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Title 男子外性器硬化性脂肪肉芽腫 - Kyoto University Research
Title Author(s) Citation Issue Date URL 男子外性器硬化性脂肪肉芽腫 : 2症例の報告と本邦報告 72症例の統計的検討 児島, 康行; 井上, 彦八郎; 足立, 靖; 池原, 進; 大島, 升 泌尿器科紀要 (1992), 38(1): 93-97 1992-01 http://hdl.handle.net/2433/117440 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 泌 尿 紀 要38:93-97,1992 98 男子外性器硬化性脂肪肉芽腫2症 例の報告 と 本邦報告72症例 の統計的検討 小松病院泌尿器科(名 誉院長:井 上彦八郎) 児島 康 行,井 上 彦八郎 関西医科大学第I病 理学教 室(主 任 ・池原 足立 靖,池 原 進 大島医院(院 長:大 島 大 SCLEROSING 升) 島 升 LIPOGRANULOMA GENITALIA 進教授) : REPORT OF OF THE MALE 2 CASES —REVIEW OF 72 CASES REPORTED IN JAPAN— Yasuyuki Kojima and Hikohachiro Inoue From the Department of Urology, Komatsu Hospital Yasushi Adachi and Susumu Ikehara From the Department of the First Pathology, Kansai Medical University Minoru From the Ohshima Ohshima Clinic, Osaka Two cases of male patients (49 and 36 y.o.) with sclerosing lipogranuloma of the genitalia are reported. They denied having received any injection of exogenous substances or having suffered from any trauma. We discuss the clinical features and review previously published papers reporting similar cases. We would like to propose that sclerosing lipogranuloma that is not caused by the injection of exogenous substances should be dealt with as a new disease entity. (Acta Urol. Jpn. 38: 93-97, 1992) Key words: Sclerosing lipogranuloma, Male genitalia 加 えて 報告 す る. 緒 言 1950年,Smetanaら1)は,男 症 子外性器の外傷後に 生 じた,異 物 注 入 の既 往 の な い硬 化 性 脂 肪 肉芽腫 を 報 症 例1 告 し,そ の発 生 機 序 が争 点 とな った.本 邦 で は,1967 患 者:T.S.,49歳,男 年 に西2)が,外 主 訴:陰 茎 根 部腫 瘤 陰 部 に 生 じた 原 因 不 明 の 肉芽 形成 を, 非特 異 性 慢 性 炎症 と報 告 し,こ れ が,異 物 注 入 の既 往 の ない,外 性 器 に発 生 した 硬 化 性 脂 肪 肉 芽腫 の本 邦 報 告 第1例 目と考 え られ る.そ の後 も,異 物 型 肉 芽腫 と 異 な る男性 の外 性 器 に発 生 す る硬 化 性 脂 肪 肉芽腫 の 症 例 性,銀 行 員 家 族 歴 ・既 往 歴:特 記す べ き こ とな し 現 病 歴;1989年11月 上 旬,性 交 時 に 偶 然 に陰 茎 根 部 の腫 瘤 に気 付 き,ll月15日,大 島 医 院 を受 診 し,同 日 当科 へ紹 介 され た.腫 瘤 は 陰 茎 根 部 よ り陰 嚢 内 に 存 在 例 が増 加 し,新 しい疾 患 単 位 と して 注 目 され て い る. し無 痛 性 で あ った.