Comments
Description
Transcript
哺乳動物のアポトーシス亢進に有用な組成物、及び同様の組成物の使用
JP 2007-515158 A 2007.6.14 (57)【 要 約 】 本発明は、哺乳動物のアポトーシス亢進に有用な組成物、及び同様の組成物の使用方法 に関する。 (2) JP 2007-515158 A 2007.6.14 【特許請求の範囲】 【請求項1】 図1に示すヌクレオチド配列(配列番号1)と少なくとも90%の配列同一性を有する ヌクレオチド配列を含有してなる、単離された核酸分子。 【請求項2】 図1に示すヌクレオチド配列(配列番号1)を含有してなる、単離された核酸分子。 【請求項3】 変異形核酸分子である、請求項2に記載の核酸分子。 【請求項4】 ストリンジェントな条件下で図1に示すヌクレオチド配列(配列番号1)の相補鎖にハ 10 イブリダイズする、単離された核酸分子。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の核酸を含有してなる発現ベクター。 【請求項6】 ベクターで形質転換した宿主細胞によって認識されるコントロール配列に、前記核酸が 作用可能に結合する、請求項5に記載の発現ベクター。 【請求項7】 請求項6に記載の発現ベクターを有する宿主細胞。 【請求項8】 哺乳動物細胞、大腸菌細胞又は酵母細胞である、請求項7に記載の宿主細胞。 20 【請求項9】 前記ポリペプチドの発現に適した条件下で請求項8に記載の宿主細胞を培養すること、 及び細胞培養物から前記ポリペプチドを回収することを含む、ポリペプチド製造方法。 【請求項10】 図1に示すヌクレオチド配列(配列番号1)によってコードされるポリペプチドと少な くとも90%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたML−IAPキメラポリペプチ ド。 【請求項11】 (a)図2(配列番号2)又は図14(配列番号6)に示すポリペプチド、 (b)C末端が切断されている、図2(配列番号2)又は図14(配列番号6)に示す 30 ポリペプチド、 (c)N末端が切断されている、図2(配列番号2)又は図14(配列番号6)に示す ポリペプチド、 (d)残基160∼179のBIRドメインが変更されている、図2(配列番号2)又 は図14(配列番号6)に示すポリペプチド、 と、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたポリペプチド。 【請求項12】 図2(配列番号2)又は図14(配列番号6)に示すML−IAPキメラアミノ酸配列 を含有してなる、単離されたポリペプチド。 【請求項13】 40 異種ポリペプチドに融合した請求項10又は11に記載のポリペプチドを含有してなる キメラポリペプチド。 【請求項14】 IAPポリペプチドのカスパーゼ阻害を調節する化合物のスクリーニング方法であって 、 (a)空間群P41212において、およそ87×87×74Åの単位細胞寸法を有す る 、 図 2 ( 配 列 番 号 2 ) 又 は 図 1 4 (配 列 番 号 6 )に 示 す 分 子 の 結 晶 構 造 を 、 既 知 の I A P インヒビターに接触させること、 (b)インヒビター候補を(a)に示す複合体に浸漬すること、 (c)インヒビター候補が既知のIAPインヒビターを置換するかどうかを決定するこ 50 (3) JP 2007-515158 A 2007.6.14 と を含む方法。 【請求項15】 IAPポリペプチドのカスパーゼ阻害を調節する化合物のスクリーニング方法であって 、 a.化合物を用いてIAPポリペプチドを共結晶化すること、 b.結合分子の構造をX線クロマトグラフィーにより分解すること、 c.共結晶化した分子の座標をモデル化すること、 d.(c)で生成された座標を用いて双方向式手順を適用し、IAPポリペプチドのア ゴニスト候補又はアンタゴニスト候補を同定すること、 10 e.アゴニスト又はアンタゴニストを合成すること、 f.アゴニスト又はアンタゴニストをIAPポリペプチドと接触させ、前記IAPポリ ペプチドとのその相互作用能を測定すること を含む方法。 【請求項16】 ML−IAPキメラのカスパーゼ阻害を調節する化合物のスクリーニング方法であって 、 a.前記化合物の存在下でカスパーゼポリペプチドとIAPポリペプチドを接触させる こと、 b.調節化合物不在下のカスパーゼ活性の量と比較した場合の、カスパーゼ活性の量を 20 検出すること を含む方法。 【請求項17】 前記カスパーゼは、カスパーゼ3及びカスパーゼ9からなる群から選択される、請求項 16に記載の方法。 【請求項18】 抗体を用いてカスパーゼ活性を検出する、請求項16に記載の方法。 【請求項19】 タンパク質基質の切断によってカスパーゼ活性を検出する、請求項16に記載の方法。 【請求項20】 30 IAPポリペプチドが図2(配列番号2)又は図14(配列番号6)に示すものである 、請求項16に記載の方法。 【請求項21】 IAPポリペプチドのアンタゴニストのスクリーニング方法であって、 (a)図1(配列番号1)に示すIAPキメラを細胞に形質移入すること、 (b)形質移入した細胞をIAPアンタゴニスト候補に接触させること、 (c)前記アンタゴニストが、アンタゴニスト未処理細胞と比較してIAPを発現する 細胞のアポトーシスを増大させたかどうかを決定すること を含む方法。 【請求項22】 40 細胞の生存率を向上させる方法であって、細胞中のML−IAPキメラポリペプチドの カスパーゼ阻害活性を変更する化合物に対し、細胞を接触させることを含む方法。 【請求項23】 カスパーゼとML−IAPキメラの特異的結合を変化する化合物の同定方法であって、 (a)カスパーゼとML−IAPキメラが特異的に結合できる条件下で、カスパーゼ及 びML−IAPキメラを、カスパーゼ及びML−IAPキメラの会合を変化する能力を有 すると思われる化合物に接触させること、 (b)カスパーゼとML−IAPキメラの会合の変化を検出することにより、カスパー ゼとML−IAPキメラの会合を変化する化合物を同定すること を含む方法。 50 (4) JP 2007-515158 A 2007.6.14 【請求項24】 接触をインビトロで行う、請求項23に記載の方法。 【請求項25】 接触を細胞内で起こす、請求項23に記載の方法。 【請求項26】 前記カスパーゼは、カスパーゼ3及びカスパーゼ9からなる群から選択される、請求項 23に記載の方法。 【請求項27】 ML−IAPキメラと化合物を接触させることを含み、分子の結合を蛍光偏光によって 測定することができる、請求項23に記載の方法。 10 【発明の詳細な説明】 【発明の開示】 【0001】 (優先権の主張) 本出願は、米国特許法119条の下に、2003年11月13日に出願された米国特許 仮出願第60/519,863号の優先権を主張し、この仮出願全体を出典明記により本 明細書に包含する。 【0002】 (発明の分野) 本発明は、哺乳動物のアポトーシスを亢進する組成物のスクリーニングに有用な組成物 20 、及びスクリーニング方法に関する。 【0003】 (発明の背景) アポトーシス又はプログラム細胞死は脊椎動物と同様に無脊椎動物での発達及び恒常性 に重要な役割を持つ一般的及び生化学的な調節機能である。未熟な細胞死を引き起こすア ポトーシス異常は様々な発育性疾患に関与している。結果的に細胞死欠乏となるアポトー シ ス 欠 損 は 、 癌 及 び 慢 性 ウ イ ル ス 感 染 に 関 与 し て い る (Thompson等 , (1995) Science 267, 1456-1462)。 アポトーシスにおけるある重要なエフェクター分子にカスパーゼがある(アスパラギン 酸特異的プロテアーゼを含むシステイン)。カスパーゼはアスパラギン酸残基後を切断す 30 る強力なプロテアーゼであり、活性化されると細胞内から生細胞タンパク質を消化する。 カスパーゼは高度に活性なプロテアーゼなので、未熟な細胞死を予防するためにこのタン パク質ファミリーの厳重なコントロールが重要である。一般に、カスパーゼは主として不 活性型チモーゲンとして合成され、活性化されるにはタンパク質分解過程を要する。この タンパク質分解過程はカスパーゼ調節の唯一の手段である。調節の二次的機能はカスパー ゼに結合して阻害するタンパク質ファミリーが介する。 【0004】 カ ス パ ー ゼ を 阻 害 す る 分 子 フ ァ ミ リ ー は ア ポ ト ー シ ス 阻 害 因 子 ( I A P ) で あ る (Dever aux等 , J Clin Immunol (1999), 19:388-398)。 I A P は 本 来 そ の P 3 5 タ ン パ ク 質 を 代 用する機能的能力によってバキュロウイルスにおいて発見された抗アポトーシス遺伝子で 40 あ る (Crook等 . (1993) J Virology 67, 2168-2174)。 I A P は シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ か ら ヒ ト にわたる生物体において記述されている。器官に関係なく構造的に、IAPは1から3の バキュロウイルスIAPリピート(BIR)ドメインを含み、それらのほとんどはカルボ キシル末端RINGフィンガーモチーフも有している。BIRドメイン自体は5つのαヘ リックス及び3つのβ鎖を含む約80残基のzinc結合ドメインであり、zincイオ ン を 配 位 す る シ ス テ イ ン と ヒ ス チ ジ ン を 有 す る (Hinds等 , (1999) Nat. Struct. Biol. 6, 648-651; Sun等 、 (1999) Nature 401, 818-22; Sun等 、 (2000) J. Biol Chem. 275, 337 77-81)。 全てのIAPタンパク質は、バキュロウイルスIAPリピート(BIR)の1∼3のコ ピー、80のアミノ酸からなる亜鉛結合ドメインを含み、これらは活性化されたカスパー 50 (5) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ゼ3、7、及び9、並びに成熟Smac/DIABLO及びHtrA2/Omiなどの天 然IAPタンパク質アンタゴニストを含む多数のサイトゾル標的と相互作用するために必 要である。しかしながら、異なるBIRドメインは、これらタンパク質に対して異なる親 和性を有し、よってアポトーシスの調節に別個の機能を有する。例えば、X染色体にリン クするIAP(XIAP)の第2BIRドメインは直前のリンカー領域(XIAP−BI R2)と共に、カスパーゼ3及び7に結合し、2∼10nMの阻害定数でそれらを阻害す る ( Takahashi等 、 (1998) J Biol Chem 273(14): 7787-90; Sun等 、 (1999) Nature 401 ( 6755): 818-22) 。 一 方 、 X I A P の 第 3 B I R ド メ イ ン ( X I A P − B I R 3 ) は 1 0 ∼ 2 0 n M の 阻 害 定 数 で カ ス パ ー ゼ 9 を 特 異 的 に 阻 害 す る ( Deveraux等 、 (1999) Genes D ev 13: 239-252; Liu等 、 (2000) Nature 408(6815): 1004-8; Sun等 、 (2000) J Biol Che 10 m 275(43): 33777-81) 。 対 照 的 に 、 ア ポ ト ー シ ス の 黒 色 腫 イ ン ヒ ビ タ ー の 単 一 の B I R ドメイン(ML−LAP)は、カスパーゼ3及び9をわずかに阻害するが、カスパーゼ7 は 阻 害 し な い こ と が 分 か っ て お り 、 但 し 阻 害 定 数 は 報 告 さ れ て い な い ( Vucic等 、 (2000) Curr Biol 10(21): 1359-66) 。 【0005】 黒 色 腫 I A P ( M L − I A P ) は 黒 色 腫 に お け る I A P 発 現 を 強 く 上 方 制 御 す る (Vucic 等 , (2000) Current Bio 10:1359-1366)。 タ ン パ ク 質 構 造 の 決 定 に よ り 、 ヒ ト X I A P 、 C−IAP1及びC−IAP2に存在するドメインに対応する顕著な相同性を示すML− IAP BIR及びRINGフィンガードメインが明らかにされた。ML−IAPのBI R ド メ イ ン は X I A P の BIR2及 び BIR3、 C-IAP1及 び C-IAP2に 最 も 類 似 性 が あ り 、 欠 損 解 析 20 に 示 さ れ る よ う に ア ポ ト ー シ ス 阻 害 を 担 っ て い る と 思 わ れ る 。 さ ら に 、 Vucic等 は M L − IAPが化学療法剤誘導性アポトーシスを阻害することを明らかにした。アドリアマイシ ン 及 び 4 -第 三 ブ チ ル フ ェ ノ ー ル ( 4 − T B P ) 等 の 薬 剤 を M L − I A P を 過 剰 発 現 す る 黒色腫の細胞培養系で試験すると、正常メラニン細胞対照と比較して化学療法剤が細胞を 死滅する影響が著しく低かった。ML−IAPが抗アポトーシス活性を示す機構はカスパ ーゼ3及び9の阻害によるものである。ML−IAPはカスパーゼ1、2、6、7又は8 を有効に阻害しなかった。 アポトーシスは多様な相互因子を持つ厳密に制御された経路であるので、IAP自体が 調節を受けるという発見は特異なことではなかった。ショウジョウバエDrosophi l a で は 、 Reaper (rpr)、 頭 部 退 行 欠 損 ( Head Involution Defective) (hid)及 び GRIMタ 30 ンパク質が物理的に相互作用し、ショウジョウバエのIAPファミリーの抗アポトーシス 活 性 を 阻 害 す る 。 哺 乳 動 物 で は 、 タ ン パ ク 質 SMAC/DIABLOが I A P を 遮 断 す る よ う に 働 き 、アポトーシスが進行する。正常なアポトーシスではSMACが活性型になると、ミトコ ンドリアから細胞質に放出され、物理的にIAPに結合してIAPがカスパーゼに結合す るのを阻害することが示された。このIAPの阻害により、カスパーゼは活性化された状 態であるためアポトーシスが進行する。 【0006】 これらIAPタンパク質アンタゴニストのアポトーシス促進機能は、成熟タンパク質の N末端に見られる保存された4残基IAPタンパク質間相互作用モチーフ(A−V/I− P / A − I / F / Y ) に よ っ て 決 ま る ( Chai等 、 (2000) Nature 406:855-862; Srinivasu 40 la等 、 (2001) Nature 410(6824):112-6) 。 こ の 保 存 さ れ た モ チ ー フ は ま た 、 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ タ ン パ ク 質 の Reaper、 Hid、 Grim、 Sickle、 及 び Jafrac2に 見 ら れ 、 こ れ ら も I A P タンパク質をアンタゴナイズし、よってSmac/DIABLOの機能的相同体をアンタ ゴ ナ イ ズ す る ( White等 、 (1994) Science 264(5159):677-83; Grether等 、 (1995) Genes Dev 9(14):1694-708; Chen等 、 (1996) Genes Dev 10(14):1773-82; Goyal等 、 (2000) Emb o J 19(4): 589-97; Christich等 、 (2002) Curr Biol 12(2):137-40; Srinivasula等 、 (2 002) Curr Biol 12(2):125-30; Tenev等 、 (2002) Embo J 21(19): 5118-29; Wing等 、 (20 02) Curr Biol 12(2):131-5) 。 構 造 研 究 に よ り 、 こ れ ら N 末 端 の ペ プ チ ド は B I R ド メ インの表面溝に結合し、この結合は、ペプチドの保存されたN末端アラニン残基に関する 静電気的相互作用、並びに複数の分子間水素結合及び疎水性相互作用により安定化してい 50 (6) JP 2007-515158 A 2007.6.14 る こ と が 判 明 し て い る ( Liu等 、 (2000) Nature 408:1004-1008, Wu等 、 (2000) Nature 40 8 1008-1012; Wu等 、 (2001) Mol. Cell 8, 95-104; Srinivasula等 、 (2002) Curr. Biol. 12, 125-30; Franklinら 、 (2003) Biochem. 42 8223-31) 。 上述のようなアポトーシス研究の進歩にもかかわらず、癌の進行を抑制するための、哺 乳動物におけるアポトーシス亢進能を有する付加的診断及び治療用薬剤の需要が高い。本 発明は、特定残基がXIAP−BIR3に見られる残基に対応しており、残りがML−I APに対応しているキメラML−IAPポリペプチドに関する。キメラタンパク質による カスパーゼ9に対する結合及びその阻害は、天然のML−IAP又はXIAPと比較して 有意に良好であるが、Smacを主成分とするペプチド及び成熟Smacに対するその結 合親和性は、天然ML−IAPのものと類似していることが判明している。キメラML− 10 IAPポリペプチドのカスパーゼ9阻害の向上は、MCF7細胞に形質移入されたとき、 ドキソルビシン誘発性アポトーシスの阻害が増大することと相関している。したがって、 本発明はML−IAPキメラポリペプチドの使用と、IAPアンタゴニストのスクリーニ ング方法に関する。 【0007】 (発明の概要) 一実施形態において、本発明はML−IAPキメラを提供する。このようなキメラをス クリーニング法に使用して、ML−IAPキメラとカスパーゼの会合を変化させる薬剤を 同定することができる。好ましくは、カスパーゼはカスパーゼ3又はカスパーゼ9である 。 20 別の実施形態では、本発明は、ML−IAPキメラで細胞を形質移入し、次いで細胞を IAPインヒビターに接触させることにより、細胞集団のアポトーシス特性を変更し、ア ポトーシスに対する細胞の感受性が増大したかどうかを決定する方法を提供する。好まし い実施形態では、形質移入した細胞を、APO2L等の2次的なアポトーシス剤でも処理 する。 本発明の更に別の実施形態は、IAPインヒビターを有すると思われる試料中における ML−IAPキメラインヒビターの存在を決定する方法を目的とし、本方法では、IAP インヒビターに結合するML−IAPキメラに試料を曝し、試料中でのIAPインヒビタ ーに対するML−IAPキメラの結合を測定し、そのような結合の存在が試料中における IAPインヒビターの存在を示す。場合によっては、試料はIAPインヒビターを発現す 30 ると思われる細胞を含むことができる。本方法に使用するML−IAPキメラポリペプチ ドは、場合によって検出可能に標識したり、固体支持体に付着させたりすることができる 。 本発明の更なる他の実施態様は、ML−IAPキメラを発現する細胞へのIAPインヒ ビター結合方法に関し、該方法は、ML−IAPキメラの該IAPインヒビターへの結合 に適する条件下で該IAPインヒビターとML−IAPキメラを発現する細胞とを接触さ せ、それらを結合させることを含む。 【0008】 本発明の更に別の実施形態は、ML−IAPキメラの結晶構造の使用によるIAPイン ヒビターの同定方法を目的とし、本方法では、前記結晶構造を用いることにより、BIR 40 ドメインとIAPインヒビター候補の間の接触残基を同定する。このような接触残基及び 近隣の残基は、本明細書で説明する技術による代替物の候補となる。このような変異体が 生成されたら、変異体のパネルを本明細書に開示するようにしてスクリーニングし、1以 上の関連アッセイにおいて優れた特性を有するIAPインヒビターを同定する。 別の実施形態では、本発明は、上記又は後述するポリペプチドのいずれかに特異的に結 合する抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体 断片又は一本鎖抗体である。一態様では、本発明はML−IAPキメラポリペプチドに結 合する単離された抗体に関する。別の態様では、抗体はML−IAPキメラの活性を阻害 又は中和する(アンタゴニスト抗体)。別の態様では、抗体はモノクローナル抗体であり 、好ましくは非ヒト相補性決定領域(CDR)残基及びヒトフレームワーク領域(FR) 50 (7) JP 2007-515158 A 2007.6.14 残基を有する。抗体は標識することができ、及び固体支持体に固定することができる。さ らなる態様では、抗体は抗体断片、モノクローナル抗体、一本鎖抗体、又は抗イデオタイ プ抗体である。 また別の実施形態では、本発明は、抗ML−IAPキメラ抗体を製薬的に許容可能な担 体と混合して含有してなる組成物に関する。一態様では、組成物は治療的有効量の抗体を 含有する。好ましくは、この組成物は無菌である。本組成物は、長期の貯蔵安定性を達成 できる液体医薬製剤の形態で投与することができる。あるいは、抗体はモノクローナル抗 体、抗体断片、ヒト化抗体、又は一本鎖抗体である。 【0009】 更なる実施形態では、本発明は、 10 (a )M L − I A P キ メ ラ ポ リ ペ プ チ ド 又 は そ の ア ゴ ニ ス ト 又 は ア ン タ ゴ ニ ス ト を 含 む 組 成 物; (b )前 記 組 成 物 を 収 容 す る 容 器 ; 並 び に 癌の軽減における前記ML−IAPキメラポリペプチド又はそのアゴニスト又はアンタゴ ニストの使用を記した前記容器に添付されるラベル、又は前記容器に含まれる包装挿入物 を含んでなる製造品に関する。この組成物は、ML−IAPキメラポリペプチド、或いは そのアゴニスト又はアンタゴニストの治療的有効量を含むことができる。 別の実施形態では、本発明は哺乳動物における癌の診断方法に関し、本方法は、(a) 哺乳動物から得られた組織細胞の試験試料、並びに(b)同じ細胞型の既知の正常組織細 胞のコントロール試料において、IAPインヒビターをコードする遺伝子の発現レベルを 20 検出することを含んでなり、コントロール試料と比較して試験試料で高い又は低い発現レ ベルが、試験組織細胞が得られた哺乳動物における癌の存在を示す。 別の実施形態では、本発明は、哺乳動物における癌の診断方法に関し、本方法は、(a )哺乳動物から得られた組織細胞の試験試料と抗ML−IAPキメラ抗体を接触させ、( b)試験試料中におけるこの抗体とML−IAPキメラポリペプチド間の複合体の形成を 検出することを含んでなり、前記複合体の形成が、前記癌の存在の有無を示す。検出は定 性的又は定量的であってよく、同じ細胞型の既知の正常組織細胞のコントロール試料にお ける複合体の形成をモニターし、それと比較して行うことができる。試験試料中に形成さ れた多量の複合体は、試験組織細胞が得られた哺乳動物における癌の有無を示す。抗体は 、好ましくは検出可能なラベルを有する。複合体の形成は、例えば、光学顕微鏡、フロー 30 サイトメトリー、蛍光定量法、或いは当該分野で知られている他の技術によってモニター することができる。試験試料は、通常、癌を有すると思われる個体から得る。 【0010】 別の実施形態では、本発明は、試料中のIAPポリペプチドの存在を測定する方法を提 供し、本方法は、IAPポリペプチドを含有すると思われる細胞の試験試料を抗ML−I APキメラ抗体へ曝露し、前記抗体の前記細胞試料への結合を測定することを含む。特定 の態様では、この試料はIAPポリペプチドを含有すると思われる細胞を含み、抗体は細 胞に結合する。この抗体は、好ましくは検出可能に標識され及び/又は固体支持体へ結合 される。 別の実施形態では、本発明は、抗ML−IAPキメラ抗体と担体を適切な包装体に含ん 40 でなる、癌関連疾患診断用キットに関する。このキットは、好ましくは、IAPポリペプ チドの検出に抗体を用いるための指示書を含む。好ましくは、この担体は製薬的に許容可 能である。 別の実施形態では、本発明は、適切な包装体に抗ML−IAPキメラ抗体を含む診断用 キットに関する。このキットは、好ましくは、この抗体をML−IAPキメラの検出に用 いるための指示書を含む。 【0011】 その他の実施形態では、本発明は: (a)通常は、IAPポリペプチドによって誘導される細胞応答の誘導に適した条件下で スクリーニングされる試験化合物と細胞を接触させ; 50 (8) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (b)前記細胞応答の誘導を測定して試験化合物が有効アゴニストであるかどうかを確定 することを含み、前記細胞応答の誘導により、前記試験化合物が有効なアゴニストである ことが示される、ML−IAPキメラポリペプチドのアゴニストを同定する方法に関する 。 別の実施形態では、本発明は、ML−IAPキメラポリペプチドの活性の阻害能を有す る化合物を同定する方法に関し、本方法は、候補化合物とML−IAPキメラポリペプチ ドの相互作用を可能にするのに十分な条件と時間にわたってこの二つの成分を接触させ、 ML−IAPキメラポリペプチドの活性が阻害されるかどうかを測定することを含む。特 定の態様では、候補化合物又はML−IAPキメラポリペプチドのいずれかを固体支持体 上に固定する。別の態様では、非固定化成分に検出可能なラベルを付す。好ましい態様で 10 は、本方法は: (a)通常は、IAPポリペプチドによって誘導される細胞応答の誘導に適した条件下に おいて、ML−IAPキメラポリペプチドの存在で、スクリーニング対象の試験化合物と 細胞を接触させる工程;並びに (b)試験化合物が有効アンタゴニストであるかどうかを決定するために、前記細胞応答 の誘導を測定する工程 を含む。 別の実施形態では、本発明は、通常はML−IAPキメラポリペプチドを発現する細胞 において該ポリペプチドの発現を阻害する化合物を同定する方法を提供し、本方法は、細 胞を試験化合物に接触させ、ML−IAPキメラポリペプチドの発現が阻害されるかどう 20 かを決定することを含む。好ましい態様では、この方法は: (a)ML−IAPキメラポリペプチドを発現させるのに適した条件下でスクリーニング 対象の試験化合物と細胞を接触させる工程;並びに (b)前記ポリペプチドの発現の阻害を測定する工程を を含む。 【0012】 更に別の実施形態では、本発明は、罹患している哺乳動物の癌を治療する方法に関し、 本方法は、(a)ML−IAPキメラポリペプチド、(b)ML−IAPキメラポリペプ チドのアゴニスト、又は(c)ML−IAPキメラポリペプチドのアンタゴニストのいず れかをコードする核酸分子を哺乳動物へ投与することを含み、ここで、アゴニスト又はア 30 ンタゴニストは抗ML−IAPキメラ抗体とすることができる。好ましい実施形態では、 この哺乳動物はヒトである。別の好ましい実施形態では、この核酸はエキソビボ遺伝子治 療によって投与される。更なる好ましい実施形態では、核酸は、ベクター、より好ましく はアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス又はレトロウイルスベクターで ある。 更に別の態様では、本発明は、プロモーター、(a)ML−IAPキメラポリペプチド 、(b)ML−IAPキメラポリペプチドのアゴニスト、又は(c)ML−IAPキメラ ポリペプチドのアンタゴニストをコードする核酸、並びにポリペプチドの細胞分泌のため のシグナル配列から本質的になるウイルスベクターを含んでなる組換えウイルス粒子を提 供し、ここで、ウイルスベクターがウイルス構造タンパク質に関連する。好ましくは、シ 40 グナル配列は哺乳動物由来のものである。 更なる実施形態では、本発明は、レトロウイルス構造タンパク質を発現する核酸コンス トラクトを含んでなるエキソビボ産生細胞に関し、この核酸コンストラクトは、また、プ ロモーター、(a)ML−IAPキメラポリペプチド、(b)ML−IAPキメラポリペ プチドのアゴニスト、又は(c)ML−IAPキメラポリペプチドのアンタゴニストをコ ードする核酸、並びにポリペプチドの細胞分泌のためのシグナル配列から本質的になるレ トロウイルスベクターを含み、前記産生細胞が構造タンパク質に関連するレトロウイルス ベクターを包み込んでおり、組換えレトロウイルス粒子を生産する。 【0013】 更なる実施形態では、本発明は哺乳動物の細胞増殖を増大させる方法を提供し、本方法 50 (9) JP 2007-515158 A 2007.6.14 は、前記哺乳動物に対し(a)ML−IAPキメラポリペプチド、又は(b)ML−IA Pキメラポリペプチドのアゴニストを投与することを含み、よって哺乳動物の細胞増殖を 増大させる。 更なる実施形態では、本発明は哺乳動物の細胞増殖を低減する方法を提供し、本方法は 、前記哺乳動物に対し(a)ML−IAPキメラポリペプチド、又は(b)ML−IAP キメラポリペプチドのアンタゴニストを投与することを含み、よって哺乳動物の細胞増殖 を低減する。 更なる実施形態では、本発明は哺乳動物の細胞のアポトーシスを低減する方法を提供し 、本方法は、前記哺乳動物に対し(a)ML−IAPキメラポリペプチド、又は(b)M L−IAPキメラポリペプチドのアゴニストを投与することを含み、よって哺乳動物の細 10 胞のアポトーシスを低減する。 更なる実施形態では、本発明は哺乳動物の細胞のアポトーシスを増大する方法を提供し 、本方法は、前記哺乳動物に対しML−IAPキメラポリペプチドのアンタゴニストを投 与することを含み、よって哺乳動物の細胞のアポトーシスを増大させる。 【0014】 更なる実施形態 本発明の他の実施形態では、本発明は、ここに開示されるポリペプチドのいずれかをコ ードするDNAを含むベクターを提供する。また、そのようなベクターを含む宿主細胞が 提供される。例として、宿主細胞はCHO細胞、大腸菌、又は酵母である。ここに開示さ れるポリペプチドのいずれかを生産する方法が更に提供され、該方法は、所望のポリペプ 20 チドの発現に適した条件下で宿主細胞を培養し、細胞培養物から所望のポリペプチドを回 収することを含む。 他の実施形態では、本発明は、異種ポリペプチド又はアミノ酸配列に融合したここに開 示されるポリペプチドのいずれかを含むキメラ分子を提供する。そのようなキメラ分子の 例には、免疫グロブリンのFc領域又はエピトープタグ配列に融合したここに開示のポリ ペプチドのいずれかを含むキメラ分子が含まれる。 別の実施形態では、本発明は上述又は後述のポリペプチドのいずれかに特異的に結合す る抗体を提供する。場合によっては、抗体はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗体断片 又は一本鎖抗体である。 また別の実施形態では、本発明は、アンチセンスプローブとして又はゲノム及びcDN 30 Aヌクレオチド配列の単離に有用なオリゴヌクレオチドプローブを提供し、それらのプロ ーブは前述又は後述のヌクレオチド配列のいずれかから得られる。 他の実施形態では、本発明は、ML−IAPキメラポリペプチドをコードするヌクレオ チド配列を含む単離された核酸分子を提供する。 【0015】 一態様では、単離された核酸分子は、(a)ここに開示されたアミノ酸配列、又はここ に開示された完全長アミノ酸配列のその他の具体的に定義された断片を有するML−IA PキメラポリペプチドをコードするDNA分子、或いは(b)(a)のDNA分子の相補 鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約81%の核酸配 列同一性、或いは少なくとも約82%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約83%の核 40 酸配列同一性、或いは少なくとも約84%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約85% の核酸配列同一性、或いは少なくとも約86%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約8 7%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約88%の核酸配列同一性、或いは少なくとも 約89%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約90%の核酸配列同一性、或いは少なく とも約91%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約92%の核酸配列同一性、或いは少 なくとも約93%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約94%の核酸配列同一性、或い は少なくとも約95%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約96%の核酸配列同一性、 或いは少なくとも約97%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約98%の核酸配列同一 性、或いは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチド配列を含む。 別の態様では、単離された核酸分子は、(a)ここに開示されたML−IAPキメラポ 50 (10) JP 2007-515158 A 2007.6.14 リペプチドcDNAのコード配列、又はここに開示された完全長アミノ酸配列のその他の 具体的に定義された断片のコード配列を含んでなるDNA分子、或いは(b)(a)のD NA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約 81%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約82%の核酸配列同一性、或いは少なくと も約83%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約84%の核酸配列同一性、或いは少な くとも約85%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約86%の核酸配列同一性、或いは 少なくとも約87%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約88%の核酸配列同一性、或 いは少なくとも約89%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約90%の核酸配列同一性 、或いは少なくとも約91%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約92%の核酸配列同 一性、或いは少なくとも約93%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約94%の核酸配 10 列同一性、或いは少なくとも約95%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約96%の核 酸配列同一性、或いは少なくとも約97%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約98% の核酸配列同一性、或いは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有しているヌクレオチ ド配列を含む。 【0016】 更なる態様では、本発明は、(a)ここに開示したヒトタンパク質cDNAのいずれか によってコードされているのと同じ成熟ポリペプチドをコードするDNA分子、或いは( b)(a)のDNA分子の相補鎖に対して、少なくとも約80%の核酸配列同一性、或い は少なくとも約81%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約82%の核酸配列同一性、 更に或いは少なくとも約83%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約84%の核酸 20 配列同一性、更に或いは少なくとも約85%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約 86%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約87%の核酸配列同一性、更に或いは 少なくとも約88%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約89%の核酸配列同一性 、更に或いは少なくとも約90%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約91%の核 酸配列同一性、更に或いは少なくとも約92%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも 約93%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約94%の核酸配列同一性、更に或い は少なくとも約95%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約96%の核酸配列同一 性、更に或いは少なくとも約97%の核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約98%の 核酸配列同一性、更に或いは少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列 を含んでなる単離された核酸分子に関する。 30 別の態様では、本発明は、ML−IAPキメラポリペプチドのコード化ヌクレオチド配 列を含むか、或いはそのようなコード化ヌクレオチド配列に対して相補的であるヌクレオ チド配列を含んでなる単離された核酸分子を提供する。 【0017】 他の実施形態は、ML−IAPキメラポリペプチドのコード配列の断片、又はその相補 鎖に関し、それらは、例えば、場合によっては抗ML−IAPキメラ抗体に対する結合部 位を含むポリペプチドをコードするML−IAPキメラポリペプチドのコード化断片のハ イブリダイゼーションプローブとして、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドプローブと しての用途が見いだされ得る。このような核酸断片は、通常は少なくとも約20ヌクレオ チド長、或いは少なくとも約30ヌクレオチド長、或いは少なくとも約40ヌクレオチド 40 長、或いは少なくとも約50ヌクレオチド長、或いは少なくとも約60ヌクレオチド長、 或いは少なくとも約70ヌクレオチド長、或いは少なくとも約80ヌクレオチド長、或い は少なくとも約90ヌクレオチド長、或いは少なくとも約100ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約110ヌクレオチド長、或いは少なくとも約120ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約130ヌクレオチド長、或いは少なくとも約140ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約150ヌクレオチド長、或いは少なくとも約160ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約170ヌクレオチド長、或いは少なくとも約180ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約190ヌクレオチド長、或いは少なくとも約200ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約250ヌクレオチド長、或いは少なくとも約300ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約350ヌクレオチド長、或いは少なくとも約400ヌクレオチド長、或いは 50 (11) JP 2007-515158 A 2007.6.14 少なくとも約450ヌクレオチド長、或いは少なくとも約500ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約600ヌクレオチド長、或いは少なくとも約700ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約800ヌクレオチド長、或いは少なくとも約900ヌクレオチド長、或いは 少なくとも約1000ヌクレオチド長であり、ここで「約」という語の内容は参照する長 さのプラス又はマイナス10%のヌクレオチド配列長を指すことを意味する。ML−IA Pキメラポリペプチドコード化ヌクレオチド配列の新規な断片は、多くの良く知られた配 列アラインメントプログラムの任意のものを用いてML−IAPキメラポリペプチドコー ド化ヌクレオチド配列と他の公知のヌクレオチド配列とを整列させ、いずれのML−IA Pキメラポリペプチドコード化ヌクレオチド配列断片が新規であるかを決定することによ り、日常的な手法で同定してもよい。このようなML−IAPキメラポリペプチドコード 10 化ヌクレオチド配列の全ては、ここで考慮される。また、これらのヌクレオチド分子断片 、好ましくは抗ML−IAPキメラ抗体に対する結合部位を含むML−IAPキメラポリ ペプチド断片によってコードされるML−IAPキメラポリペプチド断片も考慮される。 別の実施形態では、本発明は、上記で特定された単離された核酸配列のいずれかによっ てコードされる単離されたML−IAPキメラポリペプチドを提供する。 【0018】 一態様では、本発明は、ここに開示した完全長アミノ酸配列、ここに開示したシグナル ペプチドを欠くアミノ酸配列、ここに開示したシグナルペプチドを有するか又は有しない 膜貫通タンパク質の細胞外ドメイン、或いはここに開示した完全長アミノ酸配列のその他 の具体的に定義された断片を有するML−IAPキメラポリペプチドに対して、少なくと 20 も約80%のアミノ酸配列同一性、或いはは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、 或いは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約83%のアミノ酸 配列同一性、或いは少なくとも約84%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約85 %のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約86%のアミノ酸配列同一性、或いは少な くとも約87%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性 、或いは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約90%のアミノ 酸配列同一性、或いは少なくとも約91%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約9 2%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約93%のアミノ酸配列同一性、或いは少 なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一 性、或いは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約97%のアミ 30 ノ酸配列同一性、或いは少なくとも約98%のアミノ酸配列同一性、そして、或いは少な くとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなる、単離されたM L−IAPキメラポリペプチドに関する。 更なる態様では、本発明は、ここに開示したヒトタンパク質cDNAのいずれかによっ てコードされるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或い は少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約82%のアミノ酸配列 同一性、或いは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約84%の アミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくと も約86%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、或 いは少なくとも約88%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約89%のアミノ酸配 40 列同一性、或いは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約91% のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、或いは少なく とも約93%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、 或いは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約96%のアミノ酸 配列同一性、或いは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約98 %のアミノ酸配列同一性、そして、或いは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有 するアミノ酸配列を含んでなる単離されたML−IAPキメラポリペプチドに関する。 【0019】 特 定 の 態 様 で は 、 本 発 明 は 、 N -末 端 シ グ ナ ル 配 列 及 び / 又 は 開 始 メ チ オ ニ ン を 有 し な い、上記したようなアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列によってコードされる単 50 (12) JP 2007-515158 A 2007.6.14 離されたML−IAPキメラポリペプチドを提供する。それらを製造する方法もここに記 載され、それらの方法は、適したコード化核酸分子を含むベクターを含んでなる宿主細胞 をML−IAPキメラポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、細胞培養物からML −IAPキメラポリペプチドを回収することを含む。 それらを製造する方法もここに記載され、それらの方法は、適したコード化核酸分子を 含むベクターを含んでなる宿主細胞をML−IAPキメラポリペプチドの発現に適した条 件下で培養し、細胞培養物からML−IAPキメラポリペプチドを回収することを含む。 更に他の実施形態では、本発明は、ここで定義される天然ML−IAPキメラポリペプ チドのアゴニスト及びアンタゴニストに関する。特別な実施形態では、アゴニスト又はア ンタゴニストは抗ML−IAPキメラ抗体或いは小分子である。 10 更なる実施形態では、本発明は、ML−IAPキメラポリペプチドのアゴニスト又はア ンタゴニストを同定する方法に関し、それは、ML−IAPキメラポリペプチドを候補分 子と接触させ、前記ML−IAPキメラポリペプチドによって媒介される生物学的活性を モニターすることを含む。好ましくは、ML−IAPキメラポリペプチドは天然ML−I APキメラポリペプチドである。 また更なる実施形態では、本発明は、ML−IAPキメラポリペプチド、或いはここに 記載したML−IAPキメラポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗ML −IAPキメラ抗体を、担体と組み合わせて含有する組成物に関する。場合によっては、 担体は製薬的に許容される担体である。 本発明のその他の実施形態は、ML−IAPキメラポリペプチド、又は上記したような 20 そのアゴニスト又はアンタゴニスト、又は抗ML−IAPキメラ抗体を、ML−IAPキ メラポリペプチド、そのアゴニスト又はアンタゴニスト又は抗ML−IAPキメラ抗体に 対して反応性である症状の治療に有用な医薬の調製のために用いることに関する。 【0020】 (好ましい実施形態の詳細な説明) 定義 「ML−IAPキメラポリペプチド変異体」とは、上記又は下記に定義されるように、 ここに開示されるML−IAPキメラポリペプチド配列、ここに開示されたBIRドメイ ンを欠くML−IAPキメラポリペプチド配列、又はここに開示されたML−IAPキメ ラポリペプチド配列の他の断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する活 30 性ML−IAPキメラポリペプチドを意味する。このようなML−IAPキメラポリペプ チ ド 変 異 体 に は 、 例 え ば 、 M L − I A P キ メ ラ ア ミ ノ 酸 配 列 の N -又 は C -末 端 に お い て 一 つ又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失されたML−IAPキメラポリペプチド が含まれる。通常、ML−IAPキメラポリペプチド変異体は、ここに開示されたML− IAPキメラポリペプチド配列、ここに開示されたBIRドメインを欠くML−IAPキ メラポリペプチド配列、又はここに開示されたML−IAPキメラポリペプチド配列の他 の具体的に定義された断片と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或いは少なく とも約81%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約82%のアミノ酸配列同一性、 或いは少なくとも約83%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約84%のアミノ酸 配列同一性、或いは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約86 40 %のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約87%のアミノ酸配列同一性、或いは少な くとも約88%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性 、或いは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約91%のアミノ 酸配列同一性、或いは少なくとも約92%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約9 3%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約94%のアミノ酸配列同一性、或いは少 なくとも約95%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約96%のアミノ酸配列同一 性、或いは少なくとも約97%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約98%のアミ ノ酸配列同一性、そして、或いは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有している 。通常は、ML−IAPキメラ変異体ポリペプチドは、少なくとも約10アミノ酸長、或 いは少なくとも約20アミノ酸長、或いは少なくとも約30アミノ酸長、或いは少なくと 50 (13) JP 2007-515158 A 2007.6.14 も約40アミノ酸長、或いは少なくとも約50アミノ酸長、或いは少なくとも約60アミ ノ酸長、或いは少なくとも約70アミノ酸長、或いは少なくとも約80アミノ酸長、或い は少なくとも約90アミノ酸長、或いは少なくとも約100アミノ酸長、或いは少なくと も約150アミノ酸長、或いは少なくとも約200アミノ酸長、或いは少なくとも約30 0アミノ酸長、又はそれ以上である。 ここに定義されるML−IAPキメラポリペプチドに対してここで同定されている「パ ーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性 を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えな いとした、ML−IAPキメラポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のア ミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目 10 的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST 、 B L A S T -2 、 A L I G N 、 又 は M e g a l i g n ( D N A S T A R ) ソ フ ト ウ ェ ア のような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である 。当業者であれば、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するた めに必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメー タを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値 は 、 A L I G N -2 プ ロ グ ラ ム 用 の 完 全 な ソ ー ス コ ー ド が 下 記 の 表 1 に 提 供 さ れ て い る 配 列 比 較 プ ロ グ ラ ム A L I G N -2 を 使 用 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る 。 A L I G N -2 配 列 比 較コンピュータプログラムはジェネンテック社によって作製され、下記の表1に示したソ ースコードは米国著作権庁、ワシントンD.C.,20559に使用者用書類とともに提 20 出 さ れ 、 米 国 著 作 権 登 録 番 号 T X U 5 1 0 0 8 7 の 下 で 登 録 さ れ て い る 。 A L I G N -2 はジェネンテック社、サウスサンフランシスコ、カリフォルニアから好適に入手可能であ り 、 下 記 の 表 1 に 提 供 さ れ た ソ ー ス コ ー ド か ら コ ン パ イ ル し て も よ い 。 A L I G N -2 プ ログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、好ましくはデジタルUN IX(登録商標) V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラ メ ー タ は 、 A L I G N -2 プ ロ グ ラ ム に よ っ て 設 定 さ れ 変 動 し な い 。 【0021】 ア ミ ノ 酸 配 列 比 較 に A L I G N -2 が 用 い ら れ る 状 況 で は 、 与 え ら れ た ア ミ ノ 酸 配 列 A の、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(或いは、 与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一性を持つ 30 又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される: 分率X/Yの100倍 こ こ で 、 X は 配 列 ア ラ イ ン メ ン ト プ ロ グ ラ ム A L I G N -2 の A 及 び B の ア ラ イ ン メ ン ト によって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残 基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対す る%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解 されるであろう。この方法を用いた%アミノ酸配列同一性の計算の例として、表2及び3 に、「比較タンパク質」と称されるアミノ酸配列の「ML−IAPキメラ」と称されるア ミノ酸配列に対する%アミノ酸配列同一性の計算方法を示す。「ML−IAPキメラ」は 対象となる仮説的ML−IAPキメラポリペプチドのアミノ酸配列を表し、「比較タンパ 40 ク質」は対象となる「ML−IAPキメラ」ポリペプチドが比較されているポリペプチド のアミノ酸配列を表し、そして「X」、「Y」及び「Z」の各々は異なった仮説的アミノ 酸残基を表している。 特に断らない限りは、ここでの全ての%アミノ酸配列同一性値は上記のようにALIG N -2 配 列 比 較 コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム を 用 い て 得 ら れ る 。 し か し な が ら 、 % ア ミ ノ 酸 配 列 同 一 性 値 は 、 W U -B L A S T -2 コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム ( Altschul等 , Methods in E nzymology 266:460-480 (1996)) を 用 い て 決 定 し て も よ い 。 更 に 、 殆 ど の W U -B L A S T -2 検 索 パ ラ メ ー タ は 初 期 値 に 設 定 さ れ る 。 初 期 値 に 設 定 さ れ な い 、 即 ち 調 節 可 能 な パ ラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクショ ン=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM 50 (14) JP 2007-515158 A 2007.6.14 6 2 。 W U -B L A S T -2 が 用 い ら れ た 場 合 に は 、 % ア ミ ノ 酸 配 列 同 一 性 値 は 、 ( a ) 天 然ポリペプチドから誘導された配列を有する対象のポリペプチドのアミノ酸配列と、対象 とする比較アミノ酸配列(即ち、対象のポリペプチドが比較されるポリペプチド変異体で あ っ て も よ い 配 列 ) と の 間 の 、 W U -B L A S T -2 に よ っ て 決 定 し た 一 致 す る 同 一 ア ミ ノ 酸残基の数を、(b)対象のポリペプチドの残基の総数で除した商によって決定される。 例えば、「アミノ酸配列Bに対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を持つ又は持 っているアミノ酸配列Aを含んでなるポリペプチド」という表現では、アミノ酸配列Aが 対象の比較アミノ酸配列であり、アミノ酸配列Bが対象のポリペプチドのアミノ酸配列で ある。 【0022】 10 ま た 、 % ア ミ ノ 酸 配 列 同 一 性 は 、 配 列 比 較 プ ロ グ ラ ム N C B I -B L A S T 2 ( Altschu l等 , Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (1997)) を 用 い て 決 定 し て も よ い 。 N C B I -B L A S T 2 配 列 比 較 プ ロ グ ラ ム は 、 http://www.ncbi.nlm.nih.govか ら ダ ウ ン ロ ー ド で き 、又は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることができる。 N C B I -B L A S T 2 は 幾 つ か の 検 索 パ ラ メ ー タ を 使 用 し 、 そ れ ら 検 索 パ ラ メ ー タ の 全 て は 初 期 値 に 設 定 さ れ 、 例 え ば 、 unmask= 可 、 鎖 = 全 て 、 予 測 さ れ る 発 生 = 1 0 、 最 小 低 複 合 長 = 1 5 / 5 、 マ ル チ パ ス e -値 = 0 . 0 1 、 マ ル チ パ ス の 定 数 = 2 5 、 最 終 ギ ャ ッ プアラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM6 2を含む。 ア ミ ノ 酸 配 列 比 較 に N C B I -B L A S T 2 が 用 い ら れ る 状 況 で は 、 与 え ら れ た ア ミ ノ 20 酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性( 或いは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して或る程度の%アミノ酸配列同一 性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算され る: 分率X/Yの100倍 こ こ で 、 X は 配 列 ア ラ イ ン メ ン ト プ ロ グ ラ ム N C B I -B L A S T 2 の A 及 び B の ア ラ イ ンメントによって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全ア ミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、Aの Bに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なるこ とは理解されるであろう。 30 【0023】 「ML−IAPキメラ変異体ポリヌクレオチド」又は「ML−IAPキメラ変異体核酸 配列」とは、下記に定義されるように、ML−IAPキメラポリペプチドをコードする核 酸分子であり、ここに開示するML−IAPキメラポリペプチド配列、又はここに開示す るML−IAPキメラポリペプチド配列の他の任意の断片をコードする核酸配列と少なく とも約80%の核酸配列同一性を有する。通常、ML−IAPキメラ変異体ポリヌクレオ チドは、ここに開示するML−IAPキメラポリペプチド配列、又はここに開示するML −IAPキメラポリペプチド配列の他の任意の断片をコードする核酸配列と、少なくとも 約81%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約82%の核酸配列同一性、或いは少なく とも約83%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約84%の核酸配列同一性、或いは少 40 なくとも約85%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約86%の核酸配列同一性、或い は少なくとも約87%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約88%の核酸配列同一性、 或いは少なくとも約89%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約90%の核酸配列同一 性、或いは少なくとも約91%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約92%の核酸配列 同一性、或いは少なくとも約93%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約94%の核酸 配列同一性、或いは少なくとも約95%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約96%の 核酸配列同一性、或いは少なくとも約97%の核酸配列同一性、或いは少なくとも約98 %の核酸配列同一性、そして、或いは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有している 。変異体は、天然ヌクレオチド配列を含まない。 通常は、ML−IAPキメラ変異体ポリヌクレオチドは、少なくとも約30ヌクレオチ 50 (15) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ド長、或いは少なくとも約60ヌクレオチド長、或いは少なくとも約90ヌクレオチド長 、或いは少なくとも約120ヌクレオチド長、或いは少なくとも約150ヌクレオチド長 、或いは少なくとも約180ヌクレオチド長、或いは少なくとも約210ヌクレオチド長 、或いは少なくとも約240ヌクレオチド長、或いは少なくとも約270ヌクレオチド長 、或いは少なくとも約300ヌクレオチド長、或いは少なくとも約450ヌクレオチド長 、或いは少なくとも約600ヌクレオチド長、或いは少なくとも約900ヌクレオチド長 、又はそれ以上である。 【0024】 こ こ で 同 定 さ れ る M L − I A P キ メ ラ コ ー ド 化 核 酸 配 列 に 対 す る 「 パ ー セ ン ト (% )核 酸 配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要に応じ 10 て間隙を導入した後の、対象の核酸配列中のヌクレオチドと同一である候補配列中のヌク レオチドのパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のた めのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLA S T -2 、 A L I G N 、 又 は M e g a l i g n ( D N A S T A R ) ソ フ ト ウ ェ ア の よ う な 公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。ここで の 目 的 の た め に は 、 % ア ミ ノ 酸 配 列 同 一 性 値 は 、 A L I G N -2 プ ロ グ ラ ム 用 の 完 全 な ソ ー ス コ ー ド が 下 記 の 表 1 に 提 供 さ れ て い る 配 列 比 較 プ ロ グ ラ A L I G N -2 を 使 用 す る こ と に よ っ て 得 ら れ る 。 A L I G N -2 配 列 比 較 コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム は ジ ェ ネ ン テ ッ ク 社によって作製され、下記の表1に示したソースコードは米国著作権庁、ワシントンD. C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU5100 20 8 7 の 下 で 登 録 さ れ て い る 。 A L I G N -2 は ジ ェ ネ ン テ ッ ク 社 、 サ ウ ス サ ン フ ラ ン シ スコ, カリフォルニアから好適に入手可能であり、下記の表1に提供されたソースコード か ら コ ン パ イ ル し て も よ い 。 A L I G N -2 プ ロ グ ラ ム は 、 U N I X ( 登 録 商 標 ) オ ペ レ ーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX(登録商標) V4.0Dでの使用の た め に コ ン パ イ ル さ れ る 。 全 て の 配 列 比 較 パ ラ メ ー タ は 、 A L I G N -2 プ ロ グ ラ ム に よ って設定され変動しない。 核 酸 配 列 比 較 に A L I G N -2 が 用 い ら れ る 状 況 で は 、 与 え ら れ た 核 酸 配 列 C の 、 与 え られた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(或いは、与えられたアミノ 酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられた核 酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される: 30 分率W/Zの100倍 こ こ で 、 W は 配 列 ア ラ イ ン メ ン ト プ ロ グ ラ ム A L I G N -2 の C 及 び D の ア ラ イ ン メ ン ト によって同一であると一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全核酸残基数であ る。核酸配列Cの長さがアミノ酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸配列 同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。この 方法を用いた%核酸配列同一性の計算の例として、表4及び5に「比較DNA」と称され る 核 酸 配 列 の 「 M L − I A P キ メ ラ -D N A 」 と 称 さ れ る 核 酸 配 列 に 対 す る % 核 酸 配 列 同 一 性 の 計 算 方 法 を 示 す 。 「 M L − I A P キ メ ラ -D N A 」 は 対 象 と な る 仮 説 的 M L − I A Pキメラコード化核酸配列を表し、「比較DNA」は対象となる「ML−IAPキメラDNA」核酸分子が比較されている核酸配列を表し、そして「N」、「L」及び「V」の 40 各々は異なった仮説的アミノ酸残基を表している。 【0025】 特に断らない限り、ここでの全ての%核酸配列同一性値は、直上のパラグラフに示した よ う に A L I G N -2 配 列 比 較 コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム を 用 い て 得 ら れ る 。 し か し な が ら 、 % 核 酸 配 列 同 一 性 値 は 、 W U -B L A S T -2 コ ン ピ ュ ー タ プ ロ グ ラ ム ( Altschul等 , Me thods in Enzymology 266:460-480 (1996)) を 用 い て 決 定 し て も よ い 。 更 に 、 殆 ど の W U -B L A S T -2 検 索 パ ラ メ ー タ は 初 期 値 に 設 定 さ れ る 。 初 期 値 に 設 定 さ れ な い 、 即 ち 調 節 可能なパラメータは以下の値に設定する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフ ラクション=0.125、ワード閾値(T)=11、及びスコアリングマトリクス=BL O S U M 6 2 。 W U -B L A S T -2 が 用 い ら れ た 場 合 、 % 核 酸 配 列 同 一 性 値 は 、 ( a ) 天 50 (16) JP 2007-515158 A 2007.6.14 然配列ポリペプチドコード化核酸から誘導された配列を有する対象のポリペプチドコード 化核酸分子の核酸配列と、対象の比較核酸配列(即ち、対象のポリペプチドコード化核酸 分 子 が 比 較 さ れ る ポ リ ペ プ チ ド 変 異 体 で あ っ て も よ い 配 列 ) と の 間 の 、 W U -B L A S T 2によって決定した一致する同一核酸残基の数を、(b)対象のポリペプチドコード化核 酸分子のヌクレオチドの総数で除した商によって決定される。例えば、「核酸配列Bに対 して少なくとも80%の核酸配列同一性を持つ又は持っている核酸配列Aを含んでなるポ リペプチド」という表現では、核酸配列Aが対象とする比較核酸配列であり、核酸配列B が対象とするML−IAPキメラポリペプチドコード化核酸分子の核酸配列である。 ま た 、 % 核 酸 配 列 同 一 性 は 、 配 列 比 較 プ ロ グ ラ ム N C B I -B L A S T 2 ( Altschul等 , Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (1997)) を 用 い て 決 定 し て も よ い 。 N C B I -B L A 10 S T 2 配 列 比 較 プ ロ グ ラ ム は 、 http://www.ncbi.nlm.nih.govか ら ダ ウ ン ロ ー ド で き 、 又 は別な方法で米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランドから得ることができる。NC B I -B L A S T 2 は 幾 つ か の 検 索 パ ラ メ ー タ を 使 用 し 、 そ れ ら 検 索 パ ラ メ ー タ の 全 て は 初 期 値 に 設 定 さ れ 、 例 え ば 、 unmask= 可 、 鎖 = 全 て 、 予 測 さ れ る 発 生 = 1 0 、 最 小 低 複 合 長 = 1 5 / 5 、 マ ル チ パ ス e -値 = 0 . 0 1 、 マ ル チ パ ス の 定 数 = 2 5 、 最 終 ギ ャ ッ プ ア ラインメントのドロップオフ=25、及びスコアリングマトリクス=BLOSUM62を 含む。 【0026】 核 酸 配 列 比 較 に N C B I -B L A S T 2 が 用 い ら れ る 状 況 で は 、 与 え ら れ た 核 酸 配 列 C の、与えられた核酸配列Dとの、又はそれに対する%核酸配列同一性(或いは、与えられ 20 た核酸配列Dと、又はそれに対して或る程度の%核酸配列同一性を持つ又は含む与えられ た核酸配列Cと言うこともできる)は次のように計算される: 分率W/Zの100倍 こ こ で 、 W は 配 列 ア ラ イ ン メ ン ト プ ロ グ ラ ム N C B I -B L A S T 2 の C 及 び D の ア ラ イ ンメントによって同一であると一致したスコアの核酸残基の数であり、ZはDの全核酸残 基数である。核酸配列Cの長さが核酸配列Dの長さと異なる場合、CのDに対する%核酸 配列同一性は、DのCに対する%核酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。 他の実施態様では、ML−IAPキメラ変異体ポリペプチドヌクレオチドは、活性ML −IAPキメラポリペプチドをコードし、好ましくは緊縮性ハイブリダイゼーション及び 洗浄条件下で、ここに開示する完全長ML−IAPキメラポリペプチドをコードするヌク 30 レオチド配列にハイブリダイゼーションする核酸分子である。ML−IAPキメラ変異体 ポリペプチドは、ML−IAPキメラ変異体ポリヌクレオチドにコードされるものであっ てもよい。 【0027】 「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために使用する ときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたポリペプチドを 意味する。その自然環境の汚染成分とは、そのポリペプチドの診断又は治療への使用を典 型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質 様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカッ プシークエネーターを使用することにより、少なくとも15残基のN末端或いは内部アミ 40 ノ酸配列を得るのに充分なほど、或いは、(2)クーマシーブルー或いは好ましくは銀染 色 を 用 い た 非 還 元 或 い は 還 元 条 件 下 で の S D S -P A G E に よ る 均 一 性 ま で 精 製 さ れ る 。 単離されたポリペプチドには、ML−IAPキメラポリペプチドの自然環境の少なくとも 一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツのタンパク質が含まれる。しか しながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも一つの精製工程により調製され る。 「単離された」ML−IAPキメラポリペプチドコード化核酸は、同定され、ML−I APキメラポリペプチドをコードする核酸の天然源に通常付随している少なくとも一つの 汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたML−IAPキメラポリペプチ ドコード化核酸分子は、天然に見出される形態或いは設定以外のものである。ゆえに、単 50 (17) JP 2007-515158 A 2007.6.14 離されたML−IAPキメラポリペプチドコード化核酸分子は、天然の細胞中に存在する ML−IAPキメラポリペプチドコード化核酸分子とは区別される。しかし、単離された ML−IAPキメラポリペプチドコード化核酸分子は、例えば、核酸分子が天然細胞のも のとは異なった染色体位置にあるML−IAPキメラポリペプチドを通常発現する細胞に 含まれるML−IAPキメラポリペプチド核酸分子を含む。 【0028】 「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコー ド配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール 配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む 。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用す 10 ることが知られている。 核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例え ば、プレ配列或いは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパ ク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している; プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用 可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位 置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合して いる」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて 読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要 はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が 20 存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプター或いはリン カーが使用される。 【0029】 「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、例えば、単一の抗ML−IAP キメラポリペプチドモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、及び中和抗体を 含む)、多エピトープ特異性を持つ抗ML−IAPキメラ抗体組成物、一本鎖抗ML−I APキメラ抗体、及び抗ML−IAPキメラ抗体の断片を包含している(下記参照)。こ こで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団、すな わち、構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能性のある突然変異を除い て同一である集団から得られる抗体を称する。 30 ハイブリダイゼーション反応の「ストリンジェンシー(緊縮性)」は、当業者によって 容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算で ある。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プロ ーブが短くなると温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、一般的に、相補的鎖がそ の融点に近いがそれより低い環境に存在する場合における変性DNAの再アニールする能 力に依存する。プローブとハイブリダイゼーション可能な配列との間の所望の相同性の程 度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応 条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。更に、緊縮性は塩濃度に逆 比 例 す る 。 ハ イ ブ リ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 反 応 の 緊 縮 性 の 更 な る 詳 細 及 び 説 明 は 、 Ausubel等 , C u r r e n t P r o t o c o l s i n M o l e c u l a r B i o l o g y , W i l e y I n t e r s c i e n c e P u b l i s h e r s , ( 1 9 9 5 )を 参 40 照のこと。 【0030】 ここで定義される「ストリンジェント条件」又は「高度のストリンジェンシー条件」は 、(1)洗浄に低イオン強度及び高温度を用いる、例えば、50℃で、0.015Mの塩 化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウ ム;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤を用いる、例えば、42 ℃で、50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコー ル/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッフ ァー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム;又は(3)4 2℃で、50%ホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエ 50 (18) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸 ナトリウム、5×デンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1 %SDS、及び10%の硫酸デキストランを用いて、加えて、42℃で、0.2×SSC (塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中、及び55℃で、50%ホルムアミド中で洗 浄した後、55℃で、EDTAを含む0.1×SSCからなる高緊ストリンジェンシー洗 浄を用いるものによって同定される。 「 中 程 度 の ス ト リ ン ジ ェ ン ト 条 件 」 は 、 Sambrook等 , Molecular Cloning: A Laborator y Manual( New York: Cold Spring Harbor Press, 1989) に 記 載 さ れ て い る よ う に 同 定 さ れ、上記のストリンジェントより低い洗浄液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、 温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度のストリンジェント条件は、20 10 %ホルムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム )、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハード液、10%硫酸デキスト ラン、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中にて37℃での終夜イ ンキュベーション、次いで1×SSC中にて37∼50℃でのフィルター洗浄といった条 件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのよう にして温度、イオン強度等を調節するかを認識する。 【0031】 「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融 合したML−IAPキメラポリペプチド、又はそれらのドメイン配列を含んでなるキメラ ポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープ、又は幾 20 つかの他の試薬によって同定できるエピトープを提供するに十分な数の残基を有している が、その長さは対象とするML−IAPキメラポリペプチドの活性を阻害しないよう充分 に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差 反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも 6 の ア ミ ノ 酸 残 基 、 通 常 は 約 8 ∼ 約 5 0 の ア ミ ノ 酸 残 基 (好 ま し く は 約 1 0 ∼ 約 2 0 の 残 基 )を 有 す る 。 ここで用いられる「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」 )の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインとを結合した抗体様分子を指す。構造的に は、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外で ある(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を 30 含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又は リガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン 定 常 ド メ イ ン 配 列 は 、 I g G -1 、 I g G -2 、 I g G -3 又 は I g G -4 サ ブ タ イ プ 、 I g A ( I g A -1 及 び I g A -2 を 含 む ) 、 I g E 、 I g D 又 は I g M な ど の 任 意 の 免 疫 グ ロ ブリンから得ることができる。 