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ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的とした 天然物の探索
ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的とした 天然物の探索および変形菌の成分に関する研究 2008 年 細谷 孝博 目次 目 次 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的とした天然物の探索 および変形菌の成分に関する研究 序論 癌と天然物そして分子標的治療薬へ・・・・・・・・・・・・・・・・3 ヘッジホッグシグナル伝達経路と癌・・・・・・・・・・・・・・・・6 変 形 菌 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 11 本論 第一章 第二章 第三章 ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 標 的 と し た ア ッ セ イ 系 の 構 築 13 第一節 ア ッ セ イ 系 に つ い て ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ 13 第二節 pGL4-GLI BS の 作 成 ・ ・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・・ ・ 17 第三節 HaCaT-GLI1-luc 細 胞 の 樹 立・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 第四節 ア ッ セ イ 法 の 確 立 ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 22 第五節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 28 構 築 し た ア ッ セ イ 系 を 用 い た ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ ・29 第一節 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー( KKC)の ス ク リ ー ニ ン グ ・・・・・・・29 第二節 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー( KKP)の ス ク リ ー ニ ン グ ・・・・・33 第三節 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー( CKK)の ス ク リ ー ニ ン グ・・・・33 第四節 依 頼 サ ン プ ル ( ich) の ス ク リ ー ニ ン グ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 33 第五節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 49 Physalis minima か ら の GLI1 転 写 阻 害 活 性 成 分 の 単 離・・・・・50 第一節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た Physalis minima の 分 画 ・ ・ ・ 51 第二節 単 離 化 合 物 の 構 造 解 析 お よ び 同 定 ・・・・・・・・・・・・・ 55 第三節 化 合 物 17 お よ び 18 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 56 第四節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 57 1 目次 第 四 章 放 線 菌 CKK32 の 成 分 お よ び 生 薬 ich77 の 活 性 画 分・・・・・・・58 第五章 第六章 第七章 第一節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た CKK32 の 分 画 ・・・・・・・58 第二節 CKK32 よ り 得 ら れ た 化 合 物 の 同 定 お よ び 転 写 阻 害 の 考 察 ・・61 第三節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た ich77 の 分 画 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 63 第四節 ich77 の 活 性 画 分 の 分 離 お よ び 考 察 ・・・・・・・・・・・・ 69 第五節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 70 GLI 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 71 第一節 転 写 因 子 GLI2 に 対 す る 転 写 阻 害 活 性 の 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 71 第二節 HaCaT 細 胞 に お け る GLI1, PTCH, BCL2 タ ン パ ク 発 現 の 評 価・73 第三節 PANC1 細 胞 に お け る 評 価 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 77 第四節 活 性 化 合 物 の 考 察 ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・・ ・ ・ ・・ ・ 80 第五節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 83 変 形 菌 Lycogala epidendrum か ら の ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 ・ ・ ・ 84 第一節 Lycogala epidendrum か ら の ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 の 単 離・・・85 第二節 新 規 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 の 構 造 決 定 ・・・・・・・・・・・ 87 第三節 ビ ス イ ン ド ー ル 類 の 細 胞 毒 性 評 価 ・・・・・・・・・・・・・ 94 第四節 ビ ス イ ン ド ー ル 類 の キ ナ ー ゼ 阻 害 の 評 価 ・・・・・・・・・・ 95 第五節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 97 変 形 菌 Fuligo aurea の 成 分 ・・・・・・・・・・・・・・・・・98 第一節 Fuligo aurea か ら の 成 分 の 単 離 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 98 第二節 新 規 ト リ プ ト フ ァ ン 誘 導 体 化 合 物 の 構 造 決 定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 101 第三節 細 胞 毒 性 試 験 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 108 第四節 小 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 109 総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110 実験 の 部・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113 参考 文 献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・142 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 147 主論 文 目録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 149 学位 論 文審 査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150 2 序論 序 論 癌と天然物そして分子標的治療薬へ 近年の日本における死亡率は,悪性新生物(癌)や心疾患,脳血管疾患などの 生 活 習 慣 病 が 上 位 を 占 め て お り ,特 に 癌 疾 患 に 関 し て は ,1981 年 に 死 亡 率 が 一 位 と な っ て 以 来 ,現 在 も 増 加 し 続 け ,2004 年 の 癌 に よ る 死 亡 率 は 全 体 の 31%を 占 め る よ う に な っ た ( Fig. 1). 今 後 も 癌 疾 患 は 増 加 す る と 予 想 さ れ て お り , 医 学 的 に も社会的にも深刻な疾患の一つである.現在まで多数の検査法や治療法,治療薬 が開発されてきたにもかかわらず,癌の完全征服には未だ至っていないのが現状 であり,これからも癌と人類の闘いは続いていくであろう. Rate per million 400 悪性新生物 300 心疾患 脳血管疾患 200 肺炎 肝疾患 100 結核 0 1954 Fig. 1. 1964 1974 1984 1994 2004 Increase in the death rate of malignant neoplasm in Japan Source: Vital Statistics of Japan, Statistics and Information Dept., Minister ’ s Secretariat, Ministry of Health, Labor and Welfare 現在用いられている医薬品は,天然物由来の薬剤や,天然物よりヒントを得て 合 成 さ れ る 薬 剤 が 多 い [1 ] . 天 然 由 来 の 医 薬 品 に は , 1806 年 , 薬 剤 師 の Sertűrner に よ り ア ヘ ン か ら morphine が 単 離 さ れ , ま た 19 世 紀 後 半 に は , 日 本 の 天 然 物 化 学 者 で あ る 長 井 長 義 博 士 に よ り ,麻 黄 か ら l-ephedrine が 単 離 さ れ ,そ れ ぞ れ 鎮 痛 剤 ,鎮 咳 剤 と し て 用 い ら れ て き た( Fig. 2).ま た ,taxol ®( paclitaxel)は ,太 平 洋 イ チ イ Taxus brevifolia, ヨ ー ロ ッ パ イ チ イ T. baccata な ど か ら 単 離 さ れ , チ ュ ー ブリンの解重合を阻害して抗腫瘍活性を示し,臨床試験でも良好な結果を得たこ 3 序論 と に よ り , 現 在 医 薬 品 と し て 利 用 さ れ て い る ( Fig. 2). ま た , 微 生 物 由 来 の 医 薬 品 も 多 数 存 在 し ,Penicillium 属 の 青 カ ビ が 産 生 す る 抗 生 物 質 penicillin が 登 場 し た ことにより,微生物における二次代謝産物の重要性が認識されるようになった. 以 降 , 抗 生 物 質 の み な ら ず 抗 癌 剤 ( doxorubicin, 別 名 adriamycin) や 高 脂 血 症 治 療 剤 ( lovastatin) な ど が 見 出 さ れ , 現 代 で も 医 薬 品 リ ー ド 化 合 物 の 資 源 と し て 有 望 視 さ れ て い る ( Fig. 2). ま た , 海 洋 由 来 生 物 か ら も 有 用 な 医 薬 品 の リ ー ド 化 合 物 が 見 出 さ れ て お り ,bryostatin は コ ケ ム シ よ り 単 離 さ れ た 抗 癌 剤 候 補 の 天 然 物 で あ る [2 , 3 ] . HO H N OH O H H NMe O NHMe O H S N COOH HO morphine l-ephedrine AcO O OH penicillin G O OH O O OH OH O O O HN OH OH O OAc O OMe O O H O NH2 OH O taxol OH O O O doxorubicin (adriamycin) lovastatin Fig. 2. Chemical structures of medical drugs from natural resources このように,天然資源から,これまで有用な化合物が発掘されており,また, 今 ま で に 手 が け ら れ た 天 然 物 探 索 素 材 は ,地 球 上 の 全 生 物 の う ち 10% に も 満 た な い と い わ れ て い る こ と よ り , 新 た な 有 用 化 合 物 の 発 掘 に は 適 し た 素 材 で あ る [4 ] . し か し 現 在 ,コ ン ピ ュ ー タ 支 援 の ド ラ ッ グ デ ザ イ ン ,イ ン シ リ コ ス ク リ ー ニ ン グ , ハイスループットスクリーニング,コンビナトリアルケミストリー等の手法を駆 使した医薬品の研究や開発が行われており,大手メガ製薬企業などは,天然物か らの創薬探索のような研究は時間と手間がかかるため,撤退する傾向にあること が事実である.しかし今までにも天然からユニークな骨格を持った化合物や強力 な生物活性を有する有用化合物が発見されてきたことも事実であり,そういった 期待から,最近では天然物探索を行う創薬ベンチャーが登場し,そこにメガ製薬 企業が投資するという構図が生まれている.今なお天然物化学の重要性,また研 究者の天然物化学への熱意や魅力性は薄れていない. 4 序論 近年,癌細胞で特異的に変化している分子を標的とした“分子標的治療薬”の 開発が進んでおり,この癌細胞のみに発現している標的分子,例えば癌細胞が増 える要因になるタンパク質を阻害することで,癌細胞を選択的に死滅させること が で き る と し て お り , 現 在 , 活 発 な 研 究 開 発 が 行 わ れ て い る [5 ] . 細 胞 内 の タ ン パ ク質の働きが詳細に解明されてきたここ数年で飛躍的に進歩した方法である.一 般的な抗癌剤は,もともと同じ体からできた細胞の正常細胞と癌細胞の両方に作 用し,吐き気や脱毛といった副作用が起こることが多かった.しかし,分子標的 治療薬は,その癌遺伝子のみに効果がある薬剤のため,従来よりも副作用が少な くてすむという利点がある. これまでの研究で様々な分子標的治療薬が開発されており,小分子では Imanitib( Glivec Ò ) が 慢 性 骨 髄 性 白 血 病 に お い て Bcr-Abl/チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ を 標 的 と し [6 ] , ま た Gefitinib( Iressa Ò ) は 非 小 細 胞 肺 癌 に お い て EGFR/チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ を 標 的 と す る 薬 剤 [7 ] が 開 発 さ れ た ( Fig. 3). ま た Trastuzumab( Herceptin Ò ) は , 乳 癌 に お け る HER2 を 標 的 と し た 抗 体 で あ り [8 ] , 近 年 抗 癌 剤 と し て の 分 子 標 的治療薬が承認されている. N F H N N N O N N HN N HN O ・ CH SO H 3 3 N MeO Imatinib Cl N Gefitinib Fig. 3. Chemical structures of Imatinib and Gefitinib as molecular targeted drugs 著者は,社会的にも医学的にも深刻化している“癌治療”に興味を抱き,近年 活発に研究開発が行われている分子標的型抗癌剤のリード化合物を,天然資源か ら得ることをテーマに選んだ.現在,膨大な数の天然物または合成化合物が見出 さ れ て お り ,そ の 中 か ら“ い か に し て ”活 性 化 合 物 を 釣 っ て く る か が 重 要 で あ る . また,地球上に存在する未利用天然資源は数知れず,大量のサンプルの山から宝 物を探す手段を開発することは,これまでに眠っていたサンプルや化合物が目覚 めるときがくるかもしれない.著者は,癌細胞で特異的に亢進しているシグナル 伝達経路に作用する抗癌剤の創薬研究をテーマに掲げ,目的にあったアッセイ系 の構築,天然資源からのリード化合物の探索およびその作用の確認を行い,シグ ナル伝達阻害剤のリード化合物を提案するための研究を行った. 5 序論 ヘッジホッグシグナル伝達経路と癌 数多くの癌の中でも,胃癌や大腸癌などはその検査法や治療法の劇的な進歩に より治癒率が上昇しているが,すい臓癌に関しては,目立った自覚症状もないま ま進行していき,発見された時には手遅れとなるため,完全治癒が困難な癌の一 つである.一般的には,癌組織の外科的切除が行われているが,完全に取り除く こ と が で き な い こ と か ら , 再 発 の 可 能 性 が 高 い 難 治 性 癌 の 代 表 で あ る . Fig. 4 に 示 す よ う に ,各 癌 部 位 の 5 年 生 存 率 も ,す い 臓 癌 に 関 し て は 数 % に 留 ま っ て お り , “完治が困難な癌”として名高い.近年の医療の発展をもってしても,有効でか つ的確な治療法が確立されていないのが現状であり,外科的切除による治療には 現時点では限界がある.そこで,化学療法や放射線療法による治療が行われてい るが,副作用や薬剤耐性などの問題もあり,新たな治療薬の開発が期待されてい る. 100 膀胱癌 前立腺癌 Five-year survival rate 75 胃癌 結腸癌 食道癌 50 気管支癌 乳癌 子宮癌 25 すい臓癌 0 1962 1967 1972 1977 1982 1987 1992 Fig. 4. Five-year survival rate of each cancer cell in Japan 6 1997 序論 2003 年 Nature 誌 に , 胚 発 生 段 階 で の 分 化 や 増 殖 に 重 要 な 役 割 を し て い る ヘ ッ ジホッグシグナル伝達経路がすい臓癌細胞で異常亢進し,ヒトのすい臓癌でも重 要 な メ デ ィ エ ー タ ー で あ る 可 能 性 が 報 告 さ れ た [9 ] . ま た , 基 底 細 胞 癌 [1 0 ] , 前 立 腺 癌 [11 ] ,胃 癌 な ど の 消 化 器 癌 [1 2 ] や 小 肺 癌 [1 3 ] な ど の 癌 細 胞 で も ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝達経路は異常亢進しており,これら腫瘍の発生や拡大に寄与しているとの報告 がある. ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 は ,も と も と Drosophila の 研 究 か ら 明 ら か と な っ た シ グ ナ ル 伝 達 経 路 で , そ の 構 成 因 子 は , Drosophila の 胚 発 生 に お け る 前 後 軸 決 定 に か か わ る segment polarity gene に コ ー ド さ れ て い る . ヘ ッ ジ ホ ッ グ 遺 伝 子 の機能を失った変異体の表現型の胚は,小さな歯のような突起物に覆われること より,ヘッジホッグ(ハリネズミ)と名付けられた.脊椎動物では,三種のホモ ロ グ が 同 定 さ れ て お り ,Sonic hedgehog( Shh),Desert hedgehog( Dhh)お よ び Indian hedgehog( Ihh) が 存 在 し , こ れ ら は 異 な る 臓 器 形 成 の パ タ ー ン を 制 御 し て い る . 中 で も Shh は 最 も よ く 研 究 さ れ た 経 路 で あ り ,発 生 期 の 中 枢 神 経 ,四 肢 ,肺 ,胃 , 歯 , 毛 嚢 な ど 広 範 囲 に 発 現 し て い る . Dhh お よ び Ihh は , そ れ ぞ れ 生 殖 細 胞 の 発 生 と 骨 格 系 の 発 生 に 関 係 す る こ と が 知 ら れ て い る [1 4 -1 6 ] . こ こ で , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 概 略 を 説 明 す る ( Fig. 5). ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 は , ヘ ッ ジ ホ ッ グ 産 生 細 胞 で 45 kDa の hedgehog 分 泌 タ ン パ ク が 産 生 さ れ , 自 己 触 媒 的 に 切 断 さ れ た 後 , Hh リ ガ ン ド で あ る 20 kDa の N 末 端 断 片 が 生 じ る [1 7 ] . こ の と き , C 末 端 に コ レ ス テ ロ ー ル 分 子 の 修 飾 が さ れ ,細 胞 外 に 分 泌 さ れ る . 分 泌 し た Hh リ ガ ン ド は , ヘ ッ ジ ホ ッ グ 受 容 細 胞 表 面 に 存 在 す る 12 回 膜 貫 通 型 Ptch( Patched)受 容 体 に Hip( Hedgehog interaction protein)と 相 互 作 用 し な が ら 結 合 し , 7 回 膜 貫 通 型 Smo( Smoothened) 受 容 体 へ の 抑 制 を 解 除 す る [1 8 ] . 通 常 , Hh リ ガ ン ド が な い 状 態 で は , Ptch は Smo と 相 互 作 用 し て , Smo を 不 活 性 化 し , シ グ ナ ル を 止 め て い る . Hh リ ガ ン ド の Ptch 受 容 体 へ の 結 合 に よ り ,Smo へ の 抑 制 が 解 除 さ れ る と ,細 胞 内 に シ グ ナ ル が 伝 わ り ,微 小 管 上 で 複 合 体 を 形 成 し て い る Cos-2( kinesin-like protein costal-2),Fu( serine/threonine kinase fused),Su(Fu)( suppressor of fused),GLI( zinc finger transcriptional glioblastoma) か ら 転 写 因 子 GLI が 解 離 し た 後 ,転 写 因 子 と し て 核 内 に 移 行 し ,胚 発 生 段 階 に お け る 分 化 や 増 殖 に 必 要 な 標 的 遺 伝 子 の 発 現 を 正 ま た は 負 に 調 節 す る [1 9 ] . 7 序論 H Smo Hh Ptch Sm smoothened patched receptor receptor Su(Fu) Cos-2 Fused Pt ch GLI GLI Cos-2 H Hh HI P H Hh H H hedgehog interaction protein H H H HO Su(Fu) cholesterol Fused N nucleus GLI H release H H o H gene expression nucleus Hedgehog Receiving Cell signaling catalytic C hedgehog Hedgehog Sending Cell Fig. 5. Hedgehog signaling pathway in a normal cell 一方,癌細胞におけるヘッジホッグシグナル伝達経路について,基底細胞癌 ( Basal cell carcinoma : BCC) を 例 に 述 べ る と , BCC は ケ ラ チ ノ サ イ ト の 増 殖 制 御 の 異 常 か ら 生 じ る 皮 膚 腫 瘍 で あ り , ヒ ト の 皮 膚 腫 瘍 の 約 70% を 占 め て い る . BCC に は ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る Patched1 遺 伝 子 の 変 異 が 報 告 さ れ て い る .BCC の 発 生 と 増 殖 に は ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 恒 常 的 活 性 化 ,特 に ,Smo 因 子 か ら 下 流 経 路 の 活 性 化 が 重 要 で あ る と さ れ て い る [2 0 ] .こ の ように,癌とヘッジホッグシグナル伝達経路の関係が明らかとなり,ヘッジホッ グシグナル伝達経路が異常亢進している癌において,シグナル伝達内の分子を標 的とすることで,シグナル伝達を阻害する治療薬の開発が行われている.これま での研究において,ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害する天然物として,ユ リ 根 の 成 分 で あ る cyclopamine( Fig. 6a)が 見 出 さ れ て お り ,Smo に 直 接 結 合 す る こ と で ,そ の 作 用 を 阻 害 し ,下 流 の シ グ ナ ル 伝 達 を 遮 断 す る [2 1 ] .cyclopamine は , in vitro で は ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 異 常 亢 進 し て い る 細 胞 増 殖 を 抑 制 し ,ま た in vivo で は そ の 腫 瘍 退 縮 を 引 き 起 こ し た .jervine( Fig. 6a)も cyclopamine と 同 様 に ,Smo に 作 用 し て , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 阻 害 す る 天 然 物 と し て 単 離 さ れ た 化 合 物 で あ る [2 2 ] .ま た ,2007 年 PNAS 誌 に ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 中 で も ,最 下 流 に 位 置 す る 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る ] 合 成 化 合 物( GANT61 お よ び GANT58)が 見 出 さ れ た [2 3 ( Fig. 7).現 在 ,英 国 Curis 社もヘッジホッグシグナル伝達経路を標的にした薬剤の研究開発を進めており, 8 序論 現 在 臨 床 段 階 の 薬 剤 も あ る ( Fig. 6b). 例 え ば , Cur-61414 は , aminoproline 誘 導 体 で ,Smo に 直 接 結 合 す る こ と で ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 阻 害 し , そ の EC 5 0 ( 50% Efficient Concentration) は , 100~ 200 nM で あ る [2 4 ] . 現 在 , Cur-61414 は ,BCC の 患 者 に 対 し ,Phase I 段 階 に お け る 臨 床 実 験 が 行 わ れ て い る .ま た ,Fig. 6b に 示 す よ う な 様 々 な ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 低 分 子 ア ン タ ゴ ニ ス ト が 報 告 さ れ て お り ,現 在 ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 阻 害 す る 薬 剤 の 研 究 , 開 発 が 盛 ん に 行 わ れ て い る [2 5 ] . HN H HN H O H O H O H H H H H H HO HO cyclopamine jervine Fig. 6a. Selective hedgehog pathway inhibitors from natural products O N Cl N N H N O N N O N N S NH NH2 N CN EtO N EtO SANT1 OEt MeO SANT2 Pent SANT3 SANT4 N F tBu O HN N N F3C NH NH Compound 5 NH N HN O N O O O Cl O Cl N O MeO O Compound Z Cur-61414 Fig. 6b. Selective hedgehog pathway inhibitors 9 O 序論 N O HO Smo Cos-2 Su(Fu) Fused Ptch cyclopamine Sm o Pt ch GLI GLI GLI Cos-2 GLI Hh HI P Su(Fu) Fused nucleus Oncogene expression GLI N N N N S N N N N GANT61 N GANT58 Fig.7. Hedgehog signaling pathway in a cancer cell and previously reported some selective hedgehog pathway inhibitors 本研究では,様々な癌細胞にて異常亢進しているヘッジホッグシグナル伝達経 路を遮断する阻害剤を得ることを目的とするが,特に標的分子をシグナル伝達最 下 流 に 位 置 す る 転 写 因 子 GLI と し ,こ れ ま で に 報 告 の あ る Smo ア ン タ ゴ ニ ス ト で はない新たなタイプのシグナル伝達阻害剤を提案することを目的とした.特に, す い 臓 癌 細 胞 株 PANC1 で は , Smo の 変 異 が 報 告 さ れ て お り , Smo よ り も 上 流 で シ グ ナ ル を 阻 害 す る 化 合 物 で は ,対 応 で き な い 可 能 性 が あ る .ま た ,cyclopamine は,正常細胞の発生段階に作用すると,単眼症を引き起こすことが知られている [2 6 ] .従 っ て ,シ グ ナ ル 伝 達 の 上 流 を 阻 害 す る の で は な く ,よ り 下 流 に て 作 用 す る 阻害剤を得る必要性があると考える. 本 研 究 で は ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 最 下 流 に 位 置 す る GLI に よ る 転 写活性を阻害する化合物を得ることを目的とした. 10 序論 変形菌について 変 形 菌( myxomycete)は ,別 名 真 性 粘 菌 と 呼 ば れ ,最 も 下 等 な 真 核 生 物 と し て 位置づけられており,生物五界説ではプロチスタ界に分類されている.変形菌の 生 活 環 ( lifecycle) を Fig. 8 に 示 す [2 7 ] . 変 形 菌 は , ユ ニ ー ク な 生 活 環 を も ち , 変 形体と呼ばれる栄養体が移動しつつ微生物を摂食する“動物的”性質を持ちなが ら,子実体を形成し,胞子により繁殖する“植物的”あるいは“菌類的”性質を あわせ持つ生物である.変形体の活動には湿り気が必要で,森林内に生存し,子 実体は朽ち木や枯葉の表面に存在する.森林に足を踏み入れる際には,足元に注 意したいものである. Fig. 8. Lifecycle of a myxomycete これまでの変形菌の成分に関する研究において,興味深い二次代謝産物が含ま れ て い る こ と が 明 ら か と な り つ つ あ る . 当 研 究 室 に て 変 形 菌 Fuligo cinerea よ り 単 離 さ れ た cycloanthranilylproline 誘 導 体 で あ る fuligocandin B [2 8 ] は , Hasegawa ら の 研 究 に よ り , 白 血 病 細 胞 に お い て 15d-PGJ 2 の 産 生 を 介 す る こ と で TRAIL 誘 導 ア ポ ー ト ー シ ス の 感 受 性 を 高 め る と 報 告 さ れ た [2 9 ] . ま た , arcyriaflavin C は , Arcyria 属 よ り 単 離 さ れ た ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 [3 0 ] で ,ヒ ト 培 養 癌 細 胞 パ ネ ル に よ る ス ク リ ー ニ ン グ に お い て ,arcyriaflavin C は ,脳 腫 瘍 細 胞 株 ,肺 癌 11 序論 細胞株で選択的に顕著な細胞毒性を示し,また,今までにないフィンガープリン ト パ タ ー ン を 示 し た こ と に よ り ,“ The most interesting” い う 評 価 が さ れ , 今 後 の 研 究 に 興 味 が 持 た れ る ( Fig. 9). このように変形菌の成分研究は,あまり報告例のないこと,またこれまでの成 分研究において,特異な骨格を有し,興味深い生物活性を有する化合物が単離さ れていることより,未知の化合物を発掘するのには適した材料である. O N H N O N H O HO N H NH O N H OH arcyriaflavin C fuligocanidn B Fig. 9. Chemical structures of fuligocandin B and arcyriaflavin C from myxomycetes 結語 以下本論において,ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害する天然物を探索す るため,目的と合致したアッセイ系の構築,シグナル伝達阻害化合物の同定およ び 天 然 資 源 か ら の 単 離 , 得 ら れ た 阻 害 化 合 物 の in vitro に お け る 評 価 と し て , 細 胞 を 用 い た mRNA レ ベ ル お よ び タ ン パ ク レ ベ ル で の 評 価 を 行 い ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グナル伝達経路を阻害する天然リード化合物を提案する. 第 一 章 で は , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る 転 写 因 子 GLI1 に よ る 転 写活性を阻害する化合物を得るためのアッセイ系の構築について述べ,第二章で は ,千 葉 大 学 大 学 院 薬 学 研 究 院 活 性 構 造 化 学 研 究 室 保 有 の 天 然 物 ラ イ ブ ラ リ ー( 天 然有機化合物,熱帯植物抽出物,放線菌抽出物)および依頼サンプル(生薬抽出 物 )の ス ク リ ー ニ ン グ に つ い て ,第 三 章 お よ び 第 四 章 で は ,GLI1 転 写 阻 害 成 分 の 単 離 , 構 造 解 析 に つ い て , 第 五 章 で は , 得 ら れ た GLI 転 写 阻 害 化 合 物 の in vitro における評価について述べる.また,未利用資源の天然物の探索の一環として, 第 六 章 お よ び 第 七 章 で は そ れ ぞ れ 変 形 菌 Lycogala epidendrum( マ メ ホ コ リ ) お よ び Fuligo aurea( ム シ ホ コ リ )の 野 外 採 取 子 実 体 よ り 得 た 化 合 物 に つ い て 述 べ る . 12 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 本 第一章 論 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 本 章 で は , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お い て , 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活性を阻害する化合物をスクリーニングするため,細胞を用いたレポーターアッ セイ系の構築について述べる.今回,本研究目的と合致した既存のアッセイ系は 市販されていないため,スクリーニングに適したアッセイ系を構築する必要があ った.そのアッセイ系の構築およびスクリーニングの際のプロトコル条件につい て検討を行ったことを述べる. 第一節 アッセイ系について ヘッジホッグシグナル伝達経路において,シグナル最下流に位置する転写因子 GLI を 標 的 と し , 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 に 影 響 を 与 え る 化 合 物 を 得 る た め の ア ッ セ イ 系 と し て , Fig. 1-1 に 示 す tetracycline-regulated system( Tet-On system) を組み合わせたレポーターアッセイ系を構築することにした. HaCaT cell (human keratinocytes) PCMV Tc AmpR pcDNA6/TR TetR BlaR PCMV 2´TetO2 AmpR pcDNA3.1-GLI1 GLI1 GLI binding site PuroR ZeoR pGL4-GLI BS AmpR Luciferase GLI1 GLI1 protein Fig. 1-1. Constructed cell-based reporter assay system of measuring GLI1-mediated transcriptional activity using T-REx system Tc, tetracycline; TetR, tetracycline repressor; TetO, tetracycline operator; CMV, cytomegalovirus promoter; GLI1, transcriptional factor of Hh/GLI signaling pathway 13 human 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 転 写 因 子 GLI1 を 選 ん だ 理 由 本 系 は , tetracycline-regulated system( T-REx system, Invitrogen) を 用 い , 転 写 因 子 GLI1 の 発 現 を tetracycline( Tc) に よ り 制 御 し , 転 写 因 子 GLI1 に よ る 転 写 活 性 をレポーター遺伝子であるルシフェラーゼにて測定する系である.ヘッジホッグ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る 転 写 因 子 ( GLI1, GLI2 お よ び GLI3) の 中 で も , GLI1 は 癌 遺 伝 子 の 一 つ と し て の 報 告 が あ る こ と か ら ,癌 治 療 薬 の 開 発 と い う 観 点 よ り , 標 的 と す る 転 写 因 子 を GLI1 に 選 ん だ . 分子標的型阻害剤を目指したアッセイ系 今回,ヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害する天然物の探索において,シグ ナ ル 伝 達 経 路“ 全 体 ”を 検 出 す る 系 で は な く ,転 写 因 子 GLI1 に よ る 転 写 活 性“ の み”を検出する系を提案した.シグナル伝達経路全体を検出する系では,ヘッジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 働 い て い る 細 胞( PANC1,DU145,C3H10T1/2 な ど )に GLI 結 合 領 域( GLI binding site)を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド( Fig. 1-3, pGL4-GLI BS)の み を 遺 伝 子 導 入 す れ ば ,細 胞 内 の シ グ ナ ル 伝 達 に よ る 内 在 性 の 転 写 因 子 GLI に て 転 写 活 性 は 測 定 で き る . し か し , pGL4-GLI BS の み が 導 入 さ れ た 細 胞 に お い て,レポーター活性を下げた化合物は,ヘッジホッグシグナル伝達経路の“どこ か ”を 阻 害 し た の で あ っ て ,GLI に よ る 転 写 を 阻 害 し た と は 言 え な い .つ ま り ,Smo の 阻 害 , あ る い は GLI の 核 内 移 行 の 阻 害 に よ っ て も , レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド 上 の GLI 結 合 領 域 に 結 合 す る GLI が 減 少 し , レ ポ ー タ ー 活 性 は 下 が る . 本 研 究 の 目 的 は ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 の 中 で も ,最 下 流 に 位 置 す る 転 写 因 子 GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る 化 合 物 の 探 索 で あ る た め , ア ッ セ イ 系 の 段 階 に て , GLI1 に よ る 転 写 活 性 の み を 検 出 で き る 系 を 構 築 し た .そ の た め ,細 胞 内 に 外 因 性 の GLI1 を 過 剰 発 現 さ せ る こ と に よ り ,そ の 過 剰 発 現 し た GLI1 に よ る 転 写 活 性 の 増 加 を レ ポータープラスミドにて検出する方法とした. Tet-On シ ス テ ム を 用 い た 理 由 外 因 性 GLI1 は , そ の プ ロ モ ー タ ー 領 域 に CMV を 有 す る 発 現 プ ラ ス ミ ド に て 過 剰 発 現 す れ ば よ い が ,ア ッ セ イ を 行 う 時 の テ ス ト サ ン プ ル が GLI1 を 発 現 す る CMV プ ロ モ ー タ ー を 阻 害 し て し ま う と ,本 来 誘 導 さ れ る 外 因 性 GLI1 の 発 現 量 が 減 少 し てしまい,見かけ上の転写阻害が観測されてしまう.そのために,テストサンプ ル を 処 理 し て い る 間 は ,GLI1 を 発 現 す る コ ン ス ト ラ ク ト( pcDNA3.1-GLI1)の CMV プ ロ モ ー タ ー を 不 活 性 化 さ せ て ,外 因 性 GLI1 の 誘 導 を 止 め る べ き で あ る .そ こ で , 外 因 性 GLI1 を 発 現 す る シ ス テ ム に , 発 現 の On/Off が 制 御 で き る Tet-On シ ス テ ム ( Invitrogen で は 別 名 T-REx シ ス テ ム ) を 用 い る こ と に し た . 14 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 Tet-On( T-REx) シ ス テ ム に つ い て Tet-On シ ス テ ム は ,tetracycline( Tc)に よ り 発 現 コ ン ス ト ラ ク ト の 発 現 を 制 御 で き る シ ス テ ム で あ る . す な わ ち , Tc を 添 加 し た 場 合 , 発 現 コ ン ス ト ラ ク ト の プ ロ モ ー タ ー 領 域 に あ る 2×Tet オ ペ ロ ン に 結 合 し て い る TetR( Tetracycline Repressor) と 相 互 作 用 を 起 こ し , TetR が 外 れ て 下 流 の 遺 伝 子 発 現 が 活 性 化 す る ( Fig. 1-2). Tc を 取 り 除 け ば ,再 び TetR が TetO2 に 結 合 し ,下 流 の 遺 伝 子 発 現 を 抑 制 す る こ と が で き , Tc に よ り 発 現 さ せ た い 時 期 や 量 を 調 節 で き る . normal addition of Tc Tc Tc TetR TetR transcription TetR TetR CMV prom 2´TetO2 transcription gene CMV prom 2´TetO2 gene Fig. 1-2. T-REx system ア ッ セ イ 系 の 説 明 ( Fig. 1-1) 細 胞 内 に は , TetR を 誘 導 す る pcDNA6/TR, TetR に よ り GLI1 の 発 現 が 制 御 さ れ て い る pcDNA3.1-GLI1, お よ び GLI 結 合 領 域 を 有 し , 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 を ル シ フ ェ ラ ー ゼ に よ り 検 出 で き る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド pGL4-GLI BS が 安 定 発現導入されている. 通 常 は , pcDNA6/TR に よ り 誘 導 さ れ た TetR が pcDNA3.1-GLI1 の TetO2 に 結 合 し ,転 写 因 子 GLI1 の 発 現 を 抑 制 し て い る .こ の 状 態 で は , 内 在 性 の 転 写 因 子 GLI によりルシフェラーゼが発現しているが,その発現量はわずかである. Tc を 添 加 す る こ と で , TetR に 作 用 し , 構 造 変 化 を 起 こ す こ と で , TetR が TetO2 か ら 外 れ ,pcDNA3.1-GLI1 の CMV プ ロ モ ー タ ー が 活 性 化 さ れ ,下 流 の 遺 伝 子 で あ る 転 写 因 子 GLI1 の 発 現 が 誘 導 さ れ る . 過 剰 発 現 し た 外 因 性 GLI1 は , レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド 上 に あ る GLI 結 合 領 域 に 結 合 す る こ と で 転 写 が 始 ま る が , 下 流 に は レ ポ ー タ ー 遺 伝 子 で あ る ル シ フ ェ ラ ー ゼ が コ ー ド さ れ て お り , GLI1 の 転 写 活 性 に よ り誘導されたルシフェラーゼが細胞内に蓄積する.細胞を溶解後,ルシフェラー ゼ の 基 質 で あ る ル シ フ ェ リ ン を 添 加 す る と , ル シ フ ェ ラ ー ゼ /ル シ フ ェ リ ン 反 応 に よ る 化 学 発 光 が 生 じ , そ の 化 学 発 光 量 を ル ミ ノ メ ー タ ー で 測 定 す る こ と で , GLI1 による転写活性を定量する. 本アッセイ系の特徴 15 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 1) T-REx system に よ り ,tetracycline( Tc)の 添 加 に よ り 外 因 性 の GLI1 の 発 現 を 制 御 で き る た め ,必 要 な 時 に 必 要 な 量 の GLI1 を ア ッ セ イ 細 胞 に 発 現 さ せ る こ と が で き る .細 胞 を 継 代 し な が ら 維 持 す る 場 合 ,細 胞 に は 不 必 要 な 外 因 性 GLI1 の 発 現をとめておくことができる. 2) ヒ ト 正 常 皮 膚 細 胞 ( HaCaT 細 胞 ) を 用 い て い る た め , ア ッ セ イ を 行 っ た 時 に , 正 常 細 胞 の 生 存 に 影 響 を 与 え ず GLI1 に よ る 転 写 活 性 に 影 響 を 与 え る サ ン プ ル を得ることができる. 3) レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド に Promega 改 良 型 pGL4 を 用 い た こ と と ,GLI binding site が 直 列 に 12 個 つ な が っ た プ ロ モ ー タ ー を 用 い た こ と か ら ,感 度 の 向 上 に 成 功 し , 96-well plate で の ア ッ セ イ が 可 能 で あ る .ま た ,測 定 に 用 い る 試 薬 量( 細 胞 溶 解 液,ルシフェリン試薬など)を節約することができる. 16 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 第二節 pGL4-GLI BS の 作 成 多数のサンプルのスクリーニングを行うにあたり,アッセイ系の感度を上げる こ と は 重 要 で あ る . Promega 社 よ り 新 た に 開 発 さ れ た レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド pGL4 に , GLI binding site を 有 す る 領 域 を 組 み 込 む こ と に し た . 転 写 因 子 GLI( GLI1, GLI2 お よ び GLI3) は , 同 じ DNA 配 列 ( -GACCACCCA-) を 認 識 し て 結 合 す る こ と が 知 ら れ て い る [ 5 6 ] . 今 回 , こ の GLI 認 識 配 列 -GACCACCCA-を プ ロ モ ー タ ー 領 域 に 組 み 込 ん だ レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド を 作 成 し た ( Fig. 1-3) Luciferase TK prom PuroR 12 ´ GLI binding site Fig. 1-3. Constructed reporter plasmid having 12´GLI binding sites and a TK promoter (pGL4-GLI BS plasmid) Dr. Rune Toftgård 氏( Karolinska Institutet, Sweden)よ り 譲 与 頂 い た 12GLI-RE-TKO プ ラ ス ミ ド は ,12 個 の GLI 結 合 領 域( 12×GACCACCCA)お よ び TK( tymidine kinase) プロモーターを有し,ルシフェラーゼをレポーター遺伝子に持つプラスミドであ る [3 1 ] . し か し , ル シ フ ェ ラ ー ゼ /ル シ フ ェ リ ン 反 応 に よ る 化 学 発 光 量 の 感 度 が 悪 い と い う 問 題 点 が あ っ た た め ,GLI 結 合 領 域 を 有 す る プ ロ モ ー タ ー 領 域 を pGL4 に 組 み 換 え る 操 作 を 行 っ た ( Fig. 1-4). 12GLI-RE-TKO plasmid の DNA 配 列 情 報 が な か っ た た め ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 遺 伝 子 中の配列の一部をプライマーに選び,プロモーター領域のシークエンス解析を行 っ た . そ の 後 , 12GLI-RE-TKO plasmid に 存 在 す る GLI 結 合 領 域 と TK プ ロ モ ー タ ー 領 域 ( 449 bp) を PCR に て 増 幅 し た . プ ラ イ マ ー に は , Nhe I( forward) と Bgl II( reverse)の 制 限 酵 素 サ イ ト を 付 加 し た .PCR に よ る 増 幅 後 ,pGL4.20 [luc2/Puro] の マ ル チ ク ロ ー ニ ン グ サ イ ト( MCS)に 挿 入 し ,GLI 結 合 領 域 を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド ( Fig. 1-3, pGL4-GLI BS plasmid) を 作 成 し た . 