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従業員退職金にかかる 税務と退職基金
www.pwc.com/ 従業員退職金にかかる 税務と退職基金 PwC フィリピン日系企業部 フィリピンの従業員退職金にかかる税務と退職基金 今回は、実務で頻繁にお問い合わせを頂くフィリピンの退職金制度と関連する税務について概要をご紹介し たいと思います。まずフィリピンでは法定の退職金が定められていて、5 年以上働きかつ 60-65 歳で退職した 正社員に対して勤続年数×月給額の 1/2 の退職金を会社は支払わないとなりません(フィリピン共和国法 7641 号)。これは最低限の義務になりますので、会社によっては独自の退職金規程により、対象者を広げたり、 係数を高くされているケースも見られます。 そこで気になるのが退職金を受領した従業員の個人所得税上での扱いかと思いますが、内国歳入法の 32 項において「フィリピン共和国法 7641 号」および「合理的な独自の退職金規程 (reasonable private benefit plan)」に基づいて支給された退職金は総所得に算入されない、つまり非課税であると定められています。「合 理的な独自の退職金規程(reasonable private benefit plan)」の非課税適用については歳入規則(RR2-98) で下記の条件が規定されています。 合理的な規程である事 BIR に承認された規程である事 (退職時に)50 歳以上で勤続年数が 10 年以上である事 過去に非課税での退職金を別の雇用者から受領していない事 つまり社内の独自の退職金規程で非課税を適用する為には、事前に BIR の承認を受ける必要があります。 年齢や勤続年数の条件が法定退職金と異なっている点もご留意下さい。例えば、勤続年数が 5 年以上 10 年未満の場合は、独自の退職金規程では非課税になりません。また、死亡・病気・障害・その他従業員/雇用 者双方のコントロールの及ばない理由によって止むを得ず退職した場合の退職金は、前述の条件に関係なく 非課税となります。 一方で支給する企業側の法人税上での扱いですが、原則は実際に退職金を支給した時点で事業経費とし て損金となります。会計上は一般のフィリピン会計基準を適用されている場合、フィリピン会計基準 19 号およ び年金数理士のレポートに基づいて引当費用を計上されているかと思いますが、税務上は引当を計上するだ けでは損金に算入することが出来ません。例外として、退職基金を設定されている場合は、一定の範囲でそ の基金への拠出額を損金に含めることが出来ます。フィリピンのメガバンクや生命保険会社などが退職金用の 信託運用サービスを提供しており、利用されている日系企業も多くあります。会社が事業用の資産と分けて退 職金の為だけの現金を外部に積み立てて運用することになりますので、従業員に安心感を与えることが出来 ます。なお、退職金用の基金の運用益も非課税となります。 また余談ですが、外資の出資比率が最大 40%に規制されている土地保有に退職基金を利用されるケースも 見られます。従業員の退職基金はフィリピン人従業員のもので外資の扱いにはなりませんので、退職基金に 土地保有会社の株式(例えば 60%)を購入させ、その土地保有会社から土地を製造会社など皆さんが事業を 行う会社に貸し出す方法です。事業会社から支払われる賃貸料が土地保有会社からの配当等を通じて退職 基金の運用収入となります。基金自体は従業員のものですが、基金の管理は実質会社が行いますので、フィ リピン側マジョリティに支配されるリスクが少なく土地を保有出来るメリットがあります。 【お問い合わせ】 PwC フィリピン日系企業部 ◆東城 健太郎(シニア・マネージャー) +63 (2) 459 2065(直通) [email protected] ◆高畑 尚幸(マネージャー) +63 (2) 459 2051(直通) © 2015 PwC. All rights reserved. PwC refers to the PwC Network and/or one or more of its member firms, each of which is a separate legal entity. Please see This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors.