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放射線滅菌に適した医薬品包装容器用
日本包装学会誌Vol8jVn2(1999) 磯論文 放射線滅菌に適した医薬品包装容器用 合成樹脂材料の選択 山本裕一* EvaluationforthepIasticmaterialcompatiblewitheIectronbeamsterilization YuichiYAMAMOTO Inthesedays,thenlostutilizcdsterilizationmethodI0Tpharmaceuticalpackagingsis ethvlene・oxidegassterilization,thoughE、0.G.isconsideredasacarcinogen、Toreserchanother stcriIizationmethod,weevaluatedelectronbeamsterilizatjonlorphamaceuticalplasticcontainers mainlyusedlorophthaImicsolution、 Fromthetestresults・wecarriedoutbycomparingthedeterioratingrateamongthreedose levelsofO,20,and60kGyalter6monthsinstorage,theexistingplasticgradesofpolypropylene (PP)andpolyethylene(PE)mainlvusedforpharmaceuticalpackagingarerelativelycompatible withelectronbeamsteTilization A1mostalltestresultsofphysicalproperties,chemicalpropertiesandsafetytestsofJapanesc pharmacopeiaaresatisfactorytous・Inadditionwefbundthatanti、stresscrackingpropertiesof lowdcnsitypolyethylene(PE・LD)and]inearlowdensitypolyethylene(PE-LLD)wereremark‐ ab1yinlprovedbvtheirradiation ltisexpectedthatelectronbeamsterilizationwillbeacceptedmoreactiveinthelieldoIphar. 、aceuticaIpackagingindustry. Keywords:electronbeanlsterilization,Deteriorationrate‘Pharmaccuticalpackaging 医薬品直接包装容器に使用されている樹脂原料(非放射線処方品)につきPE、PPを中心にそ の電子線滅菌耐性を評価した。試験片と容器自体を評価検体とし、未照射品、20kGy、60kGy 照射品の3水準につき、経時6ケ月まで物`性変化・機能品質・安全`性を調査した。試験片物性変 化では、PPの衝撃値低下(20%以下)と白色品の破壊強さ低下(PE-HD約40%、PP約30%)が 観察されたが、機能品質、安全性には問題ないことが確認できた。またPE-LD、PE-LLDの耐 ストレスクラック性改善、PP放射線処方品の破壊強度が非処方品の約1/3以下であることも確認 された。非放射線処方品でも、電子線滅菌適性はかなり高いことが明らかになった。 キーワード:電子線滅菌、医薬品直接包装容器、劣化度 *大成化工(株)研究所(〒567-0054大阪府茨木市藤の里2-11-6):TAISEIKAKOCO、LTDR&DDEPT 2-11-6,Fujinosato,Ibaraki,OsakajAPAN,567-0054 -67- 放タソ線滅菌に適した医薬品包装容器用「合成#1V脂材料の選択 されていることが多い。滅菌法変更のために 1.緒言 材質変更が必要となれば、製薬メーカーにと 医薬品の包装容器に使用されている主たる っては一部変更申請にかかる多大なタスクが 滅菌法を大別すれば、高圧蒸気滅菌、EOG 発生し好ましくない。現行の材質に電子線滅 滅菌、放射線滅菌の3つに区分できる。平成 菌適性があればこのタスクを減じることがで 7年厚生省令第40号、医療用具の製造管理及 き、また成形メーカーにとっても、樹脂のグ び品質管理規則によって、平成9年7月1日 レード変更に必要な多回の確認テスト3)が から滅菌バリデーションが義務づけられ、こ 不要となり、トータル的なコストダウンにつ れに伴って平成10年5月1日付けで滅菌バリ ながることにもなる。 デーションガイドラインが厚生省医薬安全局 これらの観点から、現行樹脂に関するでき 監視指導課長名で通知された。容器全般を規 るだけ多くの情報を得るために、外用剤容器 制するガイドラインではなく、あくまで医療 や経口液剤キャップの一部についても評価の 用具を対象にしたものであるが、構成が 対象に加えた。 ISO/TCl98に基づき世界的なハーモナイゼ 2.実験内容 ーションを考慮に入れたもの')であるため、 今後その適用範囲は必要な分野から全般的に 2.1照射条件と設定根拠 拡大していくものと思われる。 照射には、ダイナミトロン型電子加速器4) このガイドラインの特徴を端的に言えば、 気体または熱を利用した滅菌法に対してはそ を使用した。最大加速電圧は5MeV、最大 の現象の細部にわたる科学的検証を求め、一 ビーム電流は40mAである。評価水準として、 方、電離作用を活用した放射線滅菌法に対し 未照射、20kGy、60kGyの3水準を用いた。 ては、その再現性の得易さから判定基準を簡 未照射品でその材質の基準物性を求め、滅菌 素化(無菌試験の省略を認可)したものであ るといえよう2)。 線量はガイドラインの要求するSAL(無菌 また現在の容器滅菌の主流であるEOGガ が、放射線滅菌で用いられるBI(BQCjlJ"s 性保証レベル)=10-6よりやや過酷ではある ス滅菌に関しては、その発ガン性や容器に残 ”,"jh(s;、値/L6-L7kGy)に対して、 留する有毒物質に対する不安感から規制の強 SAL=10-12を満足する20kGyとした。過 化が求められており、今後の使用に対して否 酷線量は、通常の樹脂容器の電子線滅菌にお 定的な動向が見受けられる。 ける線量分布測定結果を参照し決定した。す 以上の現況を背景に、樹脂容器に関する電 なわち梱包形態のかさ密度が適性範囲(0.1 子線滅菌の適性を評価する事にした。評価対 -0.29/cm3程度)であり、電子の通過方向 となる梱包ケース高さが有効飛程(最低線量 象は医薬品直接包装容器のうち無菌製剤を充 填するものとして、点眼容器を主体とした。 医薬品直接包装容器の場合、内容製剤ととも が保証される電子の到達距離)内になるよう にその容器材質の詳細についても申請、承認 は、1.5程度に収まる。上記で定めた滅菌線 に設定するとき、梱包内の最大.最小線量比 -68- 日本包装学会議1/bL81Vb、2(1999ノ 量20kGyを最低線量とするとき、最大線量 て破壊荷重測定) は30kGyとなり、過酷線量としてはその2 ・水蒸気透過性(日本薬局方第13改正) 倍の60kGyを設定した。 ・イソプロパノール蒸散量(20%IPA、25℃ 75%RH、28日間の蒸散量測定) ただし評価に用いた検体はすべて平面簿層 配置で照射し、設定線量±10%以内の精度を ・スクイズ性(水を充填した点眼容器におい 与えたものである。 て、ノズルからの1滴滴下に要する胴部押 圧荷重をプッシュプルゲージにて測定) 2.2評価期間と検体種別 ・ヘーズqlSK7105:1981) 評価期間は滅菌バリデーションガイドライ ・光線透過率(JISKOll5:1992) 【安全性】 ンに準拠して定め、照射直後、2ケ月後、6ケ 月後までとし、データを収集した。 平成8年3月28日、薬発第336号「点眼剤 検体の種別としては、ISO11137、付属書 用プラスチック容器の規格および試験法」に A・表A2に示されたプラスチック材料評価 よる。 の物理的及び機能試験方法に準拠し、評価に ・pHの変化 必要な各種試験片と、容器機能を評価するた ・理化学試験 めの容器形状そのもの、の2種を用いた。 ・細胞毒性試験 3.結果と考察 2.3評価項目 評価項目は物性変化・機能品質・安全性の 3つに大別した。各項目を以下に列挙する。 3.1物性変化 【物性変化】 3.1.1引っ張り試験 ・試験片引っ張り試験(ASTMD638:1991) Fig.1に、ダンベル型試験片による引っ ・アイゾツト衝撃試験(ASTMD256:1992) 張り試験結果を示す。