17 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 M PCR amplification GACCACCCA Luciferase TK prom 12GLI-RE-TKO plasmid 12 ´ GLI binding site Nhe I I 500 insert (449 bp) from Dr. Rune Toftgård M; 50bp DNA ladder I; insert (449 bp) Bgl II insert (449 bp) by PCR amplification Ligation pGL4.20 [luc2/Puro] (Promega) Luc2 PuroR MCS Nhe I Bgl II Fig. 1-4. PCR amplification of insert (449 bp) and ligation of 12´GLI binding site region into pGL4 作 成 し た レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド を , Tc に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 が 制 御 さ れ て い る 細 胞( HaCaT-GLI1)[3 2 ] に 一 過 性 遺 伝 子 導 入 し ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ ア ッ セ イ と GLI1 の Western blotting を 行 っ た 結 果 , Tc 添 加 に よ り 外 因 性 GLI1 の 増 加 に 伴 う ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 上 昇 を 認 め た ( Fig. 1-5). こ れ は , Tc を 添 加 し て い な い 状 態 , す な わ ち 外 因 性 GLI1 が 発 現 し て い な い 状 態 と 比 較 し て ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 が 12.3 倍 増 加 し た .つ ま り ,Tc を 添 加 す る こ と に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 が 誘 導 し ,構 築 し た レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド ( pGL4-GLI BS) に て , 過 剰 発 現 し た GLI1 に よ る 転 写 活 性 の 増 加 を 検 出 で き た . 構 築 し た pGL4-GLI BS の プ ロ モ ー タ ー 領 域 の 配 列 は , シ ー ク エ ン ス に よ り 確 認 し た( Figs. 1-6 お よ び 1-7).Tc に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 が 制 御 さ れ て い る 細 胞( HaCaT-GLI1)は ,Dr. Fritz Aberger 氏( University of Salzburg) Luciferase activity (RLU) よ り 譲 与 い た だ い た [3 2 ] .細 胞 は ,ヒ ト 表 皮 正 常 細 胞 株( HaCaT cell line)を 用 い た . 12.312.3-fold +Tc –Tc GLI1 150kDa b-actin Fig. 1-5. Increase of the luciferase activity with overexpression of exogeneous GLI1 protein by Tc addition 18 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 Fig. 1-6. DNA sequences of pGL4-GLI BS promoter region 19 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 5’-TCAGTGCAGGTGCCAGAACATTTCTCTGGCCTAACTGGCCGGTACCTGAGCTC[ GCTAGC TCATGTCTGGATCCAAGCTCA Nhe I GATCCAAGCTTATCGATACCGTCGAG TGGGTGGTCTGGGTGGTCTGGGTGGTCTGGGTGGTCGAGTGGGTGGTCTGGGTG GTCTGGGTGGTCTGGGTGGTCGAGTGGGTGGTCTGGGTGGTCTGGGTGGTCTGGGTGGTC GACCTCGAGATCCGGCAAAC 1 2´ G L I b i n d i n g s i t e s CCCGCCCAGCGTCTTGTCATTGGCGAATTCGAACACGCAGATGCAGTCGGGGCGGCGCGGTCCGAGGTCCACTTCGCATA TTAAGGTGACGCGTGTGGCCTCGAACACCGAGCGACCCTGCAGCGACCCGCTTAACAGCGTCAACAGCGTGCCGC AGATCT] Bgl II GGCCTCGGCGGCCAAGCTTGGCAATCCGGTACTGTTGGTAAAGCCACC [ATGGAAGATGCCAAAAACATTAAGAAGGGCC Luciferase gene CAGCGCCATTCTACCCACTCGAAGACGGGACCGCCGGCGAGCAGCTGCACAAAGCCATGAAGCGCTACGCCCTGGTGCCC GGCACCATCGCCTTTACCGACGCACATATCGAGGTGGACATTACCTACGCCGAGTACTTCGAGATGAGCGTTCGGCTGGC Fig. 1-7. Sequence of pGL4-GLI BS promoter region 20 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 第三節 HaCaT-GLI1-luc 細 胞 の 樹 立 大量のサンプルを簡便にスクリーニングできるように,得られたレポータープ ラ ス ミ ド ( pGL4-GLI BS) を tetracycline( Tc) に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 が 制 御 さ れ て い る 細 胞 ( HaCaT-GLI1) [ 3 2 ] に 安 定 発 現 さ せ る た め に , puromycin 耐 性 遺 伝 子 が 組 み 込 ま れ て い る pGL4-GLI BS( Fig. 1-3)を HaCaT-GLI1 細 胞 に 遺 伝 子 導 入 し , puromycin に よ る セ レ ク シ ョ ン を 行 っ た . HaCaT-GLI1 細 胞 を 6 cm dish に 播 種 し ,翌 日 pGL4-GLI BS を Lipofectamine 2000 ( Invitrogen)を 用 い て 遺 伝 子 導 入 し た .2 日 後 ,10 cm dish に 継 代 し ,そ の 翌 日 に 終 濃 度 1 mg/mL の puromycin を 添 加 し ,セ レ ク シ ョ ン に か け た .同 時 に ,blasticidin ( pcDNA6/TR resistant) お よ び zeocin( pcDNA3.1-GLI1 resistant) も 添 加 し , 3 つ の プ ラ ス ミ ド に 対 し て セ レ ク シ ョ ン を 行 っ た .10 cm dish 中 に ク ロ ー ン( コ ロ ニ ー ) が 形 成 し た 後 , そ れ ぞ れ の ク ロ ー ン 細 胞 を 24-well plate に 移 し , 46 の ト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト を 得 た . そ れ ぞ れ を 個 別 に 培 養 し , 生 育 が よ い も の に つ い て , Tc 添 加 も し く は 非 添 加 状 態 に て ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 を 行 っ た .最 終 的 に ,Clone# 2 に つ い て , Tc を 添 加 し た 時 の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 に よ る 発 光 量 が 高 い こ と , ま た +Tc/−Tc の 比 が 大 き い こ と よ り , 目 的 と し て い た ア ッ セ イ 細 胞 ( HaCaT-GLI1-luc) と し た .Clone# 2 は ,Tc 添 加 に よ る 外 因 性 GLI1 の 発 現 を 確 認 し ,そ れ に 伴 う ル シ フ ェ ラ ー ゼ の 誘 導 の 増 加 を 確 認 し ,そ の 比( +Tc/−Tc)は ,9.3 倍 で あ っ た( Fig. 1-8). transfect seed cells 5´105cells Day 1 pGL4-GLI BS transfer Lipofectamine 2000 to 10cm dish Day 2 Day 4 add puromycin 1 mg/mL of Puro Day 5 Luciferase activity (RLU) clone# 2 9.39.3-fold +Tc –Tc GLI1 150kDa b-actin Fig. 1-8. Procedure of a stable cell line construction of HaCaT-GLI-luc cell and increase of the luciferase activity with overexpression of exogeneous GLI1 protein. 21 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 第四節 アッセイ法の確立 目 的 と し て い た ア ッ セ イ 細 胞( HaCaT-GLI1-luc)の 樹 立 に 成 功 し た の で ,得 ら れ た ア ッ セ イ 細 胞 に て , GLI1 転 写 阻 害 活 性 サ ン プ ル を 得 る た め の 最 適 化 条 件 の 検 討 を行った. 1) Tetracycline( Tc) の 濃 度 T-REx system( Invitrogen) に お い て tetracycline の 濃 度 は , 終 濃 度 が 1 mg/mL に な る よ う に 推 奨 さ れ て い る . Tc に よ る GLI1 発 現 の 最 適 化 を 行 う た め に , Tc の 濃 度 変 化 に 対 す る ル シ フ ェ ラ ー ゼ 誘 導 の 変 化 を 確 認 し た .そ の 結 果 ,終 濃 度 が 0.1 mg/mL で ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 誘 導 が 起 こ り ,10 mg/mL ま で ル シ フ ェ ラ ー ゼ の 活 性 化 に 変 化 が な い こ と が 判 明 し た ( Fig. 1-9). 従 っ て , T-REx system 推 奨 の 1 mg/mL の tetracycline を 用 い る こ と に し た . Luciferase activity (RLU) 200 150 100 50 0 0 0.1 0.5 1 2 5 10 mg/mL Fig. 1-9. Luciferase activity with different concentrations of tetracycline (final concentration) 2) 細 胞 数 ア ッ セ イ に 用 い る 細 胞 数 を 検 討 す る た め ,24-well plate で 2´10 4 ,5´10 4 ,1´10 5 お よ び 2´10 5 細 胞 で , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 を 経 時 的 に 行 っ た . tetracycline を 添 加 し た 場 合 ( +Tc) と 添 加 し な い 場 合 ( −Tc) の 比 を Fig. 1-10 に 示 す . そ の 結 果 , 2´10 4 , 5´10 4 お よ び 1´10 5 細 胞 で , +Tc/−Tc の 値 に 同 じ 傾 向 が 観 察 さ れ , 22 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 24 時 間 後 ,そ の 比( +Tc/−Tc)は 約 10 倍 を 示 し た .96-well plate に て 活 性 評 価 を 行 う た め の 細 胞 数 と し て ,2´10 4 細 胞 と し ,こ の 条 件 で ル シ フ ェ ラ ー ゼ /ル シ フ ェ リ ン 反 応 に よ る 十 分 な 発 光 量 が 見 ら れ た こ と ,ま た +Tc/−Tc の 値 が 約 10 倍 を 示 し た こ と よ り , 96-well plate で の ア ッ セ イ が 可 能 と 判 断 し た . Ratio of Luciferase activity (+Tc/-Tc) 30 25 20 15 2´10 4 5´10 4 1´10 5 2´10 5 10 5 0 6 12 24 30 36 hr. Fig. 1-10. Ratio of luciferase activity (+Tc/-Tc) of each cell number 3) GLI1 誘 導 の 時 間 tetracycline( Tc) 添 加 に よ る 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク の 誘 導 を 確 認 す る た め , Tc を 添 加 後 ,6,12 お よ び 18 時 間 後 の ア ッ セ イ 細 胞 内 の GLI1 タ ン パ ク 量 を Western blotting に よ り 確 認 し た . 外 因 性 GLI1 は Tc 添 加 後 6 時 間 で 誘 導 し て お り , そ の 後 の GLI1 タ ン パ ク 量 の 増 加 傾 向 は な く ,ほ ぼ 飽 和 に 達 す る こ と が 判 明 し た( Fig. 1-11). 従 っ て , Tc 添 加 に よ る 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク の 発 現 時 間 は , 12 時 間 と 決 定した. 0 6 12 18 h 150kDa GLI1 b-actin Fig. 1-11. Exogenous GLI1 expression by addition of tetracycline 4) tetracycline に よ る luciferase 誘 導 23 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 tetracycline( Tc) 添 加 後 , 6 時 間 で 外 因 性 GLI1 の タ ン パ ク 発 現 が 観 察 さ れ る こ と が 判 明 し た の で ,外 因 性 GLI1 の 増 加 に 伴 う ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 増 加 を 時 間 と と も に 確 認 し た .ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 は ,6,12,18,24,30 お よ び 48 時 間 と し , 細 胞 当 り の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 測 定 す る た め に , 1´10 5 cells と 統 一 し た . ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 は , Tc 添 加 後 , 時 間 と と も に 増 加 す る が , Tc を 添 加 し て か ら 24 時 間 付 近 よ り 飽 和 に 達 す る ( Fig. 1-12). 従 っ て , 活 性 評 価 は , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 が 上 昇 し て い る 間 , す な わ ち , 24 時 間 ま で に 行 う 必 要 が あ ると結論付けた. 250 Luciferase activity (RLU) 200 150 +Tc -Tc 100 50 0 6 12 18 24 30 48 hr. Fig. 1-12. Time-dependently increase of luciferase activity per 1´10 5 cells 5) GLI1 を 発 現 す る プ ラ ス ミ ド 上 の CMV の 影 響 外 因 性 GLI1 は , tetracycline( Tc) の 添 加 に よ り , pcDNA3.1-GLI1 プ ラ ス ミ ド 上 の TetR が は ず れ ,CMV プ ロ モ ー タ ー( cytomegalovirus promoter)の 活 性 化 に に よ り 発 現 誘 導 す る . そ の た め , CMV プ ロ モ ー タ ー を テ ス ト サ ン プ ル が 阻 害 し て し ま う と , 本 来 誘 導 さ れ る べ く 外 因 性 GLI1 の 量 が 減 少 し て し ま い , GLI1 に よ る 転 写 を 阻 害 し て い な い の に も 関 わ ら ず ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 誘 導 が 減 少 し ,見 か け上の阻害が観測されてしまう. Fig. 1-13 に , Tc に よ る GLI1 誘 導 と サ ン プ ル 処 理 を 同 時 に 行 っ た 実 験 を 示 す . 今 回 擬 陽 性 と し て 見 出 し た kaempferol お よ び naringenin は ,本 ア ッ セ イ 系 に て ル シフェラーゼ活性の減少を認めた. ( kaempferol:Luc, 44 %; Viab., 96% at 1 mg/mL, 24 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 naringenin: Luc, 45 %; Viab., 98% at 50 mg/mL) し か し , 細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 量 を Western blotting に て 調 べ た 結 果 , そ の 発 現 が 抑 え ら れ て い る こ と が 判 明 し た( Fig. 1-13).ま た ,CMV を プ ロ モ ー タ ー に 持 ち ,下 流 に ル シ フ ェ ラ ー ゼ 遺 伝 子 を コ ー ド し た プ ラ ス ミ ド ( pCMV-luc plasmid ) を 一 過 性 導 入 し , kaempferol を 作 用 さ せ た と こ ろ , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 減 少 を 認 め ( Luciferase activity, 11% at 10 mg/mL),こ れ ら 化 合 物 が CMV の プ ロ モ ー タ ー 活 性 を 阻 害 す る こ と が 判 明 し た .従 っ て ,kaempferol お よ び naringenin の 作 用 は ,pcDNA3.1-GLI1 プ ラ ス ミ ド 上 に 存 在 す る CMV プ ロ モ ー タ ー を 阻 害 す る こ と で 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク の 発 現 を 抑 制 し ,細 胞 内 に 存 在 す る 外 因 性 GLI1 を 減 少 さ せ た こ と に よ る ル シフェラーゼ誘導の抑制である結論づけた. kaempferol Tc – – + – + + 150kDa GLI1 b-actin OH HO OH HO O O OH OH O OH O kaempferol naringenin Fig. 1-13. Decrease of exogenous GLI1 protein by inhibiting CMV promoter. Chemical structures of kaempferol and naringenin which were inhibitors of CMV promoter activity. 25 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 以 上 の こ と よ り , テ ス ト サ ン プ ル を 処 理 す る 間 は , CMV プ ロ モ ー タ ー に よ る 影 響 を な く す た め ,Tc を 取 り 除 き CMV プ ロ モ ー タ ー を 不 活 性 化 さ せ る 必 要 が あ る . 本 ア ッ セ イ 系 は , T-REx system を 用 い て い る の で , Tc を 取 り 除 く こ と で , CMV を 不 活 性 化 で き る .Fig. 1-14 に 示 す 手 順 ,す な わ ち Tc を 12 時 間 作 用 さ せ た 後 ,一 方 は Tc を 取 り 除 き ,も う 一 方 は ,続 け て Tc を 添 加 す る 実 験 を 行 っ た と こ ろ ,Tc を 加 え 続 け る こ と で 外 因 性 GLI1 が 発 現 し 続 け ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ の 経 時 的 な 活 性 増 加 が 見 ら れ る が ,Tc を 取 り 除 く こ と で ,CMV プ ロ モ ー タ ー の 不 活 性 化 に よ り ,外 因 性 GLI1 の 発 現 が 止 ま り ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 誘 導 の 上 昇 が 鈍 く な り , CMV に よ る 影 響 が 抑 え ら れ る こ と が 判 明 し た . 従 っ て , Tc 添 加 に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 誘 導 を 行 い , Tc を 取 り 除 い た 後 , テ ス ト サ ン プ ル を 処 理 す る こ と で ,テ ス ト サ ン プ ル に よ る CMV プ ロ モ ー タ ー へ の影響を排除することができるとした. removal of Tc add Tc - 12 h --GLI1 expression-- non-removal of Tc 0h 6h 12 h 24 h 30 h Luciferase activity (RLU) 800 600 400 200 0 6 12 24 30 Fig. 1-14. Protocol and luciferase activity after removal of Tc or non-removal of Tc. 26 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 6) 決 定 し た プ ロ ト コ ル 以 上 の 検 討 に よ り ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る 転 写 因 子 GLI1 に よる転写活性を阻害するサンプルをスクリーニングするためのアッセイプロト コルとして,以下の様に決定した. Day 1 21:00 HaCaT-GLI1-luc 細 胞 の 播 種 2´10 4 cells/well in white 96-well plate for luciferase assay 2´10 4 cells/well in black 96-well plate for FMCA Day 2 Day 3 9:00 tetracycline( final conc. 1 mg/mL) の 添 加 21:00 テ ス ト サ ン プ ル の 添 加 ( Tc は 取 り 除 く ) 9:00 Luciferase assay お よ び FMCA ル シ フ ェ ラ ー ゼ ア ッ セ イ を 行 っ た 際 , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 減 少 は , GLI1 に よ る転写活性を阻害した場合と,テストサンプルの細胞毒性で細胞が死滅する場合 がある.それらを区別するため,ルシフェラーゼアッセイと同時に細胞毒性試験 ( FMCA : Fluorometric Microculture Cytotoxic Assay) [3 3 ] の 手 法 を 用 い て 細 胞 の 生 存 率を確かめることにした. 高 い 細 胞 生 存 率 を 示 し ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 下 げ た サ ン プ ル を“ 陽 性 ”と 判 定 し , GLI1 転 写 阻 害 サ ン プ ル と し た ( Fig. 1-15). % Cell viability Luciferase activity 100 50 0 sample – + + Positive Negative Fig. 1-15. The positive sample of GLI1-mediated transcriptional inhibitory activity 27 第一章 ヘッジホッグシグナル伝達経路を標的としたアッセイ系の構築 第五節 小括 本章では,ヘッジホッグシグナル伝達経路において,シグナル最下流に位置す る 転 写 因 子 GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る サ ン プ ル を 得 る た め に ,細 胞 を 用 い た レポーターアッセイを構築した.分子標的治療薬のリード化合物探索を目指し, ヘッジホッグシグナル伝達経路全体を測定するアッセイ系ではなく,転写因子 GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 特 異 的 に 測 定 す る ア ッ セ イ 系 と し た . ア ッ セ イ 系 に は , T-REx シ ス テ ム( Tetracycline-Regulated Expression system)を 採 用 し ,外 因 性 の GLI1 を 過 剰 に 発 現 さ せ ,GLI binding site を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド に て GLI1 の 転 写 活 性 を 測 定 す る . そ れ ぞ れ が 安 定 発 現 し て い る 細 胞 HaCaT-GLI1-luc( HaCaT 細 胞;ヒト正常皮膚細胞)を作成し,目的のアッセイ細胞の樹立に成功した. 樹立したアッセイ細胞を用いて,スクリーニングを行うためのプロトコルの条 件 検 討 を 行 っ た .細 胞 数 ,tetracycline の 濃 度 お よ び 作 用 時 間( GLI1 発 現 時 間 ),サ ンプルの作用時間等を検討し,以下の条件を決定した.また,同時に細胞毒性試 験 法( FMCA)を 用 い て 細 胞 生 存 率 を 調 べ ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 下 げ ,細 胞 生 存 率 の 高 い サ ン プ ル を GLI1 転 写 阻 害 サ ン プ ル と 判 定 し た . Day 1 21:00 HaCaT-GLI1-luc 細 胞 の 播 種 2´10 4 cells/well in white 96-well plate for luciferase assay 2´10 4 cells/well in black 96-well plate for FMCA Day 2 Day 3 9:00 tetracycline( final conc. 1 mg/mL) の 添 加 21:00 テ ス ト サ ン プ ル の 添 加 ( Tc は 取 り 除 く ) 9:00 Luciferase assay お よ び FMCA 28 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 本章では,第一章にて構築したアッセイ系を用いて,千葉大学大学院薬学研究 院活性構造化学研究室保有の天然物ライブラリー(天然有機化合物,熱帯植物抽 出物および放線菌抽出物)および会社依頼サンプル(生薬抽出物)についてスク リ ー ニ ン グ を 行 っ た こ と を 述 べ る .細 胞 生 存 率 が 高 く ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性( GLI1 転 写 活 性 ) が 低 い も の を “陽 性 ”と 判 定 し , GLI1 転 写 阻 害 サ ン プ ル と し た . 第一節 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( KKC) の ス ク リ ー ニ ン グ 当 研 究 室 保 有 の 天 然 有 機 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( 92 種 ) に つ い て , 25 mg/mL お よ び 2.5 mg/mL の 2 点 濃 度 に て ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た .当 研 究 室 保 有 の 天 然 有 機 化 合 物 に は ,terpenoids, flavonoids, bisindole alkaloids な ど が あ り ,熱 帯 植 物 ,海 洋 植 物および変形菌より得られた天然化合物が含まれている. 本 ス ク リ ー ニ ン グ に て ,活 性 を 示 し た 化 合 物 を ,Figs. 2-1 お よ び 2-3 に 示 す .全 て の 天 然 有 機 化 合 物 の ス ク リ ー ニ ン グ 結 果 は Table 2-1 に 示 す . 1) sesquiterpenes zerumbone( 1) [3 4 ] お よ び zerumbone epoxide( 2) [3 5 ] は , 当 研 究 室 の S. K. Sadhu 博 士 に よ り ,Zingiber spectabilie よ り 単 離 さ れ た 化 合 物 で あ る [ 3 6 ] .そ の 他 ,zerumbone の 誘 導 体 と し て , humulene( 3) [3 7 ] , buddledone A( 4) [3 8 ] , humulene epoxide III ( 5) [ 3 9 ] , 6-methoxy-2E,9E-humuladien-8-one( 6) [ 4 0 ] , humulene epoxide II( 7) [ 4 1 ] お よ び humulene 2,3;6,7 diepoxide( 8)[4 2 ] を 単 離 し て い る( Fig. 2-2).zerumbone( 1) お よ び zerumbone epoxide( 2)は ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た が( Fig. 2-1),化 合 物 3~ 8 は 25 mg/mL の 濃 度 で GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 さ な か っ た . 29 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 8 9 7 6 10 2 3 1 % % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 0.73 H 2 O 3 2 1.5 3.0 6.0 11.4 23.0 mM % % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 Cell viability GLI1 transcriptional activity O Cell viability GLI1 transcriptional activity O 0 2.3 5.6 10.7 21.3 42.7 85.4 170 mM Fig. 2-1. Chemical structures of 1 and 2, and their GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability at each concentration O 8 H 7 O 6 H 3 5 4 O 7 7 OMe 6 6 H 7 6 O O HH O 6 7 8 Fig. 2-2. Chemical structures of 3-8 which were inactive to GLI1-mediated transcriptional inhibitory activity at 25 mg/mL 30 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 2) bisindole alkaloids ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 は ,変 形 菌 よ り 得 ら れ た 化 合 物 で ,staurosporinone( 9)[4 3 , 7 7 ] , 6-hydroxystaurosporinone ( 10 ) [ 4 3 ] お よ び 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A ( 12 ) [4 3 ] は Lycogala epidendrum( マ メ ホ コ リ ) の 野 外 採 取 子 実 体 よ り 単 離 さ れ た 化 合 物 で , arcyriaflavin C( 11)[3 0 ] は ,Arcyria 属 の 野 外 採 取 子 実 体 よ り 得 ら れ た 化 合 物 で あ る . ま た , L. epidendrum よ り 単 離 さ れ た ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 で , C2-C2'の 結 合 が な い 化 合 物 lycogarubin C( 13) [4 4 ] ,lycogarubin B( 14) [4 4 ] ,lycogaric acid A( 15) [4 5 ] お よ び lycogarubic acid methylester( 16) [4 6 ] は 25 mg/mL の 濃 度 に て GLI1 転 写 阻 害 N H 9 O HO N H N H % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 0.25 0.51 1.0 2.3 4.2 8.0 16.0 % mM % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 1.2 10 2.4 4.8 9.5 19.3 Cell viability H N % Cell viability N H GLI1 transcriptional activity H N O GLI1 transcriptional activity 活性を示さなかった. mM Fig. 2-3a. Chemical structures of 9 and 10, and their GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability at each concentration 31 H N O N H OH N H % 100 75 75 50 50 25 25 1.5 O HO HO N H N H 3.1 6.3 12.5 25 50 100 % mM % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 12 Cell viability GLI1 transcriptional activity O 0 0 11 H N % 100 Cell viability HO O GLI1 transcriptional activity 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 2.2 4.5 8.7 17.6 mM Fig. 2-3b. Chemical structures of 11 and 12, and their GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability at each concentration MeOOC H N H N ROOC COOMe COOH R N H 13 N H N H R=H 14 R=OH N H 15 R=H 16 R=Me Fig. 2-4. Chemical structures of 13-16 which were inactive to GLI1-mediated transcriptional inhibitory activity at 25 mg/mL 32 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 第二節 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( KKP) の ス ク リ ー ニ ン グ 当 研 究 室 保 有 の タ イ 産 熱 帯 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( 192 種 ) に つ い て , 100 mg/mL, 50 mg/mL お よ び 10 mg/mL の 濃 度 に て GLI1 転 写 阻 害 ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た 結 果 , 15 種 の サ ン プ ル に , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 認 め た ( Fig. 2-5). 詳 細 な ス 120 % 120 % 100 75 75 50 50 25 25 0 0 KK P0 01 0 KK P0 05 8 KK P0 07 3 KK P0 09 3 KK P0 09 8 KK P0 09 9 KK P0 10 5 KK P0 14 8 KK P0 15 2 KK P0 15 7 KK P0 16 8 KK P0 17 0 KK P0 18 5 KK P0 18 8 KK P0 20 0 100 Cell viability GLI1 transcriptional activity ク リ ー ニ ン グ 結 果 は , Table 2-2 に 示 す . ■; 100 mg/mL GLI1 transcriptional activity, ■; 100 mg/mL Cell viability ■; 50 mg/mL GLI1 transcriptional activity, ■; 50 mg/mL Cell viability Fig. 2-5. Hit samples from plant extracts library 第三節 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( CKK) の ス ク リ ー ニ ン グ 当 研 究 室 に て 独 自 に 採 集 し た 放 線 菌 の 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( 180 種 ) に つ い て , 100 mg/mL お よ び 50 mg/mL の 2 点 濃 度 に て ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た . 細 胞 毒 性 を 示 し た サ ン プ ル に つ い て は ,25 mg/mL お よ び 10 mg/mL の 濃 度 に て 再 度 検 討 を 行 っ た . そ の 結 果 を Table 2-3 に 示 す . 第四節 依 頼 サ ン プ ル ( ich) の ス ク リ ー ニ ン グ 共 同 研 究 会 社 に て 構 築 さ れ た 生 薬 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( 252 種 ) に つ い て , 50 mg/mL お よ び 25 mg/mL の 2 点 濃 度 に て ス ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た . 細 胞 毒 性 を 示 し た サ ン プ ル に つ い て は , 10 mg/mL お よ び 1 mg/mL の 濃 度 に て 再 度 検 討 を 行 っ た . そ の 結 果 を Table 2-4 に 示 す . 33 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング Table 2-1. Screening of natural products library at 25 mg/mL and 2.5 mg/mL GLI1, GLI1-mediated transcriptional activity; Viab., cell viability KKC 化合物名 1 2 3 4 5 6 7 8 parviflorene A parviflorene B parviflorene D 4’-methoxy-taxifolin 7,4’-dimethoxy-taxifolin diphlorethohydroxycarmalol cryptomeridiol 5’-methoxynobiletin 23S,25R,5α-spirostane-3β,6α,23β-triol 3,6-di-O-glucopyranoside furcreastatin lindbladione (FC-1) 4-aminobenzotryptophan lycogarubin C lycogarubin B staurosporinone LE-5 lycogaric acid A arcyriaflavin C 5,7,4’-trimethoxyflavone 5,7 -dimethoxyflavone 3,3’,4’,5,7 -pentamethoxyflavone 3,4-di-O-caffeoyl quinic acid quercetin caffeic acid quercetin-3-O-β- glucosid 3,5-di-O-caffeoyl quinic acid causiaroside I quercetin-3-O-α- L -arabinopyranosyl (1-2)-α- L -rhamnopyranoside mangiferin quercetin-3-O-α- L -rhamnosid kaempferol-3-O-α- L -rhamnoside engeletin kehokorin A kehokorin B 1,3,4,5-tetra-O-caffeoyl quinicacid 3,4,5-tri-O-caffeo yl quinicacid quercitrin luteolin luteolin 7-O-b-glucoside lyoniside nudiposide olysachyol ergosta-4,6,8(14),22-tetraen-3one lyoniside nudiposide 5-methoxy-9-b- D -xylopyranosyl-(-)-isolariciresinol icariside b-sitosterol glucoside (-)-epicatechin schizandriside epiafzelecin-(4b→8)-epicatechin procyanidineB 2 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 22 23 24 25 26 27 28 29 30 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 34 25 mg/mL GLI1 Viab. 0% 3% 0% 3% 0% 3% 109% 101% 80% 83% 96% 91% 132% 91% 68% 72% 2.5 mg/mL GLI1 Viab. 69% 84% 73% 83% 77% 86% 104% 96% 104% 98% 105% 100% 110% 95% 158% 92% 113% 90% 108% 89% 0% 109% 119% 158% 60% 108% 3% 95% 92% 41% 79% 89% 103% 95% 55% 114% 104% 98% 0% 3% 83% 86% 86% 64% 83% 2% 79% 78% 87% 58% 62% 72% 89% 91% 92% 79% 77% 1% 104% 118% 108% 112% 98% 109% 28% 99% 99% 85% 71% 81% 86% 87% 92% 67% 79% 76% 231% 220% 108% 92% 107% 101% 93% 98% 78% 78% 82% 86% 93% 88% 85% 76% 77% 71% 115% 81% 108% 84% 108% 81% 89% 87% 22% 20% 74% 73% 99% 26% 124% 99% 87% 100% 14% 88% 101% 94% 97% 102% 112% 111% 111% 67% 85% 97% 87% 82% 45% 26% 76% 82% 94% 60% 89% 85% 89% 81% 2% 87% 92% 99% 95% 91% 90% 88% 87% 90% 99% 78% 79% 75% 75% 128% 83% 80% 93% 110% 134% 104% 85% 87% 96% 85% 98% 101% 95% 95% 106% 102% 99% 84% 92% 95% 85% 84% 70% 78% 82% 90% 95% 95% 92% 89% 87% 86% 82% 85% 93% 106% 98% 97% 95% 98% 98% 99% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング KKC 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 zerumbone humulene humulene epoxide-II humulene epoxide-III 6-methoxy-2E,9E-humuladien-8-one buddledoneA zerumbone oxide kaemmpferol-3-O-(4-O-acetyl -a- L -rhamnop yranoside kaempferol-3-O-(3-O-acetyl -a-rhamnopyranoside kaempferol-3-O-(2-O-acetyl -a-rhamnopyranoside kaemp ferol-3-O -a- L -rth mnopyranoside humulene2,3,6,7-diepoxide kobusone polyalthic acid (+)-hardwickiic acid (-)-(5S,8S,9S,10R)-cleroda-3,13E-dien-15-oic acid (+)-eperua-7,13-dien-15-oic acid quercitrin linolenic acid SS-12 tagitinin A hispidulin brandisiomin A brandisiomin B brandisiomin C (+)-eperua-7,13-dien-15-oic acid quercitrin BG-3 isoquercitrin ZS-8 ZS-9 ZS-10 ZS-11 myricitrin quercitrin 35 25 mg/mL Viab. GLI1 0% 2% 0% 5% 85% 96% 85% 95% 94% 88% 92% 84% 25% 72% 2.5 mg/mL GLI1 Viab. 27% 88% 86% 95% 101% 97% 91% 107% 107% 100% 114% 91% 88% 88% 95% 77% 91% 90% 98% 79% 99% 91% 97% 78% 103% 88% 98% 115% 97% 114% 99% 96% 96% 0% 49% 112% 92% 94% 110% 34% 31% 26% 82% 0% 64% 81% 66% 95% 69% 72% 70% 61% 86% 94% 92% 109% 106% 87% 3% 83% 110% 120% 122% 120% 90% 103% 115% 100% 2% 98% 109% 101% 126% 107% 118% 116% 101% 102% 95% 100% 105% 103% 101% 70% 113% 120% 105% 104% 110% 96% 137% 93% 85% 102% 98% 80% 69% 102% 106% 97% 95% 81% 94% 90% 96% 114% 103% 84% 88% 111% 114% 114% 119% 122% 111% 110% 109% 91% 99% 104% 107% 99% 96% 108% 109% 111% 109% 108% 103% 99% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング Table 2-2. Screening of plant library at 100 mg/mL, 50 mg/mL and 10 mg/mL GLI1, GLI1-mediated transcriptional activity; Viab., cell viability KKP No. 学 名 KKP0001 KKP0002 KKP0003 KKP0004 KKP0005 KKP0006 KKP0007 KKP0008 KKP0009 KKP0010 KKP0011 KKP0012 KKP0013 KKP0014 KKP0015 KKP0016 KKP0017 KKP0018 KKP0019 KKP0020 KKP0021 KKP0022 KKP0023 KKP0024 KKP0025 KKP0026 KKP0027 KKP0028 KKP0029 KKP0030 KKP0031 KKP0032 KKP0033 KKP0034 KKP0035 KKP0036 KKP0037 KKP0038 KKP0039 KKP0040 KKP0041 KKP0042 KKP0043 KKP0044 KKP0045 KKP0046 KKP0047 KKP0048 KKP0049 KKP0050 KKP0051 KKP0052 KKP0053 KKP0054 KKP0055 KKP0056 Anacardium occidentale Thevetia peruviana Mangifera odorata Mangifera caesia Curculigo latifolia Laportea stimulans Merremia umbellata Merremia mammosa Aporosa frutenscens Bridelia monoica Claoxylon polot Claoxylon polot Costus speciosus Semecarpus anacardium Pterocarpus macrocarpus Centella asiatica Gliricidia sepium Alstonia scholaris Nauclea orientalis Nauclea orientalis Adenium obesum Wrightia religiosa Vallaris glabra Hura crepitans Adenanthera pavonina Adenanthera pavonina Afgekia sericea Milletia brandisiana Blumea lacera Gluta reughas Catimbium speciosum Ageratum conyzoides Allamanda catharthca Beaumontia murtonii Aganosma marginata Ichnocarpus frutescens Eurycoma longifolia Eurycoma longifolia Cryptolepis buchanani Cryptolepis buchanani Nelumbo nucifera Wrightia javanica Buchanania reticulata Ardisia colorata Allamanda cathartica Butea superba Swietenia mahogani Baccaurea sapida Ichnocarpus frutescens Baccaurea sapida Gymnopetalum quinquelobum Pluchea indica Cassia bakeriana Cassia fistula Cassia occidentalis Cassia siamea 100 mg/mL GLI1 Viab. 50 mg/mL GLI1 Viab. 104% 136% 102% 114% 64% 68% 115% 78% 84% 99% 87% 97% 133% 85% 69% 110% 88% 45% 100% 104% 94% 65% 103% 104% 79% 100% 90% 100% 80% 107% 122% 46% 107% 93% 90% 111% 128% 65% 108% 102% 97% 97% 107% 106% 86% 78% 88% 81% 81% 87% 87% 88% 96% 93% 99% 103% 78% 118% 95% 87% 93% 139% 120% 73% 1% 127% 88% 98% 93% 147% 174% 24% 31% 96% 108% 93% 126% 131% 95% 98% 84% 97% 90% 138% 129% 90% 97% 97% 50% 103% 96% 8% 105% 103% 96% 90% 81% 94% 59% 42% 100% 91% 100% 92% 89% 97% 97% 99% 82% 76% 68% 75% 90% 74% 72% 90% 74% 3% 108% 90% 89% 8% 91% 125% 95% 88% 99% 99% 67% 93% 80% 166% 117% 89% 76% 97% 93% 90% 79% 67% 60% 71% 89% 63% 36 10 mg/mL GLI1 Viab. 106% 105% 62% 103% 114% 107% 27% 108% 97% 102% 101% 208% 139% 107% 110% 108% 104% 97% 96% 99% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング KKP No. 