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寒冷環境と産卵鶏のエネルギー要求量

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寒冷環境と産卵鶏のエネルギー要求量
寒冷環境と産卵鶏のエネルギー要求量
北海道立滝川畜産試験場
はじめに
.
.
J
I
、関
忠
土
佐
d
である。
畜産における寒冷環境への対応は,保温ある
5C前後とされ,環境
産卵鶏の生産適温域は 2
いは給温により温度を上げることで環境自体を
温度の低下に伴ってエネルギー要求量も増加し
調節すること,および家畜・家禽の栄養摂取量
てし、く。寒冷時では増加したエネルギー要求量
を増やし寒冷による悪影響を緩和するという二
を不足なく摂取させることが重要になってくる
つの方法問えられる o しかし,現今の生産過
が
, これまでは低温環境でのエネルギー要求量
剰による低卵価の続く養鶏情勢下では鶏舎に費
については正確さに欠けていたきらいがあった。
用をかけることは難しく,事実,北海道内の採
環境温度に関連したエネルギー要求量を推測す
卵鶏舎を見ても,断熱材を用いて施工した環境
る予測式は米国 NRCの飼養標準のものをはじ
制御ができる鶏舎はまだ少数であり,これから
めとしていくつかの式が提案されているが,ま
の普及が期待される。こうしたことから,北海
だどの式をとっても全温度域に適合するものは
道養鶏の年間の産卵率は全国平均と比較して冬
なく,適温付近ではあてはまりが良くても,高
季間に低い推移を示し,加えて,最も餌付羽数
・低両温域にずれるほど実際の摂取量との差が
の多い春ふ化雛が産卵ピークから産卵の最盛期
開いてくる傾向にある。したがって北海道での
をむかえるのが冬季問と重なることからこの傾
冬季聞の飼料給与を考える場合,低温環境での
向が助長されている。北海道の気象条件下では
エネルギー要求量を正確に推定することが求め
生産効率を考える場合,冬季聞は防寒対策が重
られており,そこで得られたエネルギー要求量
要となってくるが,前述のように環境制御がで
を充たす飼料給与を行うことが重要となってく
きるような鶏舎はまだ限られており,一般に見
る
。
0
られる開放鶏舎において無理に鶏舎内温度を高
ここでは,環境要因のうち環境温度にしぼっ
めに保とうとして換気を少なくすると,空気環
て整理し滝川畜試における寒冷環境における
境の悪化のため思わぬ病気の発生を引き起こす
試験成績をふくめて紹介したい。
ことになりかねない。飼料消費量の節約による
生産効率の確保よりも病気による損失の大きさ
1
. 寒冷環境と産卵性
には計り知れないものがあるので注意が肝心で
5C前後とされるが,
産卵鶏の適温域は一般に 2
ある。まず鶏舎内の環境を清浄に保つ管理方法
M
A
R
S
D
E
Na
n
dM
O
R
R
I
S
!
)は,産卵に利用されるエ
を基本において,それぞれの地方,鶏舎の様式
ネルギーが最大となるのは 2
3"
'
'
2
4o
cと計算して
により鶏舎内温度には差が出てくることからそ
0Cの時に最
いる。また,エネルギー効率では 3
の鶏舎にあった飼養方法を採用することが必要
大となるが,この温度では産卵が低下してしま
0
0
日本畜産学会北海道支部会報, 3
2(
2
):
2
3
3
2
.1
9
9
0
.
- 23-
うことを示してしる。環境温度のもたらす影響
ら生産と温熱環境の関係について, 山本 2)は高
は飼料摂取量をはじめとして産卵率,卵重,生
温条件と低温条件に分けて,温熱環境に対する
産効率(卵餌費) ,卵質特に卵殻質,破卵率,
生産反応の方向を表 lのようにまとめている。
生存率など多項目の生産反応に現われる。これ
つまり環境温度の低下により,飼料摂取量は増
表 1 産卵鶏の生産と温熱環境(山本 2) )
飼料摂取量*-産卵率一卵
重一日産卵量一破卵率一卵
質-卵殻質一生存率一
。 。。。 。。。。
↓ ↓ ± ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓ 土
高温条件
適温条件
+
低温条件
+
十
十
•
↓±
*飼料摂取量:エネルギー,蛋白質(アミノ酸) , ミネラル,水 e
t
c
.
加し産卵率,産卵日量は低下することで生産
以下において強い影響が認められたとしている。
効率は低下するようになる D 生存率は表 1では
2月
,
この調査における 1
低下もしくは変わらないと表現されているが,
.
