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技 術 概 要 (様式) - 九州建設技術フォーラム 2016

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技 術 概 要 (様式) - 九州建設技術フォーラム 2016
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 浸透固化処理工法
担当部署 技術研究所
NETIS登録番号 KT-990230-A
担当者 車田 佳範
社名等 五洋建設株式会社
電話番号 0287-39-2116
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
阪神淡路大震災をはじめとする大規模な地震による被害が発生して以来、港湾空港
施設やエネルギー関連施設などの重要構造物の耐震基準が大幅に改定され、地震時
に発生する地盤の液状化に対して高い安全性が要求されるようになっています。
しかしながら、これらの重要施設は常に稼働していることから、従来型の液状化対策
工法の適用は困難であり、施設を供用しながら、かつ構造物に振動、騒音、地盤変位
などの悪影響を与えない対策技術の必要性が高まっていました。
2.技術の内容
浸透固化処理工法は、液状化が予想される砂質地盤に対して、溶液型の恒久薬液を
低圧力で浸透注入することにより地盤を低強度固化し、液状化を防止する地盤改良工
法です。
粘性の小さい薬液を地盤の土粒子構造を変えることなく低圧浸透させるため、既設構
造物にほとんど影響を与えず、施設を供用しながら液状化対策が施工できます。また
斜削孔や曲がり削孔を利用することにより、構造物直下の液状化対策も可能です。
3.技術の効果
・浸透性の良い恒久薬液を注入することにより、従来工法では不可能であった既設構
造物直下の液状化対策が施工できます。
・施工機械が小型であり、また施工時の占有面積が小さいため、施設の供用に影響が
ありません。
・従来の水ガラスからアルカリ成分を除去した恒久薬液を利用するため、長期的に劣化
しません。
4.技術の適用範囲
改良後は、一軸圧縮強さが50~100KN/m2になり、地盤に粘着力を付加します。砂質
土地盤に粘着力を付加する効果により、これまでに様々な用途で利用されています。
・液状化対策
・吸い出し防止対策
・土圧の低減
5.活用実績
国の機関 43 件 (九州 5 件 、九州以外 38 件 ) 自治体 48 件 (九州 0 件 、九州以外 48 件 ) 民 間 22 件 (九州 2 件 、九州以外 20 件 ) 91
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 真空圧密ドレーン工法
担当部署 技術研究所
NETIS登録番号 HK-060002-A
担当者 車田 佳範
社名等 五洋建設株式会社
電話番号 0287-39-2116
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
従来、軟弱地盤の圧密改良工法としては、載荷盛土によって圧密荷重を与える載荷
盛土工法が用いられていましたが、載荷盛土工法は、盛土による載荷そして撤去を必
要とするため、コスト、工期、環境負荷の点で問題がありました。このため、盛土荷重に
よらない新しい軟弱地盤の圧密改良工法が求められていました。
2.技術の内容
真空圧密ドレーン工法は、プラスチックボードドレーン材に気密キャップを介して排水
ホースを取り付けたものを所定の深度まで鉛直に打設し、真空ポンプでドレーン内部に
負圧を作用させて排水を行い軟弱地盤を圧密改良する工法です。すなわち、上載荷重
(載荷盛土)の代わりにドレーン内部を減圧することで、相対的に外力が載荷された状
態を作り、その圧力差により軟弱な粘性土を圧密改良することができます。
従来の真空圧密工法は気密性を保持するため、対象地盤表面に気密シートを敷設す
る必要がありますが、本工法は上層の粘性土を負圧シール層(気密状態を保持する
層)として利用するため、気密シートが不要となる点が大きな特長です。
3.技術の効果
真空ポンプによって圧密圧力を与えるため、載荷盛土を行うことなく、圧密改良が行
われます。
また、圧密圧力(負圧)は等方内向きに作用するため、せん断変形・破壊を発生させ
ずに、載荷盛土2.5~3.5m高さ相当の圧密圧力を急速に作用させて圧密改良が行えま
す。よって、改良対象地盤が非常に軟弱で、載荷盛土を緩速施工しなければならないよ
うな場合には、工期短縮効果が大きく現れます。
4.技術の適用範囲
・本工法は、軟弱な粘性土地盤の圧密改良全般に適用できます。
圧密促進
支持力増加
強度増加
・また気密シートが不要となることより、従来困難であった埋立粘性土の減容化や水底
地盤の地盤改良が可能です。
5.活用実績
国の機関 17 件 (九州 0 件 、九州以外 17 件 ) 自治体 18 件 (九州 2 件 、九州以外 16 件 ) 民 間 0 件 (九州 0 件 、九州以外 0 件 ) 93
技術概要
技術分野
安全、コスト
技術名称
SL コンパウンド、SL シート
担当部署
NETIS 登録番号
KT-040040(SL シート)
担当者
社名
技術概要
昭和シェル石油株式会社
電話番号
アスファルト販売課
藤谷
篤
092-752-5316
1. 技術開発の背景及び契機
