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転換期のロシア天然ガス外交と 3・11後の日露エネルギー協力の行方

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転換期のロシア天然ガス外交と 3・11後の日露エネルギー協力の行方
特 集
資源外交の新展開
転換期のロシア天然ガス外交と
・ 後の日露エネルギー協力の行方
供給に関する基本合意を包括した
﹁中国その他のアジア太平洋諸国
へのガス輸出を視野に入れた東シ
ベリアおよび極東における統一ガ
ス生産・輸送・供給システム構築
計 画 ﹂︵ 通 称﹁ 東 方 ガ ス 化 計 画 ﹂︶
を発表。その計画実行のコーディ
の手段であり、世界のエネルギー
体は国内・国外政策を遂行する為
ロシアがアジア太平洋地域への
天然ガス市場の多角化に本格的に
書でも具体的に指摘されている。
を天然ガス生産センターとし、ロ
ツク、クラスノヤルスクの四地域
畔蒜 泰助
ネーターにガスプロム社を任命し
市場においてロシアが担う役割に
着手したのは、二〇〇六年三月の
シア西方地域とは違い、その多く
た。
まず、
所謂シェー
本稿の目的は、
ルガス革命を受けて、今まさに大
よって大いにその地政学的な影響
プ ー チ ン 大 統 領 の 訪 中 時 に 遡 る。
えるインプリケーションについて
後の日露エネルギー協力交渉に与
る。そして、それが福島原発事故
の試みという文脈のなかで検証す
アジア太平洋地域への市場多角化
プレゼンスを有する欧州市場から
立場にある。また、欧州諸国に輸
欧州天然ガス市場における強固な
の地政学的な力の源泉は、同社の
占企業体ガスプロム社であり、そ
蔵量と生産量を誇る天然ガスの独
える最大のツールは世界最大の埋
従来、ロシアが繰り広げる資源
エネルギー外交上の駆け引きを支
ス輸出の独占権を付与している。
は連邦法でガスプロム社に天然ガ
四カ月後の同年七月、ロシア政府
ることで基本合意に達した。その
本のパイプラインを通じて供給す
トルの天然ガスを西方・東方の二
PC社が、年間六八〇億立方メー
のもと、ガスプロム社と中国CN
この時、プーチン大統領立ち会い
にある天然ガス田が想定された。
ハリン、ヤクート、イルクーツク
平洋地域への輸出用としては、サ
えることを目指すもの。アジア太
洋地域への天然ガス輸出体制も整
共に、その延長線上でアジア太平
いる東方地域のガス化を進めると
が依然として石炭火力に依存して
﹁ 東 方 ガ ス 化 計 画 ﹂ と は、 サ ハ
リン、ヤクート︵サハ︶、イルクー
きな転換期にある天然ガスを軸と
力が決定される﹂。
考察することにある。
出される天然ガスの大部分はソ連
実際、サハリンには共に米欧エ
ネルギー・メジャーと日本企業が
、
現在ガスプロム社が開発を進めて
とサハリン
いるサハリン
関わるサハリン
時代の開発された西シベリアの天
然ガス田からのものである。
そしてプーチン大統領が出席し
た二〇〇七年九月のシドニーでの
●ガスプロム社の﹁東方ガス
化計画 ﹂
アジア太平洋経済協力︵APEC︶
が存在する他、東
首脳会議で、二〇一二年九月のA
でにエネルギー戦略﹄の冒頭は次
か、欧州地域に極端に偏った天然
に占める比重が格段に高まるな
が決定されると、同年九月、ロシ
ラジオストックで開催されること
PEC首脳会議がロシア極東のウ
〇 〇 〇 立 方 メ ー ト ル ︶、 イ ル ク ー
ダ天然ガス田︵埋蔵量
シベリアにはヤクートのチャヤン
約一兆三