8C,7
.
0Cであった。また,平均
はそれぞれ7
こ
低温条件下では気嚢炎の発生が高く, こうし 7
卵重は産卵率とは逆に 1月が最も大きく,
病気の複合汚染による被害は寒冷環境において
gで、あり,産卵日量に
が最も小さくその差は1.5
大きくなるといえよう。また空気環境の制御方
すると最大値は 5
'
"
'
'
6月にかけてであり, 1
2
'
"
'
'
法も難しくなり,病気との関連からも大きな課
1月にかけて最小値を示し全体的には産卵率
題の一つである D
の推移によく似ていた(表 2)
。
0
1月の平均鶏舎内気温
o
7月
産卵率と環境温度との関係を生産の現場に近
•
80
い条件でっかむためには,月齢の違いによる産
がって各暦月に全ての産卵ステージの揃った鶏
群を調査対象としなくてはならず,道内におけ
産卵率(%)
卵ステージの影響を除去する必要がある。 した
79
78
77
るこのような調査はまだなく,奥村ら 3・4)によ
76
る埼玉県下で行なった 1
3,5
0
0
'
"
'
'
3
,
15
0
0羽の個体
75
についての調査がその代表例といえよう。この
2 3 4
5 6 7 8 9 1
0 1
1 1
2
暦月
調査によると,産卵率は図 1に示したように 5
月'
"
'
'
7月にかけてが最も高く, 1
2
'
"
'
'1月にかけ
て最も低かったことを報告しており,産卵率に
対する温度の影響は 1
5
'
"
'
'
2
7Cでは少なく, 1
5C
0
0
- 24-
図 1 産卵率の暦月による推移(奥村~) )
表 2 産卵率,卵重,日産卵量および鶏舎内
あるいは飼料摂取量が生産性に制御するという
平均気温の暦月による変動(奥村 4) )
産卵率 卵
暦月
(%)
7
5
.
0
C
•
(g)
日産卵量
(g/日)
鶏舎内
平均気温
C
C
)
係にあるといえよう。
D
A
V
I
S らu) は図 2に示したように, 環境温度
0
0
0
6
4
.
8
"
4
8
.
3
7
.
0
を1
8Cから 7 Cに移した場合と 3
5Cに移した場
d
2
7
6
.2 d •
6
4
.
7
"
'b
4
9
.
1c. d
6
.8
合を比較し産卵鶏では環境温度の変化に対し
3
7
7
.
9
'
" b. c
6
4
.
4
"
'b. c
5
0
.
0
.
'b. c
9
.
5
3
5Cではその順応に 2
"
"
"
'
3週間かかったのにた
4
7
8
.
7
.
'b
6
4
.
1c. d
5
0
.
3
.
'b. c
1
3
.7
5
7
9
.
3
"
6
3
.8 d •
c
.f
5
0
.
4
"
'b. c
1
9
.
4
6
7
9
.
1a. b
6
3
.8 d •
c
. f
5
0
.
4
"
'b. c
2
0
.0
7
7
9
.
2
.
'b
6
3
.
3f
5
0
.1
.
'b. c
2
3
.0
8
7
8
.
6
"
'b
6
3
.5
f
4
9
.
7
.
'b. c
2
6
.2
9
7
7
.5 b •
c
.d
6
3
.9 d •
c
4
9
.5 b •
c
.d
21
.2
1
0
7
7
.5 b •
c
.d
6
4
.3 b •
c
.d
4
9
.
7
"
'b. c
1
5
.9
1
1
7
6
.4 c •
d. c
6
4
.
5
"
'b. c
4
9
.2 b •
1
2
.
7
1
2
7
4
.
9
"
7
7
.5
平均
C
C
'
c
.d
6
4
.
7
"
'b
d
4
8
.
3
7
.8
6
4
.2
4
6
.6
1
5
.