近年、軟弱地盤地域や臨海部の埋立地に様々な構造物が建設されるよう
になってきました。しかし、これらの地域では土の圧密沈下による地盤沈
下が起こり、それに伴って下向きの摩擦力(ネガティブ・フリクション、
以下 N.F.、図-1)が基礎杭や地下構造物に作用し、その結果、不等沈下や
クラックが発生して、構造物に大きな影響が生じます。SL コンパウンド
は、基礎杭に塗布されるすべり層用アスファルトであり、1960 年にシェ
ル研究所(オランダ・アムステルダム)で、アスファルトの力学的挙動の
理論解析や実験杭による残留 N.F.測定を繰り返し行い完成した技術であり
ます。
2. 技術の内容
SL コンパウンドは、アスファルトの持つ特性、すなわち短時間での載
荷では弾性体として(杭・矢板等の打設時)、長時間での載荷では粘性体
として(地中に打設後)の挙動を示すため、杭打設時に剥がれずに、地中
ではすべり層として N.F.の低減に有効に作用します。この N.F.低減につい
て、シェルグループでは図-2 に示す理論を導きだしております。現在、
SL コンパウンドは、鋼管杭メーカー、コンクリート杭メーカーに出荷さ
れ、鋼管杭・コンクリート杭工場において塗布され SL 杭として出荷され
ております。SL シートは、SL コンパウンドをすべり層として用い、杭、
鋼矢板及び鋼管矢板等の施工現場で張付けして使用可能な「シート」タイ
プの SL コンパウンドであります(図-3)。
3. 技術の効果
SL 杭が N.F.対策杭として有効に作用するかどうかは、試験杭による
土中の杭にかかる N.F.の測定結果で確認することができます。図-4 に
SL 未塗装杭と SL 塗装杭の N.F.の長期測定結果をご紹介します。
旧建設大臣認定では、年間地盤沈下量 30cm 以下の場所では地中温
度 15℃以上のとき、残留 N.F.をτ=2kN/m2 で計算することを認めら
れております。無処理杭に比べて杭の肉厚を減少させたり、本数を少
なくして施工することが可能となります。従って、材料費、施工費の
面からかなり経済的であります。ただし、SL 杭の経済性は軟弱層の地
質によってかなり異なり、軟弱層が厚くなるほどその効果は大きくな
ります。また、地盤条件や構造物重量などによっても経済効果は異な
ります。
4. 技術の適用範囲
軟弱地盤や臨海部の埋立地における基礎杭、鋼矢板、鋼管矢板、構
造物等へ塗布・張付けによる適用
5. 活用実績
国の機関 200 件以上(九州 15 件、九州以外 200 件以上)
自治体
200 件以上(九州 36 件、九州以外 200 件以上)
民間
200 件以上(九州 70 件、九州以外 200 件以上)
95
図-1 ネガティブ・フリクションとは
図-2
図-4
図-3 SL シートの構造
ネガティブ・フリクション低減理論
SL 杭の N.F.長期測定結果例
施工実績例
写真左)横浜国際展示場、写真中)大阪ワールドトレーディングセンター、写真右)
96
鋼矢板への SL 貼付事例
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称 耐震性能を持つ擁壁
担当部署
NETIS登録番号 CB-040038-A
担当者 糸井 元保
社名等 株式会社 箱型擁壁研究所
電話番号 06-6390-5080、092-481-5010
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
従来工法(大型積みブロック、井桁等、その他の直壁積み工法)は、現代の土木工事に
従事する作業員の構成内容(老年齢化と未経験者割合の増加)、工事の施工性(危険
な作業が多い:大型ブロックで裏込めコンクリート型枠組作業をブロック背面で行う)な
ど、さらに井桁以外の工法について、排水性能が経年変化により著しく落ちていくことな
ど従来工法に対して改善する余地を感じていました。特に耐震性能については多くの
工法が検証を行っていないため、設計の選択幅が少ないことも工法開発の契機となっ
た。
2.技術の内容
もたれ式の土留擁壁をプレキャストと単粒度砕石で構築する技術です。
箱型擁壁は、(財)土木研究センター「箱型擁壁:耐震性技術検討委員会」において
(独)土木研究所による大型動的遠心力載荷試験装置、二次元動的・静的FEM解析な
どにより耐震設計手法、構造特性の定性的な検証がなされ、高い耐震性能と安全性が
実証されました。中越地震、中越沖地震、岩手・宮城内陸地震など実現象によっても高
耐震性が確認されました。
この技術は建設技術審査証明書第0327号を取得しています。
3.技術の効果
従来の大型積みブロックは土圧条件などに合わせて控え長さの選定をしますが、箱型
擁壁はその必要がなく箱体(LタイプA型)単品と壁体材の単粒度砕石のみで構築を行
い、従来工法よりも高い壁高を構築できます。また高さ7mを超えると経済的で、工期も
従来工法より40%以上短縮して縮減効果を図れます。生コンを使用しないので迅速に
災害復旧工事等も進める事ができます。また高い排水性能を有する箱型擁壁は湧水
の多い箇所にも間隙水圧が小さいため多くの設計に採用されています。
4.技術の適用範囲
盛り土部切り土部の擁壁として、あらゆる場所に構築できます。
①特に7m以上の擁壁に箱型擁壁は効果的です。
②湧水のある場所でも多くの実績があります。
③急カーブ、ため池、宅地造成、橋台取り付け部、壁面緑化は全段可能です。
5.活用実績(2008年9月現在)