【0032】 ここでの目的に対する「活性な」又は「活性」とは、天然又は天然に生じるIAPキメ ラの生物学的及び/又は免疫学的活性を保持するML−IAPキメラポリペプチドの形態 を意味し、ここで、「生物学的」活性とは、天然又は天然に生じるIAPキメラが保持す る抗原性エピトープに対する抗体の生産を誘発する能力以外の、天然又は天然に生じるI 40 APキメラによって引き起こされる生物機能(阻害又は刺激)を意味し、「免疫」活性と は、天然又は天然に生じるIAPキメラが保持する抗原性エピトープに対する抗体の生産 を誘発する能力を意味する。 「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然ML−I APキメラポリペプチドの生物学的活性を阻止、阻害、又は中和する任意の分子を指す。 同様に「アゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、ここに開示した天然ML−I APキメラポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を指す。好適なアゴニスト 又はアンタゴニスト分子は特に、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然 IAPキメラポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、アンチセンスオリ ゴヌクレオチド、有機小分子、などを含む。ML−IAPキメラポリペプチドのアゴニス 50 (19) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ト又はアンタゴニストの同定方法は、ML−IAPキメラポリペプチドを候補アンタゴニ スト又はアゴニストと接触させ、ML−IAPキメラポリペプチドに正常に関連している 一又は複数の生物学的活性の変化を測定することを含んでもよい。 【0033】 「治療」とは、治癒的処置、予防的療法及び防止的療法の両方を意味し、患者は標的と する病理学的状態又は疾患を防止又は低下(減少)させられる。治療が必要なものとは、 既に疾患に罹っているもの、並びに疾患に罹りやすいもの又は疾患が防止されているもの を含む。 「慢性」投与とは、急性様式とは異なり連続的な様式での薬剤を投与し、初期の治療効 果(活性)を長時間に渡って維持することを意味する。「間欠」投与とは、中断無く連続 10 的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。 治療の対象のための「哺乳動物」は、ヒト、家庭及び農業用動物、動物園、スポーツ、 又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギなどを含 む哺乳類に分類される任意の動物を意味する。好ましくは、哺乳動物はヒトである。 一又は複数の治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での 連続した投与を含む。 【0034】 ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含 み、用いられる用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性であ る。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許 20 容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコ ルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例 えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビニ ルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又は リシン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水 化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又は祖ルビトール等の糖アルコール;ナト リ ウ ム 等 の 塩 形 成 対 イ オ ン ; 及 び / 又 は 非 イ オ ン 性 界 面 活 性 剤 、 例 え ば 、 TWEEN(商 品 名 ) 、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル ( P E G ) 、 及 び PLURONICS(商 品 名 )を 含 む 。 「抗体断片」は、原型の抗体の一部、好ましくは原型の抗体の抗原結合又は可変領域を 含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2 、及びFv断片;ダイアボデ 30 ィ (diabodies); 直 鎖 状 抗 体 ( Zapata等 , Protein Eng. 8(10):1057-1062 [1995]) ; 一 本 鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。 【0035】 抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる二つの同一の抗体結合断片を生成し 、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc 」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab’)2 断片を生じ、それは二つの抗原結合 部位を持ち、抗原を交差結合することができる。 「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、 密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。この配置に おいて各ドメインの三つのCDRが相互作用してVH −VL に量体の表面に抗原結合部位 40 を決定する。正しくは、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかしな がら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な三つのCDRのみを含んでなるFvの半 分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ 。 【0036】 またFab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)も含 む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの一つ又は複数のシステインを含む重鎖CH1ド メインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab’断片と相違 す る 。 こ こ で 、 F a b ’ -S H は 、 定 常 ド メ イ ン の シ ス テ イ ン 残 基 が 遊 離 の チ オ ー ル 基 を 持つFab’を表す。F(ab’)2 抗体断片は、最初はFab’断片の対として生成さ 50 (20) JP 2007-515158 A 2007.6.14 れ、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている 。 任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメイン のアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる二つの明らかに異なる型の一方 に分類される。 【0037】 それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列によって、免疫グロブリンは異なるクラス に分類できる。免疫グロブリンの五つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG 及びIgMがあり、それらの幾つかは更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1 、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分類される。 10 「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH 及びVL ドメインを含む抗体断 片を含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。好ましくは、Fvポリ ペプチドは、sFvが抗原結合とって望ましい構造の形成を可能にする、VH 及びVL ド メ イ ン 間 の ポ リ ペ プ チ ド リ ン カ ー を 更 に 含 む 。 s F v の 概 説 に つ い て は 、 The Pharmacolo gy of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及 び Moore編 , Springer-Verlag, Ne w York, pp. 269-315 (1994)の Pluckthunを 参 照 の こ と 。 【0038】 「 ダ イ ア ボ デ ィ (diabodies)」 と い う 用 語 は 、 二 つ の 抗 原 結 合 部 位 を 持 つ 小 型 の 抗 体 断 片 を 指 し 、 そ の 断 片 は 同 じ ポ リ ペ プ チ ド 鎖 ( V H -V L ) 内 で 軽 鎖 可 変 ド メ イ ン ( V L ) に結合した重鎖可変ドメイン(VH )を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するに 20 は短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと 対 形 成 し て 二 つ の 抗 原 結 合 部 位 を 生 成 す る 。 ダ イ ア ボ デ ィ は 、 例 え ば 、 EP404,097; WO93/ 11161; 及 び Hollinger等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)に 、 よ り 十分に記載されている。 「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され分離及び/又は回収されたも のである。その自然環境の汚染成分とは、その抗体の診断又は治療への使用を妨害する物 質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。 好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー法で測定した場合95%を越える抗 体、最も好ましくは99重量%を越えるまで、(2)スピニングカップシークエネーター を使用することにより、少なくとも15残基のN末端或いは内部アミノ酸配列を得るのに 30 充分なほど、或いは、(3)クーマシーブルー或いは好ましくは銀染色を用いた非還元或 い は 還 元 条 件 下 で の S D S -P A G E に よ る 均 一 性 ま で 精 製 さ れ る 。 単 離 さ れ た 抗 体 に は 、抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないため、組換え細胞内のインサイツ の抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程 により調製される。 【0039】 「特異的に結合する」抗体、又は特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピ トープへ特異的な抗体とは、他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープとは実質的に 結合せずに、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープへ結合するもの である。 40 「標識」なる語は、ここで用いられる場合、「標識」抗体が生成されるように、抗体に 直接又は間接的に抱合している検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は、それ自 身検出可能でもよく(例えば、放射性標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合、検出可 能な基質化合物又は組成物の化学変換を触媒してもよい。 【0040】 「固相」とは、本発明の抗体がそれに付着することのできる非水性マトリクスを意味す る。ここに意図する固相の例は、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、孔制御ガラス) 、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコ ール及びシリコーンから形成されたものを含む。或る種の実施態様では、内容に応じて、 固相はアッセイプレートのウェルを構成することができ;その他では精製カラム(例えば 50 (21) JP 2007-515158 A 2007.6.14 アフィニティクロマトグラフィーカラム)とすることもできる。また、この用語は、米国 特 許 第 4,275,149号 に 記 載 さ れ た よ う な 、 別 個 の 粒 子 の 不 連 続 な 固 相 も 包 含 す る 。 「リポソーム」は、種々の型の脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小型の小 胞であり、哺乳動物への薬物(ML−IAPキメラポリペプチド又はその抗体など)の輸 送に有用である。リポソームの成分は、通常は生体膜の脂質配列に類似する二層形式に配 列させる。 【0041】 「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」と融 合したIAPインヒビターを含んでなるキメラポリペプチドを意味する。タグポリペプチ ドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するのに十分な残基を有し、その長さは 10 融合するポリペプチドの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、 好ましくは抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。 場合によっては、タグポリペプチドは細胞内へのキメラIAPインヒビターの挿入を容認 する担体ポリペプチドである。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミ ノ 酸 残 基 、 通 常 は 約 8 ∼ 5 0 の ア ミ ノ 酸 残 基 (好 ま し く は 、 約 1 0 ∼ 2 0 の 残 基 )を 有 す る 。 「IAPインヒビター(阻害物質)」はアポトーシスタンパク質阻害物質(IAP)の 抗アポトーシス活性を遮断する分子である。天然に生じるIAPポリペプチドの例として 、哺乳動物のSMAC/DIABLOタンパク質、及びショウジョウバエのHID、RP R及びGRIMタンパク質がある。 20 ここでの目的に対する「活性インヒビター」とは、天然又は天然に生じるIAP阻害物 質の生物学的活性を保持するIAPインヒビターの形態を意味し、その中で、「生物学的 」活性とは、天然又は天然発生IAPが保持する抗原性エピトープに対する抗体の生成を 誘導する能力以外の、天然又は天然発生IAP阻害物質によって引き起こされる生物機能 を意味する。 【0042】 「IAP」又はアポトーシスタンパク質阻害物質は物理的に作用して活性を遮断するこ とにより細胞のアポトーシスを阻害する分子であり、アポトーシス経路内のカスパーゼ分 子である。IAP分子の例としてML−IAP(登録番号:BIR7_HUMAN)、X IAP、NAIP、C−IAP1及びC−IAP2がある。構造的にIAPは一以上のB 30 IRドメインを含み、多くのIAPはカルボキシル末端RINGフィンガードメインを含 む。 「カスパーゼ」はアスパラギン酸のC末端側でポリペプチド基質を切断するシステイン プロテアーゼポリペプチドとして定義する。 「BIRドメイン」(バキュロウイルスIAPリピート)は、特異的に結合して阻害す ることのできるタンパク質構造を含むポリペプチド、カスパーゼである。特に、ML−I APのBIRドメインは登録番号:BIR7_HUMANで示す配列のアミノ酸87−1 68である。 【0043】 「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、IAPポリペプチドの生物学 40 的活性を部分的又は完全に遮断、阻害、又は中和する任意の分子が含まれる。同じように 、「薬剤」という用語は最も広い意味で用いられ、天然のIAPポリペプチド阻害物質の 生物学的活性を模倣する任意の分子が含まれる。適切な薬剤又はアンタゴニスト分子には 、特にオリゴペプチド及び小有機分子が含まれる。IAPポリペプチドのアンタゴニスト を同定する方法は、IAPポリペプチドと候補アンタゴニスト分子を接触させ、そして通 常はIAPポリペプチドに関連している一又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測 定することが含まれ得る。 「オリゴペプチド」は3∼30アミノ酸残基の長さの短いアミノ酸配列であり、オリゴ ペプチドに特定の立体配座の特性又はタンパク質分解耐性等の特定の生物学的活性を与え るために、単独又は天然に生じるアミノ酸残基と組み合わせて用いられる天然に生じるア 50 (22) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ミノ酸残基及び非天然に生じる残基類似体を包含する。 【0044】 「治療する」又は「治療」又は「緩和」とは、治療上の処置及び予防的療法又は防護的 療法の双方を称し、その目的は、標的である病的症状又は疾患を防ぐか又は衰え(小さく )させることである。治療を必要とするものには、疾患に罹りやすいものと同時に疾患に 既に罹っているもの、又は疾患が予防されるべきものを含む。本発明の方法に従ってIA Pインヒビターの治療量を投与された後に、患者が次の一又は複数のものについて観察可 能な及び/又は測定可能な以下のような減少又は消失を示したならば、被検体又は哺乳動 物は、IAPポリペプチド発現癌に関して成功裏に「治療された」ことになる:癌細胞の 数の減少、又は癌細胞の消失;腫瘍の大きさの減少;軟部組織及び骨への癌の広がりを含 10 む、末梢器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止) ;腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止);腫瘍成長のある程 度の阻害;及び/又は特定の癌に関連している一又は複数の症状のある程度の緩和;疾病 率及び死亡率の減少、及び生活の質問題の改善。IAPインヒビターが生存癌細胞の成長 を防ぐ及び/又は死滅させることができる範囲において、それは、細胞増殖抑制及び/又 は細胞毒性であり得る。これらの兆候又は症状の低減は、また、患者が感じることができ る。 疾患における成功裏の治療及び改善を評価することに関する上記のパラメーターは、医 師にとってよく知られている日常的手法によって容易に測定が可能である。癌治療では、 有効性は、例えば、病気の進行までの時間(TTP)の算定及び/又は反応速度(RR) 20 を確かめることによって測定できる。転移は、ステージング試験によって、骨のスキャン 及び骨への広がりを確かめるためのカルシウムレベル及び他の酵素に関する試験によって 確かめることができる。CTスキャンは、また、領域の骨盤及びリンパ節への広がりを探 索することで行うことができる。胸のX線、及び既知の方法による肝臓の酵素レベルの測 定を、それぞれ肺及び肝臓への転移を探索するために用いる。疾患をモニタリングする他 の常套的方法には、経直腸的超音波断層法(TRUS)及び経直腸的針生検(TRNB) が含まれる。 【0045】 「慢性」投与とは、初期の治療効果(活性)を長期間にわたって維持するようにするた めに、急性態様とは異なり連続的な態様での薬剤の投与を意味する。「間欠」投与とは、 30 中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。 癌の治療、症状の緩和又は診断のための「哺乳動物」とは、哺乳動物に分類される任意 の動物を意味し、ヒト、家畜用及び農場用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例 えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む。好ましくは、哺 乳動物はヒトである。 一又は複数の更なる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順 序での連続した投与を含む。 【0046】 ここで用いられる「担体」は、製薬的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含 み、用いられる服用量及び濃度でそれらに曝露される細胞又は哺乳動物に対して非毒性で 40 ある。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に 許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アス コルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、 例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;疎水性ポリマー、例えばポリビ ニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又 はリジン;グルコース、マンノース又はデキストランを含む単糖類、二糖類、及び他の炭 水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール;ナ トリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN( 登 録 商 標 )、 ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル ( P E G ) 、 及 び P L U R O N I C S (登 録 商 標 )を 含む。 50 (23) JP 2007-515158 A 2007.6.14 「固相」又は「固体支持体」とは、本発明のML−IAPキメラが接着又は付着できる 非水性マトリクスを意味する。ここに包含される固相の例は、部分的又は全体的にガラス (例えば、径の調整されたガラス)、ポリサッカリド(例えばアガロース)、ポリアクリ ルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンで形成されたものを含む 。或る実施形態では、前後関係に応じて、固相はアッセイ用プレートのウェル;その他で は精製用カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)を含むことができる。 また、この用語は、米国特許第4275149号に記載されたような別々の粒子の不連続 な固相も含む。 【0047】 「リポソーム」は、哺乳動物への薬物(例えばIAPインヒビター)輸送に有用な、脂 10 質、リン脂質及び/又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成 分は、通常は細胞膜の脂質配向に類似した2層構造に配列される。 ここで定義されている「小」分子又は「小」有機分子とは、約500ダルトン未満の分 子量である。 【0048】 ここに開示するIAPインヒビターの「有効量」とは、特に述べた目的を実施するため に十分な量のことである。「有効量」は、述べられた目的に関連して、経験的及び常套的 な形で決定することができる。 「治療的有効量」という用語は、患者又は哺乳動物の疾患又は疾病を「治療」するのに 効果的なIAPインヒビター又は他の薬剤の量を指す。癌の場合、治療的に有効量の薬は 20 癌細胞の数を減じ;腫瘍の大きさを減じ;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害(すなわち、 ある程度まで減速、好ましくは停止)し;腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度まで減速 及び好ましくは停止)し;腫瘍成長をある程度まで阻害し;及び/又は癌に関連する一又 は複数の症状をある程度まで緩和する。「治療する」のここでの定義を参照せよ。薬が存 在する癌細胞の成長を妨げ及び/又は死滅させる程度まで、それは、細胞分裂停止及び/ 又は細胞障害性であり得る。 【0049】 IAPインヒビターの「成長阻害量」は、細胞、特に腫瘍、例えば癌細胞の成長をイン ビトロ又はインビボで阻害できる量である。腫瘍性細胞成長の阻害の目的のためのIAP インヒビターの「成長阻害量」は、経験的及び常套的な形で決定することができる。 30 IAPインヒビターの「細胞障害性量」は、細胞、特に腫瘍、例えば癌細胞をインビト ロ又はインビボで破壊できる量である。腫瘍性細胞成長の阻害の目的のためのIAPイン ヒビターの「細胞障害性量」は、経験的及び常套的な形で決定することができる。 【0050】 オリゴペプチドであるIAPインヒビターは、よく知られた技術を用いて過度の実験を することなしに同定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結 合する能力のあるオリゴペプチドのオリゴペプチドライブラリをスクリーニングする技術 は当分野でよく知られていることを注記する(例えば、米国特許第5556762号、同 第5750373号、同第4708871号、同第4833092号、同第522340 9号、同第5403484号、同第5571689号、同第5663143号;PCT公 40 開 第 W O 8 4 / 0 3 5 0 6 号 、 及 び W O 8 4 / 0 3 5 6 4 号 ; Geysen等 、 Proc. Natl. Ac ad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984); Geysen等 , Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985); Geysen等 , in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986) ; Geysen等 , J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987); Schoofs等 , J. Immunol., 140: 611-616 (1988), Cwirla,S.E.等 (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378; Lowman, H. B.等 (1991) Biochemistry, 30:10832; Clackson,T.等 (1991) Nature, 352:624; Ma rks,J.D.等 (1991), J. Mol. Biol., 222:581; Kang, A. S.等 (1991) Proc. Natl. Acad . Sci. USA, 88:8363、 及 び Smith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668参 照)。 ここに記載されるような抗体又はオリゴペプチド以外の有機分子であるIAPインヒビ 50 (24) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ターは、好ましくは、ここに定義されるようなIAPポリペプチド又はIAPキメラに特 異的に結合する。有機分子であるIAPインヒビターは、既知の方法(例えばPCT公開 第WO00/00823号及びWO00/39585号参照)を用いて同定され、化学的 に合成することができる。小有機分子は通常、約2000ダルトン未満の大きさであり、 あるいは約1500、750、500、250又は200ダルトン未満の大きさであり、 ここに記載される様なIAPポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する能力のあるこ のような有機分子は、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定するこ とができる。この点において、ポリペプチド標的に結合する能力のある分子の有機分子ラ イブラリをスクリーニングする技術は当分野でよく知られていることを注記する(例えば PCT公開第WO00/00823号及びWO00/39585号参照)。 10 【0051】 腫瘍関連ポリペプチド標的等の対象のIAPポリペプチドに「結合する」IAPインヒ ビターは、IAPインヒビターがIAPポリペプチドを発現している細胞又は組織を標的 とする診断及び/又は治療剤として有用であり、他のタンパク質と有意には交差反応しな いように十分な親和性でBIRドメインと結合するものである。そのような実施形態では 、IAPインヒビターの「非標的」タンパク質との結合の程度は、蛍光偏光法、蛍光標示 式細胞分取器(FACS)分析又は放射免疫沈降(RIA)によって定量した場合、その 特定の標的タンパク質とのIAPインヒビターの結合の約10%未満である。標的分子へ のIAPインヒビターの結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的 上のエピトープと「特異的に結合」又は「特異的に結合する」、又はそれに対して「特異 20 的である」という表現は、非特異的な相互作用とは測定して異なる結合を意味する。特異 的な結合は、例えば、一般に結合活性を持たない類似した構造の分子であるコントロール 分子の結合性と比較して、分子の結合性を定量することによって測定することができる。 例えば、特異的な結合は、標的、例えば過剰の非標識標的に類似したコントロール分子と の競合によって決定することができる。この場合、プローブに対する標識標的の結合が過 剰の非標識標的によって競合的に阻害されるならば、特異的結合であることが示される。 ここで使用される特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープと「特 異的に結合」又は「特異的に結合する」、又はそれに対して「特異的である」という表現 は、例えば標的に対して少なくとも約10 るいは少なくとも約10 約10 − 8 − 6 M、あるいは少なくとも約10 M、あるいは少なくとも約10 M、あるいは少なくとも約10 あるいは少なくとも約10 − 4 − 1 1 − 9 − 7 M、あ M、あるいは少なくとも M、あるいは少なくとも約10 M、あるいは少なくとも約10 − 5 − 1 2 − 1 0 30 M、 M、あるいはそれ 以上のKdを持つ分子によって示される。一実施形態では、「特異的に結合する」とは、 他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープへ実質的に結合することなく分子が特定の ポリペプチド又は特定のポリペプチドのエピトープに結合するような結合を意味する。 【0052】 「IAPポリペプチドを発現する腫瘍細胞の成長を阻害する」IAPインヒビター、又 は「成長阻害」IAPインヒビターは、適切なIAPポリペプチドを発現又は過剰発現す る癌細胞の測定可能な程の成長阻害を引き起こすものである。好ましい成長阻害IAPイ ンヒビターは、一般的には、適切なコントロール、典型的には試験されたIAPインヒビ 40 ターで処理されていない腫瘍細胞であるコントロールと比較して、20%より多く、好ま しくは約20%から約50%、さらに好ましくは50%よりも多く(例えば、約50%か ら約100%)で腫瘍細胞に発現したIAPを含有するBIRドメインの成長を阻害する 。インビボでの腫瘍細胞の成長阻害は、下記の実験実施例に記載しているような種々の方 法で確かめることができる。 「アポトーシスを誘導する」IAPインヒビターは、アネキシンVの結合、DNAの断 片 化 、 細 胞 収 縮 、 小 胞 体 の 拡 張 、 細 胞 断 片 化 、 及 び / 又 は 膜 小 胞 の 形 成 (ア ポ ト ー シ ス 体 と 呼 ば れ る )等 に よ り 決 定 さ れ る よ う な プ ロ グ ラ ム さ れ た 細 胞 死 を 誘 導 す る も の で あ る 。 好ましくは、細胞は腫瘍細胞、例えば前立腺、乳房、卵巣、胃、子宮内膜、肺、腎臓、結 腸、、黒色腫、又は膀胱細胞である。アポトーシスに伴う細胞イベントを評価するために 50 (25) JP 2007-515158 A 2007.6.14 種 々 の 方 法 が 利 用 で き る 。 例 え ば 、 ホ ス フ ァ チ ジ ル セ リ ン (P S )転 位 置 を ア ネ キ シ ン 結 合 により測定することができ;DNA断片化はDNAラダーリングにより評価することがで き;DNA断片化に伴う細胞核/クロマチン凝結は低二倍体細胞の何らかの増加により評 価することができる。好ましくは、アネキシン結合アッセイにおいて、アポトーシスを誘 導するIAPインヒビターは、未処理細胞の約2∼50倍、好ましくは約5∼50倍、最 も好ましくは約10∼50倍のアネキシン結合を誘導するという結果を生じるものである 。 【0053】 「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺 乳動物における生理学的状態を指す又は記述する。癌の例には、これらに限定されるもの 10 ではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ様悪性腫瘍が含ま れ る 。 こ の よ う な 癌 の よ り 特 定 の 例 に は 、 扁 平 細 胞 癌 (squamous cell cancer)(例 え ば 扁 平 上 皮 細 胞 癌 )、 小 細 胞 肺 癌 、 非 小 細 胞 肺 癌 、 肺 の 腺 癌 、 及 び 肺 の 扁 平 癌 腫 (squamous car cinoma)を 含 む 肺 癌 、 腹 膜 癌 、 肝 細 胞 癌 、 胃 腸 癌 を 含 む 胃 (gastric)又 は 腹 部 (stomach)癌 、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿道癌、肝癌、乳癌 、 結 腸 癌 、 直 腸 癌 、 結 腸 直 腸 癌 、 子 宮 内 膜 又 は 子 宮 癌 、 唾 液 腺 癌 、 腎 臓 (kidney)又 は 腎 (r enal)癌 、 前 立 腺 癌 、 産 卵 口 癌 、 甲 状 腺 癌 、 肝 臓 癌 、 肛 門 癌 、 陰 茎 癌 、 黒 色 腫 、 多 発 性 骨 髄腫及びB細胞リンパ腫、脳、並びに頭部及び頸部の癌、及び関連した転移が含まれる。 「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴 う疾患を意味する。一実施形態では、細胞増殖性疾患は癌である。 20 ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び 増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。 【0054】 「IAPポリペプチド発現細胞」は、内因性又は形質移入されたIAPポリペプチドを 発現する。「IAPポリペプチド発現癌」は、IAPポリペプチドを有する細胞を含む癌 である。場合によって、「IAPポリペプチド発現癌」は、その細胞内に十分なレベルの IAPポリペプチドを生成し、IAPインヒビターはそれへ結合することができ、癌に関 して治療的効果を有する。別の実施形態では、選択的に「IAPポリペプチド発現癌」は 、IAPインヒビターアンタゴニストが結合することができ、癌に対して治療的有効量を 有するように十分なレベルのIAPポリペプチドを産生する。IAPポリペプチドを「過 30 剰発現」する癌は、同じ組織型の非癌性細胞と比較して、その細胞表面に顕著により高い レベルのIAPポリペプチドを有するものである。そのような過剰発現は、遺伝子増幅又 は増大した転写又は翻訳によって生じ得る。IAPポリペプチド過剰発現は、診断又は予 後アッセイにおいて、細胞内に存在するIAPタンパク質の増大したレベルを評価するこ とによって定量されうる(例えば、IAPポリペプチドをコードする単離された核酸から 、組み換えDNA技術を用いて調製することができる単離されたIAPポリペプチドに対 して調製した抗IAPポリペプチド抗体を用いた免疫組織化学アッセイを介して;FAC S分析など)。あるいは、又は付加的に、例えば、IAPコード化核酸又はその相補鎖と 一致する核酸ベースプローブを使用する蛍光インサイツハイブリダイゼーション;(FI SH;1998年10月に公開の国際公開98/45479を参照せよ)、サザンブロッ 40 テ ィ ン グ 、 ノ ー ザ ン ブ ロ ッ テ ィ ン グ 、 又 は リ ア ル タ イ ム 定 量 P C R ( R T -P C R ) 等 の ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を介して、細胞のIAPポリペプチドコード化核酸 又はmRNAのレベルを測定してもよい。また、例えば、抗体ベースアッセイを用いて、 血清のような生物学的体液中に流れている抗原を測定することによって、IAPポリペプ チド過剰発現を研究してもよい(同じく、例えば、1990年6月12日に発行の米国特 許第4933294号;1991年4月18日に公開の国際公開91/05264;19 9 5 年 3 月 2 8 日 に 発 行 の 米 国 特 許 第 5 4 0 1 6 3 8 号 ; Sias等 , J. Immunol. Methods 132: 73-80(1990)を 参 照 せ よ ) 。 上 記 の ア ッ セ イ と は 別 に 、 種 々 の イ ン ビ ボ ア ッ セ イ は 、 熟練技術者に入手可能である。例えば、患者の体の中にある細胞を、例えば、放射活性ア イソトープのような検出可能な標識で選択的に標識した抗体に曝してもよく、患者の細胞 50 (26) JP 2007-515158 A 2007.6.14 への抗体の結合は、例えば、放射活性の外部スキャンニングによって、又は以前に抗体へ 曝した患者から取り出した生検を分析することによって評価することができる。 【0055】 「標識」という語は、ここで用いられる場合、「標識化」分子を作製するために、推定 上のIAPインヒビター又はML−IAPキメラに直接的又は間接的に結合させる検出可 能な化合物又は組成物を意味する。標識はそれ自身によって検出可能でもよく(例えば、 放射性同位元素標識又は蛍光標識)、あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化 合物又は組成物の化学的変換を触媒してもよい。 ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/ 又は細胞破壊を生ずる物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At 1 3 1 、I 1 2 5 、Y 9 0 、Re 1 8 6 、Re 1 8 8 、Sm 1 5 3 、Bi 2 1 1 2 1 2 、P 、I 10 3 2 及びLuの放射性同位体)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、 ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシ ン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤 、酵素及びその断片、例えば核溶解性酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/ 又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素 、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞 障害性薬が下記に記載されている。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。 【0056】 ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にIAPポリペプチド発現癌細胞の 20 成長をインビトロ又はインビボで阻害する化合物又は組成物を意味する。よって、成長阻 害剤は、S期でIAP発現細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は 、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を 誘導する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブ ラスチン)、タキサン類、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エ ピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。またG1停止さ せるこれらの薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモ キシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキ セ ー ト 、 5 -フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 、 及 び ア ラ -C で あ る 。 更 な る 情 報 は 、 The Molecular Basi s of Cancer, Mendelsohn及 び Israel, 編 , Chapter 1, 表 題 「 Cell cycle regulation, o 30 ncogene, and antineoplastic drugs」 , Murakami等 , (WB Saunders: Philadelphia, 199 5)、 特 に 1 3 頁 に 見 出 す こ と が で き る 。 タ キ サ ン 類 ( パ ク リ タ キ セ ル 及 び ド セ タ キ セ ル ) は 、 共 に イ チ イ に 由 来 す る 抗 癌 剤 で あ る 。 ヨ ー ロ ッ パ イ チ イ に 由 来 す る ド セ タ キ セ ル ( TA XOTERE( 登 録 商 標 ) 、 ロ ー ン ・ プ ー ラ ン ロ ー ラ ー ) は 、 パ ク リ タ キ セ ル ( TAXOL( 登 録 商 標 ) 、 ブ リ ス ト ル -マ イ ヤ ー ス ク ウ ィ ブ ) の 半 合 成 類 似 体 で あ る 。 