点眼剤用及び外用剤用 ・落錘衝撃試験O1SK7211:1976) キャップ・ボトル・ノズルに使用されている ・色調変化O1SZ8722:1994) PP(polypropylene)2種の各種着色品、PE‐ ・臭気評価(官能試験:2重ポリ袋・25cm HD(highdensitypolyethylene)・PE-LLD 角にノズル100個と1Lの空気を封入し照 (linearlowdensitypolyethylene)各1種、 射後、経時的に臭気確認。一部ガスクロ分 PE-LD(lowdensitypolyethylene)3種類の 析:GC/MSによる臭気成分の同定) ナチュラル及び着色品において、60kGy照 【機能品質】 射品の未照射品に対する6ケ月経時後の変化 ・ストレスクラック試験(0.01%ポリオキシ 率を示したものである。 エチルイヒノニルフェノール、締めトルク 88.2N.c、、23℃、8週間) 全種に共通して、実用強度の指標となる降 伏点応力にはほとんど変化がない。しかし破 ・キャップ天面破壊荷重測定(金属製ネジロ にキャップ装着後、23℃、50mm/minに 壊強さ、破断点伸びにおいては、材質、添加 剤(色剤)別に特徴のある変化が観察された。 -69- 放射線滅菌に適した医薬品包装容器ノW合成櫛i脂材料の選択 謁段SF誌4=に .』j 視》}ト ニヤ黙 ム忍 侯②j‐・ ヘマ』 冒』』▲ 恥猫禺 宅■昭一 究土 『もuご 三。'鳶北 口分バ 】巴『 ljJ L 三liプ蕊iTiJ lj9藷÷霊 F狸9;.十二躯ヨ2霊だす,錐.通殿:rH5溌月 F狸9ディニゴEゴ エ.ビーゴゴ゛島 が.角h弐・・コiニワナ゛轡?, 淫‘~男.r;顕.え.=~吉二弱一二s是?繩。非.恒塞擁.舞樗§ -60-40-200204060 Changerate(60kGy/OkGy)(%) Fig.1ChangerateOftensiIeproperties(after6months) (E-beamsterilization) a)Containerfbreye-dmpsb)ContainerlbrmedicaIsoIuticnof,extemaIuse c)COntainerfbrointmentASTMD638typeⅣ50mm/min23℃ 放射線滅菌耐性に劣るとされるPP5)である PE5)でもPPより大きな変化があることがわ が、PP-2では白色着色品をのぞき、低下率 かった。PE-LD、PE-LLDでは、低下は観察 は約7-8%程度である。PP-1でも白色品以 されず、逆に破断伸びが改善されている。 外の低下率は10-20%以下で、思ったほど 極力添加剤を減じた医薬品直接包装容器用 劣化しなかった。逆に白色PE-HDでは破壊 の樹脂においては、PPでの劣化度は意外に 強さが40%低下し、耐`性があるとされる 小さく、それよりも酸化チタンを主剤とする -70- 日本包装学会誌VoL8jVo、2(1999) TablelChangeoftensilepropertiesofcaps(E-beamsterilization) :iiif蕊蕊1 308 31.3 308 31.1 31.6 32.0 33.1 324 32.4 33.0 31.9 331 *:1mmediatelyaftcrtheirTadiatio、 白色色斉llの方が劣化に対する寄与率が大きい 示す。またTable2には、白色PE-HD製軟 と考えられ、その影響がPPではより安定度 膏容器及びABS製の軟膏キャップにおける の高いPP-2、耐性があるはずのPE-HD-lや、 落錘衝撃試験結果を示す。社内製作したこの 僅かではあるがPE-LD-3にも及んでいる。 装置により、質量1.044kgの錘を最大140 Tablelには、PPについて以上の傾向を数 cm高さまで、落下させることができる。半 値化したデータを示した。未照射品にたいし 数破壊高さは、キャップの場合約1m、ボト 20%以上の低下を示す着色部が、白色の ルの場合には140cmまででは全く破壊され PP-lでは強く、またPP-2でも照射6ケ月 なかった。引っ張り試験ではPPより大きな 後に観察されている。しかし黄色のPP-lで 破壊強さの低下を示した白色PE-HDである は低下度が小さく、色剤による劣化度に差が が、実用上の強度低下は無いものと考えても あることも確認された。 