公式 Web サイトの管理運用には、津山高専の
すべての部門と個人からの協力が必要である。
日頃から協力いただいているこれら多くの皆さ
まに、この場を借りてお礼申し上げます。
参
考
文
献
[1]岡田・本元:“新しい情報通信環境と管理組
織”、情報処理教育研究発表会論文集 16
(1996-8) 62-65.
[2]岡田:“安全で教育的な情報通信基盤の構築”、
論文集「高専教育」、24、pp.259-264 (2001-3).
[3]岡田:“安全性と保守性を考慮したネットワ
ークサーバの更新”、情報処理教育研究発表会
論文集 21 (2001-8) 182-185.
[4]岡田:“安全性と保守性を考慮したネットワ
ークサーバの更新Ⅱ”、情報処理教育研究発表
会論文集 22 (2002-8-27) 15-18.
レゴマインドストームとブレッドボードを組み合わせた
メカトロニクス教材と創造演習教育
Teaching Material for Mechatronics Education using LEGO Mindstorms and Breadboard
○吉富 秀樹※1 仲井 正明※2
Hideki YOSHITOMI
Masaaki NAKAI
キーワード:メカトロニクス,創造教育,レゴマインドストーム
Keywords: Mechatronics, Creative Education, LEGO Mindstorms
1.はじめに
メカトロニクスは機械工学や電気工学,情報工学な
ど多岐の分野にまたがる複合的技術であり,従来から
メカトロニクスを初心者にどのように教えるべきかと
いう検討が行われてきた 1)。また,欧米の追従の時代
は終わり,新しい時代を切り開いていく創造力豊かな
人材を育成する教育が求められており,近年は高等教
育機関においても,もの作り教育や創造性教育などの
いわゆる自発的課題学習が授業に取り入れられるよう
になった。このような背景において,著者は,津山高
専機械工学科の学生に対してメカトロニクス関係の教
育に携わっており,効果的な教育手法についても検討
してきた 2)。その中で,レゴマインドストーム 3)のコ
ントローラの部分をブレッドボード(試作回路基板)
で置き換え,これに学生がセンサやトランジスタ回路
を組み込むことで作動するライントレースロボット教
材を開発した。このロボット教材を津山高専機械工学
科第3学年の自発的課題学習科目である“機械創造演
習Ⅱ”に平成14年度より取り入れた。以来,本年度
で3年目となり,当初試行錯誤であった教育方法もほ
ぼ確立してきたので,本報では考案したロボット教材
や授業の内容について報告する。
図1
レゴマインドストームの部品
プレート,ビーム,シャフト,ブッシュ,平歯車,傘
歯車,滑車,ペグ,車輪など約 700 個のパーツが含ま
れている。これらを組み合わせることで,歯車機構や
リンク機構などのさまざまな機構が構築できるように
なっている。また,ブロックピースで組み立てるため
分解・組立が容易であり,各自のアイデアに基づいて
さまざま形に再構築できるという特徴がある。最近は,
大学等においてもレゴマインドストームを理工系教育
に取り入れている学校が増えている 4,5)。
3.高専教育への適用において工夫した点
2.レゴマインドストーム
レゴマインドストームは,ブロックで有名なレゴ社
が発売しているマイコン制御のロボットシリーズの名
称である。その中で,RIS(Robotics Invention System)
と呼ばれている製品は,1998 年にレゴ社とマサチュー
セッツ工科大学によって共同開発されたもので,RCX
(Robotics Command System)と呼ばれるマイコン制御
のコントローラによってロボットを自律的に動かすこ
とができる。RIS 基本セットには,
図1に示すように,
*1 津山工業高等専門学校機械工学科
*2 津山工業高等専門学校教育研究支援センター
自発的課題学習は,与えられた課題を解決する作業
を通して問題解決能力を身に付けるとともに,学習に
対するモチベーションを高めるという意義もある。そ
のため,課題としては,学生が興味を持てるもので,
適度な難易度を持ち,問題を解決したときに努力が報
われる達成感があるものが望ましい。そのような面か
ら,著者はレゴマインドストームを用いたロボット作
りに注目した。
ところで,レゴは理工系への動機付けや創造性の発
揮という面では優れた可能性を持つ教材であるが,高
専でのメカトロニクス教育への適用を考えると,RCX
というコントローラがブラックボックスである点など
から一工夫必要と思われた。そこで,制御系としては,
RCX を使わず,ブレッドボード上にトランジスタ回路
を組むことでモータを制御することとした。この回路
の製作を通して,メカトロニクスの電気的部分の基礎
的技術を体験できる。そして,レゴ本来の特徴である
再構築が容易である点を活かして,本体の機構部をレ
ゴブロックで組み立てることとした。この機構部を製
作することで,メカトロニクスの機械的部分が体験で
きよう。つまり,レゴとブレッドボードを組み合わせ
ることで,メカトロニクスの機械と電気の複合的技術
を垣間見てほしいと期待したしだいである。
図2
授業風景
4.授業内容
4.1 授業科目
冒頭で記述したように,この教材を使っている授業
科目は,高専の機械工学科第3学年に配置された“機
械創造演習Ⅱ”という自発的課題学習科目である。こ
の創造演習には,メカトロニクス,力学,熱工学の3
つの演習テーマがあり,クラスを3グループに分け3
つのテーマを1年間で順にまわるようになっている。
したがって,1グループの学生数は 14 名前後であり,
一つのテーマに9週をかけている。この中のメカトロ
ニクスのテーマに本教材を適用している。
4.2 製作する制御回路
ブレッドボード上に製作する制御回路は,三端子レ
ギュレータやトランジスタ,ミニリレーなどを用いた
簡単な電気回路であり,光センサ信号によってレゴの
2つのモータをオンオフするようにしている。
4.3 授業スケジュール
授業スケジュールを表1に示す。機械工学科の学生
はどうしても電気回路に苦手意識があるため,ブレッ
ドボードの回路製作に3週間をかけ,毎週少しずつ進
めている。回路が完成すると,レゴのブロックを使っ
てロボットの駆動機構を製作する作業に取り掛かる。
この場合,まずレゴの説明書に載っているライントレ
表1
週
授業スケジュール
内 容
1週目
ガイダンス,電子回路講義
2週目
ブレッドボードによる回路製作
3週目
ブレッドボードによる回路製作
4週目
ブレッドボードによる回路製作
5週目
LEGO基本モデル製作
6週目
走行テスト,改良
7週目
走行テスト,改良
8週目
タイムトライアル
9週目
発表会,アンケート,機材整理
図3 製作したロボットの一例
ースロボットの基本モデルを作り,その後,走行テス
トをしながら各自のアイデアで改良するという方法を
採っている。最後に,タイムトライアルコンテストや
発表会を行なう。学生が製作・調整に取り組んでいる
様子を図2に,製作したロボットの一例を図3にそれ
ぞれ示す。図3のロボットの上部に載っているのがブ
レッドボードを用いた制御回路である。
5. 学生の反応およびまとめ
機械工学科の学生は電気回路に苦手意識があるよう
で,最初はブレッドボード上に製作する制御回路を難
しく感じるようだが,授業をゆっくり進めることでし
だいに理解できるようになる。この授業では学生一人
ひとりにきめ細かな指導をしており,最後になっても
ロボットを完成できない学生は今のところいない。大
多数の学生は,授業アンケートで「最初は難しく感じ
たが,段々と理解でき,楽しむことができた」と書い
ており,この教育手法は機械系学生へのメカトロニク
スの実践的指導法として有益であると思う次第である。
参考文献
1)特集 ロボットと教育,日本ロボット学会誌,Vol.16,No.4,(1998)
2)吉富秀樹:JSME RoboMec'01, 2A1-A3,(2001)
3)http://mindstorms.lego.com/japan/
4)鈴木,他2名:JSME RoboMec'00, 2P2-83-115,(2000)
5)稲垣,他2名:JSME RoboMec'01, 2P1-A2,(2001)
地域協力の一環として
「元気君神社の製作協力」
技術長 鷲田 廣行
1.元気君神社製作の背景
平成10年10月に岡山県を襲った台風10号により、津山市も大洪水による甚大な被害をこうむっ
たことは記憶に新しいところです。この台風による大洪水によって市内の牧場から一頭の子牛が濁流に
のまれ瀬戸内海まで流されました。
奇跡的にもその子牛は怪我一つも無く無事救出され、勝央町の岡山ファーマーズ・マーケット・ノー
スビレッジ(当時岡山県運営)に寄贈され元気に育ってきました。この奇跡にも近い生還をたたえ、名
前を「元気君」と命名され、地域の人達にかわいがられてきました。
平成12年ノースビレッジより、「元気君生還2周年を記念して何かイベントを企画しようと考えて
いるのですがよいアイディアなどないでしょうか」と、当時私が所属していた電子制御工学科に対し相
談が持ち込まれました。製作期間が2週間程度ということもあり充分満足のいくものとはならないかも
しれないけれども、引き受けることにしました。
この企画を地域協力の一環と共に学生に対する教育研究活動の一環として捉え、里吉・赤木両研究室
(学生:岡本和樹、居森博和、津田和俊、池田友昭、芦田秀一)と技術指導技官・鷲田によるプロジェ
クトチームを結成し、内容の検討を行いました。最終的にタイムリミットとの関係から以下のような内
容とすることに決定し、名前を元気君神社としました。
写真1 現在の元気君
2.元気君神社の概要
1)賽銭箱に電子回路を組み込み、お金が投入
されたら中から声がでるようにする。
写真2 元気君神社入り口
3.バージョンアップの要請
平成15年4月初旬にノースビレッジより
再び里吉・鷲田に対し要請にこられました。
2)お社に電子回路と駆動装置を組み込み参拝
用件としては「ゴールデンウイークを目途に元
者が拍手を打つと「モー」と言ってお社の
気君神社のバージョンアップをしたいのでア
扉が開きしばらくの後扉が閉まるように
イディアを含め技術援助(製作の含め)をして
する。
欲しい」とのことでした。
以上のパフォーマンスを行う賽銭箱とお社
里吉先生はロボコン関係などで大変忙しく
を製作することとし、メンバーと検討を行い、
しておられたこともあり、鷲田が主に対応し、
紆余曲折をえながらも設計・製作を終え、期限
話し合いを持ち、以下のような内容のものが実
内にノースビレッジに納入することが出来ま
現可能では、と協力を約束し、4月27日(日)
した。
現地取り付け・動作確認を完了しました。
4)お社のパフォーマンス動作をスムーズにし元
1)来場者が入場したときに一定時間雅楽をな
気君の声を大きくする。
がす。
バージョンアップ後、現在も順調に動作をし、
2)中央付近に到達したところで奥のお社上部
訪れた方々に喜んでいただいていると伺って
の和紙で作った小さなぼんぼりに灯を燈す。
います。
3)お社正面に到達したところでお社両サイド
のぼんぼりに灯を燈す。
4.お賽銭箱の設計仕様と回路図
まず、写真3のようなお賽銭箱に対し、お賽銭が投入されたことをどのような方式でセンスするかを
メンバーで検討した結果、発光ダイオードとフォトトランジスタでフォトセンサーを構成しそれをお賽
銭箱の中に約1cm 間隔で32セット組み込むこととした。
回路図1では4個のフォトセンサー使用例について示し、74HC4078 からの出力をワンショットマル