患 者 は外 傷 の 既 往 な く,ま た 陰 嚢 今 回わ れ わ れ は,な 内異 物 注 入 を 否 定 した の で,陰 嚢 内 腫瘍 の疑 い に てll ん ら誘 因 もな く発 生 した と考 え ら れ る本 症 の2例 を経 験 した の で,若 干 の 文 献 的 考察 を 月25日 入 院 とな った. 泌 尿 紀要38巻1号1992年 94 入 院 時 現 症 ・身 長175cm,体 /86mmHg,脈 重66.5kg,血 拍60/min,整.胸 在 リ ン パ 節 は 触 知 せ ず,精 Penis 巣 ・精 巣 上 体 ・前 立 腺 は 触 診 上 異 常 を 認 め な か っ た.腫 瘤 は 陰 嚢 内中 央 部 で 会 陰 部 よ り陰 茎 根 部 に 向 か っ て 存 在 し,さ 左 右 に 分 か れ て 陰 茎 を 取 り囲 み,全 呈 し て い た.腫 圧122 腹 部 異 常 な し・表 らに陰 茎 根 部 で 体 と してY字 型を 瘤 は 圧 痛 な く表 面 不 整,弾 性硬で尿道 海 綿 体 と は 僅 か に 可 動 性 を 有 し て い た.陰 嚢皮膚には Scrotum 異 常 を 認 め な か っ た(Fig.1). 入 院 時 検 査 成 績:尿 所 見,異 常 を 認 め ず.末 梢血液 Fig.LSchematicviewofcaseL 所 見,WBC6.0×103/mm3,RBC502×10`/mm3, Hbl5。9g/dl,Ht46.3%,Plt29.7×104mm3.白 血 球 分 画,Seg.57%,Sta.2%,Eos.3%,Bas.O%, Mon.7%,Lym.31%e。 8・8mg/dlと 血 液 生 化 学 所 見 で は 尿酸 値 が 高 値 を 示 す 以 外 異 常 を 認 め な か っ た. CRP(一).IgEl411UXml.ま 界 型 で,尿 た75gGTTは 細 菌 培 養,尿 結 核 菌 培 養,糞 境 便 虫卵 検 査 は い ず れ も 陰 性 で あ っ た. X線 検 査 所 見:胸 孟 造 影,尿 部 写 真,腹 部 単 純 写 真,排 泄性腎 道 膀 胱 造 影 に 異 常 は 認 め な か った. 以 上 よ り陰 嚢 内 腫 瘍 を 疑 い,1989年11月27日,腰 麻 下 に 陰 茎 根 部 会 陰 部 側 で 弧 状 に 切 開 を 加 え,腫 術 を 施 行 した.腫 よ うに 存 在 し,さ 薯 Fig.2 弩i葛贋 叡_/二k Case1-microscopic offoreign-bodygiantceHs らに 陰 茎根 部 で 左 右 に分 かれ 両 鼠 径 H&E,reducedfrom×100. 趣 瘤 は 灰 白色 を呈 して お 道 海綿 体 お よび そ の 他 の周 囲 組 織 との 剥離 は 比 較 的 容 易 で あ っ た.な photographofthe Infiltration isnoted. sclerosinglipogranuloma・ 瘤 は陰 嚢 内中 央 で 尿 道海 綿 体 を覆 う 部 に 連 続 し て 存 在 して い た.腫 り,尿 瘤摘除 難健 お 精 巣 ・精 巣 上 体 ・精 索 と は 離 れ て 存 在 し て い た. 病 理 組 織 学 的 所 見:脂 主 体 と し,リ 認 め た.チ ン パ 球,好 肪 組 織 中 に,異 VPen・ ー ル ・ニ ー ル セ ン 染 色 で は 結 核 菌 は 認 め ら れ ず 真 菌 検 出 を 目 的 に,グ が,陰 物 型 巨細 胞 を 酸球 の 浸潤 を伴 った 肉 芽腫 を Scrotum ロ コ ノ ト染 色 を 施 行 した 性 でsclerosinglipogranulomaと 診 断 した x (Fig.2). 術 後9ヵ ・ Fig.3.Schematicvlewofcase2. 月 を 経 過 し再 発 を 認 め な い. 症 例2 患 者lK.L,36歳,男 主 訴:陰 性,会 リ ン パ 節 は 触 知 せ ず.精 社員 茎 根 部腫 瘤 家 族 歴 ・既 往 歴=特 上,異 記 す べ きこ と な し 現 病 歴:1990年7月6日,入 の 無 痛 性 腫 瘤 に 気 付 ぎ,7月10日 茎根 部 当 科 を 受 診 し た.