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水蒸気対向流拡散反応の 可視化に関する数値解析研究
日本原子力学会「2007年秋の大会」(2007年9月27~29日,北九州国際会議場他) K40 減圧によるナトリウム-水蒸気対向流拡散反応の 可視化に関する数値解析研究 Numerical Study on Visualization of Counterflow Diffusion Flame of Sodium and Water Vapor in Low-Pressure Condition 阪大院工 ○小原 義隆 山口 彰 Yoshitaka KOHARA 原子力機構 Akira YAMAGUCHI 高田 孝 Takashi TAKATA 大島 宏之 Hiroyuki OHSHIMA ナトリウム-水反応における化学反応の定量化は反応場の温度や反応生成物濃度を評価する上で重要である。 ナト [1] リウム-水蒸気の対向流拡散反応実験 を低圧条件にて実施すれば、反応領域が拡大し、測定精度が向上すると考 え、本研究では減圧による反応域の位置の変化や拡がりなどを数値解析により検討した結果を報告する。 キーワード:ナトリウム-水反応,対向流拡散火炎,CFD,エアロゾル挙動 Ar+H2O 3 Aerosol density [kg/m] ― 625 ― 3 Water vapor [vol%] Intensity of sodium gas [-] [kg/m ] 1.はじめに 高速炉蒸気発生器で伝熱管が破損した際に発生する 0.22 ナトリウム(Na)-水反応場における化学反応の定量化は、 反応部での 温度上昇や腐食環境を評価する上で重要な安全課題である。 これまで Na pool Na-水反応の対向流拡散反応実験の解析を行いその解析の妥当性を 0 確認してきた[2]。実験の精度向上のためには、図1(a)のような Na プ (a)1気圧 2.7vol%0.12m/s 0.05 ール上方に形成される反応域やエアロゾル層を上方に移動させて測 定することが有効と考えられる。 その効果を調べるために本研究では 反応場の圧力、Na プール上方から吹きつける Ar で希釈した水蒸気の Na pool 0 濃度と流速をパラメータとした数値解析を行った。 2.解析条件 実験装置は軸対称の円筒形であるため、数値解析は (b)0.25 気圧 2.7vol%0.12m/s(case1) 2次元円筒座標系を用いた。Na-水反応は Gibbs 自由エネルギ極小化 0.06 法を用いた平衡反応モデル(反応速度無限大)とし、反応物として水 蒸気,Na を、生成物として H2,Na2O,Na2O2 および NaOH を考慮した[3]。 Na pool 0 解析条件として Na プールの温度を 800K として、 プール上方からの対 (c)0.25 気圧 5.4vol%0.06m/s(case2) 向流条件(水蒸気濃度、速度)および体系内の圧力条件をそれぞれ 2.7vol%,0.12m/s,0.25 気圧(case1)と、5.4vol%,0.06m/s, 図1 エアロゾル分布 1気圧 1 3.5 0.25 気圧(case2)とした。 case1 3.0 3.解析結果 図1の(a)には1気圧でのプール上方におけるエ case2 0.8 2.5 アロゾルの分布、(b)には case1,(c)には case2 のプール上方に 0.6 2.0 おけるエアロゾルの分布をそれぞれ示す。雰囲気圧力を 0.25 気 1.5 圧に減圧した場合、反応面が上方に移動し、反応域が拡がって 0.4 1.0 エアロゾル層が厚くなっている。しかし、圧力を下げることに 0.2 0.5 よって、発生するエアロゾルの最大濃度は低下している。図2 0 0.0 にプール中心でのナトリウムと水蒸気濃度の鉛直方向分布を示 0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 す。1気圧のときに比べて圧力を下げることによって、反応面 Height from pool surface [m] の位置が約 1mm から約 3mm まで上昇している。case1 と case2 の プール中央鉛直方向におけるエアロゾルの濃度分布を図3に示 図2 プール中心位置での鉛直方向反応物濃度分布 す。水蒸気の供給量は同じであるが、対向流速度が低下するこ 0.06 とにより反応域の拡大とエアロゾル濃度の増加が見られた。ま case1 Na2O 0.05 た、プール表面付近では Na2O がエアロゾルの大半を占め、反応 case1 NaOH case2 Na2O 域の高さより上方では NaOH が支配的である。 0.04 case2 NaOH 4.まとめ Na-水蒸気の対向流拡散反応場の圧力、水蒸気の濃 0.03 度、対向流速度をパラメータとした数値シミュレーションを行 0.02 った。この結果、低圧力、低対向流速度条件での反応面の挙動 を数値解析的に評価し、より高解像度の可視化実験が可能な見 0.01 通しを得た。 0.00 参考文献 [1]出口他,第 42 回燃焼シンポ,A332(2004)[2]高 0.000 0.002 0.004 0.006 0.008 0.010 Height from pool surface [m] 田他,原学会 2007 春の年会,K35(2007)[3]山口他,第 42 回 燃焼シンポ,A331(2004) 図3 プール中心位置での鉛直方向エアロゾル濃度分布