国の機関 134件 (九州 15件 、九州以外 119件 ) 自治体 1509件 (九州 350件 、九州以外 1159件 ) 民 間 134件 (九州 23件 、九州以外 111件 ) 97
日本の歴史的遺産:城の石垣修復を箱型擁壁で
修復後の福知山城公園の城壁 H=13m
1出隅(ですみ)
3シノギ角(しのぎずみ)
2入角(いりずみ)
『延長方向の隣り合う箱体は無連結』
高さ方向への空隙の連続性があり、壁体材
が蜜実に噛み合い、一体化する構造です。
『上下の箱体は無連結』
延長方向への空隙の連続性があ
り、壁体材が蜜実に噛み合い、
一体化する構造です。
中詰材・裏込材は単粒度砕石で、規格はS-40前後を使用し
ます。また栗石を中詰材・裏込材に使用する場合には、箱体
据付調整として、栗石の天端に単粒度砕石を(S-40前後)
10cm∼15cm入れて施工します。
中詰材が栗石の場合
京都府福知山市ホームページ http://www.city.fukuchiyama.kyoto.jp/
98
基礎に栗石を使用する際は上記と同様に天端10cmは
単粒度砕石にします。また基礎地盤が岩の場合は、割
栗 石 で な く 単 粒 度 砕 石( S - 4 0 前 後 ) で 基 礎 の 厚 さ
20cm以上で施工します。
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、コスト、品質
技術名称 デジタルカメラ三次元計測システムPIXXIS
NETIS登録番号 KT-070053
担当部署 福岡テクノセンタ
担当者 高口 昇
社名等 JIPテクノサイエンス株式会社
電話番号 092-282-8970
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
本技術は、計測対象構造物を複数の角度からデジタルカメラで撮影することで、三次元座
標を高精度に求めるものである。
従来は、トータルステーションを使用して距離と角度を計測し、三次元座標を求めていた。
本技術の活用により、測量技術者でなくても簡単に計測作業が行えるようになる。
2.技術の内容
計測対象構造物を1/20,000の高精度(10mの長さで±0.5mmの精度)で三次元計測する計
測システムである。
計測位置にはシールターゲットと呼ばれる直径10mmm程度の反射シールを貼り付ける。 ま
た、計測対象構造物の大きさを得るために基準の長さとなる基準バーを一緒に配置する。
ストロボの光で反射したシールターゲットを複数の角度から撮影してシールターゲット中心位
置の三次元座標を求めるものである。 ストロボを使用するため、暗い場所でも計測可能であ
る。
また、計測対象構造物を撮影した写真で計測するため、状況写真と計測データを同時に管
理できる。
3.技術の効果
トータルステーションの操作は高度な測量技術を持つ専門家が行う必要があるが、本シス
テムではその作業が撮影に変わるため簡単に計測できるようになる。
既存構造物との取り合い(現場合わせ)計測する場合にも有効である。 従来、現場合わせ
の計測はテープ、トランシット、レベルなどの測量機材を現場に持ち込み、計測結果を野帳に
書き込みそれを基に施工図などを作成していた。 しかし野帳に記載されなかった部分などの
確認のため再度現場に出向くこともある。 この技術では現場写真と計測データが同時に得ら
れるため野帳に記載されない状況を写真で確認することができる。 また、計測精度は劣る
が、後からシールターゲットがない場所を写真上でマウスで指定してその位置の三次元座標
を求めることもできる。
4.技術の適用範囲
・各種構造物製作工事での部材計測。
・計測器を水平に据付けることが困難な場所でもカメラで撮影可能であれば計測できる。
・振動など従来計測が困難な場所でも、手ぶれを起こさなければ計測できる。
・カメラを持って入れる場所であれば、構造物の外部と内部を連続して一度に計測することが
できる。
5.活用実績
国の機関 5 件 (九州 0 件 、九州以外 5 件 ) 自治体 3 件 (九州 0 件 、九州以外 3 件 ) 民 間 0 件 (九州 0 件 、九州以外 0 件 ) 101
6.写真・図・表
写真-1 使用機材(カメラ)
写真-2 使用機材(ターゲット類)
写真-3 使用機材(基準バー)
図-1 作業手順
写真-4 箱桁計測状況
写真-5 パイプ計測状況
写真-6 PC道路橋の健全度評価の高度化に関する共同研究
(国土技術政策総合研究所、(社)プレスとレスト・コンクリート建
設業協会 提供)
102
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称 midas FEA
担当部署 事業推進プロジェクト
NETIS登録番号
担当者 山川 創
社名等 JIPテクノサイエンス株式会社
電話番号 03-5614-3202
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
近年、道路橋示方書やコンクリート標準示方書などに性能設計規定が取り入れられる
ようになり、実構造物を節点と要素で表現し、コンピュータ上で現象を把握する事ができ
るFEM解析を設計に活用する機運が高まってきました。弊社では、使やすいFEM解析ソ
フトをより多くの設計者、解析技術者、研究者の方々に使って頂くことを目指して、韓国
のMIDAS IT社が開発した「midas FEA(マイダス エフイーエー)」を2007年より販売し
ております。
