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日射熱量を想定した室内における空調負荷低減効果確認試験結果報告

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日射熱量を想定した室内における空調負荷低減効果確認試験結果報告
添付資料-3 室内試験詳細 日射熱量を想定した室内における空調負荷低減効果確認試験結果報告
(熱収支確認試験結果報告)
中外商工株式会社
技術研究所
1.試験概要
鋼板屋根に真夏日(気温30℃)の日射熱量を想定した熱量を照射した場合での鋼板屋
根裏面へのサーモレジンSV600被覆による空調負荷低減効果等の確認する。
2.試験条件等
・恒温室内(環境温度 23℃、環境湿度 50%)
・図-1に示すような一辺40cmの木板(厚さで作成したモックアップを用い、加熱ラン
プを鋼板外側表面へ照射し、照射開始から4時間、1分間隔で各項目を測定した。側面
及び底面においては、低放射性のアルミラミネートシートを被覆した。
・加熱ランプは270Wの仕様のものを2個使用し、ランプ照射距離は7cm とした。
・各試験体は鋼板裏面(取付時は箱内側になる)に被覆を行った。但し、自社アート
トップCL工法(アクリル樹脂系)に関しては鋼板表面に被覆した。
図-1 モックアップ試験体及び各温度測定位置
1
3.測定機器
・シース熱電対センサー及び温度ロガーMR2041-U(株式会社CHINO)、熱中症チェッカー
(株式会社FUSO)、サーモグラフィーG-120EX(NEC Avio社製)
4.各評価項目及び条件
・各温度の評価については、定常状態を確認した上で、ランプ照射開始から1分間隔で
測定、経過時間3時間後を起点とし4時間後までの1時間のそれぞれの測定結果を採用
しその平均値を記載した。鋼板外側表面における平均表面温度及び側面の放散熱量は
サーモグラフィーによる解析で行った。(方法については巻末の[参考]を参照)
・空調設定23℃での侵入熱量について、定常状態においては、図-2のように側面外側
への放散熱量Q1=鋼板裏面からの侵入熱量Q2であることから、モックアップ試験体の
側面温度を用い側面の放散熱量Q1を求めること により、鋼板裏面からの侵入熱量Q2
を求めた。尚、結果は5.試験結果5.1で示す。
図-2 鋼板裏からの侵入熱量及び側面の放散熱量イメージ図
・空調負荷消費電力量に関しては、環境省水・大気環境局「ヒートアイランド対策技術
分野実証試験要領(2013/7/9)」での諸条件をもとに算出した。尚、結果は5.試験結果
5.2で示す。
2
5.試験結果
モックアップ試験体内部温度、WBGT、湿球温度、黒球温度の上昇抑制効果については、
別紙の「室内試験詳細」に取り纏めた。
5.1. まず、各試験体における測定結果より、とりわけ鋼板外側表面の平均表面温度
及び側面温度、側面外側への放散熱量Q1を表-1の設定条件のもと算出し、その結果を
表-2に取り纏めた。尚、側面の放射率は、自社測定値のε=0.06を採用した。
表-1 設定条件
環境温度(℃)
23
側面放射率
0.06
側面面積(㎡)
0.64
高さ0.4m×幅0.4m×4面
屋根裏面面積(㎡)
0.16
縦0.4m×幅0.4m
風速(m/s)
0.25
表-2 各試験体での定常状態における屋根裏面からの侵入熱量の比較
試験体種別
単位
平均表面温度
(鋼板外側表面)
側面温度
屋根裏面からの
側面の放散熱量
※-2
※-1
侵入熱量(Q1)
(Q2×4)
単位面積当たりの
屋根裏面からの
※-3
侵入熱量
℃
℃
W
W
W/㎡
未施工
(コントロール)
65
33.0
40.6
40.6
253.6
サーモレジンSV600
68
28.0
17.2
17.2
107.6
アートトップCL工法
53
28.8
20.7
20.7
129.3
発泡ウレタン(10mm)
54
28.9
21.1
21.1
132.0
ポリエチレンシート
(4mm)
59
30.7
29.4
29.4
183.5
アートトップCL工法
+サーモレジンSV600
61
24.3
3.3
3.3
20.5
発泡ウレタン
+サーモレジンSV600
59
25.8
8.4
8.4
52.6
発泡ポリエチレンシート
+サーモレジンSV600
63
25.6
7.7
7.7
48.0
※-1 放散熱量=放射熱損失量+対流熱損失量
放射熱損失量(W/㎡)=εσ(T14-T04)
対流熱損失量(W/㎡)=2.56(T1-T0)1.25{(0.348+w)/0.348}0.5
ε:放射率、σ:ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-8W/(㎡・K4)、T1:側面温度(K)、
T0:環境温度(K)、w:風速(m/s)(ただし、ここではw=0) (JIS A 9501保温保冷工事施工標準(2014)に準拠)
※-2 Q2×4=Q1
※-3 Q1/0.16(屋根裏面の面積)
3
5.2. 空調負荷低減効果については、環境省水・大気環境局「ヒートアイランド対策
技術分野実証試験要領(2013/7/9)」での諸条件をもとに表-4に示す条件を設定し、
側面の放散熱量から鋼板屋根裏からの侵入熱量を求めて算出した。
表-3 設定条件
空調設定温度(℃)
23
垂直投影屋根面積(㎡)
100
屋根表面積※-4
風速(m/s)
160
0.25
設定期間※-5
747
(空調の稼働時間 hr)
COP
3.55
電力量単価(円/kWh)
15.34