のように始まる。
ガス市場のアジア太平洋地域への
ツクのコヴィクタ天然ガス田︵埋
だが近年、中国を筆頭とするア
ジア太平洋諸国の国際政治・経済
2
ア政府は前年の中国との天然ガス
二〇〇三年、露エネルギー省が
公表した﹃ロシアの二〇二〇年ま
1
多角化の必要性はロシアの公式文
3
の現状を、彼らが従来から大きな
したロシアの資源エネルギー外交
●はじめ に
3
11
︵ロシアの︶莫大なエネルギー
﹁
資源と強力な燃料エネルギー複合
アジ研ワールド・トレンド No.211(2013. 4)
11
世界の資源外交
需要家にタンカーでLNGを供給
パイプラインを通じて、年間六八
との間で西方・東方の二本のガス
さて前述のとおり、二〇〇六年
三月、ガスプロム社はCNPC社
●ガスプロム社主導のウラジ
オLNGプロジェクト
占権を有するガスプロム社の同意
アからの天然ガス輸出に関する独
価格で折り合えたとしても、ロシ
ビル社が中国側と天然ガスの販売
プラインで供給する予備協定に調
印した。しかし、エクソン・モー
開 発︵ S O D E C O
三 〇 %︶や
を務め、日本のサハリン石油ガス
ロム社の参加の議論が始まり、そ
ジー社との間で、同社へのガスプ
が付与されると、サハリン・エナ
イン経由での安価な価格での天然
ンとの間で締結したガスパイプラ
る。中央アジアのトルクメニスタ
スの売買契約を締結出来ないでい
CNPC社との間で正式な天然ガ
のが、ウラジオストックでの新規
そんななか、二〇〇九年五月の
プーチン首相の訪日時に浮上した
かけた。
中国向け輸出を断念するよう働き
るとし、エクソン・モービル社に
をロシア国内向けに回す必要があ
〇一年六月、サハリンから日本海
ナジー社の株式五〇%+一株を七
の売買価格で折り合えないから
積極的に進める中国側と天然ガス
クトだった。ガスプロム社は既に
の液化天然ガス︵LNG︶プロジェ
る。
2
一方、二〇〇〇年初頭、サハリ
ンから日本へのパイプラインによ
いる。だが、前述のとおり、これ
洋諸国にLNGの輸出を開始して
やはり中国CNPCとの間で年間
一〇月、エクソン・モービル社は
旦凍結。そのうえで、二〇〇六年
なかったことから、この計画を一
日本国内の需要家の理解が得られ
タ ー の エ ク ソ ン ︱ モ ー ビ ル 社 は、
域においてガスプロム主導で実施
の確保も含めて、アジア太平洋地
ロジェクトはその天然ガス供給源
これに対して、ウラジオLNGプ
に 買 収 し た 結 果 に 過 ぎ な か っ た。
エナジー社株の過半数を、政治的
のオペレーターであるサハリン・
NGプロジェクトからアジア太平
る天然ガス輸出を計画していたサ
は同プロジェクト実現間近に、そ
八〇億立方メートルの天然ガスを
ハリン
プロジェクトのオペレー
2
12
アジ研ワールド・トレンド No.211(2013. 4)
サハリンから中国に敷設するパイ
する計画を発表。東京電力を始め
〇億立方メートルの天然ガスを供
く、サハリンに液化天然ガス︵L
とする需要家が相次いでLNGの
が得られない限り、このプロジェ
露国営ロスネフチの関連会社二社
の後、環境問題を巡るロシア政府
ガス輸入や中東諸国からのLNG
の二つのプロジェクトし
︵計二〇%︶、インド国営ONGC
とサハリン・エナジー社の間の一
輸入など、その供給源の多角化を
サハリ
蔵量約二兆立方メートル︶といっ
ところで、これらの内、この当
時から現在に至るまで、対外輸出
購入意向を示したことから、二〇
給 す る 基 本 合 意 に 達 し て い た が、
クトの実現は不可能である。ガス
