生態系においてゲノム情報が 支配する生命現象

生態系においてゲノム情報が
支配する生命現象
世の中に匂い物質は数十万種類あるといわれている
森林・植物
食べ物
フィトンチッド、アレロパシー
リフレッシュ効果
食べ物由来の香気フレーバー
trans-2-hexenal
青葉アルデヒド
マツタケ
pinene
カラメル
O
limonene
バニラ
グレープフルーツ
S S
ニンニク
camphor
cis-3-hexenol
青葉アルコール
動物
ワサビ
個体認識、フェロモン
麦芽臭
isovaleric acid
汗臭さ
東原 和成
東京大学・大学院農学生命科学研究科・応用生命化学専攻
ジャスミン精油 約150種類
コーヒー 約580種類
酒 約200種類
ワイン 約500種類
androstenone
尿臭
trimethylamine
魚臭
pyrroline
精子臭
cyclopentadecanolide
麝香臭
匂い嗅ぎGC-MSによる香気分析
サンプルの捕集
GC-MS-スニッフ
化学信号
感覚系
細胞外情報伝達物質（ホルモン、神経伝達物質など）
外界化学物質（嗅覚、味覚、視覚など）
受容体
末
梢
受
容
系
化学感覚器
での受容
電気信号
サンプル
細胞内情報伝達
細胞応答
高
次
脳
中
枢
系
脳における認知
情動の変化
形態変化、物質代謝・分泌、増殖・分化、電気信号
1
２００４年ノーベル医学生理学賞 「嗅覚メカニズムの解明」
多様情報を認識するための戦略
Buck and Axel, Cell 65, 175-187 (1991)
「匂い受容体候補遺伝子の発見」
Received: March 14, 1991
Accepted: March 21, 1991
In press: April 5, 1991
AP/WWP
http://www.biological-j.net/blog/2010/06/000981.html
長崎大学熱帯医学研究所HP
http://web.mit.edu/jpnet/tech-j/1/text/index.html
AP/WWP
東京医科歯科 新村研究室
2
マーモセットは完全な
三色色覚をもたない
偽遺伝子は他の直鼻猿類
より少ないが
機能遺伝子はオランウー
タンより多い
共通遺伝子はオランウー
タンやマカクで多く
失われている
Matsui et al.: Mol. Biol. Evol. 2010
生命誌ジャーナル2009
数十万種類の匂いが識別できるわけ
ルール１：
ひとつひとつの受容体は
複数の匂い物質を認識する
匂い物質
?
> 4 x 105
受容体の組み合わせが
匂いのコード
匂い
数十万種類
?
ルール２：
嗅覚受容体 1000
ひとつひとつの匂い物質は
複数の受容体によって認識
嗅覚受容体 1000
鍵と鍵穴の関係
東京医科歯科 新村研究室
3
嗅覚受容体の組み合わせによる「におい地図」の形成
嗅覚一次中枢における匂い応答イメージング
顕微鏡
匂い物質
嗅覚受容体
嗅上皮
嗅球
汗臭さ
足の裏のにおい
果実様香気
(オイル様フルーツ香）
果実様香気
(スパイシー様フルーツ香）
昆虫の嗅覚受容体ファミリー
脳における匂いシグナルの情報処理
Drosophila melanogaster
sensilla
Anopheles gambiae
Apis mellifera
脳皮質
dendrite
Bombyx mori
olfactory neurons
海馬
Bombyx data: The international silkworm genome consortium: Insect Biochem. Mol. Biol. 2009
視床下部
扁桃体
細胞工学 森・高橋
4
味覚受容体
甘味
うまみ
苦味
T1r2+T1r3
T1r1+T1r3
T2rs
塩味
ENaC?
Trpv1?
TRPチャネル：熱い、温かい、冷たい、辛い
酸味
PKD2L1+1L3?
ASIC ?
HCN ?
重村ら 細胞工学 2007
Nei et al.: Nature Rev. Genetics 2008
富永真琴先生提供
フェロモン（Pheromone)
ギリシャ語の「Phero：運ぶ」と「mone:ホルモン」が合体
ある個体が発して、同種の他個体において、特定の
行動の誘発や生理的な変化を引き起こす物質
異性を呼ぶ：男女の絆
道しるべ：仲間の絆
アロマリサーチ（フラグランスジャーナル）
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げっ歯類におけるESPペプチド遺伝子ファミリー
ESP (exocrine gland-secreting peptide): 性行動、個体認識？
MUP (major urinary protein)：メスのオス選択、オス同士の攻撃
ABP (androgen binding protein)：交尾相手の選択
いずれもゲノム上で多重遺伝子群クラスターを作っている
系統によって多型がある
Kimoto et al.: Nature 2005
Kimoto et al.: Current Biol. 2007
ESP1 はメスのロードシス行動を促進させる
Karn R C , Laukaitis C M Genome Biol Evol 2009;1:494-503
ESP1を分泌するオスマウスは繁殖能力が高いか？
近交系ではESP1の発現量は低い
ロードシス行動：オスのマウントに対するメスの受け入れ姿勢
殆どの野生オスマウスでESP1が涙腺から分泌
1. 四つの足で踏ん張る
2. 顎や顔の部分が少し上にそる
3. オスのマウントに対して逃げようとしない
4. お尻を少しつきだす
Haga et al. Nature 2010
Haga et al. Nature 2010
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