腫 瘤 は 陰 茎 根 部 の 背 側 に 存 在 し 無 痛 性 で あ っ た,患 外 傷,異 い,精 物 注 入 の 既 往 な く,症 査 目 的 に7月26日 入 院 時 現 症1身 86mmHg,脈 例1と 者 は 同様 の 疾患 を 疑 拍58/min,整.胸 重54kg,血 た.ま 面 不 整,弾 瘤 は 陰 茎根 部 の背 側 に 存 性硬 で 可 動 性 を有 してい た 陰 嚢 皮 膚 に は 異 常 を 認 め な か っ た(Fig.3). 入 院 時 検 査 成 績1尿 入 院 と な っ た. 長161cm,体 常 を 認 め な か っ た.腫 在 し圧 痛 な く,表 浴 時 に 偶 然,陰 巣 ・精 巣 上 体 ・前 立 腺 は 触 診 所 見,異 常 を 認 め ず.末 梢血で は,WBC73×103/mm3,RBC527×104/mm3,Hb 16.Og/dl、Ht46.6%、Plt2LO×104mm3.白 血 球分 画,Seg.32%,Sta.ll%,Eos.12%,Bas.1%, Mon.2%,Lym.42%と 圧122/ 腹 部 異 常 な し.表 在 末 梢 血 好 酸球 増 多 を 認 め た・ 血液 生 化 学 所 見 は 異 常 を 認 め ず.CRP(一)・ 尿細菌 児島,ほ か:硬 化性 脂 肪 肉 芽腫 ・男子 外 性 器 培養,尿 結 核 菌 培 養,糞 便 虫 卵 検 査 は い ず れ も陰 性 で 95 40 あった. X線 検 査所 見:胸 部 写真,腹 部 単 純 写 真,排 泄 性 腎 35 孟造 影,尿 道膀 胱 造 影 に異 常 は認 め なか った. 以上 よ り陰 茎 根部 に発 生 した,症 例1と 同 様 の疾 患 を疑 い,1990年7月27日,局 麻 下 に 開 放 生 検術 を 施行 した.腫 瘤 は 灰 白色 で,恥 骨 前 面 皮 下 よ り陰茎 根 部背 側 まで 連 な る境 界不 明瞭 な索 状 物 と して 存 在 し,生 検 のみを 施 行 した. 病 理 組 織学 的 所 見1症 例1と 同 様 異 物 型 巨細 胞 を中 心 と した 肉 芽腫 を認 め,sclerosinglipogranuloma と診断 した.術 後,消 炎剤(seaproseS),お 菌 剤(onoxacin)投 よび抗 30 ㌍ 己 ; 匿 20 19 さ 缶 望 睾 10 与 に て経 過 観 察 して い た と ころ, 1ヵ 月 目に は腫 瘤 を 触 知 しな くな った.ま た末 梢 血 好 5 4 4 3 酸球 も正 常化 した.術 後3カ 月 を 経 過 した が再 発 を認 2 0 め ない. 20∼2930∼3940∼4950∼5960∼69ア0∼ 考 ア9Unknown AGERANGE 察 Fig・AAgedistr三but三 〇nof72paticntswith sclerosinglipogranulomaofthemale 硬 化 性脂 肪 肉芽腫 は皮 下 の脂 肪 組 織 内に 肉 芽腫 性 変 化 を生 じる特 有 の反 応 性 病 変 で あ る.従 来,治 療 お よ genitalia.Patients,agesatthetimeof treatmentrangedfrom27to79years び 美容 上 の 目的 と して 油 脂 や パ ラ フ ィンな どの異 物 注 (median4L7years).Themajorityof patientswere30to49yearsold. 入を 行 うこ とに よ って 肉芽腫 が 生 じ る こ とは報 告 され てい た 。 1950年,Smetanaら1)は,男 子 外 性 器 の外 傷 後 に 生 じた,異 物 注 入 の 既 往 の な い症 例 を報 告 した.彼 ら 物 注 入 の既 往 のな い 原 因不 明 の男 チ外 性 器 硬 化 性 脂 肪 肉 芽腫,あ るい は本 疾 患 と考 え られ る72例 を 集 め 検 討 は 自験 例 お よび 過 去 に 報告 され た 症 例9例 を 集 め,こ した. れ らは外 傷 後 に な ん らか の形 で脂 肪 が 刺 激 され,非 生 年 齢 は27∼79歳(平 均41.7歳)で30か ら40歳 代 に ヒ ー クを認 め る(Fig .4).ほ とん どの症 例が 無 痛 性腫 理 的 な物 質 に変 化 して い くた め と考 えた.