NG︶プラントを建設し、日本を
用に天然ガスの生産準備が整って
〇三年五月、正式な﹁事業化﹂を
そ の 後、 紆 余 曲 折 が あ り な が ら、
プロム社はサハリン の天然ガス
た巨大な天然ガス田が未開発のま
いる天然ガス田は、サハリン と
宣言した。二〇〇六年七月、ガス
今日に至るまで、ガスプロム社は
はじめとするアジア太平洋地域の
かない。
この内、
米エクソン︱モー
プロム社に天然ガス輸出の独占権
社︵二〇%︶がそれぞれ保有する
連の騒動を経て、二〇〇六年一二
岸か太平洋岸のいずれかの海底に
四億五〇〇〇万ドルの譲渡価格で
問題﹂もまた、この時期、ロシア
パイプランを敷設して、日本に天
二〇〇九年三月、サハリン のL
た。ところが、結局、東京電力を
が活発化させ始めたアジア太平洋
取得した。この所謂﹁サハリン
始めとする電力会社が購入に動か
地域での資源エネルギー外交の一
環と捉えるべきであろう。二〇〇
なかった為、この計画は実現しな
かった。
九年三月、サハリン・エナジー社
LNGが初出荷された。現在、我
が国は輸入する天然ガス︵全てL
のLNGプラントから日本向けに
商事︵二〇%︶の三社で設立され
NG︶の約一〇%はこのサハリン
これに対して、一九九四年に英
蘭ロイヤル・ダッチ・シェル社︵五
た サ ハ リ ン・ エ ナ ジ ー 社 が オ ペ
プロジェクトからのものであ
五 %︶
、 三 井 物 産︵ 二 五 %︶ 三 菱
レーターを務めるサハリン プロ
ジェクトは、パイプラインではな
2
1
然ガスを供給する計画を発表し
だ。
サハリン
月、ガスプロム社がサハリン・エ
2
ま眠っているのだ。
ビル社︵三〇%︶がオペレーター
1
プロジェクトは、二〇
1
2
1
転換期のロシア天然ガス外交と3・11後の日露エネルギー協力の行方
される初めての天然ガス市場の獲
得プロジェクトだった。
力交渉の最重要テーマとなるのは
プロジェクトが日露エネルギー協
いた。当時想定された天然ガスの
らみた採算性の判断が下せないで
ま ず、 前 述 の サ ハ リ ン プ ロ
ジェクトである。同プロジェクト
ル社
対
ガスプロム社+資源エ
ネルギー庁並びに伊藤忠商事など
は埋蔵量的にも生産準備という意
供給源は三つあった。
ウラジオストックで、プーチン大
味 で も 申 し 分 な い が、 オ ペ レ ー
必然と思われた。二〇一二年九月
統領と野田首相︵当時︶と二度目
ターの米エクソン社はガスプロム
SODECOへの出資者︾という
発事故が勃発した二〇一一年三月
の首脳会談を行った。この際、ガ
八日、ウラジオAPEC開催中の
経済産業省傘下の資源エネルギー
一一日とは、まさにそんな最中の
スプロム社のアレクセイ・ミレル
構図が出来上がった。あの福島原
庁 や 伊 藤 忠 商 事、 石 油 資 源 開 発、
ことだった。
ここで注目すべきは、このガス
プ ロ ム 社 の カ ウ ン タ ー パ ー ト に、
丸紅などサハリン の権益三〇%
を保有するサハリン石油ガス開発
首 相 の 立 ち 会 い の も と、﹁ ウ ラ ジ
郎長官が、プーチン大統領と野田
社長と資源エネルギー庁の高原一
は消極的だった。埋蔵量的には有
プロジェクトへの天然ガス供給に
価格面などから、ウラジオLNG
社 の 再 三 の 要 請 に も か か わ ら ず、
︵SODECO︶の株主が軒並み
オストックLNGプロジェクトに
望と目されているサハリン プロ
●ウラジオLNGプロジェク
トの迷走
福島原発事故を受け、我が国の
二〇〇〇年初頭、
前述のとおり、