学 名 KKP0057 KKP0058 KKP0059 KKP0060 KKP0061 KKP0062 KKP0063 KKP0064 KKP0065 KKP0066 KKP0067 KKP0068 KKP0069 KKP0070 KKP0071 KKP0072 KKP0073 KKP0074 KKP0075 KKP0076 KKP0077 KKP0078 KKP0079 KKP0080 KKP0081 KKP0082 KKP0083 KKP0084 KKP0085 KKP0086 KKP0087 KKP0088 KKP0089 KKP0090 KKP0091 KKP0092 KKP0093 KKP0094 KKP0095 KKP0096 KKP0097 KKP0098 KKP0099 KKP0100 KKP0101 KKP0102 KKP0103 KKP0104 KKP0105 KKP0106 KKP0107 KKP0108 KKP0109 KKP0110 KKP0111 KKP0112 KKP0113 KKP0114 Cassia tora Neptunia oleraceae Delonix regia Antidesma ghaesembilla Cassia alata Glochidion daltonii Eryngium foetidum Anethum graveolens Oenanthe javanica Hydrocotyle sibthorpioides Eupatorium odoratum Hornstedtia metriocheilus Momordica charantia Terminalia chebra Ehretia microphylla Ipomoea pes-caprae Kaempferia galanga Citrus hystrix Citrus hystrix Parkia speciosa Blumea napifolia Kopsia fruticosa Passiflora laurifolia Millingtonia hortensis Curcuma domestica Melienta suavis Telosma minor Brassica juncea (Thai) Brassica juncea (China) Curcuma zedoaria Boesenbergia pandurata Erechtites hieraciifolia Helianthus annus Blumea hymenophylla Bidens pilosa Tiliacora triandra Cissampelos pereira Cuscuta reflexa (Cassia) Cuscuta reflexa (Ceiba) Sesbania grandiflora Cratoxylon formosum Hypericum garrettii Wolffia globosa Eleutherine palmaefolia Zygostelma benthamii Hibiscus sagittifolius Acacia insuavis Dolichos lablab Crotalaria bracteata Erythrophleum succirubrum Sindora siamensis Xylia kerrii Zizyphus oenoplia Zizyphus cambodiana Colubrina asiatica Gouania obtusifolia Ventilago cristata Leonotis nepetifolia 100 mg/mL Viab. GLI1 96% 92% 64% 95% 102% 77% 22% 28% 98% 85% 67% 74% 81% 96% 85% 81% 79% 65% 75% 40% 45% 66% 85% 76% 51% 71% 58% 80% 37% 51% 112% 51% 23% 69% 136% 66% 90% 64% 50 mg/mL GLI1 Viab. 100% 89% 80% 100% 95% 85% 55% 77% 105% 79% 77% 72% 85% 71% 104% 65% 86% 59% 85% 33% 72% 61% 108% 62% 106% 57% 100% 83% 43% 51% 99% 42% 43% 77% 134% 77% 108% 76% 81% 128% 115% 129% 77% 108% 91% 109% 84% 99% 98% 103% 107% 102% 119% 133% 109% 146% 13% 106% 95% 109% 111% 1% 73% 106% 1% 127% 109% 93% 81% 104% 103% 117% 90% 75% 75% 54% 99% 95% 109% 116% 66% 1% 81% 67% 89% 89% 91% 149% 79% 95% 94% 95% 122% 108% 84% 69% 101% 100% 113% 75% 45% 58% 95% 94% 101% 113% 120% 107% 87% 90% 92% 101% 99% 102% 110% 127% 52% 121% 93% 111% 72% 105% 87% 28% 86% 56% 84% 94% 68% 78% 96% 43% 104% 92% 94% 74% 93% 89% 37 83% 100% 89% 107% 69% 101% 81% 107% 99% 3% 74% 83% 4% 90% 95% 96% 114% 113% 100% 86% 91% 97% 86% 70% 113% 92% 106% 77% 95% 5% 99% 83% 119% 114% 104% 100% 107% 88% 10 mg/mL GLI1 Viab. 87% 75% 87% 118% 92% 94% 50% 138% 72% 37% 94% 147% 62% 59% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング KKP No. 学 名 KKP0115 KKP0116 KKP0117 KKP0118 KKP0119 KKP0120 KKP0121 KKP0122 KKP0123 KKP0124 KKP0125 KKP0126 KKP0127 KKP0128 KKP0129 KKP0130 KKP0131 KKP0132 KKP0133 KKP0134 KKP0135 KKP0136 KKP0137 KKP0138 KKP0139 KKP0140 KKP0141 KKP0142 KKP0143 KKP0144 KKP0145 KKP0146 KKP0147 KKP0148 KKP0149 KKP0150 KKP0151 KKP0152 KKP0153 KKP0154 KKP0155 KKP0156 KKP0157 KKP0158 KKP0159 KKP0160 KKP0161 KKP0162 KKP0163 KKP0164 KKP0165 KKP0166 KKP0167 KKP0168 KKP0169 KKP0170 KKP0171 KKP0172 Coleus amboinicus Ipomoea vitifolia Luffa acutangula Luffa cylindrica Trichosanthes anguina Abutilon indicum Bridelia siamensis Lycium chinense Thumbergia laurifolia Barleria prionitis Barleria prionitis Abroma augusta Clerodendron serratum Barringtonia acutangula Eugenia collinsae Monochoria hastata Pithecollobium dulce Eupatrium capillifolium Melastonia polyanthum Adenia viridiflora Melientha suavis Mangifera foetida Pethecellobium jilinga Achyranthes bidentata Alternanthera sessilis Basella rubra Averrhoa bilimbi Averrhoa carambola Impatiens balsamina Lagerstroemia flos-reginae Lagerstroemia loudonii Zizyphus cambodiana Ardisia colorata Hibiscus pungens Punica granatum Boerhavia chinensis Vallaris glabra Zizyphus cambodiana Xylia kerrii Ipomoea pes-caprae Ardisia colorata Cratoxylon formosum Hydnocarpus kurzii Schima noronhae Schima noronhae Benincasa hispida Bryonopsis laciniosa Citrullus vulgaris Coccinia indica Coccinia indica Cucumis sativa Lagenaria leucantha Sechium edule Curuma parviflora Emilia sontifolia Gouania obtusifolia (Leaf) Gouania obtusifolia (Branch) Uvaria rufa 100 mg/mL Viab. GLI1 116% 95% 73% 71% 94% 110% 141% 94% 100% 92% 96% 90% 95% 90% 107% 93% 93% 78% 101% 70% 99% 95% 65% 64% 70% 60% 97% 59% 31% 67% 115% 96% 78% 117% 80% 81% 88% 116% 104% 84% 107% 78% 106% 87% 74% 112% 62% 106% 66% 116% 71% 93% 51% 32% 88% 85% 48% 57% 90% 61% 73% 94% 62% 106% 39% 97% 104% 84% 99% 106% 103% 77% 27% 31% 57% 64% 59% 88% 82% 86% 91% 93% 110% 60% 36% 87% 61% 62% 38 50 mg/mL GLI1 Viab. 117% 117% 93% 72% 93% 119% 125% 107% 99% 100% 100% 78% 113% 83% 107% 93% 105% 89% 103% 83% 52% 71% 114% 73% 105% 72% 99% 76% 105% 81% 125% 82% 56% 74% 109% 81% 55% 85% 116% 84% 114% 113% 78% 91% 89% 79% 105% 83% 94% 106% 99% 89% 119% 94% 114% 97% 0% 3% 89% 106% 61% 101% 88% 110% 47% 40% 81% 115% 92% 1% 85% 86% 107% 90% 5% 100% 70% 59% 104% 74% 0% 104% 112% 35% 110% 97% 102% 107% 109% 85% 56% 69% 75% 79% 83% 75% 92% 4% 95% 99% 47% 97% 94% 95% 98% 99% 97% 76% 72% 94% 67% 72% 10 mg/mL GLI1 Viab. 73% 45% 85% 94% 91% 104% 94% 89% 98% 13% 90% 46% 82% 93% 104% 96% 136% 86% 32% 58% 103% 96% 50% 54% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング KKP No. 学 名 KKP0173 KKP0174 KKP0175 KKP0176 KKP0177 KKP0178 KKP0179 KKP0180 KKP0181 KKP0182 KKP0183 KKP0184 KKP0185 KKP0186 KKP0187 KKP0188 KKP0189 KKP0190 KKP0191 KKP0192 KKP0193 KKP0194 KKP0195 KKP0196 KKP0197 KKP0198 KKP0199 KKP0200 KKP0201 KKP0202 KKP0203 KKP0204 KKP0205 KKP0206 KKP0207 KKP0208 KKP0209 KKP0210 KKP0211 KKP0212 Garcinia mangostana Bryonopsis laciniosa Hyptis suaveolens Calamus rotang Eugenia polyantha Eugenia sp Eucalyptus citriodora Sapindus emarginatus Coccinia indica Hyptis suaveolens Xanthium strumarium Uvaria rufa Physalis minima Terminalia catappa Calophyllum inophyllum Mammea siamensis Kijelia pinnata Excoecaria indica Rhus succedanea Aglaia roxburghiana Semecarpus anacardium Baliospermum montanum Leonurus sibiricus Calamus insignis Grewia paniculata Leptonychia heteroclita Portulaca oleraceae Hibiscus mutabilis Hibiscus rosa-sinensis Sida cordifolia Sida acuta Anacardium occidentale Bombax malabaricum Ceiba pentandra Picrorrhiza kurrooa Perilla ocymoides Clerodendron fragrnce Glochidron obscurum Codiaeum variegatum Euphorbia neriifolia 100 mg/mL Viab. GLI1 88% 97% 16% 11% 49% 84% 75% 88% 0% 95% 77% 97% 17% 12% 61% 86% 58% 74% 3% 68% 6% 102% 18% 75% 24% 19% 6% 72% 50% 84% 4% 4% 0% 67% 82% 115% 69% 112% 72% 55% 85% 101% 86% 48% 91% 79% 104% 141% 102% 111% 110% 125% 3% 81% 67% 86% 53% 69% 94% 108% 79% 81% 67% 55% 50% 86% 84% 92% 64% 89% 87% 75% 39 50 mg/mL GLI1 Viab. 15% 5% 35% 47% 93% 84% 104% 99% 60% 66% 46% 53% 70% 75% 96% 102% 100% 81% 104% 93% 1% 3% 107% 93% 14% 34% 41% 19% 114% 85% 31% 69% 87% 94% 78% 54% 52% 20% 0% 79% 105% 104% 104% 118% 83% 84% 95% 104% 94% 71% 127% 87% 90% 137% 108% 108% 112% 121% 2% 83% 93% 91% 101% 76% 106% 111% 81% 89% 75% 73% 71% 90% 84% 86% 80% 85% 84% 69% 10 mg/mL GLI1 Viab. 95% 98% 50% 54% 34% 97% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング Table 2-3. Screening of actinomycete library at 100 mg/mL, 50 mg/mL, 25 mg/mL and 10 mg/mL GLI1, GLI1-mediated transcriptional activity; Viab., cell viability CKK No. 102 105 120 127 15 18 25 28 30 32 33 38 39 60 61 64 68 84 91 95 99 101 102 (no.2) 103 105 (no.2) 109 112 113 114 115 116 117 118 119 120 (no.2) 121 122 125 126 127 (no.2) 128 130 131 133 136 137 146 148 150 161 166 175 179 182 190 192 100 mg/mL GLI1 Viab. 118% 68% 119% 76% 115% 89% 124% 91% 45% 71% 37% 71% 38% 64% 118% 96% 132% 91% 86% 85% 128% 97% 104% 105% 86% 100% 84% 101% 144% 97% 114% 99% 77% 90% 79% 93% 60% 94% 34% 85% 74% 105% 88% 103% 82% 110% 169% 101% 91% 96% 107% 104% 84% 108% 71% 102% 78% 102% 97% 97% 96% 100% 96% 97% 97% 107% 28% 45% 96% 100% 91% 100% 79% 110% 85% 109% 82% 110% 43% 75% 93% 102% 90% 111% 92% 109% 90% 100% 70% 101% 71% 105% 44% 74% 125% 101% 73% 87% 109% 105% 16% 61% 30% 68% 95% 90% 78% 96% 16% 53% 115% 95% 50 mg/mL GLI1 Viab. 120% 91% 112% 93% 107% 109% 111% 109% 94% 105% 36% 76% 38% 74% 110% 106% 127% 103% 83% 98% 135% 105% 121% 101% 106% 104% 103% 95% 167% 95% 139% 90% 89% 87% 85% 97% 84% 87% 38% 80% 74% 103% 101% 98% 98% 100% 157% 96% 97% 103% 104% 102% 99% 101% 80% 96% 80% 98% 97% 94% 105% 98% 101% 92% 104% 84% 56% 67% 101% 94% 95% 96% 84% 97% 87% 98% 94% 92% 58% 71% 94% 93% 98% 93% 95% 97% 96% 106% 77% 94% 81% 103% 45% 76% 123% 99% 125% 100% 107% 104% 23% 70% 36% 77% 105% 100% 85% 103% 22% 62% 126% 98% 40 25 mg/mL GLI1 Viab. 10 mg/mL GLI1 Viab. 29% 100% 25% 103% 75% 126% 65% 121% 34% 90% 29% 93% 31% 89% 29% 92% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング CKK No. 193 195 200 203 204 208 210 214 217 220 225 226 227 229 231 236 237 238 240 245 246 248 249 252 255 257 258 264 267 269 277 278 280 285 334 335 346 355 358 365 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 100 mg/mL Viab. GLI1 77% 94% 62% 92% 86% 95% 88% 100% 107% 103% 114% 100% 104% 92% 156% 98% 126% 97% 90% 93% 105% 93% 99% 102% 100% 95% 57% 74% 43% 73% 71% 85% 107% 102% 100% 96% 93% 91% 98% 93% 97% 99% 62% 92% 84% 70% 107% 95% 114% 87% 99% 90% 35% 76% 86% 99% 97% 101% 104% 96% 133% 98% 110% 99% 123% 94% 88% 95% 87% 104% 90% 98% 112% 99% 101% 96% 50% 75% 70% 86% 62% 79% 71% 108% 96% 90% 75% 99% 105% 103% 95% 96% 88% 98% 92% 93% 104% 93% 97% 102% 75% 96% 97% 97% 111% 100% 111% 90% 102% 93% 137% 98% 105% 96% 73% 97% 50 mg/mL GLI1 Viab. 84% 97% 89% 103% 70% 106% 92% 109% 95% 104% 106% 106% 93% 95% 135% 102% 100% 102% 74% 104% 88% 102% 95% 103% 89% 99% 48% 75% 49% 67% 93% 98% 98% 102% 85% 97% 78% 99% 85% 99% 94% 96% 86% 112% 94% 87% 94% 97% 105% 96% 81% 89% 50% 90% 86% 102% 90% 95% 94% 100% 113% 93% 99% 99% 90% 94% 57% 98% 66% 95% 71% 108% 71% 100% 68% 98% 56% 68% 100% 89% 63% 82% 67% 100% 61% 98% 88% 92% 102% 94% 104% 89% 57% 96% 101% 94% 109% 94% 95% 97% 80% 98% 94% 97% 106% 97% 110% 92% 104% 92% 118% 95% 108% 93% 72% 101% 41 25 mg/mL GLI1 Viab. 10 mg/mL GLI1 Viab. 80% 123% 68% 123% 84% 132% 66% 126% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング CKK No. 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 399 405 406 408 409 410 412 413 414 415 417 420 421 422 423 425 427 429 430 431 432 433 434 435 436 470 479 480 481 484 489 505 508 514 515 517 520 526 527 528 529 530 531 532 533 534 100 mg/mL Viab. GLI1 84% 95% 87% 93% 82% 91% 105% 100% 98% 93% 96% 97% 81% 100% 91% 96% 108% 96% 87% 97% 105% 96% 99% 95% 61% 120% 97% 95% 114% 109% 115% 117% 144% 112% 110% 117% 81% 112% 87% 118% 151% 111% 66% 114% 89% 100% 99% 100% 168% 90% 168% 97% 126% 98% 93% 104% 89% 107% 95% 93% 94% 87% 99% 87% 106% 84% 105% 81% 114% 74% 121% 79% 108% 86% 101% 85% 102% 99% 92% 95% 114% 88% 116% 84% 116% 80% 107% 82% 140% 81% 81% 79% 66% 67% 77% 104% 43% 69% 88% 96% 89% 91% 46% 83% 89% 89% 89% 94% 76% 106% 77% 99% 95% 97% 18% 86% 50 mg/mL GLI1 Viab. 85% 94% 87% 94% 87% 90% 101% 99% 94% 98% 92% 99% 76% 100% 89% 99% 100% 97% 89% 96% 99% 97% 97% 98% 65% 119% 62% 99% 128% 106% 118% 108% 166% 102% 115% 103% 100% 102% 99% 108% 159% 115% 69% 107% 93% 101% 101% 93% 144% 89% 143% 94% 112% 104% 86% 102% 77% 104% 86% 95% 89% 87% 116% 96% 129% 91% 123% 85% 124% 81% 122% 78% 117% 91% 122% 94% 102% 101% 109% 96% 124% 94% 126% 92% 122% 91% 117% 89% 163% 89% 117% 94% 61% 78% 80% 101% 94% 95% 102% 91% 107% 95% 72% 88% 112% 93% 105% 88% 86% 100% 79% 93% 99% 102% 30% 83% 42 25 mg/mL GLI1 Viab. 10 mg/mL GLI1 Viab. 69% 132% 66% 131% 72% 124% 66% 118% 34% 112% 44% 118% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング CKK No. 535 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 100 mg/mL Viab. GLI1 88% 96% 84% 93% 85% 96% 83% 102% 69% 92% 101% 99% 96% 85% 93% 89% 116% 88% 105% 88% 108% 83% 93% 83% 50 mg/mL GLI1 Viab. 100% 108% 101% 101% 100% 112% 85% 111% 79% 100% 103% 99% 109% 102% 110% 108% 117% 105% 115% 98% 126% 88% 105% 102% 43 25 mg/mL GLI1 Viab. 10 mg/mL GLI1 Viab. 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング Table 2-4. Screening of plant library (ich) at 50 mg/mL, 25 mg/mL, 10 mg/mL and 1 mg/mL GLI1, GLI1-mediated transcriptional activity; Viab., cell viability ich No. 1 2 3 4 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 50 mg/mL GLI1 51% 10% 75% 36% 63% 65% 84% 66% 94% 75% 60% 92% 87% 76% 92% 0% 74% 99% 95% 122% 84% 68% 87% 104% 73% 57% 103% 0% 63% 100% 66% 81% 95% 63% 77% 74% 34% 119% 118% 77% 74% 67% 50% 84% 133% 91% 99% 115% 88% 69% 39% 88% 141% 109% 90% Viab. 112% 28% 104% 75% 106% 110% 114% 118% 108% 96% 93% 97% 106% 111% 117% 1% 105% 98% 91% 80% 103% 98% 129% 100% 87% 77% 93% 1% 87% 99% 88% 105% 98% 80% 98% 95% 60% 102% 94% 82% 90% 96% 89% 97% 107% 95% 86% 93% 96% 91% 75% 94% 100% 94% 102% 25 mg/mL GLI1 66% 52% 87% 43% 72% 71% 56% 74% 92% 74% 80% 102% 98% 79% 88% 0% 76% 110% 111% 118% 77% 101% 84% 107% 89% 80% 98% 0% 97% 106% 82% 106% 90% 81% 80% 77% 66% 110% 110% 85% 110% 63% 69% 80% 107% 119% 90% 104% 69% 73% 76% 95% 141% 100% 85% Viab. 114% 92% 104% 78% 107% 107% 114% 117% 109% 101% 94% 93% 108% 117% 123% 1% 109% 104% 107% 90% 109% 116% 129% 97% 91% 79% 94% 2% 92% 101% 98% 111% 104% 97% 101% 99% 90% 105% 95% 86% 94% 96% 94% 104% 96% 105% 93% 93% 94% 92% 92% 94% 97% 106% 96% 44 10 mg/mL GLI1 1 mg/mL Viab. GLI1 Viab. 0% 2% 100% 93% 9% 64% 99% 90% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング ich No. 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 70 71 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 50 mg/mL GLI1 129% 114% 86% 96% 94% 90% 94% 101% 105% 125% 87% 105% 101% 59% 63% 61% 81% 28% 91% 95% 93% 87% 106% 183% 105% 92% 106% 104% 103% 98% 110% 108% 84% 63% 82% 37% 93% 89% 84% 100% 80% 90% 88% 107% 82% 95% 72% 88% 72% 97% 22% 85% 81% 109% 89% 90% 114% 98% Viab. 98% 96% 97% 98% 96% 103% 104% 100% 93% 89% 85% 94% 87% 74% 92% 81% 90% 76% 91% 87% 76% 81% 87% 88% 98% 97% 88% 90% 87% 82% 89% 87% 125% 104% 112% 103% 113% 112% 115% 123% 116% 105% 102% 82% 81% 89% 85% 89% 79% 72% 54% 80% 82% 90% 110% 104% 98% 78% 25 mg/mL GLI1 Viab. 107% 90% 105% 88% 87% 83% 90% 84% 90% 87% 87% 89% 91% 96% 90% 93% 102% 88% 98% 80% 87% 76% 100% 79% 104% 81% 75% 75% 71% 90% 89% 85% 84% 90% 42% 82% 86% 92% 93% 86% 99% 78% 81% 81% 97% 83% 141% 85% 88% 92% 101% 98% 101% 96% 108% 90% 109% 90% 100% 86% 112% 86% 118% 91% 90% 116% 101% 103% 97% 107% 69% 106% 92% 104% 94% 106% 95% 107% 101% 121% 86% 119% 96% 107% 95% 97% 92% 76% 80% 84% 82% 90% 76% 90% 89% 92% 103% 83% 86% 75% 43% 60% 85% 72% 79% 85% 105% 90% 98% 106% 107% 105% 109% 95% 93% 79% 45 10 mg/mL GLI1 Viab. 1 mg/mL GLI1 Viab. 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング ich No. 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 154 155 156 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 50 mg/mL GLI1 103% 10% 94% 100% 76% 117% 77% 115% 107% 92% 94% 94% 81% 101% 91% 94% 96% 97% 7% 134% 118% 78% 101% 88% 73% 102% 104% 103% 89% 19% 23% 80% 93% 103% 30% 107% 26% 85% 34% 73% 89% 119% 70% 59% 142% 53% 91% 8% 102% 84% 104% 87% 93% 42% 85% 67% 89% 34% Viab. 96% 2% 99% 116% 110% 100% 93% 76% 79% 83% 94% 94% 86% 90% 83% 86% 85% 91% 58% 82% 81% 92% 100% 114% 103% 95% 86% 88% 91% 75% 74% 100% 99% 87% 68% 95% 74% 111% 90% 96% 101% 74% 81% 69% 88% 78% 92% 69% 87% 86% 83% 86% 116% 132% 135% 105% 95% 67% 25 mg/mL GLI1 Viab. 106% 85% 96% 46% 94% 98% 95% 112% 88% 114% 121% 105% 87% 98% 104% 88% 97% 84% 90% 91% 83% 97% 92% 103% 91% 100% 96% 98% 88% 92% 103% 95% 94% 99% 104% 98% 14% 60% 95% 83% 141% 85% 83% 92% 97% 103% 91% 107% 87% 95% 94% 82% 104% 73% 112% 79% 91% 86% 65% 87% 52% 94% 92% 107% 96% 96% 99% 89% 52% 85% 102% 100% 54% 86% 92% 111% 67% 112% 86% 106% 96% 105% 117% 82% 88% 86% 90% 87% 155% 95% 91% 98% 97% 105% 22% 90% 100% 105% 84% 103% 98% 106% 94% 99% 96% 126% 65% 138% 91% 146% 77% 109% 93% 93% 22% 72% 46 10 mg/mL GLI1 Viab. 1 mg/mL GLI1 Viab. 103% 100% 76% 90% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング ich No. 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 236 237 238 240 242 243 245 50 mg/mL GLI1 114% 93% 93% 104% 86% 102% 1% 121% 108% 131% 107% 76% 99% 34% 129% 113% 86% 111% 47% 78% 63% 95% 106% 99% 105% 94% 75% 98% 133% 134% 93% 94% 103% 83% 68% 90% 70% 90% 54% 84% 32% 67% 84% 101% 99% 92% 83% 41% 115% 97% 136% 6% 112% 140% 1% 123% 0% 99% Viab. 75% 80% 93% 92% 73% 66% 2% 71% 77% 89% 96% 80% 83% 69% 93% 101% 107% 112% 103% 88% 89% 95% 80% 94% 88% 93% 75% 83% 82% 81% 85% 86% 89% 92% 95% 95% 93% 96% 85% 94% 78% 91% 91% 92% 89% 94% 92% 88% 102% 89% 84% 52% 76% 89% 1% 103% 1% 89% 25 mg/mL GLI1 Viab. 121% 85% 116% 95% 104% 104% 128% 101% 95% 77% 106% 70% 9% 34% 120% 73% 109% 86% 118% 93% 107% 98% 82% 95% 102% 97% 76% 89% 112% 117% 114% 113% 92% 112% 107% 116% 74% 110% 88% 93% 100% 89% 110% 95% 115% 93% 99% 100% 108% 97% 112% 101% 82% 88% 101% 96% 133% 101% 138% 103% 89% 103% 92% 106% 101% 105% 93% 91% 76% 94% 90% 92% 78% 92% 98% 96% 80% 98% 93% 102% 68% 100% 82% 94% 92% 92% 105% 95% 105% 96% 101% 97% 97% 96% 72% 93% 111% 101% 107% 96% 117% 88% 22% 62% 107% 78% 129% 87% 0% 1% 116% 94% 9% 67% 113% 95% 47 10 mg/mL GLI1 Viab. 1 mg/mL GLI1 Viab. 26% 67% 173% 97% 41% 90% 70% 105% 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング ich No. 246 247 250 252 253 255 256 258 259 260 262 50E 56E 50 mg/mL GLI1 127% 73% 100% 150% 128% 99% 106% 128% 81% 68% 101% 117% 122% Viab. 83% 72% 88% 87% 88% 85% 95% 106% 74% 68% 82% 99% 101% 25 mg/mL GLI1 Viab. 130% 91% 93% 86% 110% 91% 146% 92% 136% 97% 104% 90% 121% 107% 128% 109% 92% 84% 73% 75% 96% 103% 97% 105% 94% 101% 48 10 mg/mL GLI1 Viab. 1 mg/mL GLI1 Viab. 第二章 構築したアッセイ系を用いたライブラリーのスクリーニング 第五節 小括 本章では,第一章にて構築したアッセイ系を用いて,千葉大学大学院薬学研究 院 活 性 構 造 化 学 研 究 室 保 有 の 92 種 の 天 然 有 機 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー( KKC),192 種 の 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( KKP) お よ び 180 種 の 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー ( CKK),ま た 252 種 の 会 社 依 頼 生 薬 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー( ich)に つ い て ス ク リ ー ニングを行った結果,天然有機化合物ライブラリーより,セスキテルペン化合物 zerumbone( 1) お よ び zerumbone epoxide( 2), ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 staurosporinone( 9),5-hydroxystaurosporinone( 10),arcyriaflavinC( 11)お よ び 5,6-dihydroxyarcyriaflavinA( 12) に 高 い 細 胞 生 存 率 を 保 ち な が ら , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 認 め た . ま た , 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー よ り 15 種 を , 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー か ら も GLI1 転 写 阻 害 活 性 サ ン プ ル を 見 出 し た .依 頼 生 薬 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー か ら も GLI1 転 写 阻 害 活 性 お よ び 活 性 化 サ ン プ ル を 見 出 し た . 49 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 第三章 Physalis minima か ら の GLI1 転 写 阻 害 活 性 成 分 の 単 離 本章では,第二章において植物抽出物ラ イブラリーのスクリーニングで,低濃度に て GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た Physalis minima( KKP0185)に つ い て ,GLI1 転 写 阻 害活性を指標に活性化合物を単離したこと について述べる. Physalis minima に つ い て Physalis minima L. は ,ナ ス 科 ホ オ ズ キ 属 に属し,日本名でヒメセンナリホオズキと 呼 ば れ て い る . こ れ ま で Physalis 属 に お け Fig. 3-1. Physalis minima る成分研究は盛んに行われており,特異的 な骨格をもつ化合物が多数報告されている. 中 で も physalins [4 7 ] ,withaphysalins [4 8 ] ,withaminins [4 9 ] や physanolides [5 0 ] は ,様 々 な 生 物 活 性 を 有 す る こ と が 研 究 さ れ て い る ( Fig. 3-2). O O O O O H HO H H H O O O H O OH OH physalin A withaphysalin D H O HO O OH H O O HO O O OH H O O OAc H OH H HO withaminimin physanolide A Fig. 3-2. Chemical structures from Physalis minima 50 O H H O 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 第一節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た Physalis minima の 分 画 P. minima の メ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 2.7 g) を ヘ キ サ ン , 酢 酸 エ チ ル ,( ク ロ ロ ホ ル ム ) と 水 で 分 配 し た 後 , そ れ ぞ れ の 抽 出 物 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 測 定 し た と こ ろ , へ キ サ ン , 酢 酸 エ チ ル お よ び ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 物 に GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 移 行 し た ( Fig. 3-3). TLC 分 析 に よ る 各 抽 出 物 の 成 分 の 比 較 に よ り , へ キ サ ン , 酢 酸エチルおよびクロロホルム抽出物には,同じ成分が含まれていることが判明し た の で , こ れ ら 抽 出 物 を 合 わ せ て , 以 降 の 分 離 を 行 っ た ( Fig. 3-3). 120% 100% 80% Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL Luciferase 1ug/mL Viability 1ug/mL 60% 40% 20% 0% HEC HEC PMM PMH PME PMC PMW Fig. 3-3. TLC analysis, and GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability. H, Hexane ext.; E, EtOAc ext.; C, CHCl 3 ext.; W, H 2 O ext. TLC, Silicagel; solvent, Left: Hexane/EtOAc 2/1; Right: CHCl 3 /MeOH 4/1; detection, 10%H 2 SO 4 D ヘ キ サ ン /酢 酸 エ チ ル /ク ロ ロ ホ ル ム 混 合 抽 出 物 に つ い て , へ キ サ ン /酢 酸 エ チ ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 お よ び 酢 酸 エ チ ル /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し た 結 果 ,8 つ の 画 分( Frs. 1A~ 1H) を 得 た . そ れ ぞ れ の 画 分 に つ い て , 10 mg/mL お よ び 1 mg/mL の 濃 度 に て GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た 結 果 , Frs. 1C, 1D お よ び 1E に 1 mg/mL の 濃 度 で GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た .ま た ,Frs. 1F,1G お よ び 1H は 10 mg/mL の 濃 度 に て GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た ( Fig. 3-4). 51 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 120% 100% 80% Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL Luciferase 1ug/mL Viability 1ug/mL 60% 40% 20% 0% 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G 1H Fig. 3-4. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 1A – 1H Fr. 1D( 73 mg) に ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル ( 1:1) 溶 媒 を 加 え た と こ ろ 不 溶 部 が 生 じ た( 不 溶 画 分;Fr. 2F)た め ,可 溶 部 と 分 離 し ,可 溶 部 の み を ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト ー グ ラ フ ィ ー で 分 離 を 行 い , Frs. 2A~ 2F を 得 た . ま た , Fr. 1C( 75 mg) も 同 様 に Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト ー グ ラ フ ィ ー に よ り 分 離 を 行 い , Frs. 3A~ 3E を 得 た . 120% 100% 80% Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL Luciferase 1ug/mL Viability 1ug/mL 60% 40% 20% 0% 2A 2B 2C 2D 2E 2F Fig. 3-5. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 2A – 2F 52 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 120% 100% 80% Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL Luciferase 1ug/mL Viability 1ug/mL 60% 40% 20% 0% 3A 3B 3C 3D 3E Fig. 3-6. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 3A – 3E そ れ ぞ れ の 画 分 に つ い て ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 い( Figs. 3-5 お よ び 3-6), 活 性 が 移 行 し た 画 分( Frs. 2D,2F お よ び 3D)に つ い て ,ODS HPLC に よ る 分 離 • 精 製 を 行 っ た ( Figs. 3-7 お よ び 3-8). Frs. 2D お よ び 2F は HPLC に よ る 分 析 の 結 果 , 同 じ 成 分 が 含 ま れ て お り , Fr. 2F の 分 離 を 行 っ た .結 果 , GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 と し て ,Fr. 2F よ り 化 合 物 17( Fr. 7B, 5.1 mg)を ,ま た Fr. 3D よ り 化 合 物 18( Fr. 8A, 4.9 mg) を 得 た . ま た , GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 は 行 っ て い な い が , 類 縁 体 と し て 化 合 物 19( Fr. 8B, 0.4 mg) を 単 離 し た ( Fig. 3-9). 