パ ク リ タ キ セ ル 及 び ド セタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、脱重合を防ぐことによっ て微小管を安定化にし、その結果細胞の有糸分裂を阻害する。 「ドキソルビシン」はアントラサイクリン抗生物質である。ドキソルビシンの完全な化 学 名 は 、 (8 S -シ ス )-1 0 -[(3 -ア ミ ノ -2 , 3 , 6 -ト リ デ オ キ シ -α -L -リ キ ソ -ヘ キ サ ピ ラ ノ シ ル )オ キ シ ]-7 , 8 , 9 , 1 0 -テ ト ラ ヒ ド ロ -6 , 8 , 1 1 -ト リ ヒ ド ロ キ シ -8 - 40 (ヒ ド ロ キ シ ア セ チ ル )-1 -メ ト キ シ -5 , 1 2 -ナ フ タ セ ン ジ オ ン で あ る 。 【0057】 「サイトカイン」なる用語は、一つの細胞集団から放出され、他の細胞に細胞間メディ エータとして作用するタンパク質の一般用語である。このようなサイトカインの例は、リ ンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインに含 ま れ る の は 、 成 長 ホ ル モ ン 、 例 え ば ヒ ト 成 長 ホ ル モ ン 、 N -メ チ オ ニ ル ヒ ト 成 長 ホ ル モ ン 、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インシュリン;プロインシュ リン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば濾胞刺激ホルモン( FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体化ホルモン(LH);肝臓成長因子 ; 線 維 芽 成 長 因 子 ; プ ロ ラ ク チ ン ; 胎 盤 ラ ク ト ゲ ン ; 腫 瘍 壊 死 因 子 -α 及 び -β ; ミ ュ ー ラ 50 (27) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ー阻害因子;マウス生殖腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内 皮 成 長 因 子 ; イ ン テ グ リ ン ; ト ロ ン ボ ポ エ チ ン ( T P O ) ; N G F -β 等 の 神 経 成 長 因 子 ; 血 小 板 成 長 因 子 ; T G F -α 及 び T G F -β 等 の ト ラ ン ス フ ォ ー ミ ン グ 成 長 因 子 ( T G F s ) ; イ ン シ ュ リ ン 様 成 長 因 子 -I 及 び I I ; エ リ ス ロ ポ エ チ ン ( E P O ) ; 骨 誘 導 因 子 ; イ ン タ ー フ ェ ロ ン -α 、 -β 、 及 び -γ 等 の イ ン タ ー フ ェ ロ ン ; コ ロ ニ ー 刺 激 因 子 ( C S F s ) 、 例 え ば マ ク ロ フ ァ ー ジ -C S F ( M -C S F ) ; 顆 粒 球 -マ ク ロ フ ァ ー ジ -C S F ( G M -C S F ) ; 及 び 顆 粒 球 -C S F ( G -C S F ) ; イ ン タ ー ロ イ キ ン ( I L s ) 、 例 え ば I L -1 、 I L -1 a 、 I L -2 、 I L -3 、 I L -4 、 I L -5 、 I L -6 、 I L -7 、 I L -8 、 I L -9 、 I L -1 1 、 I L -1 2 ; 腫 瘍 壊 死 因 子 、 例 え ば T N F -α 及 び T N F -β ; 及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子である。ここで用い 10 られる際、用語サイトカインには、天然供給源から、又は組換え細胞培養からのタンパク 質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。 「パッケージ挿入物」という用語は、効能、用途、服用量、投与、配合禁忌及び/又は その治療薬の用途に関する警告についての情報を含む、治療薬の商業的包装を慣習的に含 めた指示書を指す。 【0058】 表1 20 30 (28) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (29) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (30) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (31) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (32) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (33) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (34) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (35) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (36) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (37) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (38) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (39) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 (40) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (41) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (42) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 (43) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 【0059】 20 30 40 (44) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 【0060】 (本発明の組成物及び方法) ML−IAPキメラ抗体 一実施態様では、本発明は、ここで治療及び/又は診断薬としての用途が見出され得る 30 抗ML−IAPキメラ抗体を提供する。例示的な抗体には、ポリクローナル、モノクロー ナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロコンジュゲート抗体が含まれる。 【0061】 ポリクローナル抗体 ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 体 は 、 好 ま し く は 、 関 連 す る 抗 原 と ア ジ ュ バ ン ト を 複 数 回 皮 下 (sc)又 は 腹 腔 内 (ip)注 射 す る こ と に よ り 、 動 物 に 産 生 さ れ る 。 そ れ は 、 免 疫 化 さ れ る べ き 種 に お いて免疫原性であるタンパク質へ、関連する抗原(特に、合成ペプチドが用いられる場合 )を結合させるために有用である。例えば、この抗原を、キーホールリンペットヘモシア ニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビ ターへ、二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミ 40 ド エ ス テ ル (シ ス テ イ ン 残 基 を 介 す る 抱 合 )、 N -ヒ ド ロ キ シ ス ク シ ン イ ミ ド (リ ジ ン 残 基 を 介 す る 抱 合 )、 グ ル タ ル ア ル デ ヒ ド 、 及 び 無 水 コ ハ ク 酸 、 S O C l 2 、 又 は R 及 び R 異なるアルキル基であるR 1 1 が N=C=NRを用いて結合させることができる。 動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ 又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に 皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫す る。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1 /10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加 免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、 力価がプラトーに達するまで追加免疫する。コンジュゲートはまた、タンパク融合として 50 (45) JP 2007-515158 A 2007.6.14 組換え細胞培養中で調製することができる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫 反応の増強のために好適に使用される。 【0062】 モノクローナル抗体 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 は 、 Kohler等 , Nature, 256:495 (1975)に よ り 最 初 に 記 載 さ れ た ハ イ ブ リ ド ー マ 法 、 又 は 組 換 え D N A 法 (米 国 特 許 第 4 8 1 6 5 6 7 号 )に よ っ て 作 成 す る こ とができる。 ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスター を上記のように免疫し、免疫化に用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生す る、又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロ 10 で免疫することもできる。免疫化の後、リンパ球を単離し、ポリエチレングリコールのよ う な 適 当 な 融 合 剤 を 用 い て 骨 髄 腫 細 胞 と 融 合 さ せ 、 ハ イ ブ リ ド ー マ 細 胞 を 形 成 さ せ る (God ing, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁 (Academic Press, 19 86))。 このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞(融 合のパートナーとも呼ばれる)の増殖または生存を阻害する一又は複数の物質を好ましく は含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチング ア ニ ン ホ ス ホ リ ボ シ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ (H G P R T 又 は H P R T )を 欠 失 す る な ら ば 、 ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質 で あ る ヒ ポ キ サ ン チ ン 、 ア ミ ノ プ テ リ ン 、 及 び チ ミ ジ ン を 含 有 す る で あ ろ う (H A T 培 地 ) 20 。 【0063】 好ましい融合のパートナーである骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生 細胞による抗体の安定な高レベルの発現を支援し、融合しない親細胞に対して選択する選 択培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫株化細胞は、 マウス骨髄腫ライン、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューシ ョ ン ・ セ ン タ ー 、 サ ン デ ィ エ ゴ 、 カ リ フ ォ ル ニ ア 、 U S A よ り 入 手 し 得 る M O P C -2 1 お よ び M P C -1 1 マ ウ ス 腫 瘍 、 及 び 、 ア メ リ カ ン ・ タ イ プ ・ カ ル チ ャ ー ・ コ レ ク シ ョ ン 、 マ ナ ッ サ ス 、 バ ー ジ ニ ア 、 U S A よ り 入 手 し 得 る S P -2 又 は X 6 3 -A g 8 -6 5 3 細 胞から誘導されるものである。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞もまた 30 ヒ ト モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 産 生 の た め に 開 示 さ れ て い る ( Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur等 , Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,5 1-63頁 、 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)) 。 ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生に ついて検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体 の 結 合 特 異 性 は 、 免 疫 沈 降 又 は イ ン ビ ト ロ 結 合 検 定 、 例 え ば ラ ジ オ イ ム ノ ア ッ セ イ (R I A )又 は 酵 素 結 合 免 疫 吸 着 検 定 (E L I S A )に よ っ て 測 定 す る 。 【0064】 例 え ば 、 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 結 合 親 和 性 は 、 Munson等 , Anal. Biochem., 107:220(19 80)の ス キ ャ ッ チ ャ ー ド 分 析 に よ っ て 測 定 す る こ と が で き る 。 40 所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定さ れた後、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖 さ せ る こ と が で き る (Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-10 3頁 (Academic Press, 1986))。 こ の 目 的 に 対 し て 好 適 な 培 地 は 、 例 え ば 、 D -M E M 又 は R P M I -1 6 4 0 培 地 を 包 含 す る 。 ま た 、 こ の ハ イ ブ リ ド ー マ 細 胞 は 、 動 物 の 腹 水 症 腫 瘍として、例えばマウスへの細胞の腹腔内注射によって、インビボで増殖させることがで きる。 サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばアフィニティークロマト グ ラ フ ィ ー ( 例 え ば プ ロ テ イ ン A 又 は プ ロ テ イ ン G -セ フ ァ ロ ー ス を 用 い る ) 又 は イ オ ン 交換クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透 50 (46) JP 2007-515158 A 2007.6.14 析等のような常套的な抗体精製法によって、培地、腹水、又は血清から上手く分離される 。 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を コ ー ド す る D N A は 、 常 法 を 用 い て (例 え ば 、 マ ウ ス 抗 体 の 重 鎖 および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを 用 い る こ と に よ り )即 座 に 分 離 さ れ て 、 配 列 決 定 さ れ る 。 ハ イ ブ リ ド ー マ 細 胞 は 、 こ の よ うなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび分離されたならば、DNAを発現ベクター 中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サ ル C O S 細 胞 、 チ ャ イ ニ ー ズ ハ ム ス タ ー 卵 巣 (C H O )細 胞 、 又 は 骨 髄 腫 細 胞 の よ う な 宿 主 細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得すること が で き る 。 抗 体 を コ ー ド す る D N A の 細 菌 で の 組 み 換 え 発 現 に 関 す る 概 説 論 文 に は 、 Sker 10 ra等 , Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262(1993)及 び Pluckthun, Immunol. Revs. 13 0: 151-188(1992)が 含 ま れ る 。 【0065】 更 な る 実 施 態 様 で は 、 抗 体 又 は 抗 体 断 片 は 、 McCafferty等 , Nature, 348:552-554 (199 0)に 記 載 さ れ た 技 術 を 使 用 し て 産 生 さ れ る 抗 体 フ ァ ー ジ ラ イ ブ ラ リ か ら 分 離 す る こ と が で き る 。 Clackson等 , Nature, 352:624-628 (1991)及 び Marks等 , J.Mol.Biol., 222:581-5 97 (1991)は 、 フ ァ ー ジ ラ イ ブ ラ リ を 使 用 し た マ ウ ス 及 び ヒ ト 抗 体 の 分 離 を 記 述 し て い る 。 続 く 刊 行 物 は 、 鎖 シ ャ フ リ ン グ に よ る 高 親 和 性 (n M 範 囲 )の ヒ ト 抗 体 の 生 成 (Marks等 , Bio/Technology, 10:779-783[1992])、 並 び に 非 常 に 大 き な フ ァ ー ジ ラ イ ブ ラ リ を 構 築 す る た め の 方 策 と し て コ ン ビ ナ ト リ ア ル 感 染 と イ ン ビ ボ 組 換 え (Waterhouse等 , Nuc.Acids.R 20 es., 21:2265-2266[1993])を 記 述 し て い る 。 従 っ て 、 こ れ ら の 技 術 は モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の分離に対する伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に対する実行可能な別法で ある。 抗体をコードするDNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメイン(CH 及びCL ) の 配 列 を 、 相 同 的 マ ウ ス 配 列 に 代 え て 置 換 す る こ と に よ っ て (米 国 特 許 第 4 , 8 1 6 , 5 6 7 号 ; Morrison等 , Proc.Nat.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、 又 は 免 疫 グ ロ ブ リ ン コ ード配列に非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)のコード配列の全部又は 一部を共有結合させることによって修飾してキメラ又は融合抗体ポリペプチドを生成する ことができる。非免疫グロブリンポリペプチド配列は、抗体の定常ドメインと置き代わる ことができるか、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインが置換されて、抗原に対 30 する特異性を有する1つの抗原結合部位と異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの 抗原結合部位とを含むキメラ二価抗体を作り出す。 【0066】 ヒト及びヒト化抗体 本 発 明 の 抗 -M L − I A P キ メ ラ 抗 体 は 、 さ ら に ヒ ト 化 抗 体 又 は ヒ ト 抗 体 を 含 む 。 非 ヒ ト (例 え ば マ ウ ス )抗 体 の ヒ ト 化 形 と は 、 キ メ ラ 免 疫 グ ロ ブ リ ン 、 免 疫 グ ロ ブ リ ン 鎖 又 は そ の 断 片 (例 え ば F v 、 F a b 、 F a b ’ 、 F ( a b ’ ) 2 あ る い は 抗 体 の 他 の 抗 原 結 合 サ ブ 配 列 )で あ っ て 、 非 ヒ ト 免 疫 グ ロ ブ リ ン に 由 来 す る 最 小 配 列 を 含 む も の で あ る 。 ヒ ト 化 抗 体 は 、 レ シ ピ エ ン ト の 相 補 性 決 定 領 域 (C D R )の 残 基 が 、 マ ウ ス 、 ラ ッ ト 又 は ウ サ ギ の よ う な 所 望 の 特 異 性 、 親 和 性 及 び 能 力 を 有 す る 非 ヒ ト 種 (ド ナ ー 抗 体 )の C D R の 残 基 に よ 40 っ て 置 換 さ れ た ヒ ト 免 疫 グ ロ ブ リ ン (レ シ ピ エ ン ト 抗 体 )を 含 む 。 幾 つ か の 例 で は 、 ヒ ト 免 疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている 。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワー ク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般的に、ヒト化抗体は、全て又はほ とんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、全て又はほとんど全て のFR領域がヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列である、少なくとも1つ、典型的に は2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定 常 領 域 (F c )、 典 型 的 に は ヒ ト の 免 疫 グ ロ ブ リ ン の 定 常 領 域 の 少 な く と も 一 部 を 含 む [ Jo nes等 , Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等 , Nature, 332:323-329 (1988); 及 び Presta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)] 。 50 (47) JP 2007-515158 A 2007.6.14 非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。一般的に、ヒト化抗体に は非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、 しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト 化 は 基 本 的 に ウ ィ ン タ ー (Winter)及 び 共 同 研 究 者 [ Jones等 , Nature, 321:522-525 (1986 ); Riechmann等 , Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen等 , Science, 239:1534-1536 (1988)] の 方 法 に 従 っ て 、 齧 歯 類 C D R 又 は C D R 配 列 を ヒ ト 抗 体 の 対 応 す る 配 列 に 置 換 することにより実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメ イ ン よ り 実 質 的 に 少 な い 分 が 非 ヒ ト 種 由 来 の 対 応 す る 配 列 で 置 換 さ れ た キ メ ラ 抗 体 (米 国 特 許 第 4 , 8 1 6 , 5 6 7 号 )で あ る 。 実 際 に は 、 ヒ ト 化 抗 体 は 典 型 的 に は 幾 つ か の C D R残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によ 10 って置換されたヒト抗体である。 【0067】 抗 体 が ヒ ト の 治 療 用 途 を 意 図 し て い る 場 合 、 抗 原 性 及 び H A M A 反 応 (ヒ ト 抗 -マ ウ ス 抗 体 )を 低 減 す る に は 、 ヒ ト 化 抗 体 を 生 成 す る 際 に 使 用 す る ヒ ト の 軽 重 両 方 の ヒ ト 可 変 ド メ インの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可 変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニ ングする。次に齧歯動物のものと最も近いヒトVドメイン配列を同定し、その中のヒトフ レ ー ム ワ ー ク 領 域 ( F R ) を ヒ ト 化 抗 体 の た め に 受 け 入 れ る (Sims等 , J. Immunol., 151: 2296 (1993); Chothia等 , J. Mol. Biol., 196:901(1987))。 他 の 方 法 で は 、 軽 又 は 重 鎖 の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレーム 20 ワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる (Carter等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992); Presta等 , J. Immunol., 15 1:2623(1993))。 更に、抗体を、抗原に対する高結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト 化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配 列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト 化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者には よく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解 し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補 免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グロ 30 グリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例 えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、 FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に 、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。 【0068】 ヒト化抗ML−IAPキメラ抗体の種々の形態が考えられる。例えばヒト化抗体は、免 疫 結 合 体 を 生 成 す る た め に 、 状 況 に 応 じ て 一 又 は 複 数 の 細 胞 傷 害 剤 (類 )と 結 合 し て い て も よい抗体断片、例えばFabであってもよい。また、ヒト化抗体は無傷抗体、例えば無傷 IgG1抗体であってもよい。 ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、現在では、免疫化す 40 ることで、内因性免疫グロブリンの産生がなく、ヒト抗体の全レパートリーを産生するこ と の で き る ト ラ ン ス ジ ェ ニ ッ ク 動 物 (例 え ば 、 マ ウ ス )を 作 る こ と が 可 能 で あ る 。 例 え ば 、 キ メ ラ 及 び 生 殖 細 胞 系 突 然 変 異 体 マ ウ ス に お け る 抗 体 重 鎖 結 合 領 域 (J H )遺 伝 子 の ホ モ 接 合体欠失によって、結果として内因性抗体産生の完全な阻害が起こることが説明されてき た。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列の、このような生殖細胞系突然変異体マウス へ の 転 移 に よ っ て 、 結 果 と し て 抗 原 投 与 時 に ヒ ト 抗 体 の 産 生 が お こ る 。 Jakobovits等 , Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993); Jakobovits等 , Nature 362:255-258 (1993); B ruggeman等 , Year in Immuno., 7:33 (1993); 米 国 特 許 第 5 5 4 5 8 0 6 号 、 同 5 5 6 9 8 2 5 号 、 同 5 5 9 1 6 6 9 号 ( 全 て ジ ェ ン フ ァ ー ム (GenPharm)) ; 同 5 5 4 5 8 0 7 号 ;及び国際公開第97/17852号を参照されたい。 50 (48) JP 2007-515158 A 2007.6.14 【0069】 別 法 と し て 、 フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ 技 術 (McCafferty等 , Nature 348: 552-553[1990]) を 使 用 し て 、 非 免 疫 化 ド ナ ー の 免 疫 グ ロ ブ リ ン 可 変 (V )ド メ イ ン 遺 伝 子 レ パ ー ト リ ー か ら 、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させることができる。この技術によれば、抗 体Vドメイン遺伝子を、フレーム単位で、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又は fdの大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子のどちらかでクローンし、ファージ粒子 の表面で機能的抗体断片として表示させる。繊維状粒子がファージゲノムの一本鎖DNA コピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択に基づいても、結果としてこれらの特 性を示す抗体をコードする遺伝子の選択が成される。よって、このファージはB細胞のい くつかの特性を模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる; 10 例 え ば Johnson, Kevin S. 及 び Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Bi ology 3: 564-571(1993)を 参 照 せ よ 。 V -遺 伝 子 セ グ メ ン ト の い く つ か の 供 給 源 を 、 フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ の た め に 使 用 で き る 。 Clackson等 , Nature, 352: 624-628(1991)は 、 免 疫化したマウス脾臓由来のV遺伝子の小さいランダムなコンビナトリアルライブラリから 、 多 様 で 多 く の 抗 -オ キ サ ゾ ロ ン 抗 体 を 単 離 し た 。 非 免 疫 化 ヒ ト ド ナ ー の V 遺 伝 子 の レ パ ー ト リ ー が 構 成 可 能 で あ り 、 多 様 で 多 く の 抗 原 (自 己 抗 原 を 含 む )に 対 す る 抗 体 は 、 Marks 等 , J. Mol. Biol. 222: 581-597(1991)、 又 は Griffith等 , EMBO J. 12: 725-734(1993) に記載の技術にそのまま従うことで単離することができる。また、米国特許第55653 32号及び同5573905号を参照のこと。 上述したように、ヒト抗体はインビトロで活性化したB細胞により産生することができ 20 る (米 国 特 許 第 5 5 6 7 6 1 0 号 及 び 同 5 2 2 9 2 7 5 号 )。 【0070】 抗体断片 ある状況下では、抗体全体よりも、抗体断片を用いることに利点がある。より小さな大 きさの断片によって迅速なクリアランスが可能となり、固形腫瘍への接近の改良につなが り得る。 抗体断片を産生するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は 、 無 傷 の 抗 体 の タ ン パ ク 分 解 性 消 化 に よ っ て 誘 導 さ れ た (例 え ば 、 Morimoto等 , Journal o f Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及 び Brennan等 , Science, 2 29:81(1985)を 参 照 さ れ た い )。 し か し 、 こ れ ら の 断 片 は 、 現 在 は 組 換 え 宿 主 細 胞 に よ り 直 30 接産生することができる。Fab、Fv及びScFv抗体断片は、すべて大腸菌で発現さ せ分泌させることができ、従って、大量のこれら断片の産生が容易となった。抗体断片は 、 上 で 論 じ た 抗 体 フ ァ ー ジ ラ イ ブ ラ リ か ら 単 離 す る こ と が で き る 。 別 法 と し て 、 F a b 'S H 断 片 は 大 腸 菌 か ら 直 接 回 収 す る こ と が で き 、 化 学 的 に 結 合 さ せ て F (a b ')2 断 片 を 形 成 す る こ と が で き る (Carter等 , Bio/Technology 10:163-167(1992))。 他 の ア プ ロ ー チ 法 で は 、 F (a b ')2 断 片 を 組 換 え 宿 主 細 胞 培 養 か ら 直 接 分 離 す る こ と が で き る 。 イ ン ビ ボ半減期が増した、サルベージレセプター結合性エピトープ残基を含むFab及びF(a b’)2 が、米国特許第5869046号に記載されている。抗体断片を生成するのため の他の方法は、当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択する抗体は単鎖Fv 断 片 (s c F v )で あ る 。 国 際 公 開 9 3 / 1 6 1 8 5 号 ; 米 国 特 許 第 5 5 7 1 8 9 4 号 ; 及 40 び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域を欠く無傷の 連結部位を有する唯一の種である;従って、インビボで使用している間の減少した非特異 的結合に適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ又はカルボキシ末端のど ちらかで、エフェクタータンパク質の融合体が生成されるように構成されてもよい。上掲 の Antibody Engineering, Borrebaeck編 を 参 照 の こ と 。 ま た 、 抗 体 断 片 は 、 例 え ば 米 国 特 許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。そのよう な直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってもよい。 【0071】 二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗 50 (49) JP 2007-515158 A 2007.6.14 体である。例示的な二重特異性抗体は、ML−IAPキメラポリペプチドの2つの異なる エピトープに結合しうる。他のこのような抗体では他のタンパク質に対する結合部位とM L−IAPキメラ結合部位とが結合しうる。あるいは、抗ML−IAPキメラアームは、 M L − I A P キ メ ラ -発 現 細 胞 に 細 胞 防 御 メ カ ニ ズ ム を 集 中 さ せ 局 在 さ せ る よ う に 、 F c γ R I (C D 6 4 )、 F c γ R I I (C D 3 2 )及 び F c γ R I I I (C D 1 6 )等 の I g G ( F c γ R )に 対 す る F c レ セ プ タ ー 、 又 は T 細 胞 レ セ プ タ ー 分 子 (例 え ば C D 3 )等 の 白 血 球上のトリガー分子に結合するアームと結合しうる。また、二重特異性抗体はML−IA Pキメラを発現する細胞に細胞障害性剤を局在化するためにも使用されうる。これらの抗 体 は M L − I A P キ メ ラ 結 合 ア ー ム 及 び 細 胞 障 害 性 剤 (例 え ば 、 サ ポ リ ン (saporin)、 抗 イ ン タ ー フ ェ ロ ン -α 、 ビ ン カ ア ル カ ロ イ ド 、 リ シ ン A 鎖 、 メ ト ト レ キ セ ー ト 又 は 放 射 性 同 10 位 体 ハ プ テ ン )と 結 合 す る ア ー ム を 有 す る 。 二 重 特 異 性 抗 体 は 完 全 長 抗 体 又 は 抗 体 断 片 (例 え ば F (a b ')2 二 重 特 異 性 抗 体 )と し て 調 製 す る こ と が で き る 。 国 際 公 開 第 9 6 / 1 6 6 7 3 号 に は 、 二 重 特 異 性 抗 -E r b B 2 / 抗 -F c γ R I I I 抗 体 が 記 載 さ れ て お り 、 米 国 特 許 第 5 8 3 7 2 3 4 号 に は 、 二 重 特 異 性 抗 -E r b B 2 / 抗 F c γ R I 抗 体 が 開 示 さ れ て い る 。 二 重 特 異 性 抗 -E r b B 2 / F c α 抗 体 は 国 際 公 開 第 9 8 / 0 2 4 6 3 号 に 示 さ れ て い る 。 米 国 特 許 第 5 8 2 1 3 3 7 号 は 、 二 重 特 異 性 抗 -E r b B 2 / 抗 -C D 3 抗 体 を 教 示 す る も の で あ る 。 二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。完全長二重特異性抗体 の 伝 統 的 な 産 生 は 二 つ の 免 疫 グ ロ ブ リ ン 重 鎖 -軽 鎖 対 の 同 時 発 現 に 基 づ き 、 こ こ で 二 つ の 鎖 は 異 な る 特 異 性 を 持 っ て い る (Millstein等 , Nature, 305:537-539(1983))。 免 疫 グ ロ ブ 20 リ ン 重 鎖 及 び 軽 鎖 が 無 作 為 に 取 り 揃 え ら れ て い る た め 、 こ れ ら の ハ イ ブ リ ド ー マ (四 部 雑 種 )は 1 0 個 の 異 な る 抗 体 分 子 の 可 能 性 あ る 混 合 物 を 産 生 し 、 そ の う ち た だ 一 つ が 正 し い 二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる 正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93 / 0 8 8 2 9 号 及 び Traunecker等 、 EMBO J. 10:3655-3659(1991)に 開 示 さ れ て い る 。 【0072】 異 な っ た ア プ ロ ー チ 法 で は 、 所 望 の 結 合 特 異 性 を 有 す る 抗 体 可 変 ド メ イ ン (抗 原 -抗 体 結 合 部 位 )を 免 疫 グ ロ ブ リ ン 定 常 ド メ イ ン 配 列 と 融 合 さ せ る 。 該 融 合 は 好 ま し く は 、 少 な く ともヒンジの一部、CH 2及びCH 3領域を含むIg重鎖定常ドメインである。軽鎖の結 合 に 必 要 な 部 位 を 含 む 第 一 の 重 鎖 定 常 領 域 (C H 1 )を 、 融 合 の 少 な く と も 一 つ に 存 在 さ せ 30 ることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコ ードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時トランス フェクトする。これにより、組立に使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が 所望の二重特異性抗体の最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の 相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド 鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が所望の鎖の結合にあま り影響がないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの 発現ベクターに挿入することが可能である。 この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方 のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリ 40 ン 重 鎖 -軽 鎖 対 (第 二 の 結 合 特 異 性 を 提 供 す る )と か ら な る 。 二 重 特 異 性 分 子 の 半 分 に し か 免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望 の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にす ることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されてい る 。 