※-4 折板屋根(折板 F-200 I 型 三晃金属工業㈱製)とした
場合に倍率1.6倍となったため
※-5 夏季の6月1日~9月30日(平日83日間) 8:00-17:00
5.3. 試験体における測定結果より、とりわけ鋼板外側表面の平均表面温度、側面温度、
侵入熱量、空調負荷消費電力量、空調負荷低減効果について表-4に取り纏めた。
表-4 各試験体での定常状態における空調負荷低減効果の比較
試験体種別
屋根裏面
からの
侵入熱量
(Q1)
空調負荷
※-4
消費電力量
空調負荷消費
電力量コント
ロールとの差
空調負荷
低減効果
単位
W/㎡
kWh/4ヶ月
kWh/4ヶ月
円/4ヶ月
未施工
(コントロール)
253.6
8537
-
-
サーモレジンSV600
107.6
3623
4914
75,378
アートトップCL工法
129.3
4352
4185
64,196
発泡ウレタン(10mm)
132.0
4445
4092
62,771
ポリエチレンシート
(4mm)
183.5
6177
2359
36,191
アートトップCL工法
+サーモレジンSV600
20.5
690
7847
120,373
発泡ウレタン
+サーモレジンSV600
52.6
1772
6765
103,770
発泡ポリエチレンシート
+サーモレジンSV600
48.0
1617
6919
106,141
※-4 空調設定23℃での侵入熱量 × 747時間 / 3.55 /103
4
[参考] :放射率及び放射熱損失量の算出方法について
放射率とは、黒体(ε= 1.0)を基準とした理想的な全放射エネルギーW1と物体が放射するエネル
ギーW2との比率を表します。この比率を放射率といい、通常εで表します。
ε= W1/W2 (W1:放射熱損量 W2:理想的な放射熱損量)
次に放射熱損量の算定式として使用するのがシュテファン=ボルツマンの法則に準した公式です。
P1=σε(T4-T04)
そこで、仮に室温23℃の条件下で供試体の接触型温度計で200℃で放射率設定値0.95による
サーモグラフィーで160℃表示の場合
4
4
2
W2=σ×1.0((273+200) -(273+23) )=2402W/m
4
4
W1=σ×0.95((273+160) -(273+23) )=1480W/m2
ε= W1/W2=1480/2402=0.62 ※-2 対流熱損失量の算出方法について
JIS A 9501(2014) 『保温保冷工事施工標準』に準拠しております。
P2=2.56・⊿θ1.25〔
W+0.348
0.348
〕0.5
⊿θ:温度差(K,℃)、W:風速 (m/s)
但し、垂直平面 ⊿θ≧10K
下向き係数:2.28 上向き係数:3.26
垂直係数:2.56
ちなみに、全熱損失は
P=σ×0.62{(273+200)4-(273+23)4}
+2.56{(273+200)-(273+23)}1.25=3143W/m2 となる
5
別紙 室内試験詳細
試験条件:
・環境温度 23±2℃、環境湿度 50±5%
・図-1に示すような一辺40cmの木製合板で作成した試作加熱箱を用い、
加熱ランプを天板部へ照射し各項目を測定した。側面及び
底面においては、低放射性のアルミラミネートシートを被覆した。
・加熱ランプは270Wの仕様のものを2個使用し、ランプ照射距離は7cmとした。
今回は日射量を想定した熱量を照射した。
・各試験体は鋼板裏面(取付時は箱内側になる)に被覆を行った。
但し、自社アートトップCL工法(アクリル樹脂系)に関しては鋼板表面に被覆した。
各評価項目の条件:
・各温度及びWBGT指数の評価については、定常状態を確認した上で、ランプ照射開始から
3h~4hの間の1時間での平均値を記載した。
図-1 温度等の測定位置
別表 各種試験体での定常状態における平均WBGT指数及び各平均温度の比較
試験体種別
単位
未処理
(コントロール)
日射反射塗料アートトップCL工法(0.7mm厚)
コントロールとの差
サーモレジンSV600
コントロールとの差
発泡ウレタンフォーム(10mm厚)
コントロールとの差
発泡ポリエチレンシート(4mm厚)
コントロールとの差
日射反射塗料アートトップCL工法(0.7mm)+サーモレジンSV600
コントロールとの差
発泡ウレタンフォーム+サーモレジンSV600
コントロールとの差
発泡ポリエチレンシート+サーモレジンSV600
コントロールとの差
表面平均温度
℃
65.0
53.0
-12.0
68.0
3.0
54.0
-11.0
58.0
-7.0
61.0
-4.0
59.0
-6.0
63.0
-2.0
平均WBGT指数
℃
32.6
26.6
-6.0
25.3
-7.3
26.9
-5.7
32.3
-0.3
22.4
-10.2
24.8
-7.8
24.9
-7.7
平均内部温度
℃
39.0
32.0
-7.0
30.6
-8.4
31.7
-7.3
37.9
-1.1
26.9
-12.1
29.6
-9.4
29.7
-9.3
内部平均湿球温度
℃
28.7
23.7
-5.0
22.7
-6.0
23.9
-4.8
28.7
0.0
20.4
-8.3
20.8
-7.9
22.6
-6.1
内部平均黒球温度
℃
41.9
33.7
-8.2
31.4
-10.5
34.0
-7.9
40.7
-1.2
27.2
-14.7
30.6
-11.3
30.5
-11.4
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