7B Column; Develosil ODS-HG-5 f10´250mm Solvent; H 2 O/MeOH = 1/1 Flow rate; 2.0 mL/min Chart; 10 cm/h HPLC; Jasco HPLC Detection; UV (254 nm) 7A time Fig. 3-7. HPLC chromatogram of Fr. 2F 53 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 8A Column; Develosil ODS-HG-5 f10´250mm Solvent; H 2 O/MeOH = 1/1 Flow rate; 2.0 mL/min Chart; 10 cm/h HPLC; Jasco HPLC Detection; UV (254 nm) 8B time Fig. 3-8. HPLC chromatogram of Fr. 3D Physalis minima (whole, 15.0 g) extracted with 90% MeOH ´ 3 MeOH ext. (2.7 g) partitioned with n-hexane and H2O Hexane ext. (585 mg) H2O lay. partitioned with EtOAc and H2O EtOAc ext. (391 mg) H2O ext. (1.4 g) silica gel C.C. (Hex/EtOAc → EtOAc/MeOH) sephadex LH-20 C.C. (CHCl3/MeOH) ODS HPLC (H2O/MeOH) physalin F (17, 5.1 mg) physalin B (18, 4.9 mg) isophysalin B (19, 0.4 mg) Fig. 3-9. Isolation of compounds from Physalis minima 54 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 第二節 単離化合物の構造解析および同定 25 化 合 物 17 は ,非 結 晶 白 色 固 体 と し て 得 ら れ ,比 旋 光 度 [a] D –11( c 0.5, CHCl 3 ) を 示 し た .エ レ ク ト ロ ス プ レ ー イ オ ン 化 法( ESI)の 質 量 分 析 に お い て ,m/z 527.1917 を 示 し , HR-ESI MS に よ り 分 子 式 を C 2 8 H 3 0 O 1 0 と 決 定 し た . 1D お よ び 2D NMR の 解 析 に よ り , 化 合 物 17 は , 同 植 物 ( Physalis minima) お よ び Physalis angulata よ り 単 離 報 告 の あ る physalin F と 推 定 し , 文 献 値 と の 比 較 に よ り , 化 合 物 17 を physalin F と 同 定 し た [ 5 1 ] ( Fig. 3-10). 25 化 合 物 18 も ,非 結 晶 白 色 固 体 と し て 得 ら れ ,比 旋 光 度 [a] D –76( c 0.2, CHCl 3 ) を 示 し た . ESI の 質 量 分 析 に お い て , m/z 533.1793 を 示 し , HR-ESI MS に よ り 分 子 式 を C 2 8 H 3 0 O 9 と 決 定 し た .化 合 物 17 と 同 様 の 解 析 に よ り ,化 合 物 18 も physalin 類 で あ る と 推 測 し ,文 献 値 と の 比 較 に よ り ,化 合 物 18 を physalin B と 同 定 し た [5 2 ] ( Fig. 3-10). 化 合 物 19 も 同 様 の 解 析 に よ り ,文 献 値 と 比 較 す る こ と に よ り ,isophysalin B と 同 定 し た [5 3 ] ( Fig. 3-10). 55 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 第三節 化 合 物 17 お よ び 18 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 評 価 P. minima よ り GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 と し て 得 ら れ た physalin F( 17) お よ び B ( 18) の GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 用 量 依 存 的 に 調 べ た 結 果 , 両 化 合 物 と も 高 い 細 胞 生 存 率 を 保 ち な が ら ,GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る こ と が 判 明 し た( Fig. 3-10). H H O H O O % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 17 O H O GLI1 transcriptional activity O O O 100 75 75 50 50 25 25 0 0 0.2 1.0 mM O H H O HO H 1.5 mM 100 0.1 H O 1.0 % 18 O 0.5 % O H H HO H H O 0.2 Cell viability O 0.1 O O % Cell viability O HO H O GLI1 transcriptional activity O O H O O H O O 19 Fig. 3-10. Chemical structures of 17, 18 and 19, and their GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability at each concentration 56 第三章 Physalis minima からの活性成分の単離 第四節 小括 本 章 で は ,第 二 章 の 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ に お い て ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た サ ン プ ル と し て 得 た Physalis minima ( KKP0185) か ら の GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 の 単 離 を ,活 性 を 指 標 に し た 分 離・精 製 を 行 っ た 結 果 ,GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 と し て , physalin F( 17) お よ び B( 18) を 得 た .そ れ ぞ れ , 高 い 細 胞 生 存 率 を 保 ち な が ら , GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る こ と が 判 明 し た . 57 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 第 四 章 放 線 菌 CKK32 の 成 分 お よ び 生 薬 ich77 の 活 性 画 分 本章では,第二章において放線菌抽出物ライブラリーのスクリーニングで, GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た CKK32( 菌 種 は 未 同 定 )に つ い て ,GLI1 転 写 阻 害 活 性を指標に化合物を単離したことを述べる. ま た 会 社 依 頼 サ ン プ ル ( ich) の ス ク リ ー ニ ン グ で , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た サ ン プ ル ( ich77) に つ い て , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に 分 離 を 行 っ た が , 活 性画分が高極性に集中し,活性化合物の単離には至っていない.その分離過程に ついて述べる. 第一節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た CKK32 の 分 画 放 線 菌 CKK32 を Waksman 培 地 に て 液 体 培 養 ( 500 mL)し ,メ タ ノ ー ル に よ る 抽 出 を 行 っ た 後 ,抽 出 物 を 酢 酸 エ チ ル お よ び n-ブ タ ノ ー ル と 水 で 順 次 分 配 を 行 い , 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 430 mg) お よ び ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 3.6 g) を 得 た . そ れ ぞ れ の 抽 出 物 に つ い て ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た と こ ろ ,酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 に GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 移 行 し た ( Fig. 4-2). Fig. 4-1. CKK32 120% 100% 80% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL 60% 40% 20% 0% 32-E 32-B 32-W Fig. 4-2. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of 32-E, 32-B and 32-W 32-E, EtOAc ext.; 32-B, BuOH ext.; 32-W, H 2 O ext. 58 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 430 mg)を ,ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し た 結 果 ,8 つ の 画 分( Frs. 1A~ 1H)を 得 た .そ れ ぞ れ の 画 分 に つ い て , GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た 結 果 , Fr. 1B に GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 移 行 し た ( Fig. 4-3). 180% 160% 140% 120% luciferase 50ug/mL viability 50ug/mL luciferase 10ug/mL viability 10ug/mL 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G 1H Fig. 4-3. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 1A – 1H Fr. 1B( 249 mg) に つ い て , ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し , 5 つ の 画 分 ( Frs. 2A〜 2E) を 得 た . 100% 80% 60% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL 40% 20% 0% 32E2A 32E2B 32E2C Fig. 4-4. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 2A – 2C 59 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 2C に 移 行 し て い た の で ( Fig. 4-4), ODS HPLC に よ る GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た 分 離 •精 製 を 繰 り 返 し 行 っ た 結 果 ( Fig. 4-5), 活 性 化 合 物 26( Fr. 5F, 2.6 mg) を 得 た . 5F Sample; 32E4I, preparative (18 mg) Column; Mightysil RP-18 (f20´250mm) Solvent; H 2 O/MeOH 53/47 Flow; 5.0 mL/min Detection; RI (Jasco) Chart; 10 cm/h time Fig. 4-5. HPLC chromatogram of Fr. 4I 60 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 第二節 CKK32 よ り 得 ら れ た 化 合 物 の 同 定 お よ び 転 写 阻 害 の 考 察 化 合 物 26 は ,無 色 非 結 晶 物 質 と し て 得 ら れ ,1D お よ び 2D NMR に よ る 解 析 よ り ,cycloheximide と 同 定 し た [5 4 ]( Fig. 4-6).cycloheximide は ,ス ト レ プ ト マ イ シ ン 産 生 放 線 菌 ( Streptomyces griseus) か ら 単 離 さ れ る グ ル タ ル イ ミ ド 系 抗 生 物 質 である.無色針状晶で安定であるが,アルカリ性溶液では不安定である.主とし て ,酵 母 お よ び 糸 状 菌 に 対 し て 抗 菌 活 性 を 示 す . 真 核 細 胞 リ ボ ソ ー ム 60S サ ブ ユ ニットに作用し,ペプチド鎖伸長における転移反応を阻害するこによりタンパク 質 合 成 を 阻 害 す る . ま た , リ ボ ソ ー ム か ら の tRNA の 遊 離 を 阻 害 し , ポ リ ソ ー ム を 蓄 積 す る [5 5 ] . O H OH NH O % 100 100 75 75 50 50 25 25 0 0 Cell viability O GLI1 transcriptional activity % 0.3 0.6 1.3 2.5 5 10 mg/mL cycloheximide Fig. 4-6. Chemical structure of cycloheximide (26) and its GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability at each concentration cycloheximide の 生 物 活 性 に ,タ ン パ ク 質 合 成 阻 害 が 知 ら れ て い る .今 回 ,本 ア ッ セ イ 系 に て ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 抑 制 し た が , こ の 抑 制 が GLI1 転 写 阻 害 に よ る も の か を 確 認 し た .cycloheximide の 作 用 点 と し て 考 え ら れ る の が ,レ ポ ー タ ー 遺伝子であるルシフェラーゼの発現におけるタンパク質合成阻害である.このタ ンパク質阻害かどうかを確認するため,プロモーター領域の異なるレポータープ ラスミドによるレポーターアッセイを行った. 1) TOP Flash に よ る 評 価 TOP Flash は ,Wnt シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る 転 写 を 検 出 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド で あ り ,プ ロ モ ー タ ー 領 域 に は ,b -catenin/TCF-LEF 転 写 因 子 が 結 合 す る 領域を有し,その下流にレポーター遺伝子であるルシフェラーゼがコードされ て い る . こ の プ ラ ス ミ ド が 安 定 発 現 し て い る 細 胞 ( STF/293T) に お い て ,レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ を 行 っ た 結 果 ,10 mg/mL の 濃 度 に て ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 阻 害 し た .( Luciferase activity, 1.6%; Cell viability, 77%) 61 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 2) pCMV-luc に よ る 評 価 pCMV-luc プ ラ ス ミ ド は , プ ロ モ ー タ ー 領 域 に CMV( cytomegalovirus) プ ロ モーターを有し,その下流にルシフェラーゼ遺伝子をコードするプラスミドで あ る .こ の プ ラ ス ミ ド を PANC1 細 胞 に 一 過 性 導 入 し ,レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ を 行 っ た 結 果 ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 阻 害 し た . ( Luciferase activity, 38% at 10 mg/mL and 63% at 1 mg/mL, 但 し pRL-luc に よ る 補 正 を 行 っ て い な い ) 3) pGL4-Bcl2-prom に よ る 評 価 pGL4-Bcl2-prom プ ラ ス ミ ド は ,プ ロ モ ー タ ー 領 域 に bcl2( B-cell Lymphoma-2 : 抗 ア ポ ト ー シ ス ) の 5’-flanking region を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド で あ る . pCMV-luc と 同 様 に ,一 過 性 導 入 に て レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ を 行 っ た 結 果 ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 阻 害 し た .( Luciferase activity, 16% at 10 mg/mL; 25% at 1 mg/mL お よ び 55% at 0.1 mg/mL, 但 し pRL-luc に よ る 補 正 を 行 っ て い な い ) プロモーター領域の異なるすべてのレポーター活性を阻害したことにより, cycloheximide は , GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 し , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 抑 制 し たのではなく,ルシフェラーゼのタンパク合成を阻害したことにより,見かけ上 の レ ポ ー タ ー 活 性 が 下 が っ た も の と 推 測 し , cycloheximide は , GLI1 転 写 阻 害 活 性化合物ではない擬陽性サンプルと結論づけた. ま た , 放 線 菌 ラ イ ブ ラ リ ー の GLI1 転 写 阻 害 活 性 ス ク リ ー ニ ン グ に お い て , CKK166 も GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し て い た が ,本 菌 株 か ら も 当 研 究 室 の 会 田 渉 氏 に よ り cycloheximide が 単 離 さ れ て お り , CKK166 に お け る 阻 害 活 性 も , cycloheximide の タ ン パ ク 合 成 阻 害 に よ る も の と 結 論 づ け た . レポーターアッセイを行う上で,今回の事例は十分留意しなければならい点で ある. 62 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 第三節 GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た ich77 の 分 画 共 同 研 究 中 の 会 社 生 薬 抽 出 物 サ ン プ ル #77( ich77) 44.2 g を 酢 酸 エ チ ル お よ び n-ブ タ ノ ー ル と 水 で 順 次 分 配 し ,得 ら れ た 抽 出 物 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た と こ ろ , 全 て の 抽 出 物 に 活 性 が 見 ら れ た が , 10 mg/mL に て 顕 著 に GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 に つ い て , 以 降 の 分 離 を 行 っ た ( Fig. 4-7). 100% 80% 60% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL 40% 20% 0% ichi77E ich77B ich77W Fig. 4-7. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of ich77E, ich77B and ich77W ich77E, EtOAc ext.; ich77B, BuOH ext.; ich77W, H 2 O ext. ブ タ ノ ー ル 抽 出 物( 7.4 g)を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た Diaion HP-20 ク ロ マ ト ー グ ラ フ ィ ー に て 5 つ の 画 分 ( Frs. 1A〜 1E) に 分 離 し た と こ ろ , GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Frs. 1C, 1D お よ び 1E に 移 行 し た ( Fig. 4-8). 63 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 140% 120% 100% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 5ug/mL Viability 5ug/mL 80% 60% 40% 20% 0% 77B1A 77B1B 77B1C 77B1D 77B1E Fig. 4-8. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 1A – 1E Fr. 1C( 1.9 g)を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト ー グ ラ フ ィ ー に よ る 分 離 を 行 い ,4 つ の 画 分( Frs. 2A〜 2D)を 得 た( Fig. 4-9). 100% 80% 60% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 5ug/mL Viability 5ug/mL 40% 20% 0% 77B2A 77B2B 77B2C 77B2D Fig. 4-9. TLC analysis, and GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 2A – 2D TLC, ODS; solvent, H 2 O/MeOH 3/2, detection, 10%H 2 SO 4 D GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 2D に 移 行 し , 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た ODS HPLC に よ り 分 離 を 行 っ た が( Fig. 4-10),活 性 画 分 は ,Fr. 5A( 6.0 mg)に 移 行 し ( Fig. 4-11), 主 成 分 の Fr. 5B に は GLI1 転 写 阻 害 活 性 は 見 ら れ な か っ た . Fr. 5A 64 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 の更なる分離は,量が少ないこと,また多数の成分が存在することから,ここで 断 念 し た .ま た ,Frs. 2C お よ び 2D( GLI1 転 写 阻 害 活 性 な し )の 主 成 分 に も GLI1 転 写 阻 害 活 性 が な い こ と を 確 か め た .従 っ て ,Fr. 1C の GLI1 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 は , Fr. 5A に 集 約 さ れ て い る こ と が 判 明 し た . Column; Mightysil RP-18 (f20´250mm) Solvent; H 2 O/MeOH 55/45 Flow; 5.0 mL/min Detection; UV (254 nm) Chart; 10 cm/h 5B 5A 5C 5D time Fig. 4-10. HPLC chromatogram of Fr. 2D 120% 100% 80% Lufirerase 50ug/mL Viability 50ug/mL Lufirerase 10ug/mL Viability 10ug/mL 60% 40% 20% 0% 77B5A 77B5B 77B5C 77B5D Fig. 4-11. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 5A – 5D 65 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 Fr. 1D( 1.4 g)を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト ー グ ラ フ ィ ー に よ る 分 離 を 行 い ,6 つ の 画 分( Frs. 6A〜 6F)を 得 た .GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , 全 て の 画 分 に 分 散 し た ( Fig. 4-12). 100% 80% 60% Lufirerase 50ug/mL Viability 50ug/mL Lufirerase 10ug/mL Viability 10ug/mL 40% 20% 0% 77B6A 77B6B 77B6C 77B6D 77B6E 77B6F Fig. 4-12. TLC analysis, and GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 6A – 6F TLC, ODS; solvent, H 2 O/MeOH 1/1, detection, 10%H 2 SO 4 D 量 の 多 い Fr. 6B( 1.1 g)に つ い て ,水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た ODS HPLC に よ り 主 成 分 の 分 取 を 行 い ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た と こ ろ ,主 成 分( Frs. 7D お よ び 7G) に は GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 見 ら れ ず , Fr. 7A に GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 移 行 し た ( Figs. 4-13 お よ び 4-14). そ こ で , Fr. 7A を ODS HPLC に て 細 か く 分 離 し , GLI1 転 写 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た 結 果 , さ ら に 初 め の 画 分 ( Frs. 8A〜 8C) に 活 性 が 移 行 し た ( Figs. 4-15 お よ び 4-16). し か し 現 在 , 活 性 画 分 に 含 ま れ る の 活 性化合物の単離には至っていない. 66 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 Column; Mightysil RP-18 (f20´250mm) Solvent; H 2 O/MeOH 63/37 Flow; 5.0 mL/min Detection; UV (254 nm) Chart; 10 cm/h 7G 7D 7F 7C 7E 7H 7A 7B 7I time Fig. 4-13. HPLC chromatogram of Fr. 6B 140% 120% 100% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL 80% 60% 40% 20% 0% 7A 7B 7C 7D 7E 7F 7G 7H 7I Fig. 4-14. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 7A – 7I 67 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 Column; Mightysil RP-18 (f20´250mm) Solvent; H 2 O/MeOH 65/35 Flow; 5.0 mL/min Detection; UV (254 nm) Chart; 10 cm/h F E D C B A time Fig. 4-15. HPCL chromatogram of Fr. 7A 120% 100% 80% Luciferase 50ug/mL Viability 50ug/mL Luciferase 10ug/mL Viability 10ug/mL 60% 40% 20% 0% 77B8A 77B8B 77B8C 77B8D 77B8E 77B8F Fig. 4-16. GLI1-mediated transcriptional activity and cell viability of Frs. 8A – 8F 68 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 第四節 ich77 の 活 性 画 分 の 分 離 お よ び 考 察 今 回 ,生 薬 ich77 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 の 単 離 を 目 的 に ,活 性 を 指 標 に し た 分 離 を 行 っ た が ,そ の 活 性 化 合 物 は ,TLC や HPLC な ど で 分 離 可 能 な 主 成 分 で は な く ,ODS HPLC に よ る 分 離 の 際 に ,初 め に 出 て く る 高 極 性 の 画 分 に 集 中 し た . ODS HPLC で は , ピ ー ク に な ら ず ブ ロ ー ド し て し ま う こ と , ま た , 極 性 が 高 い 画 分であることより,今後の分離の方法として,画分のアセチル化を行い,分離を 進めていく方法をとりたいと考えている. 69 第四章 放線菌 CKK32 の成分および生薬 ich77 の活性画分 第五節 小括 本 章 で は ,放 線 菌 CKK32 の 活 性 成 分 お よ び 生 薬 ich77 の 活 性 画 分 の 分 離 に つ い て述べた. 放 線 菌 CKK32 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た 分 離 ,精 製 に よ り ,活 性 化 合 物 と し て cycloheximide( 26) を 得 た . し か し , cycloheximide の 作 用 点 は , GLI1 転写阻害ではなく,ルシフェラーゼタンパクの翻訳におけるタンパク合成阻害で あることが判明した.レポーターアッセイの注意点として,留意しなければなら ない点である. ま た ,会 社 依 頼 サ ン プ ル で あ る 生 薬 ich77 を ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に 分 離 を 行 っ た 結 果 ,ich77 に 含 ま れ る 主 成 分 に 活 性 が あ る の で は な く ,ODS HPLC に て 最初に出てくる高極性画分に活性が移行した.現在,活性化合物の単離には至っ ておらず,分離や単離に工夫をしなければならない. 70 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 第五章 GLI 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 の 評 価 本 章 で は , 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー お よ び Physalis minima よ り 得 ら れ た GLI1 転 写 阻害活性化合物を用いて,細胞での作用を詳細に調べるために,ヘッジホッグシ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 関 与 し て い る 遺 伝 子 発 現 の 影 響 を HaCaT 細 胞 お よ び ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 亢 進 し て い る す い 臓 癌 細 胞 株 ( PANC1) に て 検 討 し た こ とを述べる. 第一節 転 写 因 子 GLI2 に 対 す る 転 写 阻 害 活 性 の 評 価 ヘッジホッグシグナル伝達経路において,シグナル最下流に位置する転写因子 に は ,GLI1,GLI2 お よ び GLI3 が 存 在 す る .そ れ ぞ れ の 転 写 因 子 は ,構 造 的 に 高 い 相 同 性 が 知 ら れ て お り , Zn-フ ィ ン ガ ー ド メ イ ン を 有 し , 同 じ DNA 結 合 配 列 ( -GACCACCCA-)を 認 識 し て 転 写 を 調 節 す る [5 6 ] .GLI1 は 転 写 を 活 性 化 す る 作 用 を 持 ち , GLI2 は 転 写 を 活 性 化 お よ び 抑 制 の 両 方 の 作 用 を 持 つ . ま た , GLI3 は 転 写を抑制する作用を持ち,胚発生における形態形成,分化および増殖などでそれ ぞ れ の 転 写 因 子 が ,そ れ ぞ れ の 転 写 調 節 に 作 用 し て い る [5 7 ] .一 方 ,癌 細 胞 に お い て , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 異 常 亢 進 し て い る 細 胞 で は , GLI1 お よ び GLI2 の 過 剰 発 現 が 報 告 さ れ て お り ,こ れ ら 転 写 因 子 が ,癌 遺 伝 子 の 一 つ と し て 作 用 す る [5 8 ] . まず,化合物ライブラリーより同定したセスキテルペン類とビスインドールア ル カ ロ イ ド 類 お よ び P. minima よ り 単 離 さ れ た physalin 類 に お い て , GLI1 に よ る 転 写 を 阻 害 す る 化 合 物 が , GLI2 に よ る 転 写 も 阻 害 す る か を 調 べ た . GLI2 の 発 現 が tetracycline( Tc)に よ り 制 御 さ れ て い る 細 胞( HaCaT-GLI2 細 胞 , T-REx system) [3 2 ] に , 第 一 章 に て 作 成 し た pGL4-GLI BS レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド ( 12´GACCACCCA−TK−luciferase)を 一 過 性 導 入 す る こ と で ,GLI2 に よ る 転 写 へ の 影 響 を 調 べ た . 用 い た 化 合 物 は GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た , zerumbone( 1), zerumbone epoxide( 2), staurosporinone( 9), physalin F( 17) お よ び physalin B ( 18) で あ る . そ の 結 果 , Table 5-1 に 示 す よ う に , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た 化 合 物 に お い て , GLI2 に よ る 転 写 も 阻 害 し , こ れ ら に は 相 関 が 見 ら れ た . 71 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 Table 5-1. IC 5 0 values [mM, (mg/mL)] of GLI1 and GLI2-mediated transcriptional inhibitory activity Compounds 1 2 GLI1 GLI2 mM (mg/mL) 7.1 (1.5) 55 (13.0) mM 0.91 90 (mg/mL) (0.23) (21.3) 9 1.8 (0.57) 2.7 10 3.6 (1.2) n.d. 11 11.3 (4.0) n.d. 12 6.9 (2.5) n.d. 17 0.66 (0.35) 1.4 (0.80) 18 0.62 (0.32) 1.5 (0.80) cyclopamine >40 n.d. n.d., not determined 72 (0.84) 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 第二節 HaCaT 細 胞 に お け る GLI1, PTCH, BCL2 タ ン パ ク 発 現 の 評 価 そ れ ぞ れ の GLI 転 写 阻 害 化 合 物 の 細 胞 で の 影 響 を 調 べ る た め に , GLI1 ま た は GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ た HaCaT 細 胞 に お い て , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 制 御 し て い る 遺 伝 子 発 現 を , Western blotting に て タ ン パ ク 発 現 量 を 調 べ た . 用 い た 化 合 物 は , セ ス キ テ ル ペ ン 化 合 物 zerumbone( 1), ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 staurosporinone( 9),16,24-cyclo-13,14-seco-steroid 化 合 物 で あ る physalin F( 17) お よ び physalin B( 18) で あ る ( Fig. 5-1). O H N O N H N H 1 O O O H O O O H H O HO H H O O O H H HO H H O O O O 9 H O O O 17 18 Fig. 5-1. Chemical structures of GLI1-mediated transcriptional inhibitors ( 1, 9, 17 and 18) from natural resources 1) 細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 量 の 確 認 本 レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ 系 に お い て ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 下 げ た 理 由 と し て , GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 し た 場 合 , 細 胞 が 化 合 物 の 毒 性 に よ り 死 滅 し た 場 合 , ル シ フ ェ ラ ー ゼ タ ン パ ク の 合 成 阻 害 , ま た , 細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 量 の 減 少 な ど が 挙 げ ら れ る . 今 回 得 ら れ た 阻 害 剤 が , 細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 質 を 減 少 さ せ て い な い か ど う か を Western blotting に て 確 認 し た . ア ッ セ イ 系 の 構 築 の 際 , 外 因 性 GLI1 を 誘 導 す る プ ラ ス ミ ド 上 の CMV プ ロ モ ー タ ー の 影 響 は 排 除 す る よ う に 検 討 し た が ,こ れ ら 化 合 物 が CMV 等 を 阻 害 し て 細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 量 を 減 少 さ せ て い な い か の 確 認 で も あ る . そ の 73 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 結 果 ,tetracyclin( Tc)添 加 に よ り 誘 導 さ れ た 外 因 性 GLI1 は 細 胞 内 に 過 剰 に 存 在 し ,化 合 物 1,9,17 お よ び 18 は ,細 胞 内 の GLI1 を 減 少 す る こ と な く ,GLI1 に よ る 転 写 を 阻 害 す る こ と が 確 認 さ れ た ( Fig. 5-2). compound Tc – – 1 10 9 5 8 17 4 4 2 18 4 2 mg/mL – + + + + + + + + + 150kDa GLI1 b-actin Fig. 5-2. Western blotting analysis of exogenous GLI1 protein in inhibitors-treated HaCaT assay cells 2) GLI1 を 過 剰 発 現 さ せ た 状 態 で の PTCH 量 転 写 因 子 GLI が 制 御 す る 遺 伝 子 と し て , ptch が あ り , ptch の 遺 伝 子 を コ ー ド す る 上 流 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 に は ,GLI 結 合 領 域 が 存 在 す る こ と が 報 告 さ れ て い る [5 9 ] .今 回 得 ら れ た GLI 転 写 阻 害 化 合 物( 1, 9, 17 お よ び 18)が ,GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 し て ,下 流 の 遺 伝 子 産 物 で あ る PTCH の 発 現 を 抑 制 す る か ど う か を ,GLI1 を 過 剰 発 現 さ せ た HaCaT 細 胞 を 用 い て ,Western blotting に よ り タ ン パ ク 発 現 を 調 べ た .そ の 結 果 ,Tc 添 加 に よ る GLI1 の 過 剰 発 現 に よ り 僅 か で は あ る が , PTCH の 発 現 増 加 が 起 こ り , 化 合 物 処 理 群 で は , PTCH の 発 現 を 抑 制 し た .今 回 ,Tc を 添 加 し GLI1 を 過 剰 発 現 さ せ た に も か か わ ら ず ,PTCH 発 現 の 増 大 が み ら れ な か っ た の は , 内 在 性 の GLI に よ り PTCH の 発 現 は 飽 和 に な っ て お り , GLI1 を 過 剰 発 現 さ せ て も , そ の 発 現 は 増 加 し な い も の と 推 測 し て い る が , 化 合 物 の 処 理 に よ り , PTCH の 発 現 は 抑 制 さ れ た ( Fig. 5-3). 74 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 compound Tc – – 10 1 5 8 9 4 17 4 2 18 4 2 mg/mL – + + + + + + + + + PTCH 140kDa b-actin Fig. 5-3. Western blotting analysis of PTCH protein 3) GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ た 状 態 で の GLI1 お よ び PTCH 量 転 写 因 子 GLI2 も ,GLI1 と 同 様 に ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 関 係 の 遺 伝 子 ( Gli1, Ptch な ど ) を 制 御 し て い る [5 9 , 6 0 ] . Gli1 遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー は GLI2 が 制 御 す る 報 告 が あ る こ と か ら [6 0 ] ,今 回 ,GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ た と き の GLI1 お よ び PTCH の タ ン パ ク 発 現 量 を Western blotting に て 確 認 し た . そ の 結 果 , GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ る こ と で , GLI1 の 発 現 が 増 大 し , 化 合 物 ( 1, 9, 17 お よ び 18)処 理 に よ り ,そ の 発 現 が 抑 制 し た .ま た ,PTCH も 同 様 に ,化 合 物 処 理 に よ り そ の タ ン パ ク 発 現 を 抑 制 し た ( Fig. 5-4). compound Tc – – 1 10 9 5 8 17 4 4 2 18 4 2 mg/mL – + + + + + + + + + GLI1 150kDa PTCH 140kDa b-actin Fig. 5-4. Western blotting analysis of GLI1 and PTCH 75 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 4) GLI1 ま た は GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ た 状 態 で の BCL2 量 GLI1 お よ び GLI2 は , 抗 ア ポ ト ー シ ス タ ン パ ク で あ る Bcl2 の 遺 伝 子 発 現 を 制 御 し て い る 報 告 が あ る [6 1 , 6 2 ] .つ ま り ,Bcl2 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 に ,GLI 結 合 領 域 が 存 在 し , Bcl2 の 発 現 が GLI に よ り 制 御 さ れ て い る . 今 回 , GLI1 ま た は GLI2 を そ れ ぞ れ 過 剰 発 現 さ せ た HaCaT 細 胞 に て 化 合 物 ( 1, 9, 17 お よ び 18) の 影 響 を , 前 述 と 同 じ 手 法 に て 調 べ た . そ の 結 果 , Tc 添 加 に よ る 外 因 性 GLI1 ま た は GLI2 の 過 剰 発 現 に よ り , BCL2 の タ ン パ ク 発 現 の 増 加 を 確 認 し た . こ の 状 態 に て 化 合 物 ( 1, 9, 17 お よ び 18) を 処 理 し た と こ ろ , BCL2 の 発 現 を 抑 制 し た ( Fig. 5-5). A) GLI1 overexpression compound Tc – – 10 1 5 8 9 4 17 4 2 18 4 2 mg/mL – + + + + + + + + + BCL2 26kDa b-actin B) GLI2 overexpression compound Tc – – 1 10 9 5 8 17 4 4 2 18 4 2 mg/mL – + + + + + + + + + BCL2 26kDa b-actin Fig. 5-5. Western blotting analysis of BCL2 protein. A) under GLI1 overexpression; B) under GLI2 overexpression 76 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 第三節 PANC1 細 胞 に お け る 評 価 ヒトのすい臓癌細胞では,ヘッジホッグシグナル伝達経路が異常亢進している と の 報 告 が あ り [6 3 ] ,今 回 得 ら れ た GLI 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 が ,ヒ ト す い 臓 癌 細 胞 株 ( PANC1 細 胞 ) に 及 ぼ す 影 響 を 調 べ た . 1) 細 胞 毒 性 試 験 今 回 の ス ク リ ー ニ ン グ に よ り 得 ら れ た 化 合 物 zerumbone ( 1 ), zerumbone epoxide ( 2 ), staurosporinone ( 9 ), 6-hydroxystaurosporinone ( 10 ), 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A( 12),physalin F( 17)お よ び physalin B( 18)と , GLI1 転 写 阻 害 活 性 は 示 さ な か っ た が , 比 較 と し て zerumbone 誘 導 体 ( 3~ 7) に つ い て , FMCA( Fluorometric Microculture Cytotoxic Assay) [3 3 ] を 用 い て , PANC1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 試 験 を 行 っ た . ま た , 比 較 対 照 と し て , マ ウ ス embryonic mesoderm cell line で あ る C3H10T1/2 細 胞 ( Hh responsive but not reliant on Hh for survival) に つ い て も FMCA に よ る 細 胞 毒 性 試 験 を 行 っ た . そ の 結 果 を Table 5-2 に 示 す .そ れ ぞ れ の 値 は ,IC 5 0( 50% Inhibition Concentration, mM) を 示 す . Table 5-2. IC 5 0 values of cytotoxicity against PANC1 and C3H10T1/2 cells C3H10T1/2 PANC1 Compounds mM mM (mg/mL) (mg/mL) 1 68.8 2 >85.4 3 191 (39) >123 (>25) 4 >227 (>50) >113 (>25) 5 144 (32) >112 (>25) (15.0) (>20) 70.7 (15.4) >85.4 (>20) 6 136 (34) >100 (>25) 7 >200 (>50) >105 (>25) 9 40.8 (12.7) 10 43.8 (18.6) 12 >70 (>25) 137 21.0 >70 (42.6) (7.0) (>25) 17 2.7 (1.4) 15.0 (7.9) 18 5.3 (2.7) 17.0 (8.7) 77 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 GLI 転 写 阻 害 活 性 と PANC1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 を 比 較 す る と , GLI 転 写 阻 害 活 性 が 強 い 17 お よ び 18 は , よ り 低 濃 度 に て PANC1 細 胞 に 対 し て 細 胞 毒 性 を 示 し , GLI 転 写 阻 害 が 弱 い 2 は , PANC1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 は 弱 か っ た . 