二 重 特 異 性 抗 体 を 産 生 す る 更 な る 詳 細 に つ い て は 、 例 え ば Suresh等 , Methods in Enz ymology, 121:210 (1986)を 参 照 さ れ た い 。 【0073】 米国特許第5731168号に記載された他の手法によれば、一対の抗体分子間の界面 を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすること ができる。好適な界面はCH 3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗 50 (50) JP 2007-515158 A 2007.6.14 体 分 子 の 界 面 か ら の 一 又 は 複 数 の 小 さ い ア ミ ノ 酸 側 鎖 が よ り 大 き な 側 鎖 (例 え ば チ ロ シ ン 又 は ト リ プ ト フ ァ ン )と 置 き 換 え ら れ る 。 大 き な 側 鎖 と 同 じ 又 は 類 似 の サ イ ズ の 相 補 的 「 キ ャ ビ テ ィ 」 を 、 大 き な ア ミ ノ 酸 側 鎖 を 小 さ い も の (例 え ば ア ラ ニ ン 又 は ス レ オ ニ ン )と 置 き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのよう な不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供され る。 二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体もまた含む。例えば、 ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合され得 る。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするた め (米 国 特 許 第 4 6 7 6 9 8 0 号 ) 、 及 び H I V 感 染 の 治 療 の た め に 提 案 さ れ た ( 国 際 公 10 開 第 9 1 / 0 0 3 6 0 号 、 同 9 2 / 2 0 0 3 7 3 号 、 及 び 欧 州 特 許 第 0 3 0 8 9 号 )。 ヘ テロコンジュゲート抗体は、あらゆる簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適 な架橋剤は当該分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第46 76980号に開示されている。 【0074】 抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化 学 結 合 を 使 用 し て 二 重 特 異 性 抗 体 を 調 製 す る こ と が で き る 。 Brennan等 , Science, 229:81 (1985) は 無 傷 の 抗 体 を タ ン パ ク 分 解 性 に 切 断 し て F (a b ')2 断 片 を 産 生 す る 手 順 を 記 述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元 して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたFa 20 b '断 片 は つ い で チ オ ニ ト ロ ベ ン ゾ ア ー ト (T N B )誘 導 体 に 変 換 さ れ る 。 F a b '-T N B 誘 導 体 の 一 つ を つ い で メ ル カ プ ト エ チ ル ア ミ ン で の 還 元 に よ り F a b '-チ オ ー ル に 再 変 換 し 、 他 の F a b '-T N B 誘 導 体 の 等 モ ル 量 と 混 合 し て 二 重 特 異 性 抗 体 を 形 成 す る 。 作 ら れ た二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。 最 近 の 進 歩 に よ り 、 大 腸 菌 か ら の F a b '-S H 断 片 の 直 接 の 回 収 が 容 易 に な り 、 こ れ は 化 学 的 に 結 合 し て 二 重 特 異 性 抗 体 を 形 成 す る こ と が で き る 。 Shalaby等 ,J.Exp.Med., 175: 217-225 (1992)は 完 全 に ヒ ト 化 さ れ た 二 重 特 異 性 抗 体 F (a b ')2 分 子 の 製 造 を 記 述 し て い る 。 各 F a b '断 片 は 大 腸 菌 か ら 別 個 に 分 泌 さ れ 、 イ ン ビ ト ロ で 定 方 向 化 学 共 役 を 受 け て二重特異性抗体を形成する。このようにして形成された二重特異性抗体は、正常なヒト T細胞、及びErbB2レセプターを過剰発現する細胞に結合可能で、ヒト乳房腫瘍標的 30 に対するヒト細胞障害性リンパ球の細胞溶解活性の誘因となる。 【0075】 組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な技術もまた記 述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して生成されている。 Kostelny等 , J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。 F o s 及 び J u n タ ン パ ク 質 か ら の ロ イ シ ン ジ ッ パ ー ペ プ チ ド を 遺 伝 子 融 合 に よ り 二 つ の 異 な っ た 抗 体 の F a b '部 分 に 結 合 させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して 抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの生成に対して使用す る こ と が で き る 。 Hollinger等 , Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)に よ り 記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供 40 した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカ ーによりVL にVH を結合してなる。従って、一つの断片のVH 及びVL ドメインは他の 断片の相補的VL 及びVH ドメインと強制的に対形成させられ、よって2つの抗原結合部 位 を 形 成 す る 。 単 鎖 F v (s F v )ダ イ マ ー の 使 用 に よ り 二 重 特 異 性 抗 体 断 片 を 製 造 す る 他 の 方 策 も ま た 報 告 さ れ て い る 。 Gruber等 , J.Immunol. 152:5368 (1994)を 参 照 さ れ た い 。 二 価 よ り 多 い 抗 体 も 考 え ら れ る 。 例 え ば 、 三 重 特 異 性 抗 体 を 調 製 す る こ と が で き る 。 Tu tt等 J.Immunol. 147:60(1991)。 【0076】 ヘテロコンジュゲート抗体 ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロコンジュゲート抗体は、 50 (51) JP 2007-515158 A 2007.6.14 2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞 に対してターゲティングさせるため[米国特許第4676980号]及びHIV感染の治 療のために[国際公開第91/00360;国際公開第92/200373;欧州特許第 03089号]提案されている。この抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク 化学における既知の方法を使用して、インビトロで調製することができると考えられる。 例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することによっ て、免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチ オ レ ー ト 及 び メ チ ル -4 -メ ル カ プ ト ブ チ ル イ ミ ダ ー ト 、 及 び 例 え ば 米 国 特 許 第 4 6 7 6 9 80号に開示されたものが含まれる。 【0077】 10 多価抗体 多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも早くインター ナ リ ゼ ー シ ョ ン (及 び / 又 は 異 化 )さ れ う る 。 本 発 明 の 抗 体 は 、 3 又 は そ れ 以 上 の 結 合 部 位 を 有 す る 多 価 抗 体 (I g M ク ラ ス 以 外 の も の )で あ り 得 (例 え ば 四 価 抗 体 )、 抗 体 の ポ リ ペ プ チド鎖をコードする核酸の組換え発現により容易に生成することができる。多価抗体は二 量化ドメインと3又はそれ以上の抗原結合部位を有する。好ましい二量化ドメインはFc 領 域 又 は ヒ ン ジ 領 域 を 有 す る (又 は そ れ ら か ら な る )。 こ の シ ナ リ オ に お い て 、 抗 体 は F c 領域と、Fc領域のアミノ末端に3又はそれ以上の抗原結合部位を有しているであろう。 こ こ で 、 好 ま し い 多 価 抗 体 は 3 な い し 8 、 好 ま し く は 4 の 抗 原 結 合 部 位 を 有 す る (又 は そ れ ら か ら な る )。 多 価 抗 体 は 少 な く と も 1 つ の ポ リ ペ プ チ ド 鎖 (好 ま し く は 2 つ の ポ リ ペ プ 20 チ ド 鎖 )を 有 し 、 ポ リ ペ プ チ ド 鎖 (類 )は 2 又 は そ れ 以 上 の 可 変 ド メ イ ン を 有 す る 。 例 え ば 、 ポ リ ペ プ チ ド 鎖 (類 )は V D 1 -(X 1 )n -V D 2 -(X 2 )n -F c を 有 し 、 こ こ で V D 1 は 第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域のポリ ペプチド鎖の一つであり、X1及びX2はアミノ酸又はポリペプチドを表し、nは0又は 1 で あ る 。 例 え ば 、 ポ リ ペ プ チ ド 鎖 (類 )は : V H -C H 1 -柔 軟 な リ ン カ ー -V H -C H 1 F c 領 域 鎖 ; 又 は V H -C H 1 -V H -C H 1 -F c 領 域 鎖 を 有 し 得 る 。 こ こ で 多 価 抗 体 は 、 好 ま し く は 少 な く と も 2 つ (好 ま し く は 4 つ )の 軽 鎖 可 変 ド メ イ ン ポ リ ペ プ チ ド を さ ら に 有 する。ここで多価抗体は、例えば約2∼約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを有する。 ここで考察される軽鎖可変ドメインポリペプチドは軽鎖可変ドメインを有し、場合によっ てはCLドメインを更に有する。 30 【0078】 エフェクター機能の加工 本 発 明 の 抗 体 を エ フ ェ ク タ ー 機 能 に つ い て 改 変 し 、 例 え ば 抗 体 の 抗 原 -依 存 細 胞 媒 介 細 胞障害性(ADCC)及び/又は補体依存細胞障害性(CDC)を向上させることは望ま しい。これは、抗体のFc領域で一又は複数のアミノ酸置換を誘導することによりなされ うる。あるいは又はさらに、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域 に鎖間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成された同種二 量体抗体は、向上したインターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷 及 び 抗 体 − 依 存 細 胞 性 細 胞 障 害 性 ( A D C C ) を 有 す る 可 能 性 が あ る 。 Caron等 , J. Exp. Med. 176: 1191-1195 (1992)及 び Shopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)参 照 40 。 ま た 、 向 上 し た 抗 腫 瘍 活 性 を 持 つ 同 種 二 量 体 抗 体 は 、 Wolff等 , Cancer Research 53: 2 560-2565 (1993)に 記 載 さ れ て い る 異 種 二 官 能 性 架 橋 を 用 い て 調 製 す る こ と が で き る 。 あ るいは、抗体は、2つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びAD C C 能 力 を 向 上 さ せ る こ と も で き る 。 Stevenson等 , Anti-Cancer Drug Design 3: 219-23 0 (1989)参 照 。 抗体の血清半減期を増大させるために、例えば米国特許第5739277号に記載のよ う に 、 抗 体 (特 に 抗 体 断 片 )へ サ ル ベ ー ジ レ セ プ タ ー 結 合 エ ピ ト ー プ を 導 入 し て も よ い 。 こ こで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分子 の イ ン ビ ボ 血 清 半 減 期 を 増 加 さ せ る 原 因 で あ る I g G 分 子 (例 え ば 、 I g G 1 、 I g G 2 、 I g G 3 又 は I g G 4 )の F c 領 域 の エ ピ ト ー プ を 意 味 す る 。 50 (52) JP 2007-515158 A 2007.6.14 【0079】 免疫複合体 また、本発明は、化学治療薬、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物又は動物 由来の酵素活性毒素、又はその断片)などの細胞障害性剤、あるいは放射性同位体(即ち 、放射性コンジュゲート)と抱合している抗体を含む免疫複合体に関する。 このような免疫複合体の生成に有用な化学治療薬を上に記載した。用いることのできる 酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、( 緑 膿 菌 か ら の ) 外 毒 素 A 鎖 、 リ シ ン A 鎖 、 ア ブ リ ン A 鎖 、 モ デ ク シ ン (modeccin)A 鎖 、 ア ル フ ァ -サ ル シ ン 、 ア レ ウ リ テ ス ・ フ ォ ー デ ィ (Aleurites fordii)タ ン パ ク 質 、 ジ ア ン チ ン (dianthin)タ ン パ ク 質 、 フ ィ ト ラ カ ・ ア メ リ カ ー ナ (Phytolaca americana)タ ン パ ク 質 10 ( PAPI、 PAPII、 及 び PAP-S) 、 モ モ ル デ ィ カ ・ チ ャ ラ ン チ ア (momordica charantia)イ ン ヒ ビ タ ー 、 ク ル シ ン (curcin)、 ク ロ チ ン (crotin)、 サ パ オ ナ リ ア ・ オ フ ィ シ ナ リ ス (sapao naria officinalis)イ ン ヒ ビ タ ー 、 ゲ ロ ニ ン (gelonin)、 ミ ト ゲ リ ン (mitogellin)、 レ ス ト リ ク ト シ ン (restrictocin)、 フ ェ ノ マ イ シ ン (phenomycin)、 エ ノ マ イ シ ン (enomycin)及 び ト リ コ テ セ ン (tricothecene)が 含 ま れ る 。 放 射 性 コ ン ジ ュ ゲ ー ト 抗 体 の 生 成 に は 、 様 々 な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、 n、 9 0 Y及び 1 8 6 2 1 2 Bi、 1 3 1 I、 1 3 1 I Reが含まれる。抗体及び細胞障害性薬の複合体は、種々の二官能 性 タ ン パ ク 質 カ ッ プ リ ン グ 剤 、 例 え ば 、 N -ス ク シ ン イ ミ ジ ル -3 -(2 -ピ リ ジ ル ジ チ オ ー ル )プ ロ ピ オ ナ ー ト ( S P D P ) 、 イ ミ ノ チ オ ラ ン ( I T ) 、 イ ミ ド エ ス テ ル の 二 官 能 性 誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレ 20 ー ト 等 ) 、 ア ル デ ヒ ド ( グ ル タ ル ア ル デ ヒ ド 等 ) 、 ビ ス -ア ジ ド 化 合 物 ( ビ ス (p -ア ジ ド ベ ン ゾ イ ル )ヘ キ サ ン ジ ア ミ ン 等 ) 、 ビ ス -ジ ア ゾ ニ ウ ム 誘 導 体 ( ビ ス -(p -ジ ア ゾ ニ ウ ム ベ ン ゾ イ ル )-エ チ レ ン ジ ア ミ ン 等 ) 、 ジ イ ソ シ ア ネ ー ト ( ト リ エ ン 2 , 6 -ジ イ ソ シ ア ネ ー ト 等 ) 、 及 び ビ ス -活 性 フ ッ 素 化 合 物 ( 1 , 5 -ジ フ ル オ ロ -2 , 4 -ジ ニ ト ロ ベ ン ゼ ン 等 ) を 用 い て 作 成 で き る 。 例 え ば 、 リ シ ン 免 疫 毒 素 は 、 Vitetta等 , Science 238: 1098 (19 87)に 記 載 さ れ て い る よ う に 調 製 す る こ と が で き る 。 カ ー ボ ン -1 4 -標 識 1 -イ ソ チ オ シ ア ナ ト ベ ン ジ ル -3 -メ チ ル ジ エ チ レ ン ト リ ア ミ ン 五 酢 酸 ( M X -D T P A ) は 、 放 射 性 ヌ ク レオチドの抗体への抱合のためのキレート剤の例である。国際公開94/11026参照 。 抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタン 30 シ ノ イ ド 、 ト リ コ セ ン (trichothene)及 び C C 1 0 6 5 、 及 び 毒 性 活 性 を 有 す る こ れ ら の 毒素の誘導体が、ここで考察される。 【0080】 メイタンシン及びメイタンシノイド 好 ま し い 一 実 施 態 様 で は 、 本 発 明 の 抗 M L − I A P キ メ ラ 抗 体 (完 全 長 又 は 断 片 )は 一 又 は複数のメイタンシノイド分子と結合している。 メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。 メ イ タ ン シ ン は 、 最 初 、 東 ア フ リ カ シ ラ ブ Maytenus serrataか ら 単 離 さ れ た も の で あ る ( 米 国 特 許 第 3 8 9 6 1 1 1 号 )。 そ の 後 、 あ る 種 の 微 生 物 が メ イ タ ン シ ノ イ ド 類 、 例 え ば メ イ タ ン シ ノ ー ル 及 び C -3 メ イ タ ン シ ノ ー ル エ ス テ ル を 生 成 す る こ と が 発 見 さ れ た (米 国 40 特 許 第 4 1 5 1 0 4 2 号 )。 合 成 メ イ タ ン シ ノ ー ル 及 び そ の 誘 導 体 及 び 類 似 体 は 、 例 え ば 米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同42606 08号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同43082 68号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同43159 29号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同43616 50号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同43626 63号;及び同4371533号に開示されており、その開示は出典を明示してここに取 り込まれる。 【0081】 メ イ タ ン シ ノ イ ド -抗 体 コ ン ジ ュ ゲ ー ト 50 (53) JP 2007-515158 A 2007.6.14 治療指標を改善する試みにおいて、メイタンシン及びメイタンシノイドは、腫瘍細胞抗 原に特異的に結合する抗体と結合している。メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲ ート及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5,208,020号、同5,416, 064号、欧州特許第0425235B1号に開示されており、その開示は出典を明示し て こ こ に 取 り 込 ま れ る 。 Liu等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 8618-8623(1996)に は 、ヒト結腸直腸癌に対するモノクローナル抗体C242に結合するDM1と命名されたメ イタンシノイドを含有する免疫コンジュゲートが記載されている。前記コンジュゲートは 培養された結腸癌細胞に対して高い細胞障害性を有することが見出されており、インビボ 腫 瘍 成 長 ア ッ セ イ に お い て 抗 腫 瘍 活 性 を 示 す 。 Chari等 , Cancer Research, 52: 127-131( 1992)に は 、 メ イ タ ン シ ノ イ ド が 、 ジ ス ル フ ィ ド 結 合 を 介 し て 、 ヒ ト 結 腸 癌 株 化 細 胞 の 抗 10 原 に 結 合 す る マ ウ ス 抗 体 A 7 、 又 は H E R -2 / n e u オ ン コ ジ ー ン に 結 合 す る 他 の マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 T A .1 に 結 合 し て い る 免 疫 コ ン ジ ュ ゲ ー ト が 記 載 さ れ て い る 。 T A .1 -メ イ タ ン シ ノ イ ド コ ン ジ ュ ゲ ー ト の 細 胞 障 害 性 は ヒ ト 乳 癌 株 化 細 胞 S K -B R -3 に おけるインビトロで試験され、細胞当たり3×10 5 H E R -2 表 面 抗 原 が 発 現 し た 。 薬 剤コンジュゲートにより、遊離のメイタンシノイド剤に類似した細胞障害度が達成され、 該細胞障害度は、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることにより増 加 す る 。 A 7 -メ イ タ ン シ ノ イ ド コ ン ジ ュ ゲ ー ト は マ ウ ス に お い て は 低 い 全 身 性 細 胞 障 害 性を示した。 【0082】 抗 M L − I A P キ メ ラ ポ リ ペ プ チ ド 抗 体 -メ イ タ ン シ ノ イ ド コ ン ジ ュ ゲ ー ト (免 疫 コ ン ジ ュ 20 ゲート) 抗 M L − I A P キ メ ラ 抗 体 -メ イ タ ン シ ノ イ ド コ ン ジ ュ ゲ ー ト は 、 抗 体 又 は メ イ タ ン シ ノイド分子のいずれの生物学的活性もほとんど低減することなく、メイタンシノイド分子 に抗ML−IAPキメラ抗体を化学的に結合させることにより調製される。1分子の毒素 /抗体は、裸抗体の使用において細胞障害性を高めることが予期されているが、抗体分子 当 た り 、 平 均 3 -4 の メ イ タ ン シ ノ イ ド 分 子 が 結 合 し た も の は 、 抗 体 の 機 能 又 は 溶 解 性 に 悪影響を与えることなく、標的細胞に対する細胞障害性を向上させるといった効力を示す 。メイタンシノイドは当該技術分野でよく知られており、公知の技術で合成することも、 天然源から単離することもできる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第520 8020号、及び他の特許、及び上述した特許ではない刊行物に開示されている。好まし 30 いメイタンシノイドは、メイタンシノール、及び種々のメイタンシノールエステル等の、 メイタンシノール分子の芳香環又は他の位置が修飾されたメイタンシノール類似体である 。 例 え ば 、 米 国 特 許 第 5 2 0 8 0 2 0 号 又 は 欧 州 特 許 第 0 4 2 5 2 3 5 B 1 号 、 及 び Char i等 , Cancer Research, 52: 127-131(1992)に 開 示 さ れ て い る も の 等 を 含 む 、 抗 体 -メ イ タ ンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。結 合基には、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不 安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含ま れるが、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。 【0083】 40 抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリン グ 剤 、 例 え ば N -ス ク シ ン イ ミ ジ ル -3 -(2 -ピ リ ジ ル ジ チ オ )プ ロ ピ オ ナ ー ト (S P D P )、 ス ク シ ン イ ミ ジ ル -4 -(N -マ レ イ ミ ド メ チ ル )シ ク ロ ヘ キ サ ン -1 -カ ル ボ キ シ ラ ー ト 、 イ ミ ノ チ オ ラ ン (I T )、 イ ミ ド エ ス テ ル 類 の 二 官 能 性 誘 導 体 (例 え ば ジ メ チ ル ア ジ ピ ミ ダ ー ト H C L )、 活 性 エ ス テ ル 類 (例 え ば 、 ス ベ リ ン 酸 ジ ス ク シ ン イ ミ ジ ル )、 ア ル デ ヒ ド 類 (例 え ば 、 グ ル タ ル ア ル デ ヒ ド )、 ビ ス ア ジ ド 化 合 物 (例 え ば 、 ビ ス (p -ア ジ ド ベ ン ゾ イ ル )ヘ キ サ ン ジ ア ミ ン )、 ビ ス -ジ ア ゾ ニ ウ ム 誘 導 体 (例 え ば 、 ビ ス -(p -ジ ア ゾ ニ ウ ム ベ ン ゾ イ ル )エ チ レ ン ジ ア ミ ン )、 ジ イ ソ シ ア ネ ー ト (例 え ば 、 ト ル エ ン -2 ,6 -ジ イ ソ シ ア ネ ー ト )、 及 び 二 活 性 フ ッ 素 化 合 物 (例 え ば 、 1 ,5 -ジ フ ル オ ロ -2 ,4 -ジ ニ ト ロ ベ ン ゼ ン )を 使 用 し て作製することができる。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合により提 50 (54) JP 2007-515158 A 2007.6.14 供 さ れ る N -ス ク シ ン イ ミ ジ ル -4 -(2 -ピ リ ジ ル チ オ )ペ ン タ ノ ア ー ト (S P P )及 び N -ス ク シ ン イ ミ ジ ル -3 -(2 -ピ リ ジ ル ジ チ オ )プ ロ ピ オ ナ ー ト (S P D P )(Carlsson等 , Bioche m. J. 173: 723-737[1978])が 含 ま れ る 。 リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例 えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエ ス テ ル 結 合 を 形 成 す る こ と が で き る 。 反 応 は ヒ ド ロ キ シ ル 基 を 有 す る C -3 位 、 ヒ ド ロ キ シ メ チ ル で 修 飾 さ れ た C -1 4 位 、 ヒ ド ロ キ シ ル 基 で 修 飾 さ れ た C -1 5 位 、 及 び ヒ ド ロ キ シ ル 基 を 有 す る C -2 0 位 で 生 じ る 。 好 ま し い 実 施 態 様 に お い て 、 結 合 は メ イ タ ン シ ノ ー ル 又 は メ イ タ ン シ ノ ー ル の 類 似 体 の C -3 位 で 形 成 さ れ る 。 【0084】 10 カリケアマイシン 対象の他の免疫コンジュゲートには、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した抗 M L − I A P キ メ ラ 抗 体 が 含 ま れ る 。 抗 生 物 質 の カ リ ケ ア マ イ シ ン フ ァ ミ リ ー は サ ブ -ピ コモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーの コンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、 同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、 同 5 7 7 3 0 0 1 号 、 同 5 8 7 7 2 9 6 号 (全 て 、 American Cyanamid Company)を 参 照 の こと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ1 、α2 I 、α3 I 、 N -ア セ チ ル -γ 1 I 、PSAG及びθ I 1 I (Hinman等 , Cancer Resear ch, 53: 3336-3342(1993)、 Lode等 Cancer Research, 58: 2925-2928(1998)及 び 上 述 し た 20 American Cyanamidの 米 国 特 許 )が 含 ま れ る 。 抗 体 が 結 合 可 能 な 他 の 抗 腫 瘍 剤 は 、 葉 酸 代 謝 拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を 有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこ れらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。 【0085】 細胞障害性剤 IAPインヒビターと結合可能な他の抗腫瘍剤には、アドリアマイシン(ドキソルビシ ン)、4−三次ブチルフェノールエトポシド、タキソール、カンプトテシン、メトトレキ セート、ビンクリスチン又はタモキシフェン、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリ ス チ ン 及 び 5 -フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 、 米 国 特 許 第 5 0 5 3 3 9 4 号 、 同 5 7 7 0 7 1 0 号 に 30 記 載 さ れ て お り 、 集 合 的 に L L -E 3 3 2 8 8 複 合 体 と し て 公 知 の 薬 剤 の フ ァ ミ リ ー 、 並 び に エ ス ペ ラ マ イ シ ン (esperamicine)(米 国 特 許 第 5 8 7 7 2 9 6 号 )が 含 ま れ る 。 使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性 活 性 断 片 、 外 毒 素 A 鎖 (シ ュ ー ド モ ナ ス ・ ア エ ル ギ ノ ー サ (Pseudomonas aeruginosa))、 リ シ ン A 鎖 、 ア ブ リ ン A 鎖 、 モ デ シ ン (modeccin)A 鎖 、 ア ル フ ァ -サ ル シ ン (sarcin)、 ア レ ウ ラ イ ツ ・ フ ォ ル デ ィ イ (Aleurites fordii)プ ロ テ イ ン 、 ジ ア ン シ ン (dianthin)プ ロ テ イ ン 、 フ ィ ト ラ ッ カ ・ ア メ リ カ ー ナ (Phytolaca americana)プ ロ テ イ ン (P A P I 、 P A P I I 及 び P A P -S )、 モ モ ル デ ィ カ ・ キ ャ ラ ン テ ィ ア (momordica charantia)イ ン ヒ ビ タ ー 、 ク ル シ ン (curcin)、 ク ロ チ ン 、 サ パ オ ナ リ ア (sapaonaria)オ フ ィ シ ナ リ ス イ ン ヒ ビ タ ー 、 ゲ ロ ニ ン (gelonin)、 マ イ ト ゲ リ ン (mitogellin)、 レ ス ト リ ク ト シ ン (restrictocin)、 40 フ ェ ノ マ イ シ ン 、 エ ノ マ イ シ ン 及 び ト リ コ セ セ ン ス (tricothecenes)が 含 ま れ る 。 例 え ば 、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。 【0086】 腫瘍を選択的に破壊するため、IAPインヒビターは高い放射性を有する原子を含有し てよい。放射性コンジュゲートしたタンパク質を生成するために、種々の放射性同位体が 利用される。例には、At 8 、Sm 1 5 3 、Bi 2 1 1 2 1 2 、P 、I 3 2 1 3 1 、I 、Pb 2 1 2 1 2 5 、Y 9 0 、Re 1 8 6 、Re 1 8 及びLuの放射性同位体が含まれる。 コンジュゲートが診断用に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子 、例えばTc 9 9 m 又はI 1 2 3 、 又 は 核 磁 気 共 鳴 (N M R )映 像 (磁 気 共 鳴 映 像 、 M R I と し て も 公 知 )用 の ス ピ ン 標 識 、 例 え ば ヨ ウ 素 -1 2 3 、 ヨ ウ 素 -1 3 1 、 イ ン ジ ウ ム -1 1 50 (55) JP 2007-515158 A 2007.6.14 1 、 フ ッ 素 -1 9 、 炭 素 -1 3 、 窒 素 -1 5 、 酸 素 -1 7 、 ガ ド リ ニ ウ ム 、 マ ン ガ ン 又 は 鉄 を 含有し得る。 放 射 -又 は 他 の 標 識 が 、 公 知 の 方 法 で コ ン ジ ュ ゲ ー ト に 導 入 さ れ る 。 例 え ば 、 I P A イ ン ヒ ビ タ ー は 生 物 合 成 さ れ る か 、 又 は 水 素 の 代 わ り に フ ッ 素 -1 9 を 含 む 適 切 な ア ミ ノ 酸 前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばTc I 1 2 3 、Re 1 8 6 、Re 1 8 8 及びIn 1 1 1 9 9 m 又は は、ペプチドのシステイン残基を介し て 結 合 可 能 で あ る 。 イ ッ ト リ ウ ム -9 0 は リ ジ ン 残 基 を 介 し て 結 合 可 能 で あ る 。 IODOGEN法 (Fraker等 (1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80: 49-57)は 、 ヨ ウ 素 -1 2 3 の 導 入 に 使 用 す る こ と が で き る 。 他 の 方 法 の 詳 細 は 、 「 Monoclonal Antibodies in Immunoscint igraphy」 (Chatal, CRC Press 1989)に 記 載 さ れ て い る 。 10 【0087】 IAPインヒビターと細胞障害性剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カ ッ プ リ ン グ 剤 、 例 え ば N -ス ク シ ン イ ミ ジ ル -3 -(2 -ピ リ ジ ル ジ チ オ )プ ロ ピ オ ナ ー ト (S P D P )、 ス ク シ ン イ ミ ジ ル -4 -(N -マ レ イ ミ ド メ チ ル )シ ク ロ ヘ キ サ ン -1 -カ ル ボ キ シ ラ ー ト 、 イ ミ ノ チ オ ラ ン (I T )、 イ ミ ド エ ス テ ル 類 の 二 官 能 性 誘 導 体 (例 え ば ジ メ チ ル ア ジ ピ ミ ダ ー ト H C L )、 活 性 エ ス テ ル 類 (例 え ば 、 ス ベ リ ン 酸 ジ ス ク シ ン イ ミ ジ ル )、 ア ル デ ヒ ド 類 (例 え ば 、 グ ル タ ル ア ル デ ヒ ド )、 ビ ス ア ジ ド 化 合 物 (例 え ば 、 ビ ス (p -ア ジ ド ベ ン ゾ イ ル )ヘ キ サ ン ジ ア ミ ン )、 ビ ス -ジ ア ゾ ニ ウ ム 誘 導 体 (例 え ば 、 ビ ス -(p -ジ ア ゾ ニ ウ ム ベ ン ゾ イ ル )エ チ レ ン ジ ア ミ ン )、 ジ イ ソ シ ア ネ ー ト (例 え ば 、 ト リ エ ン -2 ,6 -ジ イ ソ シ ア ネ ー ト )、 及 び 二 活 性 フ ッ 素 化 合 物 (例 え ば 、 1 ,5 -ジ フ ル オ ロ -2 ,4 -ジ ニ ト ロ ベ ン ゼ ン ) 20 を 使 用 し て 作 製 す る こ と が で き る 。 例 え ば 、 リ シ ン 免 疫 毒 素 は 、 Vitetta等 , Science 238 :1098(1987)に 記 載 さ れ て い る よ う に し て 調 製 す る こ と が で き る 。 炭 素 -1 4 標 識 1 -イ ソ チ オ シ ア ナ ト ベ ン ジ ル -3 -メ チ ル ジ エ チ レ ン -ト リ ア ミ ン 五 酢 酸 (M X -D T P A )が I A P インヒビターに放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。 国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは細胞中の細胞障害性剤の放出 を容易にするための「切断可能リンカー」であってよい。例えば、酸不安定性リンカー、 ペプチダーゼ過敏性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド 含 有 リ ン カ ー が 使 用 さ れ 得 る (Chari等 , Cancer Research, 52: 127-131(1992); 米 国 特 許 第 5 2 0 8 0 2 0 号 )。 別法として、IAPインヒビター及び細胞障害性剤を含有する融合タンパク質は、例え 30 ば組換え技術又はペプチド合成により作製される。DNAの長さは、コンジュゲートの所 望する特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により離間しているか、又は 互いに隣接しているコンジュゲートの2つの部分をコードする領域をそれぞれ含有する。 また別の実施態様では、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」 (例 え ば ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン )に I A P イ ン ヒ ビ タ ー を コ ン ジ ュ ゲ ー ト し 、 こ こ で 抗 体 -レ セプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用し、循環から未結合コンジ ュ ゲ ー ト を 除 去 し 、 細 胞 障 害 性 剤 (例 え ば 放 射 性 ヌ ク レ オ チ ド )に コ ン ジ ュ ゲ ー ト す る 「 リ ガ ン ド 」 (例 え ば ア ビ ジ ン )を 投 与 す る 。 【0088】 オリゴペプチド 40 本発明のIAPインヒビターはここで記載される様なIAPポリペプチドに、好ましく は特異的に、結合するオリゴペプチドである。IAPインヒビターは、既知のオリゴペプ チド合成法を用いて化学的に合成することができ、あるいは組換え技術を用いて調製及び 生成することができる。IAPインヒビターは通常、少なくとも約3のアミノ酸長であり 、或いは少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、 16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、2 9、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42 、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、 56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、6 9、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82 50 (56) JP 2007-515158 A 2007.6.14 、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、 96、97、98、99又は100のアミノ酸長以上であり、このようなオリゴペプチド はここに記載される様なIAPポリペプチドに対して好ましくは特異的に結合する能力が ある。IAPインヒビターは、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同 定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のある オリゴペプチドのオリゴペプチドライブラリを検索する技術は当分野でよく知られている ことを注記する(例えば、米国特許第5556762号、同第5750373号、同第4 708871号、同第4833092号、同第5223409号、同第5403484号 、同第5571689号、同第5663143号;PCT公開第WO84/03506号 、 及 び W O 8 4 / 0 3 5 6 4 号 ; Geysen等 , Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4 10 002 (1984); Geysen等 , Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985); Geysen等 , in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986); Geysen等 , J. Immunol. Meth. , 102:259-274 (1987); Schoofs等 , J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla,S.E.等 ( 1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378; Lowman,H.B.等 (1991) Biochemistry, 30 :10832; Clackson,T.