チバイブレータで、適当な周期のパルスを得それを音声発生装置のトリガに利用した。
+5 V
1
170
7
70
0Ω
D
kΩ
17
1
17
70
0Ω
①Tr
D
47
4
47
7
47
4
47
7
kΩ
1
170
7
70
0Ω
② Tr
47
4
47
7
D
kΩ
17
1
17
70
0Ω
③ Tr
D
47
47
4
7
④
kΩ
Tr
+5 V
74HC4078
R
IC1
6
写真3 お賽銭箱
1
2
12
9
13
10
IC3
IC3
IC3
IC3
5
74HC02
3
4
8
賽銭投入
信号出力
11
C
図1 お賽銭投入センサ回路例
5.お社パホーマンス動作順序
お社ついては以下のようなパフォーマンス動作を行わせることとし、試行錯誤の結果、図2のような
回路に決定した。
1)お社の扉全閉、リセット・セット状態。拍手待ち受け中。リミットスイッチLS1ON
2)参拝者から柏手あり、音センサにより信号出力を得る。
①FF1セット用信号:モーター駆動用信号を出力しモーターを正回転させ扉を徐々に開く。
②音声出力回路駆動用信号として利用:音声パフォーマンス開始
3)モーター正回転・扉全開。全開検出スイッチLS2 ON :FF2セット、モーター停止
①モーター停止、同時にモーター逆転モードに切り替え。一定時間停止
②ワンショット・マルチにより一定期間の信号を得、その間2度目の音声パフォーマンス開始
4)モーター逆転・扉全閉。リミットスイッチLS1ON
①FF1、FF2リセット、すべての動作が終了。モーター停止。
②1)初期状態・スタンバイに戻る
6.完成までの問題点と改善策
リミットスイッチLS1がリセットスイッチとなっており、音センサからの信号によりモーターが回転
し、扉が開き始めた時、予想されたことではあるが、リミットスイッチのチャタリングによりリセット
がかかり運転を停止することが多々あった。これは扉全開からモーターが逆転し扉を閉める動作に入っ
たときも同様の誤動作を起こした。このチャタリングを防止するために色々なチャタリング防止の対策
を行なったが、最終的にはこの回路に示した、ワンショット・マルチバイブレータ回路の挿入が効果的
であった。学生達もチャタリングに関して知識としては知っていても、ケースバイケースにおける対策
等、学ぶ点も多かったのではないかと思う。
終わりに
この度、地域協力の一環として、元気君神社の製作に関り、回路的には難しいものではないが、学生
を指導し、初期の目標を実現する回路を設計し、数種類のゲートICと数種類のディスクリート部品の
使用により、限られた時間の中で、賽銭箱、お社共、要求をほぼ満足する物を製作することが出来、現
在も稼動中であることを報告致します。また、このレプリカが現在電子制御工学科に作られていること
を付記しておきます。
モータ駆動用電源 +
モータ回転確認用
リレー
LED
M1
D3
+5 V
+5 V
①
8
9
ワンショト
マルチ
13
IC 4
S2
11
4
②
+5 V
+5 V
R2
③ 扉全閉検出
リミットスイッチ
10 O
IC 4
IC 4
5
3
FET2
D1
10 O
6
47k O
Q2
47k O
1
3
2
+5 V
4.7 kΩ
4.7 kΩ
9
LS2
LS1
5
4
FF2
IC 4
10
+5 V
1
2
4.7 kΩ
扉全開検出用
リミットスイッチ
Q2
4.7 kΩ
IC174HC02
FET1
モータ回転信号
12
10
音センサ
FF1
4.7 kΩ
4.7 kΩ
ワンショト
マルチ
8
S3
Q3
R3
Q3
モータ逆転信号
9
10
11
12
11
IC2 74HC02
+5 V
13
13
モータ停止信号
タイマとして利用
100k O
5
4.7 kΩ
外部スピ ーカーへ
100k O
12
手動リセット
スイッ チ
6
2
4
47µF
1
3
IC3 74HC02
11
13
12
8
10
PLAY
9
図2 お社パフォーマンス回路
ボイスレコーダ ー
エレキット PU-2302
写真4 元気君神社お社 動作前
写真5 元気君神社お社 動作後
微小表面材料特性評価システムについて
第1技術班
1.背景
川村
純司
等を求めることができる。
今年度から津山高専に地域共同テクノ
センタ-が開設され、それに伴い多くの
機器が導入された。今回は講習会や開所
式で携わった微小表面材料特性評価シス
3.試験方法
微小表面材料特性評価システムの操作
を図1に示す。
テムについて報告する。
2.特徴
試験材料を試料台にのせる
材料の機械的特性の評価試験方法とし
ては、さまざまな方法が挙げられる。硬
さ試験方法は、簡便で準破壊的な材料の
試験条件を設定する
試験方法として広くもちいられ、中でも
(PC で操作)
微小領域における試験方法としては、微
小硬さ試験方法が一般的に知られている。
微小硬さ試験方法は、圧子押し込み後に
資料表面に形成されるくぼみの大きさを
測定位置の決定
(PC で操作)
試験機に装備された光学顕微鏡で観察し、
くぼみの長さから硬さ値を求める。しか
しこの方法では、μmオーダーの硬さ試
フォーカスを合わせる
験を行う時、くぼみの測定の精度が十分
(PC で操作)
に得られない。
微小表面材料特性評価システムでは、
この不具合を補うために圧子駆動部に変
測定開始
位計を装備し、圧子の押し込み深さを測
・試料台移動
定できる構造となっている。また、圧子
・圧子押し込み
押し込み過程での負荷する試験力と押し
込み深さを連続的に測定し、押し込み深
さ-試験力グラフを表示することができ
試験結果の表示
る。この曲線からは、塑性、弾性、クリ
ープ変位量の他、金属材料のヤング率と
関連性をもつとされている押し込み係数
図1.操作の流れ
各種の設定が PC 上で行えるため、測定位
置やフォーカス合わせなどの操作が簡単
4.まとめ
微小試験機は精密機器が多く使われて
になった。測定や解析は自動で行うので、
いるので取扱いには注意が必要だが、今
各種の設定後測定を開始すると結果は自
回の微小表面材料特性評価システムは操
動的に得られる。また、測定位置は複数
作が簡単になったので扱いやすくなって
選択でき、それに対応して試験条件の変
いる。また、材料特性のデータが一度に
更もできるので、一度に多くの試験結果
多く得られるので、今後の微小硬さ試験
が得られる。
に多く活用されると思う。
微小表面材料特性評価システム
講習会の様子
銀天街アーケイド上に太陽光発電装置を設置し
自然エネルギーを有効に利用する考察
平成15年8月28日
電気電子工学科
教授 田辺
茂
教育研究支援センター 第2班 板谷 憲治
Ⅰ.前書き
近年地球を取り巻く環境が急速に悪化し、人類に取って益々厳しい状況となっています。その中で、二
酸化炭素による温暖化の現象は、海水面の上昇を始め記録的な高温、小雨、局地的大雨、そしてサバク化
等様々な異変に直面しています。このような原因の1つとして、京都議定書に見られる様に、二酸化炭素
(CO2)問題が大きくクローズアップされています。
日本はエネルギー小国で、ほとんどのエネルギー源を外国からの輸入でまかなっています。その中でも
電気エネルギーを作るために多量の石油、石炭、天然ガスを消費し、多くの二酸化炭素を排出しています。
私たち市民レベルでも環境浄化に取り組まなければ、との意識が強くなっています。
銀天街商店街では、照明、街路灯に年間約4万[KWh]弱の電力を消費しています。この電力をすべて
太陽光発電でまかなうことが出来れば、一年間で石油削減量約一万リットル、二酸化炭素削減量7400
[Kg-C/年]、森林面積換算では、実に約80、000[㎡]となる事がわかりました。
このことから、商店街のアーケイド上に太陽光発電装置を設置し、自然エネルギーを有効利用出来れば、
多くの市民に環境問題を広くアピールし、二酸化炭素の削減に寄与出来ることとなります。
又、商店街照明の昼間の電気使用量が全使用電力の90%と夜間より多く、太陽光発電装置はその性質
上夜間は発電しないので、発生電力はより有効に使用されます。
中国電力でも自然エネルギーの利用義務が課されていて、その利用義務量は15年度 1.6億[KWh]
を必要とし、積極的に自然エネルギによる発生電力を買い上げています。津山営業所管内でも太陽光発電
設備は300ケ所に設置されています。
また、岡山県でも太陽光発電の導入が近年急速に進み、5年間で30倍近くに拡大しています。産業用
(出力10KW 以上)も2006年度に目指していた目標を近く達成される見込みです。
Ⅱ. 銀天街の電灯使用の現状
(1) 現在の使用状況
月平均電気使用量
約3200[KWh]
照明時間帯
蛍光灯
A.M 9:30~PM 7:00
(蛍光灯本数 約210本 看板灯45本含む)
常夜灯
P.M
6:30~A.M 9:30
(40W 17基)
これより表1が得られる
電気使用量
常夜灯
680W
表
1日電気使用量 1月電気使用量 1年間電気使用量
306KW
10.2KWh
h
照明用 10.15 K
W
計
1
96.5KWh
3672KW
h
2894KW
h
10.83KW 106.7KWh
34728KW
h
3200KW
h
38400KW
h
(2) アーケイド上に設置出来る最大電力量
銀天街アーケイド上にソーラパネルを設置するとアーケイドの天井面積以上の物は設置できないので最
大発生電力はアーケイドの面積で得られる。
アーケイド幅6.4m 長さ約80mであるが,アーケイド上の両側に通路が有り,実質幅4m長さ70m
とすると
4m×70m=280㎡となる。
発電効率を太陽光発電パネル製造メ-カー表示の13%とすると
最大発生電気量は理論上280㎡×1KW×0.13=31.2KW となる。
(注 太陽電池パネルを風の影響を最小とするため重ねない場合)
これらより太陽光発電設備容量は最大30KW までの範囲で選定する。
(注) 消防法をクリヤー出来るものとして
Ⅲ. 太陽光発電装置の検討
1.目的
アーケイド照明(日中)を太陽電池で供給したときの、太陽電池量と発生発電量、中国電力からの買電
量、中国電力への売電量を、太陽電池容量をパラメータにして見積もる
2.前提条件
2.1 負荷
毎日9:30~19:00点灯 消費電力:3200KWh で一定(内訳昼間2894、常夜灯306)
2.2発電能力
津山高専の41KW 設備をベースに比例換算する。
(津山市 沼 南向き傾斜20度)
2月
1月
3月
4月
5月
6月
7月
傾斜面日射量
[KWh/㎡・日 2.80 3.44 4.24 4.70 5.02 4.47 4.42
]
1ケ月発電量
[KWh/月] 260 289 394 423 467 402 411
8
1
8月
9月
4
3
0
4
10月
11月
12月
傾斜面日射量
[KWh/㎡・日 4.84 4.12 3.75 2.02 2.59
]
1ケ月発電量
[KWh/月] 450 270 349 271 241
0
2.3電気料金
4
0
5
0
平
均
3.95
3608
3
(2003年7月現在)
基本料金
1KVA
従量電灯B
370.0
0
120KWh
1KWh
電力量料金
14.9
8
120KWh超過300KWhまで
1KWh
300KWh超過
1KWh
20.4
0
22.2
4
買電金額と売電金額は同額とする。・・・中国電力へ確認済み。
Ⅳ.結果
太陽光発電の設置なしの場合、年間電気料金は80万7千円であるのに対し太陽光発電設置による年間
節約金額は下表のように予想される。
年間買電量
年間電気料金
太陽電池発電容量 年間発電量
[KWh]
[円]
[KWh]
Ⅴ.