概 し て , GLI 転 写 阻 害 活 性 と PANC1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 に は , 相 関 が 見 ら れ た .ま た ,化 合 物 9, 17 お よ び 18 は ,比 較 対 照 の 細 胞 で あ る C3H10T1/2 細 胞 に 比 べ , PANC1 細 胞 の ほ う が , よ り 強 く 細 胞 毒 性 を 示 し た . 2) PANC1 細 胞 に お け る ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 関 連 遺 伝 子 の 発 現 抑 制 PANC1 細 胞 で は , Gli1,Gli2 や Ptch な ど の 発 現 が 亢 進 し て お り ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が , PANC1 細 胞 で の 増 殖 に 関 与 し て い る . 今 回 , GLI に よ る 転 写 阻 害 を 示 す 化 合 物 が , PANC1 細 胞 で こ れ ら ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 関 連 遺 伝 子 の 発 現 を 抑 え る か ど う か を , 半 定 量 的 RT-PCR 法 [ 6 4 ] に よ り 確 認 し た .そ の 結 果 ,そ れ ぞ れ の GLI 転 写 阻 害 化 合 物( 1, 9, 17 お よ び 18)が ,Gli1, Gli2 や Ptch の 遺 伝 子 発 現 を 抑 制 し た ( Fig. 5-6). compound - 1 10 9 5 8 17 4 4 2 18 4 2 mg/mL Gli1 Gli2 Ptch Gapdh Fig. 5-6. Semiquantitative RT-PCR analysis of gene expressions of Gli1, Gli2 and Ptch 78 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 3) PANC1 細 胞 に お け る PTCH タ ン パ ク 発 現 の 抑 制 PANC1 細 胞 に お い て , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 関 連 遺 伝 子 の 発 現 抑 制 が 見 ら れ た こ と か ら ,転 写 因 子 GLI の 標 的 遺 伝 子 で あ る PTCH の タ ン パ ク 発 現 量 を , PANC1 細 胞 に て 調 べ た . 用 い た 化 合 物 は , 今 回 得 ら れ た 化 合 物 の 中 で , よ り 強 い GLI 転 写 阻 害 活 性 お よ び PANC1 増 殖 阻 害 活 性 を 示 し た physalin F( 17) お よ び B( 18) を 用 い た . 結 果 , physalin F( 17)お よ び B( 18) は そ れ ぞ れ 4 mg/mL の 濃 度 に て , PTCH の 発 現 を 抑 制 し た ( Fig. 5-7). compound – 17 4 18 2 4 2 mg/mL 140kDa PTCH b-actin Fig. 5-7. Western blotting analysis of PTCH in PANC1 cell 4) PANC1 細 胞 で の pGL3-Bcl2 prom を 用 い た Bcl2 の プ ロ モ ー タ ー 活 性 の 抑 制 PANC1 細 胞 に , 抗 ア ポ ト ー シ ス タ ン パ ク Bcl2 の 5’-flanking region( Bcl2 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 2.8 kbp)を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド を 一 過 性 導 入 し て , Bcl2 の プ ロ モ ー タ ー へ の 影 響 を 調 べ た . Bcl2 の 5’-flanking region に は , 転 写 因 子 GLI の 結 合 配 列( consensus-GACCACCCA-)が 7 つ 存 在 し ,GLI が 転 写 を 制 御 し て い る [6 1 ] .PANC1 細 胞 で は ,GLI1 お よ び GLI2 が 発 現 し て お り( Fig. 5-6), pGL3-Bcl2 prom レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド を 遺 伝 子 導 入 す る こ と で ,内 在 性 の GLI に よ り レ ポ ー タ ー 活 性 を 示 す .そ こ に ,今 回 得 ら れ た 化 合 物 を 処 理 し ,転 写 活 性 を レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ に て 確 認 し た . pGL3-Bcl2 prom の プ ロ モ ー タ ー 領 域 ( 2.8 kbp) は , ゲ ノ ム DNA 由 来 で あ る . staurosporinone( 9), physalin F( 17) お よ び physalin B( 18) を 処 理 し , そ の レ ポ ー タ ー 活 性 ,す な わ ち GLI に よ る 転 写 活 性 を 調 べ た 結 果 ,9 が 61%( 16 mM),17 が 74%( 3.9 mM)お よ び 18 が 68%( 3.8 mM)を 示 し ,そ れ ぞ れ の 化 合 物 が Bcl2 の プ ロ モ ー タ ー 活 性 を 30%程 度 阻 害 す る こ と が 判 明 し た . 79 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 第四節 活性化合物の考察 今 回 GLI 転 写 阻 害 化 合 物 と 同 定 し た 化 合 物 に つ い て ,文 献 等 の 調 査 に よ り ,以 下のことを考察した. zerumbone 類 zerumbone( 1)は ,Zingiber zerumbet よ り 単 離 さ れ た セ ス キ テ ル ペ ン 化 合 物 で , ア ポ ト ー シ ス を 誘 導 し て 細 胞 死 を 導 く 報 告 が あ る [6 5 ] .Takada ら は ,HepG2 細 胞 に zerumbone を 作 用 さ せ , anti-apoptosis protein Bcl2 の 発 現 抑 制 と pro-apoptosis protein Bax の 発 現 上 昇 を 確 認 す る こ と で ,Bax/Bcl2 ratio の 増 加 に よ り ア ポ ト ー シ ス を 引 き 起 こ す こ と を 報 告 し て い る [6 6 ] . 先 に も 述 べ た よ う に , bcl2 の 5’-flanking region で あ る プ ロ モ ー タ ー 領 域 に は , GLI 結 合 領 域 が 存 在 す る 報 告 が あ る こ と か ら [6 1 , 6 2 ] , zerumbone に よ る Bcl2 の 発 現 抑 制 に は , GLI に よ る 転 写 阻 害 活 性 が 関 与 しているのではないかと推測した. ま た ,Murakami ら の 報 告 に よ り ,zerumbone の 細 胞 毒 性 に 対 す る 構 造 活 性 相 関 の 報 告 が あ り [6 7 ] ,彼 ら は ,交 差 共 役 ケ ト ン が ,標 的 分 子 と 相 互 作 用 す る と 報 告 し て い る . 今 回 GLI1 転 写 阻 害 活 性 に て 得 ら れ た 結 果 は , 交 差 共 役 ケ ト ン を 持 つ zerumbone( 1) お よ び zerumbone epoxide( 2) に の み 活 性 を 示 し , 他 の 化 合 物 3 〜 8 は 活 性 を 示 さ な か っ た こ と よ り ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 に も ,こ の 交 差 共 役 ケ ト ン の 存 在 が 必 須 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .ま た ,zerumbone の 2,3 位 間 の 二 重 結 合 が エ ポ キ シ ド に 酸 化 さ れ た zerumbone epoxide( 2) の 活 性 が 減 弱 し た こ と か ら , 2,3 位 間 の 二 重 結 合 も GLI1 転 写 阻 害 活 性 に 必 要 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た . O 8 H 7 O 6 O O 8 9 10 H 7 7 2 3 1 IC50=7.1 mM O 5 O H 2 4 3 6 7 OMe 3 6 6 H 2 IC50=55 mM 6 7 IC50 > 25 mg/mL Fig. 5-8. Structure-Activity Relationship of zerumbone analogues 80 7 O 6 HH O 8 O 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 bisindole alkaloids 類 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 は ,C2−C2′位 の 炭 素 −炭 素 結 合 を 有 す る 9,10,11 お よ び 12 に GLI1 転 写 阻 害 活 性 が 見 ら れ , C2−C2′位 の 結 合 が な い 13, 14, 15 お よ び 16 に は 活 性 が 見 ら れ な か っ た こ と よ り , GLI1 転 写 阻 害 に は C2−C2'位 の 結 合 が 必 須 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た .ま た ,9′位 が メ チ レ ン で あ る 9 お よ び 10 に ,活 性 が 増 強する傾向にあることも示唆された. 最 近 の 研 究 に お い て ,GLI に よ る 転 写 活 性 に は ,protein kinase C-d( PKC−d)が 関 与 し て い る 報 告 が あ る [6 8 ] .ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 に は ,プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ の 阻 害 作 用 が 報 告 さ れ て い る こ と か ら [4 3 ] ,今 回 得 ら れ た GLI 転 写 阻 害 化 合 物 が PKC −dを 阻 害 す る こ と で ,GLI に よ る 転 写 を 阻 害 し て い る 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ た . H N O N H 2 2’ HO N H 9 IC50=1.8 mM H N O H N O 9’ N H N H 10 IC50=3.6 mM O H N O O HO HO N H OH HO N H 11 IC50=11 mM MeOOC N H H N COOMe N H 12 IC50=6.9 mM ROOC H N COOH R N H N H 13 R=H 14 R-OH N H IC50 > 25 mg/mL N H 15 R=H 16 R-Me Fig. 5-9. Structure-Activity Relationship of bisindole alkaloids analogues 81 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 physalin 類 physalin は ,Physalis minima お よ び Physalis angulata な ど の Physalis 属 よ り 単 離 さ れ る 16,24-cyclo-13,14-seco-steroid 化 合 物 で あ る .こ れ ま で の 単 離 報 告 例 は 多 数 存 在 し , physalin 以 外 に も , Withanolide な ど の 誘 導 体 も 存 在 す る . ま た , 様 々 な 癌 細 胞 に 対 し て 細 胞 毒 性 を 示 す な ど , そ の 生 物 活 性 に は 興 味 深 い も の が あ る [69]. NJ Jacobo-Herrera ら に よ り , physalin が NF-kB の modulator と て 作 用 す る こ と が 報 告 さ れ た [7 0 ] . 彼 ら は , physalin が , PMA( phorbol 12-O-myristate 13-acetate) 誘 導 の NF-kB 活 性 化 に 対 し て 阻 害 活 性 を 示 す こ と を 報 告 し て い る .PMA は ,PKC を 活 性 化 す る 化 合 物 で あ り , 以 上 の こ と よ り , 一 つ の 可 能 性 と し て , physalin も ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 同 様 に , PKC を 阻 害 す る こ と で , GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害したのではないかと示唆された. cyclopamine cyclopamine は ,ユ リ 根 よ り 単 離 さ れ た ス テ ロ イ ド 性 ア ル カ ロ イ ド で ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る Smo 受 容 体 に 直 接 結 合 し ,そ の 作 用 を 阻 害 し て シ グ ナ ル 伝 達 を 阻 害 す る [2 1 ] . cyclopamine を 今 回 構 築 し た ア ッ セ イ 系 に て 評 価 し た と こ ろ ,40 mM で レ ポ ー タ ー 活 性 を 抑 制 し な か っ た( Table 5-1).つ ま り cyclopamine は , GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 し な い こ と が 判 明 し , 今 回 得 ら れ た 化 合 物 が , cyclopamine と は 違 う 作 用 点 に て 阻 害 す る こ と で ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 阻 害 す る こ と が 分 か っ た . す い 臓 癌 細 胞 PANC1 な ど は , Smo に 変 異 が 生 じ る こ と で , シ グ ナ ル 伝 達 が 異 常 亢 進 し て い る .今 回 得 ら れ た 化 合 物 は , Smo よ り も 下 流 で あ る GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る 阻 害 剤 で あ り ,Smo よ り も 下 流 で 変 異 が起こり,シグナル伝達経路が活性化した癌細胞でも,有用であることが示唆さ れた. 82 第五章 GLI 転写阻害活性化合物の評価 第五節 小括 構 築 し た ア ッ セ イ 系 で の ス ク リ ー ニ ン グ に よ り ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 と し て , セ ス キ テ ル ペ ン 化 合 物 zerumbone( 1) お よ び zerumbone epoxide( 2) を , ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 staurosporinone ( 9 ), 6-hydroxystaurosporinone ( 10 ), arcyriaflavin C( 11) お よ び 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A( 12) を , ま た 天 然 資 源 Physalis minima よ り physalin F( 17) お よ び physalin B( 18)を 同 定 し た .こ れ ら 化 合 物 は , 転 写 因 子 GLI2 に 対 す る 阻 害 も 示 し , 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る こ と が 判 明 し た . ま た , 化 合 物 1, 9, 17 お よ び 18 に つ い て , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 制 御 し て い る 遺 伝 子 発 現 へ の 影 響 に つ い て ,GLI1 ま た は GLI2 を 過 剰 発 現 さ せ た HaCaT 細 胞 に て 調 べ た 結 果 ,そ れ ら タ ン パ ク 発 現( GLI1, PTCH お よ び BCL2)を 抑 制 し た .ま た ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 亢 進 し て い る す い 臓 癌 細 胞 株 ( PANC1) に 対 し て , 17 お よ び 18 は 低 濃 度 に て 細 胞 毒 性 を 示 し , 比 較 対 照 と し て 用 い た マ ウ ス 間 葉 細 胞 ( C3H10T1/2) に は , PANC1 に お け る IC 5 0 濃 度 で は 細 胞 毒 性 を 示 さ な か っ た . 17 お よ び 18 は , PANC1 細 胞 に お い て , Gli1, Gli2 お よ び Ptch の 遺 伝 子 発 現 を 抑 制 し , PTCH の タ ン パ ク 発 現 も 抑 制した. 83 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 変 形 菌 Lycogala epidendrum か ら の ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 第六章 変 形 菌 Lycogala epidendrum は ,マ メ ホ コ リ 属 ( Genus Lycogala) に 属 し , 和 名 を マ メ ホ コ リ と 言 う .子 実 体 は ,直 径 3~ 15 mm の球形をしており,殻は暗褐色,胞子は肌 色をしている. こ れ ま で Lycogala epidendrum の 成 分 に 関 す る 研 究 に お い て , bisindoles [7 1 ] , triglycerides [7 2 ] polyacetylene acylglycerols [7 3 ] , fatty , Fig. 6-1. Fruit body of L. epidendrum acids [7 4 ] お よ び polypropinate lactones [ 7 5 ] な ど L. epidendrum 特 有 の 構 造 を 有 す る 化 合 物 が 単 離 さ れ ている. Staurosporin は ,放 線 菌 よ り 単 離 さ れ た 化 合 物 で ,topoisomerase I 阻 害 活 性 ,PKC ( protein kinase C) お よ び CDK( cyclin dependent kinase) な ど の キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 を 有 し [7 6 ] ,L. epidendrum に は こ れ と 同 じ 基 本 骨 格 を 有 す る ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 が 含 ま れ て い る こ と よ り , そ の 興 味 は 大 き い . 本 章 で は , 変 形 菌 Lycogala epidendrum( マ メ ホ コ リ ) の ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 の 単 離 , 構 造 解 析,細胞毒性およびキナーゼ阻害活性について述べる. H N MeOOC H N O COOMe O OH HO N H N H O N H lycogarubin C O O N H O O O O O O lycogalinoside A O HO O OH O H N O O lycogaride D OH O OH arcyriaflavin A O O N OH O N H H3CO HOOC NHCH3 staurosporine hydroxy-polyenoic branched fatty acid Fig. 6-2. Chemical structures from a myxomycete Lycogala epidendrum 84 OH 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 第一節 Lycogala epidendrum か ら の ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 の 単 離 変 形 菌 Lycogala epidendrum( マ メ ホ コ リ ) の 野 外 採 取 子 実 体 177.6 g を 90%メ タ ノ ー ル お よ び 90%ア セ ト ン で 室 温 に て 抽 出 し た . 得 ら れ た 抽 出 物 ( 46.4 g) を 酢 酸 エ チ ル , n-ブ タ ノ ー ル と 水 で 順 次 分 配 し , 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 24.8 g), n-ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 5.5 g) お よ び 水 抽 出 物 ( 11.4 g) を 得 た . 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 に つ い て ,へ キ サ ン /ク ロ ロ ホ ル ム 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 お よ び ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し た 結 果 , 12 の 画 分 ( Frs. 1A~ 1L)を 得 た . Fast Red B 試 薬 に よ る TLC 分 析 に よ り , Frs. 1F~ 1L の 画 分 を 陽 性 と 判 断 し , ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 の 単 離 を 目 指 し た ( Fig. 6-3a). Fr. 1F( 14.3 g)に つ い て ,へ キ サ ン /ク ロ ロ ホ ル ム 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 お よ び ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し た 後 , ク ロ ロ ホ ル ム / メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に て 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 13( 83.0 mg) を 得 た . Fr. 1H( 650 mg) に 50%メ タ ノ ー ル を 加 え た と こ ろ , 可 溶 部 と 不 溶 部 に 分 離 し た . 可 溶 部 ) に つ い て , 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た ODS HPLC に よ る 分 離 ・ 精 製 に よ り , 化 合 物 14( 200.6 mg) お よ び 21( 7.5 mg) を 得 た . Fr. 1I( 2.1 g) に つ い て , 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に て 分 離 を 行 っ た 結 果 , 11 の 画 分 ( Frs. 6A~ 6K) を 得 た . Fr. 6E( 460 mg) を 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た ODS HPLC に よ り 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 10( 6.0 mg) を 得 た . ま た , Fr. 6G( 280 mg) は , TLC 分 析 に よ り 単 一 で あ り , 化 合 物 20( 280 mg) と し た . さ ら に , Fr. 6H( 90 mg) を 水 / メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 に よ る 分 離 ・ 精 製 に よ り , 化 合 物 9( 2.1 mg) を 得 た . Fr. 1J( 3.2 g) に つ い て , 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に よ り 分 離 を 行 っ た 結 果 , 9 つ の 画 分 ( Frs. 11A~ 11I) を 得 た . Fr. 11B( 286 mg) を , ODS HPLC に よ り 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 16( 2.1 mg)を 得 た .Fr. 11D( 493 mg)は TLC 分 析 に よ り 単 一 ス ポ ッ ト で あ っ た た め , 化 合 物 15( 493 mg) と し た . Fr. 11H( 195 mg) を 水 /メ タ ノ ー ル を 用 い た ODS HPLC に よ り 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 10( 2.6 mg), 12( 5.6 mg) お よ び 22( 0.45 mg) を 得 た ( Fig. 6-3b). 85 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 CHCl3/MeOH=85/15 M E B W Fig. 6-3a. TLC analysis of extracts from L. epidendru. M, MeOH ext.; E, EtOAc ext.; B, BuOH ext.; W, H 2 O ext. TLC, Silica gel; solvent, CHCl 3 /MeOH 85/15, detection, Fast Red B Fruit bodies of Lycogala epidendrum (177.6 g) extracted with 90% MeOH ´3 extracted with 90% acetone ´1 MeOH ext. (46.4 g) partitioned with EtOAc and H2O EtOAc ext. (24.8 g) silica gel C.C. (Hex/CHCl3→CHCl3/MeOH) ODS open C.C. (H2O/MeOH) sephadex LH-20 C.C. (CHCl3/MeOH) ODS HPLC (H2O/MeOH) 10* (8.6 mg) 20 (280 mg) 12* (5.6 mg) 9 (2.1 mg) 14 (200.6 mg) 15 (493 mg) 21 (7.5 mg) 22 (0.45 mg) 13 (83.0 mg) 16 (2.1 mg) H2O lay. partitioned with n-BuOH and H2O n-BuOH ext. H2O ext. (5.5 g) (11.4 g ) red* : new compounds. Fig. 6-3b. Isolation of compounds from a myxomycete Lycogala epidendrum 86 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 第二節 新規ビスインドール化合物の構造決定 化 合 物 10 は ,橙 色 非 結 晶 固 体 と し て 得 ら れ ,高 速 原 子 衝 撃( FAB)法 の 質 量 分 析 に よ り ,m/z 327 [M + ]の イ オ ン ピ ー ク を 観 測 し ,高 分 解 能 FAB MS( HR-FABMS) に よ り , m/z 327.0981( M + , Δ –2.7 mmu) か ら 分 子 式 C 2 0 H 1 3 O 2 N 3 と 決 定 し た . 赤 外 線( IR)吸 収 ス ペ ク ト ル に お い て ,3282 cm -1 に ヒ ド ロ キ シ 基 お よ び 1646 と 1583 cm -1 に 芳 香 環 に 基 づ く 吸 収 が 観 測 さ れ , ま た 342, 294 お よ び 226 nm に 紫 外 線( UV)吸 収 を 示 し た こ と に よ り ,共 役 系 が 存 在 す る 化 合 物 で あ る と 推 測 し た . 重 水 素 化 ア セ ト ン 溶 媒 ( acetone-d 6 ) 中 に お け る 水 素 核 磁 気 共 鳴 ( 1 H nuclear magnetic resonace : 1 H NMR)に お い て ,δ H 10.76 に 2 つ の NH 由 来 の シ グ ナ ル が , δ H 6.8 か ら δ H 8.0 付 近 に 7 つ の 二 重 結 合 も し く は 芳 香 環 由 来 の シ グ ナ ル が ,δ H 5.02 に 2H の sp 3 メ チ レ ン 水 素 が 観 測 さ れ た .ま た ,炭 素 核 磁 気 共 鳴( 1 3 C nuclear magnetic resonace : 13 C NMR)に お い て ,δ C 173.6 に カ ル ボ ニ ル 由 来 の シ グ ナ ル が ,δ C 109.9 か ら δ C 157.3 に 二 重 結 合 も し く は 芳 香 環 由 来 の シ グ ナ ル が , δ C 46.2 に sp 3 メ チ レ ン炭素のシグナルが観測された. 1 H および 13 C NMR の 解 析 に よ り , 化 合 物 10 は ,staurosporinone( 9)と よ く 似 たスペクトルデータを示し,質量分析の結果より,9 より酸素原子が一つ多いこ と が 判 明 し た た め , 化 合 物 10 は staurosporinone( 9) に ヒ ド ロ キ シ 基 が 付 加 し た 構造であると推測した. 水 素 - 水 素 間 ( 1 H- 1 H COSY) に よ り , H-4( δ H 9.17) お よ び H-5( δ H 6.80) の 2 つ の 芳 香 環 水 素 の つ な が り が ,ま た ,H-4'( δ H 8.00),H-5'( δ H 7.27),H-6'( δ H 7.40), お よ び H-7'( δ H 7.64)の 4 つ の 芳 香 族 水 素 の つ な が り が 明 ら か と な っ た .H-5( δ H 6.80) は , H-7( δ H 7.64) と meta-coupling( J=1.8 Hz) を し て い る こ と か ら , ヒ ド ロ キ シ 基 の 結 合 は , C-6( δ C 157.3) で あ る と 推 測 し た . さらに,遠隔の水素-炭素間のスピン結合を観測する異種間多重結合相関 ( heteronuclear multiple bond coherence : HMBC) を 測 定 し 解 析 を 行 っ た 結 果 , H-4/C-3, H-4/C-6, H-4/C-7a, H-5/C-3a, H-5/C-3a, H-7/C-3a, and H-7/C-5 に 相 関 が 観 測 さ れ た . ま た , 空 間 を 通 じ て の 核 オ ー バ ー ハ ウ ザ ー 効 果 ( nuclear overhauser effect : NOE)を 測 定 し た と こ ろ ,C-9'の メ チ レ ン 水 素( H 2 -9', δ H 5.02, 2H, s)か ら , H-4'( δ H 8.00) と H-5'( δ H 7.27) に 相 関 が 観 測 さ れ た こ と か ら , イ ン ド ー ル 部 分 に 結 合 し た ヒ ド ロ キ シ 基 は ,sp 3 メ チ レ ン 基 が 存 在 す る 側 で は な く ,カ ル ボ ニ ル 基 が 存 在 す る 側 で あ る こ と が 判 明 し た . カ ル ボ ニ ル 基 ( C-9) が 存 在 す る 側 の H-4 は , メ チ レ ン 基 側 の H-4'よ り 低 磁 場 に 観 測 さ れ た . 従 っ て , 化 合 物 10 の 構 造 を 6-hydroxystaurosporinone と 決 定 し た . 本 化 合 物 は 文 献 未 掲 載 の 新 規 化 合 物 で あ る ( Figs. 6-4, 6-5, Table 6-1). 87 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 10 H N dH 5.02 dC 46.2 9' NOESY dH 8.00 4' dH 7.27 5' 8' dC 173.6 d 9.17 H 4 8 5 dH 6.80 3 3a' 3' 6' dH 7.40 7' dH 7.64 7a' O 9 2' N1' H d 10.76 2 H dC 157.3 3a 6 7a N1 H d 11.08 OH 7 dH 7.02 H Fig. 6-4. Structure of 10 and arrows show selected HMBC correlations 88 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 Fig. 6-5. 1 H and 13 C NMR spectra of 10 in acetone-d 6 89 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 化 合 物 12 は ,黄 色 非 結 晶 固 体 と し て 得 ら れ ,FABMS ス ペ ク ト ル に お い て ,m/z 357 に [M + ]の イ オ ン ピ ー ク が 観 測 さ れ ,高 分 解 能 FABMS( m/z 357.0762,M + , Δ +1.2 mmu) の 測 定 に よ り , 分 子 式 を C 2 0 H 11 O 4 N 3 と 決 定 し た . acetone-d 6 中 に お け る 1 H および 13 C NMR の 解 析 に お い て , 化 合 物 12 は , arcyriaflavin A( 22) も し く は B( 20)と 類 似 し た ス ペ ク ト ル を 示 し た の で ,同 じ ビ ス イ ン ド ー ル 骨 格 を 有 す る と 推 測 し た . さ ら に , 質 量 分 析 に よ り , 化 合 物 12 は ,arcyriaflavin A( 22)よ り 32 大 き い( m/z 357 [M + ] for 12 and m/z 325 [M] + for 22) の で , 12 は 22 に 二 つ の 酸 素 原 子 が 結 合 し た 構 造 で あ る と 推 測 し た . ま た , IR 吸 収 ス ペ ク ト ル に お い て ,3310 cm -1 に ヒ ド ロ キ シ 基 に 由 来 す る 吸 収 を 示 し た こ と か ら も , 12 に は ヒ ド ロ キ シ 基 が 存 在 す る こ と を 推 定 し た . 1 H NMR お よ び 1 H- 1 H COSY 測 定 に よ る 解 析 に よ り ,4 つ の つ な が り を 持 っ た 芳 香 族 水 素 ( δ H 9.10 (H-4'), 7.31 (H-5'), 7.48 (H-6'), and 7.64 (H-7')) と , そ れ ぞ れ 独 立 し た 芳 香 族 水 素 ( δ H 8.56 (1H, s) and 7.12 (1H, s)) を 帰 属 し た . こ れ ら 2 つ の 独 立 し た 水 素 は ,HMBC 相 関( H-4/C-3, H-4/C-5, H-4/C-6, H-4/C-7a, H-7/C-3a, H-7/C-5, and H-7/C-7a) に よ り , C-5 お よ び C-6 に 隣 合 せ で 結 合 し て い る こ と が 判 明 し た . この 2 つの炭素の 13 C NMR の 化 学 シ フ ト 値 は ,δ C 141.4 と 136.9 を 示 し ,こ れ は , 5,6-dihydroxyindole の 5 お よ び 6 位 の 化 学 シ フ ト 値 ( δ C 142.4 と 140.3) と 類 似 し ていた. 従 っ て , 化 合 物 12 の 構 造 を , 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A と 決 定 し た . 本 化 合 物 は 文 献 未 掲 載 の 新 規 化 合 物 で あ る ( Figs. 6-6, 6-7, Table 6-1). 10 O 5' dH 7.31 6' dH 7.48 9' Hd N H 9.62 O 9 dC 171.6 dH 9.10 dC 171.8 4' 8' 8 3a 3a' OH dC 141.4 dC 136.9 3 3' 7a' 7' dH 7.64 dH 8.56 4 5 2' N1' H d 10.73 2 H 6 N 1 7a H d 10.96 OH 7 dH 7.12 H Fig. 6-6. Structure of 12 and arrows show selected HMBC correlations 90 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 Fig. 6-7. 1 H and 13 C NMR spectra of 12 in acetone-d 6 91 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 Table 6-1. 1 H and position 2 3 3a 4 5 6 7 7a 8 9 2' 3' 3a' 4' 5' 6' 7' 7a' 8' 9' 1-NH 10-NH 1'-NH a,b,c 13 C NMR Data for compounds 10 and 12 in acetone-d 6 10 δ H (J, Hz) 9.17 (1H, d, 8.4) 6.80 (1H, dd, 8.4, 1.8) 7.02 (1H, d, 1.8) 8.00 7.27 7.40 7.64 (1H, (1H, (1H, (1H, d, 7.8) t, 7.8) t, 7.8) d, 7.8) 5.02 (2H,s) 11.08 (1H, s) 12 δC 126.1 118.2 117.8 127.5 109.9 157.3 97.1 142.3 119.4 173.6 129.2 133.6 124.2 121.7 120.7 125.5 112.7 140.7 114.8 46.2 δ H (J, Hz) 8.56 (1H, s) 7.12 (1H, s) 9.10 7.31 7.48 7.64 (1H, (1H, (1H, (1H, d, 8.0) dd, 7.5, 8.0) dd, 7.5, 8.0) d, 8.0) 10.96 (1H, s) 9.62 (1H, s) 10.73 (1H, s) 10.76 (1H, s) Signals may be reversed. 92 δC 129.8 a 118.2 115.5 110.3 141.4 136.9 98.0 147.9 120.2 b 171.6 c 130.0 a 116.4 123.3 125.6 120.9 127.3 112.1 141.5 120.5 b 171.8 c 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 そ の 他 化 合 物 9, 13, 14, 15, 16, 20, 21 お よ び 22 は , 文 献 値 と の 比 較 に よ り , staurosprorinone (9) [7 7 ] , lycogarubin C (13) [4 4 ] , lycogarubin B (14) [4 4 ] , lycogaric acid A (15) [4 5 ] , lycogarubin A (16) [4 4 ] , arcyriaflavin B (20) [3 0 ] , arcyriarubin A (21) [4 5 ] お よ び arcyriaflavin A (22) [4 5 ] と 同 定 し た ( Fig. 6-8). H N O N H O N H N H staurosporinone (9) 3 R 2 R OOC H N O N H arcyriarubin A (21) H N O 3 COOR R N H H N O 1 R N H lycogarubin B (14) : R1=OH, R2=H, R3=Me lycogarubin C (13) : R1=R2=H, R3=Me lycogaric acid (15) : R1=R2=R3=H lycogarubin A (16) : R1=R2=OH, R3=Me N H N H arcyriaflavin B (20) : R=OH arcyriaflavin A (22) : R=H Fig. 6-8. Chemical structures of known compounds 9, 11, 13-22 from L. epidendrum 93 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 第三節 ビスインドール類の細胞毒性評価 今 回 ,L. epidendrum よ り 単 離 れ さ れ た ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 に つ い て , ヒ ト 子 宮 頸 癌 細 胞 ( HeLa 細 胞 ), ヒ ト 白 血 病 T 細 胞 ( Jurkat 細 胞 ) お よ び ヒ ト 舌 癌 細 胞( KB/VJ300 細 胞 )に 対 す る 細 胞 毒 性 を 評 価 し た .新 規 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 10 お よ び 12 を HeLa 細 胞 に 作 用 さ せ た と こ ろ , IC 5 0 ( 50% Inhibition Concentration) 5.4 μg/mL お よ び 2.1 μg/mL に て 細 胞 毒 性 を 示 し た . ま た , Jurkat 細 胞 に 対 し て も 化 合 物 10 お よ び 12 は , IC 5 0 1.4 μg/mL お よ び 0.84 μg/mL で 細 胞 毒 性 を 示 し た . 比 較 と し て , 化 合 物 13, 14 お よ び 21 の 細 胞 毒 性 評 価 も 行 っ た . 結 果 を Table 6-2 に 示 す .ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 の 細 胞 毒 性 の 発 現 に は ,2 お よ び 2'位 の 結 合 が 必 須 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た . ま た , 10 お よ び 12 は vincristine 耐 性 KB/VJ300 細 胞 に 対 し て も IC 5 0 7.6 μg/mL お よ び 25 μg/mL で 弱 い な が ら も 細 胞 毒 性 を 示 し た が , 比 較 化 合 物 13, 14 お よ び 21 は 25 μg/mL で 細 胞 毒 性 を 示 さ な か っ た ( Table 6-2). Table6-2. Cytotoxicity against HeLa, Jurkat and KB/VJ300 cells (IC 5 0 values, mg/mL) Compounds HeLa Jurkat 10 5.4 1.3 12 2.1 0.84 14 21 13 48 n.d. 24 18 KB/VJ300 7.6 25 >25 6.3 15 >25 >25 94 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 第四節 ビスインドール類のキナーゼ阻害の評価 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 に は ,種 々 の キ ナ ー ゼ 活 性 を 阻 害 す る 報 告 が さ れ て い る . 今 回 L. epidendrum よ り 得 ら れ た 化 合 物 10,12,13,14 お よ び 21 に つ い て ,eEF2K ( eukaryotic elongation factor-2 kinase),PKC( protein kinase C),PTK( protein tyrosin kinase ), PKA ( protein kinase A ), VEGFR-1 ( vascular endothelial growth factor receptor-1 kinase)お よ び EGFR( epidermal growth-factor receptor kinase)に 対 す る キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 試 験 を 行 っ た [7 8 ] . 化 合 物 10 は ,1 μg/mL の 濃 度 に て ,PTK の リ ン 酸 化 を 阻 害 し ,ま た ,10 μg/mL に て ,PKC,PKA,eEF2K お よ び VEGFR-1 の リ ン 酸 化 は 阻 害 し た が ,EGFR の リ ン 酸 化 は 阻 害 し な か っ た . 化 合 物 12 お よ び 21 は , 10 μg/mL の 濃 度 に て PTK お よ び PKC の 活 性 を 阻 害 し た .ま た ,そ の 他 の キ ナ ー ゼ 活 性 に 対 す る 阻 害 を ,Table 6-3 に 示 す .こ れ ら 化 合 物 に お い て ,化 合 物 10 が よ り 強 い キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 し た こ と か ら , γ-lactam が こ れ ら 活 性 発 現 を 増 強 し , maleimide を 持 つ 化 合 物 12 お よ び 21 に 次 い で キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 が 見 ら れ ,2,5-dimethoxycarbonylpyrrole を 持 つ 化 合 物 13 お よ び 14 に は キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 を 示 さ な い こ と か ら , γ-lactam> maleimide> 2,5-dimethoxycarbonylpyrrole の 順 で キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 に 影 響 を 与 え る −c-AMP Control +EGTA こ と が 示 唆 さ れ た ( Fig. 6-9, Table 6-3). 14 21 13 10 1 0.1 10 1 0.1 10 1 0.1 10 12 10 1 0.1 10 1 0.1 (µg/mL) eEF2K PKC PTK PKA alkali PTK Fig. 6-9. Protein kinase inhibitory assay 95 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 Table 6-3. Inhibition specificity of compounds 10, 12, 13, 14 and 21 a compounds 10 12 14 21 13 a μg/mL eEF2K PKC PTK PKA EGFR Flt-1 10 + + ++ + - + 1 - - + - - - 0.1 - - - - - - 10 - + + - - + 1 - - - - - - 0.1 - - - - - 10 - - - - - - 1 - - - - - - 0.1 - - - - - 10 - + + + - - 1 - - - - - - 0.1 - - - - - 10 - - - - - - 1 - - - - - - 0.1 - - - - - The indications “++”, “+”, and “-“ mean >80%, 50-80%, and <50% kinase inhibition in each kinase assay, respectively. 96 第六章 変形菌 Lycogala epidendrum からのビスインドール化合物 第五節 小括 変 形 菌 Lycogala epidendrum( マ メ ホ コ リ ) の 野 外 採 取 子 実 体 よ り , 2 種 の 新 規 ビ ス イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 化 合 物 6-hydroxystaurosporinone ( 10 ) お よ び 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A( 12) を 単 離 し た . ま た , 8 種 の 既 知 ビ ス イ ン ド ー ル 化合物も単離した. 得 ら れ た ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 に つ い て , HeLa 細 胞 , Jurkat 細 胞 お よ び KB/VJ300 細 胞 の 癌 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 を 調 べ た と こ ろ , 化 合 物 10 お よ び 12 に 細 胞 毒 性 を 認 め た .ま た ,化 合 物 10 は ,種 々 の キ ナ ー ゼ 活 性 を 阻 害 す る こ と が 分 か り , 特 に , 1 mg/mL の 濃 度 に て PTK( Protein tyrosin kinase) を 阻 害 す る こ と が 判 明 し た . ま た 化 合 物 10 お よ び 12 は , ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 に お け る GLI の 転 写 活 性 も 阻 害 す る こ と を 第 三 章 お よ び 第 五 章 で 述 べ た . 97 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 第七章 変 形 菌 Fuligo aurea の 成 分 変 形 菌 Fuligo aurea は , ス ス ホ コ リ 属 ( Genus Fuligo ) ム シ ホ コ リ 亜 属 ( Subgenus Erionema)に 属 し ,和 名 を ムシホコリと言う.子実体は,擬着合 子嚢体型であり,胞子は黒色で,直径 7~ 8 mm で あ る . こ れ ま で Fuligo aurea に 関 す る 成 分 研 究 の 報 告 は な い が , 同 じ 属 Fuligo candida か ら は , Fig. 7-2 に 示 す 化 合 物 Fig. 7-1. Fruit bodies of F. aurea が 単 離 さ れ て い る [ 2 8 ] .本 章 で は ,変 形 菌 Fuligo aurea( ム シ ホ コ リ ) の 成 分 に つ い て 述 べ る . O O N N H NH2 N O H N N H O N H cycloanthranilproline O CO2H Fig. 7-2. Chemical structures from a myxomycete Fuligo candida 第一節 Fuligo aurea か ら の 成 分 の 単 離 2005 年 高 知 県 に て 採 取 さ れ た Fuligo aurea の 野 外 採 取 子 実 体 47.7 g を 90%メ タ ノ ー ル ,90%ア セ ト ン お よ び 水 で 順 次 抽 出 し た .