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「犯罪インフラ」を利用した事件の概要

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「犯罪インフラ」を利用した事件の概要
「犯罪インフラ」を利用した事件の概要
Ⅰ
通信・運搬インフラ
1 携帯電話
(1) 他人名義の携帯電話
○ イラン人による覚醒剤密売事件
[H23.4 愛知県警察]
覚醒剤を密売していたイラン人の男を覚せい剤取締法違反(営利目的譲渡)
で逮捕するとともに、使用車両内から覚醒剤約36グラム、コカイン約15グラム、
大麻草約4グラム、MDMA17錠及びあへん約0.1グラムを押収した。
密売には、いわゆる「客付き携帯電話」として他人名義の携帯電話が使用さ
れていた。
(2)
レンタル携帯電話
○ 元暴力団組員による貸金業法違反、出資法違反等事件
[H23.4 埼玉県警察]
無登録で貸金業を営み、法定金利を大幅に上回る利息を受け取っていたヤミ
金融業者を貸金業法違反等事件で逮捕した。
被疑者は、客との連絡には、レンタル携帯電話やヤミ金の客に契約させた携
帯電話を使用したほか、現金の振込先口座についてもヤミ金の客に開設させた
口座等全て他人名義の口座を使用していた。
○
(3)
警察官等を装ったキャッシュカード回収名下の詐欺等事件
[H23.4 香川県警察等]
警察官等を装って被害者方に架電し、「詐欺グループが捕まり、名簿に名前が
載っている、キャッシュカードの暗証番号を変更した方がよい」などと嘘を言
い被害者を誤信させ、さらに、被害者方を訪れた別の被疑者がキャッシュカー
ド等を詐取した上で、ATM機から同キャッシュカード口座の現金を引き出した詐
欺等事件で、男2名を検挙した。
本件では、被害者方への架電等に、偽造した自動車運転免許証で契約された
レンタル携帯電話が使用されていた。
プリペイド式携帯電話
○ コンビニエンスストアを舞台とするプリペイド式携帯電話機不正取得(詐欺)
事件
[H23.6 京都府警察]
偽造の外国人登録証明書を使って不正にプリペイド式携帯電話機を取得した
電子計算機使用詐欺事件で、プリペイド式携帯電話機の販売代理店となってい
たコンビニエンスストアの店長及び中国人の2名を逮捕した。
被疑者の中国人は、店長と共謀の上、代理店の立場を利用して契約申込書等
を不正に作成して通信回線を利用できる地位を不正取得していたもので、同店
では約1年間に約1万台のプリペイド式携帯電話機を販売、うち約550台が振り
込め詐欺に使用され、約900件の被害が発生し、被害総額は16億円を超えていた。
- 1 -
2 電話関連サービス
(1) 電話転送サービス
○ 暴力団周辺者らによる組織的な薬事法違反及び貸金業法違反等事件
[H23.5 熊本県警察]
無許可で模造バイアグラ等の医薬品を販売し、また、無登録で貸金業を営ん
でいたとして、暴力団周辺者らのグループ10名を薬事法違反及び貸金業法違反
等で検挙した。
同グループの主犯者は、捜査を察知して逃走、指名手配となっていたが、そ
の期間中も貸金業を継続していた上に、警察の所在捜査を攪乱するため、顧客
への連絡手段には電話転送サービスを利用して、顧客の電話に「03番号」を
表示させ、あたかも「03番号」圏内から架電しているように装った。
(2)
IP電話
○ 中国人らの国際密売組織による模造医薬品販売等に係る薬事法違反等事件
[H23.5 広島県警察]
インターネットのホームページ上に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬
品(模造勃起薬等)の名称、効能、効果等に関する広告を掲示したとして中国
人の女らを薬事法違反(承認前医薬品の広告禁止)で逮捕した。
被疑者らは、薬局開設者又は医薬品販売業の許可を受けない地下薬局として、
私書箱を利用した中国からの医薬品の密輸や販売代金の振込先口座の不正開設
のほか、密売組織内における各種指示や顧客との連絡等にIP電話を利用するな
ど次々と犯罪インフラを使用していたことが判明した。
3 インターネット関連サービス
(1) 闇サイト等
○ インターネットを利用した覚醒剤の広告制限等違反事件 [H23.5 京都府警察]