節約金額
[円]
5KW
5、413
29、315 688、382 134、808
10KW
10、826
23、903 566、003 255、187
15KW
16、238
18、490 445、623 375、567
20KW
21、651
13、077 325、244 495、948
25KW
27、064
7、664 206、952 614.238
30KW
32、477
2、252
98、015 722、175
太陽光発電装置設置の補助制度
岡山県でも太陽光発電に取り組み、補助制度を取り入れています。又、玉野市、新見市、邑久町、清音
村、中央町も独自の補助制度を設けています。津山市においても他市町村と同じく補助制度を取り入れ、
自然エネルギーの利用を進めるる時期に来ていると思います。
太陽光発電装置設置の補助制度
実施主体
産
業
用
住
宅
用
国
県
補
助
率
国
玉野市
新見市
邑久町
費用の2分の1~3分の1
国補助(費用の3分の)に費用の6分
の1を上乗せ
1KWあたり9万円程度
国補助額の2分の1を上乗せ
国補助額の4分の1を上乗せ
国補助に1KWあたり5万円を上乗せ
清音村
国補助に1KWあたり5万円を上乗せ
中央町
国補助に1KWあたり4万円を上乗せ
太陽光発電設備の大まかな試算
まず津山高専における太陽光発電設備(41KWh)が設置された1998年8月より2003年6月までの
46ヶ月間の総発電量は150576KWh で1ヶ月平均3273.4KWh となる。1年間総発電量は 3
9834.8KWh となり
発生電力比 =
年間平均発生電力
設備要領
で求められるので
9.72となる。
これは全国平均の11.34と比べると8.57%と低い数値となっている。
アーケイド上にシャープの10KW 発電設備を設置すると会社の説明では年間11102KWh となつてい
るが津山高専の発電効率を当てはめると年間発電量は 9352.6KWh となる。
電力会社へすべて売却すると中国電力への買電単価は 25.23円なので
235970円となる
シャープの11102KWh を当てはめると
11102KWh×25.23円=280103円となる
(中国電力への買電単価 25.23円)
現在の商店街の照明設備の電気使用量の内訳
常夜灯 15時間点灯すると
40W×17基×15時間=10200Wh
1ケ月 30日として
10.2KW×30日=306KWh
1ケ月の電気使用量が約3200KWh なので照明用電気使用量は
3200KWh-306KWh=2894KWh となる
1日あたり 2894KWh÷30=96.5KWh
照明用電気使用時間が9時間30分なので照明用電気使用量は
96.5÷9.5=10.15KW
1日の最大使用電気量は10.15KW+0.68KW=10.83KW となる。
これらより最低10KW 発電タイプの太陽光発電設備が適当と思われる。
1年間の使用電力は3200KWh×12ケ月=38400KWh となる。
すべての電気を太陽光発電でまかなうとすれば40KW の発電設備が必要となる
第 11 回中国地区国立高等専門学校技術職員専門研修
(情報系、物質系)技術課題発表
走査型電子顕微鏡によるICの観察、および分析
第2技術班
西
彰矩
はじめに
新カリキュラムへの移行に伴う実験テ-マの見直しで、「ICの観察、および分析」を行
うことになった。
実験内容としては走査型電子顕微鏡で観察、写真撮影をし、X線マイクロアナライザ-
を使用して定性分析をおこなうことにしたが、学生には
①.ICチップのパタ-ンを写真撮影し、回路図を参考にして使用している
各種ディバイスを記入する。
②.MOS型トランジスタ-の断面を観察してサイズを測定する。
③.ICの基盤、配線部、ボンディングワイヤ-部の定性分析をおこなう。
を報告させることにした。
ここでは、観察用試料の作成方法および分析結果を中心に報告する。
1.観察用試料の作成
試料としてバイポ-ラ型トランジスタ-ICの7404、MOS型トランジスタ-IC
の4069を使用したが、これは学生にとってICの観察は初めてなので比較的回路が
簡単で、なじみのあるインバ-タ-回路を使用することとした。
観察用試料の作成工程として、まず軸付き砥石をドリルに取り付けて、チップ部分の樹
脂を機械的に研削した。
次にエッチング液を用いて樹脂をとかし、チップを取り出した。
エッチング液としてフッ酸系も使用したが、熱硫酸(約200℃)がきれいにチップを
取り出せた。
このエッチング液(濃硫酸)を用いてチップを取り出す工程に一番苦労した。
ビ-カ-に濃硫酸を3分の一ほど入れ、電熱
器で加熱していった。
200℃近くになると、ピンセットで注意しな
がらICを熱硫酸中に入れ、攪拌しながら樹脂
をとかしていく。
硫酸は熱硫酸になると黒ずんでくるので、中の
様子がわからなくなってくるので、ときどき出
して腐食の状況を確認しなければならない。
樹脂が完全にとけると、チップが光って見える
のですばやく液から取り出して、水洗いをした。
チップが乾燥したら注意しながらピンセットで
取り外し、観察用の試料とした。
取り出したチップを銀ペ-ストを使用して観
察用試料台に取りつけて、走査型電子顕微鏡
で観察した。
2.観察および分析
使用した走査型電子顕微鏡は日立製
X-650型で、加速電圧は15 kV、
WD は15 mm で観察した。
2種類のICを観察したが、はじめに
チップ全体を観察し、写真撮影をした。
次に回路図を参考にして写真上に各ディ
バイスを記入していくが、基本的なディ
バイスであるトランジスタ-、抵抗、ダ
イオ-ド、コンデンサ-の基本パタ-ン
が把握できれば、比較的簡単に回路図に
対応できた。
走査型電子顕微鏡(日立
X-650型)
①.バイポ-ラ型トランジスタ-7404の観察
基本的なディバイスの観察
次に回路図と対応させながら写真上に各ディバイスを記入していき、完成させた。
7404回路図
②.MOS型トランジスタの断面観察
撮影した断面写真より、各サイズを測定した。
ゲート長
チャネル長
拡散深さ
酸化膜厚
3.0[μm]
2.2[μm]
0.8[μm]
0.3[μm]
MOS型トランジスタの断面写真
③.MOS型ICの分析
分析は堀場製作所のX線マイクロアナライ
ザ-(EMAX-7000)を使用して定
性分析をおこなった。
EMAX-7000(堀場製作所)
・エネルギ-分散型
・測定対象元素
B
~ U
(Z=5)(Z=92)
・Si半導体検出器
X線マイクロアナライザ-
(EMAX-7000)
MOS型IC4069の分析結果は
次のようになった。
基盤部
配線部
ボンディング部
Si
Al
Au
MOS型IC 4069の分析結果
Windows パソコンによる外字フォントファイルの共有化
第2技術班
1. はじめに
総合情報センターでは,教育用計算機システムの
サポートをはじめネットワークおよび事務部も含め
た教職員への全般的な幅広いサービスを行っている。
会議の議事録や各種委員会の報告書などの電子化を
進め,共有し書類提出などネットワークを利用した
効率化が行われてきた。しかし、ここで問題となる
のは外字の扱いである。Windows には標準で「外字
エディタ」が用意されている。このツールを使って
外字を作成することは可能だが、作成したパソコン
でのみ表示,印刷を行うことができる。外字を登録
したコードに統一性がないためファイルを共有する
ことができない。今回は事務処理業務で必要となる
外字を作成してフォントファイルを共有化するサー
ビスについて報告する。
2. 調査と検討
教職員や学生の人名に JIS 第2水準以外の文字が
使用されていた場合,外字が必要となる。まず必要
となる文字の種類と数を把握するために各課にアン
ケートを実施した。
結果,
10文字の回答があった。
その内 JIS 第2水準以外の文字は4文字であったこ
とと,外字を必要とする係も限られていたため小規
模な運用から始めることにした。
次に外字作成ソフトの調査を行った。クライアン
ト・サーバシステムによる外字を共有する製品はラ
イセンスフリー版が10万円以上,必要ライセンス
購入版も割高感があったため製品版の導入を見送り,
共有化については独自に検討することにした。
テスト用の Windows95 パソコンで「外字エディ
タ」を起動し,数種類の外字を[MS 明朝]
,[MS
ゴシック]フォントで登録していくと作成日時が更
新され変化しているファイルを特定することができ
た。外字ファイル本体が EUDC.TTE と予測をたて,
システム設定ファイル(*.ini)やレジストリ(設定
データが記録されているデータベース)の情報との
関連性について調査した。その結果,外字ファイル
の情報はレジストリに記録されていることがわかっ
日下孝二
た。外字を作成しフォントファイルを共有サーバ上
に置き、レジストリの情報を書き換えた別のパソコ
ンから参照することが可能であることの確認もでき
た。
3. 外字の作成
外字の作成に使用するソフトは(株)エルゴソフ
トの「漢字職人」
(定価 ¥12,800)を選択した。こ
のソフトの特徴としては
・アウトライン部品を組合せて作成するため操作が
簡単なこと。
・作成した外字も TrueType Font(標準明朝 or 標
準ゴシック)のため印刷しても滑らかなこと。
等である。
外字作成の手順は次のとおりである。
①部品の選択
文字のバラン
スが悪かった
場合、再度部品
の選択
偏やつくりの部品
ファイルを読み込む。
②外字の編集
部品を組合せサイズ,
位置を調整する。
③外字の登録
外字コードエリアに登
録。
④専用ファイルに保存
外字の形状,
フォント,
登録した外字コード情
報を保存。
⑤外字の生成
④のファイルを元に外
字を生成。
(図1)
ファイルを参照していないことが予測された。試行
錯誤を繰り返し,調査を行った結果,ローカルドラ
イブの指定は可能であることがわかったため,OS
の起動時にネットワークドライブとして割り当てて
おく方法に変更した。
Windows 95/98/Me と Windows 2000/Xp とでは
ネットワーク上のファイルを参照する方式が異なっ
ていることが原因と考えられる。
6. まとめ
図1 外字の生成(標準明朝体)
基本的な流れを把握することはできていたが、バ
ランスのとれた文字を作成することは容易ではなか
った。図1の文字は単に「示」と「右」の組合せで
は非常にアンバランスだったため「うったて」
「左払
い」
「一」
「止め」といった小さな①部品の選択と②
外字の編集を何回も繰り返し、
「右」を完成させてい
く。
外字を生成すると Windows フォルダに標準明朝
体の場合は MSMINCHO_EUDC.TTE,標準ゴシッ
ク体の場合はMSGOTHIC_EUDC.TTE というファ
イルが作成される。
4. 作成したフォントファイルの公開
3.において作成したフォントファイルを総合情報
センターで管理している共有サーバ上に置き,学内
のどこからでも参照できるように読み取り専用とし
て公開する。
5. 各端末の設定
標準の Windows はシステムフォルダにある外字
ファイルを参照するようになっているため,各端末
で最初の1回のみこの設定を変更する必要がある。
この情報はレジストリに書き込まれているためレジ
ストリエディタを起動して行う。ユーザが直接編集
する場合は細心の注意をはらって作業する必要があ
る。また,この情報はその端末を利用するユーザ毎
に記録していることを理解しておくことも重要であ
る。
Windows 95/98/Me の場合,レジストリの設定に
は UNC(Universal Naming Convention)パスの指
定方法で運用を行ってきた。しかし,新しく導入さ
れた Windows 2000/Xp の場合,同じ方法では外字
を表示することができなかった。指定したフォント
平成9年度から現在までに登録した外字の一覧を
図2に示す。毎年2~3文字の作成依頼がある。登
録数は多くないが現在も使用されている文字である。
低価格の外字作成ソフトとフォントファイルの共
有を行う設定の組合せにより,十分実用できるサー
ビスを提供することができた。また,一括して作成
することによってユーザは追加した外字を意識する
ことなく利用することができる。
しかし,運用をはじめてから何件か不具合が報告
されている。それはフォントファイルを共有するた
めの設定を行っていたにも関わらず,いつの間にか
外字が表示されなくなったという問題である。調査
を行ったところ,設定したレジストリの値が標準の
Windows の値に戻っていたことが原因だった。ユー
ザが「外字エディタ」を起動し独自に外字を作成し
たためだと考えられる。この問題に対応するため,
レジストリの設定を記述したバッチファイルを
Windows 95/98/Me 用,Windows 2000/Xp 用,それ
ぞれ作成し,誰もが簡単に再設定が行える仕組みを
取り入れた。
今後,新しい Windows が登場するだろうが仕様
が変更されない限り,この方法を継続し,登録文字
数を少しずつ蓄積していき,安定したサービスの提
供を行っていきたい。
図2 外字登録一覧表
参考文献
1) Windows95 リソースキット Vol.1 & Vol.2
公開講座『ミニ・ロボコン2003』支援報告
第1技術班
中尾三徳
本校の電子制御工学科の担当する公開講座の支援を1996年より行なってきた。昨年は、製作ロボット
の本体キットを車輪型から歩行型に変更した。中尾が担当した本体のパーツ準備からロボットコンテストの
実施要領について報告する。
日時は、H15 年8月7日(木)~8月9日(土)9:00~15:00 合計15時間 内容は、光センサ
ーで動くロボットを製作し、走行コンテストを行い工作とコンテストを通して、メカトロニクスの面白さを
体験してもらう講座。対象は、小学6年生及び中学生。
この公開講座は、1996 年(H8年)から毎年開催され、現在に至っている(表1)。
西暦
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
和暦
平成8 年
平成9 年
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 14 年
平成 15 年
表1.電子制御工学科担当公開講座
講座名
メカトロニクス技術入門講座
メカトロ工作”きみのミニ四駆の実力を自作の電子回路で調べよう”
メカトロ工作”きみのミニ四駆の実力を自作の電子回路で調べよう”
ミニ・ロボコン’99”光センサーで動くロボットを作ろう!”
ミニ・ロボコン2000”光センサーで動くロボットを作ろう!”
ミニ・ロボコン2001”光センサーで動くロボットを作ろう!”
ミニ・ロボコン2002”光センサーで動くロボットを作ろう!”
ミニ・ロボコン2003”光センサーで動くロボットを作ろう!”
公開講座の日程は3日間になっており、第 1 日目は赤木、大西、里吉教官による講義、第2日目は矢野教
官による講義と中尾によるライントレース制御電子回路基板のハンダ付け実習、第3日目は矢野教官による
ロボットの動作チェックと調整、その後中尾によるロボコン実施要領説明、最終調整、ロボットコンテスト
実施、荒井教官によるコンテスト優秀者の表彰、閉講式で閉幕した。
図1.タミヤのロボット(改良後)
図4.プリント基板作成装置
図2.エレキットのロボット(改良後)
図5.基本回路
図3.電子回路基板
平成11年~平成14年まで、
ロボット本体(図1)はタミヤ社
のフォークリフトを利用した車型
(車輪駆動)だったので、平成1
5年は動作がこれとは異なるエレ
キット社の六足歩行の本体(図2)
を使用した。
ロボット本体の候補として、3
つ程度考えたが、動き動作が面白
い図2のものを選定した。
1.ライントレース制御電子回路基板
これは図3であり、私がプリント基板作成装置(図4)を使って作製した。基本回路(図5)は前年、鷲
田技術専門官が作成していたもので、これを少し変更して使用した。ハンダ付け実習は、パワーポインタで
スクリーンに電子素子(抵抗、コンデンサ etc.)を表示しながら、一ヶ所づつ、1素子づつハンダ付けさせ
た。
2.ロボット用組立部品
まず、基本となる部品としては、ライントレース用の電子回路基板(図3)、モーターが3つあるのでこ
れに電流を供給するケーブル&端子(図6)、ラインを検出するホトトランジスタからなるラインセンサー
ケーブル&端子(図7)、センサを保持する支持棒、プリント基板支持台、取付けねじ(図8)、以上の部
品を取り付けることにより、このキットはライントレースロボット(図2)となる。
3.ロボットコンテスト
コンテストは2種目
行った。①タイムトラ
イアル競技、これは、
図9の様なコースが設
定されており受講学生
は、まずライントレー
スモードで、ロボット
図6.モーターケーブル
図7.センサーケーブル
図8.取付け支持台等 を 動 作 さ せ 、 手 動 操 作
(リモコン)位置まで
自動で走行させる。そして、ロボットをリモコンモードに切替、自分で操作し、ゴールの自動計測ゲート(図 10)
を通り抜けた時間で、勝敗を決する。
②ロボサッカー
(ダブルス)競
技、これは、図 11
のようなコート
で、両サイド2
名づつでチーム
を組んで擬似サ
ッカーを行う。
ロボットはリモ
図9.トライアルコース
図 10.ゴールゲート
図 11.コート
コンモードで各
受講学生が操縦する。相手側ゴールに規定時間内にボール(ピンポン玉)を多く入れた方が勝ちとなる。白
熱した競技となった(図 12)。
4.アンケート
アンケートのなかで特に目立ったのは、受講の動機がお家の人から進め
られてと市町村の広報を見てという人が多かった。それからリピーター的
に毎年受講する受講生も数人いた。過去には、電子制御工学科に入学した
受講生も数人いる。今年の受講生もまた来年も参加したいという意見が多
かった。
5.今後
図 12.競技中の様子
将来的にはロボットの制御回路を安価なPIC(制御用IC)に置き換
えて、プログラミングが出来るロボット製作を構想していきたいと思って
いる。
中学生を対象とした出前授業用教材の製作と実施
第 2 班 徳方孝行
次のような構想を基に出前授業用の教材を製作し、実施しました。
【目的】
近年若年層の理科嫌いや、独創性あるいはもの作りへの興味・関心の後退が指摘され続けていて、工業高
等専門学校に入学してくる学生の中にも、工学に対する興味あるいは学習意欲が希薄な者が見受けられる。
これらのことから、これからの日本を担う少年に、工学や技術の「楽しさ、面白さや確かさ、す
ばらしさ」を体験して、関心と興味を持つ生徒が少しでも増えてほしいと考え、中学生を対象とし
たもの作りを含む実験型の授業を提供する。
【目標を達成するための方法】
中学校で行なわれている選択理科、学級 P 活動等の時間を利用し、互いに使える時間の調整を図
り、出向いて実施するものとし、必要とする時間および中学生の知識程度を考慮したテキスト、
および物作りと実験に使用する教材の製作。
【授業内容】
1.テーマは、「もの作りを通して電磁気、電磁力の現象を理解させる」をめざす内容とする。
2.クリップモーターを改良したキットを作り、人数分の部品と工具を用意する。授業を受ける
生徒一人一人が製作することで、もの作りのおもしろさと完成した時の感激を体験する。
3.電機子コイルの巻き数を変える、磁界の強さを変える、電流の向きを変える、などでモータ
ーの回転方向・速度が変わることを認識する。
4.磁界、電流、力の関係を講義する。この講義は単にテキストに従って板書するのではなく、
パソコンのプレゼンテーション用ソフトウエアを使い、プロジェクターで大きく投影すること
で印刷したテキストでは表現しにくい動きのある内容も印象深く説明することができる。
5.作ったモーターの諸条件を変えながら各自で実験をした結果を、表にまとめることで講義の
内容を確認する。
1
超 簡 単モ ー ター を 作っ て
電 気 の働 き を知 ろ う
今日の学習:簡単なモーターを作って、磁石と電流の間に働く力を勉強する。
1.まず最初にモーターを作ろう。
電機子
電極
写真1
でんき し
上がこれから作る簡単モーターの完成写真です、電機子(回転するところ)をY字型になってい
る電極の上に置いて、最初手で勢いをつけると後は連続して回ります。
ただ、このモーターは回す力が小さいので、プロペラなどを回したりすることはできません。
このモーターを作るための材料と道具が、ビニールの袋に入っているので、下の写真を見て全
部そろっているか、たしかめよう。
写真 2
写真の左から
材料です、単一型の乾電池、電池ケース、黄銅板(2 枚)、磁石(2 個)、絶縁電線(長短 2 本)。
つづいて製作に必要な道具が2つ、巻き枠とナイフです。
もし、どれか不足していたら申し出るように。
2
次に作り方の手順を示すので、先生の注意を聞き、説明をよく読んで、できるだけ自分の力だ
けで完成させよう。
まず、電機子を作ります。次の手順で作るとうまくゆきます。
最初は短いほうの電線を使う。
巻き枠を使 って写真のように巻
き、両端を3cmのこす。
巻き枠からはずして、両端を左右
に広げる。
写真3
巻きつけた所の拡大写真。
両側の電線を巻きつけて固定す
る。
写真 4
写真 5
形を整えて写真のように両側の線で支えてみると、軽いほ
うが上側になるので、どちら側か覚えておきます。
写真 6
写真 7
上側 1/3 の絶縁
塗料を削り取る。
軽いほうを
上にする。
写真を参考に、図のように軽いほうを上にして、両側
の線の塗料を 1/3 周り分削り取る。
せいりゅうし
机の角や巻枠などを台にしてていねいに。
この部分を整流子と呼び、電流を流したり止めたりの
働きをする重要な所です。
これで、1 回半巻きの電機子のできあがりです。
※絶縁-(ぜつえん)電気を通さない状態。
(-塗料)
写真 8
図1
3
最後に、バランスの取れた
いい形に整えておきます。
長いほうの電線でも、同じ方法で 4 回半
巻きの電機子を作ります。
写真 9
図2
電池ケースに電極と電池を付けます。
電池ケースのスプリング(マイナス側)の途中に黄銅板(電極、Y 字型に切ってあるほうが上)
をはさみながら電池を滑らせるように入れる。プラス側は後で入れる。
写真 10
電池の上に磁石を置いて完成!