得 ら れ た 抽 出 物( 11.0 g)を ヘ キ サ ン ,酢 酸 エ チ ル ,n-ブ タ ノ ー ル と 水 で 順 次 分 配 し ,へ キ サ ン 抽 出 物( 2.0 g),酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 0.3 g), n-ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 0.5 g) お よ び 水 抽 出 物 ( 8.2 g) を得た. へ キ サ ン お よ び 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 は ,TLC に よ る 分 析 に よ り 同 じ 成 分 が 含 ま れ て い る こ と が 判 明 し た た め ,こ れ ら を 合 わ せ て ,以 降 の 分 離 に 用 い た .へ キ サ ン / 酢 酸 エ チ ル 混 合 抽 出 物( 2.3 g)に つ い て ,へ キ サ ン /ク ロ ロ ホ ル ム 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 お よ び ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー で 分 離 し た 結 果 , 15 の 画 分 ( Frs. 1A~ 1O) を 得 た . 98 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 得 ら れ た 画 分 の TLC 分 析 よ り ,Fr. 1D に 10%硫 酸 指 示 薬 に て ,特 徴 的 な ス ポ ッ ト が 見 ら れ た た め ( Fig. 7-3), Fr. 1D( 19.6 mg) に つ い て , メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に て 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 25( 1.3 mg) を 得 た . そ の 他 画 分 ( Frs. 1A~ 1C お よ び Frs. 1E~ 1O) に つ い て は ,脂 肪 酸 な ど の 炭 化 水 素 化 合 物 と 判 断 し ,以 降 の 分 離 は 行 っ て い な い( Fig. 7-4). Plate : silica gel, Spray : 10% H2SO4D CHCl3/MeOH=10:1 CHCl3 25 A B C D E F G H G H I J K K K K Fig. 7-3. TLC analysis of Frs. 1A–1K TLC, Silica gel; solvent, Left: CHCl 3 , Right: /MeOH 10/1, detection, 10%H 2 SO 4 Δ ブ タ ノ ー ル 抽 出 物( 0.5 g)に つ い て ,水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に て 分 離 を 行 っ た 結 果 ,7 つ の 画 分( Frs. 3A~ 3G) を 得 た . Fr. 3D( 51 mg) を , 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た ODS HPLC に よ り 分 離・精 製 を 行 っ た 結 果 ,adenosine( 2.3 mg),化 合 物 23( 16.3 mg)お よ び 24a ( 12.0 mg) を 得 た . ま た , Fr. 7E( 108 mg) を , 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た C30 HPLC に よ る 分 離・精 製 を 行 っ た 結 果 ,化 合 物 24b( 30.2 mg)を 得 た( Fig. 7-4). 99 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 Fruit bodies of Fuligo aurea (47.7 g) extracted with 90% MeOH ´6 extracted with 90% acetone ´1 MeOH ext. (11.0 g) partitioned with EtOAc and H2O EtOAc ext. H2O lay. (2.3 g) partitioned with n-BuOH and H2O silica gel C.C. (Hex/CHCl3→CHCl3/MeOH) sephadex LH-20 C.C. (MeOH) 25 (1.3 mg) n-BuOH ext. H2O ext. (0.5 g) (8.2 g) ODS C.C. (H2O /MeOH) C-30 HPLC (H2O/MeOH) 23* (19.8 mg) 24a* (15.6 mg) 24b* (30.2 mg) Fig. 7-4. Isolation of compounds from Fuligo aurea 100 red* : new compounds. 24a and 24b are the same structure. 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 第二節 新規トリプトファン誘導体化合物の構造決定 化 合 物 23 は , 非 結 晶 固 体 と し て 得 ら れ , 比 旋 光 度 [α] 2D3 +97( c 0.8, MeOH) を 示 し た .エ レ ク ト ロ ス プ レ ー イ オ ン 化 法( ESI)の 質 量 分 析 に よ り ,m/z 350 [M+H] + の イ オ ン ピ ー ク を 示 し ,高 分 解 能 ESI MS ス ペ ク ト ル( m/z 350.1505, [M+H] + , Δ +0.2 mmu) に よ り 分 子 式 を C 2 0 H 1 9 O 3 N 3 と 決 定 し た . IR 吸 収 ス ペ ク ト ル に お い て , 3337 cm -1 に ア ミ ノ 基 , 1645 cm - 1 に ア ミ ド 基 に 基 づ く 吸 収 が 観 測 さ れ , ま た , 325, 291 お よ び 222 nm に UV 吸 収 を 示 し た こ と に より,共役系を持つ化合物であると推測した. 重 水 素 化 メ タ ノ ー ル 溶 媒 ( CD 3 OD) 中 に お け る 1 H NMR に お い て , 7 つ の 二 重 結 合 も し く は 芳 香 環 由 来 の シ グ ナ ル( δ H 7.57, 7.29, 7.23´2, 7.04, 7.00, 6.94, 6.49´2, 6.47, and 5.67),一 つ の sp 3 メ チ ン 水 素 の シ グ ナ ル( δ H 4.68),ま た メ チ レ ン 水 素 の シ グ ナ ル ( δ H 3.37 と 3.19) が 観 測 さ れ た . ま た , 1 3 C NMR に お い て , 2 つ の カ ル ボ ニ ル 炭 素 の シ グ ナ ル ( δ C 178.7 と 169.6), 16 の 二 重 結 合 も し く は 芳 香 環 由 来 の シ グ ナ ル ( δ C 111 – 149), お よ び sp 3 メ チ ン 炭 素 の シ グ ナ ル ( δ C 56.9) と sp 3 メ チ レ ン 炭 素 の シ グ ナ ル ( δ C 29.1) が 1 つ ず つ 観 測 さ れ た . さ ら に 平 面 構 造 を 導 く た め , 1 H- 1 H COSY ( H-5/H-6, H-6/H-7 and H-7/H-8; H 2 -10/H-11; H-2'/H-3'; H-5' (9')/H-6' (8')) お よ び HMBC の 測 定 に よ る 解 析 に よ り , ト リ プ ト フ ァ ン の 存 在 ( H-2/C-4, C-9 and C-10; H-5/C-3, C-7 and C-9; H-6/C-4 and C-8; H-7/C-5 and C-9; H-8/C-4 and C-6; H 2 -10/C-2, C-4 and C-12; H-11/C-3) と パ ラ 位 に 置 換 基 が 結 合 し た cinnamic acid の 存 在( H-2'/C-3' and C-4'; H-3'/C-1', C-2', C-5' (9'); H-5' (9')/C-3', C-7', and C-9' (5'); H-6' (8')/C-4' and C-8' (6'))が 明 ら か と な っ た . パ ラ 位 に 置 換 基 の 結 合 し た cinnamoyl 基 は ,HMBC 測 定 に よ る 解 析 に よ り ,δ H 4.68 ( H-11)の メ チ ン 水 素 か ら ,δ C 169.6( C-1')の カ ル ボ ニ ル 炭 素 へ の 相 関 が 観 測 さ れ た こ と か ら , ト リ プ ト フ ァ ン の C-11 位 の ア ミ ノ 基 に ア ミ ド 結 合 を 介 し て cinnamoyl 基 が 結 合 し て い る と 決 定 し た ( Fig. 7-5). cinnamoyl 基 に お け る オ レ フ ィ ン 水 素 ( H-2'お よ び H-3') の 配 置 は , 1 H NMR ス ペクトルにおける化学シフト値および結合定数により決定した.文献による報告 に よ り , 2 つ の オ レ フ ィ ン 水 素 が Z( cis) 配 置 の 場 合 , そ の 結 合 定 数 が 13 Hz 付 近 を 示 し ,E( trans)配 置 の 場 合 は ,15 Hz 付 近 を 示 す .ま た ,そ れ ぞ れ の 配 置 に よ り , 化 学 シ フ ト 値 が 異 な り , Z 配 置 の 場 合 , δ H ca. 5.6( H-2') お よ び δ H ca. 6.3 ( H-3')を 示 し ,E 配 置 の 場 合 は ,δ H ca. 6.5( H-2')お よ び δ H ca. 7.3( H-3')を 示 す [7 9 ] .こ の こ と よ り ,化 合 物 23 の cinnamoyl 基 の 2'お よ び 3'の 配 置 は ,H-2': δ H 5.67 (1H, d, J=13.0 Hz) お よ び H-3': δ H 6.47 (1H, d, J=13.0 Hz) で あ る こ と か ら , Z 配 置 ( cis-) で あ る と 決 定 し た ( Fig. 7-7). 101 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 次 に , cinnamoyl 基 の パ ラ 位 に 結 合 し て い る 置 換 基 に つ い て , CD 3 OD 中 に お け る C-7'の 13 C NMR の 化 学 シ フ ト が δ C 149.7 で あ る こ と , お よ び HR-ESI MS に よ る 分 子 式 C 2 0 H 2 0 O 3 N 3 に よ り , C-7'に は , ア ミ ノ 基 ( -NH 2 ) が 結 合 し て い る と 決 定 した. さ ら に ト リ プ ト フ ァ ン の 11 位 の 立 体 化 学 を 決 定 す る た め に , 化 合 物 23 を 塩 酸 に よ る 加 水 分 解 を 行 っ た 後 ,キ ラ ル TLC に よ る 分 析 を 行 っ た と こ ろ ,L -ト リ プ ト フ ァ ン ( 11S-configuration) で あ る こ と が 判 明 し た . 従 っ て , 化 合 物 23 を tryptophan cis-4-aminocinnamamide と 決 定 し た . こ れ は 文 献 未 掲 載 の 新 規 化 合 物 で あ る ( Fig. 7-5, Table 7-1). 5 4 6 H N 10 3 9 8 2 N HO H O 1 3' 1' 11 12 7 2' O 4' 5' 9' 6' 8' 7' NH2 Fig. 7-5. Chemical structure of 23 and arrows show selected HMBC correlations 化 合 物 24a は , 非 結 晶 固 体 と し て 得 ら れ , 比 旋 光 度 [α] 2D3 +49( c 0.7, MeOH) を 示 し , HR-ESI MS ( m/z 350.1506, [M+H] + , Δ +0.3 mmu ) に よ り そ の 分 子 式 を C 2 0 H 1 9 O 3 N 3 と 決 定 し た .こ れ は 化 合 物 23 と 同 じ( m/z 350.1505, [M+H] + , Δ +0.2 mmu, calcd for C 2 0 H 1 9 O 3 N 3 )で あ っ た .ま た ,化 合 物 24a の UV お よ び IR ス ペ ク ト ル は , 化 合 物 23 の そ れ と 非 常 に 類 似 し て い た . 1 H および 13 C NMR を 化 合 物 23 と 比 較 し た と こ ろ , 化 合 物 24a の 構 造 も tryptophan 4-aminocinnamamide と 推 定 し た . こ れ は , 1 H- 1 H COSY お よ び HMBC に よ る 相 関 か ら も 矛 盾 の な い 結 果 で あ る .化 合 物 23 と 24a の 違 い は ,1 H NMR に お い て , C-2’お よ び C-3’に 結 合 し て い る 二 重 結 合 の 水 素 の 化 学 シ フ ト 値 と そ の 結 合 定 数 で あ る .す な わ ち ,H-2': δ H 6.32( 1H, d, J=15.5 Hz)お よ び H-3': δ H 7.33( 1H, d, J=15.5 Hz)で あ り ,こ れ ら 化 学 シ フ ト 値 と 結 合 定 数 か ら ,こ れ ら 水 素 が E 配 置 ( trans-)で あ る と 決 定 し た .化 合 物 23 と 24a の 違 い は ,4- aminocinnamamide の 102 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 二 重 結 合 の 配 置 で あ り , こ れ ら は , 1 H NMR の 化 学 シ フ ト 値 お よ び 結 合 定 数 か ら 決 定 し た ( Fig. 7-7). 化 合 物 24a の ト リ プ ト フ ァ ン の 11 位 の 立 体 化 学 の 決 定 も 化 合 物 23 と 同 様 の 手 法 に よ り , L -ト リ プ ト フ ァ ン ( 11S-configuration) と 決 定 し た . 従 っ て 化 合 物 24a を ,tryptophan trans-4-aminocinnamamide と 決 定 し た .こ れ は 文 献 未 掲 載 の 新 規 化 合 物 で あ る ( Fig. 7-6, Table 7-1). NH2 H N N HO H O O Fig. 7-6. Chemical structure of 24a Table 7-1. 1 H and position 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1' 2' 3' 4' 5 ', 9 ' 6 ', 8 ' 7' 13 C NMR Spectral Data for compounds 23 and 24a in methanol-d 4 23 δ H (J, Hz) 7.00 (1H,s ) 7.57 6.94 7.04 7.29 (1H, (1H, (1H, (1H, d, 8.0) t, 8.0) t, 8.0) d, 8.0) 3.19 (1H, dd, 15.0, 6.5) 3.37 (1H, dd, 15.0, 5.0) 4.68 (1H, dd, 6.5, 5.0) 5.67 (1H, d, 13.0) 6.47 (1H, d, 13.0) 7.23 (2H, d, 8.0) 6.49 (2H, d, 8.0) 24a δC 124.3 111.9 129.4 119.7 119.5 122.0 111.9 137.9 29.1 56.9 178.7 169.6 120.0 138.4 125.8 132.1 115.4 149.7 103 δ H (J, Hz) 7.09 (1H, s) 7.60 6.94 7.03 7.28 (1H, (1H, (1H, (1H, d, 8.0) t, 8.0) t, 8.0) d, 8.0) 3.24 (1H, dd, 15.0, 6.5) 3.42 (1H, dd, 15.0, 5.0) 4.72 (1H, dd, 6.5, 5.0) 6.32 (1H, d, 15.5) 7.33 (1H, d, 15.5) 7.26 (2H, d, 8.5) 6.63 (2H, d, 8.5) δC 124.3 112.0 129.4 119.7 119.5 122.0 111.9 137.8 29.2 57.1 178.6 168.7 125.4 142.1 124.3 130.4 115.7 151.3 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 化 合 物 24b は ,非 結 晶 固 体 と し て 得 ら れ ,比 旋 光 度 [α] 2D3 –2.4( c 0.7, MeOH)を 示 し た .HRESIMS( m/z 350.1514 [M+H] + )よ り そ の 分 子 式 を C 2 0 H 2 0 O 3 N 3 と 決 定 し , UV お よ び IR は , 化 合 物 23 お よ び 24a に 類 似 し て い た . 1D お よ び 2D NMR の 解 析 に よ り , 化 合 物 24b は , 化 合 物 24a と 同 じ 構 造 tryptophan trans-4-aminocinnamamide を 推 定 し た .し か し ,ODS HPLC に よ る 保 持 時 間 が 24a は t R 22 min お よ び 24b は t R 40 min と 異 な る た め , 更 な る 検 討 を 行 っ た ( Fig. 7-7). H N 23 HPLC analysis tR : 15 min. 3’ (dH 6.5, d,J=13.0) 24a tR : 22 min. 24b tR : 40 min. N HO H O 2’ cis 3’ O 2’ (dH 5.6, NH2 d,J=13.0) NH2 H N 3’ (dH 7.3, 2’ (dH 6.3, d,J=15.5) d,J=15.5) N HO H O 2’ O 3’ trans NH2 H N 3’ (dH 7.3, 2’ (dH 6.3, d,J=16.0) d,J=16.0) N HO H O 2’ O 3’ trans NMR in CD3OD Fig. 7-7. Comparison of 1 H NMR of 23, 24a and 24b and determination of the configuration at C2'-C3' 1) ア ミ ド お よ び ア ミ ノ 基 の 水 素 の 有 無 の 確 認 11 位 の NH お よ び 4'位 の NH 2 の 水 素 を 確 認 す る た め ,化 合 物 24a お よ び 24b の DMSO-d 6 中 に お け る 1 H NMR, COSY お よ び HMBC を 測 定 し た . 11 位 の NH は , そ れ ぞ れ δ H 7.26 お よ び δ H 7.65 に 観 測 さ れ ,COSY の 解 析 に よ り 10 位 メ チ レ ン 水 素 と 相 関 が 観 測 さ れ た .ま た HMBC を 測 定 し た と こ ろ ,24a で は δ C 173.5( C-12) お よ び δ C 165.2( C-1') に , 24b で は 12 位 に HMBC 相 関 が 観 測 さ れ た . 4'位 に 結 合 し て い る NH 2 も , DMSO-d 6 中 で そ れ ぞ れ δ H 5.44( 24a) お よ び δ H 5.48( 24b) に 観 測 さ れ , HMBC を 測 定 し た と こ ろ , 24a お よ び 24b 共 に C-6'お よ び C-8'に HMBC 相 関 が 観 測 さ れ た .イ ン ド ー ル 部 分 の NH に つ い て も ,DMSO-d 6 中 に て 両 化 合 物 と も δ H 10.6 に 観 測 さ れ , COSY お よ び HMBC に よ り そ の 存 在 を 確 認 し た ( Fig. 7-8). 104 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 24a dH 5.44 H N HO N H O 24b NH2 dH 7.26 O dH 5.48 H N O HO O N H HRESIMS m/z 350.1506 [M+H]+ calcd for C20H20O3N3 350.1506 dH 10.6 NH2 dH 7.65 dH 10.6 HRESIMS m/z 350.1514 [M+H]+ calcd for C20H20O3N3 350.1506 Fig. 7-8. 1 H NMR in DMSO-d 6 and the HMBC and COSY correlations of NH. Arrows show HMBC correlations and red bold lines COSY 2) カ ル ボ ン 酸 の 有 無 の 確 認 ト リ プ ト フ ァ ン の カ ル ボ ン 酸 を 確 認 す る た め , 12 位 の カ ル ボ ン 酸 を TMS-diazomethane を 用 い て メ チ ル エ ス テ ル 化 し た . 24a お よ び 24b の メ チ ル エ ス テ ル 化 体 の NMR 解 析 に よ り , 両 化 合 物 と も δ H 3.6 の メ ト キ シ 基 よ り δ C 173 に HMBC 相 関 を 観 測 し た こ と よ り ,カ ル ボ ン 酸 が メ チ ル エ ス テ ル 化 さ れ た 化 合 物 を 確 認 し た .ま た ,そ れ ぞ れ の メ チ ル エ ス テ ル 化 体 を HPLC に よ り 分 析 し た と こ ろ , 同 じ 保 持 時 間 ( 24a; t R =32 min お よ び 24b; t R =32 min) を 示 し た こ と か ら , 24a お よ び 24b よ り 生 成 し た カ ル ボ ン 酸 メ チ ル エ ス テ ル は ,同 じ 化 合 物 で あ る こ と が 判 明 し た ( Fig. 7-9). TMS-diazomethane r.t., 28 hr 検出器 A-254 nm FA2-m 060225-FA2-m-30-100 125 メチルエステル化体 125 N dH 3.6 H MeO 100 75 50 50 25 25 0 0 26 28 30 32 min 34 36 38 40 O 24b r.t., 28 hr dH 4.8 dC 173 O 検出器 A-254 nm FA3-m 060225-FA3-m-30-100 250 250 メチルエステル化体 200 200 150 150 mAU 75 TMS-diazomethane H N mAU mAU 100 NH2 dH 3.2 dH 3.3 HPLC analysis UV; 254 nm, flow; 0.9 mL/min solvent; gradient (30% MeOH-100% MeOH / 70 min.) column; Mightysil (f4.6´250 mm) mAU 24a 100 100 50 50 0 0 26 28 30 32 min 34 36 38 40 Fig. 7-9. NMR and HPLC analysis of methyl-esterificated 24a and 24b 3) カ ウ ン タ ー イ オ ン の 確 認 こ れ ま で の 実 験 に て , 24a お よ び 24b は 同 じ 化 合 物 で あ る が , そ れ ぞ れ の 化 合 物に存在するカウンターイオンが異なるのではないかと推測した.それぞれの化 合 物 を 酸 条 件 下( 0.1% TFA, trifluoroacetic acid)の HPLC で 分 析 を 行 っ た と こ ろ , 同 じ 保 持 時 間 t R =22 min の 24c を 与 え た ( Fig. 7-10). 酸 条 件 下 に て , 24c の 分 取 を 行 い , 1 H NMR を 測 定 し た と こ ろ , 24a お よ び 24b と は 異 な る 1 H NMR を 示 し た ( Fig. 7-11). 105 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 HPLC analysis UV; 254 nm, flow; 2.0 mL/min solvent; 40% MeOH + 0.1% TFA column; Develosil C30-UG-5 (f20´250 mm) tR : 22100min. 100 mAU mAU 23 50 50 0 0 0 5 10 15 min 20 検出器 A-254 nm FA3-0.1%TFA 060306-FA1-40%MeOH+0001.1%TFAiso1 600 24b 150 25 24c 400 23 400 min. tR : 22 200 200 0 0 0 30 600 mAU 24a 24c mAU 検出器 A-254 nm FA2-0.1%TFA 060306-FA2-40%MeOH+0001.1%TFAiso 150 5 10 15 min 20 25 30 Fig. 7-10. HPLC analysis of 24a and 24b in acidic solvent 24a 24b 24c Fig. 7-11. 1 H NMR of 24a, 24b and 24c in CD 3 OD 以 上 の 結 果 よ り , F. aurea よ り 単 離 し た 24a お よ び 24b の 構 造 は , tryptophan trans-4-aminocinnamamide で あ る が ,そ れ ぞ れ が 異 な る カ ウ ン タ ー イ オ ン 状 態 で 存 在 す る こ と に よ り , 逆 相 HPLC で 分 離 さ れ た と 推 測 し た . 24c は , TFA と の 塩 を 形成することにより,同一のイオン状態となったと考えられる.但しそれぞれの カウンターイオンの種類は同定していない. 106 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 化 合 物 25 は , 1D お よ び 2D NMR, お よ び EIMS( m/z 448 [M + ]) に よ る 解 析 よ り , chamaecydin の 構 造 を 導 き 出 し , 文 献 値 と の 比 較 に よ り , 化 合 物 25 は chamaecydin と 同 定 し た [8 0 ] ( Fig. 7-12). 文 献 調 査 に よ り , chamaecydin( 25) は , 以 前 Chamaecyparis obtuse の 種 子 [8 0 ] , お よ び Cryptomeria japonica の 松 か さ [8 1 ] よ り単離された六環性トリテルペンであり,変形菌からの単離は今回が初めてであ る. O HO O Fig. 7-12. Structure of 25 107 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 第三節 細胞毒性試験 F. aurea よ り 得 ら れ た 化 合 物 23, 24a お よ び 25 の Jurkat 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 試 験 を 行 っ た が , い ず れ の 化 合 物 も 25 μg/mL で 細 胞 毒 性 を 示 さ な か っ た . 108 第七章 変形菌 Fuligo aurea の成分 第四節 小括 変 形 菌 Fuligo aurea( ム シ ホ コ リ )の 野 外 採 取 子 実 体 よ り ,新 規 化 合 物 cis-お よ び trans-ト リ プ ト フ ァ ン 4-ア ミ ノ 桂 皮 酸 ア ミ ド ( 23 お よ び 24) を 単 離 し た . ま た , 既 知 化 合 物 と し て chamaecydin( 25) を 単 離 し た . 化 合 物 23 お よ び 24 の cis-お よ び trans-の 立 体 化 学 は ,1 H NMR に お け る 化 学 シ フ ト 値 と 結 合 定 数 で 決 定 し た .ま た ,化 合 物 24 は ,カ ウ ン タ ー イ オ ン 状 態 の 違 い に よ り , ODS HPLC で 2 つ ( 24a お よ び 24b) に 分 離 さ れ た と 推 定 し て い る . 24a お よ び 24b の ODS HPLC に よ る 保 持 時 間 は ,そ れ ぞ れ 22 分 と 40 分 で あ る .移 動 相 に TFA を 添 加 し , 酸 性 条 件 下 で の ODS HPLC 分 析 に よ り , 24a お よ び 24b は , 同 じ ピ ー ク ( 24c) を 与 え た . 24c を 分 取 し , 24a お よ び 24b と 1 H NMR を 比 較 し たところ,それらとは異なるチャートを示した. ま た ,chamaecydin( 25)は ,Chamaecyparis obtuse の 種 子 ,お よ び Cryptomeria japonica の 松 か さ な ど の 植 物 よ り 単 離 さ れ た 六 環 性 ト リ テ ル ペ ン で あ り , 今 回 変 形 菌 か ら の 単 離 は 初 め て で あ る .chamaecydin( 25)は F. aurea の 二 次 代 謝 産 物 な のか,または植物より吸収し変形菌内に蓄積したのか,いずれにせよ興味のある 単離である. 109 総括 総 括 著者は,新たなタイプの癌治療薬のリード化合物を天然資源に求め,近年研究 開発が盛んに行われている分子標的治療薬の創製を基に,種々の癌細胞で異常亢 進の報告があるヘッジホッグシグナル伝達経路を阻害するリード化合物を得るた め の 研 究 を 行 っ た .ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を 阻 害 す る 化 合 物 の 報 告 例 は , Smo( Smoothened) 受 容 体 を 標 的 と し た 阻 害 剤 が ほ と ん ど で あ る . そ こ で , 新 た なタイプのヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤を得るため,シグナル最下流に 位 置 す る 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 を 標 的 と し ,目 的 に あ っ た ア ッ セ イ 系 を 構 築 し た . 構 築 し た ア ッ セ イ 系 を 用 い , 天 然 資 源 を ス ク リ ー ニ ン グ し , GLI に よ る 転 写 活性を阻害する天然物を得た.得られた化合物について,細胞でのヘッジホッグ シグナル伝達経路を阻害するかを立証するため,培養細胞においてヘッジホッグ シグナル伝達経路が制御している遺伝子発現の影響を調べた.その結果,それら 発 現 を 抑 制 し , 天 然 資 源 よ り GLI 転 写 阻 害 剤 を 得 る こ と に 成 功 し た . 本 論 で は , GLI に よ る 転 写 を 標 的 と し た 新 た な タ イ プ の ヘ ッ ジ ホ ッ グ シ グ ナ ル 伝 達 経 路 阻 害 剤を得る過程を,第一章から第五章で述べた. 第一章では,ヘッジホッグシグナル伝達経路において,シグナル最下流に位置 す る 転 写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る 化 合 物 を 得 る た め に ,細 胞 を 用 い た レ ポ ー タ ー ア ッ セ イ 系 の 構 築 に つ い て 述 べ た .ヒ ト 正 常 基 底 細 胞 株( HaCaT 細 胞 ) に て , T-REx system( Tetracycline Regulated Expression system) を 用 い て 転 写 因 子 GLI1 を 過 剰 に 発 現 さ せ , GLI 結 合 領 域 ( GLI binding site) を 有 す る レ ポ ー タ ー ベ ク タ ー で GLI1 に よ る 転 写 活 性 を 測 定 す る 系 で あ る . 12 個 の GLI binding site ( -GACCACCCA-) を 有 す る レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド を 作 成 し , T-REx system に よ り 外 因 性 GLI1 の 発 現 が 制 御 さ れ て い る 細 胞 ( HaCaT-GLI1) に 遺 伝 子 導 入 し , 目 的のアッセイ細胞の樹立に成功した.得られたアッセイ細胞を用いて,スクリー ニングを行うための最適化条件検討を行い,独自のスクリーニングプロトコルを 決定した. 第二章では,第一章で構築したアッセイ系を用いて,当研究室保有の天然物ラ イブラリー(天然有機化合物,熱帯植物抽出物,放線菌抽出物および会社依頼生 薬 抽 出 )を ス ク リ ー ニ ン グ し ,天 然 有 機 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー よ り ,zerumbone( 1), zerumbone epoxide ( 2 ), staurosporinone ( 9 ), 5-hydroxystaurosporinone ( 10 ), arcyriaflavin C( 11) お よ び 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A( 12) が GLI1 転 写 阻 害 活 110 総括 性 を 有 す る こ と を 見 出 し た . ま た , 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー よ り Physalis minima を , 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー よ り CKK32 を , ま た 会 社 依 頼 生 薬 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー よ り ich77 を 選 び ,以 降 の 章 に て ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に し た 分 画 を 進めた. 第三章では,第二章の植物抽出物ライブラリーのスクリーニングにおいて得ら れ た Physalis minima に つ い て , 活 性 を 指 標 に , 分 離 ・ 精 製 を 行 っ た 結 果 , GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 と し て , physalin F( 17) お よ び physalin B( 18) を 得 た . 得 ら れ た 17 お よ び 18 は ,よ り 低 濃 度 に て ,高 い 細 胞 生 存 率 を 保 ち な が ら ,GLI1 転 写 阻 害活性を示した. 第四章では,放線菌抽出物ライブラリーおよび生薬抽出物ライブラリーより得 ら れ た CKK32 お よ び ich77 に つ い て , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に , 分 画 を 行 っ た .CKK32 よ り ,活 性 を 指 標 に し た 分 離・精 製 を 行 っ た 結 果 ,cycloheximide( 26) を 得 た .し か し ,cycloheximide は ,文 献 報 告 よ り ,真 核 生 物 に お い て タ ン パ ク 質 合 成 を 阻 害 す る 報 告 が さ れ て お り ,今 回 ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 下 げ た 理 由 と し て , レ ポ ー タ ー で あ る ル シ フ ェ ラ ー ゼ タ ン パ ク 質 の 合 成 阻 害 と 結 論 付 け ,26 を 擬 陽 性 サンプルとして結論付けた. ま た , ich77 の 抽 出 物 を , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 指 標 に 分 画 し た が , そ の GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,ich77 の 主 成 分 で は な く ,ODS HPLC に て 最 初 に 出 て く る 画 分 に 集 中した.極性が非常に高いこと,また収量が少ないことより,現在分離検討につ い て 行 っ て お り , ich77 か ら は , GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 の 単 離 に は 至 っ て い な い . 第 五 章 で は , ス ク リ ー ニ ン グ に よ り 得 ら れ た GLI1 転 写 阻 害 化 合 物 に つ い て , 細 胞 で の 影 響 を 明 ら か に す る 実 験 を 行 っ た . ま ず , 転 写 因 子 GLI2 に 対 す る 影 響 を 調 べ た 結 果 , GLI1 転 写 阻 害 活 性 と GLI2 転 写 阻 害 活 性 に は 相 関 が 見 ら れ た .次 に , GLI1 ま た は GLI2 を 過 剰 に 発 現 さ せ た 細 胞 で , そ れ ぞ れ の 阻 害 剤 zerumbone ( 1), staurosporinone( 9), physalin F( 17) お よ び B( 18) の 影 響 を 調 べ た . GLI1 を 過 剰 に 発 現 さ せ る と , GLI1 の 標 的 遺 伝 子 で あ る PTCH の タ ン パ ク 発 現 が 多 少 増 加 し , そ の 状 態 に て そ れ ぞ れ の 阻 害 剤 を 添 加 し た と こ ろ , PTCH の タ ン パ ク 発 現 を 抑 制 し た .ま た ,こ れ ら 阻 害 剤 は ,GLI2 に 対 し て も 転 写 を 阻 害 す る が 判 明 し た の で ,GLI2 の 標 的 遺 伝 子 で あ る GLI1 お よ び PTCH の タ ン パ ク 発 現 を 調 べ た . そ の 結 果 , GLI2 の 過 剰 発 現 に よ り GLI1 お よ び PTCH の タ ン パ ク 発 現 は 増 加 し , 阻 害 剤 は そ れ ら タ ン パ ク 発 現 を 抑 制 し た . ま た , GLI1 お よ び GLI2 の 標 的 遺 伝 子 の 一 つ に 抗 ア ポ ト ー シ ス タ ン パ ク BCL2 が あ る .同 様 の 実 験 に よ り ,GLI1 ま た は GLI2 を 過 剰 に 発 現 さ せ る と ,BCL2 の 発 現 が 増 加 し ,そ の 状 態 に て 阻 害 剤 を 添 加 し た と こ ろ , BCL2 の タ ン パ ク 発 現 を 抑 制 し た . 今 回 ,転 写 因 子 GLI1 お よ び GLI2 の 転 写 活 性 を 阻 害 す る 化 合 物 は ,ヘ ッ ジ ホ ッ グ 111 総括 シ グ ナ ル 伝 達 経 路 が 亢 進 し て い る ヒ ト す い 臓 癌 細 胞 株( PANC1 細 胞 )に 対 し て 細 胞 毒 性 を 示 し ,GLI 転 写 阻 害 と PANC1 細 胞 に 対 す る 細 胞 毒 性 に は 相 関 が 見 ら れ た . ま た ,physalin F( 17)お よ び B( 18)は ,比 較 対 照 と し て 用 い た マ ウ ス 正 常 細 胞 ( C3H10T1/2 細 胞 , Hh responsive but not required for survival) と 比 較 し , PANC1 細胞の方が,より強く細胞毒性を示した. また,未利用資源の成分研究の一環として,変形菌の野外採取子実体の成分に 関する研究を行った. 第 六 章 で は , マ メ ホ コ リ ( Lycogala epidendrum) か ら , 2 種 の 新 規 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 ( 10 お よ び 12) と 8 種 の 既 知 ビ ス イ ン ド ー ル 化 合 物 も 単 離 し た . 10 お よ び 12 は , HeLa, Jurkat お よ び KB/VJ30 の 癌 細 胞 株 に 対 し て , 細 胞 毒 性 を 示 した.ビスインドール化合物には,様々なキナーゼ活性を阻害する報告があり, 10 お よ び 12 は ,Protein Tyrosine Kinase( PTK)に 対 し て 阻 害 を 示 す こ と が 明 ら か となった. 第 七 章 で は ,ム シ ホ コ リ( Fuligo aurea)か ら ,2 種 の 新 規 化 合 物 tryptophan cis( 23) お よ び trans-4-aminocinnamamide( 24) を 単 離 し た . 24 は , カ ウ ン タ ー イ オ ン 状 態 の 違 い か ら ,ODS HPLC に て 2 つ に 分 離 さ れ た( 24a お よ び 24b).ま た , 既 知 化 合 物 と し て ,ヒ ノ キ の 種 子 や 松 か さ か ら 単 離 報 告 例 の あ る chamaecydin( 25) を単離した. 以上,ヘッジホッグシグナル伝達経路の中で,シグナル最下流に位置する転写 因 子 GLI に よ る 転 写 活 性 を 阻 害 す る 天 然 物 を 得 る こ と に 成 功 し た こ と を 述 べ た . 特 に ,physalin F( 17)お よ び B( 18)は ,今 回 GLI 転 写 阻 害 化 合 物 と 同 定 し た 中 で も よ り 低 濃 度 に て 作 用 を 示 す こ と が わ か り , 今 後 , GLI の 転 写 活 性 に お け る イ ベントの中で,どの部位で作用するかを明らかにしていきたい.また,アッセイ 系の構築に成功したことにより,様々な天然物におけるスクリーニングを行い, 更 に 新 た な タ イ プ の GLI 転 写 阻 害 化 合 物 を 求 め て い き た い .天 然 に は ,様 々 な 骨 格を持った小分子が存在することから,今までにない新たなタイプの阻害剤を得 ることができると期待する.こうした研究から,天然物をリード化合物とし,ヘ ッジホッグシグナル伝達経路阻害剤が,癌治療薬として用いられること願うばか りである. 112 実験の部 実験の部 1. 使 用 器 機 お よ び 試 薬 各種機器分析データを得るため,次の装置および試薬を用いて測定した. 1-1. 化 合 物 の 単 離 , 構 造 決 定 旋 光 度 計 は , P-1020 polarimeter( JASCO) を , 赤 外 吸 収 ( IR) ス ペ ク ト ル は , FT-IR230 spectrometer ( JASCO ) を , 紫 外 吸 収 ( UV ) ス ペ ク ト ル は , UVmini spectrophotometer( SHIMADZU) を 使 用 し た . 赤 外 吸 収 ス ペ ク ト ル の 測 定 に は , film 法 ( NaCl 板 に 試 料 溶 媒 を 塗 布 し , 溶 媒 を 蒸 発 さ せ 測 定 ) お よ び ATR 法 ( DuraScope 装 置( SensIR Technologies)を 用 い ,全 反 射 法 に て 測 定 ,ATR: Attenuate Total Reflectance) で 行 っ た . 核 磁 気 共 鳴( NMR: nuclear magnetic resonace)は ,ECP 600 spectrometer( JEOL, 1 H : 600 MHz, 13 C : 150 MHz), a 500 spectrometer( JEOL, 1 H : 500 MHz, 13 C : 125 MHz) お よ び a 400 spectrometer( JEOL, 1 H : 400 MHz) を 用 い た . 1 H- 1 H シ フ ト 相 関 ス ペ ク ト ル( 1 H- 1 H COSY; correlation spectroscopy),異 核 間 多 量 子 コ ヒ ー レ ン ス ( HMQC; heteronuclear multiple quantum coherence) お よ び 異 核 間 多 重 結 合 相 関( HMBC; heteronuclear multiple bond coherence)の 2 次 元 NMR( 2D NMR) は ECP 600 型 お よ び a 500 型 ス ペ ク ト ロ メ ー タ ー を 用 い , そ れ ぞ れ の 装 置 の標準的なパルスシークエンスで測定した. NMR の 化 学 シ フ ト( chemical shift) δ は ppm で 示 し ,結 合 定 数( coupling constant) J は Hz で 示 し た . ま た , 開 列 様 式 は , s( singlet), d( doublet), t( tripret), m ( multiplet) お よ び br( broad) と そ れ ぞ れ 示 し た . 測 定 溶 媒 は ,重 水 素 化 ク ロ ロ ホ ル ム( CDCl 3 ),重 水 素 化 ア セ ト ン( Acetone-d 6 ), 重 水 素 化 メ タ ノ ー ル( CD 3 OD)お よ び 重 水 素 化 ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド( DMSO-d 6 ) を 用 い , 内 部 標 準 物 質 と し て , ク ロ ロ ホ ル ム ( 1 H : 7.26 ppm, 1 セ ト ン( H : 2.04 ppm, 13 1 13 C : 77.0 ppm), ア C : 29.8 ppm),メ タ ノ ー ル( H : 3.31 ppm, ま た は ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド ( 1 H : 2.50 ppm, 13 13 C : 49.0 ppm) C : 39.5 ppm) を 用 い た . 質 量 分 析 に は , JMS GC-Mate mass spectrometer ( JEOL) お よ び JMS-AX 500 spectrometer( JEOL)を 用 い ,高 分 解 能 FABMS( HRFABMS)に は JMS-HX 110A mass spectrometer( JEOL) を , 高 分 解 能 ESIMS( HRESIMS) は Micromass ス ペ ク ト ロ メ ー タ ー ( Manchester UK) を 用 い た . 113 実験の部 有 機 溶 媒 メ タ ノ ー ル ,ア セ ト ニ ト リ ル ,ア セ ト ン ,ク ロ ロ ホ ル ム ,酢 酸 エ チ ル , へ キ サ ン ( 関 東 化 学 ) は , 試 薬 一 級 品 を 素 蒸 留 し て 用 い た . ま た n-ブ タ ノ ー ル , 2-プ ロ パ ノ ー ル お よ び ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド ( Wako) は , 試 薬 特 級 品 を 用 い た . 薄 層 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー は ,順 相 は Kieselgel 60F 2 5( を ,逆 相 は RP 18F 2 5 4 4 Merck) ( Merck) を 用 い た . ま た , キ ラ ル TLC は HPTLC-Fertigplatten CHIR( Merck) を 用いた. オ ー プ ン カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に は , Diaion HP-20( 三 菱 化 成 ), Sephadex LH-20( Amersham Pharmacia Biotec),Silica Gel 60N( Nacalai tesque Inc.), Wakogel 100C18( Wako)お よ び Amberlite ® IRA-400 (CI) ion exchange resin( ALDRICH)を 用いた. 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( High Performance Liquid Chromatography : HPLC) 装置は,分析用として,島津製作所製のものを用い,システムコントローラー ( SCL-10Avp), フ ォ ト ダ イ オ ー ド ア レ イ 紫 外 可 視 検 出 器 ( SPD-M 10Avp), 送 液 ユ ニ ッ ト( LC-10ADvp),低 圧 グ ラ ジ エ ン ト ユ ニ ッ ト( FCV-10ALvp),オ ン ラ イ ン デ ガ ッ サ ー( DGU-12A)お よ び LC ワ ー ク ス テ ー シ ョ ン( CLASS-VP<ver. 5.032>) に て 行 っ た .ま た ,分 取 用 と し て ,日 本 分 光( JASCO)を 用 い ,ポ ン プ( PU-2080) お よ び 検 出 器 ( UV-2075 お よ び RI-2031) に て 行 っ た . 高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー の カ ラ ム に は , 分 析 用 と し て Mightysil RP-18 GP ( f4.6 × 250 mm,関 東 化 学 )を 用 い ,分 取 用 と し て Mightysil RP-18 GP( f20 × 250 mm,関 東 化 学 ),Develosil ODS UG-5 ( f10 × 250 mm,野 村 化 学 ),Develosil ODS HG-5( f10 × 250 mm,野 村 化 学 ),Develosil C-30 UG-5( f10 × 250 mm,野 村 化 学 ) お よ び Inertsil ODS-3( f10 × 250 mm, GL sciences) を 用 い た . 1-2. 遺 伝 子 実 験 PCR ( Polymerase Chan Reaction ) 装 置 は , TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice ( TaKaRa ) を 用 い , UV に よ る DNA 濃 度 の 測 定 は , UVmini 1240 UV-VIS Spectrophotometer( SHIMADZU) に て OD 2 6 0 お よ び OD 2 8 0 を 測 定 し 計 算 し た .ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 後 の DNA の 確 認 は , Ethidium bromide 溶 液 ( Nacalai tesque Inc.) に よ る 染 色 を 行 っ た 後 , ト ラ ン ス イ ル ミ ネ ー タ ー TCP-15M( コ ス モ バ イ オ ) を 用 い て 紫 外 線 ( 312 nm) で 確 認 し た . 