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体つくり運動におけるASEの効果について

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体つくり運動におけるASEの効果について
体つくり運動におけるASEの効果について
田渕洋勝(大阪体育大学大学院)
伊原久美子(大阪体育大学)
近年の子供をめぐる教育の課題
規範意識の低下
人間関係を上手く
作れない
集団生活に適応でき
ない子どもの増加
などなど・・・・
情報化社会の進展による、ヒトやモノと関わる等の
直接体験の減少が原因の一つである
学校現場(体育授業)の動向
体つくり運動
※平成11年度より実施
※平成21年度より小中高全学年実施
体力を高める運動
体ほぐしの運動
・仲間との交流に焦点化
・心と体への気づきを大切にする
体つくり運動の位置づけ(小学校)
学年
1・ 2年
3・ 4年
5・ 6年
体つくり運動(全学年必修)
器械・器具を使った運動遊び
領域
器械運動
水・跳の運動遊び
走・跳の運動
陸上運動
水遊び
浮く・泳ぐ運動
水泳
ゲーム
表現・リズム遊び
ボール運動
表現運動
保健
入試改革(2020~) 思考力・判断力・表現力が重視される時代へ
ASE(ActionSocializationExperience)とは
一人では解決不可能な課題に対し
て、チームで協力し合いながら解決
していくアクティビティ
○先行研究1(キャンプ等での実践)
集団凝集性 ↑
集団の雰囲気 ↑
コミュニケーション活動 ↑
自己概念 ↑ などなど…
○先行研究2(学校現場での実践)
学級の雰囲気の向上 ↑
級友との仲間関係 ↑ などなど…
ASE体験が人間関係に肯定的な影響を与えている
研究の課題(分かっていないこと)
• 私たち研究者や専門家が実施するのではなく、現場の教員が
ASEを実施し成果を出せる工夫(ハンドブック、視聴覚教材、
youtube等)
• 教材としてのASEと同じ領域に属している他の教材との比較
• 体育授業におけるより長期的なASEの効果
研究の目的
①ソーシャルスキルの変容を明らかにすること
②他の教材と比較し、どの部分が優れているのかを
分析し、ASEの有意性を見出す
③ASEを体育授業用にパッケージ化すること
手続き
• 対象:大阪府内 小学校高学年2クラス(60~80名程度)
• 時期:1学期始め
• 場所:対象学校の体育館
• 指導者:体育クラス担当教員(2人以上のチームティーチング)
• 本研究の調査はASE実施群と通常授業群を設け実施する。
グループの
流れ
指導体制
○今回の指導体制
○理想の指導体制
指導者
T
2
ASE
ASE
ASE
ASE
学校教育の現状を
考えると不可能に近い
体育館を4分割し、T1を主体とした教員2人で
手分けをして指導にあたる
T
1
ASEの説明紙
振り返りシート
調査方法
Pre
毎授業(終了直後)
Post
・HyperQ-U診断
①体育授業の集団的・協力的活動を評
価する形成的評価表(仲間づくりの調
査票)
・Hyper Q-U診断
・担任アンケート
・担任アンケート
②授業の感想
③VTRによる観察
実験群:週2コマのASE体験を1か月行う
統制群:通常どおりの授業を行う
学習計画(実験群)
時数
1
・オリエンテーション
・グルーピング
内
容
・アイスブレイク
2
3
4
5
6
7
8
準備運動(必要に応じて)・本時の説明
・ASE①
難易度が低いもの
会話が発生する
・ASE②
達成がやや難しいもの
身体接触はある程度伴う
・ASE③
難易度上
または
リベンジマッチ
振り返り・調査紙(集団的・協力的活動を評価する形成的授業評価票)を記入
※事前に担任の先生と打ち合わせ(クラスの状況、授業の雰囲気など)
仲間づくりの調査票について
①小松崎ら(2001)によって作成された仲間づくりの調査票は、集団達成・集団思考・集