良いであろう。 3.1.2アイゾット衝撃試験 3.1.4色調の変化 引っ張り試験に比べ、実用度の指標として Fig.4には、PP、PE-HD、PE-LLD、PE- 信頼性が高いと思われる、アイゾット衝撃試 LDの各種各色別に、6ケ月経時後のその色 験の結果をFig.2に示す。PP-lでは経時的 彩変化(△E)を示す。機械測定データでは、 にやや改善はされるが、衝撃値の低下は色の 白色及び紫色のPP-1、及び白色PE-HDの 種類に関係なく最大約20%であった。PE- 3種で人の目の色差感知下限△E=1.5程度 LLD、PE-LD-l、2ではPE-LD-2黄色を除き、 以上の値を得たが、肉眼観察では、僅かな黄 大きく変化していない。またPE-LD-2でも 変もしくは〈すみを感じる程度で、今回の試 経時6ケ月では回復し、逆に4%程改善され 料範囲内では大きな変化は無かった。 ている。材質と色剤の関係は、試験項目毎に 3.1.5臭気評価 臭気評価は、官能試験と点眼ノズルのみガ 異なった傾向を示す可能性がある。 スクロ分析を実施した。官能試験では、照射 3.1.3落錘衝撃試験 Fig.3には、試験に用いた装置の写真を 直後、密封されたポリ袋内のやや強い酸つば -71- 放射線滅菌に適した医薬品包装容器用合成樹卜脂lthtiLの選択 □lmmediatelyafter 望111恩 Capa) (PP-1,white) irradiation 国After2months 窪璽壺  ̄ Capa) (PP-Lgr巴e、) Capa) (PP-LpumIO) 国After6months 腫蕊 鰐蕊蕊号震蕊 Pq1-=_-△-. 』 函 .●午ごP・I■〒 NozzIea) (PE-LD-L natunaI) = NozzIea〉 (PE-LLDnatu虚I) 暦 NozzIBa) ]| 劃I ロ U 匝 (PE-LLD,yellow) 』9口‐ BottIea) (PE-LD-2 natu旧I) 、 - 丘 BotUea) 園田剛 (PE-LD-2yclIow) 11。- ---…-1J.. 、.、乱…」. 麺I 麹 -.--.--毛。-.--一・・一一b■ ………‐ハー...._」. .._銅--,--.-1 -30-20-100102030 Changerate(60kGy/OkGy)(妬) Fig2Changeoflzodimpactstrength (E-beamsterilization) a)Containsrfbr0ye-dmps ASTMD256TBstMod1odAthickneBs316mm Table2ChangeofimpactstrmgthofE-beamsteriIized containerfWointmentbythe値I1ingweight 釦、 (ABScmnge) Hc cap化rointmen上 秀 SampIe Aner6M  ̄ 96 98 98 101 106 105 95 93 96 BottIeforointn”nt >140 >140 >140 (PE-HD-2whitc〉 >140 >140 >140 >140 >140 >140 JISK7211・BBIItypoⅡ(wcight:1.M」0kg)中:ImmcdiEtcIyancrirmd砲tion Fig3TestdevicefOrJ1SK7211 -72- 日本包装学会誌Wl8ノVb2(1999) 1 cBpa) l筵f1磁系11控Bl4 (PP-1・white) 14W鐘鐸」魚鑛鶴鱗篭蕊篝叢f;(;誌L鶏猟iii畷〃 鉱曽瞬羅誌: 罰 漣 :錘豈 cap白) (PP-1・yellow) Capa) (PP-1.9℃。、) 重囲 Ⅱ■▼ 『‐し‐も 口騨 Ⅱ Capb) (PP-2・bIuo) ‐曲込。 Capb) (PP-2orango) 》昨粋 催難雛灘織ti 磯籍雛譲 j篭憲兼露! 『灘 1 Capa) (PP-1pumla) 麺 Capb) (PP-2indigo) I 1 Capb) (PP-2・whito) 膳露:露輿! 