2.技術の内容
建設分野向けに開発されたFEM解析ソフトウェアであり、施工段階を追った解析ができ
る段階施工解析や、コンクリートの温度応力解析等ができます。また、モデル作成にお
いては、インターフェイス要素の自動生成機能、埋込鉄筋要素等など充実した機能が
装備されており、結果表示においては、マウスのクリックで結果数値を確認する機能、
グラフ表示機能、モデルに寸法線を記入できる機能等の豊富な出力機能が装備されて
おります。
3.技術の効果
実構造物を節点と要素で表現し、より実構造物に近い状態で解析できる為、従来の骨
組解析で求める解より、精度の高い結果を求める事ができます。
4.技術の適用範囲
土木/建築構造物を対象とした線形解析、固有値解析、段階施工解析、温度応力解
析、動的解析、材料/幾何学的非線形解析、鋼構造物の疲労解析
5.活用実績
国の機関 ○ 件 (九州 ○ 件 、九州以外 ○ 件 ) 自治体 ○ 件 (九州 ○ 件 、九州以外 ○ 件 ) 民 間 ○ 件 (九州 ○ 件 、九州以外 ○ 件 ) 103
6.写真・図・表
インターフェイス要素
鋼
インターフェイス
コンクリート
104
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称 長寿郎/BG
担当部署 東京テクノセンタ事業企画部
NETIS登録番号
担当者 廣瀬 安昭
電話番号 03-5614-3205
社名等 JIPテクノサイエンス株式会社
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
地方公共団体が管理する橋梁は,今後急速に高齢化することが予想されています.こ
れらの橋梁を末永く利用していくためには,点検などにより橋梁の現状を正確に把握し,
点検結果を基にした予防的な修繕によって,橋梁の長寿命化及び修繕・架替に係る費
用の縮減を図ることが重要となってきています.こうした社会的背景の下,平成19年度
国土交通省道路局関係予算決定概要において「長寿命化修繕計画策定事業の創設」
が示され,地方公共団体の維持管理計画策定を支援出来るようなシステム整備が求め
られてきました.
2.技術の内容
本システムは,「点検データ収集」,「情報管理(橋梁台帳)」,「事業計画策定支援」の3つ
のサブシステムで構成されています.点検データ収集サブシステムは,携帯電話による
簡易入力,損傷写真撮影機能も備えており,専門点検員だけではなく自治体職員の使
用も想定した使い勝手のよい商品としています.情報管理サブシステムは,データの登
録,変更,検索,閲覧,削除といった操作機能を持ち,橋梁諸元のみならず,写真なども
含めた総合的な橋梁台帳としての管理が可能です.事業計画策定支援サブシステム
は,予め設定した構造物の劣化曲線を基に,LCC計算(ライフサイクルコスト計算)を行
います.劣化曲線は点検結果による補正も可能です。中長期の修繕計画を立てる上で
は優先度評価も重要な要因となり,部材ごと,損傷ごとの重要度指標を設定できます.
また,施設の重要度として,緊急輸送路,桁下空間条件,交通量,迂回路の有無といっ
た指標も併せて設定し,これらの条件下での補修の優先順位づけが可能です.さらに,
予算制約条件など種々のシナリオ設定にも対応し,中長期の予算シミュレーションが可
能です.
3.技術の効果
従来,高価で大規模だった橋梁マネジメントシステムを,中小の地方公共団体でも運用
できるコストに抑えることに成功.携帯電話による簡易点検システムで点検コストを縮減
し、中長期計画策定のシミュレーション機能により最適な予算配分を検討することが可
能です.これら点検・計画のサイクルを回すことにより,地方公共団体が抱える既存橋梁
の長寿命化を図ることが可能です.
4.技術の適用範囲
・橋梁台帳管理橋梁数 無制限
・事業計画策定橋梁数 300橋以下
・点検データ収集は道路橋に関する基礎データ収集要領(案)」(平成 19年 5・6 月 国
土交通省 国土技術政策総合研究所)に準拠
5.活用実績
国の機関 ○ 件 (九州 ○ 件 、九州以外 ○ 件 ) 自治体 1 件 (九州 0 件 、九州以外 1 件 ) 民 間 20 件 (九州 2 件 、九州以外 18 件 ) 105
6.写真・図・表
システム概要
情報管理システム(橋梁台帳)
1
点検データ収集システム
情報
取得
(mobile版)
点検
情報
登録
検索
閲覧
1
(Windows版)
<出力帳票>
データベース
事業計画策定システム
1
諸元
橋梁
台帳
点検履歴
<出力帳票>
データ
取込
補修履歴
塗装履歴
点検
調書
画面例
106
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 KTB引張型SCアンカー工法
担当部署 営業部
NETIS登録番号 KT-990247-A
担当者 青沼 洋平
社名等 ㈱ケーティービー
電話番号 03-5366-3710
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
・支持方法が引張型で、防食に優れた安定性状の永久アンカー工法
・PC鋼線を束にせずスペーサーで隙間を確実にとり付着強度を増す方式
・新技術導入により大幅な工事コスト縮減ができ削孔径が小さくできる工法
・押入作業が簡単、設計アンカー力として最大10,000kNまで設計
・現場での長尺変更が可能である
2.技術の内容
①何について何をする技術なのか?