3
0
し1,
し
0
7 Cでは最初の 1週間の体重の減少も少
なく,飼料摂取量の低下も小さく, エネルギー
摂取量,産卵,熱産生から見ると 1週間後には
順応したとしている。
阻 摂 取 量 ( 亘¥rmO 斗 印 )
•
重
ことはできない D これらは互いに影響しあう関
収益性と環境温度との関係からは, T
I
M
M
O
N
S
TC
3
5"
C
1
0
0
3
4
週
ら5) はシミュレーションモデルにより分析を行
図 2 環境温度 1
80Cから 70Cおよび 350Cに移し
なっている。 このモデルでは青森に位置する閉
D
A
V
I
Sら6))
た時の M E摂取量の変化 (
鎖型の鶏舎において,換気量の調節により鶏舎
内温度をコントロールするシステムを想定した
シミュレーションの結果,鶏舎内温度の設定は
これまで,産卵鶏に関する環境温度と ME摂
2
1Cのとき粗収入が最大となり, この温度から
取量の関係については適温から高温にかけての
離れるにしたがって減少したとしている。
影響について扱った研究は多いが,低温環境に
0
ついての報告はほとんどない。 P
A
Y
N
E7) は環境
温度の影響について全般的に総説しており,
そ
2
. 環境温度の低下と M E摂取量
産卵鶏の場合, その飼料は通常不断給与され
Cの上昇に対して飼料摂取量
の中で環境温度 1o
ており,飼料摂取量は鶏の自由採食量に支配さ
は1.6%
減少すると報告しており, ARC8)で
れている。環境温度の低下に伴って維持のエネ
はこの P
A
Y
N
E の知見について展開を試みている。
ルギー要求量が増加し要求量の変化に応じて
つまりそれまでの 7報告をもとにして 7Cから
飼料摂取量が増加することは広く知られるとこ
3
5Cの範囲では,環境温度が 1o
C上昇するのに
ろであるが,要求量が飼料摂取量を制御する,
低下す
したがって飼料摂取量は平均して1.7%
0
0
にd
つ
ム
るとしている。ここで計算に用した 7報告では,
減少は,この温度範囲にわたって一様ではなく
1o
C
それぞれ扱っている温度範囲が異なるが,
3
0C以上の環境温度ではより急激な摂取量の低
0
.
9
2
.
9
%の範
当たりの飼料摂取量の変化は 0
下が認められたことを指摘している D
囲であった。したがって ARCも飼料摂取量の
k
g
IK
c
a
l
382
.
U
、
司
•
335
ぞ1200-十 287
手
岡
平
ト
:
'
。
1
σ
〉
q
「
、
、J
。
1
0
2
0
3
0
40
環境温度 CC)
図 3 体重 1
.
5
k
g当たりに換算した ME摂取量と環境温度の関係
(
S
Y
K
E
S1()) )
I
T
Oら日)が環境調節室内で実験した報告でも
かけては採食量のより大きな低下が指摘されて
5C
3
5Cにお
同様の結果が述べられており, 2
いる。このように高温の影響が飼料摂取量に強
いての温度 1o
C当たりの飼料摂取量の減少率は
0C以上のようであるが,低温
く現われるのは 3
0
0
0
1
.6
%であったとしている。この I
T
Oらの知見
を含む,
ではどのあたりからであろうか。
9つの文献値をもとにして, S
Y
K
E
S10)
NRC11))では乾物中の飼料 M E含量が3
.
1
7
はM E摂取量と環境温度の関係を体重1.5
k
gに
kcaR/kgDMである飼料を給与した場合の採
換算して図 3のように示している。図中に破線
食量の変化を 1
8
2
5Cの時に対する変化率で表
で示しているのがこれらをもとにした直線回帰
し図 4のように環境温度との関係を模式的に曲
であり, Y=404-4.8X (X:o
C, Y:M E摂
線として説明している。
c
aR/
1
.5
k
g・
日
取量 k
もエネルギー摂取量および熱産生を代謝体重
0
r=
0
.81)という関係
M
A
R
S
D
E
Na
n
dM
O
R
R
I
S1)
C
k
gO.75) 当たりの関数で示すとき, 1
5.
.
.