等 (1991) Nature, 352:624; Marks,J.D.等 (1991) J. Mol. Biol., 222:581; Kang,A.S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363、 及 び Smith, G.P . (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668参 照 ) 。 【0089】 この点において、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、大きなオリゴペプ チドライブラリを検索して、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるこれらライ 20 ブラリのメンバーを同定することを可能にするよく知られた技術の一つである。ファージ ディスプレイは、様々なポリペプチドがバクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパ ク 質 に 融 合 タ ン パ ク 質 と し て 表 示 さ れ る こ と に よ る 技 術 で あ る ( Scott,J.K.及 び Smith G. P. (1990) Science 249:386)。 フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ の 有 用 性 は 、 選 択 的 に ラ ン ダ ム 化 されたタンパク質変異体(又はランダムクローンcDNA)の大きなライブラリを標的分 子に高い親和性で結合するこれらの配列について素早く効果的に分類することができる点 に あ る 。 フ ァ ー ジ で の ペ プ チ ド ( Cwirla,S.E.等 (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8 7:6378) 又 は タ ン パ ク 質 ( Lowman,H.B.ら (1991) Biochemistry, 30:10832; Clackson,T. ら (1991) Nature, 352: 624; Marks,J.D.等 (1991), J. Mol. Biol., 222:581; Kang,A. S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363) ラ イ ブ ラ ー リ の デ ィ ス プ レ イ は 、 30 特異的に結合する特性を有するものについて無数のポリペプチド又はオリゴペプチドをス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 使 用 さ れ て い る ( Smith, G.P. (1991) Current Opin. Biotechno l., 2:668) 。 ラ ン ダ ム 突 然 変 異 体 の フ ァ ー ジ ラ イ ブ ラ リ の 分 類 は 、 多 数 の 変 異 体 を 構 築 して増殖させる方法、標的レセプターを用いた親和性精製の方法、及び結合環境の結果を 評価する手段を必要とする。米国特許第5223409号、同第5403484号、同第 5571689号、及び同第5663143号。 【0090】 ほとんどのファージディスプレイ法は繊維状ファージを使用していたが、λファージデ ィスプレイシステム(WO95/34683;米国特許第5627024号)、T4ファ ー ジ デ ィ ス プ レ イ シ ス テ ム ( Ren, Z-J.ら (1998) Gene 215:439; Zhu, Z. (1997) CAN 33 40 :534; Jiang, J.等 (1997) can 128:44380; Ren, Z-J.等 (1997) CAN 127:215644; Ren, Z-J. (1996) Protein Sci. 5:1833; Efimov, V.P.等 (1995) Virus Genes 10:173) 及 び T 7 フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ シ ス テ ム ( Smith,G.P.及 び Scott,J.K. (1993) Methods in Enz ymology,217, 228-257; 米 国 特 許 第 5 7 6 6 9 0 5 号 ) も 知 ら れ て い る 。 現在、基礎的なファージディスプレイ構想の多くの他の改良及び変形が開発されている 。これらの改良は、選択された標的分子への結合についてペプチドライブラリをスクリー ニングするための、及びこれらのタンパク質が所望の特性をスクリーニングする潜在能力 で機能性タンパク質をディスプレイするためのディスプレイシステムの能力を増強する。 ファージディスプレイ反応のための組み換え反応手段について記載があり(WO98/1 4277)及びファージディスプレイライブラリは二分子相互作用(WO98/2016 50 (57) JP 2007-515158 A 2007.6.14 9;WO98/20159)及び拘束性へリックスペプチドの特性(WO98/2003 6)を分析及び制御するために使用されている。WO97/35196は、リガンドが標 的分子に結合しうる第一の溶液、及び親和性リガンドが標的分子に結合しない第二の溶液 とファージディスプレイライブラリを接触させて結合リガンドを選択的に単離する、親和 性リガンドの単離方法を記載する。WO97/46251は、親和性精製抗体でランダム ファージディスプレイライブラリをバイオパニングし、次いで結合ファージを単離し、続 いてマイクロプレートのウェルでマイクロパニングして高親和性結合ファージを単離する 方 法 を 記 載 す る 。 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 ( Staphlylococcus aureus) タ ン パ ク 質 A の 親 和 性 タ グ と し て の 使 用 も 報 告 さ れ て い る ( Li等 , (1998) Mol Biotech., 9:187) 。 W O 9 7 / 4 7 314は、ファージディスプレイライブラリでもよいコンビナトリアルライブラリを用い 10 て酵素特異性を識別するための基質サブトラクションライブラリの使用を記載している。 ファージディスプレイに用いる洗浄剤における使用に適した酵素を選択する方法はWO9 7/09446に記載される。特異的に結合するタンパク質を選択する更なる方法は、米 国特許第5498538号、同第5432018号、及びWO98/15833に記載さ れている。 ペプチドライブラリの作製及びこれらのライブラリのスクリーニングの方法は、米国特 許第5723286号、同第5432018号、同第5580717号、同第54279 08号、同第5498530号、同第5770434号、同第5734018号、同第5 698426号、同第5763192号、及び同第5723323号に記載される。 【0091】 20 また、ここに記載するようにキメラIAPインヒビターを生成するために他のポリペプ チ ド 配 列 と 融 合 し た I A P イ ン ヒ ビ タ ー も 取 り 込 ま れ る 。 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ タ ン パ ク 質 AN TENNAPEDIAの 研 究 に よ り 三 つ め の 螺 旋 状 ド メ イ ン の 1 6 ア ミ ノ 酸 が 細 胞 膜 を 越 え て 転 座 し て お り 細 胞 質 内 に 挿 入 し て い る こ と を 発 見 し た (Prochiantz A., (1996) Curr. Opinion Neurobiol. (5):629-34, Derossi等 , (1998) Trends Cell Biol. (8) 84-87)。 こ の ペ プ チ ド は ペ ネ ト ラ チ ン (Penetratin)(RQIKIWFQNRRMKWKK-NH2 (SEQ ID NO:7))と 命 名 さ れ た 。 細胞膜転座が起こるメカニズムはまだ定義されていないが、分解することなく細胞質から ANTENNAPEDIAペ プ チ ド が 回 収 さ れ る こ と と そ の 低 細 胞 毒 性 で あ る こ と に よ り 、 細 胞 に 作 用 しうるキメラ分子を生成するために他のペプチド配列に融合して、活性を損なうことなく 簡単に内部移行しうることが示される。このようなキメラ分子は、化学的結合反応が不要 30 であることに有益性があり、キメラは直接的合成又はプラスミド発現ベクターへの挿入の 何れかによる。さらに、ペネトラチン配列は修飾、例としてビオチン化又はリン酸化を加 えて融合させ得ることにも有用性がある。さらに、エピトープタグ配列を加えることによ り抗体を用いたキメラ分子回収を亢進することができる。ペネトラチン/SMAC融合を 合 成 し 、 I A P と の 相 互 作 用 を 成 功 裏 に 示 す (Arnt等 , (2002) Jour. Bio. Chem. 277 (46 ) 44236-44243)。 Arnt等 は S M A C の 4 ∼ 8 ア ミ ノ 酸 を ペ ネ ト ラ チ ン 配 列 に 融 合 し 、 ビ オ チン化転位を加えた。30分のインキュベーション後、SMAC/ペネトラチン融合オリ ゴペプチドをストレプトアビジン−アガロースにより回収し、結合分子をSDS−PAG Eにより精製し、免疫ブロット法により分析した。この実験によりSMAC/ペネトラチ ン融合ポリペプチドは試験した細胞系のXIAP及びcIAP1への結合を示した。さら 40 に、この研究班はSMAC/ペネトラチン融合オリゴペプチドがカスパーゼ活性が増強す るにつれてIAPの効果的阻害剤として働くことを証明した。ペネトラチンはここで明確 に記載するように、内部移行することが立証された他のオリゴペプチド、TAT転写因子 、Herpes、VP22、FGF−2及びラクトフェリンも又、組み込まれる。 【0092】 小有機分子 IAPインヒビターは、ここに記載されるようなML−IAPキメラポリペプチドに対 し、好ましくは特異的に結合する、ここに定義されるようなオリゴペプチド以外の有機分 子である。IAPインヒビター小有機分子は既知の方法(例えばPCT公開第WO00/ 00823及びWO00/39585号参照)を用いて同定され、化学的に合成されうる 50 (58) JP 2007-515158 A 2007.6.14 。有機分子であるIAPインヒビターは、通常、約2000ダルトンの大きさ未満であり 、あるいは約1500、750、500、250又は200ダルトンの大きさであり、こ こに記載される様なIAPポリペプチドに、好ましくは特異的に結合する能力のあるこの ような有機分子は、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定されうる 。この点において、ポリペプチド標的に結合する能力のある分子の有機分子ライブラリを 検索する技術は当分野でよく知られていることを注記する(例えばPCT公開第WO00 /00823及びWO00/39585号参照)。IAPインヒビターは、例えばアルデ ヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級 アミン、三級アミン、N置換ヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール 、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバミン酸塩 10 、炭酸塩、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール 、アリールスルホン酸、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホン酸、芳香族化合物、複素 環化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジ ン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン、エナミン、スルホンアミド、エポキシド 、アジリジン、イソシアン酸塩、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、酸塩化物等であり得る 。 【0093】 所望の特性を有するIAPインヒビターのスクリーニング IAPポリペプチドに結合するオリゴペプチド及び有機分子を生成する技術を、上記に て記載した。所望するような、所定の生物学的特性を有する抗体、オリゴペプチド又は有 20 機分子をさらに選択することができる。 IAPインヒビターの成長阻害効果を、例えば、内因的に、又はIAP遺伝子による形 質移入後に、IAPポリペプチドを発現する細胞を用いる当該分野で周知の方法によって 評価することができる。好ましくは、このような形質移入はML−IAPキメラを用いて 行われる。例えば、適切な腫瘍細胞株及びIAP形質移入細胞は、数日間(例えば、2− 7)、種々の濃度のIAPインヒビターで処理し、クリスタル・バイオレット又はMTT で染色、又は幾つかの他の比色アッセイによって分析し得る。増殖を測定する他の方法は 、 I A P イ ン ヒ ビ タ ー の 存 在 下 又 は 非 存 在 下 で 処 理 し た 細 胞 の 3 H -チ ミ ジ ン 取 り 込 み を 比較することによる。処理の後、細胞を収集し、DNAへ取り込まれた放射能をシンチレ ーションカウンターで定量化した。適切なポジティブコントロールには、細胞株の成長を 30 阻害することが知られている成長阻害抗体、オリゴペプチド又は小有機分子でその選択し た細胞株を処理することが含まれる。インビボでの成長阻害は、当該分野で知られている 種々の方法で確かめることができる。好ましくは、腫瘍細胞は、IAPポリペプチドを過 剰発現するものである。好ましくは、IAPインヒビターは、ある実施形態では約0.5 から30μg/mlの抗体濃度で、未処理腫瘍細胞と比べて約25−100%、より好ま しくは約30−100%、そしてさらにより好ましくは約50−100%又は70−10 0%のIAPポリペプチド発現腫瘍細胞のアポトーシスをインビトロ又はインビボで引き 起こす。 【0094】 細胞死を誘発するIAPインヒビターを選択するために、例えばヨウ化プロピジウム( 40 PI)、トリパンブルー又は7AADの取込みにより示される膜インテグリティの損失度 合いを対照と比較して求める。PI取込みアッセイは、補体及び免疫エフェクター細胞の 不在下で行われる。IAPポリペプチド発現腫瘍細胞を、培地のみ、又は適切なIAPイ ンヒビターを含有する培地でインキュベートする。細胞を3日間インキュベートする。各 処理に続いて、細胞を洗浄し、細胞凝塊除去のために35mmのストレーナキャップ付き 1 2 x 7 5 チ ュ ー ブ (チ ュ ー ブ 当 た り 1 m l 、 処 理 グ ル ー プ 当 り 3 チ ュ ー ブ )に 等 分 す る 。 次 い で 、 チ ュ ー ブ へ P I ( 1 0 μ g / m l ) を 与 え る 。 サ ン プ ル を F A C S C A N (登 録 商 標 ) フ ロ ー サ イ ト メ ー タ と F A C S C O N V E R T (登 録 商 標 ) セ ル ク エ ス ト (CellQues t)ソ フ ト ウ ェ ア (Becton Dickinson)を 使 用 し て 分 析 し て も よ い 。 P I 取 込 み に よ っ て 測 定 されるような、統計的に有意なレベルの細胞死を誘発するIAPインヒビターは、細胞死 50 (59) JP 2007-515158 A 2007.6.14 誘発IAPインヒビターとして選択することができる。 関心のあるIAPポリペプチド上のBIRドメインへ結合するIAPインヒビターを選 択 す る た め に 、 Analyst T M HT 96-384 (Molecular Devices Corp.) 等 の 偏 光 装 置 が 用 い ら れ る 。 蛍 光 偏 光 親 和 性 測 定 器 の 試 料 は 、 50mM Tris( pH 7.2) 、 120mM NaCl、 1%ウ シ グ ロ ブ リ ン 及 び 0.05%オ ク チ ル グ ル コ シ ド 等 の 偏 光 緩 衝 液 に 5 -カ ル ボ キ シ フ ル オ レ セ イ ン 結 合 ペプチドを最終濃度3∼5nMになるように添加して調製する。インキュベーション工程 の 後 、 9 6 穴 黒 色 H E 9 6 プ レ ー ト (Molecular Devices Corp.)上 で 反 応 液 を 標 準 的 な カ ッ ト オ フ フ ィ ル タ を 用 い て 蛍 光 性 色 素 (lex = 485 nm; lem = 530 nm)を 測 定 す る 。 見 か け のKd値をEC50値から求めることができる。阻害定数(Ki)は以前詳述されている よ う に 決 定 す る こ と が で き る (Keating等 , (2000) Proceedings of SPIE: In vitro diagn 10 ostic instrumentation Cohn, G.E., Ed. p128-137)。 【0095】 免疫リポソーム ここで開示されている抗ML−IAPキメラ抗体は、免疫リポソームとして処方するこ ともできる。「リポソーム」は、哺乳動物への薬物輸送に有用な、脂質、リン脂質及び/ 又は界面活性剤を含む種々のタイプの小胞体である。リポソームの成分は、通常は生物膜 の 脂 質 配 向 に 類 似 し た 2 層 構 造 に 配 列 さ れ る 。 抗 体 を 含 有 す る リ ポ ソ ー ム は 、 例 え ば Epst ein等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688(1985); Hwang等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030(1980); 及 び 米 国 特 許 第 4 4 8 5 0 4 5 号 及 び 同 4 5 4 4 5 4 5 号 ; 及 び 1 997年10月23日に公開の国際公開97/38731に記載されているように、当該 20 分野において既知の方法により調製される。循環時間が増したリポソームは米国特許第5 013556号に開示されている。 特 に 有 用 な リ ポ ソ ー ム は 、 ホ ス フ ァ チ ジ ル コ リ ン 、 コ レ ス テ ロ ー ル 及 び P E G -誘 導 体 化 ホ ス フ ァ チ ジ ル エ タ ノ ー ル ア ミ ン (P E G -P E )を 含 有 す る 脂 質 組 成 物 を 用 い た 逆 相 蒸 発法により作製することができる。リポソームは孔径が定められたフィルターを通して押 し 出 さ れ 、 所 望 の 直 径 を 有 す る リ ポ ソ ー ム が 得 ら れ る 。 本 発 明 の 抗 体 の F a b '断 片 は 、 ジ ス ル フ ィ ド 交 換 反 応 を 介 し て 、 Martin等 , J. Biol. Chem. 257:286-288(1982)に 記 載 さ れているようにしてリポソームにコンジュゲートすることができる。場合によっては、化 学 療 法 剤 は リ ポ ソ ー ム 内 に 包 含 さ れ る 。 Gabizon等 , J. National Cancer Inst. 81(19)14 84(1989)を 参 照 さ れ た い 。 30 関心のある抗体が結合したML−IAPキメラポリペプチド上のエピトープに結合する 抗 体 、 オ リ ゴ ペ プ チ ド 又 は 他 の 有 機 分 子 を ス ク リ ー ニ ン グ す る た め に 、 Antibodies, A La boratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow及 び David Lane編 (1988) に記載されているような通常の交差ブロッキングアッセイを実施することができる。既知 の抗ML−IAPキメラ抗体のように、試験抗体、オリゴペプチド又は他の有機分子が同 じ部位又はエピトープと結合するならば、このアッセイを確定するために用いることがで きる。あるいは、又は付加的に、エピトープマッピングを、当該分野で周知の方法によっ て行うことができる。例えば、接触残基を同定するために、例えばアラニンスキャンニン グによって抗体配列を変異させることができる。この変異体抗体は、適切なフォールディ ングを確かめるために、最初にポリクローナル抗体との結合について試験される。異なる 40 方法では、ML−IAPキメラポリペプチドの異なる領域と一致するペプチドを、試験抗 体群又は試験抗体及び特徴付けられた又は既知のエピトープを有する抗体による競合アッ セイで用いることができる。 【0096】 抗 体 依 存 性 酵 素 媒 介 性 プ ロ ド ラ ッ グ 治 療 法 (A D E P T ) ま た 、 本 発 明 の 抗 体 は 、 プ ロ ド ラ ッ グ (例 え ば ペ プ チ ジ ル 化 学 療 法 剤 、 国 際 公 開 8 1 / 0 1 1 4 5 を 参 照 )を 活 性 な 抗 癌 剤 へ 変 換 す る プ ロ ド ラ ッ グ 活 性 化 酵 素 へ 抗 体 を コ ン ジ ュ ゲートすることによって、ADEPTにおいて使用することができる。例えば国際公開8 8/07378及び米国特許第4975278号を参照されたい。 ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に変換 50 (60) JP 2007-515158 A 2007.6.14 するようにプロドラッグへ作用し得る任意の酵素が含まれる。 限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロド ラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有 プ ロ ド ラ ッ グ を 遊 離 の 薬 剤 に 変 換 す る の に 有 用 な ア リ ー ル ス ル フ ァ タ ー ゼ ; 非 毒 性 5 -フ ル オ ロ シ ト シ ン を 抗 癌 剤 5 -フ ル オ ロ ウ ラ シ ル に 変 換 す る の に 有 用 な シ ト シ ン デ ア ミ ナ ー ゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボ キ シ ペ プ チ ダ ー ゼ 及 び カ テ プ シ ン (例 え ば 、 カ テ プ シ ン B 及 び L )で 、 ペ プ チ ド 含 有 プ ロ ド ラ ッ グ を 遊 離 の 薬 剤 に 変 換 す る の に 有 用 な も の ; D -ア ミ ノ 酸 置 換 基 を 含 有 す る プ ロ ド ラ ッ グ の 変 換 に 有 用 な D -ア ラ ニ ル カ ル ボ キ シ ペ プ チ ダ ー ゼ ; 炭 水 化 物 切 断 酵 素 、 例 え ば グ リコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に変換するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラ 10 クトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変換させるのに有用なβ ラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェ ニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に変 換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。ある いは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本 発 明 の プ ロ ド ラ ッ グ を 変 換 さ せ る た め に 使 用 す る こ と も で き る (例 え ば 、 Massey, Nature 328:457-458(1987)を 参 照 )。 抗 体 -ア ブ ザ イ ム コ ン ジ ュ ゲ ー ト は 、 こ こ で 記 載 さ れ て い る ようにして、腫瘍細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することができる。 この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテ ロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗ML−IAPキメラ抗体に共有的に結合さ 20 せることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を本発明の酵素の 少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術において よ く 知 ら れ て い る 組 換 え D N A 技 術 を 使 用 し て 作 成 す る こ と が で き る (Neuberger等 , Natu re 312:604-608[1984])。 【0097】 ML−IAPキメラポリペプチド 本発明は、本出願でML−IAPキメラポリペプチドと呼ばれるポリペプチドをコード する新規に同定され単離された核酸配列を提供する。特に下記の実施例でさらに詳細に説 明するように、種々のML−IAPキメラポリペプチドをコードするcDNA(部分及び 完全長)が同定され単離された。 30 当業者であれば、本技術分野で常套的な方法を用いて寄託されたクローンの配列決定を 行うことにより、これらクローンの実際のヌクレオチド配列を容易に決定することができ る。予想されるアミノ酸配列は、常套的な技術を用いてヌクレオチド配列から決定できる 。 【0098】 抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチド変異体 ここに記載した抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチドに加え て、抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチド変異体も調製できる と考えられる。抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチド変異体は 、コード化DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望の 40 抗体又はポリペプチドを合成することによって調製できる。当業者は、アミノ酸変化がグ リコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などの抗ML−IAPキメ ラ抗体の翻訳後プロセス又はML−IAPキメラポリペプチドの翻訳後プロセスを変え得 るのを理解するであろう。 ここに記載した抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチドの変異 は、例えば、米国特許第5364934号に示す保存的及び非保存的変異に関する技術及 び指針のいずれかを用いて作成することができる。変異は、結果として天然配列抗体又は ポリペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を生じる、抗体又はポリペプチドをコードす る一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってもよい。場合によっては、変異は、 抗ML−IAPキメラ抗体又はML−IAPキメラポリペプチドの一つ又は複数のドメイ 50 (61) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ンにおける、少なくとも一つのアミノ酸の他の任意のアミノ酸との置換による。どのアミ ノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失され得るかを確かめ る指針は、抗ML−IAPキメラ抗体又はML−IAPキメラポリペプチドの配列を既知 の相同タンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内で生じたアミノ酸配列変化の 数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸を類似した構造 及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンのセリンでの置 換、即ち保存的アミノ酸置換の結果であるとすることができる。挿入及び欠失は、場合に よっては1から5のアミノ酸の範囲内であり得る。許容され得る変異は、配列にアミノ酸 の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、生じた変異体を完全長又は成熟天然配列によっ て示される活性に関して試験することによって確かめられる。 10 【0099】 抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチド断片がここで提供され ている。そのような断片は、例えば完全長天然抗体又はタンパク質と比較した時に、N末 端又はC末端で切断しているか、又は内部残基を欠いている可能性がある。具体的には、 これら残基は、本明細書に記載するような置換されたBIRドメインを含みうる。ある断 片は、抗ML−IAPキメラ抗体又はML−IAPキメラポリペプチドの所望される生物 学的活性にとって必修ではないアミノ酸残基を欠く。 抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAPキメラポリペプチド断片は、多くの従来技 術のいずれかによって調製してもよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替 的方法には、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基で確定した部位でタンパク質を切断 20 することが知られた酵素によってタンパク質を処理することで、又は適当な制限酵素でD NAを消化して所望の断片を単離することによって抗体又はポリペプチド断片を生成する ことが含まれる。さらにその他の好適な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によ って、所望の抗体又はポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することが 含まれる。DNA断片の所望の末端を確定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び 3’プライマーで用いられる。好ましくは、抗ML−IAPキメラ抗体及びML−IAP キメラポリペプチド断片は、天然抗IAP抗体又はIAPポリペプチドと少なくとも1つ の生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。 【0100】 特定の実施態様では、対象とする保存的置換を、好ましい置換の項目で表6に示す。こ のような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表6に例示的置換と名前を付けた又 は以下にアミノ酸分類でさらに記載するように、より実質的な変化が導入され生成物がス クリーニングされる。 30 (62) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 40 【0101】 ML−IAPキメラポリペプチドの機能の実質的修飾は、(a)置換領域のML−IA Pキメラの骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の電荷又は分子疎水 性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において有意に異なる置換基を選 択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに 分けることができる: ( 1 ) 疎 水 性 : ノ ル ロ イ シ ン , met, ala, val, leu, ile; ( 2 ) 中 性 の 親 水 性 : cys, ser, thr; ( 3 ) 酸 性 : asp, glu; ( 4 ) 塩 基 性 : asn, gln, his, lys, arg; 50 (63) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ( 5 ) 鎖 配 向 に 影 響 す る 残 基 : gly, pro; 及 び ( 6 ) 芳 香 族 : trp, tyr, phe。 非保存的置換は、これらの分類の1つのメンバーを他の分類に交換することを必要とす るであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、又はより好ましくは 、残された(非保存)部位に導入されうる。 変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング 、及びPCR突然変異誘発等のこの分野で知られた方法を用いてなすことができる。部位 特 異 的 突 然 変 異 誘 発 [ Carter等 , Nucl. Acids Res., 13: 4331 (1986); Zoller等 , Nucl. Acids Res., 10: 6487 (1987)] 、 カ セ ッ ト 突 然 変 異 誘 発 [ Wells等 , Gene, 34: 315 (19 85)] 、 制 限 的 選 択 突 然 変 異 誘 発 [ Wells等 , Philos. Trans. R. Soc. London SerA, 317: 10 415 (1986)] 又 は 他 の 知 ら れ た 技 術 を ク ロ ー ニ ン グ し た D N A に 実 施 し て 、 抗 M L − I APキメラ変異体DNAを作成することもできる。 【0102】 また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸 分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のア ミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを 含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくい の で 、 こ の 群 の 中 で 典 型 的 に 好 ま し い ス キ ャ ン ニ ン グ ア ミ ノ 酸 で あ る [ Cunningham及 び We lls, Science, 244: 1081-1085 (1989)] 。 ま た 、 ア ラ ニ ン は 最 も あ り ふ れ た ア ミ ノ 酸 で あるため典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた及び露出した位置の両方に見られ 20 る こ と が 多 い [ Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150: 1 (1976)] 。 ア ラ ニ ン 置 換 が 十 分 な 量 の 変 異 体 を 生 じ な い 場 合 は 、 ア イ ソ テ リ ッ ク (isoteric)ア ミ ノ 酸 を 用 い る こ と が で き る 。 ML−IAPキメラの適切なコンフォメーションを維持することに関与していない任意 のシステイン残基も、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐために、概して セリンと置換され得る。逆に、ML−IAPキメラの安定性を向上させるために、それに システイン結合(複数でも)を加えてもよい。 【0103】 特に好ましい型の置換変異体は、親ML−IAPキメラの一又は複数の残基の置換を含 む。一般的に、更なる開発のために得られた変異体は、それらが生成された親ML−IA 30 Pキメラと比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成す る簡便な方法には、ファージディスプレイを使用する親和性成熟が含まれる。簡潔に言え ば、ML−IAPキメラ接触部位を変異させて該部位にアミノ酸置換を生成させる。この ように生成されたML−IAPキメラ変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充 填されたM13の遺伝子III産物への融合物として一価形態で表示される。ファージ表 示変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和 性)についてスクリーニングされる。改変の候補領域部位を同定するために、アラニンス キャンニング突然変異誘発を実施し、ML−IAPキメラ結合に有意に寄与する高頻度可 変領域残基を同定することができる。加えて、ML−IAPキメラ/IAPインヒビター 複合体の結晶構造を分析して、IAPインヒビターとML−IAPキメラBIRドメイン 40 との接点を同定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、こ こで詳しく記述した技術による置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、変 異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイ において優れた特性を持つML−IAPキメラを更なる開発のために選択することができ る。 【0104】 宿主細胞の選択及び形質転換 宿主細胞を、ここに記載したML−IAPキメラポリペプチド生成のための発現又はク ローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選 択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された常套的栄養 50 (64) JP 2007-515158 A 2007.6.14 培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく 当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロト コ ー ル 、 及 び 実 用 技 術 は 、 Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Bu tler編 (IRL Press, 1991)及 び 上 掲 の Sambrook等 に 見 出 す こ と が で き る 。 真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2 、CaP O4 、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは当業者に知られている。用いられる 宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。 前 掲 の Sambrook等 に 記 載 さ れ た 塩 化 カ ル シ ウ ム を 用 い る カ ル シ ウ ム 処 理 又 は エ レ ク ト ロ ポ レーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファ シ エ ン ス に よ る 感 染 が 、 Shaw等 , Gene, 23:315(1983)及 び 1 9 8 9 年 6 月 2 9 日 公 開 の 国 10 際公開89/05859に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いら れ る 。 こ の よ う な 細 胞 壁 の な い 哺 乳 動 物 の 細 胞 に 対 し て は 、 Graham及 び van der Eb, Viro logy, 52:456-457 (1978)の リ ン 酸 カ ル シ ウ ム 沈 降 法 が 用 い ら れ る 。 哺 乳 動 物 細 胞 の 宿 主 系形質転換の一般的な態様は米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母菌 中 へ の 形 質 転 換 は 、 典 型 的 に は 、 Van Solingen等 , J. Bact., 130:946 (1977)及 び Hsiao 等 , Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 76:3829 (1979)の 方 法 に 従 っ て 実 施 さ れ る 。 し か し ながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エ レクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニ チン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質 転 換 す る た め の 種 々 の 技 術 に つ い て は 、 Keown等 , Methods in Enzymology, 185:527-537 20 (1990)及 び Mansour等 , Nature, 336:348-352 (1988)を 参 照 の こ と 。 【0105】 ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞 は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞である。適切な原核生物には、限定するも のではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性微生物、例えば大腸菌のよう な腸内細菌科が含まれる。種々の大腸菌株が公に利用可能であり、例えば、大腸菌K12 株MM294(ATCC31446);大腸菌X1776(ATCC31537);大腸 菌株W3110(ATCC27325)及びK5772(ATCC53635)である。 