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平成23年度わかたけ第二保育園発達指針
発達の姿 母乳(ミルク)をたっぷり飲む。 快 い 生 活 リ ズ ム の 獲 得 指導上の留意点 授乳のときにはしっかりと目を合わせ、優しく語りながら飲ませ る。 逆流を防ぐために、飲んだあと体を立てて抱き、背中を上に向 かって撫でてゲップを出させる。 昼夜の区別なくたっぷり眠る。 眠れる環境を作り、気分の良い目覚めになるようにする。 室温と空気の乾燥などに気を配る。(20℃) オムツが濡れたら泣いて知らせる。 オムツが濡れたらその都度替えて、気持ち良くなったことを知ら せていく。 オムツを替えるときは、語りかけたり足をさすったりする。 1 ~ 2 ヶ 月 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て こ人 とと ばの ・関 認わ 識り 音を聞くと、静かになったり眉をひそめたり する。 音の出る玩具を鳴らしたり、語りかけたりする。 原始反射がよく現れる。 保育者の体を使ってマッサージをしたり、腹這いにしたりする。 交叉性伸展反射 背反射 吸啜反射 (生後2カ月頃までに消える) モロー反射 手の把握反射 四方位反射 手掌・口反射 非対称性緊張頸反射 手足は反射的に動かすが、頭はどちらかを向 いたままである。 目の前で物を見せると、ちょっとの間注視す る。 色鮮やかなものを吊るしたり、見せたりして視覚の発達を促す。 保育者があやすと注視する。 赤ちゃんを抱くときは、しっかりと目と目を向かい合わせる。 あやしてくれると、手足を動かしたり微笑ん だりして応える。(おはしゃぎ反応) 反応がはっきりしないときから、しっかりあやしてあげる。 機械音ではなく、肉声で呼びかけてあげたり、柔らかい声で静か に歌ったりする。 目覚めているときは、ゆったりした気持ちで優しく微笑み語りか けていく。 快 い 生 活 リ ズ ム の 獲 得 母乳(ミルク)をたっぷり飲み、たっぷり眠 る。(目覚めの時間が1回2時間くらいにな り、夜間にまとめて8時間以上眠るようにな る。) ※生活リズムが確立する オムツが気持ち悪いときには泣いて知らせ る。 睡眠のリズムを正しく確立していく。 環境作り(1~2ヶ月と同じ)をしてあげる。 個々のミルクの間隔・量などを考慮していく。 1~2ヶ月:100~120cc 3~4ヶ月:120~140cc 5~6ヶ月:140~160cc (離乳食が入る) 6ヶ月以降:160~200cc ※睡眠のリズム:午前中1回 午後1回 夕方まどろむ 夜 3 ~ 4 ヶ 月 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て こ人 とと ばの ・関 認わ 識り 指しゃぶり・手しゃぶりをする。両手・両足を 触れ合わせて遊ぶ。 なめる、振る、引っ張るなどの手の動きができるような玩具を用 意する。 原始反射が減尐する。 寝かしっ放しにせず、時々床の上でうつ伏せにして玩具で誘って あげたり、マッサージをしてあげたり、仰向けで遊ばせたりす る。(支え寝返りをする) 内側に握りこんでいた親指が外側に出る。 うつ伏せにすると、腕(肘で支えた姿勢)で 支えて頭を上げる。 大人が相手になりあやしてあげる。 首が据わる。 物を眼球だけで追視する。 玩具を持たせると、しばらく持っていられ る。 音の出る色鮮やかな玩具を振って見せたり、吊るした玩具などを 見せて、追視・追聴を促していく。 支座位ができるようになる。 抱いて周囲が見られるようにしてあげる。 「アー・ウー」などの声を出す。 赤ちゃんの言葉に反応して語りかけていく。 仰向けに抱かれたときに微笑み返し、声をか けると「ウグウグ」と声を出し返す。 音やあやしに顔を向けて微笑む。 ゆったりときれいな声で歌を歌ってあげる。 1 ページ 発達の姿 準備食、前期食を始める。 快 い 生 活 リ ズ ム の 獲 得 5 ~ 6 ヶ 月 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て いろいろな味に慣れる。 ゴックンができるようになる。 指導上の留意点 一種類ずつ食品の味がわかるように、薄味にしてゆっくり食べさ せる。(野菜スープなどが中心で、果汁は代謝の関係でアレル ギーを起こす場合があるので飲ませない。) スプーンを口のそばまで運ぶが、本人の意思で口を開けて食べる ようにしていく。(食べ物を上あごにつけない) スティック状の野菜を用意して手に持たせる。 日中の目覚めの時間が長くなる。(1回2時 間以上 日中を中心に1日10時間くらい起 きていられる) 目覚めている時間は充分に活動できるようにしていく。 原始反射がほとんど見られなくなる。 活動のときにはパンツにする。 寝返りをうつ。 寝返りの補助をする。 ※6ヶ月を節目にちゃんとできるかどうか確認する。 足をつかんだり口まで持ち上げてなめたりす る。 揺さ振り遊びをたっぷりしていく。(たかいたかいなど) 腹這いで体を反らし、飛行機のような格好を する。 腹這いで遊ぶようにしていく。草、土、砂の上で腹這いにさせて みる。 手の平で体を支える。(3点支持) しっかりと手指を開いて体を支えられるよう、開きの悪い子は マッサージなどを充分にやってあげる。 視野が広がり、360度の追視ができる。 (首を自由に回す) 戸外に連れ出し、動くものや周囲の自然を見せる。 物に手を伸ばし、指を開いてつかみ遊ぶ。 (目と手の協応ができるようになる) 手の届くところに玩具を置き、遊べるようにする。(つかみ易 く、木製のもの) 手に持った玩具を左右の手で持ち替えて遊ぶ ようになる。(6~7ヶ月) こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 快 い 生 活 リ ズ ム の 獲 得 7 ~ 8 ヶ 月 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 自分からも声を出したり笑顔を向けたりし て、人の顔をじーっと見つめる。(6ヶ月の 節目) 笑顔や発声を受け止めて、返してあげる。 あやされると声を出して笑う。 