・「全素線エポキシ樹脂塗装PC鋼より線」をテンドンに使用することによって、防錆性能を飛躍的に高
めた引張型グラウンドアンカー工法
②従来はどのような技術で対応していたのか?
・アンカー全長をシース等で覆うなどで防錆処理としていた、従来の引張型・圧縮型各種アンカー工法
③公共工事のどこに適用できるか?
・災害等で崩壊し、または、それが予測される箇所を安定させる防災法面工事
・道路の拡幅等で斜面を切り取る場合の斜面安定法面工事
3.技術の効果
①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したか?)
・テンドンに全素線エポキシ樹脂塗装のPC鋼より線を使用することにより、防錆性能を飛躍的に向上
させた。
・テンドンの組立加工が工場でも現場でも容易にでき、地盤条件に合わせ調整ができる。
・シンプルな構造のため、施工が容易。・構造、部品の簡素化を図り、コスト縮減を図った。
②期待される効果は?(新技術のメリットは何か?)
・防錆性能の向上・施工性の向上・経済性の追求
4.技術の適用範囲
条件
①自然条件:土質:粘性土、礫質土、玉石混じり土、砂質土、硬岩、軟岩
②現場条件:のり面安定工(現場打ちのり枠)(受圧板)・既設擁壁の補強
既設石積の補強・橋梁基礎の補強・吊り橋のアンカー・土中構造物の浮上防止・鉄塔の転倒防止
③技術提供可能地:技術提供地域については制限無し。
④関係法令等:労働安全衛生法
○特に効果の高い適用範囲
地下水等の腐食条件が厳しいアンカー
●適用できない範囲:温泉地や火山地帯等高温、強酸性地盤などグラウトおよびアンカーを構成する
部材の劣化が懸念される厳しい腐食環境においては、地温や化学的性質、アンカーの特性を踏ま
えた上で十分に検討する。
●適用にあたり、関係する基準および引用元:グラウンドアンカー設計・施工基準、同解説(地盤工学
会)/グラウンドアンカー施工のための手引書(日本アンカー協会)/KTB・引張型SCアンカー設計・施工マニュ
アル(KTB協会)
5.活用実績
国の機関 552 件 (九州 193 件 、九州以外 359 件 ) 自治体 2586 件 (九州 657 件 、九州以外 1929 件 ) 民 間 127 件 (九州 35 件 、九州以外 92 件 ) 107
H20年10月20日現在
6.写真・図・表
KTB・引張型SCアンカー工法
世界的に広く普及している引張型アンカーは荷重の局部集中によりグラウトにひび割れを生じることが
あり、テンドンの腐食という問題を抱えていました。本工法は全塗装PC鋼より線「SCストランド」を使用
し、この問題を一挙に解決した永久アンカーです。
(引張型SCアンカーの形状図)
【引張型SCアンカー工法の特徴】
・ストランドはスペーサーで隙間を取り、グラウトの付着強度を増強
・テンドンにSCストランドを使用し、全体にわたり、防食、防錆を実現
・シンプルな構造で、削孔の細径化を実現
・挿入作業が簡単、緊張管理も容易
108
技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 KTB荷重分散型永久アンカー工法
NETIS登録番号 KT-990136-A
担当部署 営業部
担当者 青沼 洋平
社名等 ㈱ケーティービー
電話番号 03-5366-3710
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
・地盤とのせん断抵抗は平均的に分散(最大5ヶ所)させ荷重の一極集中を避ける。
・現場でのアンカー体組立も簡単で、アンカー体の長尺変更に対応できる。
2.技術の内容
①何について何をする技術なのか?
・耐荷体にUターン型に曲げ加工した圧縮型のアンカーを数個組み合わせ、荷重を分散させる永久
アンカー工法である。
②従来はどのような技術で対応していたのか?
・アンカー体長部に過大な引張(または圧縮)応力を一極に集中させる一極集中型アンカー(従来の引
張型、圧縮型の各種アンカー工法)
③公共工事のどこに適用できるか?
・災害等で崩壊したまたは、それが予想される箇所を安定させる防災工事
・道路の拡幅等で斜面を急斜面にした場合に、その斜面を安定させる道路法面工事
・既存擁壁の安定
3.技術の効果
①どこに新規性があるのか?(従来技術と比較して何を改善したか?)