原子力発電所の大半が停止したこ
サハリン プロジェクトの権益を
関する覚書︵以下ウラジオ覚書︶﹂
名を連ねている点である。
とから、化石燃料、とりわけ天然
始。一方、SODECOへの出資
ス輸出に向け中国側と交渉を開
国へのパイプラインによる天然ガ
ン・モービル社はサハリンから中
だが、これが頓挫すると、エクソ
ガ ス 輸 出 計 画 の 実 現 を 目 指 し た。
日本へのパイプラインによる天然
DECOは共同で、サハリンから
ン・モービル社と日本連合のSO
欧 州 の ス ポ ッ ト 市 場 に 流 れ 込 み、
れていたLNGが大量かつ安値で
本来、アメリカ市場向けに準備さ
発 の シ ェ ー ル ガ ス 革 命 の 余 波 で、
た。それはまた、ここ数年の北米
するチャンス﹂との期待が高まっ
新たな日本の天然ガス市場を獲得
わ ら ず 進 捗 し な い な か、﹁ 今 こ そ
でも中国との天然ガス交渉が相変
ガスの輸入量が急増した。ロシア
した﹂とある。
築に関する協議を行う意向を確認
よびプロジェクトの授業体制の構
プロジェクトへの参加可能条件お
よって、ガスプロムと日本企業は
了 す る 予 定 で あ り、 そ の 結 果 に
本年末までに投資決定の準備を終
リリースによると﹁ガスプロムは
源エネルギー庁が発表したプレス
に調印した。本覚書に関して、資
のものの性質から開発自体に相当
然ガス田がある。だが、ガス田そ
ヤンダ天然ガス田という巨大な天
また、前述のとおり、東シベリ
アのヤクート︵サハ︶共和国にチャ
いる。
が、その生産開始が大幅に遅れて
チでボーリング作業を続けている
示のもと、ガスプロム社が急ピッ
ジェクトは、プーチン大統領の指
それぞれ三〇%保有するエクソ
者である資源エネルギー庁や伊藤
らず、従ってLNGプラント建設
こ れ を 文 字 ど お り 解 釈 す れ ば、
共同事業化調査はまだ完了してお
よって、ロシア政府が余程の優遇
プ ラ イ ン を 敷 設 す る 必 要 が あ る。
トックまで三二〇〇キロものパイ
の多角化が従来以上に切実な問題
ある。一体、何が問題なのか?
措置でも取らない限り、チャヤン
それ故、前述のウラジオLNG
確定出来ておらず、生産コストか
すると相当割高になり、日本国内
プラントからのLNG価格を試算
ダの天然ガスをベースに同LNG
討し始めた。つまり、既に生産体
とピタリと重なった。
として差し迫っているタイミング
の天然ガ
制は殆ど整っているが売却先の決
まっていないサハリン
実は、ウラジオLNGプロジェ
クトは、まだ天然ガスの供給源を
コ ス ト が 掛 る う え、 ウ ラ ジ オ ス
も加わって、ガスプロム社が欧州
への投資決定もまだということで
そこに欧州経済の急速な落ち込み
市場で苦戦を強いられていること
の天然
ガスを何とか日本に輸入するべ
から、アジア太平洋地域への市場
忠商事などは、サハリン
LNGプロジェクトへの協力を検
く、ガスプロム社主導のウラジオ
1
1
ス を 巡 っ て、
︽ エ ク ソ ン・ モ ー ビ
アジ研ワールド・トレンド No.211(2013. 4)
13
1
1
3
1
●サハリンLNGプロジェク
トの急浮上
に関する大統領員会の場で、プー
されたその日、露エネルギー産業
で注目すべきは、このロスネフチ
︱エクソン・モービル合意が発表
れでも、このタイミングでガスプ
を考えて
ミレル社長が﹁ウラジオLNGの
給源の確保を巡って迷走を繰り広
ガスプロム社主導のウラジオL
NGプロジェクトが、天然ガス供
には既に説明済みとあるという。