「いないいないばぁ」や、保育者の膝の上、お腹の上の遊びなど を多く取り入れていく。 言葉がけや歌を歌うことを頻繁にやってあげる。 顔にかかった布を取り払うことができる。 静かなときや機嫌の良いときは「ウプウプ」 「ダダ」などの音節の繰返しを言う。 ひとり遊びをしているときには、大人が介入せずにその時間を大 事にしてあげる。 保育者が仲立ちをしながら、子ども同士を結びつけていく。(ク ローバー保育) 2回食になる。(中期食) モグモグ期になり、歯茎でしっかりと噛める ようになる。 形があってよく煮込んであるものを用意し、手づかみで食べさせ る。 手づかみで意欲的に食べる。 汚れてもいい環境を作る。 昼起きて夜眠ることがはっきりしてくる。 寝る、食べる、遊ぶのリズムを意図的に作っていく。 2回睡眠ができてくる。 だらだらと一日を過ごすのではなく、活動の節目には必ず言葉が けをして、生活にアクセントをつける。 四つ這いになり、体を揺する。 移動運動が多くなるので、空間を広く使えるようにする。 腹這いで腕を突っ張り、後ろにさがる。 ハイハイの補助動作をする。(は虫類) ズリ這いで前進を始める。 腹這いで方向転換ができる。 どちらの方向でも寝返りができる。 支座位が安定し、座ることを好む。 両手を自由に使わせるためにも、支座位で遊ばせる機会を多くす る。しかし、長時間座らせっ放しにはしない。 玩具を引き寄せて取るようになる。 意欲的にハイハイができるような玩具を前方に置いてやったりし て、引き寄せのとき撓側の指をしっかり使っているかを見る。 小さいものを、かくようにして取ろうとす る。 ※ 撓側(とうそく): 手の親指側 ぶら下がっているものをつかもうとする。 2 ページ 発達の姿 7 ~ 8 ヶ 月 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 快 い 生 獲活 得リ ズ ム の 9 ~ 10 ヶ 月 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 親しい人の声に、すぐに顔を向ける。 頭上で音を出すと音源を探す。 ~ 12 ヶ 月 部屋の上にも興味がいくような玩具を吊るしておいたりする。 人見知りが始まる。 意味のない発声。(アブアブ ブーブーブー オーオーオー) 散歩に連れ出しいろいろなものを見せてやり、物や動物と言葉を 結びつけて繰り返すことで、言葉を引き出してやるようにする。 歌を歌うと、体を揺すったり嬉しそうな表情 をする。 保育者が、リズミカルな歌を繰り返して歌って聞かせるようにす る。 あやされると機嫌を直す。 なんでも食べられるようになってくる。(後 期食) 離乳食の固さを増して、次第に完了食に近づけて噛むことを促す ようにする。 保育者に手を添えてもらい、コップで汁物を 飲むようになる。 いろいろな食品を食べさせる。 安定した状態で、便器に座ることができるよ うになる。 1日1回は決まった時間に便器に座らせるようにしてみる。 寝る、食べる、遊ぶのリズムをしっかりと安定させる。 目標を捕らえて、四つ這い・高這い・つかまり 立ちができるようになる。 斜面、階段、デコボコ、草、砂、土の上の活動を十分に経験させ ていく。 自分でお座りしたり、ハイハイ姿勢になった り、その逆もできるようになる。 保育者が手を差し伸べて呼んだり、玩具を見せて目標をはっきり させながら、抵抗のある場所に向かうようにする。 小さい物を、親指と人さし指を近づけてつま みあげたり、つかんだ物を離すことができる ようになる。 両手に物を持って打ちつけたり、太鼓をたた いたりするようになる。(将来道具を使った り、物を分析したり関係づけたりする下準備 となる。) 左右の手で物を引っ張り出すことを喜ぶよう になる。 ハイハイを促す歌や玩具を用意してあげる。 同じ単位の喃語を繰り返す。(志向性を持つ マンマンマン ダッダッダッ) 言葉と物が一致するように言葉がけをしていく。 適当な玩具を十分用意する。 手さしをするようになる。(志向の手さし、 指さし) 10ヶ月頃より、要求の指さしをするように なる。 初語、要求の指さしに応えてあげ、保育者も共に喜んだり、一緒 になって指さししてみせたりする。 模倣動作をする。(バイバイ イヤイヤ) 意識的に模倣動作をさせる。 名前を呼ばれるとわかる。 叱られたりほめられたりの区別ができる。 ほかの子に興味を持ち、近づいていく。 11 指導上の留意点 保育者と子どもが表情豊かに遊べるよう、手遊び・歌遊びを取り 入れていく。 快 い 生 獲活 得リ ズ ム の 手づかみで積極的に食べるが、スプーンを渡 すとスプーンを持って自分で口に入れようと する。 スプーンを持って口に入れるということを、保育者が手を添えて 教えていく。嫌がるときは本人に任せ、おいしそうに口に運んで 食べるところを見せる。 完了食を食べるようになる。(12ヶ月) いつまでもダラダラ食べさせないでけじめをつける。 運 動 能 向 力 け の て 獲 得 に つかまり立ちをして、伝い歩きをする。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 眠ること、遊ぶこと、食べること、各々を充実させる。 ひとり立ちして歩き始める。 高這い、つかまり立ち、床からの立ち上がりなど、室内でも戸外 でも十分にできる環境を作る。 裸足でたっぷり活動させる。 鉛筆などを持って打ちつけたり、横への往復 運動をしてなぐり描きをやり始める。 自然物を手にとって遊べるように戸外での遊びを多くし、室内で はじっくり遊べるような玩具を工夫する。 一語文を話す。(マンマ ワンワン) 子どもの言葉を受け止めて返してあげる。 指さしをする。(定位の指さし) 小動物を見せたり、自然の中に連れ出す。 身近な大人と共に、物や人との関係を深めて いく。 手さし、指さし、言葉で共感しながら、遊びが持続するように心 がける。 つもり行動が芽生える。 保育者が中心になりながら、みんなで遊ぶ機会を多く持つ。 ほかの子が持っている物を取ろうとする。 保育者が遊びの相手をして、「ちょうだいな」などの言葉がけを する。 手に持った物を、意識して離したり渡したり することができるようになる。 