電機子を黄銅板(電極)の Y 字型のところに置いて
回してみよう。
N
N
S
S
写真 11
この磁石は、へこみがある面が N 極、反対面が S
極になっています。
図3
うまく回りましたか、もし回らなかったら ―整流子(両側の線)の絶縁塗料がうまく取れてい
ない。
―バランスが悪い。
―両側の線がまっすぐになっていない。
などがよくある原因です。
4
モーターの回る原理を理解するためには、磁石の性質を知っている必要があります。
磁石と、電線に電気が流れた時の働きについていくつか学習します。
2.磁石の性質
磁石の性質を思い出してください。
①磁石には2つの磁極があって、N 極と S 極と呼んでいる。
②同じ磁極どうしは反発力、違う極の間では吸引力が働く。
磁石を 2 個用意しているので、覚えていた人もそうでない人も、下図のようになることを確かめて
おいてください。
N
S
N
S
N
S
吸引力
S
N
S
N
N
S
反発力
図4
3.磁界と磁力線
今やってみたように、磁極と磁極の間には力が働きます。この力が働く範囲を磁界と言います。
磁界と言っても、目に見えるわけではないのですが、くふう次第で磁界の様子を見ることができま
す。
図 5 は、磁石のまわりに方位磁針を置いたときの様子です。方位磁針はその場所での磁石の力の
方向を表しています。方位磁針の示す方向をつないでゆくと、N 極と S 極をつなぐ曲線になります。
この曲線のことを磁力線と言います。
N
N
S
S
図5
図6
このようにして磁力線を何本か書くと図 6 のようになります。ここでは紙の上に書いているので平
面ですが、実際は立体的なものです。
磁力線は力の強さも表すことができます、磁力線が多いところに力が強く作用します。
そして、磁界の中に N 極を置いたときに力を受ける方向を、磁力線の方向と決められました。
N 極では反発し、S 極では吸引力が働くので、磁力線は
磁力線は N 極から S 極へ向く方向です。
5
では、図 4 のときの磁力線はどうなっているでしょうか。
くわしく調べて見ると、図 7 のようになっていることがわかっています。
これは N 極同士を近
づけた場合です、S 極
の場合は磁力線の方向
が反対になるだけで、
形は同じです。
図7
吸引力が働くように近づけた場合は、磁力線が並んで N 極から S 極へとどきます。
それにくらべて、同じ磁極どうしを近づけると、互いに嫌がるように曲がってしまいます。
わかったこと
①磁石の力が及ぶ範囲を磁界と言い、磁力線で表すことができる。
作る
②磁力線は N 極から S 極へ向かう。
磁極
③磁力線はお互いに近づくのを嫌う。
磁界
④磁極は磁界を作り、磁界は磁極に力を与えます。
力
図8
4.電流が作る磁界
磁界を作るのは磁石だけではなく、電線に電流を流すと周りに磁界ができます。
磁力線は図 9 のようになり、磁極がないので、磁力線はそれだけで
磁力線はそれだけで閉
はそれだけで閉じた曲線
じた曲線になっています。
このように、電流でできる磁界は、磁石のときと比べると様子がだいぶ違います。
進む方向
電流の方向
右回し
磁力線
右回り
図 10
図9
電線を流れる電流と磁力線の関係は、図 10 のようにネジにたとえて“右ネジの法則
ネジの法則”と言い
ます。
多くの電流を流すと、磁力線の数も増加します。
わかったこと
⑤電流が流れるとまわりに磁界ができ、磁力線の方向は右ネジの法則に従う。
6
5.電流と磁界の作用
図 11 のように、磁石でできた磁界の中に電線を通して、電流を流します。そのときの様子を図
12 のように書くことができます。
は、電流が紙のおもてか
ら裏に向かって流れることを
表しています。
反対に裏からおもてに向かう
のは
と表します。
弓矢を後ろから見たり、先か
ら見たり、と思ってください。
磁力線
電流
図 12
図 11
図 12 は、電流が紙のおもてから裏の方向へ流れて、そのまわりに磁力線ができる様子を表してい
ます。
磁石の磁力線が下から上へ、すると電流による磁力線の影響を受けて、図のように曲がって通過し
ます。見ると左側の磁力線が右側より混み合っています。
磁力線はお互いに近づくことを嫌
づくことを嫌うことを思い出してください。その結果、電線左側の磁力線の
ほうが反発する力が強くなり、電流(電線)は右の方向への力を受けます。そのときのお互いの方
向は図 13 のようになります。
この関係を左手の
中指 →電流
人差し指→磁力線
親指 →力
磁力線
電流
として、写真 12 のようにお互いの指を直角にした時に
力
あてはめて、フレミングの左手
フレミングの左手の
左手の法則と言います。
図 13
わかったこと
⑥磁界の中で電流を流すと、力が発生する。
磁力線
電流
⑦電流、磁力線、力はお互い直角の方向で、
力
“フレミングの左手の法則”に従う。
写真 12
6.いよいよモーターへ
なんとなく、うまく組み合わせるとモーターになりそうな気がしてきたと思います、もう少しです。
7
先ほど作ったモーターの、説明に必要な部分だけを書き出したのが図 14 です。
塗料あり
電線
2
回転
電流
塗料なし
電流
15a
磁力線
1
電極
15b
15c
15d
整流子のところを詳しく見た図です。電機子が電極と接触し
ている部分に、塗料がない時電流が流れ、塗料があるとき流
れません。
15 図のそれぞれに対応した整流子の位置です、見比べながら
確認してみよう。
図 14
図 16
回転力
電機子の上側の線には
右向きの力が、下側は左
向きに力が加わって、回
転力になります。左手で
方向を確かめよう。
2
少し回って
1
磁力線
2
2
図 15a
1
1
磁力線
磁力線
1
図 15d
この位置まで回ってき
た時から電流が流れは
じめます。
すると、回転力ができ
て続いて回ります。
図 15b
2
磁力線
図 15c
まだ勢いで回ります。
ここまで回ってきた時、電流
が流れなくなります。
すると回転力はなくなります
が、勢いで回ります。
図 15d から図 15b まで回転する間だけ電流が流れるように、
絶縁塗料を削り取っています
(図 1)。
このように、電流を流したり止めたりをうまく切り替えるのが、電線の絶縁塗料を削って作った整
流子です。
8
この簡単モーターでは、市販されている多くのモーターとは違うところも多いのですが、電流をタイミ
ングよく流すことでうまく回す仕組みは同じです。
最後に磁界の強さ、電流の向きなどを変えながら、モーターの回転がどのように変わるかを調べ、
今までの学習でわかったことを確認しよう。
7.実験
作ったモーターで以下の実験をして、そのときの様子を表に書き、文章の穴埋めをする。
①最初は磁石を 1 個、N 極を上に、電池のプラスを右にして、1 回半の電機子で回してみよう。
磁石の数
上向きの磁極
プラスの方向
巻き数
1
N
右
1.5
回転方向
スピード
②次に電流の
電流の向きを変
きを変えてみます。
電流の向きを変えるのは、電機子を持ち上げて、電池をホルダーごと左右を入れ替えます。
電機子はそのまま下ろして、回します。
磁石の数
①にくらべて
上向きの磁極
プラスの方向
巻き数
が変わり、
回転方向
スピード
が反対方向になった。
③次に①の状態から、磁極の
磁極の向き(裏表)
裏表)を変えます。
磁石の数
①にくらべて
上向きの磁極
プラスの方向
巻き数
が変わり、
回転方向
スピード
が反対方向になった。
④次に①の状態から、電流の
電流の向きと磁石の
磁石の向きをどちらも変
どちらも変えます。
磁石の数
①にくらべて
上向きの磁極
と
プラスの方向
巻き数
回転方向
を変えたために、
スピード
は
た。
⑤次に①の状態から、磁石の
磁石の数を 2 枚重ねにします。
磁石の数
①にくらべて
上向きの磁極
が
プラスの方向
巻き数
ために、
回転方向
が
スピード
した。
⑥次に①の状態から、電機子の
電機子の巻数を
巻数を増やします。4.5 回巻きの電機子を使う。
磁石の数
①にくらべて
上向きの磁極
が
プラスの方向
巻き数
ために、
回転方向
が
スピード
した。
[email protected]
9
出前授業風景例(美作中学校)
学級 P 活動で出前授業、人数が多く結構大変でしたが好評。
理科室で、保護者含めて約 50 人。
少しカメラを意識しています。
中央の彼はこの中学卒業生で本校専攻科学
生です、彼をメインプレゼンターとして授
業進行してもらいました。
最後にまとめと感想を。
10
平成 15 年度国立学校等技術専門官研修
技術専門官 鷲田廣行
今回標記専門官研修に参加いたしましたので概略を報告させていただきます。この技術専門官研修は、
すぐれた技術職員の確保とその職務に必要な専門的技術の習得、技術の継承及び保存等にかんする指導的
役割、資質の向上を目的に開催されました。
この研修会の参加者は、大学関係:65名、高専:8名、研究所等:6名、計79名でした。
なお、この研修会は、平成 11 年度から開催され、平成 15 年度で第 5 回目となります。
主 催:文部科学省及び東京大学
日 時:平成 15 年 8 月 6 日(水)~8 月 8 日(金)
場 所:東京大学総合図書館・山上会館
研修内容
(1) 講義
① 大学行政上の諸問題
② 人事管理上の諸問題
③ 職場の安全管理
④ 学術行政上の諸問題
⑤ ストレスマネジメント
⑥ 特別講演「地球環境と森林」
(2) 実習等
① ポスターセッション
② 施設見学(東京大学学内)
③ フリーディスカッション
☆ ポスターセッションは、13:00~16:30 まで、4交代で 1 人 50 分の持ち時間により実施しました。
持ち時間内において、訪れた方々に説明発表を行い自由に情報交換を行なった。自分の持ち時間以
外では各セッションを自由に回り質疑応答などと共に相互の情報交換を行なった。
なお、分野としては、
「機械」
、
「電気電子」
、
「情報処理」
、
「物理・化学」
、
「生物・生命科学」
、
「土木・
建築」
、
「その他」があり、私は電気電子分野において行なった。
☆ フリーディスカッションは 5 班に分かれ、技術専門官の立場とリーダーシップ、技術の伝承・継
承などについて、また各学校の実情等について意見交換が行なわれた。私は第4班に参加し、4班
の参加人数は 16 人、内高専からは私1人でした。
なお、詳しい研修日程、ポスターセッション、参加者名簿については次ページ以降に添付します。
平成15年度中国・四国地区国立学校等技術専門職員研修報告
第1技術班
仲井正明
中国・四国地区国立学校等の技術専門職員及び技術専門職員相当の職にある者に対して、その
職務遂行に必要な基本的、一般的な知識及び新たな専門的知識、技術等を習得させ、職員として
の資質の向上を図ることを目的に、文部科学省と香川大学の共催により、香川大学工学部、香川
大学農学部で行われ、本校でも1名機械系に参加させていただきましたので、その研修結果報告
