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自動車追突事故における頚部傷害の発生リスクに及ぼす頚椎
平成24 平成24年度 新潟大学プロジェクト推進経費研究経過報告書(中間まとめ) 新潟大学プロジェクト推進経費研究経過報告書 新潟大学長 殿 申 請 者 所 属 工学部機械システム工学科 代表者氏名 プラムディタ,ジョナス アディティヤ 本年度、交付を受けたプロジェクト推進経費について、現時点までの研究の進行状況等を報告し ます。 プロジェクトの種目:奨励研究 プロジェクトの課題:自動車追突事故における頚部傷害の発生リスクに及ぼす頚椎個体差の影響に関する数値解析 プロジェクトの代表者:所属:工学部 職名:助教 氏名:プラムディタ,ジョナス アディティヤ 分担者:0 名 プロジェクト目的: 単純 X 線写真より実際に存在しうる日本人の頚椎配列を分析しパターン化する.そして,これに基づ いて異なった頚椎配列パターンをもった頚部有限要素モデルを構築し,追突事故シミュレーションを行 い,頚椎挙動や頚椎軟組織に発生する応力・ひずみの違いを明らかにすることにより,頚部傷害リスク に及ぼす頚椎配列の影響を明らかにする. プロジェクトの成果: プロジェクトの成果: ① 単純 X 線写真に基づいた頚椎配列の分析 正面および側面から撮影した頚部の単純 X 線写真をもとに,実際に存在しうる頚椎配列(アライ メント)の分析を行っている.頚椎配列分析に用いた単純 X 線写真は新潟臨港病院において診察を 受けた患者の X 線写真データベースから選定した男性 50 名,女性 50 名の写真である.なお,X 線 写真の使用について新潟臨港病院倫理委員会の承認を受けている.また,患者の個人情報を保護す るため,患者データの匿名化処理を実施した.分析対象となる患者データが正常頚椎である必要が あるため,以下の条件を満たす患者データのみを選定した. 1. 患者の年齢が 20~55 歳である. 2. C1~C7 の椎体が X 線写真にはっきりと映っている患者である. 3. 機能写の X 線写真の測定結果より屈曲角度が 36~62°,伸展角度が 53~84°の患者である. 4. カルテの調査結果より頚椎に重症な病気や損傷が確認されなかった患者である. 側面 X 線写真の頚椎配列を大まかに分類した結果,Fig.1 に示すように 4 つの頚椎配列(前弯,後 弯,直線と S 字)が存在することがわかった.これらの頚椎配列をより詳しく分析するために,頚 椎配列や椎体の特徴を定量化する予定である.頚椎配列を評価するパラメータとしてこれまで用い られた方法(pT,Cobb,Kt,Aspect)に加え,B-Spline 曲線による評価方法も検討している.ま た,X 線写真における頚椎の解剖学的特徴点を座標化するために,C++による解析プログラムを作成 している. (注)報告書は2枚程度とする。別紙による場合も同じ。 -1- 前弯 後弯 直線 S字 Fig.1 頚椎配列のパターン ② 頭頚部有限要素モデルの構築 本研究で基本モデルとして用いる頭頚部有限要素モデルの外観図を Fig.2 に示す.この頭頚部モ デルの構築方法および仕様について以下に述べる.なお,解析ソルバーとして LS-DYNA を用いる. 日本人成人男性の CT 画像から骨格形状を抽出し,頭蓋骨,C1~C7 および T1 の三次元モデル化 を行った.骨格モデルは六面体ソリッド要素でモデル化した.頭部重心の位置に節点を置き,頭蓋 骨と固定し,その節点に日本人男性の標準頭部質量および標準慣性モーメントを付加することによ り頭蓋骨内部組織の質量および慣性特性を簡易的にモデル化した.椎間板,靭帯および筋肉の形状 を CT 画像から抽出することが困難のため,人体解剖学書や文献を参考にモデル化を行った.椎間 板のモデル化に関しては C2/C3~C7/T1 の各椎体間に対して六面体ソリッド要素で作成した.靭帯 のモデル化については,椎間関節包靭帯や前縦靱帯などの 10 種類の代表的な頚部靭帯をビーム要 素でモデル化した.また,C2 の歯突起の運動を拘束するために環椎横靭帯をシェル要素でモデル化 した.靭帯の断面積や材料特性は文献値に基づいて決定した.さらに,筋肉のモデル化については, 頭頚部の挙動に大きく影響していると言われている胸鎖乳突筋や僧帽筋のような代表的な 26 組の 頚部筋をトラス要素でモデル化した.筋肉の受動特性および能動特性を表現するために Hill-type 筋肉モデルを使用する.各頚部筋の起始・停止,生理学的断面積(PCSA)および筋特性パラメータ値 は文献値に基づいて決定した. Fig.2 頭頚部有限要素モデル 今後の予定: 頚椎配列を定量化し分析することにより代表的な頚椎配列の特徴を把握する. 代表的な頚椎配列をもった頭頚部有限要素モデルを構築し,後突シミュレーションを行う. プロジェクト成果の発表(論文名,発表者,発表紙等,巻・号,発表年等) -2-