3 ページ 発達の姿 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 1日の生活の流れがわかる。 生活の節目を意識できるような言葉がけをしたり、個々に合わせ て快い生活リズムを整えてあげる。 パンツに移行する。 寝るとき以外はパンツで過ごさせる。 オマルで排泄しようとする。 活動の切れ目や個々の間隔に合わせてオマルに誘う。 きれい、汚いがわかる。 手や顔を拭いてあげたり、汚れた服を着替えさせたりして、きれ いなことが快いことを知らせていく。 一回寝に移行していく。 排尿後の始末を知らせていく。 手伝ってもらって、着替えようとする。 言葉がけをしたり、自分からやろうとする姿があればほめてあげ る。 大人と一緒に片付けようとする。 自分で食べようとする。 1 歳 ~ 1 歳 3 ・ 4 ヶ 月 ( 一 次 元 形 成 の 時 期 ) コップで飲む。 意欲的に食べることを大事にしながら、コップ、スプーンを使っ て食べることを知らせていく。 スプーン、フォークで食べようとする。 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 1 歳 6 ヶ 月 ~ 1 歳 後 半 ( 自 我 の 萌 芽 ) 指導上の留意点 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 二足歩行ができる。 危ないところでなければ、外でも裸足での活動を充分にさせる。 マッサージをしてもらいながらリズムを楽し むようになる。 リズムを日課の中に取り入れ、積極的に体を動かすようにしてい く。 補助されて、四つ這いで階段の登り下りがで きる。 十分にできるような条件作りをしていく。 すべり台の逆さ登りができる。 器から器へ物を移し替えることができる。 上下、左右への往復運動のなぐり描きが盛ん になる。 つまむ、めくるなどができるようになり、簡 単な手先の遊びをするようになる。 穴落とし、砂遊び、小麦粉粘土、シールはがしなどの手先を使っ た活動を取り入れる。 指さしをし、自分の思いを伝えようとする。 (要求の指さし) 子どもと共感しながら、子どもの表現し得ない部分を補い、うま く引き出してあげるような問いかけも重視していく。 言葉数が増え、一語文から二語文へ移行して いく。 できるだけたくさんの言葉がけをしていく。 動物や周囲のものに対して関心を持つ。 じっくりと遊ばせることで、探索活動を充実させる。 だだこねが多くなる。(自我の芽生え) 悪い子と決めつけたり、手出しをし過ぎないようにする。 どうしたいのかの気持ちを受け止め、本人の立ち直りを待つ。 友達との関わりを持とうとする。 道具を使って水や砂をこぼしたりする遊びを盛んにし、子ども同 士の触れ合いの場を多くする。 絵本を読んでもらって喜んで見る。 保育士の歌に合わせて体を揺らしたり、一緒 に歌を歌おうとしたり、手遊びをやろうとす るようになる。 繰返しを大事にしていく。 保育士と友達の顔と名前がわかる。 ひとりひとりの名前を呼んであげることを大事にする。 嫌いなものでも大人の言葉がけで食べようと する。 生活習慣の自立に向けて、意欲的に関わるような言葉がけや励ま しをしていく。 自分で手や顔を拭こうとする。 意欲的にやろうとすることに対しては、余計な手出しはせずにほ めてあげる。 手伝ってもらいながら、自分でパンツやズボ ンを脱いだりはいたりしようとする。 保育士と一緒にトイレに行き、排泄をしよう とする。 排尿後の始末を自分でできるよう、やりたいという気持ちを大事 にして方法を教えていく。 しっかりとした二足歩行ができる。 坂道や凸凹道など、抵抗のある場所で遊ばせる。 下り坂を自在に走れる。 片手で投げることができるようになる。 一次元可逆操作の獲得。 すべり台の階段を登ってすべる 描画では、グルグル丸になったり往復運動に なったりする。 方向転換をしたり、回り道ができる。 川辺で石を拾って投げたり、ボールやお手玉を投げたりと、場を 設定してあげる。 追いかけっこや簡単なかくれんぼ遊びなどの中で経験させる。 4 ページ 発達の姿 1 歳 6 ヶ 月 ~ 1 歳 後 半 ( 自 我 の 萌 芽 ) こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 指導上の留意点 「~ではない~だ」(一次元可逆操作)とい うことがわかる。 散歩先で様々なものに触れさせたり、絵本を見せたりして、言葉 を引き出すようにする。 可逆の指さしができる。 「○○はどこ?」「○○を見てごらん」など指さしとともに問い かけて答えるようにしたり、たくさん言葉がけをしていく中で、 一語くれると二語以上返していくということを繰り返す。 具体物と言葉、言葉と行動を結びつけていく。 歌を歌ってもらうことを喜び、一緒に歌おう とする。 絵本を日課の中に位置づけていく。 生活の中に歌があるようにする。 保育者を中心にして、みんなと簡単な集団遊 びを楽しむ。 喜んで遊ぶ追いかけっこのような遊びを繰り返しやる。 だだこねをしても、対の比較ができれば自分 で気持を立ち直らせていく。(自己復元力) 2つあるいは対になった選択場面を不え、自己解決ができるよう にしたり、泣き叫んで聞けない時は、子供の気持ちを汲み取った 上で自分から選んで立ち直るまで見守り、立ち直ったら受け入れ るようにする。(意欲や自発性につながる) 保育者の声がけでトイレに行き、排尿する。 必要に応じて声がけをし、トイレに行かせる。 排尿・便の区別が感覚としてわかる。 自分でパンツ、ズボン、上着の着脱をしよう とする。(ボタンを除く) 本人がやりやすいようにしてやり、やる気を引き出すように声が けをする。 保育者の声がけがあれば、自分の布団に横に なり寝ようとする。 自分で手を洗う。 よく噛んで食べる。 スプーン、フォークを使って自分で食べられ る。 取っ手を回す、フタをねじる、皮をむく、ス プーンを側の指で持てるようになる。 2 歳 前 半 ( 自 我 の 拡 大 ) 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 両足跳びや、段差のある所を両足を揃えて飛 び降りるなどができる。 