をさせていただきます。
研修期間
:
平成15年8月19日(火)~8月22日(金)
研修内容等
8月19日(火)
10:00~11:15
講演
トライボロジーの世界
香川大学長
木村
好次
11:30~12:30
先輩講和
放射線あれこれ
香川大学農学部技術専門職員
宮脇
勝美
15:20~16:40
講義
人事行政上の諸問題
文部科学省大臣官房人事課審査班
調整係主任
岡部
陽一
8月20日(水)
9:00~10:30
講演
フオトリソ・ナノーマイクロマシン技術とその応用
香川大学工学部
教授
三原
豊
10:40~12:00
学内施設見学
工学部・ものづくり工房
地域開発共同研究センター
13:00~17:00
学外施設見学
香川産業脳化センター・産業技術総合研究所四国センター
8月21日(木)
9:00~12:00
講義・実習
脳高次機能の計測解析とその応用
香川大学工学部
教授
呉
景龍
助教授
郭
書祥
助教授
和田
隆広
13:00~17:00
講義・実習
3次元CADの使用と実習
香川大学工学部教授
呉
景龍
助教授
郭
書祥
助教授
和田
隆広
等
8月22日(金)
9:00~12:00
技術発表
ロボット関連
福祉機器関連
その他
香川大学工学部
教授
呉
景龍
助教授
郭
書祥
助教授
和田隆広
13:00~14:30
講演
技術と法
香川大学副学長
高橋
正俊
14:30~
閉講式
研修を終えて
暑い夏の1週間の研修でしたが、サブミクロン技術・カーボンナノチューブ・希少糖抽出技術
等、先端技術の一端に触れることができました。これからの実験・技術支援に役立てたいと思い
ます。
末尾ながら、準備していただいた香川大学のスタッフの皆様に感謝いたします。
私
図1.平成15年度中国・四国地区国立学校等技術専門職員研修
支 援 セ ン タ ー 主 催
技 術 研 修 会 報 告
第1回「初めてのホームページ作成講座」
----単体パソコンを使ったWWWサーバ作成まで----
第1技術班
中尾三徳
概要
第1回教育研究支援センター研修会が平成14年3月18日~3月22日まで4日間(半日)の期日で専
攻科棟SCS室において開催されました。WINDOWS パソコンを使ったWWWサーバによる実習で14名
がHTML文法、FTPによるファイル転送、PERL言語によるCGIカウンタ作成、パソコンWWWサ
ーバの作成方法等について研修した。
中尾による概要の説明(図1)、パワーポイントを使った講義(図2)を行い、HTML言語によるホー
ムページの作成実習(図3)、最後にまとめとして各受講生が研修会用ホームページ(図4)を作成しまし
た。
図1.中尾による概要の説明
図3.HTML言語によるホームページの作成実習
図2.パワーポイントを使った講義
図4.受講生の研修会用ホームページ
研修終了後も校内でパソコン WWW サーバは動作させているので、各受講生がホームページ内容を更新
しています。対外的にはまだオープンにはしていませんが、内容が安定してくれば、オープンしていきたい
と思っています。尚、研修の講義資料を添付しています。
支援センタ-主催 技術研修会報告
第2回
マシニングセンター使用法
第1技術班
神田尚弘
日
程
平成14年7月22日(月)~26日(金)
各日 13:00~16:00
場
所
実習工場パソコン室、卒研実習室(現NC加工室)
目
的
マシニングセンターの動作を理解し、初歩的なプログラミング及び
機械操作方法を習得する
内
容
アクリル板に、自分のデザインした文字、図柄等を加工する
研修日程
1日目
・マシニングセンターの機能説明
・NCプログラム言語の学習
今回は全技術職員を対象としたため、初歩的な内容にした。
プログラムの学習は、アドレスやG、M機能などを先に説明せず、テ
キスト(次ページ参照)4ページの「4.プログラミング説明」で1行ず
つ機能や動きを説明する方法をとった。
2,3日目
・図面作成
50x160 のア クリル板 にドリ ル穴加 工、エン ドミルで のミー リング 加工
を行うこととし、自由にデザインした。
・プログラミング
プ ログ ラ ミ ン グは C AM 等 を 使 わず 、 コ ード を 手 入力 し 、 パ ソコ ン の
描画ソフトでプログラムチェックを行った。
4,5日目
・マシニングセンターの操作学習
本 校横 型 M C はパ レ ット チ ェ ン ジャ ー を 備え て お り、 そ の 方 法お よ び
ワーク座標系の設定入力方法を講習した。
・ドライランおよび加工
ドライランで工具干渉等を確認した後、加工した。
以下に今回の講習に使用したテキストの内容を示す。
地域協同テクノセンター各種機器講習会報告
走査型電子顕微鏡、X線マイクロアナライザ-研修会
第2技術班
日
講
時 : 平成16年3月23、24日
師 : ㈱ 日立ハイテクノロジ-ズ
㈱ 堀場製作所
平島
森田
西
彰矩
小百合氏
洋二氏
今回導入された装置は、走査型電子顕微鏡とX線マイクロアナライザ-が一
体化された「SEMEDX-N型」で、おもな特徴は
・走査型電子顕微鏡(SEM)
加速電圧
0.3 ~ 30 kV
倍率
×15 ~ ×30万
分解能
3.0 nm
・X線マイクロアナライザ-(EDX)
測定対象元素
B~ Cf
定性分析
自動定性
定量分析
スタンダ-ドレス
デジタルマッピング
SEMEDX-N型
(日立サイエンスシステムズ)
などです。
「観察しながら元素分析ができる」大変使いやすい装置です。
一日目は日立ハイテクノロジ-ズの平島小百合氏を講師に走査型電子顕微鏡の
研修がおこなわれました。
おもな内容は
Ⅰ.SEMの基本原理
Ⅱ.SEM観察の基本
Ⅲ.観察の手順
等でした。
この装置は低真空モ-ドで観察が可能で、
試料を自然に近い状態で観察できます。
1日目の講習会風景
また、反射電子像で試料の凹凸や組成も
観察できます。
SEMの基本原理を中心にして、豊富な写真を使って大変わかりやすい研修に
なりました。
-1-
二日目は堀場製作所の森田洋二氏を講師にX線マイクロアナライザ-の原理、
操作法の研修が行われました。
Ⅰ.EDXの基本原理
Ⅱ.EDX操作法
Ⅲ.分析の実技
マウス操作が中心になっており、実際に操作してみないと正確なデ-タはとれ
ないように感じました。
この装置の特徴は、なんと言ってもマッピング(元素の分布状況)ができるこ
とです。
電子線像とX線像を対比すれば、試料の組成は一目瞭然です。
後半は受講者が持参した試料を使って写真撮影・分析操作を行いましたが、
デ-タ処理、保存等も優れた装置に感じました。
2日目の講習会風景
講師の紹介
-2-
大学・高専等研修会
平成3年から高専の技術職員の専門研修会が始まった。現在では、中国地区国立専門学校技術職員研修と
中国地区国立専門学校技術職員専門研修、西日本地域国立高等専門学校協会技術職員特別研修、中国・四国
国立学校等技術専門職員研修並びに各学校における技術職員研修会が開催されている。以下に開催年月日、
研修会名、参加者、開催場所を表1に示す。
表1.研修会一覧
開催年月日
1991/7/30~8/1(平成3)
1992/7/28~7/30(平成4)
1993/7/14~7/14(平成5)
1995/7/25~7/27(平成7)
1996/3/18(平成8)
1996/7/23~7/26(平成8)
1996/7/30~8/1(平成8)
研修会名
第1回中国地区国立高等専門学校技術
職員(機械系)研修会
第2回中国地区国立高等専門学校技術
職員(電気・情報系)研修会
第3回中国地区国立高等専門学校技術
職員(情報・商船系)研修会
第5回中国地区国立高等専門学校技術
職員(機械系・その他)研修会
第15回分子科学研究所技術研修会
参加者
鷲田、板谷、小
坂、徳方
津山高専
西
大島商船高専
大谷、中尾、日下 呉高専
山下、中尾
第1回中国地区国立高等専門学校技術
仲井、神田
職員専門研修(機械系)
第2回中国地区国立高等専門学校技術
徳方、中尾
職員専門研修(電気・電子系)
東京大学技術職員発表会
鷲田、山下
平成15年度国立学校等技術専門官研
鷲田
修
第9回中国地区国立高等専門学校技術
西
2003/8/19~8/22(平成15) 職員専門研修(情報系、物質系)
第6回西日本地域国立高等専門学校協
大谷
2003/8/27~8/29(平成15) 会技術職員特別研修(機械系)
2003/8/6~8/8(平成15)
備考
山下、仲井、光岡 宇部高専
鷲田、板谷、西、
第5回中国地区国立高等専門学校技術
小坂、徳方、上
職員専門研修(情報系)
田、中尾、日下
1998/7/29~7/31(平成10)
第6回中国地区国立高等専門学校技術
大谷、光岡
職員専門研修(機械系)
1998/8/4~8/6(平成10)
第1回西日本地域国立高等専門学校協
仲井
1998/8/25~8/27(平成10) 会技術職員特別研修(機械系)
第7回中国地区国立高等専門学校技術
神田、河野
1999/7/26~7/29(平成11) 職員専門研修(機械系)
平成11年度中国・四国国立学校等技術
山下
専門職員研修
1999年(平成11)
第2回西日本地域国立高等専門学校協
鷲田
1999/8/25~8/27(平成11) 会技術職員特別研修(電気・電子系)
中国地区国立高等専門学校技術職員一
神田、河野
2000/8/23~8/25(平成12) 般研修
第3回西日本地域国立高等専門学校協
上田
2000/8/23~8/25(平成12) 会技術職員特別研修(情報系)
平成12年度中国・四国国立学校等技術
西、徳方、中尾
専門職員研修
2000/9/5~9/8(平成12)
第9回中国地区国立高等専門学校技術
仲井、河野
2001/7/24~7/27(平成13) 職員専門研修(機械系)
平成13年度国立学校等技術専門官研
山下
2001/8/22~8/24(平成13) 修
平成13年度中国・四国国立学校等技術
大谷
専門職員研修
2001/9/4~9/7(平成13)
平成13年度宇部工業高等専門学校技
中尾
術職員研修会
2002/3/5~3/7(平成14)
第9回中国地区国立高等専門学校技術
板谷
2002/8/20~8/23(平成14) 職員専門研修(電気系)
平成14年度中国・四国国立学校等技術
板谷、小坂、上田
専門職員研修
2002/9/2~9/6(平成14)
2003/3/6~3/7(平成15)
研修場所
分子科学研究所
徳山高専
松江高専
津山高専
大島商船高専
豊橋技術科学大学
徳山高専
(担当)
米子高専
文部省(主
催)
舞鶴高専
豊橋技術科学大学
(担当)
岡山大学
徳山高専
豊橋技術科学大学
広島大学
熊本電波高
専(担当)
文部省(主
催)
松江高専
東京大学
徳島大学
文部省(主
催)
宇部高専
広島商船高専
鳥取大学
文部省(主
催)
東京大学
東京大学
宇部高専
豊橋技術科学大学
