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学習メモ
地 理 テレビ学習メモ 第7回 現代世界の系統地理的考察【自然環境】編 日本列島、徹底調査! 監修・講師 ~自然環境の特徴~ 田代 博 学習のねらい 狭まる境界に位置している日本列島には4枚のプレートが集まっている。太平 洋、フィリピン海、北アメリカ、ユーラシアの各プレートの運動により、世界の 中でも地殻変動が激しく、地震や火山活動が活発な地域の1つになっている。こうしたプレー トの運動は、気候にも大きな影響を与えている。また、地震や火山活動、さらには台風などに よる自然現象により、多くの災害が発生してきた。自然現象による被害を少なくするにはどう すればよいか、自然現象と災害の関係や、防災や減災という考え方についても学習していこう。 学習前チェック 4つのプレートがどこにあるか、日本の周辺の白地図に記してみよう。 日本列島のおもな山脈と、火山の分布を調べてみよう。 日本はどのように気候区分されるか調べ、それぞれの気候区の特徴を考えてみよう。 この100年以内に日本に大きな被害を与えた地震、火山、台風を調べてみよう。 自分の住んでいる自治体が作成しているハザードマップにどのようなものがあるか、調べてみよう。 ▼ 変化に富む地形 日本列島はプレートの運動により押されて隆起する地域が多く、国土の約7割を山地が占めて いる。また河川による侵食活動も盛んで、山地は多くの谷に刻まれており、箱庭的とも言われる 景観となっている。同じ島国でもイギリスと比較してみると、起伏が大きく変化に富んだ地形で あることがわかる。 日本列島は糸魚川 ・ 静岡構造線と中央構造線という2つの構造線により地形地質が分けられて いる。特に、糸魚川・静岡構造線は、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境になる大断 層で、その東側はフォッサマグナと呼ばれる大陥没帯(大地溝帯)になっており、東北日本と西 南日本を区分している。 日本列島は火山活動も活発で、世界の活火山の約1割が分布している。 − 16 − 高校講座・学習メモ 地理 日本列島、徹底調査! 特徴ある気候 温帯に位置している日本は、四季の変化が明瞭である。ケッペンの区分では、本州以南はお もに温暖湿潤気候、北海道は亜寒帯湿潤気候になる。 また、南北に長いため、北海道と沖縄では気候の様子も随分異なっている。4月の入学式のこ ろに、北海道では桜はまだ咲いておらず、沖縄ではすでに散っている。 何より大きな特徴の 1 つに、冬の日本海側と太平洋側のように地形などの影響により距離的 にはわずかな違いでも対称的な気候が見られることである。 ユーラシア大陸から吹く乾燥した季節風は、日本海を通るときに暖流の対馬海流から水蒸気を 吸収する。それが背骨のような山脈にぶつかり、日本海側に多量の雪を降らせる。山脈をこえた 風は乾燥し、太平洋側には晴天をもたらす。200㎞足らず離れるだけでこのような違いが生じ るのは世界でも珍しいことである。 自然災害と防災 日本では、地震や火山、台風などの自然現象により引き起こされる自然災害も多く発生してい ▼ る。ユーラシア大陸の東岸に位置し、プレートの境界にある日本では、こうした自然現象がおこ るのが、自然環境の特徴である。 しかし、それが人命や人間生活に被害をあたえる「災害」になるかどうかは、社会の側の対応 にしかたによっている。被害を防ぐ防災や、被害を減らす減災にむけた対策が必要で、災害に強 い国づくりが求められている。 自分でできることとしては、ハザードマップなどを参考にして、災害を意識して現地を実際に 歩いてみることが大切である。それが文字通り生きた地理の勉強にもなる。 − 17 − 高校講座・学習メモ