立ったまま階段の昇り降りができる。 目標に向かって走る。 散歩の際に、遊びとして取り入れられるような工夫をする。 リズムの基本的な動きを保育者に助けられな がらやる。 爬虫類、金魚、手押し車、馬などの動きをしっかりとできるよう 補助したり、一緒にやってみせたりする。 鉄棒にぶら下がる。 手でぶら下がる。手を地面につけて片足を上げる。丌安定なもの を押したり、バランスを取り戻したり、立位での重心制御をたっ ぷり経験させる。 グルグル丸を描く。 自分の名前を通称で言える。 担任やクラスの名前が言える。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 日常の遊びの中でできるような活動を多く取り入れる。 欲しいものを自分の名前を入れて要求する。 <自我の拡大の姿> 一見荒々しく要求するが、そのうち相手の 要求も受け入れるやさしい一面もあるので、一面が強調されてい る時にはそれを受け入れつつ、もう一面に一次元可逆の働きかけ をしてあげると効果がある。 相手の話を聞くことができる。 ペープサート等を使って、話を聞く場を作ってあげる。 一次元可逆操作の調整ができ、繰り返し遊 ぶ。 その場を保障し、じっくり遊ばせるとともに、素材を豊富にして おく。 <遊びの中での一次元可逆操作> 泥んこ、水遊び等、働きかけることで変化していき、しつこく遊 べる遊びをたっぷりと体験させる。 ・水を器に入れる。器の水をこぼす。 ・手押し車を押して歩き、方向を変える。 自分の持ち物を置く場所がわかり、声がけで 片づけたり出してきたりする。 個々の持ち物・衣類を収納する場所を作ってやり、シール等で本 人が確認できるようにしてあげる。 「ワンワン バイバイ」「ジュースちょうだ い」など、動詞を使った2語文を話すように なる。 「~を持ってきて」「○○ちゃんのどこかな」などと声をかけ、 自分でやろうとする気にさせる。 2つの関係(対の世界)がわかるようにな り、対の指さしをするようになる。 選択する場面を多く作っていく。 食事、衣服、履物の着脱などを自分でやりた いと、手出しを嫌がるようになる。 まずは「自分でする」ということを優先してやり、うまくいかな い時に直してやってもまた自分でやるということを認め、決して 逆の方法を取らないようにする。 5 ページ 発達の姿 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 指導上の留意点 基本的な生活習慣が自立してくる。 大人が手出しをするのではなく、見守り・声がけをしていく。 苦手なものも、励ましによって食べることが できる。 ※生活の中の流れを儀式として通過しなければ気が済まないの で、習慣づけるのに良い時期。 箸を持って食べようとする。 個別に対応しながら、正しい箸の持ち方を知らせていく。 食前、排泄後の手洗いができる。 着脱ができる。 ボタンのはめ外しもやるようになる。 パジャマ等、前ボタン式のものを用意してもらい、ボタン穴の小 さいものは、容易にはめられるようにしてもらう。 靴を自分で履くようになる。 靴も自分でできるよう、かかと部分に紐をつけてもらう。 便意や尿意を知らせ、自分でトイレに行って 排泄するようになる。 必要な時(排泄後の始末)以外、本人に任せる。トイレの使い方 については、まだ指導が必要。 下半身を使った活動が活発になる。 活動に合った場所へ出かけて行き、思いっきり体を動かすように する。 足を交互に出して階段の上り下りができる。 抵抗のある場所を歩く・走る・登る。 2 歳 6 ヶ 月 前 後 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 50cm位の所から飛び降りられる。 片足を上げる。 跳び降りる、渡る、登る、跳び越す等、境界 を越えるところで斜めに構えた姿勢をとれ る。 身長より高い所から跳ばせないようにする。 親指に力を入れ、人差し指を使っての操作が できる。 指先に力を入れて操作できるものを用意する。 子どもが自ら跳ぶ気になるよう遊びの中に取り入れ、無理をしな い。(足裏のアーチが充分に出来上がっていないので) (押す、引っ張る、ねじる、回す、折る、投 げる、振り回す、転がす、剝く) 道具を素材に接触させ、細かい操作ができ る。(加工して作品を作ることはできない) ハサミやままごと用ナイフ等を使う機会を多くする。 閉じた丸が書けるようになる。 描いた絵の意味づけを聞いてあげる。 簡単な質問に2語文で答える。 子どもの思いを聞き出してあげる。 自分の名前を入れて話をする。 わけのわからない言い回しが減ってくる。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 言葉で言われただけで目的に応じた道具の使 い方がわかる。 「~したら~しようね」と言われて、2つの 関係が分かる。 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 散歩の目的地での活動などを話して聞かせ、見通しを持たせる。 「2つ」がわかり、「たくさん」と「尐し」 もわかる。 ものを媒介にすると、同年齢の子と同じ活動 ができる。 積み木・ままごと道具・人形等を豊富に用意し、仲間と同じこと ができるような環境づくりをする。 微妙にゆれ動く二次元を持ち始める。 困る行動を「ダメ」と禁止したり、「イヤ」という拒否をそのま ま受け入れると、二次元を確かなものにできないので、2つの事 柄から選択させるようにする。 (第一反抗期への突入) 2 歳 後 半 ~ 3 歳 前 半 子どもから出た言葉を整理して言い換えてあげる。 “見立て”“つもり”ができるようになり、 ごっこ遊びを楽しむようになる。 ごっこ遊びを自分から始めた時は介入せず、見守る。 基本的な生活習慣が確立していく。 満たされた気持ちを持って自立を進めやすくする。 ・箸を使って食べる。 ※自分でやりたくて大人の手出しを嫌う場合と、できるのに手伝 いを要求する二重性は身辺の自立を完成に向かわせる為に必要。 ・服や靴の前後・左右・裏表がわかり、直そ うとする。 ・排泄の予告をし、自分で行ってくる。 ・大人と一緒に、脱いだものをたたむ。 たたみ方を教えながら、尐しずつ自分でできるようにする。 ・汚れた服を着替え、脱いだら始末する。 始末しやすい方法を考えてあげる。 大人の手伝いを喜び、できるようになる。 配膳の手伝いや簡単な調理の手伝いをさせる。 6 ページ 発達の姿 尐しの間、つま先立ち、かかと立ち、片足立 ちができる。 指導上の留意点 やりたい気持ちを大事にして無理なく取り入れる。 支え宙返りができる。 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 繰り返し跳び下りることができる。 跳び下りる高さは背丈を超えないこと。 かかとを上げたアヒルの姿勢で歩ける。 やって見せるが、できるようになるまで無理にさせない。 指先だけでなく、腕から肘・手首、そして指 先全体に力をこめて、素材を持ち上げて変形 させることができる。 経験を豊富にしてあげる。 ・粘土や紙を両手で持ってねじり、曲げてち ぎる。 ・泥や粘土を丸める。 ・粘土を両手で伸ばし、転がして細長くす る。 2 歳 後 半 ~ 3 歳 前 半 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 他のものと合わせたり、集めたり、並べたり して「作品」を作ることができる。 「~を作る」という目的意識を持たせることもやってみる。 両手の共応が展開し、「加工」したものを量 産できるようになる。 真似て同じことができるよう、大人や仲間がそばにいて、やって 見せるような状況を作る。 ・紙を折る。 ・紐通しをする。 ・片手でハサミを使ってもう一方の手を添え て切る。 親指・人差し指で押さえ、中指で支える3点支持になり始めるの で、それを基本としたハサミの使い方、箸の使い方、ねじやボタ ンの扱い等、様々に取り入れる。 「なんで?」に代表される質問をさかんにす る。 二次元世界の形成を助けるような声がけをしたり抵抗を入れ、考 えさせる必要がある。 二次元世界が充実してくると、理由を言う。 逆に「なんで?」と聞いてみる…など。 自分のことを「ぼく」「わたし」と言うよう になる。 自我の充実のない場合、無理に言わせるのは良くない。 「3」がわかる。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 性別、姓名、きれい、きたない等の様々な二 次元の捉え方ができ、「~だから~する」と いう二次元の認識を持つようになる。 「いっしょ」「おんなじ」と、2つのものの 共通性を捉えたり、各々の部分の名称が言え たりする。(ドア、ハンドル…) もっとほしい・もっとやる という「しつこ さ」が出てくる。 丸の中に丸が描けるようになる。 「イヤ」「もっと」と大人にぶつかっていき ながら、二次元の対比を盛んにし、自分の中 で自問自答しながら、「なんで?」「いい よ」と解決の道を開き始める。(第一反抗 期) ものを媒介にした「力試し」「取り合い」 「喧嘩」が見られるようになり、泣きわめき ながらも後へ引こうとしない、という姿勢が 見られる。 2人で組んで、ごっこの活動ができる。 自分のことは自分でするようになる。 3 歳 6 ヶ 月 前 後 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 大人が相手になって語りかけたり質問したりして話を促し、引き 出すような場を持つようにすると、個々の発達を捉えることがで きる。 描けることを喜び、認めてあげた上で、描いたものについて聞い てあげる。 「やりたいこと」「やりたくないこと」が先行するが、無理にさ せて結果として反抗を強めるのではなく、その活動を受け入れて 2通りのやり方でできるようにしてあげたり、納得できるよう理 由を話して聞かせ、自分から選べるようにしていく。 二次元を形成し、自我が充実してくると見られるようになる。や りあった後はお互いの気持ちを大人の援助で立ち直らせ、結んで あげるように働きかけ、気持ちが整ったら手伝いや散歩など、共 同のことへの誘いかけをしてあげる。 2人の関係を大事にし、2人の世界での遊びは見守り、介入しな い。 本人のできる力を見て、声がけをしたり見守ったりする。 ・箸を正しく持って食べる。 ・自分の食事の用意ができる。 ・朝・夕の支度ができる。 ・排便後の始末をしようとする。 排便後の始末はきちんとできているか確認する。 ・服や靴の前後・左右・裏表がわかり、直せ る。 靴については、間違えて覚えやすいので正しく覚えられるよう工 夫する。 ・脱いだものをたたむ。 7 ページ 発達の姿 両足を地面から離し、乗物を支えバランスを 取って調整しながら進む。 指導上の留意点 全身での躍動感に満ちた動きをとるようになるので、要求に合っ た場所や運動を考え、工夫する。 ・座位でさらに立位でブランコをこぐ。 ・三輪車をこぐ。 3 歳 6 ヶ 月 前 後 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 走る、跳ぶ、よじ登るといった力が強くな る。 バランス調整ができるようになる。 ・リズムの中でのトンボの片足上げや、コマ の両手を開いての回転がしっかりしてくる。 ・片足跳びが2回くらいはできる。 ・幅のあるところ(15~20cm)を跳び越 す。 ・ボールを両手で頭上から投げる。 ・マットの上で前方回転をする。 二次元形成(二次元可逆操作の獲得に向か う) ・1つのものを2つの対比的概念で判断し、 ものごとを多面的に見ることができる。 1枚のパンツが大きいか小さいか、長いか短いか…。 色々な課題に応じてあれこれ工夫し、思考の 過程を「ことば」で表す。 みんなの中で共通のことを考えたり、自分の意見を言えるような 場を持つようにする。 ・ちがっちゃったよ ・おんなじかな ・どっちにしようかな ・こっちかな 丸の中に顔を描き、顔から手が出る。 3歳後半近くになると足も出てくるが、個人差を考慮する。 集団遊びを喜ぶ。 子どもの反応を見ながら、繰り返しやっていく。 草花や小動物に興味を持ち、遊ぶ。 簡単に栽培できる野菜や花を育てる経験をさせる。 自分のことは自分でする。 「~したら、気持ちが良かった」という機会を多くする。 