ターであるエクソン・モービル社
な い。 こ の サ ハ リ ン L N G プ ロ
源はサハリン 以外には考えられ
う。とすれば、その天然ガス供給
具体的にはサハリンを指すとい
一部報道によれば、極東地域とは
能 性 を 検 討 す る と 発 表 し た の だ。
とは全く別にヤマルLNGプロ
スプロム主導の﹁東方ガス化計画﹂
市場へのLNG輸出を念頭に、ガ
取っている。同社はアジア太平洋
田への権益の一部への参入を勝ち
マル半島にある世界最大級のガス
ング力を背景に、ロシア北方のヤ
いる﹂と明言していたという。そ
しかし、ロシアではガスプロム社
進 主 体 が ロ ス ネ フ チ 社 だ か ら だ。
は全く別物である。ロシア側の推
まず、これはガスプロム社主導
のウラジオLNGプロジェクトと
あるイーゴリ・セチン前副首相
︵エ
プーチン大統領の側近中の側近で
イ バ ル が 登 場 し て き た。 そ れ が、
分野の独占体制を脅かす強力なラ
また、ここに来て、ノバテック
社以上にガスプロム社の天然ガス
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アジ研ワールド・トレンド No.211(2013. 4)
れているのではなかったか。ここ
かくして、ウラジオLNGにせ
よ、サハリン・パイプラインにせ
チン大統領が初めて、LNG輸出
のチャヤンダ開発発言が飛び出た
ン&エンジニアリングの企業連合
よ、その去就は、現時点では唯一
の独占体制の段階的な自由化の可
での買い手をみつけることはかな
が、サハリンと首都圏を結ぶ約一
プロジェクトのオペレーターで
の天然ガス供給源であるサハリン
直後の一一月四日、東京ガスや石
四〇〇キロのガスパイプライン建
能性に初めて言及したという事実
り困難だというのが業界関係者の
それにもかかわらず、二〇一二
年一〇月二九日、ガスプロム社の
設の事業化調査を行っていること
あるエクソン・モービル社が最大
である。
油資源開発、日鉄住金パイプライ
ミレル社長が突如、プーチン大統
が朝日新聞報道で明らかになっ
の鍵を握っていると思われた。
一致した見方だった。
領との会談のなかで﹁チャヤンダ
天然ガス田の開発並びに同天然ガ
た。天然ガス供給源としては、や
かねてより、ガスプロム社以外
の独立系の天然ガス会社はガスプ
ス田とウラジオLNGプラントを
すると、この二〇一三年二月一
三日、驚きのニュースが世界を駆
ロム社による天然ガス輸出独占体
を想定し、石狩︱
苫小牧の一部陸上以外は海岸沿い
け巡った。二〇一一年八月の北極
はりサハリン
スク︱ウラジオストック
︵SKV︶
に鹿島まで海底に敷設する。コス
制の自由化を求めており、その筆
パイプライン建設に着手する。総
頭はノバテック社だった。同社は
海 沖 資 源 開 発 で の 戦 略 提 携 以 来、
プーチン大統領と古くからの友人
トは三〇〇〇∼四〇〇〇億円程
緊密な関係にあるロシアの国営石
関係にある共同代表者の一人、ゲ
投資額は七七〇〇億ルーブル︵=
油 会 社 ロ ス ネ フ チ と エ ク ソ ン・
ナジー・ティムチェンコのロビイ
からの天然ガス供
給を前提としたウラジオLNGプ
Gプラント建設プロジェクトの可
モービル社が、極東地域でのLN
度。サハリン
完成を目指す﹂と報告した。
のオペレー
ロムのミレル社長がプーチン大統
げるなか、二〇〇〇年初頭、エク
ジェクト急浮上の背景をどう理解
なる。また、サハリン
領に対して、チャヤンダ開発に言
ソン・モービル社や日本連合のS
すべきなのか?