緋繊愚ji2;;I BottIOc) li :i蕊獺蔑鞭|’ 鰹鱗巍謹 零墓i錘Ⅲ (PE-HD-1・wh“) NozzIDa) (PE-LLDnatu極|) li ![ffilHbijK1iiii :!i鍵蝉1柵 Nozzlea) 罰 (PE-UD・ycIlow) Nozzl0a) P (PBL匪1.naturnD BcttI⑧a) 11 (PE-LD-2・nahl極D Bottloa) (PE-LD-2・yeIbw) Bottlob) (PE-LD-3white) 懸鍾 週 掴 菌 0.00.51.01.52.02.53.03.54.O dE(60kGWOkGy) Fig4ChangeofcoIordiI千erence(after6months) (E-beamsteriIization) a)Cor比ainerfbreye-d”psb)CO噸iner化rmedicaIsoIutionofextemaIuse c)Cortainerfbrointment い臭いを感じたが、2週間もすればそれも消 3.2機能品質 失し、今回の試料範囲ではあまり強いもので 3.2.1ストレスクラック試験 は無かった。点眼ノズルを用いて実施したガ 点眼容器の重要な機能の1つに滴下量の正 スクロ分析の結果をFig5に示す。未照射 確性がある。ノズル形状はその正確性に大切 品から酢酸またはプロピオン酸成分が検出さ な要素となるが、形状によってはストレスク れたり、他の機関での評価ではなにも検出で ラックの発生を完全に防止できない場合があ きなかったりと信頼性には乏しいが、それで る。電子線照射が、その発生にどういう影響 も2週間経時後には酢酸は消失しており官能 を及ぼすか調査した。結果をTable3に示す。 試験と同様の傾向は確認できた。 ストレスクラックは未照射品に集中し、照射 品では全く発生しないという結果が得られた。 電子線が樹脂の架橋にも利用されていること -73- 放;!/線滅菌/ご適した医薬Ji;包装容器用合成徽脂材料の選択 Blank・OkGy6D BIank・20KGy6D Blank・60KGy6D NozzIe・OkGy6D Noz濯le・20KGy6D Nozzle60KGy・6D BlankCkGy・14D BIank20KGy・14D Blank60KGy・14D NozzleOkGy・14D hIrf■、「 P 鋼nrOnIrDnIC月公肺 Nozzle・20KGy・14D NozzIe60KGy・14, 0246810121416 Concentration(ppm) Fig5SmeIIanalysisofeyedropsnozzlebygas chromatography (E-beamsterilization) Blank;PE-LLDdoublepackedbag(a25-cmsquare) NozzIe;100piecesofeyedropsnozzIeswereputir化odoublepackedbag lLofairwasfilIedandheatseaIedineverybag、 6,;after6daysl4D;afterl4days の測定を原料メーカーに依頼した。その結果 Table3Environmental-stress-cracktestof 義 をTable4に示す。酸化劣化防止剤を含有す るPE-LLDのゲル分率は、60kGy照射品で も僅か2.5%と非常に低く、無添加グレード であるPE-LDの場合、同様のゲル分率は約 60%と高い。酸化劣化防止剤が架橋抑制剤 として働いた可能性があるが、未照射品での 発生率がPE-LDの3.5倍高いPE-LLDのス トレスクラック防止効果に対しては説明が付 Solutjon;001%polyoxyotllyI-nonyIp加noI TO垣uc(chsir屯);88.2N。cm、Storagoconditon;Dt23oCfbrBwocks かない。そこで樹脂の流動特性を示すMFR Iま承知していたが、一般的にlOOkGy程度 を追加して測定した。結果は成形メーカーに 以上の高線量が用いられる6)。僅か20kGV とっては驚くべきもので、20kGyの照射が の照射で、これだけ顕著な差が出現するとは MFRをl/10-1/100まで低下させ、全く別 予想していなかったため、ゲル分率とMFR グレードの樹脂となっていたことが解った。 -74- 日本包装学会誌Wj8Aln2(1999ノ 度はPP-3の約1/4-1/3であった。 Tablc4Stl巴SSC”ckrUeノGelaOimnmtC/Mcltflowmte ofeycdDppeTnozzles(E-beamsterUization) M"アリ声 ……|・・l・…. 