気持のよい生活の仕方を身につけていく。 3 歳 後 半 ~ 4 歳 前 半 ( 自 我 の 充 実 ~ 自 制 心 の 形 成 へ ) 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て ・食事のマナー ・清潔、整頓 ・片付け ・排便の後始末 片付け・整頓は、自分でできる方法を教える。 1日の生活の中で見通しを持った行動ができる 全体に対しては「~したら~するよ」「~だから~するよ」等の 声がけをし、見通しを持てない子に対しては、「次は何をする ようになる。 の?」と聞きながら、行動の見通しを育てていく。 尐しずつ自己コントロールができるようにな 「~だけれども…」という行動の場面を捉え、できたことを認め り、「遊びたいけど片付けよう」などが次第 てあげ、時にはみんなの中で評価する。 にでき始める。 保育者の手伝いをして、簡単な当番の仕事が できる。 2人組での当番活動をすすめていく。 ・料理の盛り付け、配膳 二次元可逆操作の獲得が始まり、「~しなが ら~する」「~だけれども~する」などがで き始める。 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 二次元可逆操作のできる場を多く作り、1つ1つの動作を確実な ものにしていく。 ・ケンケンができる。(ケンケンしながら前 進する。) ・両手を頭に上げて中腰でのウサギ跳び。 ・両足跳びで障害物を跳び越える。 ・踏切カンカンができる。 ・かかとを上げしゃがんだ姿勢がとれる。 (リズムのアヒル) ・スキップができるようになる。 利き手に道具を持ち、もう片方の手に素材を 持って、操作できるようになる。 色々な素材を使った制作を取り入れる。 ・片手に釘を持ち、金づちを打つ。 ・ハサミで線の通りに切り抜く。 ・輪つなぎや折り紙の基本折りができる。 ・紐を結べるようになる。 道具や素材を不える時は、やりやすい方法を工夫し、「やりた い」という思いや「できた」という達成感を大事にすることで、 すすんで取り組み、上達できるようにしていく。 8 ページ 発達の姿 3 歳 後 半 ~ 4 歳 前 半 ( 自 我 の 充 実 ~ 自 制 心 の 形 成 へ ) 要求や考えていることが言葉で言える。 相手にわからないような言い方をした時には、先取りせずに問い 返す。 順序立てては話せないが、体験したことが話 せる。 話し言葉が豊かになってくる。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 身近な問題で簡単な話し合いができるように なっていく。 3歳児には考える場を多く不え、自分たちで気付かせる。 位置や方向がわかる。 生活の中から具体物・言葉を通して認識させていく。 色や形がわかる。(中間色も含む) 「~だけれども~する」と努力している時には、先取りせず存分 に努力させ、それを認めて、最後に「大きくなったらできるよう になるよ」と将来への期待を育ててやる。 初期の自制心は「~しながら~する」という活動の姿をとるの で、これを充分に展開させることで次の段階へと向かう力をつけ るようにする。 頭足人を描くようになる。 「~しながら~する」から「~だけれども~ する」へと発展してきた自制心が、さらにい よいよ、自己の内面を介して欲求を抑え、 「~だけれども~する」という方向に向かい 出す。 好きな友達との関係がしっかりしてくる。 集団遊びができる。 生活習慣が確立してくる。 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 4 歳 6 ヶ 月 ~ 4 歳 後 半 指導上の留意点 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 2人組を作ったり、鬼ごっこ、ごっこ遊びをやることで、仲間と の関係を確かなものにしていく。 生活習慣の確認をしていく。 ・衣服の調節を自分でする。 ・自分の持ち物を自分で管理するようにな る。(カバン、袋、着替え、コップ) 方法を知らせながら、管理しやすい環境づくりをしていく。 (親も含めて) 大人から指示されなくても見通しを持って行 動できるようになる。 当番の仕事を自分たちで進められるようにな る。 しっかりとした仲間関係を作るとともに、仲間への働きかけに気 づかせていく。 ☆グループ作りをする。 ・グループ内当番となり、グループ内の仲間 の世話をする。 ・グループの世話をするという自覚を持って活動できるようにす る。 手や足や身体全体のコントロールができるよ うになる。 ・スキップ ・鉄棒の前回り ・前転 ・棒登り ・急斜面の上り下り ・どちらの足でもケンケンによる往復前進 ・崖などで片手で体を支えて相手を引き上げ る。 左右の手の動きが巧みになり、道具や素材の 扱いが上達してくる。(左右の手の交互開閉 が巧み) 大人の評価に従って行動するようになり、挑戦する気持ちが強く なるので経験を豊富にして、「やったこと」「できたこと」を認 めてあげる。 みんなの中でも自分の要求や考えを言える。 話し合いの中で1人1人の意見や思いを聞き出す。 仲間の話を聞き自分の思いを調整しようと し、「~だけれども~する」ということがで きるようになる。(二次元可逆操作の獲得) トラブルや話し合いを通じて「けれども」行動を獲得させる。 体験を順序立てて話すことができる。 (接続詞を使う) 時間的空間の間違いは気付かせてあげるような声がけをする。 仲間と共有のイメージを持ってごっこ遊びを したり、ルールを理解して集団遊びを楽しむ ことができる。 仲良しグループができて仲間と共通の遊びを喜ぶようになるの で、いっぱい経験させる。 音の高低や速さの違いがわかる。 リズム等で音を聞き分けて行動できるようにしていく。 絵本やお話を聞いて面白さがわかるようにな り、簡単な読み聞かせも聞けるようになる。 昔話、山場のあるもの、怖い話等、変化に富んだ内容の絵本やお 話を選ぶ。 自制する力がついてくると、相手の気持ちに 気付くようになり、友達や小さい子の世話を 焼くようになる。 グループでの制作や遊びを取り入れたり、小さいクラスの子ども たちの身辺自立に協力してあげるなどの経験をさせる。 