,3
0C
が得られている。しかしここでも 3
0
3
5Cに
o
0
•
Fhu
ワ
ム
1
8
25
℃
を
基
準
と
し
た
飼
料
t
真
取
9
0
70
量
の
•
•
110
変
化
率
50
。
5
1
0
(
%
)
15
20
25
30
35
環境温度 (
"
C
)
図4 1
8
"
"
'
2
50Cを基準とした飼料摂取量の変化と環境温度の関係 (
N
R
C
11) )
の範囲では温度の一次関数として表現できるが,
その主な原因は,図 4に示したように低温域,
この範囲外では傾きを変化させなければならな
適温域および高温域では,それぞれ飼料摂取量
いとしている口幅広い温度範囲を考える場合,
の温度に対する変化率が異なる事にあろう。し
環境温度の変化に対する採食量の反応は曲線的
たがって,全温度域を一つの推定式で、表すのに
であると考えるのが妥当であろう。
は無理があるものと考えられる。
日本飼養標準 I8) では体重 1k
g当たりの維持
量を 1
1
5
k
c
aRとして,以下の式により産卵鶏の
3
. ME要求量の推定式
これまで見てきたような環境温度とエネルギ
代謝エネルギー要求量を求めることができると
ー要求量ないしは飼料摂取量との関係を数式化
しており,まだ環境温度の影響については式に
しようとする試みは早くから行なわれてきてお
ME=115XWO'75+
2
.2XEM
E
剛A
N
Sa
n
dC
H
A
R
L
E
SI2),B
Y
E
R
L
Yら13) は直
線的に変化する式を, B
A
L
N
A
V
Eら14),N
RC
15) ,
P
O
L
I
N16),K
O
S
A
K
Aら17) は曲線的に変化する式
k
c
aR)
ME: 1日 l羽当たりの ME要求量 (
り
,
W:体重 (
k
g
)
E
M
:産卵日量 (g)
ARC8)の飼養標準でも,
を提案しており,できるだけ現実に近い推定値
入れられていない。
を出せるようにそれぞれ工夫している。しかし
前述のように本文中で環境温度について論議し
まだどの式をとっても全温度域に適合するもの
ているが,推定式では気象環境の幅が広がるの
はなし、。
を避けるために,英国で行なわれた試験のみに
では, こうした実際の摂取量と推定式で求め
た値との差はどうして出てくるのであろうか,
限定して以下の式を導いており,第 2版の段階
では式に環境温度の影響について含めていない。
- 27-
M
E
=
1
2
5
.3
+
6
5
.8
Wo.75+
2
.75(EM+ムW
)
を除算することにより,代謝体重当たりの ME
ムW:体重変化 (g/日
〉
要求量 (MEm) を求めた結果, 2
0Cと1
5Cで
その他の変数は上と同じ
5C以下では環境温度の
はMEmに差はなく, 1
0
0
0
NRC15) の飼養標準では,エネルギー要求量
低下に伴って MEmは直線的に増加することが
を推定する式に,環境温度の要因を含めており
5C以下について回帰を求
認められた。そこで 1
以下の式を示している。
め(図 5)以下のような ME要求量の推定式を
0
ME=WO.75(
17
3
-1
.9
5
T
)+5.5ムW+2.07EM
Fhu
x
、
れー・ i
T│IB--
A-
n
u
J
・
・
,
‘
、
M
一
•
均
ム
一
一
a
a
)
者らは, NRCの推定式をもとにして,低温環
‘¥
百
て
、Z0・
ものは米国 NRCのものだけである。そこで著
れい打¥
1
5
0
i¥T18}│-
求
量
ME要求量の推定式に環境温度の要因を含めた
93
日v
要
c=
F¥
ME 1
6
0
(英国のものは 1
9
7
5年とまだ旧い版であるが)
〆¥¥よ間
1
7
0
¥1
持
の
このように日本,英国,米国の飼養標準では
¥¥O
維
¥M=
¥Mb
1
8
0
その他の変数は上と同じ
¥=
CC)
¥Y
T
:環境温度
導いた (
O
Z
E
K
Iら19) )
。
境に限って,より当てはまりのよい推定式を求
めることを試みた。温度調節実験室で-5Cか
-5
0
1
0
1
5
20
環境温度 (
'
C
)
ら2
0Cまで 5Cきざみの試験をくり返し, ME
0
0
図 5 維持の ME要求量と環境温度との関係
摂取量より産卵および体重変化に使われた ME
(
O
Z
E
K
Iら 19) )
表 3 開放鶏舎における産卵成績と推定式による飼料の要求量(北海道立滝川畜産試験場 2(
)
週齢
月
日
i
Z騨
鶏舎内眼的管
最低最高平均
推定による飼料要求量 (
g
j日)
滝川(差)
NRC C差)
21-2
4 1
0
.3 1
0
.3
0
7
.0 1
3
.
1 1
0
.
1*
16
5
8 4
3
.
3 1
0
6
.
7
1
0
3
.
8
( -2.9)
1
1
4
.6 ( 7
.9
)
25-28 1
0
.
3
1 -11
.2
7
4
.2
1
1
4
.
9
(
3
.
9
)
1
2
6
.
6 (1
5
.
6
)
29-32 1
1
.2
8 -12.25
8
.6 6
.
4 1
6
9
4 5
2
.
7 1
1
1
.
0
0
.
1
4
.
2 2
.
1 1
7
3
1 5
6
.