3.2.3光線透過率 (gノ10min)  ̄ ̄ ̄ 10.7 PELID、NatumU 心 ̄ ̄ ̄ ̄● ̄ ̄ ̄■。□のI ≦0.01 N⑪冠1鼓 1.2 ■ ̄ ̄ ̄-● ̄ ̄■ ̄b ̄■0 ≦0.01 PE-LD.N錘山口】 (PmJc印Ede) れる異物があってはならない7)。その確認に 必要な樹脂ボトルの透明性が、電子線照射に 1.2 (WidnBntiouKId四() 点眼剤中には、内部に肉眼で容易に観察さ MeItnowmc ■ ̄■● ̄ ̄。● ̄ ̄●●●U =0.01 よって阻害されてはならず、照射水準毎の各 種ボトルの光線透過率を調査した。代表例と してFig.6に黄色PE-LDボトルの測定デー タを示す。原料グレード、着色の有無を問わ Gcl錘ounuEtc(JISK6769);RLsidmaIwL%of0.3gsliccdspccimm aner24homBinbOilin8Xyに[泥. ず、400,m以下の紫外域で、線量の増加に 沸騰キシレンを使用したゲル分率測定では検 伴い透過率が低下したが、20kGy照射品の 出不能であるが、何らかの構造変化が照射に 可視光域ではほとんど低下が無いことが確認 よって引き起こされ、これがストレスクラッ された。 クの発生を防止しているものと推定される。 3.2.4その他試験 データは割愛するが、水蒸気透過`性、IPA 今回の評価の中でもっとも興味深い結果が得 られた。 蒸散量、スクイズ性、ヘーズの各試験におい 3.2.2キャップ天面破壊荷重測定 ては、照射の影響は全く観察され無かった。 PP製経口液剤キャップについて、電子線 照射による材質劣化で自動キャッパー閉栓時 壊荷重を測定した。切削加工した金属製の瓶 ねじ口にキャップを装着し、押し子でキャッ 破壊させた。結果をTable5に示す。なおこ の試験では、従来原料(PP-3)と過去に開 発していた放射線対応グレード(PP-4)の対 比を行ったが、PP-4、60kGy照射品の劣化 nble5BrcakingfbrccofIWcTpaltof“ps(E-bcamstcnl画tion) (季)①]ロ』 ■。|切望P乞い巨国』一一二m一J プ内面に荷重を加えてキャップの天面角部を 霊 一.二二二二菫|R思蕃巷①.} にキャップの天面が破損する事を想定し、破 菫 OKGy;0.740mm ThicknoBBofspecimon20KGy;0.751mm 60KGy;q775mm  ̄ -1;  ̄ 白ヨ壬’ -- ̄-  ̄-口・・-- --菅.-..,..L_ Tウ 。b----- ----- 。?. ̄ 二’1ダニ矛 ■-口。-- ● ■--  ̄ ------。-  ̄・宝」; 愛 三三F-.戸:一一二号学一・三一 ク  ̄ ̄ ---■-- ̄ c-L■ □ ① リノ章z0Kcy f朔 ニェ ① 、のCD § ←⑪①。 》》》 』& 『 〃 § Fig6Totallighttransmissionof PE-LDyeIlowbottIe(E-beamsteriIization) DEt壷…Ifm1E蛇(%) Dimp巧【…ofcBp;315mm(muT淀tご)xl55mm(Height) Sm■gecondilionBRomlOempcmぱuJご DebpioHEtionuⅥtc6〔F(G0kGy)-F(OkCy)〕/F(OkOy) -75- 万百 o・ ̄ の Wavalength(nm) (N)  ̄ -醤 |F=ぬKCッ 色の B【鼬kinglb花e  ̄ ① C  ̄ 放ガソ線滅菌に適した医薬品包装容器用合成樹脂材料の選択 3.3安全性 に適合しており、今後再確認を行う予定であ 3.3.1ボトルのpH変化 る。 点眼剤用プラスチック容器試験法に準拠し 3.3.3細胞毒性試験 て、pHの変化を測定した。Table6にその結 試験結果をTable8に示す。いずれの検体 果を示す。着色の有無、材質差を問わず、線 でも、IC5o(%)>100となり、安全`性が確認 量の増加に伴ってpHが0.1~0.2程度、酸 された。 性側に変化する事が確認された。 4.評価結果のまとめと今後 3.3.2理化学試験 試験結果をTable7に示す。ほぼ全項目で 安全`性が確認されたが、ここでも白色PP-l 結果を集約すれば、耐放射線非処方原料で の60kGy照射品のKMnO4還元性物質のみ も心配していたほどの劣化や安全性の阻害は 不適となった。