自分なりの理由や理屈を言うようになり、そ れを傷つけられると怒りだす。 描画では「人間」が描けるようになる。 胴体を対称軸にして手足が対称であらわれ る。 1つの画面にたくさん描き込んだり、描いた ものからイメージしての系列化した絵も描け るようになる。(4歳後半) 「誇り高き4歳児」の誇りの否定になる叱り方はやめ、また理屈 を度外視して甘やかしたり、言う通りにすることをせず、言い分 を聞いてやり、その理屈の筋道に合った叱り方や励ましをしてい く。 ハサミ、ノリ、金づち、包丁、ひも結びなど、繰り返し経験さ せ、様々な素材や道具の扱いに慣れさせていく。 9 ページ 発達の姿 生 活 に 習 向 慣 け の て 自 立 5 歳 ~ 5 歳 6 ヶ 月 ( 3 次 元 形 成 の 萌 芽 ) 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 生活習慣が確立する。 集団の中での自分の役割が分かり、果たそう とするようになるとともに、生活の中の様々 なことを自分たちで進められるようになって いく。 自分のこと、自分たちのことは本人の自主性に任せ、声がけは解 決の糸口を作るくらいにとどめて、仲間同士の声がけを大事にす る。 ・当番活動 ・ロッカー・引き出しの中の整理 自分の持ち物を整理できるように定期的に見直しさせる。 引き出しの中の衣類の整理を親に教えてもらう。 身体全体のコントロールが進み、手足を共応 させて調整的な制御をし始める。 ・なわとび ・とび箱 ・棒登り ・平均台 歩き ・急な斜面の上り下り ・鉄棒の逆上 がり ・うんていにぶら下がって尐し進め る。 ・竹馬 ・かかと歩き、つま先歩き、 つま先立ち、片足立ちができ始める。(10 秒間) ・スキップ、ケンケンがしっかりと できる。 ・距離をおいての片手ボール投げ や、蹴る・受けるなどのコントロールができ 始める。 (リズム) ・カニやアヒルの股を開いての前進 ・アヒルでの後退 ・走りながら腕を動かす汽車の動き 道具や素材を自由に扱えるようになり、用途 がわかって道具を使い、素材の特徴をつかん だ変形加工をしていく。 色々なことを経験させ、基本的な動きを身につけさせる。 ・折り紙、切り紙で形を作る。 ・粘土で人や動物を作ったり、奥行き・深 さ・高さ・広がりなどのある場を作り始め る。 ・紐の長さを調整したり、感性を予測したり しながら結ぶことができるようになる。 ・のこぎりや包丁を使う。 ・雑巾を絞る。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 生 活 習 慣 の 自 立 に 向 け て 我慢強く頑張ることができ始めるので、継続して力をつけてい く。(仲間の中で自分も…という気持ちにさせる。) 制作場面では、道具を扱う機会を多くする。 色々な素材に触れさせ、様々な方法で自分の思う形を作れるよう にしていく。 「を」「に」等の助詞の使い方が正しくなり 始める。 保育士が正しく話しかける。 話に筋が通っている絵本を読んでもらうのが 好きになる。 子どもが単語だけで言ってきたことをそのまま受け止めず、相手 にわかるような話し方ができるようにしていく。(描画も含む) 物語を読んでもらって、それを聞き理解し て、もう一度話すことができるようになる。 仲間や保育者との語らいの中で、自然に話したいという気持ちに なるよう、1人1人の話をしっかりと聞いてあげ、仲間の中にも 返してあげる。 「1番」ということに新たな関心を持ち始 め、内面的な世界の中で経験をもとにした限 定ができるようになる。 「~だから~する」「~だけれども~じゃな い」「~だと~みたい」等、因果的な考え方 をするようになる。 カタログ期から経験をもとにした思いを描 き、語るようになる。 人物の正面と後ろ向きを意識して描ける。 待つ、目的と周りの様子を見ながら歩く、と いった調整ができるようになる。 ( 生 5 後 歳 第 後 3 半 ~の 新 6 し 歳 い 後 発 半 達 ) 指導上の留意点 ワクワク・ドキドキする話、感動する話等、心に残る内容を選ん であげる。 1番「~なのはどこだ」「~なのは何だ」等の質問をする。 どうしたら良いか、どうするのが良いか等を考えられる話し合い の場を持つ。 毎日の活動を豊かにして、楽しかった・面白かったという思いを 描きたくなるようにし、その思いをしっかりと聞き、書き留めて あげることで、もっと描きたい、もっと語りたいという方向に向 かうようにする。 園外に出かけた時など、子どもたちにまかせて様子を見て、気付 かない時に「~だからどうしたらいい?」「どうしようか」等の 声がけで意識させていく。 集団的帰属性が高くなり、みんなと行動を共 にしようとし、言われたことを守ろうとす る。また、努力したことを褒めてもらうこと で大きい喜びを持つようになる。 目標を持たせたり、守ってほしい事をあらかじめ伝えたりし、み んなと一緒のことをすることに喜びや励みを持たせ、みんなの中 で認めてあげる。 1日の生活の流れの中で、いま何をするかが わかり、自主的に行動する。 子どもたちがお互いに声をかけ合い自主的に当番活動をする姿を 見守る。 ・グループ内当番となり、役割を知って1つ 1つを仲間と共にやり遂げる。 自分たちの生活の場をきれいに整えようとす る。 ・部屋の掃除 ・遊具や絵本の整理整頓 自分の持ち物を管理できるようになる。 ・ロッカー ・宝箱 ・衣類の引き出し 活動の中でのつまづきや問題は、みんなの中での話し合いで解決 できるようにしていく。 片付けやすい環境を作り、掃除の仕方・整理の仕方については自 分たちで話し合い、工夫させて、気持ち良い生活を送れるように していく。 大人自ら整理整頓をして見せることも大事。 10 ページ 発達の姿 足の裏・足指の力が強くなり、前傾姿勢で足 指を蹴る運動や力を制御してバランスをとり ながらの活動ができるようになる。 ・全力疾走のスピードが上がる。 ・幅跳び、垂直跳び、片足跳び ・平均台歩き、竹馬、ボールをつきながら進 む、うんてい渡り、高所からの跳び下り ・とび箱の開脚跳びこし 道具を使い、瞬発力を発揮して調整する活動 ができる。 