・地盤に伝わる応力を分散させることにより、一極に大きな荷重を集中させない
②期待される効果は?(新技術のメリットは何か?)
・安全性:応力が一極に集中せず、分散させるためグラウトに有害なひび割れ・圧壊等がない。
・経済性:構造がシンプルなため材料費が安価になる。
・施工性:テンドン加工は工場・現場でも高品質ででき、現場でのアンカー長の変更等にも容易に
対応できる。また、テンドンは軽量で可とう性があり、挿入作業は容易であるなど施工性に優れ
ている。定着方式はネジ・ナット方式であるため、再緊張は容易である。
4.技術の適用範囲
条件
①自然条件:土質:粘性土、礫質土、玉石混じり土、砂質土、軟岩
②現場条件:のり面安定工(現場打ちのり枠)(受圧板)・既設擁壁の補強
既設石積の補強・橋梁基礎の補強・吊り橋のアンカー・土中構造物の浮上防止・鉄塔の転倒防止
③技術提供可能地:技術提供地域については制限無し。
④関係法令等:労働安全衛生法
○特に効果の高い適用範囲
周面摩擦抵抗値(τ)が小さい定着層でアンカー体長が長くなるアンカー
●適用できない範囲:設計荷重が1,483kN/本以上のグラウンドアンカー
●適用にあたり、関係する基準および引用元:グラウンドアンカー設計・施工基準、同解説(地盤工
学会)(平成15年8月26日第6刷・全項目)/グラウンドアンカー施工のための手引書(日本アンカー協会)
(平成15年5月26日刷・全項目)/KTB・荷重分散型永久アンカー工法設計・施工指針(案)(平成
16年12月最新版・全項目)
5.活用実績
国の機関 270 件 (九州 56 件 、九州以外 214 件 ) 自治体 2021 件 (九州 318 件 、九州以外 1703 件 ) 民 間 114 件 (九州 21 件 、九州以外 93 件 ) 109
H20年10月20日現在
6.写真・図・表
KTB・荷重分散型永久アンカー工法
KTB・荷重分散型永久アンカー工法は複数の耐荷体を設け荷重を分散させるアンカー工法です。このよ
うな耐荷体を用いることにより荷重の局部集中が避けられ、グラウトに一切のひび割れを生じません。本
工法は世界初の画期的な工法です。さらに、テンドンにはSCストランドを用いることにより、長期にわた
る耐食性、耐久性、構造安定性に優れています。
(荷重分散型アンカーの形状図)
【荷重分散型アンカーの特徴】
・設計アンカー力を複数の耐荷体を介して、地盤へ確実に分散伝達
・テンドンにSCストランドを使用し、全体にわたり、防食、防錆を実現
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技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 ハイジュールネット工法
担当部署 製造部 設計室
NETIS登録番号 QS-080010-A
担当者 掃部 孝博
社名等 神鋼建材工業株式会社
電話番号 06-6418-2862
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
大規模な落石エネルギーを吸収する場合、剛体の落石防護工でそのエネルギーを止
めるには部材や基礎もかなり大きくなり、工事全体の費用が非常に高くなります。また、
従来型の落石防止柵では、大きな落石エネルギーに対応できません。その問題に対処
するため、スイスのイソフェール社が高エネルギー型落石防止柵”ISO-STOP”として開
発し、スイス国の公的機関であるスイス環境森林植栽局(SAEFL)の認証を得た技術
を、日本に導入する事としました。その防止柵を、日本の山岳地形,地盤条件等に適合
できるように(支柱間隔及び有効柵高の設定範囲を広げ、様々な施工条件に対応)、ま
た、維持管理が容易である事を目的として開発しました。
2.技術の内容
ハイジュールネット工法は、発生源から落下終端に至る中間地帯(斜面途中)に設ける
もので落石防護工に分類され、一般の落石防止柵に比べて大きな落石エネルギーを
対象にした高エネルギー吸収型の落石防止柵です。落石を補足する面は、ワイヤロー
プを格子状に編んだネット状であり、ネットは上部ケーブルと下部ケーブルに結束され
ています。また、支柱は保持ケーブルで山側に吊り上げられています。これらのケーブ
ルの終端は、アンカーで地山に固定にされています。各部に設置している緩衝装置で
あるブレーキエレメントは、落石補足時に発生した荷重をワイヤーロープの伸びで吸収
しアンカーに作用する衝撃荷重を軽減する役目をしています。大規模なエネルギーを
もった落石を柔軟な構造で包み込むようにシステム全体で吸収する落石防止柵です。
3.技術の効果
①一般の落石防止柵で吸収できなかった大規模な落石エネルギー(250kJ~3000kJ)
を吸収する事が可能です。
②エネルギーをシステム全体で吸収するため、アンカーにかかる荷重及びネットの変形
は小さくなる。また、ネットが破損した場合の部分補修が可能であり、維持補修のコスト
が軽減できます。
4.技術の適用範囲
・可能吸収エネルギー範囲:250 kJ ~ 3000 kJ
・防止柵と保護対象物との距離が、許容最大制動距離(5.0 m ~ 12.0m)以上離れてい
る。
・斜面角度:30°~45°
5.活用実績
国の機関 0 件 (九州 0 件 、九州以外 0 件 ) 自治体 3 件 (九州 0 件 、九州以外 3 件 ) 民 間 2 件 (九州 0 件 、九州以外 2 件 ) 111