奈良高専
(担当)
科学研究費補助金(奨励研究)申請交付状況報告
1.概要
高専技術職員が科学研究費補助金に応募するようになって、今年で8年目を迎えている。2003年(H
15年)までで、研究費を交付された高専の技官ののべ総数は210人になっている。
研究費の名称も当初は「奨励研究B」だったものが「奨励研究」に変わり、申請額も30万円未満だったも
のが、H16年からは、100万円未満に変わってきている。申請資格者も教育関係者だったものがH16年
から企業の技術者も申請できるようになった。
2、津山高専の現状
津山高専では、平成11年に初めて奨励研究の存在を事務部から連絡を受け、以来毎年数名が応募してい
る。平成14年から有志で勉強会も開催している。以下表1に津山高専の交付状況を示す。
表1.津山高専の奨励研究申請、交付状況
西暦(和暦)
申請数 交付数
交付課題名
1997(平成 9)
0
0
-
1998(平成 10) 0
0
-
1999(平成 11) 1
0
-
2000(平成 12) 3
1 「フリーウェアを用いたPCサーバによるSOHOホームページ作成 実習シス テ ム」
2001(平成 13) 2
0
-
2002(平成 14) 1
0
-
2003(平成 15) 3
2
「もの作り、創造性を重視したロボット工学実験・実習の研 究」
「パソコンの動画再生を利用したマシニングセンタ操作のプレ学習システムの研究」
2004(平成 16) 5
1
「 大 容 量 半 導 体 素 子 の 学 生 実 験 装 置 の 検 討」
3、高専全体の状況(2003年までの状況)
交付者数
NACSIS-IRを使って、各年ごとの全国高等専門学校の技官の奨励研究の交付者数をグラフにする
と以下のようになる。(図1)
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
44
39
35
36
28
12
1997
16
1998
1999
2000
2001
2002
交付年
図1.奨励研究費交付者数
2003
2002年までの全国各高専毎の奨励研究の交付状況をグラフにすると図2のようになる。これは、20
02年までのデータである。
(津山高専がNACSIS-IRに未加入な為詳細データが取得出来ていない。)
14
12
2002
2001
2000
1999
1998
1997
件数
10
8
6
4
2
戸
阜
鈴
鹿
東
京
工
宇
部
奈
良
福
鹿 井
児
和 島
歌
山
宮
城
舞
鶴
有
明
詫
木 間
更
津
旭
川
茨
城
八
代
大
大 分
阪
府
群
北 馬
九
州
福
島
長
久 野
留
米
一
関
釧
路
長
富 岡
山
商
都
城
米
子
津
山
徳
山
大
島
阿
南
岐
八
呉
田
豊
川
本
熊
石
富
山
工
0
高専名
図2.高専奨励研究交付年別一覧
4、まとめ
2002年までのデータを見た限りでは、富山工業高専、石川高専が、交付10件以上となっている。年
毎の交付件数で見ると、岐阜高専が2001年に6件の交付となっている。石川高専も2000年に5件交
付されている。交付件数の上位の高専では毎年の何件かの交付がある。これはセンター(技術室)の全職員
が申請しているためかのしれない。このデータには出ていないが、松江高専も2003年に5件の交付を受
けている。この時松江高専ではセンター員が全員申請したらしい。交付される割合は全申請者の約30%で
あるので、申請は毎年すべきであろうと思う。この2001年までのデータを細かく調べた結果、高専全体
で、のべ3件交付を受けた技官も3人存在し、2件交付を受けた技官も21人いる。2004年では、この
数が更に増えているものと考える。2002年から高専全体の交付総数は減少しているが、これは連続年で
の交付は難しいので、そのためではないかと思う。各高専でまだ申請を行っていない方は、是非来年度は、
申請してみては如何でしょうか?
報告者:第1班 中尾三徳
研削といし技術講習会報告
第1技術班 河原 みほ , 仲井 正明
法人化に伴う労働基準法・労働安全衛生規則の関係で、本校からも、河原・仲井の2名が受講
しましたので、報告いたします。
教育実施日
1,
平成15年6月12日
教育内容及び時間
(教育内容)
機械・(自由)研削用研削盤、機械・(自由)研削といし、取り付け具等に関する知識
(4時間)
機械・(自由)研削用といしの取り付け方法及び試運転の方法に関する知識
(2時間)
関係法令
(1時間)
2,
受講場所
津山圏域雇用労働センター
講習は厚生労働省安全衛生部安全課編の研削といしの取替え・試運転関係特別教育用テキスト
によって行われ、講師が熟練の経験者(九耐)だけに真剣に充分充実した内容で真剣に受講する
ことができました。
受講を終えて本校の実習工場、実験室の現状を見てみました。
1,
機械に合ったといしを取り付けて使用しているか
2,
バランスは取れているか
3,
使用前の慣らし運転はしているか
4,
使用後の水切りはされているか
1~4については、実習においてはやられていますが、卒業研究・研究等では把握できてい
ません。
実習工場はそれなりに点検はやっていますが(毎月1回チエック・点検簿に記入)各実験室まで
はできていません。購入時からそのままのといしで、丸くなった(ドレッサーで整形の必要)と
いしが見受けられます。
ワークレストと、といしの隙間は3mm以下に調整されていますか。 考えてみると今まで事故
がなかったのが奇跡にちかいようにおもわれます。 使用者が初心者であることを肝に銘じ、無
事故でありたいと思います。なお受講者にはそれなりの責任が生じます。責任の分散の意味から
も従事者全員の受講をお勧めいたします。
ガス溶接技能講習
第1技術班
川村
純司
3.講習内容
1.背景
ガス溶接の使用は火炎の発生やガス爆発
講習は2日間あり、1日目に学科講習、
といった災害の危険性が高いため、ガス溶
2日目に実技講習を行い、講習修了時に
接技能修了者またはガス溶接作業主任者以
修了試験を行う。合格者にはガス溶接技
外が作業する事は原則として法律で禁止さ
能講習修了証が交付される。
れている(労働安全衛生法第61条)。資格
学科講習はガス溶接に使用する設備の
(ガス溶接技能修了証)の取得は都道府県
構造や取扱いの方法、可燃性ガス及び酸
労働基準局長が指定した機関・団体などが
素の知識、関係法令の講習を行う。
(表1)
実施する技能講習を受講すると取得できる。
実技講習はガス溶接に使用する装置の
取扱いや鉄板の溶断を行う。
2.受講日、場所
日付:平成16年3月4日
4.感想
~平成16年3月5日
場所:岡山県安全衛生会館
よく使う資格であるので、多くの人が
受講していた。講習内容はとくに安全に
ついて重点がおかれており、今後指導す
るにおいて、安全に作業できるよう心掛
けたいと思った。
講習科目
範囲
講習時間
ガス溶接等の業務のために使用する ガス溶接等の業務に使用する可燃性ガス及び酸素
設備の構造及び取扱いの方法に関す の容器、導管、吹管、圧力調整器、安全装置、圧
る知識
4時間
力計等の構造及び取扱い方法
ガス溶接等の業務のために使用する ガス溶接等の業務に使用する可燃性ガス及び酸素
可燃性ガス及び酸素に関する知識
の性状及び危険性
3時間
労働安全衛生法(昭和47年法律第57条)、労働
関連法令
安全衛生法施行令(昭和47年政令第318条)
及び労働安全衛生規則中の関係条項
表1.講習科目の範囲と時間
1時間
「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」の報告
第1技術班
1.背
景
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、安定性、
絶縁性、電気的特性に優れているため、蛍光
灯などの絶縁油に使われていたが、さまざま
な危険性が指摘・確認され、1972(S47)年に生
産が中止された.その後、本校でもPCB未
使用の機器に交換されたが、その交換したP
CB使用機器はいまだ校内に存在しており、
これを適正に処理するまでの間の保管に管理
責任者が必要である.
2.関係法令等
廃棄物処理法では、「その事業活動に伴い特
別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置して
いる事業者は、当該事業場ごとに、当該事業
場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関
する業務を適切に行わせるため、特別管理産
業廃棄物管理責任者を置かなければならない」
(法第 12 条の 2 第 6 項)と規定している.P
CB汚染物は、特別管理産業廃棄物の中の特
定有害産業廃棄物となっている.
また、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な
処理の推進に関する特別措置法(PCB特別
措置法)」(平成 13 年法律第 65 号)が、PC
B廃棄物が長期にわたって処分されないまま
であることから、PCB廃棄物の保管、処分
等に必要な規制等を行うとともに、処理に必
要な体制を速やかに整備することを目的に平
成 13 年 7 月から施行されている。
PCB特別措置法では、環境大臣が、PC
B廃棄物処理基本計画を、都道府県知事等は
PCB廃棄物処理計画を定め、PCB廃棄物
の適正な処理を総合的かつ計画的に、確実か
つ適正に行えるようにしなければならないと
している.その間、事業者等はPCB廃棄物
を適正に保管等を行いその状況を都道府県知
事等に報告するとしている.
今回、この「特別管理産業廃棄物管理責任
者に関する講習会」を受講し、資格を取得し
神田尚弘
たので、内容を報告する。
3.講習会の概要
講習会は平成 16 年 2 月 27 日 9 時から 16
時 40 分まで、広島会場において受講した.
講習科目およびプログラムを表1に示す.
科目名
時間
主な内容
廃棄物処理法の概要、廃棄物の
行政概論 120 分 定義、産業廃棄物処理の現状、
産業廃棄物の処理基準、関係法
令 等
特別管理
産業廃棄
物概論
特別管理産業廃棄物の定義・種
90 分 類・特性、廃棄物による事故例
等
処理計画
と管理
処理計画の必要性、処理計画の
90 分 実際、委託契約、産業廃棄物管
理表(マニフェスト)等
表1
講習科目およびプログラム
また、講義終了後、講習内容の理解度を確
認するための考査が行われた.
4.まとめ
今回、著者は本校でのPCB保管のために
受講した訳であるが、産業廃棄物の現状や処
理手順等を学習し、適正な廃棄物処理の必要
性を痛感している。また、適正処理はもちろ
んの事、廃棄物をなるべく出さないことが必
要である。今後、学生にもそういった意識持
たせることを心がけながら教育支援に当たる
所存である.