覚醒剤を意味する隠語をインターネットの掲示板に書き込み、密売広告を出
した無職の男を覚せい剤取締法違反(広告の制限)で逮捕した。
また、自宅から覚醒剤約1.4グラムを押収し、同法違反(営利目的所持)でも
逮捕するとともに、購入者を同法違反(所持)等で検挙した。
○
インターネットを利用した大麻取締法違反(栽培幇助)事件
[H23.6 神奈川県警察]
インターネットホームページにより大麻種子を購入し、栽培していたタクシ
ー運転手の男を大麻取締法違反(大麻栽培等)で逮捕した。
また、同男の大麻栽培を幇助したとして、同ホームページを開設し、大麻種
子を販売していた無職の男を大麻取締法違反(大麻栽培幇助)で逮捕するとと
もに、販売用の大麻種子を押収した。
- 2 -
(2) 無線LAN
○ 無線LANでのメール送信による名誉毀損事件
[H23.3 愛知県警察]
パソコンを使用して所属する大学の学生ら約400名に対し、同大学の教授を誹
謗中傷するメールを送信したとして、同大学院生を名誉毀損で逮捕した。
被疑者は、コンビニエンスストア駐車場に駐車した車内から、近隣の住宅で
使用されていた他人の無線LANを無断で使用して、自らのパソコンをインターネ
ットに接続していた。
(3) ファイル共有ソフト
○ ファイル共有ソフトを利用した著作権法違反事件
[H23.4 兵庫県警察]
著作物である国内未公開の洋画や人気漫画の情報が記録されたパーソナルコ
ンピュータを用いて、インターネットに接続した状態の下、ファイル共有ソフ
トを作動させ、不特定多数のインターネット利用者に、同著作物の情報を自動
的に公衆送信し得るようにし、著作権を侵害した著作権法違反事件で、それぞ
れの被疑者2名を逮捕した。
○
中国人らによるファイル共有ソフトを利用した児童ポルノ画像公然陳列等事件
[H23.5 広島県警察]
パーソナルコンピュータのハードディスク、又は、外部記録装置に記録され
た児童ポルノ、わいせつ図画に該当する画像を、ファイル共有ソフトを利用し
て、不特定多数の利用者に対し、閲覧可能な状態に設定して公然陳列した事件
について、被疑者4名を児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の
保護等に関する法律違反(児童ポルノ画像公然陳列)等で逮捕した。
(4) インターネットカフェ
○ インターネットを利用した覚醒剤等密売事件
[H23.3 愛知県警察]
インターネット掲示板等を利用して覚醒剤等の薬物を密売していた無職の男
を覚せい剤取締法違反(営利目的譲渡等)で逮捕するとともに、麻薬特例法違
反(あおり・唆し、業としての譲渡)等で追送致した。
被疑者は、投稿の手段として、利用者に対する本人確認がなされていないイ
ンターネットカフェのパソコンを用いていた。
4
郵便物受取サービス
○ 有料サイト利用料金等名目の振り込め(架空請求)詐欺事件
[H23.6 警視庁等]
携帯電話を使用し、「有料サイトの登録料金が未納状態になっている」等と虚
偽の内容のメールを送信し、現金を詐取した振り込め(架空請求)詐欺事件で、
約18グループ・約90名に及ぶ犯罪組織の実態を明らかにし、平成21年5月の被
疑者逮捕を皮切りに、47名を検挙して同組織を壊滅に追い込んだ。
被害者は約380名、被害総額は約4億円に及んだが、被疑者らが管理する私設
- 3 -
私書箱にエクスパック郵便小包を送付させるなどして、現金を詐取していた。
Ⅱ
集金・送金インフラ
1 地下銀行
○ 中国人らによる銀行法違反事件
[H23.6 警視庁等]
内閣総理大臣の免許を受けないで、顧客から送金の依頼を受け、中国へ不正
に送金する地下銀行を運営していた中国人の男2名を銀行法違反で逮捕した。
被疑者らは、約2年の間に、中国への送金を希望する福建省出身の中国人多
数から電話により、約2,300回にわたり、合計約11億1,100万円を送金していた。
また、顧客には、他県で逮捕された広域窃盗(空き巣)事件の被疑者や偽装
結婚事件の被疑者らも含まれていた。
○
2
歓楽街におけるフィリピン人による銀行法違反事件
[H23.7 愛知県警察]
内閣総理大臣の免許を受けないで、顧客から送金の依頼を受け、フィリピン
へ不正に送金する地下銀行を運営していたフィリピン人の男2名及び日本人1