ただし20kGy照射品は規格 観察されず、EOG滅菌から電子線滅菌への TabIe6ChangeofpHvalueofbottles (E-beamsteriIization) Table8Safbtytestofcontaine応fbrophthalmicsolution, eIectmnbeamsterilized.(Cytotoxictest;V79ceUs) DH SBmpIe Bottlocf⑥y、山DpB (PE-LD-2,n日h■■、 BotUoofDWFdrDp8 (PE-Lレュye1Iow) 0,, 0■■ 123 つつむ 223 bychicforphE」TnDcamcalanhi応bumBmlisa鮨dinl996. b)Extr面ctingcoTmition837℃24houl3.in5船conca2mBlionofCOD 12 ●、■ 123 i l ihjI つつむ つつ⑩ :iii蕊iiljii ⑩1℃stofp1“IicccnlaincT31broplHh31micsolutionbynotinc&tion336‘ c)1℃stcd3pccimm;Sliccdin2xl5mnL1gnOml d)E“htcstwnscvnI画cdu3i両日。i虹ionlcvcIS;0k句/、20kODP、60k。' の:Imnmd域DIyなR●「向わ“tjm Tnble7Saibtytestofcontainersfbrophthalmicsolution(E-beamsterilization) (Physicochemicaltest) B⑥、I丘 ロロ P-1.W PE-LD-2FIBIlIm BmIes -LDYeIIow 【JdH毛、 JT℃s8ofPlasticccmtainCT5fbrophUMlImicsolutionbynotincation336bychicfofpharmaceuticalafT肛晦 buI℃auis副』edinl99a b)Ex1rHctingcoHdition;70℃`24houTs jTestedsuTfnceamea;300cm2/SampIc d)EachtcstwaSevaluatedU3irmdiationIcveIs;OkGy,20kGy、60kGy d△;7℃stIEsultfbrlhesampIemdiated60kGyoveTthclimiL -76- 日本包装学会誌し018ノVO2(199卯 変更は、意外に容易ではないかと思われた。 保証”(古橋正吉監修)、日本規格協会、 今後はさらに細やかな各種確認を実施し、電 p、7(1996) 子線滅菌が実用化されるであろう。また樹脂 2)山瀬豊、日本包装学会誌、7(1)、39 の劣化についてはデータを蓄積し、何らかの (1998) 基準化を確立すべきだろう。既に海外では、 3)山本裕一、日本薬剤学会、第8回医薬品 各種樹脂原料につき、放射線滅菌適応グレー 包装シンポジウム講演要旨集、p、29 ドのリスト表を作成している団体もある8)。 (1994) ドジメトリックリリースが容認された放射線 4)山瀬豊、日本包装学会誌、7(1)、35 滅菌は、今後の容器滅菌の主流となると考え (1998) られ、日本でも原料メーカー各社の協力を得 5)古橋正吉、“ISO規格翻訳版、医療用品 ながら、そのようなリストがまとめられてい の滅菌法法/滅菌バリデーション/滅菌 くべきではないかと考えている。 保証',(古橋正吉監修)、日本規格協会、 p、79(1996) 5.謝辞 6)大和田豊一、菅原良二、板倉武、幕内恵 三、吉井文男、日本包装学会誌、4(2) 本稿を終えるに当たり、多大なご協力をい ただいた塩野義製薬株式会社製剤技術部、三 123(1995) 7)“第13改正日本薬局方',(日本公定書協 井化学株式会社、グランドポリマー株式会社 に、謝意を表する次第である。 会編集)、第一法規出版、p、14(1996) 8)ReferenceGuide“SuppliersofGAMMA COMPATIBLEMATERIALS",NOR く引用文献> DIONINTERNATIONALINC.(1996) 1)古橋正吉、“ISO規格翻訳版、医療用品 (原稿受付1998年10月14日) の滅菌法法/滅菌バリデーション/滅菌 (審査受理1999年1月13日) -77-