他 の 好 ま し い 原 核 動 物 宿 主 細 胞 は 、 大 腸 菌 属 、 例 え ば 大 腸 菌 ( E. coli) 、 エ ン テ ロ バ ク タ ー 、 エ ル ビ ニ ア (Erwinia)、 ク レ ブ シ エ ラ (Klebsiella)、 プ ロ テ ウ ス (Proteus)、 サ ル モ 30 ネ ラ 、 例 え ば ネ ズ ミ チ フ ス 菌 (Salmonella Typhimurium) 、 セ ラ チ ア 、 例 え ば セ ラ チ ア ・ マ ル セ サ ン ス (Serratia marcescans) 、 及 び 赤 痢 菌 、 並 び に 桿 菌 、 例 え ば バ チ ル ス ・ ス ブ チ ル ス (B. subtilis)及 び バ チ ル ス ・ リ チ ェ ニ フ ォ ル ミ ス (B. licheniformis)( 例 え ば 、 1989年4月12日発行のDD266710に記載されたバチルス・リチェニフォルミ ス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を 含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生成物発酵 のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは 、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110を、宿主に とって内因性のタンパク質をコードする遺伝子の遺伝子変異をもたらすように修飾しても よく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110 40 株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全 な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF−lac)169 de r gP ompT kan を有する大腸菌W3110株27C7(ATCC 55,24 4 ) ; 完 全 な 遺 伝 子 型 t o n A p t r 3 p h o A E 1 5 (a r g F -l a c )1 6 r 9 degP ompT rbs7 ilvG kan を有する大腸菌W3110株3 7D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110 株40B4;及び1990年8月7日発行の米国特許第4946783号に開示された変 異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは、クローニングのインビトロ法 、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が好ましい。 【0106】 50 (65) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ML−IAPキメラは、特にグリコシル化が必要ない場合に、細菌で産生させることが できる。大腸菌での産生が、より迅速でより費用効率的である。細菌でのタンパク質の発 現 に つ い て は 、 例 え ば 、 米 国 特 許 第 5 6 4 8 2 3 7 号 ( Carter等 ) 、 米 国 特 許 第 5 7 8 9 1 9 9 号 ( Joly等 ) 、 及 び 翻 訳 開 始 部 位 ( T I R ) 及 び 発 現 と 分 泌 を 最 適 化 す る シ グ ナ ル 配 列 を 記 載 し て い る 米 国 特 許 第 5 8 4 0 5 2 3 号 ( Simmons等 ) を 参 照 の こ と 。 こ れ ら 特 許は、ここに参考文献として取り入れられている。発現の後、ML−IAPキメラは、大 腸菌細胞ペーストから可溶性分画へ分離し、精製することができる。 原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、ML−IAPキメラコー ド化ベクターの適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア は、通常用いられる下等真核生物宿主微生物である。他に、シゾサッカロミセス・ポンベ 10 (Schizosaccharomyces pombe)( Beach及 び Nurse, Nature, 290: 140 [1981]; 1 9 8 5 年 5 月 2 日 公 開 の 欧 州 特 許 第 1 3 9 3 8 3 号 ) ; ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス 宿 主 (Kluyveromyces h osts)( 米 国 特 許 第 4 9 4 3 5 2 9 号 ; Fleer等 , Bio/Technology, 9: 968-975 (1991)) 、 例 え ば ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ラ ク チ ス (K. lactis)( MW98-8C, CBS683, CBS4574; Louvenc ourt等 , J. Bacteriol., 154(2): 737-742 [1983]) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ フ ラ ギ リ ス ( K. fragilis)( A T C C 1 2 4 2 4 ) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ ブ ル ガ リ ク ス (K. bulgaric us)( A T C C 1 6 0 4 5 ) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ ウ ィ ケ ラ ミ イ (K. wickeramii)( A T C C 2 4 1 7 8 ) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ ワ ル チ イ (K. waltii)( A T C C 5 6 5 0 0 ) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ ド ロ ソ フ ィ ラ ル ム (K. drosophilarum)( A T C C 3 6 9 0 6 ; V an den Berg等 , Bio/Technology, 8: 135 (1990)) 、 ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ テ モ ト レ ラ ン 20 ス (K. thermotolerans)及 び ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス ・ マ ル キ シ ア ナ ス (K. marxianus); ヤ ロ ウ ィ ア (yarrowia)( 欧 州 特 許 第 4 0 2 2 2 6 号 ) ; ピ シ ア ・ パ ス ト リ ス (Pichia pastoris )( 欧 州 特 許 第 1 8 3 0 7 0 号 ; Sreekrishna等 , J. Basic Microbiol, 28: 265-278 [19 88]) ; カ ン ジ ダ ; ト リ コ デ ル マ ・ レ ー シ ア (Trichoderma reesia)( 欧 州 特 許 第 2 4 4 2 3 4 号 ) ; ア カ パ ン カ ビ ( Case等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 5259-5263 [1979] ) ; シ ュ ワ ニ オ マ イ セ ス (Schwanniomyces)、 例 え ば シ ュ ワ ニ オ マ イ セ ス ・ オ ク シ デ ン タ リ ス (Schwanniomyces occidentalis)( 1 9 9 0 年 1 0 月 3 1 日 公 開 の 欧 州 特 許 第 3 9 4 5 3 8 号 ) ; 及 び 糸 状 真 菌 、 例 え ば 、 ニ ュ ー ロ ス ポ ラ 、 ペ ニ シ リ ウ ム 、 ト リ ポ ク ラ ジ ウ ム (T olypocladium)( 1 9 9 1 年 1 月 1 0 日 公 開 の 国 際 公 開 9 1 / 0 0 3 5 7 ) ; 及 び ア ス ペ ル ギ ル ス 宿 主 、 例 え ば ア ス ペ ル ギ ル ス ・ ニ ダ ラ ン ス ( Ballance等 , Biochem. Biophys. Re 30 s. Commun., 112: 284-289 [1983]; Tilburn等 , Gene, 26: 205-221 [1983]; Yelton等 , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470-1474 [1984]) 及 び ア ス ペ ル ギ ル ス ・ ニ ガ ー ( Ke lly及 び Hynes, EMBO J., 4: 475-479 [1985]) が 含 ま れ る 。 こ こ で 好 ま し い メ チ ロ ト ロ ピ ッ ク (C 1 化 合 物 資 化 性 、 Methylotropic)酵 母 は 、 こ れ ら に 限 ら れ な い が 、 ハ ン セ ヌ ラ (Ha nsenula)、 カ ン ジ ダ 、 ク ロ エ ケ ラ (Kloeckera)、 ピ シ ア (Pichia)、 サ ッ カ ロ ミ セ ス 、 ト ル ロ プ シ ス (Torulopsis)、 及 び ロ ド ト ル ラ (Rhodotorula)か ら な る 属 か ら 選 択 さ れ た メ タ ノ ー ル で 成 長 可 能 な 酵 母 を 含 む 。 こ の 酵 母 の 分 類 の 例 示 で あ る 特 定 の 種 の リ ス ト は 、 C. Ant hony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)に 記 載 さ れ て い る 。 【0107】 グリコシル化ML−IAPキメラの発現に適した宿主細胞は、多細胞生物から由来のも 40 のである。非脊椎動物細胞の例には、植物細胞、例えば綿、トウモロコシ、ジャガイモ、 大豆、ペチュニア、トマト及びタバコの細胞培養と同様に、ショウジョウバエS2及びヨ ト ウ (spodoptera)S f 9 等 の 昆 虫 細 胞 が 含 ま れ る 。 多 く の バ キ ュ ロ ウ イ ル ス 株 及 び 変 異 体 、 及 び ヨ ト ウ ガ (Spodoptera frugiperda)(幼 虫 (caterpillar))、 ネ ッ タ イ シ マ カ (蚊 )、 ヒ ト ス ジ シ マ カ (蚊 )、 キ イ ロ シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ (シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ )、 及 び カ イ コ 等 の 宿 主 に 対応する許容性昆虫宿主細胞が同定されている。種々の形質移入用のウィルス株、例えば オ ー ト グ ラ フ ァ ・ カ ル フ ォ ル ニ カ (Autographa californica)N P V の L − 1 変 異 株 、 カ イ コ N P V の B m -5 株 が 公 に 入 手 で き 、 こ の よ う な ウ ィ ル ス は 、 本 発 明 に 係 る ウ ィ ル ス と して、特に、ヨトウガ細胞の形質移入のために使用してもよい。 し か し 、 最 大 の 関 心 は 脊 椎 動 物 細 胞 に 向 け ら れ 、 培 養 (組 織 培 養 )し た 脊 椎 動 物 細 胞 の 増 50 (66) JP 2007-515158 A 2007.6.14 殖 が ル ー チ ン 作 業 と な っ た 。 有 用 な 哺 乳 動 物 宿 主 細 胞 株 の 例 は 、 S V 4 0 (C O S − 7 , A T C C C R L 1 6 5 1 )で 形 質 転 換 さ せ た サ ル 腎 C V 1 細 胞 株 ; ヒ ト 胚 芽 腎 細 胞 株 (2 9 3 又 は 懸 濁 培 養 で 成 長 す る よ う に サ ブ ク ロ ー ン 化 さ れ た 2 9 3 細 胞 , Graham等 ,J.Gen V irol.,36:59 (1977)); ベ ビ ー ハ ム ス タ ー 腎 細 胞 (B H K , A T C C C C L 1 0 ); チ ヤ イ ニ ー ズ ハ ム ス タ ー 卵 巣 細 胞 / -D H F R (C H O , Urlaub等 , Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77: 4216 (1980));マ ウ ス セ ル ト リ 細 胞 (T M 4 , Mather,Biol.Reprod.,23: 243-251 (1980)) ; サ ル 腎 細 胞 (C V 1 A T C C C C L 7 0 ); ア フ リ カ ミ ド リ ザ ル 腎 細 胞 (V E R O − 7 6 , A T C C C R L -1 5 8 7 ); ヒ ト 頚 管 腫 瘍 細 胞 (H E L A , A T C C C C L 2 ); イ ヌ 腎 細 胞 (M D C K , A T C C C C L 3 4 ); バ ッ フ ァ ロ ー ラ ッ ト 肝 細 胞 (B R L 3 A , A T C C C R L 1 4 4 2 ); ヒ ト 肺 細 胞 (W 1 3 8 , A T C C C C L 7 5 ); ヒ ト 肝 細 胞 ( 10 H e p G 2 , H B 8 0 6 5 ); マ ウ ス 乳 房 腫 瘍 細 胞 (M M T 0 6 0 5 6 2 , A T C C C C L 5 1 ); T R I 細 胞 (Mather等 ,Annals N.Y.Acad.Sci.,383:44-68 (1982)); M R C 5 細胞;FS4細胞;及びヒト肝臓癌細胞(HepG2)である。 宿主細胞は、ML−IAPキメラの上述の発現又はクローニングベクターで形質転換さ れ、プロモーターを誘発し、形質転換体を選出し、又は所望の配列をコードする遺伝子を 増幅するために適切に修正した通常の栄養培地で培養される。 【0108】 複製可能なベクターの選択及び使用 M L − I A P キ メ ラ を コ ー ド す る 核 酸 (例 え ば 、 c D N A 又 は ゲ ノ ム D N A )は 、 ク ロ ー ニ ン グ (D N A の 増 幅 )又 は 発 現 の た め に 複 製 可 能 な ベ ク タ ー 内 に 挿 入 さ れ る 。 様 々 な ベ ク 20 ターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒 子、又はファージの形態とすることができる。適切な核酸配列が、種々の手法によってベ クターに挿入される。一般に、DNAはこの分野で周知の技術を用いて適当な制限エンド ヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるも のではないが、一又は複数のシグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、 エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列を含む。これらの成分の一又 は複数を含む適当なベクターの作成には、当業者に知られた標準的なライゲーション技術 を用いる。 ML−IAPキメラは直接的に組換え手法によって生成されるだけではなく、シグナル 配 列 あ る い は 成 熟 タ ン パ ク 質 あ る い は ポ リ ペ プ チ ド の N -末 端 に 特 異 的 切 断 部 位 を 有 す る 30 他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生成される。一般 に、シグナル配列はベクターの成分であるか、ベクターに挿入されるML−IAPキメラ −コード化DNAの一部である。シグナル配列は、例えばアルカリフォスファターゼ、ペ ニ シ リ ナ ー ゼ 、 l p p あ る い は 熱 安 定 性 エ ン テ ロ ト キ シ ン IIリ ー ダ ー の 群 か ら 選 択 さ れ る 原核生物シグナル配列であってよい。酵母の分泌に関しては、シグナル配列は、酵母イン ベ ル タ ー ゼ リ ー ダ ー 、 ア ル フ ァ 因 子 リ ー ダ ー (酵 母 菌 属 (Saccharomyces)及 び ク リ ュ イ ベ ロ ミ セ ス (Kluyveromyces)α 因 子 リ ー ダ ー を 含 み 、 後 者 は 米 国 特 許 第 5 , 0 1 0 , 1 8 2 号 に 記 載 さ れ て い る )、 又 は 酸 ホ ス フ ォ タ ー ゼ リ ー ダ ー 、 カ ン ジ ダ ・ ア ル ビ カ ン ス (C.albica ns)グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ リ ー ダ ー (1 9 9 0 年 4 月 4 日 発 行 の 欧 州 特 許 第 3 6 2 1 7 9 号 )、 又は1990年11月15日に公開された国際公開90/14646に記載されているシ 40 グナルであり得る。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物シグナル配列は、同一ある いは関連種の分泌ポリペプチド由来のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダーのような タンパク質の直接分泌に使用してもよい。 【0109】 発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクタ ーの複製を可能にする核酸配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルス についてよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグ ラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス 開 始 点 (S V 4 0 、 ポ リ オ ー マ 、 ア デ ノ ウ イ ル ス 、 V S V 又 は B P V )は 哺 乳 動 物 細 胞 に お けるクローニングベクターに有用である。 50 (67) JP 2007-515158 A 2007.6.14 発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝 子 を 含 む 。 典 型 的 な 選 択 遺 伝 子 は 、 (a)ア ン ピ シ リ ン 、 ネ オ マ イ シ ン 、 メ ト ト レ キ セ ー ト あ る い は テ ト ラ サ イ ク リ ン の よ う な 抗 生 物 質 あ る い は 他 の 毒 素 に 耐 性 を 与 え 、 (b)栄 養 要 求 性 欠 陥 を 補 い 、 又 は (c)複 合 培 地 か ら 得 ら れ な い 重 要 な 栄 養 素 を 供 給 す る タ ン パ ク 質 を コ ー ド し て お り 、 例 え ば バ シ リ の D -ア ラ ニ ン ラ セ マ ー ゼ を コ ー ド す る 遺 伝 子 が あ る 。 哺乳動物細胞に適切な選べるマーカーの例は、DHFRあるいはチミジンキナーゼのよ うに、IAPインヒビター−コード化核酸を取り込むことのできる細胞成分を同定するこ と の で き る も の で あ る 。 野 生 型 D H F R を 用 い た 場 合 の 好 適 な 宿 主 細 胞 は 、 Urlaub等 に よ り , Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980)に 記 載 さ れ て い る よ う に し て 調 製 さ れ 増殖されたDHFR活性に欠陥のあるCHO株化細胞である。酵母菌中での使用に好適な 10 選 択 遺 伝 子 は 酵 母 プ ラ ス ミ ド Y R p 7 に 存 在 す る t r p 1 遺 伝 子 で あ る [ Stinchcomb等 , Nature, 282: 39(1979); Kingsman等 , Gene, 7: 141(1979); Tschemper等 , Gene, 10: 15 7(1980)] 。 t r p 1 遺 伝 子 は 、 例 え ば 、 A T C C 番 号 4 4 0 7 6 あ る い は P E P 4 -1 の ようなトリプトファンで成長する能力を欠く酵母菌の突然変異株に対する選択マーカーを 提 供 す る [ Jones, Genetics, 85:12 (1977)] 。 【0110】 発現及びクローニングベクターは、通常、ML−IAPキメラ−コード化核酸配列に作 用可能に結合し、mRNA合成を方向付けるプロモーターを含む。種々の有能な宿主細胞 により認識されるプロモーターが知られている。原核生物宿主との使用に適したプロモー タ ー は β -ラ ク タ マ ー ゼ 及 び ラ ク ト ー ス プ ロ モ ー タ ー 系 [ Chang等 , (1978) Nature, 275:6 20 15; Goeddel等 , (1979) Nature, 281:544] 、 ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ 、 ト リ プ ト フ ァ ン (trp)プ ロ モ ー タ ー 系 [ Goeddel, (1980) Nucleic Acids Res., 8:4057; 欧 州 特 許 第 3 6 , 7 7 6 号 ] 、 及 び ハ イ ブ リ ッ ド プ ロ モ ー タ ー 、 例 え ば t a c プ ロ モ ー タ ー [ deBoer等 , (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25] を 含 む 。 細 菌 系 で 使 用 す る プ ロ モ ー ターもまた抗ML−IAPキメラ抗体又はML−IAPキメラポリペプチドをコードする D N A と 作 用 可 能 に 結 合 し た シ ャ イ ン ・ ダ ル ガ ー ノ (S.D.)配 列 を 有 す る 。 酵 母 宿 主 と の 使 用 に 適 し た プ ロ モ ー タ ー 配 列 の 例 と し て は 、 3 -ホ ス ホ グ リ セ ラ ー ト キ ナ ー ゼ [ Hitzeman 等 , (1980) J. Biol. Chem., 255:2073] 又 は 他 の 糖 分 解 酵 素 [ Hess 等 , (1968) J. Adv. Enzyme Reg., 7:149; Holland, (1978) Biochemistry, 17: 4900] 、 例 え ば エ ノ ラ ー ゼ 、 グ リ セ ル ア ル デ ヒ ド -3 -リ ン 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 、 ヘ キ ソ キ ナ ー ゼ 30 、 ピ ル ビ ン 酸 デ カ ル ボ キ シ ラ ー ゼ 、 ホ ス ホ フ ル ク ト キ ナ ー ゼ 、 グ ル コ ー ス -6 -リ ン 酸 イ ソ メ ラ ー ゼ 、 3 -ホ ス ホ グ リ セ レ ー ト ム タ ー ゼ 、 ピ ル ビ ン 酸 キ ナ ー ゼ 、 ト リ オ セ リ ン 酸 イ ソ メラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。 【0111】 他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有す る誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸フ ォスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒ ド -3 -リ ン 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ 、 及 び マ ル ト ー ス 及 び ガ ラ ク ト ー ス の 利 用 を 支 配 す る 酵 素 のプロモーター領域がある。酵母菌での発現に好適に用いられるベクターとプロモーター は欧州特許第73657号に更に記載されている。 40 哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからのML−IAPキメラ転写は、例えば、ポリ オ ー マ ウ ィ ル ス 、 伝 染 性 上 皮 腫 ウ ィ ル ス (1 9 8 9 年 7 月 5 日 公 開 の 英 国 特 許 第 2 2 1 1 5 0 4 号 )、 ア デ ノ ウ ィ ル ス (例 え ば ア デ ノ ウ ィ ル ス 2 )、 ウ シ 乳 頭 腫 ウ ィ ル ス 、 ト リ 肉 腫 ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及びサルウィルス 4 0 (SV40)の よ う な ウ ィ ル ス の ゲ ノ ム か ら 得 ら れ る プ ロ モ ー タ ー 、 異 種 性 哺 乳 動 物 プ ロ モ ーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、及び熱衝撃プロ モーターから得られるプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適 合し得る限り制御される。 【0112】 より高等の真核生物によるML−IAPキメラをコードするDNAの転写は、ベクター 50 (68) JP 2007-515158 A 2007.6.14 中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。エンハンサーは、通常は約 10から300塩基対で、プロモーターに作用してその転写を増強するDNAのシス作動 要 素 で あ る 。 哺 乳 動 物 遺 伝 子 由 来 の 多 く の エ ン ハ ン サ ー 配 列 が 現 在 知 ら れ て い る (グ ロ ビ ン 、 エ ラ ス タ ー ゼ 、 ア ル ブ ミ ン 、 α -フ ェ ト プ ロ テ イ ン 及 び イ ン ス リ ン )。 し か し な が ら 、 典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、 複 製 開 始 点 の 後 期 側 の S V 4 0 エ ン ハ ン サ ー (1 0 0 − 2 7 0 塩 基 対 )、 サ イ ト メ ガ ロ ウ ィ ルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー及び アデノウィルスエンハンサーが含まれる。エンハンサーは、ML−IAPキメラコード化 配列の5’又は3’位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモータ ーから5’位に位置している。 10 ま た 真 核 生 物 宿 主 細 胞 (酵 母 、 真 菌 、 昆 虫 、 植 物 、 動 物 、 ヒ ト 、 又 は 他 の 多 細 胞 生 物 由 来 の 有 核 細 胞 )に 用 い ら れ る 発 現 ベ ク タ ー は 、 転 写 の 終 結 及 び m R N A の 安 定 化 に 必 要 な 配列も含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの通常は5 ’、時には3’の非翻訳領域から取得できる。これらの領域は、ML−IAPキメラをコ ードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグ メントを含む。 組換え脊椎動物細胞培養でのML−IAPキメラの合成に適応化するのに適切な他の方 法 、 ベ ク タ ー 及 び 宿 主 細 胞 は 、 Gething等 , Nature, 293:620-625 (1981); Mantei等 , Nat ure, 281:40-46 (1979); 欧 州 特 許 第 1 1 7 0 6 0 号 ; 及 び 欧 州 特 許 第 1 1 7 0 5 8 号 に 記載されている。 20 【0113】 宿主細胞の培養 本発明のML−IAPキメラを生成するために用いられる宿主細胞は種々の培地におい て 培 養 す る こ と が で き る 。 市 販 培 地 の 例 と し て は 、 ハ ム (Ham)の F 1 0 (シ グ マ )、 最 小 必 須 培 地 ((MEM),シ グ マ )、 R P M I -1 6 4 0 (シ グ マ )及 び ダ ル ベ ッ コ の 改 良 イ ー グ ル 培 地 ( (DMEM),シ グ マ )が 宿 主 細 胞 の 培 養 に 好 適 で あ る 。 ま た 、 Ham等 , Meth. Enz. 58:44 (1979) , Barnes等 , Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米 国 特 許 第 4 7 6 7 7 0 4 号 ; 同 4 6 5 7866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際 公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国特許再発行第30 985号に記載された任意の培地も宿主細胞に対する培養培地として使用できる。これら 30 の 培 地 は い ず れ も 、 ホ ル モ ン 及 び / 又 は 他 の 成 長 因 子 (例 え ば イ ン ス リ ン 、 ト ラ ン ス フ ェ リ ン 、 又 は 表 皮 成 長 因 子 )、 塩 類 (例 え ば 、 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、 カ ル シ ウ ム 、 マ グ ネ シ ウ ム 及 び リ ン 酸 塩 )、 バ ッ フ ァ ー (例 え ば H E P E S )、 ヌ ク レ オ シ ド (例 え ば ア デ ノ シ ン 及 び チ ミ ジ ン )、 抗 生 物 質 (例 え ば 、 ゲ ン タ マ イ シ ン ( 商 品 名 ) 薬 )、 微 量 元 素 (マ イ ク ロ モ ル 範 囲 の 最 終 濃 度 で 通 常 は 存 在 す る 無 機 化 合 物 と し て 定 義 さ れ る )及 び グ ル コ ー ス 又 は 同 等 の エ ネ ルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者 に知られている適当な濃度で含まれてもよい。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現 のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明ら かであろう。 【0114】 40 この発明は、ML−IAPキメラポリペプチド(IAPインヒビター)の影響を防ぐ物 質を同定する化合物のスクリーニング方法を含む。アンタゴニスト剤候補のスクリーニン グアッセイを設計し、ML−IAPキメラポリペプチドと結合又は複合する化合物を同定 する。このようなスクリーニングアッセイには、特に小分子剤候補の同定に適したキメラ ライブラリのハイスループットスクリーニングに従うアッセイを含む。 本アッセイは様々な形態で実行することができ、従来技術において特徴付けの済んでい る、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノア ッセイ、及び細胞に基づくアッセイを含む。 【0115】 アンタゴニストのアッセイは全て、候補薬とML−IAPキメラポリペプチドが相互作 50 (69) JP 2007-515158 A 2007.6.14 用するのに適した条件下で、そのような相互作用に十分な時間に亘り、それら2つの成分 を接触させる必要がある点で共通している。 結合アッセイでは、相互作用は結合であり、形成される複合体は反応混合物中で単離又 は検出可能である。特定の実施形態では、ML−IAPキメラポリペプチド又は候補薬は 、共有又は非共有結合性の接着により、固定支持体上、例えばマイクロタイタプレートに 固定される。非共有結合性の接着は通常、固体表面をML−IAPキメラポリペプチド溶 液でコーティングし、乾燥させることによって行う。或いは、固定するML−IAPキメ ラポリペプチドに特異的な固定抗体、例えばモノクローナル抗体を使用して、それを固体 表面に係留することができる。このアッセイは、固定の構成要素、例えば係留した構成要 素を含むコーティング表面に、検出可能なラベルで標識した非固定構成要素を追加するこ 10 とによって行う。反応が完了したら、反応しなかった構成要素を例えば洗浄により除去し 、固体表面に係留された複合体を検出する。最初から固定されていない構成要素が検出可 能なラベルを有している場合、表面上に固定されたラベルが検出されるということは、複 合が起こったことを示す。最初から固定されていない構成要素がラベルを有していない場 合、例えば固定された複合体に特異的に結合する抗体を標識して用いることにより、複合 を検出することができる。 【0116】 アンタゴニストのアッセイを行うために、特定の活性についてスクリーニングする化合 物と一緒にML−IAPキメラポリペプチドを細胞に添加することができ、化合物がML −IAPキメラポリペプチドの存在下において対象となる活性を阻害することができる場 20 合、その化合物がML−IAPキメラポリペプチドに対するアンタゴニストであることが 示される。或いは、競合阻害アッセイに適した条件下で、ML−IAPキメラポリペプチ ドとアンタゴニスト候補をML−IAPキメラポリペプチドと混合することにより、アン タゴニストを検出することができる。ML−IAPキメラポリペプチドは、例えば放射能 によって標識することができ、よって競合相手に結合したML−IAPキメラポリペプチ ド分子の数を使用してアゴニスト候補の効果を決定することができる。 アンタゴニストの候補には、ML−IAPキメラポリペプチドのBIRドメインに結合 し、それによりML−IAPキメラポリペプチドの正常な生物学的活性を遮断するML− IAPキメラインヒビターを含む。このようなペプチドは、化学的に合成でき、及び/又 は 組 換 え D N A 技 術 に よ っ て 生 成 で き る 。 例 え ば 、 Marasco等 , Proc. Natl. Acad. Sci. 30 USA 90, 7889-7893 (1993)参 照 。 【0117】 ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に1つ以上の活性化合物、好まし くは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれ に加えて、組成物は、細胞障害性薬、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害剤のよう なその機能を高める薬剤を含んでもよい。これらの分子は、適切には、意図する目的に有 効な量の組み合わせで存在する。 以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限 定することを意図するものではない。 本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む 40 。 【実施例】 【0118】 実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用 した。ATCC受託番号により以下の実施例及び明細書全体の中で特定されている細胞の 供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニアであ る。 実施例1:ML−IAPキメラ これまでのXIAP−BIR3ドメインの構造及び変異原性分析により、Smac及び カ ス パ ー ゼ 9 の 結 合 部 位 は 重 な り 合 っ て は い る が 、 同 一 で は な い こ と が 分 か っ て い る ( Li 50 (70) JP 2007-515158 A 2007.6.14 u等 、 (2000) Nature 408(6815):1004-8; Sun等 、 (2000) J Biol Chem 275(43):33777-81; Wu等 、 (2000) Nature 408(6815):1008-12) 。 例 え ば 、 3 つ の 突 然 変 異 W 3 1 0 A 、 E 3 14S、及びH343Aはそれぞれカスパーゼ9の活性阻害を無くすことが示されており ( Sun等 、 (2000) J Biol Chem 275(43):33777-81) 、 こ れ ら の 残 基 が カ ス パ ー ゼ 9 に 直 接 接触することが示唆されている。一方、これら3の突然変異のうち2つ(W310A及び E 3 1 4 S ) は 、 蛍 光 標 識 し た S m a c ペ プ チ ド へ の 結 合 を 有 意 に 低 減 す る ( Liu等 、 (20 00) Nature 408(6815):1004-8) 。 S m a c 又 は S m a c を 主 成 分 と す る ペ プ チ ド と の 複 合体におけるXIAP−BIR3ドメインの構造分析により、XIAP残基Trp310 及びGlu314がSmac結合部位の一部を形成する一方、His343が5番目のα 螺 旋 体 の C 末 端 に 位 置 し て S m a c 結 合 部 位 か ら 離 れ て い る こ と が 分 か っ て い る ( Liu等 10 、 (2000) Nature 408(6815):1004-8; Wu等 、 (2000) Nature 408(6815):1008-12) 。 こ れ と一貫して、H343A突然変異は、野生型親和性を持ち、Smacを主成分とするペプ チ ド に 結 合 す る ( Liu等 、 (2000) Nature 408(6815):1004-8) 。 ML−IAP−BIRとXIAP−BIR3の間の配列同一性が最も小さい領域(これ らBIRドメインの構造部分では、ML−IAP−BIRの残基Gly78−Ser17 1)は、XIAPのHis343を含むC末端α螺旋体に対応する(図3)。対照的に、 Smacペプチド結合部位を規定する残基は、2つのBIRドメインの間で高度に保存さ れている。それぞれを3次構造のレベルで分解すると、ML−IAP−BIR及びXIA P − B I R 3 は 、 ペ プ チ ド 結 合 部 位 を 含 め 、 非 常 に 類 似 し た 構 造 を 示 す ( Franklin等 、 (2 003) Biochemistry 42:8223-8231) 。 特 に 、 配 列 保 存 を 欠 く も の の 、 螺 旋 − 5 の B I R ド 20 メインへの詰め込みは類似している。XIAPと比べ、ML−IAPによるカスパーゼ9 活 性 の 阻 害 効 果 が 3 0 0 分 の 1 で あ る (図 4 、 表 7 )理 由 が 、 2 つ の タ ン パ ク 質 間 で 異 な る 、螺旋−5における残基であるかどうかを確認するため、キメラタンパク質コンストラク トを作製した。 【0119】 M L − I A P − B I R ( 受 け 入 れ 番 号 BIR7_HUMANの ア ミ ノ 酸 6 3 ∼ 1 7 9 ) を p E T 1 5 b ベ ク タ ー ( Novagen( 登 録 商 標 ) ) に サ ブ ク ロ ー ニ ン グ し 、 上 述 の よ う に し て 細 菌 を 発 現 さ せ た ( Franklin等 、 (2003) Biochemistry 42:8223-8231) 。 次 い で 、 次 の ベ ク タ ー 、pet15bMLBIRを2工程式PCRに基づく方法で修飾し、MLXBIR3SG を生成した。まず、ML−IAP−BIRのアミノ酸160∼179をXIAP−BIR 30 3 の ア ミ ノ 酸 3 3 6 ∼ 3 4 8 ( 受 け 入 れ 番 号 BIR4_HUMAN) で 置 換 し 、 p e t 1 5 b M L X BIR3を作製した。次に、ML−IAP−BIRのSer150をGlyに変異導入し 、pet15bMLXBIR3SGを作製した。MLXBIR3SGをコードするDNA 配列を図1に示す(配列番号1)。MLXBIR3SGの翻訳されたアミノ酸配列と、下 線で示すXIAP−BIR3残基を図2に示す(配列番号2)。 また、pet15bMLBIRベクターを修飾し、MLXBIR3及びMLXBIR3 SGと同数のアミノ酸を有するML−IAP−BIRのC末端切断バージョンを製造した 。元のML−IAP−BIRコンストラクト(MLBIR)、本作業で使用するML−I AP−BIRのC末端切断変異体(MLBIR−Q)、ML−IAP−BIR/XIAP −BIR3キメラタンパク質(MLXBIR3SG)、及びXIAP−BIR3のアミノ 40 酸配列を整列させたものを図3に示す。pet15bMLXBIR3SGで形質転換した 大 腸 菌 株 B L 2 1 ( D E 3 ) か ら な る 培 地 1 リ ッ ト ル を 、 1 m M の I P T C を 用 い て 、 30 ℃で4時間に亘り50μMの酢酸亜鉛の存在下で導入した。細胞をペレットに取り、緩衝 液A(トリス(pH8.0)50mM、NaCl300mM、β−メルカプトエタノール 5mM、PMSF0.5mM、ベンズアミジン2mM)中においてイミダゾール5mMと ともに50ml/lで再懸濁した。細胞をホモジナイズし、微小流動化し、遠心分離した 。 可 溶 化 液 を N i − N T A ア ガ ロ ー ス ( Qiagen( 登 録 商 標 ) ) に 通 し 、 3 0 0 m M の イ ミ ダゾールを含む緩衝液A中で溶出した。最後に、タンパク質を、トリス(pH7.6)5 0 mM 、 N a C l 2 0 0 m M 、 D T T 5 m M 、 P M S F 0 . 5 m M 、 ベ ン ズ ア ミ ジ ン 2 m M 、 酢 酸 亜 鉛 5 0 μ M を 含 む 緩 衝 液 中 で Superdex( 登 録 商 標 ) 7 5 ゲ ル 濾 過 ( Pharmacia 50 (71) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ) カ ラ ム に 通 し た 。 タ ン パ ク 質 を 濃 縮 し 、 − 80℃ で 保 存 し た 。 M L B I R − Q 及 び M L X BIR3の試料を同様に調製した。このようにして調製したタンパク質を結晶化及び結合 実験に使用した。 【0120】 実施例2:組換えタンパク質の生成 残基304∼306のAla置換を有するΔCARD(カスパーゼ補充ドメイン)ヒト カ ス パ ー ゼ 9 ( 最 初 の 1 3 8 残 基 を 欠 く ) を 上 記 の よ う に し て 作 製 し た ( Boatright等 、 ( 2003) Mol Cell 11: 529-541) 。 X I A P の 第 3 の B I R ( 残 基 2 5 2 ∼ 3 4 8 ) を 上 記 の よ う に し て 調 製 し た ( Sun等 ( 2000) J Biol Chem 275(43): 33777-81) 。 S m a c / D I A B L O の ア ミ ノ 酸 5 6 ∼ 2 3 9 を 含 む P C R 生 成 物 ( 受 け 入 れ 番 号 SM 10 AC_HUMAN) を 、 C末 端 H i s 6 融 合 を 生 成 す る p e t 2 1 b + ( Novagen) の X b a l / X hol部位にクローニングした。Pet21bSmacを大腸菌株BL21(DE3)コ ン ピ テ ン ト 細 胞 ( Stratagene) に 形 質 転 換 し た 。 一 晩 お い た 培 養 物 を 1 : 1 0 0 に 希 釈 し 、 5 0 μ g / m l の カ ル ベ ニ シ リ ン を 有 す る LB培 地 中 に お い て 強 く 振 盪 し な が ら A 6 0 0 が0.8になるまで37℃で成長させた。イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラ ノシド(IPTG)を、1mMの最終濃縮物に添加し、培養物を16℃で一晩成長させた 。細胞ペレットを、5mMのイミダゾールを含む緩衝液A(トリス(pH8.0)50m M、NaCl300mM、PMSF0.5mM、ベンズアミジン2mM、β−メルカプト エタノール5mM)に再懸濁し、氷の上に30分間置いた。細胞をホモジナイズし、微小 流動化し、15,000rpmで45分間遠心分離した。上清をNi−NTAアガロース 20 カ ラ ム ( Qiagen( 登 録 商 標 ) ) に 充 填 し 、 1 0 m M の イ ミ ダ ゾ ー ル を 含 む 1 0 カ ラ ム 容 量 の緩衝液Aで洗浄し、300mMのイミダゾールを含む10カラム容量の緩衝液Aで溶出 し た 。 S m a c タ ン パ ク 質 を 含 む 画 分 を プ ー ル し 、 濃 縮 し 、 Superdex( 登 録 商 標 ) 2 0 0 サイジングカラムに充填した。タンパク質を、1カラム容量からトリス(pH7.6)5 0mM、NaCl300mM、PMSF0.5mM、ベンズアミジン2mM、DTT5m Mに溶出した。Smacタンパク質を含む画分をプールし、トリス(pH7.6)50m M、PMSF0.5mM、ベンズアミジン2mM、及びDTT5mMを含む緩衝液を3回 交 換 し て 透 析 し た 。 透 析 し た 試 料 を Q-Sepharose( 登 録 商 標 ) F F カ ラ ム ( Pharmacia) に 充填し、トリス(pH7.6)50mM、PMSF0.5mM、ベンズアミジン2mM、 及びDTT5mMの緩衝液中0∼1MのNaCl10カラム容量勾配に溶出した。完全長 30 ML−IAPプラスN末端His6 −タグをコードするcDNAを、pET15b(+) 発 現 ベ ク タ ー ( Novagen) に ク ロ ー ニ ン グ し た 。 M L − I A P は 大 腸 菌 株 B L 2 1 ( D E 3)pLysSに発現した。ML−IAPの発現は、A6 0 0 =0.5で5時間に亘り0 .5mMのIPTGを用いて誘導した。タンパク質は、NiSO4 をチャージしたキレー ト 化 Sepharose( 登 録 商 標 ) ( Pharmacia) を 製 造 者 の 指 示 に 従 っ て 用 い た 親 和 性 ク ロ マ ト グラフィーにより精製した。SDS−PAGEにより判断したところ、溶出されたML− IAPタンパク質の精度は95%よりも大きかった。精製タンパク質のタンパク質濃度は 、 Edelhochの 関 係 ( Edelhoch, (1967) Biochemistry 6:1948-1954) か ら 計 算 さ れ た 分 子 吸収係数に基づいて、280nmにおける吸光度から決定した。 【0121】 40 実施例3:カスパーゼ9阻害とペプチド結合 コンストラクトMLXBIR3によるカスパーゼ9の阻害は、同じ長さの野生型ML− IAP−BIR、MLBIR−Qの5倍程良好であるが、XIAP−BIR3によるカス パーゼ9の阻害と比べるとその70分の1に過ぎない。これらのデータは、C末端螺旋− 5の外側のXIAP−BIR3に、ML−IAPに存在しない、他の重要なカスパーゼ9 結 合 決 定 要 因 が 存 在 す る 可 能 性 が 高 い こ と を 示 し て い る 。 Analyst( 登 録 商 標 ) HT 96-384 ( Molecular Devices Corp.) で 偏 光 実 験 を 行 っ た 。 蛍 光 偏 光 親 和 性 測 定 の た め 、 偏 光 緩 衝液(トリス(pH7.2)50mM、NaCl120mM、ウシグロブリン1%、DT T5mM、及びオクチルグルコシド0.05%)中最終濃度5μMのML−IAP−BI R、MLBIR−Q、MLXBIR3、MLXBIR3SG又は10μMのXIAP−B 50 (72) JP 2007-515158 A 2007.6.14 IR3から開始し、最終濃度5nMの5−カルボキシフルオレッセイン抱合型AVPFA K(5−FAM)K(Hid−FAM)(配列番号3)まで、1:2の段階希釈を加える こ と に よ り 、 試 料 を 調 製 し た 。 9 6 ウ ェ ル ブ ラ ッ ク H E 9 6 プ レ ー ト ( Molecular Device s Corp.) に お け る フ ル オ レ ッ セ イ ン フ ル オ ロ フ ォ ア ( λ e x =485nm;λe m =5 30nm)用標準カットオフフィルタを用いて室温で10分間のインキュベーションを行 った後で反応を読み取った。タンパク質濃度の関数としてフルオレッセイン偏光値をグラ フ 化 し 、 Kaleidagraph( 登 録 商 標 ) ソ フ ト ウ ェ ア ( Synergy software, Reading, PA) を 用いて4つの変数を含む方程式にデータを当てはめることにより、パラメータEC5 を得た。EC5 0 0 値 値から見かけ上のKd 値を決定した。 5nMのHID−FAMプローブと、1:3で段階希釈したSmac−9merペプチ 10 ド(AVPIAQKSE)(配列番号4)又は野生型成熟Smacタンパク質アンタゴニ ストを含むウェルに対し、偏光緩衝液中300μMの濃度から、0.2μMのML−IA P−BIR又はBIRキメラコンストラクト、或いは0.5μMのXIAP−BIR3タ ンパク質を添加することにより、競合実験を行った。10分間のインキュベーションの後 、試料の読み取りを行った。アンタゴニスト濃度の関数として蛍光偏光値をグラフ化し、 Kaleidagraph( 登 録 商 標 ) ソ フ ト ウ ェ ア ( Synergy software, Reading, PA) を 用 い て 4 変数の方程式にデータを当てはめることによりIC5 0 値を得た。IC5 0 値からアンタ ゴ ニ ス ト の 阻 害 定 数 ( K i ) を 決 定 し た ( Keating et al., (2000) Putting the pieces together: contribution of fluorescence polarization assays to small-molecule lea d optimization. Proceedings of SPIE: In-Vitro Diagnostic Instrumentation) 。 20 【0122】 カスパーゼ9阻害定数の決定:無塩カスパーゼ緩衝液(PIPES20mM、EDTA 10mM、CHAPS0.1%及びショ糖10%(w/v)(pH7.2))中において 、37℃で15分間、組換えΔCARDカスパーゼ9(アッセイにおける最終濃度:30 0nM)を前もって活性化した。これに続き、酵素を用いて37℃で20分間、一定の濃 度範囲のインヒビターを前もって活性化した。Ac−LEHD−AFC(最終濃度:10 0 μ M ) の 添 加 に よ り ア ッ セ イ を 開 始 し 、 f m a x 蛍 光 プ レ ー ト リ ー ダ ー ( Molecular De vices) を 用 い て 、 励 起 波 長 4 0 5 n m 及 び 発 光 波 長 5 1 0 n m で 3 0 分 間 動 力 学 的 に 測 定した。反応混合物は37℃にサーモスタット制御した。インヒビター[I]の各々のK i 値を、阻害されなかった基質加水分解率(v0 )及び阻害率(vi )から決定し、よっ 30 て(v0 /vi )−1対[I]によりKi (app)、即ち基質の存在下における平衡阻 害 定 数 を 求 め た ( Salvesen及 び Nagase, (1989) Proteolytic enzymes: A practical appr oach. R. J. Beynon及 び J. S. Bond. Oxford, IRL Press: 83-104) 。 X I A P − B I R 3 と カ ス パ ー ゼ 9 の 複 合 体 に つ い て 最 近 報 告 さ れ た 結 晶 構 造 ( Shioza ki et al., (2003) Mol Cell 11: 519-527) に よ り 、 螺 旋 − 5 と ペ プ チ ド 結 合 部 位 か ら の 残基に加えて、XIAP中の螺旋−3のC末端とその直後のループからの残基もカスパー ゼ9に接触することが分かった。XIAP−BIR3のこの領域に同定される重要な接触 のうち、Gly326はML−IAPにおいて保存されていない(対応する残基はSer 150)。このGly残基がXIAP−BIR3中でGluに突然変異することにより、 おそらくはXIAPカスパーゼ9界面における立体的衝突の導入により、カスパーゼ9阻 害 が 失 わ れ た ( Shiozaki等 、 (2003)Mol Cell 11: 519-527) 。 S e r 1 5 0 の 側 鎖 が カ ス パーゼ9に対するMLXBIR3の結合を妨害しているかどうかを決定するために、XI AP−BIR3に見られるようにこの残基をGly残基で置換した追加的コンストラクト を作製した(図3)。このコンストラクト、MLXBIR3SGは、正確に測定するには 小さすぎる見かけ上のKi を持つカスパーゼ9を阻害することが分かった(<<1nM) 。よって、このコンストラクトは、XIAP−BIR3(Ki (app)=13nM)又 はML−IAP(Ki (app)=3∼5μM)よりカスパーゼ9阻害能力が高い(図4 、表7)。 表7: カスパーゼ9阻害とBIRドメインのペプチド結合親和性 40 (73) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 【0123】 実施例4:カスパーゼ9の結合 20 カスパーゼ9及びFlagでタグを付けたBIRドメインタンパク質又はベクターを用 いて、293T細胞を一過性に形質移入した。40時間後、NP−40溶解緩衝液(トリ ス120mM、NaCl150m、1%のNP−40、DTT1mM及びプロテアーゼイ ンヒビター反応混液)中において細胞を溶解させ、抗Flag抗体を用いて可溶化液を免 疫沈降(IP)した。次いで、抗カスパーゼ9及び抗Flag抗体を用いて試料をウェス タンブロット法を行った。MLXBIR3及びMLXBIR3SGキメラタンパク質がカ スパーゼ9を阻害するメカニズムに対する理解を深めるため、細胞中のカスパーゼ9への 結合を調査した。過剰発現すると、カスパーゼ9は自己触媒的プロセシングを受け、XI AP及びML−IAP BIRドメインと物理的に相互作用するプロセシング型となる。 従って、ML−IAP−BIRはプロセシング型カスパーゼ9を免疫共沈降するが、その 30 酵素原前駆体は免疫共沈降しない。ウェスタンブロット法により、S150G突然変異並 びにXIAP−BIR3のC末端タンパク質を有するMLXBIR3SGは、S150G 突然変異を含まない野生型ML−IAP−BIR又はMLXBIR3と比べて、カスパー ゼ9結合が有意に効率的に行われていることが分かった(図5)。従って、MLXBIR 3Sのカスパーゼ9結合の効率は、この分解レベルにおいて、XIAP−BIR3の効率 と類似していると思われる。 【0124】 実施例5:アポトーシスの抑制 レポータープラスミドpCMV−βgal及びベクターコントロールのみ又はBIRド メインコンストラクトの何れかを用いてMCF7細胞を一過性に形質移入した。形質移入 40 に 続 き 、 細 胞 を ド キ ソ ル ビ シ ン ( ア ド リ ア マ イ シ ン ; 0 . 5 μ g / m l ) に 曝 し 、 X -gal で染色し、形質移入した細胞の生存数及び死滅数を数えることによりアポトーシスを評価 した。アポトーシスの割合(%)は少なくとも4つの試料点の平均値を表し、3つの独立 した実験の代表値である。MLXBIR3及びMLXBIR3SGキメラタンパク質がド キソルビシン誘発性のアポトーシスをブロックすることができるかどうかを判断するため 、MCF−7細胞にBIRドメインタンパク質を一過性に発現させ、続いて細胞をドキソ ルビシンで処理した。アポトーシスの分析により、MLXBIR3SGが、S150G突 然変異を含まない野生型ML−IAP−BIR又はMLXBIR3よりも、有意に効率的 にドキソルビシン誘発性アポトーシスを抑制することが判明した(図6)。野生型ML− IAP−BIRよりもMLXBIR3SGの方がアポトーシスの抑制に効果的であるのは 50 (74) JP 2007-515158 A 2007.6.14 、カスパーゼ9の結合及び阻害が改善されているためである。 【0125】 実施例6:Smacの結合 MLXBIR3及びMLXBIR3SGキメラタンパク質は、成熟Smacと物理的に 相互作用する。Flagでタグを付けたSmac及びMycでタグを付けたBIRドメイ ンタンパク質又はベクターコントロールを用いて、293T細胞を一過性に形質移入した 。40時間後、NP−40溶解緩衝液(トリス120mM、NaCl150mM、1%の NP−40、DTT1mM及びプロテアーゼインヒビター反応混液)中で細胞を溶解させ 、抗Myc抗体を用いて可溶化液を免疫沈降(IP)させた。次いで試料を抗Flag及 び抗Myc抗体でウェスタンブロットした。FL−Smacは完全長Smacタンパク質 10 を表す。 MLXBIR3及びMLXBIR3SGキメラタンパク質へのSmacの結合を検討す るため、ML−IAP−BIR、MLXBIR3、MLXBIR3SG、XIAP−BI R3、又はベクターコントロールを用いてSmacを同時発現させた。過剰発現した時点 で、SmacはN末端55アミノ酸が切断された成熟形態にプロセシングされた(図7) 。ML−IAP−BIR、XIAP−BIR3、並びにMLXBIR3及びMLXBIR 3SGキメラタンパク質と成熟Smacとの会合を免疫沈降によって示したところ、図7 に示すように相互作用の効率は類似していた。 【0126】 実施例7:BIRドメインへのSmacの結合の定量化 20 BIRドメインへのSmacの結合を定量化するため、実施例3に記載の蛍光偏光に基 づく競合アッセイにより、Hidを主成分とする5−カルボキシフルオレッセイン標識し たペプチド(Hid−FAM)をプローブとして用いて、成熟Smac(AVPIAQK SE)(配列番号4)のN末端の9残基に対応するペプチド及び成熟Smacタンパク質 の親和性を決定した。蛍光偏光に基づくアッセイによって決定した、5−カルボキシフル オレッセインで標識したHid−Famの、BIRドメイン、MLBIR、MLBIR− Q、MLXBIR3、MLXBIR3SG、及びXIAP−BIR3への結合のKd 値を 表7に列挙する。各BIRドメインに対するHid−FAMプローブの結合親和性を、蛍 光偏光に基づくアッセイを用いて直接決定し、その結果を図8のグラフに示す。キメラB IRドメインコンストラクトに結合するHidを主成分とするペプチドのKd 値は、野生 30 型ML−IAP−BIRコンストラクト(20∼30nM、表7)に対する結合について 求められた値と類似しており、これはキメラ置換によりML−IAP−BIRのペプチド 結合部位が乱れていないことを示す。同様に、AVPIAQKSE(配列番号4)ペプチ ド又は成熟Smacに結合するMLXBIR3SGのKi 値は、同じ長さの野生型ML− IAP−BIRコンストラクト(MLBIR−Q)について決定された値と基本的に同じ であり、それよりもやや長いML−IAP−BIRコンストラクト(MLBIR)と比較 したとき、実験不確定度の範囲内であった(表7)。これらのデータは更に、キメラBI Rドメイン上のSmac結合部位が、野生型ML−IAP−BIRの同部位と同一である ことを示唆するものである。従って、MLXBIR3SGがMLBIRよりも高い効率で アポトーシスを抑制することが観察されたことは、カスパーゼ9への結合及びカスパーゼ 40 9の阻害が向上していることに起因すると考えることができる。 【0127】 実施例9:キメラ/複合体の共結晶化及び浸漬 MLXBIR3SG BIRドメインコンストラクト中のML−IAP及びXIAP残 基のカスパーゼ9結合及び阻害が向上していることの原因を更に理解するために、タンパ ク質をSmac又はHidを主成分とするペプチドとの複合体に結晶化した。ペプチドA VPW(Hid)(配列番号5)又はAVPIAQKSE(配列番号4)(Smac)と 複合したMLXBIR3SGの結晶を結晶化液滴から除去し、Bisトリス100mM( pH6)、硫酸リチウム200mM、30%(x/v)のポリエチレングリコール335 0、及び浸漬させた化合物0.5∼1.0mMを含む安定剤の液滴(通常5μl)に移し 50 (75) JP 2007-515158 A 2007.6.14 た。10mMのMES(pH5.5)又は適切なDMSO中で凍結乾燥した粉末から化合 物を再構成した。化合物の原液の濃度は30∼50mMで、可能なときにA2 8 0 により 確認した。概して結晶は、蒸発を防ぐために同溶液のリザーバに液滴として、浸漬溶液中 に一晩置いたが、化合物インヒビター1(表8)を3時間に亘り浸漬しても良好な結果が 得られた。次いで100mMのBis−トリス(pH6)、硫酸リチウム200mM、3 0%(w/v)のポリエチレングリコール3350、15%(v/v)のエチレングリコ ール、及び浸漬段階に使用したものと同じ化合物0.5∼1.0mMを含む結晶安定剤に 結 晶 を 移 し た 。 結 晶 安 定 剤 ( cryostabilizer) 中 で 1 5 ∼ 2 0 分 後 、 結 晶 を 液 体 窒 素 に 凍 結した。浸漬及び結晶安定剤溶液中のインヒビター化合物を適切なペプチドに置換した点 を除き、親複合体の結晶(AVPW(配列番号5)及びAVPIAQKSE(配列番号4 10 ))を同じようにして調製した。 様 々 な ア ン タ ゴ ニ ス ト の 複 合 体 の デ ー タ ベ ー ス が ス タ ン フ ォ ー ド 大 学 の Synchrotron Ra diation Laboratory, the Advanced Photon Source( Argonne, IL) 、 及 び コ ー ネ ル 大 学 の High Energy Synchrotron Sourceに 集 め ら れ た 。 デ ー タ の 統 計 を 表 8 に 示 す 。 野 生 型 M L−IAP−BIRの既知の構造(鎖E、PDB受け入れコード1OXN)を検索モデル として用いて、プログラムAMoReによる分子置換により解析対象の構造の1番目(イ ンヒビター1)を解析した。インヒビター1の複合体構造の最初の精製では、モデルの野 生型ML−IAP残基をそれらのMLXBIR3SG相当物の置換、アンタゴニストのペ プチド結合部位の電子密度への配置、タンパク質側鎖の電子密度内への再建を用いた。続 く 精 製 で は 、 位 置 的 ア ニ ソ ト ロ ピ ッ ク Β 因 子 の 周 期 、 及 び プ ロ グ ラ ム R e f m a c 5 ( Mu 20 rshudov等 、 (1997) Acta Crystallogr D53: 240-255) で 実 行 す る T L S ( translation-l ibration-screw) 精 製 、 プ ロ グ ラ ム A r p / w A r p ( Perrakis等 、 (2001) Acta Crysta llogr D57 (Pt 10): 1445-50) を 用 い た 自 動 水 添 加 及 び 除 去 、 並 び に プ ロ グ ラ ム O ( Jone s等 、 (1991) Acta Crystallogr A47: 110-9) を 用 い た 手 動 モ デ ル 調 節 を 用 い た 。 【0128】 1.8Åまで精製したインヒビター1複合体構造を標準として使用し、インヒビター3 浸漬複合体で1.3Åになるまでデータを収集した。インヒビター3の構造は、位置的ア ニ ソ ト ロ ピ ッ ク B 因 子 、 及 び R e f m a c を 用 い た T L S 精 製 に よ り 水 素 原 子 を riding位 置 ( riding position) に 加 え て 十 分 に 精 製 し た 。 順 に B i s − ト リ ス 分 子 、 エ チ レ ン グ リコール分子、及びリチウムイオンを多数の追加水分子と共にモデルに加えた。 30 インヒビター3複合体を他の全てのインヒビター構造の新規標準として使用した。イン ヒビター3複合体モデルからこれら構造の精製を開始し、10Åの範囲でアンタゴニスト と全ての水分を取り去った。無アンタゴニストモデルの精製の1回目を終了した後、新規 アンタゴニストを差異電子密度に構築し、新規水分子を自動的に選択して新規複合体モデ ル全体を位置的アニソトロピックB因子、及びTLS精製を複数回行った。これまでに判 明している全ての複合体の精製統計を表8にまとめる。 【0129】 MLXBIR3SGキメラ複合体結晶は空間群P41 21 2に属し、その単位細胞の寸 法は概ね87×87×74Åであり、図11に示すように、結晶学的な非対象ユニット中 にタンパク質−ペプチド複合体の2つのコピーを有する。これら2つのコピーは非常に類 40 似しており、残基100∼101を除いて1.4Åの全ての原子RMSDを有し、結晶パ ッキングのために2つのコピーに異なる高次構造をとっている。何れの場合でも複合体の 2つのコピーは異なる結晶パッケージ環境を有しているが、どちらのペプチド結合部位も バルク溶媒に曝されており、結合したペプチド自体又はペプチド結合部位の残基によって 結晶パッキング接触はない。AVPW(配列番号5)ペプチドを別の化合物に交換する浸 漬実験においては、ペプチドのコピー両方が同等の効率で置換される。 結晶化したMLXBIR3SGコンストラクトは、133の残基、即ち、トロンビン切 断部位を有する23の残基His6 −タグとその後に続くML−IAPの残基63−17 2を有し、残基150及び160∼172はそれらのXIAP−BIR3相当物で置換さ れる。His6 −タグとML−IAPの残基63∼77は、結晶の非対称ユニット中のM 50 (76) JP 2007-515158 A 2007.6.14 LXBIR3SGの両コピーにおいて乱れている。コピーAの残基78∼167及びコピ ーBの残基78∼172は、結合したアンタゴニストのようにきれいに並んでおり、電子 密度マップにおいてその全ての原子が明瞭に目視できる。AVPW(配列番号5)ペプチ ドの全ての原子もきれいに整列しており、電子密度マップで可視であるが、野生型ML− IAP−BIRに見られるように、Smacを主成分とする9残基のペプチドの最初の4 つの残基(AVPI)のみがきれいに整列している。MLXBIR3SGキメラタンパク 質の構造は野生型ML−IAP−BIRのものと基本的に同一である(図10)。2つの 構造は、全ての残基で1.1Å(MLXBIR3SGのA鎖対野生型ML−IAP−BI RのE鎖)、及び残基100∼101以外で0.6Åの、C−α原子上のRMSDで重ね 合わされうる。S150G以外の全キメラ置換を含むMLXBIR3SGの螺旋5は、螺 10 旋上の殆ど全ての残基がこの時点で野生型ML−IAP−BIRと異なっていても、残り のBIRドメインと比較して動いていない。ML−IAP−BIRのペプチド結合領域は キメラ置換の影響を受けず(図11)、結合したペプチドに対して10Åよりも近いキメ ラ残基の原子は無い。ペプチド結合部位の類似性を前提に予想されるように、2つの異な るタンパク質に結合した同じペプチド(AVPIAQKSE(配列番号4)間の全ての原 子RMSDは0.2Å未満である。 【0130】 野生型ML−IAP−BIRと同様に、MLXBIR3SGキメラは、他のBIRドメ イン、特にXIAP−BIR3(図8)に類似しており、0.5ÅのC−αRMSD(P DBコード1G73のC鎖対MLXBIR3SG構造のA鎖、残基100∼101を除く )でMLXBIR3SGに重ね合わされうる。MLXBIR3SGのキメラXIAP残基 は、XIAP−BIR3における場合と同様に、同じ側鎖高次構造をとる。螺旋5中の3 つの残基が残りのBIRドメインとの界面の大部分を形成しており、これら残基(F16 2Y、V163I、V166I)のMLXBIR3SGキメラ置換は、界面の周縁に3つ の重原子を加えるだけで、それらはいずれもこの螺旋のパッキングに影響しない。このよ うに、MLXBIR3SGの螺旋5は対応するXIAP−BIR3の螺旋と同じように見 えるが、野生型ML−IAP−BIRのそれに相当する螺旋と全く同じように残りのドメ インと集合する。 表8:データ収集及び精製統計 20 (77) JP 2007-515158 A 2007.6.14 10 20 30 【0131】 実施例12:競合実験のTR−FRET分析 時 分 解 蛍 光 共 鳴 エ ネ ル ギ ー 転 移 ( T R − F R E T ) 競 合 実 験 ( Kolb等 、 (1996) J. Biom ol. Screening 1 (4):203-210) を W a l l a c V i c t o r 2 M u l t i l a b e l e d C o u n t e r R e a d e r ( 登 録 商 標 ) ( Perkin Elmer Life and Analytic al Sciences, Inc.) で 実 施 し た 。 H i s 6 で タ グ を 付 け た M L X B I R 3 S G 3 0 0 n M、ビオチニン化したSmacペプチド(AVPIAQK−ビオチン)200nM、抗H i s 6 抗 体 − ア ロ フ ィ コ シ ア ニ ン ( X L 6 6 5 ) 抱 合 体 ( CISBio International) 5 μ g / m l 、 及 び ユ ー ロ ピ ウ ム 標 識 し た ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン ( Perkin Elmer) 2 0 0 n g / m lを含む試薬反応混液を試薬緩衝液(トリス(pH7.2)50mM、NaCl120m 40 M、ウシグロブリン0.1%、DTT5mM及びオクチルグルコシド0.05%)中で調 製した。別の方法では、この反応混液は、抗His6 抗体−アロフィコシアニン抱合体の 代 わ り に 濃 度 を 最 適 化 し た ユ ー ロ ピ ウ ム 標 識 し た 抗 H i s 6 抗 体 ( Perkin Elmer) を 、 及 びユーロピウム標識したストレプトアビジンの代わりにストレプトアビジン−アロフィコ シ ア ニ ン 抱 合 体 ( Perkin Elmer) を 用 い て 作 る こ と が で き る 。 試 薬 反 応 混 液 を 室 温 で 3 0 分間インキュベートした。インキュベーションの後、384ウェルのブラックFIAプレ ー ト ( Greiner Bio-One, Inc.) 上 で 、 反 応 混 液 を ア ン タ ゴ ニ ス ト の 1 : 3 段 階 希 釈 液 に 加えた(つまり、開始濃度50μMのAVPW)。90分間室温でインキュベートした後 、ユーロピウムの励起(340nm)、並びにユーロピウム(615nm)及びアロフィ コシアニン(665nm)の発光波長のためのフィルターを用いて蛍光を読み取った。デ 50 (78) JP 2007-515158 A 2007.6.14 ータを計算し、615nmにおけるユーロピウムの発光シグナルに対する665nmにお けるアロフィコシアニンの発光シグナルの率を求めた(これらの率にはデータ操作を容易 にするために因数10,000を乗じた)。結果として得られた値をアンタゴニスト濃度 の 関 数 と し て グ ラ フ 化 し 、 K a l e i d a g r a p h ( 登 録 商 標 ) ソ フ ト ウ ェ ア ( Synerg y Software, Reading, PA) を 用 い て 4 変 数 の 方 程 式 に 当 て は め た 。 ア ン タ ゴ ニ ス ト の 効 力の指標をIC5 0 値から決定した。MLXBIR3SGへのAVPW及びAVPIAQ KSE(Smac 9−mer)アンタゴニストペプチドの結合を示す例示的グラフを図 12に示す。また、上述したようにビオチニン化したSmacペプチドの代わりにビオチ ニン化したペプチドライブラリ又は小分子ライブラリをハイスループットスクリーニング として用いてTR−FRETアッセイを使用した。 10 【0132】 実施例13:NMRのキメラ 核 磁 気 共 鳴 (NMR)に 基 づ く 方 法 は 、 M L X B I R 3 S G に 結 合 す る 化 合 物 を 同 定 し 、 薬 剤発見過程におけるリード化合物として用いられるより強力なアンタゴニスト開発の助け と な り う る 。 特 に 、 S A R − b y − N M R ( N M R に よ る 構 造 的 活 性 関 係 (structure-act ivity relationship by NMR))法 及 び そ の 変 法 は 薬 剤 発 見 N M R に 広 く 適 用 さ れ て い る (Sh uker等 , (1996) Science 274, 1531-1534)。 そのような方法は、タンパク質の化学変化を利用して、タンパク質上の結合部位を標的 とした低親和性のリガンドを同定することに基づく。そのような化学変化マッピング法の 必須条件は、二次元異核集積スペクトル( 1 5 N, 1 H− 又は 1 3 C, 1 H−集積スペ 20 クトルの何れか)におけるタンパク質共鳴の適度な分解能、及び好ましくは配列特異的な 配置である。残念なことに、MLXBIR3SGキメラタンパク質ドメインはNMR分光 法に必要な濃度範囲に著しく集積しているため質の悪いNMRスペクトルしか得られず、 リガンドを同定するためのタンパク質化学変化マッピング法を行うことができない。 し か し 、 M L − I A P − B I R の 結 晶 構 造 の X 線 分 析 ( Franklin等 (2003) Biochemist ry 42, 8223-8231) に よ り 既 に 同 定 さ れ た 界 面 に 特 定 の ア ミ ノ 酸 突 然 変 異 を 導 入 す る こ と により、溶液集積を低減することができ、よってMLXBIR3SGのNMRスペクトル の質を向上させることができる。突然変異Ala71Glu、Ala73Glu、Phe 81Glu、及びLeu89AspをMLXBIR3SGのバックグラウンドに導入する ことにより、図13に示すように、タンパク質(図14、配列番号6)のスペクトルの質 30 が劇的に向上しており、よってNMRに基づくスクリーニングに使用可能である。 【0133】 実施例14:抗体の調製 本実施例は、ML−IAPキメラに特異的に結合できるモノクローナル抗体の調製につ いて説明する。 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 の 製 造 技 術 は 従 来 技 術 に お い て 既 知 で あ り 、 例 え ば Goding、 上 掲 に 開示されている。使用できる免疫原には、精製したML−IAPキメラ、ML−IAPキ メラを含む融合タンパク質、及び細胞表面上の組換えML−IAPキメラが含まれる。免 疫原は、過度な実験を要さずに当業者によって選択できる。 Balb/cなどのマウスを、完全なフロイントのアジュバントで乳化し、1∼100 40 マイクログラムの量を皮下注射又は腹腔内注入したML−IAPキメラ免疫原で免疫する 。 別 法 で は 、 免 疫 原 を M P L − T D M ア ジ ュ バ ン ト ( Ribi Immunochemical Research, Ha milton, MT) で 乳 化 し 、 動 物 の 後 ろ 足 の 肉 球 に 注 射 す る 。 次 い で 1 0 ∼ 1 2 日 後 に 、 選 択 したアジュバント中で乳化した追加的免疫原を用いて追加免疫する。またその後、数週間 に亘って免疫化注射を追加してマウスを追加免疫することができる。眼窩の後ろから出血 させることにより、マウスから周期的に血清試料を採取し、ELISAアッセイでの試験 を行って抗ML−IAPキメラ抗体を検出する。 【0134】 適当な抗体力価が検出されたら、抗体について「陽性」の動物に最終的にML−IAP キメラを静脈内注入する。3∼4日後、動物を屠殺して脾臓細胞を回収する。次に脾臓細 50 (79) JP 2007-515158 A 2007.6.14 胞を、ATCCから番号CRL1597で入手できるP3X63AgU.1などの選択さ れたマウス黒色腫細胞系に融合させる(35%のポリエチレングリコールを使用)。融合 により、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン)培地を含む96ウェ ル組織培養プレートに播種し、よって非融合細胞、黒色腫ハイブリッド、及び脾臓細胞ハ イブリッドの増幅を抑制することができるハイブリドーマ細胞を生成する。 ハイブリドーマ細胞は、ELISAによりML−IAPキメラに対する反応性をスクリ ーニングすることができる。ML−IAPキメラに対して所望のモノクローナル抗体を分 泌する「陽性」のハイブリドーマ細胞の決定は、従来技術の範囲内である。 陽性のハイブリドーマ細胞を同系のBalb/cマウスに腹腔内注入することにより、 抗ML−IAPキメラモノクローナル抗体を含む腹水を生成することができる。別法では 10 、ハイブリドーマ細胞を組織培養物のフラスコ又は回転ボトル内で成長させることができ る。腹水中に生成されたモノクローナル抗体の精製は、硫酸アンモニウム沈降を用い、そ の後ゲル排除クロマトグラフィーを行うことにより達成することができる。別法では、抗 体のタンパク質A又はタンパク質Gへの結合に基づく親和性クロマトグラフィーを利用す ることができる。 【0135】 上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分である と考えられる。寄託した実施物は、本発明の特定の態様の一つの例示として意図されてお り、機能的に等価なあらゆるコンストラクトがこの発明の範囲内にあるため、寄託された コンストラクトにより、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は 20 、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の態様の実 施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証 に請求の範囲を限定するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したもの に加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなも のであり、特許請求の範囲内に入るものである。 【図面の簡単な説明】 【0136】 【図1】ML−IAPキメラ(XLXBIR3SG)の核酸配列を示す。 【図2】ML−IAPキメラ(XLXBIR3SG)のアミノ酸配列を示す。XIAP BIRドメイン、及びセリン150からグリシンへの突然変異を下線で示す。 30 【図3】ML−BIR(野生型)、ML−BIRQ(C末端が切断された野生型)、ML XBIR3SG(ML−IAPキメラ。XIAP BIR3ドメインが挿入され、且つS 150Gが変更されたML−IAPフレームワーク)、及びXIAP(野生型)のアミノ 酸配列の整列化を示す。 【図4】A∼Fは、完全長ML−IAP(MLIAP−FL)、並びにキメラコンストラ クトであるMLXBIR3及びMLXBIR3SGによるカスパーゼ9の阻害を示す。各 インヒビタータンパク質について、カスパーゼ9の加水分解率(vi;RFU/分)をイ ンヒビターの濃度に対してグラフ化した(図4A−C)。また、(v0 /vi )−1とヒ ンビター濃度との相関を示すグラフをMLIAP−FLとMLXBIR3について示し( 図4D−F)、それによりKi (app)を導く。 40 【図5】MLBIR、MLXBIR3、MLXBIR3SGの免疫沈降を、XIAP−B IR3との比較でウェスタンブロットにより示す。 【図6】MLBIR、MLXBIR3、MLXBIR3SG又はXIAP−BIR3を用 いた形質移入によるドキソルビシン誘導性アポトーシスに対する抵抗性を示す。 【図7】成熟Smacと物理的に相互作用するときのMLBIR、MLXBIR3、及び MLXBIR3SGキメラタンパク質の免疫沈降を、XIAP−BIR3との比較でウェ スタンブロットにより示す。 【図8】蛍光偏光に基づくアッセイにより測定した、BIRドメイン、MLBIR、ML BIR−Q、MLXBIR3、MLXBIR3SG及びXIAP−BIR3への、5−カ ルボキシフルオレッセイン標識したHidを主成分とするペプチド(Hid−FAM)の 50 (80) JP 2007-515158 A 2007.6.14 結合を示す。Kd 値を表7に示す。 【図9】MLXBIR3SG−AVPIAQKSE複合体結晶の非対称ユニットを示す。 MLXBIR3SGタンパク質の両コピーをリボンで、両コピーのペプチドの順の部位を 棒で表す。一複合体を(鎖AおよびC)左側に、タンパク質を薄い色及びペプチドを濃色 で指す。他方の複合体を(鎖BとD)右側に示す。2つのMLXBIR3SGタンパク質 に結合した亜鉛原子を球体で示す。2つの複合体を関連させている非結晶学的2倍軸を図 の中央に示し、ページ面とおよそ直角をなす。 【図10】3つのBIRドメインペプチド複合体の比較である。図10Aには、AVPI AQKSEペプチドとのMLXBIR3SG複合体を示し、整列したキメラ部分(残基1 50及び160∼167)を黒いリボンで示す。図10Bには、AVPIAQKSEペプ 10 チド(PDB受け入れコード1OXQのE鎖及びF鎖)との野生型ML−IAP−BIR 複合体を同じ方向で示し、図10Cには、XIAP−BIR3の同様の複合体(PDB受 け入れコード1G73のB鎖の残基1∼4、及びC鎖の全て)を示す。 【図11】キメラタンパク質MLXBIR3SGと野生型ML−IAP−BIRのペプチ ド結合部位を重ね合わせたものの立体図である。MLXBIR3SGキメラの背骨をリボ ンで示す。ペプチドの3.8Å内にある野生型ML−IAP−BIRとMLXBIR3S Gの側鎖を線で示し、両複合体のAVPIAQKSEペプチドのVPI部分も同様に示す 。MLXBIR3SG−AVPIAQKSE複合体は図9の左側の複合体と同様に色付け し、タンパク質側鎖を薄灰色で、ペプチドを黒で示す。野生型ML−IAP−BIR複合 体については、タンパク質とペプチドの両方を中程度の灰色で示し、細線で示す。 20 【図12】時分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)競合アッセイにより測定し た、MLXBIR3SGへのAVPW及びSmac 9−mer(AVPIAQKSE) ペプチドの結合を示す。この実験により決定されるAVPW及びAVPIAQKSEのI C5 0 値は、それぞれ0.15及び3.46μMであった。 【図13】それぞれBruker DRX−500及びDRX−600NMR分光計にお いて25℃で取得された、(A)リン酸カリウム(pH7.2)50mM、塩化ナトリウ ム150mM中MLXBIR3SG0.5mM、及び(B)Bis−トリスプロパン(p H7.0)50mM中Ala71Glu/Ala73Glu/Phe81Glu/Leu 89Asp突然変異MLXBIR3SGの 1 5 N, 1 H−HSQCスペクトルを示す。 【図14】NMRスペクトルを向上させるML−IAPキメラ(配列番号6)の配列を示 す。 30 (81) 【図1】 【図4】 【図2】 【図3】 【図5】 【図6】 JP 2007-515158 A 2007.6.14 (82) 【図7】 【図9】 【図10】 【図8】 【図11】 【図13】 【図12】 【図14】 JP 2007-515158 A 2007.6.14 (83) 【国際調査報告】 JP 2007-515158 A 2007.6.14 (84) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (85) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (86) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (87) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (88) JP 2007-515158 A 2007.6.14 (89) JP 2007-515158 A 2007.6.14 フロントページの続き (51)Int.Cl. FI C07K 14/47 G01N 33/50 G01N 33/15 A61K 45/00 A61P 43/00 テーマコード(参考) (2006.01) (2006.01) C07K 14/47 4H045 G01N 33/50 Z (2006.01) (2006.01) G01N 33/15 Z A61K 45/00 (2006.01) A61P 43/00 111 A61P 43/00 105 (81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM), EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF, CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU, CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA ,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW (72)発明者 フェアブラザー, ウェイン ジェイ. アメリカ合衆国 94010 カリフォルニア,バーリンゲイム,トーヨン ドライブ 1008 (72)発明者 フランクリン, マシュー シー. アメリカ合衆国 94114 カリフォルニア,サンフランシスコ,ダイヤモンド ストリート 473 (72)発明者 アカーリー ウォールウェバー, ハイディ ジェニー アメリカ合衆国 94020 カリフォルニア,ラ ホンダ,ボックス 333,スター ルート 2 (72)発明者 カドコーダヤン, サルメー アメリカ合衆国 94552 カリフォルニア,カストロ バレー,マウント ラッセン ドライ ブ 18989 (72)発明者 サルベッセン, ガイ アメリカ合衆国 92024 カリフォルニア,エンシニタス,サークル パーク レーン 19 36 (72)発明者 ヴシック, ドマゴフ アメリカ合衆国 94110 カリフォルニア,サンフランシスコ,カンバーランド 31 (72)発明者 エリオット, リンダ, オーレン アメリカ合衆国 94019 カリフォルニア,ハーフ ムーン ベイ,バレンシア ストリート 24 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 CB01 DA13 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 BA80 CA02 CA06 DA06 HA11 HA17 4B064 AG01 AG23 CA19 CC24 DA01 4B065 AA26X AA95Y AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA17 NA14 ZB212 ZC022 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA01 DA56 EA20 EA50 FA74