名を銀行法違反で逮捕した。
被疑者らは、歓楽街で稼働するフィリピン人ホステスを主要な依頼主として
地下銀行を展開し、東海地方に居住するフィリピン人等を中心に約8年間で約
66億5,000万円を送金していた。
他人名義の預貯金口座
○ インターネットバンキングに係る電子計算機使用詐欺等事件
[H23.3 神奈川県警察]
インターネットバンキングによる振込サービスを利用した電子計算機使用詐
欺等事件で、被害企業の元経理担当者を逮捕した。
被疑者は、電子計算機を使用して、被害企業の銀行口座から、被疑者が管理
する架空名義の銀行口座に振込送金を行った。同架空名義の銀行口座は、被疑
者が自己の保険証を偽造して不正開設したもので、被疑者として特定されない
よう手段を講じていた。
○
元消費者金融会社社員による貸金業法違反、出資法違反等事件
[H23.3 兵庫県警察]
無登録で貸金業を営み、法定金利を大幅に上回る利息を受け取っていたヤミ
金融業者を貸金業法違反等事件で逮捕した。
被疑者は、自己の関与を隠蔽するため、振込先の口座については、知人に開
設を依頼するなど他人名義の口座を使用していた。
○
ヤミ金融等犯罪に使用された口座に係る詐欺事件
[H23.6 長野県警察]
第三者に譲り渡す目的で口座を開設し、金融機関から通帳・キャッシュカー
ドを騙し取った男を詐欺事件で逮捕した。
- 4 -
被疑者は、複数の金融機関で数十の口座を開設していたほか、通帳・キャッ
シュカードはヤミ金融業者に売却され、同口座がヤミ金融業者の振込先等とし
て使用されていた。
Ⅲ
生活インフラ
1 不法就労助長
○ 中国人が経営する無許可営業のスナックにおける出入国管理及び難民認定法違
反等事件
[H23.6 青森県警察]
風俗営業の許可を受けず、ホステスに接待をさせるスナックを営業した上に、
就労資格のない資格外活動者であることを知りながら、4名の中国人留学生を
ホステスとして雇用していた中国人経営者を入管法違反(不法就労助長)等で
逮捕し、同留学生も同法違反(資格外活動)で逮捕した。
同スナックは、数年前から、「留学生を雇い入れてくれる店」として留学生間
で噂が広がっていた。
○
2
無許可営業のナイトクラブにおける出入国管理及び難民認定法違反等事件
[H23.6 京都府警察]
風俗営業の許可を受けず、設備を設け、客にダンスをさせるなどナイトクラ
ブを営業した上に、就労資格のない資格外活動者であることを知りながら、ド
イツ人、カナダ人等複数の外国人を同クラブのバーテンダーやフロアスタッフ
等として雇用していた経営者ら2名を入管法違反(不法就労助長)で逮捕し、
同外国人のうち1名を同法違反(資格外活動)で逮捕した。
不正住居斡旋等
○ 社交飲食店における韓国人に係る出入国管理及び難民認定法違反事件
[H23.4 和歌山県警察]
就労資格のない資格外活動者であることを知りながら、韓国クラブで、韓国
人をホステスとして雇用していた韓国人経営者を入管法違反(不法就労助長)
で逮捕し、同ホステス5名も同法違反(資格外活動)で逮捕した。
韓国人ホステスの一部は、逮捕された経営者が賃貸借契約をし、同人の知人
(韓国人)が保証人となるマンションに居住しながら、資格外活動を行ってい
た。
○
韓国人に係る出入国管理及び難民認定法違反事件
[H23.5 千葉県警察]
入国管理局との合同摘発において、韓国人女性を入管法違反(不法残留)で
逮捕した。
被疑者は、働いていたスナックで客として知り合った日本人男性と内縁関係
となり、生活費の提供を受けるとともに、同男性から住居(同男性名義の分譲
マンション)についても提供を受け、摘発されるまで生活をしていた。
- 5 -
3
○
不動産会社経営者らによる違法風俗店への店舗仲介に係る宅建業法違反事件
[H23.5 大阪府警察]
宅地建物取引業の免許がないにもかかわらず、性的サービスを提供する違法
中国人エステ店経営者に店舗を仲介した不動産会社経営者や同経営者に宅建業
者の名義を貸していた別の不動産会社経営者ら5名を宅建業法違反で検挙した。
仲介に係る同不動産会社経営者は、本件以外にも、歓楽街で違法行為を行う
複数のエステ店の賃貸契約を仲介していた。
○
不動産業者らによる無店舗型性風俗特殊営業に係る虚偽届出幇助事件
[H23.6 静岡県警察]