団的相互作用・集団的人間関係・集団的活動の意欲の次元で評価する
②毎授業終了直後に、児童全員にアンケートを配布し、
「はい」「どちらでもない」「いいえ」の 3選択によって回答させる
③「はい」→3点 「どちらでもない」→2点 「いいえ」→1点
上記のように得点を与え、それらを得点化し、分散分析によって効果を確かめる
④2.5点以上の平均点を得ていることが授業評価の目安と判断される
仲間づくりの調査票の5因子
集団的達成(Q1.2)
授業中に設定された課題を達成できたか、そしてそれに導かれる
喜びを味わうことが出来たか
集団的思考(Q3.4)
ディスカッションの際に仲間の意見に対して傾聴することができた
か、積極的に意見を出し合うことができたか
集団的人間関係
(Q5.6)
積極的な補助・サポート励まし合いの活動が行えているか
集団的相互作用
(Q7.8)
授業中の活動を通して仲間との一体感、連帯感を味わえたか
集団的活動への
意欲(Q9.10)
授業中の活動に対する満足度やさらなる活動欲求があるか
HyperQ-Uについて ・・・PreとPostの各項目におけるクラスの平均点を
t検定によって統計処理
学級満足度尺度
• 承認(友達や教師から認められているか)
• 被侵害(不適応感、いじめ・冷やかしなどを受けているか)
学校生活意欲尺度
• 友達関係、学習意欲、学級の雰囲気
ソーシャルスキル尺度
※hyperQ-Uのみ
• 配慮(対人関係の基本的なルール・マナーが守られているか)
• かかわり(人と関わるきっかけや関係の維持ができているか)
期待される効果
• 教材間の比較をすることで現場の教員が状況に応じて、教材を選
択することが出来る
• 学校用にパッケージ化を図ることで現場の教員がASEを教材にし
やすくなる
• 学級の人間関係が良好になることで、学級経営が潤滑になる
• 求められる人材を育成することが出来る(入試改革)
参考文献①
• 文部科学省(2008)体験活動の教育的意義;
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/055/003.htm
• 小松崎敏・米村耕平・三宅健司・長谷川悦示・高橋 建夫(2001)体育授業における児童の集団的・協力
的活動を評価する、スポーツ教育学研究21巻第2号
• 日本野外教育研究会(1999)改訂キャンプテキスト、杏林書院
• 岡村泰斗・飯田稔・関智子・黒澤毅(1999)ASEを導入した体育授業が女子看護学生の学級適応に及ぼ
す効果、日本レジャー・レクリエーション研究第41巻・84-87
• 平野智之・奥田絢子・佐藤直樹(2011)体ほぐし運動による仲間づくりが児童の自己肯定意識に及ぼす
効果-アドベンチャープログラムを導入した小学校体育授業実践を通して- 、宇都宮大学教育学部教育
実践総合センター紀要 34,207-214
参考文献②
• 高橋建夫(2003)体育授業を観察評価する―授業改善のためのオーセンティック・アセスメント、
㈱明和出版
• 福富優ら(2011)ASEを取り入れたキャンプ活動がサ ッカーチームの雰囲気に及ぼす影響、日
本野外教育学 会第 14回大会研究発表抄録集
• 二宮孝(1998)今こそ学校にアドベンチャー教育を―「心の教育」実践プログラム、 学事出版
• 文部科学省(2013)体つくり運動学校体育実技指導資料第7集-授業の考え方と進め方-(改訂
版)、 東洋館出版社
• 井村仁・飯田稔・田嶋幸三・関根章文(1999)JFA・S級コーチ養成コースにおけるASE活用に関
する基礎的研究、野外教育研究,2(2):37-42
• 伊原久美子・徳田真彦・大杉夏葉(2014)チーム始動時における ASEプログラム導入が集団凝
集性に及ぼす影響、日本野外教育学会第 17回大会研究発表抄録集68-69
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