6.写真・図・表
概略図
保持ケーブル用アンカー
ブレーキエレメント
シングル
保持ケーブル
上部ケーブル
サイドケーブル
A
ブレーキエレメント
シングル
支柱
サイドアンカー
下部ケーブル
ブレーキエレメント
ダブル
ケーブルネット・金網
A
支柱
ベースプレート
支柱基礎アンカー
ゲビンデスターブ
断面 A-A
全体図
ブレーキエレメント
上部ケーブル
ネット
ブレーキエレメント
部品図
適用範囲表
可能吸収エネルギーEs
型 式
有効柵高 m
(kJ)
(t・m)
HJN-250
3.0、4.0
250
25
HJN-500
3.0、4.0、5.0
500
50
HJN-1000
3.0、4.0、5.0、6.0
1000
100
HJN-1500
3.0、4.0、5.0、6.0
1500
150
HJN-2000
4.0、5.0、6.0、7.0
2000
200
HJN-3000
4.0、5.0、6.0、7.0
3000
300
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技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称 流域土砂動態解析システム
NETIS登録番号 KT-040092-A
担当部署 九州支店 水圏グループ
担当者 細野 典明
社名等 いであ株式会社
電話番号 092-641-7878
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
土砂移動による災害の防止(安全)、生態系・景観の環境保全(環境)、河川・海岸の適
正な利用(利活用)などの観点で、流域全体を見通した土砂管理が強く求められていま
す。
2.技術の内容
①山地から河口まで流砂系一貫した土砂移動の追跡が可能
・生産域から河口部までの任意地点における土砂動態が把握できます。
②全ての流砂形態をカバーし、流砂系のあらゆる土砂問題に対応
・掃流砂、浮遊砂、ウォッシュロードを取り扱っており、河床のアーマリングも考慮して
います。
③降雨流出と土砂移動の言った管理が可能
・降雨流出計算は、表面流・中間流・基底流の3層構造とし、長期流出計算にも対応
可能です。
3.技術の効果
山地から河口までの流域系一貫した土砂動態をシミュレートし、流域総合土砂計画の
立案を協力にバックアップします。
4.技術の適用範囲
①山地・山麓部、扇状地における土砂災害検討
②ダム堆砂と下流河川への影響検討
③河道における土砂の堆積および河床低下・局所洗掘による被害検討
④河口閉塞、海岸侵食による被害検討
5.活用実績
国の機関 7 件 (九州 1 件 、九州以外 6 件 ) 113
6.写真・図・表
■全体概念図
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技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称
担当部署 測量技術部
航空レーザデータによる洪水ハザードマップ
NETIS登録番号
担当者 竹之内 貴史
社名等 西技測量設計株式会社
電話番号 092-712-1441
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
近年,全国的にゲリラ豪雨等の異常気象による災害が多発しており,国民に大きな被害
が国民の安全性確保のためには,危険区域や避難情報を記載したハザードマップの作
成が重要となっている。よって今回,航空レーザという広範囲・高密度・迅速にデータを
取得できる3次元航空レーザデータを基に洪水ハザードマップ作成システムを紹介致し
ます。
2.技術の内容
高精度・高密度な3次元データ(航空レーザデータ)を基に,縦横断面図作成・背水計算を
行い,洪水位を忠実に再現することが可能となった。
当技術は,現地データから計算結果及び解析を3次元データで表現することができる3次
元洪水ハザードマップシステムである。
3.技術の効果
3次元で表現することで,視覚的にわかりやすくなり,また高精度であるため防災に効果を
発揮します。
4.技術の適用範囲
・河川周辺
・地形に対しては高精度であるが,構造物の形状は補足測量が必要。
5.活用実績
民 間 2 件 (九州 2 件 ) 115
6.写真・図・表
鳥瞰図・等高線
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技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全、環境、コスト、ICT、品質、景観
技術名称 アデムウォール
担当部署 技術部
NETIS登録番号 KK-020061-V
担当者 吉田 浩一
社名等 前田工繊株式会社
電話番号 0776-51-9205
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
我が国は急峻な地形が多く、緩い勾配の盛土を建設できない場合が少なくない。盛土
建設のために十分な用地を確保できない場合や、用地の有効活用を求められる場合も
多い。このような状況に対処するために、急勾配盛土の築造が多数の場所で要請され
ている。
このような要請に応えるために、壁面材と補強盛土体の間に単粒度砕石からなる変
形吸収層を設けることにより、壁面材に土圧が直接作用しない二重壁構造をもつジオ