実際には無店舗型性風俗特殊営業(デリバリーヘルス)の事務所として使用
しないことを知りながら、管理するアパートの賃貸契約を同営業者と締結した
上で、賃貸契約書及び使用承諾書等を作成して、同営業者が公安委員会に虚偽
の営業開始届出書を提出するのを幇助したとして、宅地建物取引業許可を持つ
不動産業者ら4名を風営法違反幇助で逮捕した。
被疑者らは、デリバリーヘルス6事業者にアパートをあっせんするなど違法
な営業に関与していた。
地下営業
○ 中国人らの国際密売組織による模造医薬品販売等に係る薬事法違反等事件(地
下薬局)
[H23.5 広島県警察]
インターネットのホームページ上に厚生労働大臣の承認を受けていない医薬
品(模造勃起薬等)の名称、効能、効果等に関する広告を掲示したとして中国
人の女らを薬事法違反(承認前医薬品の広告禁止)で逮捕した。
被疑者らは、薬局開設者又は医薬品販売業の許可を受けない地下薬局として、
私書箱を利用した中国からの医薬品の密輸や販売代金の振込先口座の不正開設
のほか、密売組織内における各種指示や顧客との連絡等にIP電話を利用するな
ど次々と犯罪インフラを使用していたことが判明した。
○ 韓国人経営の薬局における未承認医薬品の販売に係る薬事法違反事件(地下薬
局)
[H23.7 警視庁]
厚生労働大臣の承認を受けていない韓国製避妊薬等の医薬品を販売目的によ
り自宅で貯蔵していた韓国人薬局経営者ら2名を薬事法違反で逮捕した。
被疑者らは、フリーペーパー(韓国雑誌等)に薬局の広告を掲載して、電話
で注文を受け、宅配便で医薬品を配送し販売していた。
○
韓国人ナラシ(白タク)による道路運送法違反事件(地下タクシー)
[H23.5 警視庁]
国土交通大臣の委任を受けた地方運輸局長の許可を受けないで、自家用普通
乗用自動車数台を利用し、不特定の旅客である韓国人らを有償で運送するなど
- 6 -
一般旅客自動車運送事業を営んだ韓国人の男らを道路運送法違反で逮捕した。
韓国人ナラシ(白タク)事案であり、被疑者は、資格外活動の韓国人ホステ
スらを顧客としていた。
○
中国人による生肉無許可販売に係る食品衛生法違反事件(地下食材店)
[H23.6 石川県警察]
県知事から食肉販売業の許可を受けることなく、豚ばら肉等の生肉を販売し
ていたとして、食品販売業の中国人を食品衛生法違反(無許可営業)で逮捕し
た。
被疑者は、中国語新聞の広告を利用して、県外の業者から生肉を仕入れ始め、
一部ではインターネットのコミュニティサイトを利用して受注等も行っており、
販売していた食肉の中には、糞便が付着したままの内蔵も含まれていた。
また、同コミュニティサイトを通じて、生肉販売の情報が来日中国人間で広
がり、顧客は県外まで及んだ。
○ 不法滞在者等向けの無許可レンタカー業に係る道路運送法違反事件(地下レン
タカー)
[H23.7 愛知県警察]
国土交通大臣の委任を受けた地方運輸局長の許可を受けないで、自家用自動
車複数台を利用し、不法滞在者等の外国人に対して有償で車両を貸し渡してい
た自動車修理販売業者を道路運送法違反で検挙した。
被疑者については、不法滞在者等の間で、「どんな外国人にでも運転免許証さ
えあれば、簡単に車を貸す」との風評が広がっていた。
Ⅳ
資格・身分等の偽装インフラ
1 偽変造身分証明書
(1) 偽造旅券
○ イラン人による出入国管理及び難民認定法違反等事件
[H23.6 千葉県警察]
偽造デンマーク旅券を使用し、海外から航空機を利用して入国したが、上陸
審査場において入国審査官により偽造旅券を看破されたイラン人の男を入管法
違反(不法入国)等で逮捕した。
被疑者は、イランからイギリスに不法入国した後、イギリス国内でブローカ
ーに約50万円を支払って被疑者の写真が貼られた偽造旅券を入手した。
(2)
偽造外国人登録証明書
○ 中国人らによるインターネット掲示板を利用した有印公文書偽造事件
[H23.4 福岡県警察]
中国から国際スピード郵便で、在留期限が切れる妻名義の偽造外国人登録証
明書を入手しようとした中国人の男を有印公文書偽造で逮捕した。
被疑者は、本邦内の偽造ブローカーに妻の顔写真を送付するなどして妻名義
の外国人登録証明書を偽造したほか、被疑者自身も就労を目的に本邦に不法滞
在するため、インターネット掲示板を利用して中国国内の犯罪組織に被疑者自