114 実験の部 生 化 学 実 験 で の 有 機 溶 媒 エ タ ノ ー ル , 2-プ ロ パ ノ ー ル , ク ロ ロ ホ ル ム , イ ソ ア ミ ル ア ル コ ー ル , フ ェ ノ ー ル ( Wako) は 全 て 試 薬 特 級 品 を 用 い た . マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー は , 蛍 光 測 定 に は Fluoroscan Ascent( Thermo) を , 化 学 発 光 測 定 に は Luminoscan Ascent( Thermo) を 用 い て 測 定 を 行 っ た . 1-3. タ ン パ ク 実 験 SDS-PAGE は , BE-210( BIO CRAFT) 装 置 に て タ ン パ ク 泳 動 を 行 い , メ ン ブ レ ン へ の 転 写 は ,BE-310( BIO CRAFT)も し く は BE-351( BIO CRAFT)を 用 い た . SDS-PAGE の ゲ ル , Running Buffer お よ び CAPS Buffer の 組 成 は , 以 下 の も の を用いた. SDS-PAGE gel running gel stacking gel 12.5% 7.5% 5% H2O 2.2 mL 3.9 mL 3.4 mL 30% acrylamide 4.2 mL 2.5 mL 0.83 mL Tris-HCl (pH 8.8) 3.4 mL 3.4 mL -------- Tris-HCl (pH 6.8) -------- -------- 0.63 mL 10% SDS 0.1 mL 0.1 mL 0.05 mL 10% ammonium persulfate 0.1 mL 0.1 mL 0.05 mL TEMED 7 mL 7 mL 5 mL 10´ Running Buffer Tris-HCl 30.3 g (0.25 M) glycin 144 g (1.92 M) SDS 10 g (1% (w/v)) ---------------------------------------------------dH 2 O up to 1 L 100 mM CAPS Buffer CAPS 8.84 g を 350 mL の dH 2 O に 溶 か し , 5 N 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム で pH を 11.0 に 合 わ せ , 400 mL に メ ス ア ッ プ 後 , オ ー ト ク レ ー ブ ( 121°C, 20 分 ) し た . 使 用 時 は , 10 mM CAPS で 用 い た . 115 実験の部 2. 細 胞 お よ び 大 腸 菌 培 養 2-1. 細 胞 培 養 それぞれの細胞における細胞培養条件は,以下に示す条件にて行った. ・ HaCaT 細 胞 ( HaCaT-GLI1 お よ び HaCaT-GLI2, gifted by Drs. Frits Aberger and Gerhard Regl); Dulbecco’s modified Eagle Medium ( DMEM, high glucose, Wako)+ 5% fetal bovine serum( FBS, biowest) ・HaCaT 細 胞( HaCaT-GLI1-luc,ア ッ セ イ 細 胞 ) ;DMEM( high glucose, Wako)+ 5% FBS and Penicillin (200 unit/mL)/Streptomycin (200 μg/mL) ( Gibco) ・ PANC1 細 胞 ( provided from RIKEN BRC); RPMI-1640( Wako) + 10% FBS ・C3H10T1/2 細 胞( provided from RIKEN BRC) ;DMEM( high glucose, Wako)+ 10% FBS ・HeLa 細 胞 ;Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium( IMDM,SIGMA)+ 5% FBS + L -glutamine( 0.3 g/500 mL, 日 水 製 薬 ) Fetal Bobine Serum( FBS,Biowest)は ,補 体 を 失 活 さ せ る た め ,56°C,30 分 間 の 加 熱 処 理 を 行 い , 非 動 化 を 行 っ た も の を 使 用 し た . 細 胞 の 剥 離 に は , Trypsin EDTA( 0.25% Trypsin-EDTA,Gibco)を 用 い た .細 胞 計 測 に は Trypan blue 溶 液( 0.4% (w/v) trypan blue, Nacalai tesque Inc.) を 用 い , 顕 微 鏡 下 で 行 っ た . 抗 生 物 質 は ,Penicillin( 10,000 unit/mL)/Streptomycin( 10,000 μg/mL) ( Gibco), Blasticidin S HCl( Invitrogen), Zeocin( Invitrogen), Puromycin( SIGMA) お よ び Tetracycline( Invitrogen) を 用 い た . PBS (–)は , 以 下 の 組 成 を 用 い た KCl( Nacalai tesque Inc.) 0.2 g KH 2 PO 4 ( Nacalai tesque Inc.) 0.2 g NaCl( Nacalai tesque Inc.) 8.0 g Na 2 HPO 4 ( Nacalai tesque Inc.) 1.11 g ------------------------------------------------dH 2 O 1 L ( autoclaved; 121°C, 20 min) 細 胞 の 培 養 は ,CO 2 イ ン キ ュ ベ ー タ ー( MCO-17A1C,SANYO)に て 37°C,5%CO 2 に て 行 っ た . ま た , 細 胞 培 養 の 操 作 は , ク リ ー ン ベ ン チ ( Bio Clean Bench MCV-B1313S, SANYO) 内 で 行 っ た . 116 実験の部 2-2. 大 腸 菌 培 養 大 腸 菌 E. coli. JM109( TaKaRa)お よ び DH5a( TaKaRa)は ,以 下 の 培 地 に て 培 養を行った. ・液 体 培 地;LB 培 地( LB broth base,Invitrogen)+ ampicillin( final conc. 50 μg/mL), 37°C, 120 rpm ・平 板 培 地;LB 培 地 + agar( Taiyoa agar GP-600,清 水 食 品 )+ ampicillin( final conc. 50 μg/mL), 37°C, 2-3. 放 線 菌 の 培 養 放線菌の培養は,以下の培地にて培養を行った. Waksman medium Glucose 10 g 20 g Peptone 2.5 g 5g Yeast extracts 1.5 g 3g Meat extracts 2.5 g 5g NaCl 2.5 g 5g CaCO 3 1.5 g 3g ( Agar 7.5 g 15 g)・ ・ ・ ・ ・ ・ 平 板 培 地 の み 添 加 -----------------------------------------------dH 2 O 500 mL 1L ( autoclaved; 121°C, 20 min) ・ 液 体 培 養 ; 25°C, 135~ 145 rpm ・ 平 板 培 養 ; 25°C, 放 置 117 実験の部 3. 実 験 操 作 各章における実験操作について以下に示す手順にて行った. 3-1. 第 一 章 の 実 験 ( ア ッ セ イ 系 の 構 築 ) 3-1-1. pGL4-GLI BS の 作 成 Rune Toftgård 博 士 ( Karolinska Institutet, Sweden ) よ り 譲 与 い た だ い た 12GLI-RE-TKO プ ラ ス ミ ド の GLI binding site を 含 む プ ロ モ ー タ ー 領 域 の DNA 配 列 を 明 ら か に す る た め に ,luciferase 遺 伝 子 中 の -CTAGAGGATAGAATGGCGCC-( 20 mer.) を プ ラ イ マ ー に し , DNA sequencing を 行 い , プ ロ モ ー タ ー 領 域 の 配 列 を 明 らかにした. CCTCNCATGNTTNNTAGGGTATNGANNNNNNNNNNNNTTCCNTTTTTNNNCAGTACCGGAATGCCAAGCTC[ AGATCT GCG BglII GCACGCTGTTGACGCTGTTAAGCGGGTCGCTGCAGGGTCGCTCGGTGTTCGAGGCCACACGCGTCACCTTAATATGCGAA GTGGACCTCGGACCGCGCCGCCCCGACTGCATCTGCGTGTTCGAATTCGCCAATGACAAGACGCTGGGCGGGGTTTGCCG GATCTCGAGGTC GACCACCCAGACCACCCAGACCACCCAGACCACCCACTCGACCACCCAGACCACCCAGACCACCCAGA CCACCCACTCGACCACCCAGACCANCCAGACCACCCAGACCACCCA CTCGACGGTATCGATAAGCTTGGATCTGAGCTTG 12xGLI binding sites GATCCAGACATGATAAGATACATTGATGAGTTTGGACAAACCACAACTAGAATGCAGTGAAAAAAATGCTTTATTTGTGA AATTTGTGATGCTATTGCTTTATTTGTAACCATTATAAGCTGCAATAAAACAAGTTAACAACAATTGCATTCATTTTATG TTTCAGGTTCAGGGGGAGGTGTGGGAGGTTTATNTAACCNANTNANNACTTCTCTNATGTGANATGGGTTGANCTNANNT NATAANATANTTTGNTNAATTTNGACAATCCCNCTCTAGANATGCGGTGGAGAANAANGNTTTNTTTNGGGAANATTNTG TANGNNANTGGGNTNANTTGTNACCCNTNTTNNGCTGGCGNTAACANAGGNGNTNACANANANNTTGGNAGCNNNTGTNN AGGGTNCNGGGNTCCACGGNGNGANGTGGNGGNNAATATCTACGTTATNANNTANNAACNCNTNANTCATAGCGTTNTTN TNNNATNGTNCGNGNNTAGNCTNCTANTATNGTGCTAGNNGTGNANANGTGNANATNACGCNANATAAA Fig.I. DNA sequencing of 12GLI-RE-TKO promoter region こ れ を 基 に , 12×GLI binding site お よ び TK promoter 領 域 ( 449 bp) を 増 幅 す る た め , Primer3( http://frodo.wi.mit.edu/) を 用 い て 以 下 の プ ラ イ マ ー を 設 計 し た . forward primer, -AGGCTAGCTCATGTCTGGATCCAAG- (25 mer.) reverse primer, -AGTACCGGAATGCCAAGCTCAGATCT- (26 mer.) 作 成 し た プ ラ イ マ ー を 用 い て , 449 bp 領 域 ( GLI binding site + TK promoter) を 増 幅 す る た め ,PCR を 行 っ た .DNA Polymerase は ,TOYOBO KOD-Plus-( TOYOBO) を 用 い , PCR は , 以 下 に 示 す サ イ ク ル で 行 っ た . PCR 産 物 ( 449 bp) は , 1.2% agarose-TAE gel に て 電 気 泳 動( 100V)し ,ethidium bromide に て 染 色 し た 後 , UV 照射下にて確認した. 118 実験の部 PCR condition 1) initial denaturation 94°C 5 min. 2) denaturation 94°C 30 sec. 3) annealing and elongation 68°C 30 sec. 4) final elongation 68°C 5 min. 2)〜 3), 30 cycles 得 ら れ た PCR 産 物( 449 bp)お よ び pGL4-2.0( Promgega)を ,Nhe I( TaKaRa) お よ び Bgl II( TaKaRa) で 制 限 酵 素 処 理 ( 37°C, 1 h) し た 後 , Wizard Ò SV Gel and PCR Clean-Up System( Promega) を 用 い て そ れ ぞ れ の DNA を 精 製 し た . 51 ng の insert( 449 bp)お よ び 48 ng の vector( 5.4 kbp)を DNA Ligation Kit <Mighty mix>( TaKaRa) を 用 い て ラ イ ゲ ー シ ョ ン 処 理 ( 16°C, 1h) を し た . ラ イ ゲ ー シ ョ ン 溶 液 を E. coli( JM109) に ト ラ ン ス フ ォ ー メ シ ョ ン し , LB/amp. ager プ レ ー ト で 培 養 ( 37°C, overnight) し た と こ ろ , 多 数 の コ ロ ニ ー を 得 た . そ の う ち , 20 個 の コ ロ ニ ー ( colonies #1~ #20) に つ い て , プ ラ ス ミ ド を 単 離 し , Mlu I, Bgl II, Nhe I お よ び Bgl II に よ る 制 限 酵 素 処 理 後 の DNA 産 物 を 電 気 泳 動 に て 確 認 し た ( mapping に よ る 確 認 ). colony #5 つ い て , 良 好 な 結 果 を 得 た た め , QIAGEN Ò Plasmid Mdi Kit( QIAGEN)に よ り プ ラ ス ミ ド を 精 製 し ,DNA sequencing に て DNA 配 列 を 確 認 し , 目 的 の レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド pGL4-GLI BS を 得 た . 3-1-2. Transient transfection Frits Aberger 博 士 お よ び Gerhard Regl 博 士 よ り 譲 与 い た だ い た Tetracycline-regulated HaCaT 細 胞 ( HaCaT-GLI1) に , 作 成 し た レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド pGL4-GLI BS を Lipofectamine 2000( Invitrogen) を 用 い て 一 過 性 遺 伝 子 導 入 し ,ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 と 細 胞 内 の GLI1 タ ン パ ク 量 を Western blotting で 調 べ た . ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 は , 24-well plate に HaCaT-GLI1 細 胞 ( 1´10 5 cells/well)を 播 種 し ,24 時 間 培 養 後 ,各 well 当 た り 1 mg の pGL4-GLI BS を 2 mL の Lipofectamine 2000 を 用 い て 遺 伝 子 導 入 し た .4 時 間 後 ,培 地 を 除 き ,tetracycline ( Tc, 終 濃 度 1 mg/mL) を 添 加 し た 培 地 ( 500 μL) を 加 え た ( +Tc). ま た コ ン ト ロ ー ル と し て ,Tc を 加 え て い な い 培 地( 500 μL)を 加 え た( –Tc).24 時 間 培 養 後 , そ れ ぞ れ の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 測 定 し た .ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 は ,+Tc が 524.4 を , –Tc が 42.8 で , そ の 比 ( +Tc/–Tc) は , 12.3 倍 で あ っ た . ま た ,細 胞 内 の 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク 発 現 は ,10 cm dish に HaCaT-GLI1( 2´10 6 cells)を 播 種 し ,12 時 間 後 に Tc( 終 濃 度 1 mg/mL)を 添 加 し た( +Tc).ま た コ ン ト ー ル と し て ,Tc を 添 加 し な い 細 胞 も 用 意 し た .Tc を 添 加 し た 24 時 間 後 に ,GLI1 の タ ン パ ク 発 現 を Western Blotting に よ り 調 べ た ( –Tc). 119 実験の部 3-1-3. 安 定 発 現 細 胞 株 の 樹 立 Tetracycline-Regulated HaCaT 細 胞( HaCaT-GLI1)を 6 cm dish に 5´10 5 cells( 90% confluent) 播 種 し , 24 時 間 ( 37°C, 5% CO 2 ) 培 養 し た 後 , 12 mg の pGL4-GLI BS を 20 mL の Lipofectamine 2000 を 用 い て 遺 伝 子 導 入 し た . 2 日 後 , 10 cm dish に 継 代 し , 翌 日 に puromycin( 終 濃 度 1 mg/mL) を 添 加 し た . ま た , pcDNA6/TR お よ び pcDNA3.1-GLI1 に 対 す る セ レ ク シ ョ ン も 行 う た め ,の Zeocin( 終 濃 度 0.5 mg/mL) お よ び の Blasticidin S HCl( 終 濃 度 1 mg/mL) も 添 加 し た . 3 日 お き に 3 種 の 抗 生 物 質( Puro, Zeo, Bla)が 添 加 さ れ た 培 地 に て 培 地 交 換 を 行 い ,15~ 20 日 後 ,10 cm dish 中 に ク ロ ー ン( コ ロ ニ ー )が 形 成 し た 後 ,そ れ ぞ れ の ク ロ ー ン 細 胞 を 24-well plate に 移 し , 46 の ト ラ ン ス フ ェ ク タ ン ト を 得 た . そ れ ぞ れ を 個 別 に 培 養 し , 生 育 が よ い も の に つ い て ,Tc 添 加( +Tc)も し く は 非 添 加 状 態( –Tc)に て ル シ フ ェ ラ ー ゼ 測 定 を 行 っ た .最 終 的 に ,Clone# 2 が Tc を 添 加 し た 時 の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 に よ る 発 光 量 が 高 い こ と , ま た +Tc/−Tc の 比 が 大 き い こ と よ り , こ れ を 目 的 と し て い た ア ッ セ イ 細 胞 ( HaCaT-GLI1-luc) と し た . 3-2 ス ク リ ー ニ ン グ プ ロ ト コ ル HaCaT-GLI1-luc 細 胞 を 24-well plate で は 2´10 5 cells/well, ま た は 96-well white plate で は 2´10 4 cells/well 播 種 し ,12 時 間 培 養( 37°C,5% CO 2 )し た .12 時 間 後 , 外 因 性 の GLI1 タ ン パ ク を 発 現 さ せ る た め に , そ れ ぞ れ の well に tetracycline( 終 濃 度 1 mg/mL) を 添 加 し た . 12 時 間 外 因 性 GLI1 タ ン パ ク を 発 現 さ せ た 後 , 培 地 を 取 り 除 き ,tetracycline を 含 ま な い 培 地 を 用 い て ,そ れ ぞ れ の 濃 度 に 希 釈 し た テ ス ト サ ン プ ル を 作 成 し ,24-well plate/well に は 500 mL,96-well plate/well に は 100 mL を 加 え た . 12 時 間 テ ス ト サ ン プ ル を 作 用 さ せ た 後 , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定を行った. ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 は ,培 地 を 取 り 除 き ,24-well plate/well に は 80 mL, 96-well plate/well に は 30 mL の Bright-Glo™ Lysis buffer( Promega) を 加 え , 室 温 に て 10 分 放 置 し た . 細 胞 が 溶 解 し た 後 , 24-well plate/well に は 50 mL, 96-well plate/well に は 30 mL の Bright-Glo™ Luciferase Assay System( Promega)の luciferin を 添 加 し , Luminoskan Ascent( Thermo) を 用 い て 化 学 発 光 量 を 測 定 し , GLI1 に よる転写活性を評価した. ま た 同 時 に , 細 胞 毒 性 試 験 ( FMCA ) も 行 い , 細 胞 の 生 存 率 を 調 べ た . HaCaT-GLI1-luc 細 胞 を 96-well black plate に 播 種( 2´10 4 cells/well)し ,24 時 間 培 養( 37°C,5% CO 2 )し た .ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 用 の サ ン プ ル 添 加 と 同 時 に ,同 じ 濃 度 の テ ス ト サ ン プ ル を 加 え , 12 時 間 作 用 さ せ た 後 , fluorometric microculture 120 実験の部 cytotoxicity assay( FMCA) の 手 法 を 用 い て Fluoroskan ascent( Thermo) に て そ の 蛍 光 量 を 測 定 し ( Ex: 485 nm, Em: 538 nm), 細 胞 生 存 率 を 評 価 し た . そ れ ぞ れ の 活 性 評 価 は , サ ン プ ル を 添 加 し て い な い コ ン ト ロ ー ル の 値 を 100% とし,テストサンプル群の値がどれだけ変化したかを割合で計算し,ルシフェラ ー ゼ 活 性 で は GLI1 転 写 活 性 を , FMCA で は 細 胞 生 存 率 を 算 出 し た . GLI転写活性(%)= 細胞生存率(%)= サンプルの発光強度 ´100 コントロールの発光強度 サンプルの蛍光強度 コントロールの蛍光強度 ´100 FMCA( Fluorometric Microculture Cytotoxicity Assay) に つ い て H3 C O O O O CH3 HO O OH O O esterase in living cell O O O FDA Fluorescein Ex: 485 nm, Em: 538 nm FDA( Fluorescein Diacetate, Wako) は 細 胞 内 に 取 り 込 ま れ る と , 細 胞 内 の 各 種 酵 素 ( esterase) の 働 き に よ り 加 水 分 解 さ れ て , 蛍 光 性 の fluorescein と な る . す な わ ち , 生 細 胞 が FDA に よ っ て 蛍 光 染 色 さ れ る こ と か ら , 生 細 胞 数 は fluorescein の 蛍 光 強 度 に 比 例 す る . 【試験方法】 5 mg FDA( Wako) を 500 mL DMSO に 溶 解 し , 10 mg/mL FDA/DMSO 溶 液 を 作 成 し た 後 ,20 mL を 20 mL PBS に 添 加 し ,FDA 溶 液 と し た .テ ス ト サ ン プ ル 処 理 が 終 了 し た 後 , 96-well plate の 培 地 を 取 り 除 き , 100 μL/well の PBS で 2 回 洗 浄 し た 後 , 200 μL/well の FDA 溶 液 を 加 え た . 37°C で 30 分 間 放 置 し た 後 , プ レ ー トリーダーにて蛍光量の測定を行った. 121 実験の部 3-2. 第 二 章 の 実 験 ( 天 然 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ ) 3-2-1. 天 然 有 機 化 合 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ HaCaT-GLI1-luc を 24-well plate に 播 種 ( 2´10 5 cells/well) し , 12 時 間 培 養 後 に tetracyline( 終 濃 度 1 mg/mL)を 添 加 し ,外 因 性 GLI1 を 誘 導 し た .12 時 間 培 養 後 , Tc を 含 ま な い 培 地 を 用 い て ,テ ス ト サ ン プ ル が 終 濃 度 25 mg/mL お よ び 2.5 mg/mL に な る よ う に 希 釈 し , 500 mL 添 加 し た . さ ら に 12 時 間 培 養 後 , ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 測 定 を 行 い , GLI1 転 写 活 性 を 評 価 し た . 同 時 に , 96-well black plate を 用 い て FMCA を 行 い ,細 胞 生 存 率 を 評 価 し た .テ ス ト サ ン プ ル を 処 理 し て い な い 値 と 比較して,テストサンプル群の値がどれだけ変化したかを算出した. 3-2-2. 熱 帯 植 物 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ 上 記 と 同 様 の 手 法 に て ,終 濃 度 が 100 mg/mL お よ び 50 mg/mL に な る よ う に テ ス トサンプルを希釈し,ルシフェラーゼ活性および細胞生存率のそれぞれを評価し た . 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー は , 96-well white plate を 用 い て 評 価 を 行 っ た . 96-well white plate に HaCaT-GLI1-luc 細 胞 を 播 種( 2´10 4 cells/well)し ,以 降 の 操 作 は 上 記 と 同 じ で あ る . ま た , 細 胞 毒 性 の 強 い サ ン プ ル は , 低 濃 度 ( 10 mg/mL お よ び 1 mg/mL) に て 再 度 活 性 試 験 を 行 っ た . 3-2-3. 放 線 菌 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ 上記と同様の手法にて,活性評価を行った. 3-2-4. 依 頼 生 薬 抽 出 物 ラ イ ブ ラ リ ー の ス ク リ ー ニ ン グ 上記の同様の手法にて,活性評価を行った. 122 実験の部 3-3. 第 三 章 の 実 験 ( Physalis minima か ら の 活 性 成 分 の 単 離 ) 3-3-1. Physalin minima の 活 性 を 指 標 に し た 分 画 Material 試 料 と し た Physalis minima は , 2001 年 Thailand の Khon Kaen に て 小 谷 野 喬 氏 により採取されたものを用いた. ( A voucher specimen (7-019) is maintained at Facility of Agriculture, Khon Kaen University.) Extraction and isolation Physalis minima の 全 草 を , メ タ ノ ー ル で 抽 出 し , メ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 2.7 g) を 得 た . 得 ら れ た メ タ ノ ー ル 抽 出 物 を 水 ( 50 mL) と ヘ キ サ ン ( 300 mL ´ 3), 酢 酸 エ チ ル( 300 mL ´ 3),ク ロ ロ ホ ル ム( 300 mL ´ 2)で 分 配 し ,へ キ サ ン 抽 出 物( 585 mg),酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 215 mg),ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 物( 176 mg)お よ び 水 抽 出 物( 1.4 g)を 得 た .GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,へ キ サ ン ,酢 酸 エ チ ル お よ び ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 物 に 移 行 し ,ま た そ れ ぞ れ の TLC 分 析 に よ り 同 じ 成 分 が 含 ま れ て い る こ と が 判 明 し た の で ,へ キ サ ン ,酢 酸 エ チ ル お よ び ク ロ ロ ホ ル ム 抽 出 物 を 合 わ せ て , 以 降 の 操 作 を 行 っ た .合 わ せ た 抽 出 物( 0.9 g)を ,へ キ サ ン /酢 酸 エ チ ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒( 1/0~ 0/1)お よ び 酢 酸 エ チ ル /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒( 1/0~ 0/1)を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f30 ´ 220 mm)で 分 離 を 行 っ た 結 果 , Frs. 1A~ 1H の 8 つ の 画 分 を 得 た . 8 つ の 画 分 ( Frs. 1A~ 1H) の GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 測 定 し た と こ ろ ,Frs. 1C( 75 mg),1D( 73 mg)お よ び 1E( 18 mg) に 1 mg/mL で 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た . ま た , Frs. 1F( 107 mg), 1G( 219 mg) お よ び 1H( 64 mg) も 10 mg/mL で 転 写 活 性 を 示 し た . 活 性 を 示 し た 画 分 Fr. 1D( 75 mg) を ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 ( 1/4) を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f18 ´ 600 mm)で 分 離 し た 結 果 ,Frs. 2A~ 2F を 得 た .但 し ,Fr. 2F は ,カ ラ ム を 行 う 際 の 不 溶 解 物( 白 色 固 体 ) と し て 分 離 し た . Frs. 2A~ 2F の GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Frs. 2D( 34 mg) お よ び 2F( 23 mg)に 移 行 し た .Frs. 2D お よ び 2F は ,ODS HPLC( Develosil ODS-HG-5 (f10 ´ 250 mm), H 2 O/MeOH 1/1)に お け る 分 析 に よ り ,同 じ 成 分 が 含 ま れ て い る こ と が 判 明 し ,よ り 精 製 が 進 ん で い た Fr. 2F を 用 い て 以 降 の 分 離 を 行 っ た .Fr. 2F を ODS HPLC( Develosil ODS-HG-5 (f10 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 1/1; flow rate, 2.0 mL/min) に て 主 成 分 を 分 取 し , 化 合 物 17( 5.1 mg, t R 24 min) を 得 た . Fr. 1C( 73 mg)も Fr. 1D と 同 様 の 手 法 に よ り ,ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 ( 1/4) を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f18 ´ 600 mm) で 分 離 し た 結 果 , Frs. 3A~ 3E を 得 た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 3D( 19 mg) に 移 123 実験の部 行 し た の で ,ODS HPLC( Develosil ODS-HG-5 (f10´250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 1/1; flow rate, 2.0 mL/min) で 分 取 し た と こ ろ , 化 合 物 18( 4.9 mg, t R 30 min) お よ び 19( 0.4 mg, t R 38 min) を 得 た . Physalis minima MeOH ext. (7-019, KKP0185) 2.7 g partitioned with n-hexane (300 mL) x3 and H2O (50 mL) Hexane ext. 584.9 mg H2O lay. partitioned with EtOAc (300 mL) x3 and H2O EtOAc ext. 215.2mg H2O lay. partitioned with CHCl3 (300 mL) x2 and H2O CHCl3 ext. 176.6 mg Silica gel open C.C. (30 x 220 mm) Hex/EtOAc - EtOAc/MeOH - MeOH H2O ext. 1.41 g 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G 1H 157mg 201mg 75mg 73mg 19mg 107mg 219mg 65mg Sephadex LH-20 open C.C. (18x700 mm) CHCl3/MeOH 2/8 5A 5B 5C Sephadex LH-20 open C.C. (18x700 mm) CHCl3/MeOH 2/8 5D 4A 18mg 31mg 89mg 54mg 4B 4C 4D 7mg 53mg 19mg 13mg Sephadex LH-20 open C.C. (18 x 600 mm) CHCl3/MeOH 2/8 Sephadex LH-20 open C.C. (18x600 mm) CHCl3/MeOH 2/8 Sephadex LH-20 open C.C. (18x700 mm) CHCl3/MeOH 2/8 - MeOH 4E 4mg 6A 6B 6C 6D 18mg 75mg 108mg 37mg prep.HPLC ODS-HG-5 (10x250 mm) H2O/MeOH 3/2 insolved insolved 3A 6mg 3B 3C 3D 3E 34mg 12mg 19mg 1mg prep.HPLC ODS-HG-5 (10x250 mm) H2O/MeOH 2/3 2A 2B 2C 6 mg 6mg 3mg 2D 2E 34mg 7mg 9B 9C 9D 19mg 1.9mg 5.4mg 6.4mg prep.HPLC ODS-HG-5 (10x250 mm) H2O/MeOH 1/1 prep.HPLC ODS-HG-5 (10x250 mm) H2O/MeOH 53/47 8A 8B 8C 7A 7B 7C 4.9mg 0.4mg 18 19 9A 2F 23mg 10A 10B 10C 10D 10E 5.1mg 6.5mg 5.7mg 14mg 1.0mg 6.9mg 17 Fig. II. Separation of MeOH ext. of P. minima Physalin F (17) 25 amorphous solid; [α] D –11 (c 0.5, CHCl 3 ); 1 H and 13 C NMR data, Table ; HRESIMS m/z + 527.1917 [M+H] (calcd for C 2 8 H 3 1 O 1 0 , 526.1917). Physalin B (18) 25 amorphous solid; [α] D –76 (c 0.2, CHCl 3 ); 1 H and 511.1968 [M+H] + (calcd for C 2 8 H 3 1 O 9 , 511.1968). 124 13 C NMR data, Table ; HRESIMS m/z 実験の部 isohysalin B (19) 25 1 amorphous solid; [α] D –173 (c 0.3, CHCl 3 ); H NMR data, Table ; HRESIMS m/z + 511.1973 [M+H] (calcd for C 2 8 H 3 1 O 9 , 511.1968). 13 Table I. 1 2 δC 205.9 127.7 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 146.3 33.3 61.7 64.8 23.5 37.3 34.2 50.0 32.9 24.7 79.4 106.9 207.4 56.2 79.9 127.1 15.6 80.9 21.4 76.8 25.6 31.0 50.8 60.6 27 28 166.6 26.4 a C and 1 H NMR chemical shifts of 17, 18 and 19 in CDCl 3 17 b δ H (J, Hz) δC 205.7 127.4 6.00 (dd, 10, 2.5) 6.86 (m) 1.9 a , 3.0 a 146.1 33.0 133.8 124.4 24.1 39.9 33.1 52.6 24.7 25.8 80.9 107.5 208.0 56.4 79.6 172.2 17.8 80.1 21.4 76.8 32.6 31.1 50.9 60.6 3.26 (d, 3.5) 2.3 a 2.2 a 2.7 a 1.2 a , 2.1 a 1.5 a , 2.3 a 4.10 (s) 1.30 (s) 1.95 (s) 4.54 (m) 3.74 (dd, 13, 1.0) 4.51 (m) 166.6 26.5 1.25 (s) 18 b δ H (J, Hz) 19 c δ H (J, Hz) 5.90 (dd, 10, 3.0) 6.77 (m) 2.2 a , 2.9 a 2.79 2.99 5.60 6.06 5.57 (br) 2.3 a 2.2 a 3.1 a 5.66 (m) 2.45 a , 2.30 a 2.28 a 3.00 a 1.3 a , 2.1 a 1.5 a , 2.3 a 1.29 a , 1.56 a 1.56 a , 2.28 a 4.12 (s) 2.19 (s) 1.26 (s) 1.26 (s) 1.97 (s) 4.51 (m) 1.98 (s) 4.55 (m) 2.04 (m) 3.76 (dd, 13, 1.5) 4.51 (m) 3.79 (d, 13.2) 4.53 (m) 1.21 (s) 1.32 (s) (dd, 20, 5.0) (m) (m) (dd, 9.9, 2.6 ) Multiplicity was not determined due to overlapping and broadof the signals. Data were recorded at 500 MHz ( 1 H NMR) b and 125 MHz ( 1 3 C NMR) b , and 600 MHz ( 1 H NMR) c . H O 21 O O 20 18 17 12 O 19 11 1 HO 9 2 10 3 4 5 O H 8 13 14 H O 7 6 22 23 H 24 H O 26 17 11 1 HO 9 10 3 5 4 17 19 2 O 20 18 12 28 15 O O 25 16 O H O 21 O 27 H 8 13 22 23 H 24 H O 7 6 H O 26 125 HO 9 10 3 5 17 11 1 4 18 19 2 O 20 18 12 28 15 O O 25 16 O 14 H O 21 O 27 H 8 13 14 H O 7 6 19 22 23 H 24 O 27 25 H 16 O 28 15 O 26 実験の部 3-4. 第 四 章 の 実 験 ( CKK32 お よ び ich77 の 分 画 ) 3-4-1. CKK32 の 活 性 を 指 標 に し た 分 画 CKK32( glycerol stock) を Waksman agar media に 白 金 耳 を 用 い て 塗 布 し , 25°C で 6 日 間 培 養 し た . 生 育 し た 菌 を , 100 mL Waksman 培 地 ( ´1) に 植 菌 し , 25°C で 3 日 間 培 養 ( small scale) し た 後 , 10 mL の 菌 液 を 500 mL Waksman 培 地 ( ´5) に 移 し ,25°C で 10 日 間 培 養( large scale)し た .培 養 し た 菌 液 に ,メ タ ノ ー ル( 500 mL)を 加 え ,室 温 で 30 分 抽 出 し た 後 ,遠 心 分 離( 4,000 rpm, 10 min)に て 菌 体 を 取り除き,上清を抽出液とした.抽出液を,エバポレータによりメタノールを除 去 し ,こ れ と 酢 酸 エ チ ル( 200 mL ´ 2)お よ び n-ブ タ ノ ー ル( 200 mL ´ 2)で 順 次 分 配 し ,酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 430 mg)お よ び n-ブ タ ノ ー ル 抽 出 物( 3.6 g)を 得 た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 に 移 行 し た の で ,酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 の 分 離を行った. 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 430 mg)を ,ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 1/0~ 0/1)を 用 い た シ リ カ ゲ ル ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f30 ´ 200 mm)で 分 離 し た 結 果 ,8 つ の 画 分( Frs. 1A~ 1H)を 得 た .GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,Fr. 1B( 249 mg) に 移 行 し , 続 く ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 ( 1/1) を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f18 ´ 700 mm)で 分 離 し た 結 果 ,5 つ の 画 分( Frs. 2A ~ 2E) を 得 , GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 2C( 186 mg) に 以 降 し た . Fr. 2C を ,ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 43/57; flow rate, 5.0 mL/min)に よ る 分 離 を 行 い ,Frs. 3A~ 3D を 得 た .Frs. 3A は ,Fr. 3B ( 2.0 mg, peak1, ca. 36 min) ま で の 画 分 で , Frs. 3B お よ び 3C( 0.4 mg) は ピ ー ク を 分 取 し , Fr. 3D( 71 mg) は , メ タ ノ ー ル に よ る 洗 浄 画 分 と し た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 3A( 60 mg) に 移 行 し た . Fr. 3A に は ,多 数 の 成 分 が 含 ま れ て い た た め ,ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 67/33; flow rate, 5.0 mL/min) に て 初 め に 出 て く る ピ ー ク を 分 取 し , Frs. 4A~ 4I の 9 つ の 画 分 を 得 , GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 測 定 し た と こ ろ , Fr. 4I( 18.9 mg) に 阻 害 活 性 が 移 行 し た . Fr. 4I は , メ タ ノ ー ル に よ る 洗 浄 画 分 で あ り , 初 め に 出 て き た そ れ ぞ れ の ピ ー ク ( Frs. 4A~ 4G) に は , GLI1 転 写 阻害活性を示さなかった. Fr. 4I を さ ら に ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 53/47; flow rate, 5.0 mL/min) に て 分 離 し た と こ ろ , 6 つ の 画 分 ( Frs. 5A~ 5F) を 得 た .GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,Fr. 5F( 2.6 mg, t R 40 min)に 移 行 し ,か ご う ぶ つ 26 とした. 126 実験の部 CKK32 MeOH ext. partitioned with EtOAc (200mL x2) and H2O EtOAc ext. 429.6 mg H2O lay. partitioned with n-BuOH (200 mL) x2and H2O BuOH ext. 3.5 g Silica gel open C.C. (30 x 200 mm) CHCl3-CHCl3/MeOH-MeOH H2O lay. 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G 1H 21.4mg 249.1mg 85.7mg 23.2mg 26.3mg 16.4mg 11.0mg 6.3mg Sephadex LH-20 open C.C. (18x700 mm) CHCl3/MeOH 1/1 2D 2E 14mg 36mg 186mg 3mg 2A 2B 2C 1mg prep.HPLC Mightysil (20 x 250 mm) H2O/MeOH 43/57 3A 3B 3C 3D 60.4mg 2.0mg 0.4mg 70.9mg prep.HPLC Mightysil (20 x 250 mm) H2O/MeOH 67/33 4A 4.9mg 4B 4C 0.8mg 2.5mg 4D 4E 4F 4G 4H 4I 5.6mg 6.0mg 2.7mg 6.0mg 1.1mg 18.9mg prep.HPLC Mightysil (20 x 250 mm) H2O/MeOH 53/47 5A 4.2mg 5B 5C 0.9mg 2.5mg 5D 5E 5F 1.1mg 0.5mg 2.6mg 26 Fig. III. Separation of MeOH ext. of CKK32 127 実験の部 3-4-2. ich77 の 活 性 を 指 標 に し た 分 画 会 社 よ り 譲 与 い た だ い た ich77( H 2 O/EtOH 1/1 抽 出 物 , 44.2 g) を 水 ( 500 mL) と 酢 酸 エ チ ル( 500 mL ´ 2)お よ び n-ブ タ ノ ー ル( 500 mL ´ 2)で 順 次 分 配 を 行 い , 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 ( 8.4 g), ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 7.4 g) お よ び 水 抽 出 物 ( 36.7 g) を 得 た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , 10 mg/mL で ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 が , 50 mg/mL で 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 お よ び 水 抽 出 物 が 示 し た . 今 回 , 10 mg/mL で GLI1 転 写 阻 害 活 性 を示したブタノール抽出物の分離を行った. ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 7.4 g) を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 0/1~ 1/0) を 用 い た Diaion HP-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f30 ´ 400 mm) を 用 い て 分 離 を 行 っ た 結 果 ,5 つ の 画 分( Frs. 1A~ 1E)を 得 た .GLI1 転 写 阻 害 活 性 は ,Frs. 1C( 1.9 g), 1D( 1.4 g) お よ び 1E( 655 mg) に 移 行 し た . Fr. 1C( 1.9 g) を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 4/1~ 1/4) を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f45 ´ 200 mm) を 用 い て 分 離 を 行 っ た 結 果 , 4 つ の 画 分 ( Frs. 2A~ 2D) を 得 た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 2D( 34 mg) に 移 行 し , Fr. 2A( 390 mg), 2B( 1.1 g) お よ び 2C( 554 mg) は 阻 害 活 性 が な か っ た . Fr. 2D( 34 mg)を ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 55/45; flow rate, 5.0 mL/min)を 用 い て 分 析 を 行 っ た と こ ろ ,約 50 分 付 近 に 主 成 分 の ピ ー ク を 与 え , 0~ 50 分 ( Fr. 5A, 6.0 mg), ピ ー ク ( Fr. 5B, 4.7 mg), 小 さ な ピ ー ク( Fr. 5C, 0.6 mg)お よ び メ タ ノ ー ル に よ る 洗 浄( Fr. 5D, 8.1 mg)を 分 取 し た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 5A に 以 降 し , 主 成 分 ( Fr. 5B) に は 活 性 が な い こ と が 判 明 し た .Fr. 5A に は ,多 数 の 成 分 が 含 ま れ る こ と ,ま た 収 量 が 少 な い こ と よ り , 以降の分離を行っていない. ま た ,Frs. 2B お よ び 2C( そ れ ぞ れ GLI1 転 写 阻 害 活 性 は な い )の 主 成 分 を ODS HPLC に よ り 分 取 し た が , GLI1 転 写 阻 害 活 性 は 示 さ な か っ た . 