ジェクトが東京ガスなどの主導で
に天然ガス輸出の独占権が付与さ
1
ガス供給源はサハリン
及したということは、コスト的に
ODECOらが推進したサハリン
天然ガス供給に関するエクソン・
再浮上してきたのだ。
身も考えているサハリン
モービル社との交渉が思うように
進んでいないことの裏返しなので
は、と推測された。
一方、ガスプロム社ミレル社長
ジェクトの実現を目指している。
も量的にも最有力とガスプロム自
から日本へのパイプライン・プロ
1
1
からの
日本政府筋の情報によると、ウ
ラジオ覚書調印時、ガスプロムの
ラント構想と比較しても、割安に
約三兆円︶で、二〇一七年までの
繋ぐサハ︵ヤクート︶︱ハバロフ
1
1
1
1
転換期のロシア天然ガス外交と3・11後の日露エネルギー協力の行方
フチ社である。
ネルギー産業担当︶率いるロスネ
している。
国際石油開発帝石の各社とも会談
伊藤忠商事、丸紅、石油資源開発、
ある。
で、この構図が一変する可能性が
Gプロジェクトをぶち上げたこと
発 で 戦 略 提 携 を 構 築 し て い る 他、
ジェクトが議題になったのは間違
その会談の詳細は明らかになっ
ていないが、サハリンLNGプロ
オLNGプロジェクトから、ロス
つまり、資源エネルギー庁や伊
藤忠商事などの日本連合がウラジ
ロ ス ネ フ チ 社 は 米 エ ク ソ ン・
モービル社と北極海沖での資源開
二〇一二年一〇月、英BP社とロ
一方、ガスプロム社は二〇一三
年二月二一日、ウラジオLNGプ
ネフチ︱エクソン・モービル連合
K︱BP社を買収することで、B
ラントの建設に着手し、二〇一八
可能性が出て来たのだ。
ジェクトに交渉の優先順位を移す
が主導するサハリンLNGプロ
P社との戦略的パートナーシップ
年に稼働させる計画を決定したと
最大のポイントは、現時点では
唯一の天然ガス供給源であるサハ
いないだろう。
関係を構築。一躍、世界最大の石
発表。その天然ガス供給源として
リン のオペレーターであるエク
シアの投資家グループが折半出資
油 会 社 に 躍 り 出 た。 こ の 時 点 で、
は、サハリン、チャヤンダに加え、
かす存在になる可能性が指摘され
上にガスプロム社の独占体制を脅
天然ガス分野でもノバテック社以
通しは立っていないとみる。
としてそのガス供給源の確保の見
に対抗する意味合いが強く、依然
これは、ロスネフチ社の積極攻勢
コ ヴ ィ ク タ の 三 つ を 挙 げ て い る。
ち 取 る こ と が 出 来 れ ば、 同 プ ロ
ム社のLNG輸出独占自由化を勝
長率いるロスネフチ社がガスプロ
していることだ。更に、セチン社
ソン・モービル社が、これに参画
するロシア第三位の石油会社TN
専門家の間では、ロスネフチ社が
ていたが、まさにそのとおりの展
●日露エネルギー協力交渉へ
のイン プ リ ケ ー シ ョ ン
社+資源エネルギー庁並びに伊藤
クソン・モービル社対ガスプロム
点で、販売先の決まっていないサ
る。
く、必死の抵抗を示す可能性があ
ジェクトの実現可能性は一挙に高
こ の ロ ス ネ フ チ ︱ エ ク ソ ン・
モービル合意が発表されるや否
忠商事などSODECOへの出資
O関係者と会談した他、SODE
本側の出資母体であるSODEC
社と組んで、ウラジオLNGプロ
ム社のライバルであるロスネフチ
エクソン・モービル社がガスプロ
すよう、一致団結して交渉に当た
の交渉で、ベストの条件を引き出
ル社、ガスプロム社との四すくみ
ロスネフチ社、エクソン・モービ
の 議 論 に 十 分 注 意 を 払 い な が ら、
日本連合としては、LNG輸出
独占の自由化に関するロシア国内
一方、ガスプロム社もまた、L
NG輸出の独占権を死守するべ
まる。
や、すかさずセチンが動いた。僅
者︾という構図が生まれていたが、
の 天 然 ガ ス を 巡 り、︽ エ
か六日後の二月一九日、セチン社
サハリン のオペレーターである
COの出資者で、ウラジオLNG
ジェクトに対抗するサハリンLN
ハリン
長率いるロスネフチ訪問団が来日
さて、前述のとおり、ウラジオ
LNGプロジェクトが浮上した時
開になりつつある。
1
し、サハリン プロジェクトの日
1
1
プロジェクトへの協力を検討中の
るべきだろう。
︵あびる たいすけ/東京財団研究
員︶
アジ研ワールド・トレンド No.211(2013. 4)
15
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