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身の顔写真を送付するなどして外国人登録証明書を偽造した。
(3)
偽造運転免許証
○ 自動車運転免許証不正取得(未遂)に係る有印私文書偽造・同行使等事件
[H23.5 島根県警察]
運転免許センターにおいて、同センター職員に対し、運転免許証再交付申請
書に自己の顔写真を貼付した上で、実兄の氏名で運転免許証の再交付申請をし、
運転免許証を不正取得しようとした被疑者を有印私文書偽造・同行使・免状等
不実記載未遂で逮捕した。
被疑者は、本件犯行前に警察署において、実兄名義で運転免許証の遺失届を
提出していた。
(4)
その他(偽造身体障害者手帳)
○ 偽造身体障害者手帳を使用した転売目的で携帯電話機を詐取する詐欺事件
[H23.4 福井県警察]
偽造した架空名義の身体障害者手帳を使用し、携帯電話機販売店から携帯電
話機を詐取しようとした被疑者を逮捕した。
被疑者は、自らパソコンなどを使用して、架空人の身体障害者手帳を偽造し
たものであるが、転売目的で本件以外にも全国の販売店等で同様の手口を繰り
返していたほか、同様の偽造手帳を用いて、通帳詐欺も敢行していた。
2 公的身分の不正取得
(1) 偽装結婚
○ フィリピン人らによる偽装結婚事件
[H23.3 香川県警察]
フィリピンスナックのホステスを対象とし、日本国内に長期滞在するための
在留資格を取得することを目的とした偽装結婚事件で、4組の偽装結婚が明ら
かになるとともに、ブローカー等12名を逮捕した。
また、偽装結婚の首謀者の一人で、同スナックのフィリピン人経営者に係る
地下銀行事件も判明し、ホステスらの本国への仕送り等に利用されていたこと
が明らかとなった。
○
暴力団幹部が関与する組織的な偽装結婚事件
[H23.5 兵庫県警察]
山口組直参傘下組織の会長が首魁となり、中国人ブローカーと結託して組織
的に敢行された偽装結婚事件で、配下組員らに偽装結婚をさせていたとして同
会長や組員等偽装結婚当事者らを電磁的公正証書原本不実記録・同供用で逮捕
した。
また、同会長及び共犯者の銀行口座を精査し、中国人ブローカーからの偽装
結婚事件に対する報酬を突き止め、犯罪収益を特定して、同会長の預金口座に
対し、起訴前の没収保全を行った。
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(2) 偽装認知
○ フィリピンクラブを舞台にした日本人犯罪支援者等による偽装認知事件
[H23.5 岐阜県警察]
フィリピンクラブにおいてフィリピン人ホステスを多数年にわたって稼働さ
せる手段として、不法残留のフィリピン人であるにもかかわらず就労資格証明
書を偽造した同クラブの日本人経営者らを有印公文書偽造で逮捕した。
さらに、同経営者らは、共犯被疑者のフィリピン人女性の子供で、同国の国
籍を有する男児(9歳)に本邦における在留資格を得させるため、同児の父親
は同じく共犯被疑者の日本人男性である旨の虚偽の事実を記載した認知届を提
出し、戸籍に不実の記録をさせるなどした偽装認知事件にも関与していた。
(3)
偽装養子縁組
○ 偽装養子縁組グループによる携帯電話機を詐取する詐欺等事件
[H23.4 佐賀県警察]
養子縁組を偽装して、市役所等において戸籍簿原本等に不実の記録をさせた
上、不正取得した住民基本台帳カードを身分証明書に利用し金融機関で口座を
開設して、同カードと口座の預金通帳を用いて、携帯電話販売会社から携帯電
話機を詐取した被疑者11名を検挙した。
主犯被疑者は、携帯電話の出会い系サイトで養子縁組に加担する共犯者を誘
った上、身分証明手段として信用度の高い住民基本台帳カードを不正に入手し
悪用した。また、被疑者らの携帯電話の契約数は3社合計139台に及び、詐取し
た携帯電話機はリサイクルショップで転売されていた。
○ いわゆるネームロンダリング(偽装養子縁組)により大量の携帯電話機を詐取
する詐欺事件
[H23.4 神奈川県警察]
携帯電話機を転売する目的で、闇サイトで求人募集を行い、面接などを経て
共犯者を募った上で、共犯者らに携帯電話契約を行わせ、携帯電話機販売店か
ら携帯電話機を買い取ったとして、詐欺グループの4名を逮捕した。