テキスタイル補強土壁工法「アデムウォール工法」を開発した。
2.技術の内容
アデムウォール工法は、アデムを配置して補強した盛土とコンクリートパネルなどの壁
面材とを、変形吸収層を介して一体化させた補強土壁である。本工法は、補強盛土体
と壁面材の間に変形吸収層を設けた二重壁構造(外壁(壁面材)+変形吸収層+補強盛
土体)が特徴であり、これにより壁面材に補強盛土体の土圧が直接作用しない構造と
なっている。
3.技術の効果
使用する補強材は面状のアデムであるため、従来補強土壁に比べ盛土材の適用範囲
が広く、現地発生土を使用することができ、建設残土の有効利用に役立つ。
薄型で軽量な自立型の壁面材を使用するため、施工安定性に非常に優れている。
壁面材と補強盛土体の間に一定の空間があるため、転圧荷重が壁面材に影響するこ
となく壁面近傍の締固めを十分行うことが出来る。
4.技術の適用範囲
道路や土地造成などの補強土擁壁工事に適用。
適用土質範囲は日本統一土質分類の粒度の良い砂、礫、細粒分の少ない粗粒土(礫
粒土、砂粒土)が望ましい。高含水比粘土を使用する場合においては、盛土の撒き出
し・締固めに先立ち、曝気乾燥等による含水比調整および石灰やセメント等による安定
処理を行う。
適用壁面勾配は、n= 1:0.0~1:0.5。
最大壁高は、約20m(壁高さが20mを超える場合には、別途検討を行う)。
5.活用実績
国の機関 163 件 (九州 47 件 、九州以外 116 件 ) 自治体 313 件 (九州 70 件 、九州以外 243 件 ) 民 間 29 件 (九州 3 件 、九州以外 26 件 ) 117
6.写真・図・表
重機による壁面近傍締固め状況
アデムウォール工法の種類
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技 術 概 要 (様式)
技術分類 安全
技術名称 FMラジオを活用した防災情報提供システム 担当部署 技術統括部・河川部
NETIS登録番号 ○-○○○○-○
担当者 金井秀平・宮川朝浩
社名等 建設技術研究所 九州支社
電話番号 092–714–2211
技術の概要 1.技術開発の背景及び契機
近年、毎年のように全国各地で豪雨災害が頻発し、住民への避難勧告等の情報を確
実に伝達するシステムの確保が早急な課題となっています。
従来の防災情報伝達は、テレビ・ラジオ放送、防災行政無線、インターネットでの情報
公開、携帯電話、ケーブルテレビ等により進められてきました。しかし、ローカルエリア
への情報に対しては、伝達されにくい、導入費用が高額となる、IT技術に不慣れな高齢
者等にとって操作が難しい等の問題が指摘されてきており、その解決策を問われてい
ます。
本システムは、災害時の情報伝達手段として、市販の携帯ラジオが操作性、携帯性、
費用等の面から多く活用されており、ラジオの有効性を重視して、コミィニティFMのよう
な半径10km以上の広範囲ではなく、半径1km程度のひとつの集落規模を対象とした情
報配信手法を検討したものです。
2.技術の内容
本システムは、「情報の最終端末を誰にでも不自由なく使用可能な市販ラジオにする」
ことを開発コンセプトとし、ウェブ上で一般公開されている雨量や河川水位等の防災情
報を音声情報として地区住民に送信する新しいタイプの情報提供システムです。情報
取得からラジオへの音声配信までは、次の5つの作業があります。
① 雨量や水位情報をホームページ上からダウンロードする。
② データ処理を行って必要な情報のみを抽出する。
③ 情報のテキストファイルを作成する。
④ そのテキストファイルを音声ファイルに変換する。
⑤ パソコンに接続したFMトランスミッターとアンテナにより、受信可能範囲にあるFMラ
ジオへ情報を送信する。
これらの5つの作業を自動的に繰り返すことにより、初期設定以降の人的作業を必要と
しないシステムとすることができます。
3.技術の効果
本システムの有用性を検証するために、2006年6月より四万十市川登地区において
運用実験を行いました。その結果、運用実験やワークショップを行っていく過程におい
て、地区住民の浸水被害の軽減に対する意識が向上し、災害時の緊急連絡網の整
備、地区防災会の定期開催等が行われてます。
また、実際の洪水においては、緊急連絡網を介するなどして、早い段階で河川水位
の情報共有が可能となりました。
4.技術の適用範囲
本システムで用いたミニFM(微弱電波)は、電波法において「無線設備から3mの距離
において、電界強度が500μV/m以下」と規定されており、受信可能エリアは最大でも
半径80m程度であるものの、ミニFMと特定小電力無線を組み合わせて配信する方式を
とり、範囲拡大の対策を講じることができます。
このため山間集落、内水地区などの特定地域、河川公園やその駐車場などの沿川
施設における情報提供も可能となります。
5.活用実績
国、自治体、民間の実績はありません。
ただし、運用実験は国道交通省、高知県、四万十市役所のご協力のもとに実施され
ました。
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6.写真・図・表
FM防災ラジオシステムの概念図
システム活用のために住民に配布した防災カレンダー
120
ミニFMと特定小電力無線を組み
合わせた受信可能範囲の拡大
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