指導上の留意点 困難なことに対してもしつこく努力するようになるので、活動の 中でも“これができるようになろう”という目標を持たせるよう にする。(課題を乗り越えようとする。) 集団の力で相互に影響し合うような方向へ持っていく。 ・鉄棒での逆上がり・尻上がり ・縄跳び走 ・様々な動きのボール蹴り(サッカー) 運 動 能 力 の 獲 得 に 向 け て 上肢での調整活動もできるようになる。 ・鉛筆、マジックの3点支持がしっかりして くる。 道具を使っての制作などは、大きなものや複雑な形のものを経験 させ、協同で作り上げたり、どうしたらできるかを自分たちで考 えるようにしていく。 ・包丁、ナイフ、のこぎりを使って、切る・ 削る。 ・ボールを目標に向けて投げる、受ける、打 つ。(ドッジボール、三角ベース…) ・折り紙での細かい折り方 ・針に糸を通す。 5 歳 後 半 ~ 6 歳 後 半 ( 生 後 第 3 の 新 し い 発 達 ) ・並縫いができる。 ・雑巾がけ こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り (リズム) ・カメやブリッジの姿勢がきれいにできる。 コマまわり ・チョウ等の柔軟な動きができるようにな る。 ・つま先歩きや側転ができる。 自分の動きに注意を払い、指先まで神経を行き届かせることがで きるようにしていく。 乱暴で汚い言葉が増え、又、相手の言ったこ とをはぐらかしたり茶化したりするようにな るが、6歳後半になると乱暴や汚い言葉が姿 を変えて幼い自己形成視が進んでいく。 口げんかが多くなり、相手に自分の思いを筋 道を立てて示そうとし、言い募る。経験した こと、思ったことを話すとき、「あのねえー とね」と言いつつ、手がかりを探し、話に筋 道をつけようとする。 語り聞かせ、読み聞かせに対する興味が著し く増大し、長い話も全体の筋道を捉えられる ようになる。また、どんでん返しの面白さが 分かるようになる。 相手の反応を見て次に何が出てくるか期待して投げかけ、理由を 述べて自分を正当化しようとする姿なので惑わされずに対応し、 何を言いたいのかを聞き出し応えてやる。これ自体、転倒に基づ く対発生をしていく様子である。 話し言葉が書き言葉になる力を伴ってきているので、急がせたり 先取りして語る意欲を失わせることのないよう、幼い文脈に寄り 添って聞いてやり、つまづいた時にはそのつまづきを取り除いて やるようにする。(「一緒にいたのはだあれ?」「その道には犬 がいたの?」など) さっき、いま、次、昨日、今日、明日、はじ め、つづき、おわり等、時間的認識が具体的 な経験をもとに取り入れられてくる。 ここ、そこ、あそこ、右、左、真ん中、上中 下、前、あいだ、後等の空間認識を持ち、そ の場にふさわしい言い方ができるようにな る。 よく比べ、考えるようになる。 色々なものを集め、比較して共通項や違いを 知っていく。 (描画) あらかじめ描こうとすることを頭に描き、基 底線が出てきて空や地面の下、家の中、海の 中等を意識して描くようになる。 ・イメージが豊かになり想像画を描くように なる。 ・人間を、前・横・後から見た表現ができる ようになる。 ・6歳後半になると、絵本や紙芝居などの創 仲間と一緒にやることで、息を合わせて一つのものを表現した り、楽しんだりすることを経験させる。 三次元的認識 この行動の基本になるのは数の理解・量の認識・形態の認識であ り、これらを深める経験を生活の中に常に取り入れておく。(物 の分類や数量の判断) 制作も見て同じものを作る。また、モデルをなくしても見たもの を思い出して同じように作る等を経験させる。 イメージによる描画活動を大事にする。 ・自由な主題で描く。-- 主体的な表現力を育てる。 ・生活体験を描く。-- 生活を見つめる目と心を育てる。 ・お話を描く。-- 良い文化に出会わせる。人間的な感性や 価値観を育てる。 ※イメージや思いを次々に描くこの時期には、色にこだわらずに 描き込めるように黒一色(細ペン)を使わせる。彩色は絵の具。 11 ページ 発達の姿 指導上の留意点 (6歳後半) ルールに必要な道具(カード、かるた、お 金、メニュー)を作るようになる。 5 歳 後 半 ~ 6 歳 後 半 ( 生 後 第 3 の 新 し い 発 達 ) 制作に必要な道具や素材は、いつでも使えるようにしておく。 仲間と保育園以外に、第3の世界を持つように なる。 こ と ば ・ 認 識 ・ 人 と の 関 わ り 仲間と共に1つの事態について話し合い、解決 クラスの中で起きた問題や何かを決めるための話し合いでは、1 人1人の考えを引き出し、理解したり納得したりできて解決まで していく。 持っていけるようにし、結果を急がない。 仲間との役割遊びを通じ、全体活動や部分活 ルールのある遊びは、3次元形成の楽しい生活的前提であると共 に、「転倒における対発生」をもたらす母体となるので、たっぷ 動にルールに基づく役割交代ができる。 りと遊びこめるようにしていく。(サッカー、缶けり、ドッジ 「転倒における対発生」を行うようになる。 ボール等) ・制作で同じものを作っても、色と形を変え る。 ・自己主張をしても、相手の気持ちも理解し て仲直りができる。 ごっこ遊びでは、現実の世界をそのままに役割を持って展開でき るようになるので、学校ごっこ、お店屋さんごっこ、郵便屋さん ごっこなどを取り入れていく。(お家ごっこでは、家族の数も現 実と同じになってくる。) ・ルールに基づいて、自他の立場を入れ替え る。 労働に参加し、その一部を手伝う(畑仕事な ど)ことで役割を認められ、初期の自己形成 視が培われる。 清掃の仕事等きちんとした指導をしてやり、努力したことに対し ては暖かい評価をしてやることでしっかりとやり遂げられるよう にしていく。 劣等感や反発心を持つようなやり方や、努力を無視するようなや り方では課さない。 嫌がったり失敗した時は、仕事の内容・方法を吟味して保育者と 共同で一定の成果を上げるように持っていく。 困っている友達や小さい子の気持ちを掴ん で、教え導いたり助けたりできるようにな る。 制作や運動で、うまくいかない子への指導を任せたり、小さい子 との交流の場を持たせたりする中で、自主的にかかわる芽を培っ ていく。 12 ページ