2 1
1
6
.
4
1
2
2
.
2
(
5
.
8
)
1
3
5
.
1 C1
8
.
7
)
33-36 1
2
.
2
6- 1
.2
2 -0.5
4
.2 1
.
9 1
7
6
7 5
2
.
6 1
1
4
.
2
1
2
0
.
9
(
6
.7
)
1
3
4
.
1 (1
9
.
9
)
1
2
5
.
5
(
5
.
0
)
1
3
9
.
0 (1
8
.5
)
37-40
1
.2
3- 2
.1
9 -1
.0
4
.3 1
.
6 1
8
0
4 5
6
.
8 1
2
0
.
5
41-44
2
.
2
0- 3
.
1
9
1
.3
8
4
0 5
6
.1 1
1
7
.4
7
.3 4
.
4 本1
45-48
3
.
2
0- 4
.
1
6
5
.3 .1
0
.
4
49-52 4
.
1
7- 5
.
1
4
53-56
7
.
8 1
8
4
0 5
5
.
4 1
1
7
.
6
8
.0 1
4
.
2 1
1
.1 1
8
4
0 5
3
.
6 1
11
.9
1
2
3
.
8
C
6
.4
)
1
3
6
.
8 (1
9
.
4
)
1
1
7
.
8
(
0
.
2
)
1
3
0
.
0 (1
2
.
4
)
1
1
3
.
7
(
1
.8
)
1
2
5
.
0 (1
3
.
1
)
1
1
0
.
9
( -0.1)
1
21
.6 (1
0
.
6
)
5
.
1
5- 6
.
1
1 1
0
.
2
1
7
.
1 1
3
.
7 1
8
4
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2
.
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2- 7
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( -4.0)
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2
( -5.0)
1
1
2
.
3( 4
.
1
)
*体重については 3時点のみ実測値であり,その他は均等な体重増加をしたものと仮定した。
•
QO
ワω
•
•
ME=(
l4
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.0
0
-1
.5
0
8
T
)
Wo.75+5.5ムW+2.07ME
変数は上と同じ
この推定式は環境温度が 1
5C以下の場合につい
0
てのみ適用できる式であり,開放鶏舎における
産卵成績の観測値と比較した結果,表 3に示し
M E 460
たように寒冷環境での当てはまりのよいことも
盈 ω
f
真
取
ぞ
側
0
))
。
確認された(北海道立滝川畜産試験場 2
担
4
. 飼料の ME含量と飼料摂取量
NRC15)
380
では飼料摂取量は飼料の ME含量
にも影響されるが,産卵鶏は自らのエネルギー
340
要求量を満足させるように採食する傾向がある
3)が指摘している
と提唱しているが, M
O
R
R
I
S2
ようにエネルギー含量の異なる飼料を給与され
た産卵鶏ではエネルギー摂取量を等しく保つよ
2
6
0
うにある程度調節する傾向にあるが, この調節
飼料の M E含 量 (
k
c
a
l
/
k
g
)
する作用は完全とはいえない(図 6) 。そして
図 6 飼料のエネルギー含量と ME摂取量の関
飼料のエネルギー含量の違いによるエネルギー
係 (
M
O
R
R
IS
23
))
摂取量の変動について, ME 2
7
0
0
k
c
a,P /kgの
飼料を基準とした以下のような関係式を発表し
ている。
低温環境でも同様なことがいえるであろうか。
Y=Y2
0
.0
0
0
5
4
6
5
Y2
7
0
0
0
.1
4
6
6
)(
X
2
7
0
0
)
7
0
0十 (
滝川畜試における一連の試験の最初の結果によ
Y
:エネルギー摂取量( k
c
a,P /羽・日)
ると(小関ら 21) ) O
O
Cから 1
5Cまでの低温環境
Y2
7
0
0:ME 2
7
0
0
k
c
a,P /kg飼料を給与し
における検討において,飼料中のエネルギー含
た時のエネルギー摂取量
量を高めていくと, ME摂取量も多くなってい
0
X
:給与飼料の ME含量
くことが示された。この結果について,環境温
こうした飼料のエネルギー含量が高くなると
度域を .