従 っ て , Fr. 1C の GLI1 転 写 阻 害 活 性 成 分 は , Fr. 5A( 6.0 mg) に 集 約 さ れ た こ と が 判 明 し た . Fr. 1D( 1.4 g) を 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 7/3~ 0/1) を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー を 用 い て 分 離 を 行 っ た 結 果 ,6 つ の 画 分( Frs. 6A~ 6F) を 得 た . そ れ ぞ れ の 画 分 の GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 測 定 し た と こ ろ , 10 mg/mL で 全 て の 画 分 に 転 写 阻 害 活 性 を 示 し た .収 量 は ,Frs. 6A( 96 mg),6B( 1.1 g),6C( 291 mg), 6D( 90 mg), 6E( 57 mg) お よ び 6F( 40 mg) で あ る . Fr. 6B( 50 mg / 1.1 g) を ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 63/37; flow rate, 5.0 mL/min) で 分 離 し た と こ ろ , 11 の 画 分 ( Frs. 7A~ 7K) を 得 た . Fr. 6B に は , 主 成 分 が 2 つ ( Fr. 7D お よ び 7G) だ が , GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , Fr. 7A( 3.3 mg) の み に 移 行 し た . Fr. 7A は , ODS HPLC に お け る 0~ 30 分 の 主 成 分 が 溶 出 す る ま で の 画 分 で あ る . 128 実験の部 Fr. 7A に 阻 害 活 性 が 移 行 し た が ,ODS HPLC で は ,ピ ー ク が な か っ た の で ,Fr. 7A を 細 か く 分 取 し ,GLI1 転 写 阻 害 活 性 を 測 定 し た .Fr. 7A を ODS HPLC( Mightysil RP-18 (f20 ´ 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 63/35; flow rate, 5.0 mL/min)で 分 離 し ,6 つ の 画 分 ( Frs. 8A~ 8F) を 得 た . GLI1 転 写 阻 害 活 性 は , さ ら に 初 め の 画 分 ( Frs. 8A~ 8C) に 移 行 し た が , 現 在 , 活 性 化 合 物 の 単 離 に は 至 っ て い な い . ich77 H2O/EtOH ext. 44.2 g partitioned with EtOAc (500mL x2) and H 2O EtOAc ext. 8.4 g H2O lay. partitioned with n-BuOH (200 mLx2) and H 2O BuOH ext. 7.4 g H2O ext. 36.7 g Diaion HP-20 (30 x 400 mm) H2O/MeOH 1B 1A 1C 1D 1E 1.9 g 1.4 g 655 mg ODS open C.C. (45 x 200 mm) H2O/MeOH 2A 2B 2C ODS open C.C. (45 x 200 mm) H2O/MeOH 6A 2D 96mg 390mg 1.1g 554mg 34mg 100 mg 100 mg prep.ODS HPLC C.C. (20 x 250 mm) H2O/MeOH 66/34 4A 4B 4C 4D 4E 4F 4G 18mg 1mg 3mg 9mg 3mg 15mg 7mg 6B 6C 6D 6E 6F 1.1g 291mg 90mg 57mg 39mg 50 mg prep.ODS HPLC C.C. (20 x 250 mm) H2O/MeOH 55/45 prep.HPLC Mightysil (20 x 250 mm) H2O/MeOH 63/37 5A 5B 6mg 5mg 0.6mg 8mg 5C 5D prep.ODS HPLC C.C. (20 x 250 mm) H2O/MeOH 63/37 3A 3B 3C 3D 3E 3F 2mg 5mg 5mg 38mg 2mg 16mg 7A 3.3mg 7B 7C 0.3mg 1.0mg 7D 7E 7F 7G 7H 7I 7H 7I 5.3mg 1.1mg 1.7mg 9.9mg 1.2mg 1.2mg 13mg 0.2mg prep.HPLC Mightysil (20 x 250 mm) H2O/MeOH 65/35 8A Fig. IV. Separation of EtOH ext. of ich77 129 8B 8C 8D 8E 8F 実験の部 3-5. 第 五 章 の 実 験 ( GLI 転 写 阻 害 活 性 化 合 物 の 評 価 ) 3-5-1. GLI2 へ の 影 響 HaCaT-GLI2 ( tetracycline-regulated HaCaT ) を 24-well plate に 播 種 ( 2´10 5 cells/well) し た 翌 日 , 1-well あ た り 1.0 mg の pGL4-GLI BS と 0.2 mg の renilla luciferase( pRL-CMV) を 2 mL の Lipofectamine 2000 を 用 い て 一 過 性 遺 伝 子 導 入 し た .12 時 間 培 養 後 ,外 因 性 の GLI2 を 誘 導 す る た め ,tetracycline( 終 濃 度 1 mg/mL) を 添 加 し た .12 時 間 GLI2 を 誘 導 し た 後 ,そ れ ぞ れ の 濃 度 の テ ス ト サ ン プ ル を Tc が 含 ま な い 培 地 で 希 釈 し て 調 製 し , そ の 希 釈 し た 溶 液 を 500 mL 添 加 し た . 12 時 間 サ ン プ ル を 処 理 し た 後 , Dual-Glo™ Luciferase Assay system ( Promega) を 用 い て評価した. Dual ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 の 測 定 は , 培 地 を 取 り 除 き , 80 mL の 1´Passive Lysis Buffer( Promega) を 加 え , 室 温 に て 10 分 放 置 し て 細 胞 を 溶 解 後 , pGL4-GLI BS の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を 測 定 す る た め ,50 mL の Dual-Glo Luciferase buffer を 加 え , pGL4-GLI BS の 化 学 発 光 量 を 測 定 し た .そ の 後 ,50 mL の Stop and Glo Buffer を 加 え pRL-CMV の 化 学 発 光 量 を 測 定 し た . 3-5-2. Western blotting 細 胞 溶 解 液 ( Lysate) の 調 製 10 cm dish に 2 ´ 10 6 cells の HaCaT-GLI1 ま た は HaCaT-GLI2 を 播 種 し , 12 時 間 後 に Tc( 終 濃 度 1 mg/mL)を 添 加 し ,そ れ ぞ れ の 細 胞 で 外 因 性 の GLI を 誘 導 さ せ た . 12 時 間 GLI を 誘 導 さ せ た 後 , 培 地 を 取 り 除 き , Tc を 含 ま な い 培 地 で 化 合 物 ( 1, 9, 17 お よ び 18) を 希 釈 し , 24 時 間 細 胞 に 作 用 さ せ た . 化 合 物 を 処 理 後 , 培 地 を 取 り 除 き , 1 mL の PBS で 2 回 洗 浄 し , cell scraper を 用 い て 細 胞 を 掻 き 取 り ,1.5 mL eppentube に 移 し た .PBS を 取 り 除 い た 後 ,100 mL の lysis buffer( 20 mM Tris-HCl (pH 7.4), 150 mM NaCl, 0.5% Triton X-100, 0.5% sodium deoxycholate, 10 mM EDTA, 1 mM sodium orthovanadate, and 0.1 mM NaF) containing 1% proteasome inhibitor cocktail( Nacalai tesque Inc.) を 加 え , 細 胞 を 溶 解 し た 後 ,氷 上 で 30 分 放 置 し た .そ の 後 で 遠 心 分 離( 13,000 rpm,30 min,4 °C) を 行 い , 上 清 を SDS−PAGE 用 細 胞 溶 解 液 ( lysate) と し た . SDS−PAGE お よ び Western blotting 得 ら れ た 細 胞 溶 解 液 ( lysate ) は , GLI1 お よ び PTCH の 検 出 に は 7.5% polyacrylamide gel を , BCL2 の 検 出 に は 12.5% polyacrylamide gel を 用 い て 分 離 し た .lysate を ゲ ル に ア プ ラ イ し ,stacking gel( 7.5% PAGE)は 電 圧 10 V で ,running gel は 電 圧 20 V で 分 離 し た . 130 実験の部 Blotting GLI1 お よ び PTCH の polyvinylidine difluoride( PVDF) membrane( Bio-Rad) へ の 転 写 は , wet 法 を 用 い , BCL2 の 転 写 は , semi-dry 法 を 用 い た . ・ Semi-dry 法 は , ろ 紙 に 染 み 込 ま せ た Buffer A( 0.3M Tris, 5% MeOH), Buffer B ( 25 mM Tris, 5% MeOH)お よ び Buffer C( 25mM Tris, 40mM 6-aminohexanoic acid, 5% MeOH) で ゲ ル と メ ン ブ レ ン を 挟 み 込 み , 電 圧 12 V, 60 分 通 電 し た . ・ Wet 法 は , CAPS buffer( N-cyclohexyl-3-aminopropanesulfonic acid, Invitrogen) で 満 た し た タ ン ク 中 で , 50 V, 100 mA で 16 時 間 通 電 し た . 一次抗体および二次抗体処理 PVDF へ の 転 写 後 , 5% skimmed milk を 含 む TBST( 10 mM Tris-HCl, pH 7.4, 100 mM NaCl, and 0.1% Tween 20)で 1 時 間 ,室 温 に て blocking を 行 い ,blots を TBST で 3 回 洗 浄 し ,一 次 抗 体 処 理 に 移 っ た .5% skimmed milk を 含 む TBST で そ れ ぞ れ に 希 釈 し た 一 次 抗 体 を 室 温 に て 1 時 間 反 応 後 ,blots を TBST で 3 回 洗 浄 し ,二 時 抗 体 処 理 に 移 っ た .5% skimmed milk を 含 む TBST で そ れ ぞ れ に 希 釈 し た 二 次 抗 体 を 室 温 に て 1 時 間 反 応 後 ,blots を TBST で 3 回 洗 浄 し ,immunocomplex の 検 出 に 移 っ た . 検 出 は , ECL Advance Western detection system( GE health Care/Amersham Biosciences)ま た は Immobilon Western( Millopore)を 用 い た .内 部 標 準 の コ ン ト ロ ー ル と し て , b -acitin を 用 い た . 一 次 抗 体 と し て ,GLI1( 1:200),PTCH( 1:200) ( Santa Cruz Biotechnology),お よ び BCL2( 1:4000), b-acitin( 1:4000)( Sigma) を 用 い た . ま た , 二 次 抗 体 と し て , anti-goat IgG( Sigma ), anti-rabbit IgG お よ び anti-mouse IgG ( Amersham Biosciences) を 用 い た 3-5-3. PANC1 お よ び C3H10T1/2 細 胞 の 細 胞 毒 性 試 験 PANC1 ま た は C3H10T1/2 を そ れ ぞ れ 96-well black microtitre plate に 1×10 4 cells/well 播 種 し , 24 時 間 培 養 ( 37°C, 5% CO 2 ) し た . 24 時 間 後 , 培 地 を 取 り 除 き ,そ れ ぞ れ の 濃 度 の 化 合 物 を 培 地 で 希 釈 し 調 製 し た 溶 液 を 100 μL 加 え た .さ ら に 24 時 間 培 養 後 , 細 胞 毒 性 を fluorescence platereader を 用 い て fluorometric microculture cytotoxicity assay( FMCA) に て 評 価 し た . 131 実験の部 細胞毒性(%)= 1 - サンプルの蛍光強度 コントロールの蛍光強度 ´100 3-5-4. 半 定 量 的 RR-PCR PANC1 細 胞 1´10 6 cells を 10 cm dish に 播 種 し た 24 時 間 後 , そ れ ぞ れ の 濃 度 の 化 合 物( 1,9,17 お よ び 18)を 添 加 し た .24 時 間 作 用 さ せ た 後 ,RNeasy Mini kit ( Qiagen)を 用 い total RNA を 得 た .得 ら れ た total RNA よ り Oligotex-dT30 <Super> mRNA Purification Kit( TaKaRa)を 用 い て mRNA を 調 整 し ,PrimeSTAR RT-PCR Kit ( TaKaRa)に て cDNA を 合 成 し た .用 い た プ ラ イ マ ー は ,以 下 に 示 す 通 り で あ る . Gapdh は , 内 部 標 準 コ ン ト ロ ー ル と し て 用 い た . Primers Gli1; Gli2; Ptch; forward 5’-GCCGTGTAAAGCTCCAGTGAACACA-3’ reverse 5’-TCCCACTTTGAGAGGCCCATAGCAAG-3’(200 bp product) forward 5’-TGGCCGCTTCAGATGACAGATGTTG-3’ reverse 5’-CGTTAGCCGAATGTCAGCCGTGAAG-3’ (200 bp product) forward 5’-TCCTCGTGTGCGCTGTCTTCCTTC-3’ reverse 5’-CGTCAGAAAGGCCAAAGCAACGTGA-3’ (200 bp product) Gapdh; forward reverse 5’-ATGGGGAAGGTGAAGGTCG-3’ 5’-TAAAAGCAGCCCTGGTGACC-3’ (70 bp product) PCR condition 1) initial denaturation 94°C 5 min. 2) denaturation 94°C 1 min. 3) annealing 58°C 30 sec. 4) elongation 72°C 30 sec. 4) final elongation 72°C 5 min. 2)〜 4), 25〜 35 cycles PCR は ,TaKaRa Ex Taq. Polymerase( TaKaRa)を 用 い て 増 幅 後 ,3% agarose-TBE gel に て 電 気 泳 動 ( 100 V) し , ethidium bromide に よ り 染 色 後 , UV 照 射 下 に て 確 認 し た . 発 現 量 は , 内 部 標 準 コ ン ト ロ ー ル と し て 用 い た Gapdh と 比 較 し た . 132 実験の部 3-6. 第 六 章 の 実 験 ( Lycogala epidendrum の 成 分 研 究 ) 3-6-1. Lycogala epidendrum の 分 画 Organism 試 料 と し た マ メ ホ コ リ( Lycogala epidendrum)は ,山 本 幸 憲 氏 に よ り 2004 年 高 知県にて採取されたものを用いた. ( Voucher specimens (#25630-25632) are maintained by Y.Y.) Extraction and isolation マ メ ホ コ リ Lycogala epidendrum( 177.6 g) の 野 外 採 取 子 実 体 を , 90%メ タ ノ ー ル ( 2.5 L × 3) お よ び 90%ア セ ト ン ( 2.5 L × 1) に て 抽 出 し , メ タ ノ ー ル /ア セ ト ン 抽 出 物 ( 46.4 g) を 得 た . 得 ら れ た 抽 出 物 を 水 ( 1 L) と 酢 酸 エ チ ル ( 1 L × 3) お よ び n-ブ タ ノ ー ル ( 1 L × 2) で 順 次 分 配 し , そ れ ぞ れ の 抽 出 物 を 得 た . 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 24.8 g)を ,へ キ サ ン /ク ロ ロ ホ ル ム( 3/7~ 0/1)お よ び ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル ( 1/0~ 1/1) 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f50 × 500 mm) に て 分 離 を 行 い , 12 の 画 分 ( Frs. 1A~ 1L) を得た. Fr. 1H( 650 mg) を 水 /メ タ ノ ー ル ( 1/1) で 溶 解 さ せ , 可 溶 部 に つ い て , 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒( 1/1~ 0/1) を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f25 × 400 mm) に て 分 離 を 行 い , 4 つ の 画 分 ( Frs. 2A~ 2D) を 得 た . TLC に よ る 分 析 に よ り ,Frs. 2B お よ び 2D は 精 製 さ れ た と 判 断 し ,化 合 物 14( 200.6 mg) お よ び 21( 7.5 mg)を 得 た . ( TLC analysis on ODS plate; solvent, H 2 O/MeOH 1/4; R f , 0.68 for 14 and 0.61 for 21) Fr. 1F( 4.2 g / 14.3 g) を さ ら に ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 50/1~ 10/1) を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f40 × 400 mm) を 行 い , 8 つ の 画 分 ( Frs. 3A~ 3H) を 得 た . Fr. 3F を ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 ( 1/1) を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f20 × 600 mm) を 用 い た 分 離 に よ り ,4 つ の 画 分( Frs. 4A~ 4D)を 得 ,TLC 分 析 に よ り Fr. 4C が 精 製 さ れ た と 判 断 し , TLC お よ び NMR よ り 化 合 物 13( 83.0 mg) と し た .( TLC analysis on ODS plate; solvent, 80% MeOH; R f , 0.58) Fr. 1I( 2.1 g) を , 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 1/1~ 0/1) を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f35 × 400 mm)に て 分 離 し ,11 の 画 分( Frs. 6A~ 6K) を 得 た .Fr. 6E( 460 mg)を ,水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒( 3/7)を 用 い た ODS HPLC( Inertsil ODS-3, f10 × 250 mm; eluent, H 2 O/MeOH 2/3; flow rate, 2.0 mL/min) を 用 い て 精 製 し , 化 合 物 10( 6.0 mg, t R 45 min) を 得 た . ま た , Fr. 6G( 280 mg) は , TLC に よ る 分 析 よ り 単 一 化 合 物 と し ,化 合 物 20( ODS plate; solvent, H 2 O/MeOH 3/7; R f , 0.35) 133 実験の部 と し た .Fr. 6H( 90 mg)の 一 部( 30 mg)を 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒( 3/7)を 用 い た ODS HPLC( CAPCELLPAK C18 MG II, f10 × 250 mm; eluent, H 2 O/MeOH 3/7; flow rate, 1.8 mL/min) に よ り 精 製 を 行 い , 化 合 物 9( 2.1 mg, t R 26 min) を 得 た . Fr. 1J( 3.2 g)を ,水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒( 4/1~ 0/1)を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f50 ´ 250 mm)に て 分 離 を 行 い ,9 つ の 画 分( Frs. 11A ~ 11I)を 得 た .Fr. 11B( 286.2 mg)を 水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒( 1/1)を 用 い た ODS HPLC ( Inertsil ODS-3, f10 × 250 mm; eluent, H 2 O/MeOH 1/1; flow rate, 2.0 mL/min) に よ る 分 離 を 行 い ,3 つ の 画 分 を 得 ,保 持 時 間 12 分 の ピ ー ク を 化 合 物 16( 2.1 mg, t R 12 min)と し た .ま た , Fr. 11D( 493 mg)は ,TLC 分 析 に よ り 化 合 物 15 が 含 ま れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た( solvent, H 2 O/MeOH 7/3; R f , 0.38).Fr. 11H( 195.4 mg) は ,水 /メ タ ノ ー ル 系 溶 媒( 32/68)を 用 い た ODS HPLC( Inertsil ODS-3, f10 × 250 mm; eluent, H 2 O/MeOH 32/68; flow rate, 2.0 mL/min)に よ り ,化 合 物 10( 2.6 mg, t R 22 min)お よ び 12( 5.6 mg, t R 27 min)を 与 え ,更 な る ODS HPLC( Inertsil ODS-3, f10 × 250 mm; eluent, H 2 O/MeOH 22/78; flow rate, 2.0 mL/min) に よ る 精 製 に よ り , 化 合 物 22( 0.45 mg, t R 34 min) を 得 た . 134 実験の部 Lycogala epidendrum fruit bodies (177.6 g) extracted with 90% MeOH and 90% acetone (x3) MeOH ext. (46.4 g) partitioned with EtOAc and H2O H2O lay. partitioned with n-BuOH and H2O EtOAc ext. 24.8 g Silica gel open C.C. (50 x 500 mm) Hex/CHCl3 - CHCl3/MeOH - MeOH 1A 1B 150 mg 1.1 g n-BuOH ext. 5.5 g 1C 1D 1E 1F 260 mg 1.55 g 1.75 g 14.33 g 1G 590 mg 1H 1I 650 mg 2.12 g 1J H2O ext. 11.38 g 1K 3.23 g 1L 3.3 g 1.58 g ODS open C.C. (50 x 250 mm) H2O/MeOH-MeOH Silica gel open C.C. (40 x 400 mm). Hex/CHCl3 - CHCl3/MeOH - MeOH 3A 3B 3C 3D 3E 3F 3G 22.8mg 765.6 340.8 791.3 410.1 1.29g 28.1 Sephadex LH-20 open C.C. (20 x 600 mm) CHCl3/MeOH 1/1 50% MeOH soluble in 50% MeOH 3H 30.6 11A 2 1 270 mg Sephadex LH-20 open C.C. (20 x 600 mm) CHCl3/MeOH 1/1 11B 11C 11D 11E 11F 11G 11H 117.4 mg 286.2 86.6 493.3 253.1 532.2 379.0 195.4 15 prep.HPLC ODS (10x 250 mm) H2O/MeOH 1/1 380 mg ODS opne C.C. (25 x 400 mm) H2O/MeOH 712.5mg 32.3 83.0 1.5 13 2B 2D 200.63 7.53 14 21 12A 12B 12C 12D 12E 12F 12G 2.1mg 226.2 16 prep.HPLC ODS 10 x 250 mm H2O/MeOH 2/3 6C 6D 6E 6F 6G 6H 6I 180mg 350 10 50 460 190 280 90 10 20 prep. HPLC 48% MeOH 6J 110 1.00 10 12 1.33 0.45 22 14A 14B 14C 14D 1.7 mg 2.8 6B 0.96mg 2.61 5.55 0.13 100Mwash ODS open C.C. (35 x 400 mm) H2O/MeOH 6A 11I prep.HPLC ODS 10 x 250 mm H2O/MOH 32/68 13A 13B 13C 5A 5B 5C 5D 4A 4B 4C 4D 335.5mg 37.9 20.3 0.96 pellet 8.8 6K 390 prep. HPLC H2O/MeOH 3/7 7A 2.1 mg 8A 8B 8C 8D 8E 2.0mg 1.2 1.0 1.1 19 LH-20 open C.C. (30 x 600) MeOH 9 prep. HPLC H2O/MeOH 2/3 pellet 9B 9C 9D 9E 291mg 5.19 6.4 7.6 10A10B 10C 10D 0.2 mg 1.5 6.0 8.3 10 Fig. V. Separation of MeOH ext. of Lycogala epidendrum 6-hydroxystaurosporinone (10) light brown amorphous solid; UV (MeOH) λ ma x nm (log ε) 342 (9.8), 294 (10.9), 226 (10.2); IR (ATR) ν ma x 3282, 1646, 1583, 1453, 1402 and 1327 cm -1 ; 1 H and 13 C NMR + data, Table 6-1; FABMS m/z 327 [M] ; HRFABMS m/z 327.0981 (calcd for C 2 0 H 1 3 O 2 N 3 , 327.1008). 5,6-dihydroxyarcyriaflavin A (12) yellow amorphous solid; UV (MeOH) λ ma x nm (log ε) 330 (10.5), 284 (9.8), 230 (10.5); IR (ATR) ν ma x 3307, 1733, 1637, 1565, 1475, 1404 and 1320 cm -1 ; 1 H and + 13 C NMR data, Table 6-1; FABMS m/z 357 [M] ; HRFABMS m/z 357.0762 (calcd for C 2 0 H 11 O 4 N 3 , 357.0750). 135 実験の部 3-6-2. 細 胞 毒 性 試 験 HeLa 細 胞 を 96-well plate に 6×10 3 cells/well 播 種 し ,24 時 間 培 養( 37°C,5% CO 2 ) し た .24 時 間 後 ,培 地 を 取 り 除 き ,そ れ ぞ れ の 濃 度 に 希 釈 し た サ ン プ ル を 加 え た . 24 時 間 サ ン プ ル を 作 用 さ せ た 後 , Fluorometric microculture cytotoxicity assay ( FMCA) を 行 い , 細 胞 毒 性 の 評 価 を 行 っ た . 細 胞 毒 性 の 評 価 は , サ ン プ ル を 添 加 し て い な い 値 を 100%と し , そ の 比 を 取 り 評 価 し た . ま た , Jurkat 細 胞 ( 3.5×10 5 cells/mL) を 96-well plate に 95 μL/well 加 え , そ れ ぞ れ の 濃 度 の 化 合 物 を 5 μL の 培 地 で 希 釈 し た も の を 添 加 し た .そ の 際 ,0.5 μg/mL の TRAIL 添 加 と 非 添 加 群 を 作 成 し た . 72 時 間 化 合 物 を 作 用 さ せ た 後 , 細 胞 生 存 率 を alamer blue を 用 い た 比 色 測 定 で 評 価 し た . KB/VJ-300 細 胞( 1.2×10 4 cells/mL)を 96-well plate に 195 μL/well 加 え ,そ れ ぞ れ の 濃 度 の 化 合 物 を 5 μL の 培 地 で 希 釈 し た も の を 添 加 し た . 72 時 間 化 合 物 を 作 用 さ せ た 後 , 細 胞 生 存 率 を alamer blue を 用 い た 比 色 測 定 で 評 価 し た . ( Jurkat 細 胞 お よ び KB/VJ-300 細 胞 の 細 胞 毒 性 は ,北 里 研 究 所 小宮山寛機博士, 林正彦博士により評価していただいた. 3-6-3. キ ナ ー ゼ 阻 害 活 性 試 験 本実験は,文科省がん特定領域研究における抗がん剤スクリーニングの一環と して,国立感染症研究所・生物活性物質部の上原至雅博士により行われた. 実 験 系 1( PKA, PKC, PTK お よ び eEF2K) NIH3T3 細 胞 の v-src ト ラ ン ス フ ォ ー マ ン ト を 低 張 バ ッ フ ァ ー 中 で 破 砕 し ,遠 心 , 除 核 し 酵 素 液 と し た . こ れ に DMSO に 溶 解 し た 検 体 , cAMP, ホ ル ボ ー ル エ ス テ ル , [g- 3 2 P] ATP を 加 え , 25°C で 20 分 間 反 応 さ せ た . 反 応 停 止 後 , リ ン 酸 化 さ れ た タ ン パ ク を SDS-PAGE で 分 離 し ,オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ ー で 解 析 し た .こ の 方 法 に よ り ,A キ ナ ー ゼ( PKA),C キ ナ ー ゼ( PKC),src フ ァ ミ リ ー の チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ( PTK)お よ び 真 核 生 物 延 長 因 子 2 キ ナ ー ゼ( eEF-2 kinase;カ ル モ ジ ュ リ ン 依 存 性 プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ III)の 少 な く と も 4 種 の プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ 活 性 が 同時に検出できる. 136 実験の部 実 験 系 2( EGFR) ヒ ト 扁 平 上 皮 癌 A431 細 胞 を 蔗 糖 バ ッ フ ァ ー で 破 砕 し , 除 核 後 , 超 遠 心 に よ り 膜 画 分 を 集 め ,酵 素 液 と し た .こ れ に 検 体 ,EGF を 加 え ,25°C で 30 分 間 保 温 後 , [g- 3 2 P] ATP を 加 え て 0°C で 10 分 間 反 応 し た .酸 沈 殿 を 行 な い 洗 浄 後 ,酸 不 溶 性 の リン酸化レベルを測定した. 実 験 系 3( VEGFR( Flt-1)) Flt-1 遺 伝 子 を 組 み 込 ん だ バ キ ュ ウ ロ ウ イ ル ス( 東 大 医 科 研 ,渋 谷 教 授 作 成 )を 昆 虫 細 胞 Tn5 に 感 染 さ せ ,EGF レ セ プ タ ー と 同 様 の 方 法 で 膜 分 画 を 調 整 し た .こ れ に , 検 体 と [g- 3 2 P]ATP を 加 え , 25°C で 10 分 間 反 応 し た . 反 応 停 止 後 , リ ン 酸 化 さ れ た Flt-1 を SDS-PAGE で 分 離 後 , オ ー ト ラ ジ オ グ ラ フ ィ ー で 解 析 し た . 活 性 の 評 価:検 体 は 最 終 濃 度 0.1 μg/ml に な る よ う に 加 え ,リ ン 酸 化 阻 害 の 有 無 と阻害パターンを判定した. 137 実験の部 3-7. 第 七 章 の 実 験 ( Fuligo aurea の 成 分 研 究 ) 3-7-1. Fuligo aurea の 分 画 Organism 試 料 と し た ム シ ホ コ リ ( Fuligo aurea) は , 山 本 幸 憲 氏 に よ り 2005 年 高 知 県 に て 採取されたものを用いた. ( Voucher specimens (#28680-28683) are maintained by Y.Y.) Extraction and isolation ム シ ホ コ リ Fuligo aurea( 47.7 g)の 野 外 採 取 子 実 体 を ,90%メ タ ノ ー ル( 600 mL × 6), 90%ア セ ト ン ( 600 mL × 1) お よ び 水 ( 600 mL ´ 6) で 抽 出 し , メ タ ノ ー ル /ア セ ト ン /水 抽 出 物( 11 g)を 得 た .得 ら れ た 抽 出 物 を ,水( 500 mL)と へ キ サ ン ( 500 mL ´ 3), 酢 酸 エ チ ル ( 500 mL × 4) お よ び n-ブ タ ノ ー ル ( 500 mL ´ 2) で順次分配した. へ キ サ ン お よ び 酢 酸 エ チ ル 抽 出 物 の TLC 分 析 に よ り ,同 じ 成 分 が 含 ま れ て い る と 判 明 し ,こ れ ら を 合 わ せ て( 2.3 g)以 降 の 分 離 を 行 っ た .へ キ サ ン /酢 酸 エ チ ル 抽 出 物( 2.3 g)を ヘ キ サ ン /ク ロ ロ ホ ル ム( 1/1~ 0/1)お よ び ク ロ ロ ホ ル ム /メ タ ノ ー ル( 10/1~ 0/1)系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 を 用 い た シ リ カ ゲ ル カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f30 × 400 mm) で 分 離 を 行 っ た 結 果 , 15 の 画 分 ( Frs. 1A~ 1O) を 得 た . Fr. 1D( 19.6 mg)に つ い て ,メ タ ノ ー ル 系 溶 媒 を 用 い た Sephadex LH-20 カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー( f10 × 600 mm)に て 分 離・精 製 を 行 っ た 結 果 ,化 合 物 25( 1.3 mg) を 得 た . ブ タ ノ ー ル 抽 出 物 ( 0.5 g) を , 水 /メ タ ノ ー ル 系 グ ラ ジ エ ン ト 溶 媒 ( 9/1~ 0/1) を 用 い た ODS カ ラ ム ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー ( f30 × 150 mm) を 行 っ た 結 果 , 7 つ の 画 分 ( Frs. 3A~ 3G) を 得 た . Fr. 3D( 51 mg) を ODS HPLC( Develosil ODS-HG-5 (f10 × 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 4/1; flow rate, 2.0 mL/min) に て 分 離 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 23( 16.3 mg, t R 21 min) お よ び 24a( 12.0 mg, t R 30 min) を 得 た . ま た , Fr. 3E( 108 mg) を ODS HPLC( Develosil C30-UG-5 (f10 × 250 mm); eluent, H 2 O/MeOH 7/3; flow rate, 2.0 mL/min)に て 分 離 を 行 っ た 結 果 , 化 合 物 23( 3.5 mg, t R 15 min), 24a( 3.6 mg, t R 22 min) お よ び 24b( 30.2 mg, t R 40 min) を 得 た . 138 実験の部 Fuligo aurea fruit bodies (47.7 g) extracted with 90% MeOH (x6) 90% Acetone(x1) H2O (x6) (11 g) MeOH-acetone ext. partitioned with Hexane and H2O Hexane ext. 2.0 g H2O lay. partitioned with EtOAc nd H2O EtOAc ext. 0.3 g H2O lay. partitioned with n-BuOH and H2O H2O ext. 8.2 g n-BuOH ext. 0.5 g Silica gel open C.C (30 x 400 mm) Hex/CHCl3 - CHCl3/MeOH 1A 1B 1C 1D 1E 1F 1G 1H 1I 74.2 7.8 25.7 19.6 42.1 246.1 21.2 24.4 205.1 1J 187.9 1K 1L 1M 681.2 92.9 353.2 1N 15.9 1O 56.2 mg Sephadex LH-20 (10 x 600 mm) MeOH 2A 2B 2C 7.2 0.6 1.3 mg ODS open C.C. (30 x 150 mm) H2O/MeOH 3A 3B 116.0 35.2 3C 3D 3E 16.0 51.4 108.0 35.4 Prep.HPLC ODS-HG-5 (10x250 mm) H2O/MeOH 4/1 3F 3G 37.2 (mg) Prep.HPLC C30-UG-5 (10 x 250 mm) H2O/MeOH 7/3 4A 4B 4C 5D 5E 2.3 16.3 12.0 3.6 30.2 (mg) 23 24a 24a Fig. VI. Separation of MeOH ext. of Fuligo aurea 139 5A 5B 5C 24b 実験の部 Tryptophan cis-4-aminocinnamamide (23) 23 amorphous solid; [α] D +97 (c 0.8, MeOH); UV (MeOH) λ ma x nm (log ε) 325 (3.9), 291 (3.9), 222 (4.3); IR (film) ν ma x 3337, 1645, 1597, 1517 and 1399 cm -1 ; 1 H and 13 C NMR + data, Table 7-1; HRESIMS m/z 350.1505 [M+H] (calcd for C 2 0 H 2 0 O 3 N 3 , 350.1505). Tryptophan trans-4-aminocinnamamide (24a) 23 amorphous solid; [α] D +49 (c 0.7, MeOH); UV (MeOH) λ ma x nm (log ε) 325 (3.8), 291 (3.8), 222 (4.2); IR (film) ν ma x 3338, 1647, 1590, 1517 and 1397 cm -1 ; 1 H and 13 C NMR data, Table 7-1; HRESIMS m/z 350.1506 [M+H] + (calcd for C 2 0 H 2 0 O 3 N 3 , 350.1505). Tryptophan trans-4-aminocinnamamide (24b) 23 amorphous solid; [α] D –2.4 (c 0.7, MeOH); UV (MeOH) λ ma x nm (log ε) 325 (3.8), 291 (3.8), 223 (4.2); IR (film) ν ma x 3384, 1645, 1586, 1519 and 1417 cm -1 ; 1 H NMR (CD 3 OD) 7.08 (1H, s, H-2), 7.57 (1H, d, J=6.6 Hz, H-5), 6.93 (1H, t, J=6.6 Hz, H-6), 7.03 (1H, t, J=6.6 Hz, H-7), 7.27 (1H, d, J=6.6 Hz, H-8), 3.19 (1H, br d, J=13.5 Hz, H-10), 3.23 (1H, dd, J=13.5 and 5.8 Hz, H-10), 4.71 (1H, m, H-11), 6.29 (1H, d, J=15.5 Hz, H-2'), 7.34 (1H, d, J=15.5 Hz, H-3'), 7.22 (2H, d, J=6.5 Hz, H-5' and H-9'), and 6.59 (2H, d, J=6.5 Hz, H-6' and H-8'); 13 C NMR (CD 3 OD) δ C 122.9 (C-2), 111.9 (C-3), 127.9 (C-4), 118.2 (C-5), 118.2 (C-6), 120.8 (C-7), 110.7 (C-8), 137.9 (C-9), 27.5 (C-10), 55.9 (C-11), 178.7 (C-12), 168.1 (C-1'), 115.1 (C-2'), 141.4 (C-3'), 123.9 (C-4'), 129.1 (C-5' and C-9'), 114.4 (C-6' and C-8'), and 150.1 (C-7'); HRESIMS m/z 350.1514 [M+H] + (calcd for C 2 0 H 2 0 O 3 N 3 , 350.1505). 24a お よ び 24b の メ チ ル エ ス テ ル 化 methylation of 24a and 24b with TMSCHN 2 afforded an identical methyl ester: 1 H NMR (CD 3 OD) δ H 7.08 (1H, s, H-2), 7.53 (1H, d, J=7.0 Hz, H-5), 7.00 (1H, t, J=7.0 Hz, H-6), 7.08 (1H, t, J=7.0 Hz, H-7), 7.32 (1H, d, J=7.0 Hz, H-8), 3.23 (1H, dd, J=14.4, 6.4 Hz, H-10), 4.84 (1H, dd, J=9.2, 6.4 Hz, H-11), 6.38 (1H, d, J=15.6 Hz, H-2'), 7.39 (1H, d, J=15.6 Hz, H-3'), 7.29 (2H, d, J=8.4 Hz, H-5' and H-9'), 6.65 (2H, d, J=8.4 Hz, H-6' and H-8'), and 3.66 (3H, s, -COOMe); HRESIMS m/z 364.1673 [M+H] + (calcd for C 2 1 H 2 2 O 3 N 3 , 364.1661) 140 実験の部 23 お よ び 24 の 酸 加 水 分 解 お よ び chiral TLC 分 析 化 合 物 23( 1.2 mg)を 6N HCl( 2 mL)に 加 え ,110°C で 8 時 間 処 理 し た .室 温 に 戻 し た 後 ,Amberlite IRA96SB AG カ ラ ム を 通 し ,酸 を 取 り 除 き ,溶 媒 を エ バ ポ レ ー タ に て 取 り 除 い た . 加 水 分 解 物 を chiral TLC( Merck HPTLC plate CHIR Art. 1410; solvent, MeOH/H 2 O/CH 3 CN 1:1:4; detection, ninhydorin) に て 分 析 し , 化 合 物 23 の tryprophan は L -Trp( R f -values: D -Trp, 0.50; L -Trp, 0.58) と 決 定 し た . 化 合 物 24( 2.5 mg) も 同 様 の 手 法 に よ り , L -Trp と 決 定 し た . 3-7-2. 細 胞 毒 性 試 験 Jurkat 細 胞 ( 1.0×10 4 cells/mL) を 96-well plate に 195 μL/well 加 え , そ れ ぞ れ の 濃 度 の 化 合 物 を 5 μL の 培 地 で 希 釈 し , 添 加 し た . 72 時 間 化 合 物 を 作 用 さ せ た 後 , 細 胞 生 存 率 を alamer blue を 用 い た 比 色 測 定 で 評 価 し た . 141 参考文献 参考文献 [1] D. 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Shibuya, Phytochemistry 1992, 31, 4289-4294. 146 謝辞 謝 辞 本研究に際し,終始御指導御鞭撻を賜りました千葉大学大学院薬学研究院 石 橋正己教授に厚く御礼申し上げます. 貴 重 な 御 助 言 ,御 指 導 を 賜 り ま し た 千 葉 大 学 大 学 院 薬 学 研 究 院 荒井緑准教授, 大槻崇博士に心より感謝申し上げます. 本研究を行うにあたり,初期の段階にて貴重な御助言,御指導を賜りました佐 藤昌昭博士に深く感謝申し上げます. ア ッ セ イ 系 の 構 築 に 際 し , 細 胞 ( HaCaT-GLI1 お よ び HaCaT-GLI2) を 提 供 し て い た だ い た Dr. Fritz Aberger 氏 お よ び Dr. Gerhard Regl 氏 ( University of Salzburg) に深く感謝申し上げます. レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド の 作 成 に 際 し , 12GLI-RE-TKO プ ラ ス ミ ド を 提 供 し て い た だ い た Dr. Rune Toftgård 氏 ( Karolinska Institute, Sweden) に 深 く 感 謝 申 し 上 げ ます. レ ポ ー タ ー プ ラ ス ミ ド pGL3-2.8 bcl2 を 提 供 し て い た だ い た Dr. Timothy J. McDonnell 氏 お よ び Kevin B. Spurgers 氏 ( The University of Texas M. D. Anderson Cancer Center) に 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す . 成分研究を行うにあたり,熱帯植物の入手に御協力いただきましたテムコ株式 会社 小 谷 野 喬 博 士 ,コ ン ケ ン 大 学 農 学 部 Thaworn Kowithayakorn 教 授 に 心 よ り 感謝申し上げます. 変形菌の採取,同定に協力していただき,野外採取子実体を提供していただい た山本幸憲先生,松本淳博士に深く感謝申し上げます. プロテインキナーゼ阻害試験および細胞毒性試験を行っていただいた国立感染 研究所 上原至雅博士,北里研究所 小宮山寛機博士,林正彦博士に深く感謝申 し上げます. 千葉大学での研究を勧めていただき,終始暖かい御激励を賜りました東京薬科 大学薬学部 一柳幸生助教授に心より感謝申し上げます. ま た ,千 葉 大 学 で の 研 究 に お い て ,終 始 力 に な っ て い だ き ,ま た ESIMS の 測 定 を快く行っていただいた東京薬科大学生命科学部 上げます. 147 尹永淑博士に心より感謝申し 謝辞 3 年間共に学び,喜びや苦労を分かち合った同志,花澤修和氏に心からの感謝 と,共に卒業できる喜びを申し上げます. また,本研究を行うにあたり,多大なる御協力を頂きました千葉大学医学薬学 府 舘野史氏,加藤由衣氏並びに活性構造化学研究室の皆様に感謝いたします. 本 研 究 の 一 部 は , 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 ( DC2) の 支 援 を い た だ き 感 謝 申 し 上 げ ま す .ま た ,千 葉 大 学 な の は な コ ン ペ 2006( 学 生 版 )の 支 援 を い た だ い き , 関係者に深く感謝申し上げます. 最 後 に ,研 究 へ の 理 解 と い つ も 陰 で 支 え 続 け て く れ た 私 の 父・和 良 ,母・孝 子 , 姉・和恵,そして私の友人に深く感謝します. 148 主論文目録 主論文目録 本学位論文の内容は,下記の発表論文による. 1. Hosoya, T.; Arai, M. A.; Koyano, T.; Kowithayakorn, T.; Ishibashi, M. Naturally occurring small-molecule inhibitors of hedgehog/GLI-mediated transcription ChemBioChem, in press. 2. Hosoya, T.; Yamamoto, Y.; Uehara, Y.; Hayashi, M.; Komiyama, K.; Ishibashi, M. New cytotoxic bisindole alkaloids with protein tyrosine kinase inhibitory activity from a myxomycete Lycogala epidendrum Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005, 15, 2776-2780 3. Hosoya, T.; Kato, Y.; Yamamoto, Y.; Hayashi, M.; Komiyama, K.; Ishibashi, M. Tryptophan 4-aminocinnamamides from a myxomycete Fuligo aurea Heterocycles 2006, 69, 463-468 149 学位論文審査 学位論文審査 本学位論文の審査は,千葉大学大学院薬学研究院で指名された下記の審査委員 により行われた. 主査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 高山 廣光 副査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 斉藤 和季 副査 千葉大学大学院教授(薬学研究院) 薬学博士 山口 直人 審査をして頂き,種々の貴重なご助言賜りました諸先生方に深く感謝申し上げ ます. 150