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課題1 インターネット関連の技術革新にともなう広告市場における
innovation に関してこれまで取り上げられてきた事例研究は、主として「個別製品」レベルのものであった。そこで 次回は innovation に関する事例研究として、「製品サブセグメント」レベル、および、「製品セグメント」レベルでの 考察を含めたミニレポートの提出を求めることとする。 課題1 インターネット関連の技術革新にともなう広告市場におけるイノベーション 1990 年代後半期以降の日本における WWW、ネット検索エンジン、ADSL、光ケーブル、PC サーバーなどイン ターネット関連技術のイノベーションの進展を受けて、広告という製品セグメントにおける内部構成は図1に示し たように大きく変化した。 インターネットの社会的普及にともない、インターネット広告が 20 世紀末から急激に伸びた。20 世紀末の 2000 年には 590 億円という市場規模であったものが、2009 年には 2000 年の約 12 倍の 7,069 億円となって新聞広告 を抜き、2013 年には 2000 年の約 16 倍の 9,381 億円となり新聞広告市場の約 1.5 倍の規模となったのである。 こうしたインターネット広告市場の成長は、以前から存在する「広告」製品サブセグメントである新聞広告やテレ ビ広告に打撃を与えた。 新聞広告市場は 1990 年代後半期には約 1 兆 2 千億円であったのが、最近は約 1/2 にまで落ち込んだ。またテレビ 広告市場は新聞広告市場ほどではないにしろ、1990 年代後半期には約 2 兆円であったのが最近は 1 兆 7 千億円台 と約 2 千億円の落ち込みを記録している。 新聞広告とテレビ広告という二つの製品サブセグメントを合わせた減少分は約 8 千億円を超える大きさとなってい る。 こうした広告市場セグメントの内部構成の変化に関して、下記に挙げた問いの一つまたはいくつかを取り上げて ミニレポートを作成して下さい。 (1) インターネットの 1990 年代以降における社会的普及はデータ的にどのようなものであったのか? インターネ ットの社会的普及が進んだ技術的理由や技術的要因、あるいは、社会的理由や社会的要因としてはどのような ものがあるのかを考察しなさい。 (2) 1990 年代以降におけるテレビの視聴時間の変化はデータ的にどのようなものであったのか? できれば、年 代別、性別、年収別のデータも調べなさい。さらにまた、そうした変化が起きた理由にはどのようなものがあるの かを考察しなさい。 (3) 1990 年代以降における新聞の購読時間の変化はデータ的にどのようなものであったのか? できれば、年代 別、性別、年収別のデータも調べなさい。さらにまた、そうした変化が起きた理由にはどのようなものがあるのかを 考察しなさい。 (4) 1990 年代以降におけるインターネットの利用時間の変化はデータ的にどのようなものであったのか? できれ ば、年代別、性別、年収別のデータも調べなさい。さらにまた、そうした変化が起きた理由にはどのようなものが あるのかを考察しなさい。 (5) 新聞広告の市場規模が約 1/2 になったことに関して、「新聞社はその事態についてどのようなことを述べて いるのか?」「新聞社はその事態に対応してどのように対処しようとしているのか?」「新聞社の収益構造との関係 で、広告収入の減少の持つ影響・意味はどのようなものなのか?」を調べなさい。 なおレポートに際しては新聞業界全体を対象として論じても構わないし、特定の企業(例えば、朝日新聞社、 読売新聞社など)だけを取り上げて論じても構わない。 [参考 WEB] 新聞協会「新聞社の総売上高の推移 2002-2012」(総売上高、販売収入、広告収入、その他収入) http://www.pressnet.or.jp/data/finance/finance01.php J-CAST ニュース(2009)「ビジネスモデルが崩壊 身を削ぐような合理化が始まる」(連載「新聞崩壊」第 10 回/ ジャーナリスト・河内孝さんに聞く)2009/1/ 8 11:22 (6) インターネット広告市場の拡大という現在の状態に対して、新聞社はどのように対応するのが最も適切と考 えられるのかを論じなさい。 (7) テレビ広告市場は新聞広告市場ほどではないにしろ、1990 年代後半期には約 2 兆円であったのが最近は 1 兆 7 千億円台と約 2 千億円の落ち込みを記録していることに関して、「テレビ局はその事態についてどのようなことを 述べているのか?」「テレビ局はその事態に対応してどのように対処しようとしているのか?」「テレビ局の収益構造 との関係で、広告収入の減少の持つ影響・意味はどのようなものなのか?」を調べなさい。 なおレポートに際してはテレビ局業界全体を対象として論じても構わないし、特定の企業(例えば、日本テレビ、 フジテレビなど)だけを取り上げて論じても構わない。 (8) インターネット広告市場の拡大という現在の状態に対して、テレビ局はどのように対応するのが最も適切と考 えられるのかを論じなさい。なおその際には、自分の推測の根拠を分かりやすく説明しなさい。 図 1 日本の広告市場の歴史的推移 1996-2013 25,000 20,793 20,000 20,681 20,079 20,436 20,411 20,161 19,162 19,505 19,351 19,480 19,121 19,981 テレビ広告費 19,092 17,757 17,321 17,913 17,139 17,237 15,000 12,636 12,379 12,474 11,787 インターネット 広告費 12,027 10,500 11,535 10,707 10,000 10,377 10,559 9,986 9,381 9,462 8,276 6,983 6,003 4,826 5,000 3,777 7,747 8,062 8,680 7,069 6,739 6,242 6,396 5,990 6,170 新聞広告費 1,814 16 60 114 241 845 590 735 1,183 0 [データの出典] 電通(2014) 「2013 年 日本の広告費」は 5 兆 9,762 億円、前年比 101.4%― 総広告費は 2 年連続で増加、成 長軌道へ」電通 2014 年 2 月 20 日付けニュースリリース http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2014014-0220.pdf テレビ広告費:全国民間放送の電波料および番組制作費とテレビ CM 制作費 インターネット広告費:インターネットサイトやアプリ上の広告掲載費および広告制作費(バナー広告等の制作費およ び企業ホームページの内、商品/サービス・キャンペーン関連の制作費) 新聞広告費:全国日刊紙、業界紙の広告料および新聞広告制作費 課題 2 イノベーションの結果として、ある製品市場が急速な発展を遂げることは、前述のインターネット広告に 限らず、下記 URL 資料にある CD 製品、PC 製品、G3 Fax 製品など様々な製品に見られる。 http://www.sanosemi.com/biztech/document/Music-Soft1956-2008.pdf http://www.sanosemi.com/biztech/data/US-PC-mini-mainframe-1965_1990.htm http://www.sanosemi.com/biztech/document/FAX01.pdf イノベーションの結果としてある製品市場が急速な発展を遂げた事例をどれか一つ探し出しなさい。そしてそうし たイノベーションに関わる下記に挙げた問いの一つ、または、いくつかを取り上げてミニレポートを作成しなさい。 ただし事例としては上記に挙げた CD 製品、PC 製品、G3 FAX 製品という事例でも構わない。 (1) イノベーションへの対応に成功した代表的な企業を一つ取り上げて、製品の出荷台数・出荷金額・市場シェ ア、あるいは企業の売上金額や利益率などその企業の成功をわかりやすく説明するとともに、その成功要因を説 明しなさい。 (2) イノベーションへの対応に失敗した代表的な企業を一つ取り上げて、製品の出荷台数・出荷金額・市場シェ ア、あるいは企業の売上金額や利益率、あるいは倒産や合併などその企業の失敗をわかりやすく説明するととも に、その失敗要因を説明しなさい。 600 図 2 北米における FAX 設置台数の歴史的推移(単位:万台) 500 400 G1 G2 300 G3 200 100 0 [出典]ロルフス, J.H.(佐々木勉訳, 2005)『バンドワゴンに乗る -- ハイテク産業 成功の理論』NTT 出版, p.79