5Cから 2
0Cまでに広げ調査羽数を増
飼料摂取量は少なくなるが, エネルギー摂取量
やして検討した結果も(小関ら 22) )前報と同様
0Cから 3
2Cま
は逆に多くなるという傾向は, 2
の傾向が確認できた。つまり, -5Cから 2
0C
での範囲において環境温度にかかわらず同様で
までの全ての環境温度において,飼料摂取量は
あることを S
Y
K
E
S9)はM E2
4
3
8
k
c
a,P /kg,2
8
9
2
低ME区
0
0
0
0
0
0
(ME2500kca,P /kg)が最も多く,次
いで中 ME区 (
ME2800kca,P /kg),高 ME区
(ME3100kca,P /kg)の順となるが, ME摂取
k
c
a,P /kg,3
3
7
0
k
c
a,P /kgの 3種類の飼料を使
った試験結果より説明している。
Qd
臼
つ
1
8
週間 (
4
量では逆に,高 ME区,中 ME区,低 ME区の
した。この試験については引き続く
順となった。
月.
.
.
7月〉の産卵成績について支部大会におい
生産を考える場合,飼料摂取量とエネルギー
て報告しでおり(小関ら 24))春以降では ME摂
要求量とは区別して考える必要がある。現実に
取量および産卵日量とも傾向は同じであったが,
低温域での飼料摂取量の増加が要求量の増加ほ
両飼料聞の差は小さくなる傾向がうかがえた。
どには見込めずに,生産効率だけではなく生産
V
O
H
R
Aら25) は
, 1
5
.
6Cと2
6
.
7C
のいずれの環
量の減少が出現することは,自由採食量が,産
境温度においても,維持のエネルギー要求量は
卵鶏の物理的,化学的制約あるいは環境的な制
低 ME飼 料 ( 1
9
8
0
k
c
aQ/kg)を給与した鶏は,
限によって,その要求量を充たすための飼料摂
8
3
0
k
c
ae
_/kg)を給与した鶏よ
中ME飼 料 ( 2
取量より低くなる場合であると考えられる。
りも低くなることから,維持のエネルギー要求
0
0
こうしたことの飼養面からの解決のためには,
量は飼料のエネルギー水準によって影響される
低温域での要求量を正確に把握することが前提
と報告している。同様なことが低温環境の成績
となるが,一方それ充たすための飼料および給
(O
Z
E
K
Iら19))からもいえることから,寒冷環
与方法を考えなくてはならない。前述のように
境下で高エネルギー飼料を給与すると,生産量
飼料中のエネルギー含量を高めると飼料摂取量
の低下を防ぐことはできるが,産卵に対する生
は減るが,エネルギー摂取量は多くなることが
産効率は低下することになると思われる。
明らかとなってきたが, こうした生理的な傾向
冬季寒冷時用の高エネルギー飼料を有効に使
を生産に有利となるように利用できるかの検討
っていくためにも飼料の ME含量の違いと環境
が次の問題である。
M
O
R
R
I
S23)
•
温度との相互関係については更に詳しい知見を
は,高エネルギ
積み重ねていく必要があるものと恩われる。
ー飼料を給与された鶏ではたいていエネルギー
を過剰摂取し,より低いエネルギー飼料を給与
された鶏よりも体重増加が大きくなるとして,
おわりに
産卵鶏に対しては高エネルギー飼料は効率が悪
低温環境がもたらす悪影響は,栄養面からあ
くなるとまとめているが,低温環境に限ってい
る程度は緩和することができょう。しかしこれ
えばどうであろうか。
にも当然限度があることから,平行して環境温
2
週間にわたる産卵
開放鶏舎において寒冷期 2
試験の結果(小関ら 22) )によると,
度自体を適温に近づける努力が必要であろう。
ME3100
北海道の気象条件を考えた場合,断熱,保温を
k
c
aP
_/
kg
飼料を給与すると, ME2
8
0
0
k
c
aQ/
考慮した寒地型の鶏舎の普及が待たれるところ
k
g飼料を給与した鶏群と比べ,飼料摂取量は少
であるロ
なくなるが,
均で
1日 1羽当たりの M E摂取量が平
2
4
.5
k
c
aP_多く,産卵成績では産卵日量で
1g前後高くなり,飼料要求率では約 O
.1
改善
された。ただし産卵に対する MEの効率は低下
•
つd
ハU
•
•
文 献
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2)山本禎紀,養鶏における温熱環境の課題,
第4
6会チャンキー技術ゼミナール資料, 1
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3) O
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4)奥村純市,畜産の研究, 41:6
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) 農林水産技術会議事務局, 日本飼養標準
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) 北海道立滝川畜産試験場,寒冷期におけ
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武・田中正俊, 日本家禽学会 1
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)小関忠雄・森寄七徳・田村千秋・高橋
武・田中正俊,日本家禽学会 1
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