学外技術講習会等報告
日本顕微鏡学会関西支部 平成15年度特別講演会
第2技術班
日
場
時
所
西
彰矩
平成15年7月12日(土)
京都大学 京大会館
日本顕微鏡学会関西支部主催の平成15年度特別講演会に参加したので、報告
する。
今回の講演会には
1.高分解能その場観察法およびZ観察法の材料科学における役割
大阪府立大学
今野 豊彦
2.電子顕微鏡で解析されたチャネルの構造と機能
京都大学
藤吉
3.相変化型光ディスクの記録マーク観察
松下テクノリサ-チ
神前
好則
隆
の3テ-マの講演があったが、3の「相変化型光ディスクの記録マーク観察」
について報告する。
DVD(相変化型光ディスク)はCD-ROMやCD-Rに代わる大容量と
優れたフォ-マットを合わせ持つ光ディスクである。
このDVDの記録マ-クの形状を低加速電圧のSEMで観察する方法が、詳
しく報告された。
光ディスクの大部分がポリカ-ボネイトで構成されているため、高加速電
圧ではチャ-ジアップが激しく、今までは観察できなかった。
最近、低加速電圧のSEMの登場により、試料表面のチャ-ジアップを軽減
し、ノンコ-トで像観察が可能になってきた。
低加速電圧のSEMを使って記録マ-クの形状を観察すると、非晶質部分と
多結晶部分でコントラストに差がつき、記録マ-クが明瞭に観察された。
実際に観察する場合、観察用の試料の作成が重要で「カッタ-で表面を切
り込んではがす。強力なセロテ-プではがす。」程度の報告で、詳しい方法は
されなかった。高専ではCD-Rの記録マ-ク(ピット)の観察は行ってい
るが、機会があれば今回の講演を参考にして、DVDを低加速電圧のSEM
で観察してみたい。
低加速電圧のSEMで観察したDVD 記録マ-ク
-1-
「労働安全衛生法に関する講演会」
第1技術班
中尾三徳
徳山高専より、「労働安全衛生法に関する講演会」の案内があり、津山高専の教育研究支援センターから
上田達男(第2班)、中尾三徳(第1班)が参加した。他の中国地区各高専の技術職員も多く参加していた。
実施要項
目的
平成16年4月より独立行政法人となることに伴い、安全衛生管理に関する適用法令が人事院規則から
労働安全衛生法に変わるため、同法の概要について説明を行い、構成員の理解を深めることを目的とする。
開催日時
平成16年2月27日(金)13:30~17:00
会場
徳山高専
メディアホール
対象者
中国地区高等専門学校関係者
演題
労働安全衛生法について
講師
労働安全コンサルタント
RSTトレーナー会山口支部副支部長
村上春男 氏
月
日
2月27日(金)
時
間
事
項
場
所
13:10
受付
教室:管理棟1F玄関
13:30
講演
メディアホール
15:10
質疑応答
15:30
情報交換会
17:00
解散
労働安全コンサルタントの村上春樹氏の講演は以下の項目でなされた。
①労働安全衛生法の誕生と意義
②労働安全衛生法の構成
③労働安全衛生法概要
④「人事院規則10-4」と「労働安全衛生法」の主な相違点
⑤労働災害発生のメカニズムと設備の安全性
⑥労働災害の現状
⑦労働災害と企業責任(企業も法人も同じ)
⑧現在の主な安全衛生活動
⑨OSHMSについて
⑩最近の事故・災害思うこと
234 ○津山工業高等専門学校教育研究支援
センター規程
平成13年3月30日
規 程 第 2 1 号
改正
平成15年3月18日規程第5号
(設置)
第1条
津 山 工 業 高 等 専 門 学 校 ( 以 下 「 本 校 」 と い う 。) に, 教 育 及 び 研究 に 対す
る技術支援,地域社会との連携及び技術協力並びに技術職員の能力・資質の向上
を図り優れた人材を確保することを目的として ,教育研究支援センター( 以下「 セ
ンター」という。)を置く。
(業務)
第2条
センターの所掌業務は,次のとおりとする。
(1) 教育及び研究に対する技術支援の基本計画の策定に関すること。
(2) 技術の継承及び保存並びに技術向上のための技術研修,技術発表会及び技
術講演会等の企画・実施等に関すること。
(3) 学生の実験,実習,卒業研究等の準備等及び技術指導に関すること。
(4) 技術支援に関すること。
(5) 技術資料の作成,保管及び提供等に関すること。
(6) その他センターの目的達成のため必要な事項に関すること。
(技術班)
第3条
センターに,第一技術班及び第二技術班を置く。
(1) 第一技術班は,次の業務を分掌する。
ア
機械工学系及び電子制御工学系に関する前条の業務
イ
その他第一技術班の管理運営に関すること。
(2) 第二技術班は,次の業務を分掌する。
ア
電気電子工学系,情報工学系及び一般科目に関する前条の業務
イ
その他第二技術班の管理運営に関すること。
(組織)
第4条
センターには,センター長,技術長,班長,技術専門官,技術専門職員及
び技術職員を置く。
2
センター長は,教務主事をもって充てる。
3
技術長及び班長は,技術専門官及び技術専門職員の中から校長が任命する。
4
班には,主任を置くことができる。主任は,技術専門職員の中から校長が任命
する。
(職務)
第5条
2
センター長は,校長の命を受けて,センターの業務を掌理する。
技術長は,上司の命を受けて,各班の連絡調整及び統括を行い,高度の専門的
な技術に基づく教育研究支援のための技術開発及び技術業務並びに学生の技術指
導を行うとともに,技術の継承及び保存並びに技術研修に関する企画及び連絡調
整を行う。
3
班長は,上司の命を受けて,班の業務を整理し,高度の専門的な技術に基づく
教育研究支援のための技術開発及び技術業務並びに学生の技術指導を行うととも
に,技術の継承及び保存並びに技術研修に関する調査研究を行う。
4
主任は,上司の命を受けて,班長を補佐し,高度の専門的な技術に基づく教育
研究支援のための技術開発及び技術業務並びに学生の技術指導を行うとともに,
技術の継承及び保存並びに技術研修に関する調査研究を行う。
5
技術専門職員は,上司の命を受けて,高度の専門的な技術に基づく教育研究支
援のための技術開発及び技術業務並びに学生の技術指導を行うとともに,技術の
継承及び保存並びに技術研修に関する調査研究を行う。
6
技術職員は,上司の命を受けて,教育研究支援のための技術開発及び技術業務
並びに学生の技術指導を行う。
(運営委員会)
第6条
センターの円滑な運営を図るため,教育研究支援センター運営委員会(以
下「委員会」という 。)を置く。
2
委員会の組織及び運営等については,別に定める。
(雑則)
第7条
この規程に定めるもののほか,センターの運営に関し必要な事項は,別に
定める。
附
則
この規程は,平成13年4月1日から施行する。
附
則 (平成15年3月18日規程第5号)
この規程は,平成15年4月1日から施行する。
235 ○津山工業高等専門学校教育研究支援
センター運営委員会規程
平成13年3月30日
規
改正
程 第 9 号
平成15年3月18日規程第10号
(趣旨)
第1条
この規程は,津山工業高等専門学校教育研究支援センター規程(平成13年
規程第21号 )第6条第2項の規定に基づき ,教育研究支援センター運営委員会( 以
下「 委員会 」という 。)の組織及び運営に関し ,必要な事項を定めるものとする 。
(審議事項)
第2条
委員会は ,津山工業高等専門学校教育研究支援センター( 以下「 センター 」
という 。)に関し,次の各号に掲げる事項について審議する。
(1)管理運営に関すること。
(2)業務計画に関すること。
(3)センター職員の研修計画に関すること。
(4)その他センターの重要事項に関すること。
(組織)
第3条
委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1)センター長
(2)専攻科長
(3)各学科主任
(4)実習工場長
(5)総合情報センター長
(6)地域共同テクノセンター長
(7)学生課長
(8)技術長
(9)班長
(10)その他校長が必要と認めた者
2
前項第10号の委員の任期は,1年とし,再任を妨げない。
3
第1号第10号の委員に欠員が生じたときの後任者の任期は,前任者の残任期間
とする。
(委員長)
第4条
委員会に委員長を置き,センター長をもって充てる。
2
委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
3
委員長に事故があるときは,あらかじめ委員長の指名する委員が,その職務を
代行する。
(委員以外の者の出席)
第5条
委員長が必要と認めたときは,委員以外の者の出席を求め,意見を聴くこ
とができる。
(事務)
第6条
委員会の事務は,学生課において処理する。
附
則
この規程は,平成13年4月1日から施行する。
附
則 (平成15年3月18日規程第10号)
この規程は,平成15年4月1日から施行する。
教育研究支援センター設備一覧
当センターは、平成13年に友朋会館3階、北,西に窓のある細長い部屋(6m × 16.5m)に開設された。
センター技術職員はここから学科準備室(実習工場)を経て、担当実験・実習にでむいています。初期設備
としては、技術職員へ NOTE パソコン(表1),机,椅子,ロッカー等の貸与があり、現在以下のような機器(図
6から図9)が順次導入されている。
表.1ノートパソコン等一覧
メーカー
型 番
設置数
FUJITSU
FM BIBLO NB7/80R
FUJITSU
FM BIBLO NB10A
7
3
SONY
PCG984N
1
パソコン工房
CLEVO 2700
1
FUJITSU
FM BIBLO MG75E
1
EPSON-DIRECT ENDEAVOR NT2000
1
EPSON-DIRECT ENDEAVOR AT950※
1
※液晶付ミニタワー
図1.支援センター入り口
図2.支援センター内部(窓方向)
図3.支援センター内部(入口方向)
図4.来客・会議用机
図6.レーザプリンタ
図7.カラープリンタ
図9.ビデオ加工ファイルサーバ
図5.行き先掲示板
図8.FAX 電話
津山高専教育研究支援センター組織図
中 尾 三 徳(技術専門職員)
神 田 尚 弘 (技術職員)
第1技術班
教育研究支援センター運営委員会
班 長
大谷賢二
(技術専門職員)
主 任
仲井正明
(技術専門職員)
河 原 み ほ (技術職員)
川 村 純 司 (技術職員)
河 村 紀 子 ( 技術職 員)
永 禮 康 恵 ( 技術補佐員 )
教育研究支援センター長
校 長
福 田 昌 准
技 術 長
鷲 田 廣 行
( 技術専門官)
小 坂 睦 雄(技術専門職員)
第2技術班
班 長
板谷憲治
(技術専門 職 員)
徳 方 孝 行(技術専門職員)
主 任
西 彰矩
(技術専門職員)
上 田 達 男(技術専門職員)
日 下 孝 二(技術専門職員)
河野トキエ (技術補佐員)
植 木 幸 子 (技術補佐員)
学生支援
実験・実習
創造演習
卒業研究
ロボコン
他
津山高専
教育研究
支援センター
運 営 委 員 会
●第1技術班
●第2技術班
地域支援
地 域 共 同 テ ク ノ セ ン タ ー
技術相談
技術支援
公開講座
他
教員支援
技術相談
技術支援
共同研究
依頼作業
他
教育研究支援センターの活動内容
平成16年度教育研究支援センター技術職員
編集後記
2004年4月
全国の高専が独立行政法人となり、本校の教育研究支援センター技術職員も職務の見直
し、資質の向上を図るため、これまでにおこなってきた活動を整理する意味で教育研究支援センター報とし
てまとめました。140ページにわたる冊子となり、編集委員としてはうれしく思っております。
この冊子を見ていただき、津山工業高等専門学校
教育研究支援センターの活動について皆様の理解の一
助になれば幸いと存知ます。
なお、センターの技術職員の皆様には、短期間に忙しいなかを論文、報告文を提出していただきありがと
うございました。並びに、本校校長、教育研究支援センター長、教員の皆様には、原稿ならびに論文等を寄
稿していただきありがとうございました。このページをおかりしまして御礼申し上げます。
編集委員
津山工業高等専門学校
教育研究支援センター
教育研究支援センター報
センター報 第1号
発
行:
津山工業高等専門学校
9月
教育研究支援センター
発行日:
2004年
吉日
連絡先:
〒708-8509
TEL:
0868-24-8240
FAX:
0868-24-8244
津山市沼624-1
http://www.tsuyama-ct.ac.jp/honkou/shisetsu/shien.htm
大谷
賢二
西
彰矩
徳方
孝行
中尾
三徳
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