被疑者らは、同一の共犯者に同様の手口で大量の携帯電話を契約させる一方、
料金未納状態となって共犯者が契約できなくなると、グループで用意した人物
と養子縁組を行わせた上で、新たな氏名で、再度大量の携帯電話を契約させて
いた。
○
暴力団組員らによる偽装養子縁組を伴う臓器の移植に関する法律違反等事件
[H23.6 警視庁]
腎不全を患う医師に、法律で禁止されている臓器売買による生体肝移植を受
けさせるため、医師と臓器提供者が養子縁組する旨偽装した養子縁組届を区役
所に提出するとともに、臓器売買の報酬として1千万円の授受があったとして
同医師やその妻のほか暴力団組員ら5名を電磁的公正証書原本不実記録・同供
用及び臓器の移植に関する法律違反で逮捕した。
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また、その後、同医師が実際に受けた移植手術においても、別の臓器提供者
と養子縁組を偽装するとともに、臓器売買の報酬として、報酬800万円の授受が
あったことが明らかとなり、同医師、妻のほか別の暴力団組長ら7名を同じく
電磁的公正証書原本不実記録・同供用及び臓器の移植に関する法律違反で逮捕
した。
(4) 在留資格の不正取得
○ 日本人ブローカーによる在留資格不正取得に係る出入国管理及び難民認定法違
反幇助事件
[H23.3 警視庁]
本邦に在留する中国人らが明らかに在留資格に応じた活動を超えて、専ら飲
食店等の従業員として稼働することを知りながら、報酬を得て、自らが代表取
締役を務める株式会社に在職している事実はないのに、在職している旨の内容
虚偽の在職証明書等を作成交付し、同中国人らの在留期間更新許可を得させて
いた日本人ブローカーを入管法違反(資格外活動)幇助で逮捕した。
被疑者は、中国人配偶者の妻とともにブローカーとして多数の在留資格不正
取得に関わっていたほか、行政書士を介して代理申請を行っていた。
○
大使館職員らによる在留資格不正取得に係る出入国管理及び難民認定法違反幇
助事件
[H23.5 警視庁]
本邦での稼働を目的とするフィリピン人からの依頼を受けて、大使館職員と
して働くことになっているように偽装した証明書類を交付し、同フィリピン人
らに同証明書類を用いて、フィリピン国内で公用の在留資格を取得させて本邦
に入国させた上で、作業員として稼働させるなどして、資格外活動を容易にさ
せていた大使館職員の被疑者らを入管法違反(資格外活動)幇助等で逮捕した。
○
日本語学校副校長のスリランカ人による在留資格不正取得に係る有印私文書偽
造等事件
[H23.5 静岡県警察]
日本語学校副校長であったスリランカ人被疑者は、同校への留学を希望して
いるスリランカ人に留学の在留資格を取得させるため、在留資格認定証明書交
付申請書に必要な添付書類である同留学希望者の学生記録簿の英語翻訳文を偽
造した上、入国管理局に提出行使した。
被疑者は、本件以外にも不法残留のスリランカ人女性から依頼を受け、同女
の在留資格を不正に取得する目的で日本人男性との偽装結婚を仲介したとして
逮捕されていた。
○ 行政書士らによる在留資格不正取得に係る出入国管理及び難民認定法違反幇助
事件
[H23.6 警視庁]
居酒屋の従業員として稼働している中国人留学生から依頼を受けて、引き続
き本邦に在留させるため、在留更新の際、架空会社での雇用を仮装した内容虚
偽の雇用契約書等を入国管理局に提出し、同中国人に人文知識・国際業務の在
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留資格を得させた行政書士ら3名を入管法違反(資格外活動)幇助で逮捕した。
(5)
その他
○ ベトナム人による生活保護費不正受給に係る詐欺事件 [H23.4 神奈川県警察]
実際には多額の預金を保有し、かつ給与収入のある夫と同居し夫婦関係を継
続しているにもかかわらず、生活保護制度を悪用して、離婚届を提出し、母子
家庭による生活困窮を装い生活保護費を不正に受給していたベトナム人夫婦を
詐欺事件で逮捕した。
被疑者(妻)は、支給された生活保護費を他人名義の口座に入金しており、
同人が管理する口座の預金総額は、約1千万円に上った。
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