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国際連合
現代社会 ラジオ 学習メモ 第 32 回 国際社会と人類の課題 [国際政治のしくみと動向] 国際連合 学習のねらい 国際法は国家法と違い、中央権力による強制力を伴わないために、 二度の世界大戦を回避できなかったが、国際連合の枠組みによる国 際法の実効化の努力を理解する。 講師 佐藤安信 国際連合の成立としくみ 国際連合、いわゆる「国連」は、国際法を強制する力や手段を十分にもっていなかった国際連 盟の失敗を教訓に、第二次世界大戦後に生まれた。主権国家が、国連憲章という、条約によって 作った連合である。内政不干渉が原則ではあるが、国連憲章 7 章に基づき、国際の安全にかか ▼ わる場合は、安全保障理事会の決議で、一定の強制力を行使、強制措置を発動できる。国連憲章 上、戦争が違法化され、国連はこれを保障するものである。しかし、超国家ではないので、加盟 国の上にある機関ではないが、最も普遍的で、国際法の生成に貢献している。 国際連合の役割 国連は、国際法を作る場、多国間外交の場というばかりでなく、広範で世界的規模での行政を 行っている。平和活動ばかりでなく、経済的・社会的問題や自然災害などや紛争に苦しむ人々へ の人道的支援では、国連世界食料計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務 官事務所(UNHCR)などの機関が活動している。国連開発計画(UNDP)は、貧困解消のた めに人間開発指標(HDI)を作成し、国連環境計画(UNEP)は環境保護のための活動をしてい る。司法としても、国際司法裁判所(ICJ)や、国際刑事裁判所(ICC)によって、武力紛争を 平和的に解決するための制度的な取り組みが行われている。 国際連合の課題 国連の予算は通常経費と PKO のための平和維持活動経費に分かれ、加盟国が支払うべき分担 金に依拠している。しかし、組織の肥大化と分担金の滞納などのために恒常的な財政難におちいっ ている。他方、安全保障理事会は、加盟国も発足当時の 51 か国から 193 か国となり、およそ 4 倍に達している。現在の世界情勢にあわせた、安全保障理事会の改革が国連改革の大きなテー マの1つになっている。 − 36 − 高校講座・学習メモ