さ らに これ らの うち,外 傷 の既 往 の な い もの も存 在 し,そ の 発 生 瘤 を主 訴 と して お り,自 覚 して か ら受 診 まで の 期間 も, 機序 が 争点 とな った. 20年 前 か ら 自覚 して いた と され る1例6)を しか しそ の 後,こ れ ら内因 性 脂 肪 壊 死 を 否 定 した 報 除 き,2日 ∼2カ 月 と比 較 的 早期 に受 診 して い る.形 態 的 に 佐藤 告や,患 者 が外 性 器 とい う部 位 的 特 殊 性 か ら異物 注 入 ら7)は3型 に 分 類 して お り,こ れ に よる と,本 症 例1 を 否定 して い る可 能 性 も論 じ られ て きた3). の如 く,陰 嚢 内中 央 よ り陰 茎根 部 を取 り囲 むY字 型 を 19フ7年,Oertelら4)は,Smetanaら の 報告 した 症例 を 含 む,男 子 外 性 器 硬 化 性 脂 肪 肉芽 腫23例 につ 呈 した 腫 瘤 を1型,本 症 例2の 如 く陰 茎 根 部 の 中央 付 近 に腫 瘤 の存 在 す る も のをU型,精 索 また は 片側 陰 嚢 き,赤外分 光分 析 を用 い再 検 した 結 果,21例 に パ ラ フ ィ 内に 存 在 す もの を 皿型 と分類 して お り,こ れ に よ り72 ンを検 出 し,結 局,皮 下 へ の 異 物 注 入 が原 因 で あ る と 例 を 分 類 す る と,1型 説 明 した.し か し一 方 でdermoidcystの %),m型 破裂 に よ が4例(6%),不 が50例(69%),ll型 が17例(24 明1例(1%)と,陰 嚢 って も同様 の反 応 が 起 き る こ と よ り,内 因性 脂 肪 壊 死 内中 央 よ り陰 茎 根部 を取 り囲 むY字 型 を 呈 した1型 の の存 在 も否 定 で きな い と した. 腫 瘤 を 高率 に認 め,異 物型 肉芽 腫 と比 較 し特 徴 的 な所 事実,1988年,Matsudaら5)は,陰 嚢 内硬 化 性 見 とい え る,さ らに 本 症 例2の 如 く,生 検 あ る いは 部 脂 肪 肉 芽腫 の4例 を 報 告 し,こ れ らに つ き赤 外分 光 分 分 切除 術 後,消 炎剤 な どの 保 存的 治療 に て 経 過観 察 中, 析 な ど を用 い 調 べ た結 果,外 因 性 物 質 を 認 め ず,異 物 腫 瘤 が 自然 消 退 した もの を20例(28%)認 注 入 に よ らず 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 が発 生 す る こ と を証 明 入の既 往 の な い硬 化 性 脂 肪 肉 芽腫 の 大 きな特 徴 と い え した. 今 回,わ れ わ れ は,本 邦 に お け る 自験 例 を 含 め た異 め,異 物 注 る.白 然 消退 まで の期 間 も数 週 か ら数 ヵ 月 以 内 と比 較 的短 期 間 で あ った.以 前 よ り近 畿 地 方 を 中心 に 多発 す 96 泌 尿 紀要38巻1号1992年 2 閥0馳 ●耐0 3 Tohoku 畿,o: ヒロリヒ 蹄 差 蜜繍l 1● ●K・0竃O K脚 覇uIO Chubu 3 Chugoku り O院i願o騨00 了0胎172 昂 ヒi 4 10Shoヒoku ▼聾曲 魍 知 Distributionof72reportedcases(inJapan)ofsclerosing llipogranulomaofthemalegenitalia(1967-1990). Fig.5. る傾 向 が あ る といわ れ て きた が,確 か に近 畿地 方 か ら の報告 が22例(31%)と1番 か ら も19例(26%)と,沖 多 い が,そ の他 関 東 地 方 縄 地方 を除 く全 国 か ら報 告 治療 後 の経 過 と して,腫 瘤 摘 除 後 の再 発 を6例(8 %o)に 認 め る.1例 は陰 嚢 部寒 冷 暴露 が 原 因 と考 え ら れ,陰 嚢 部 冷 竃 法 を 中 止す る こ とに よ り消 失 し12),i され て お り,明 確 な 地 域的 特 殊 性 は な い もの と考 え ら 例 は再 発 した もの の 増 大傾 向 な く消 炎 剤 投 与 に て 経過 れ る(Fig・5)。発 生 原 因 につ い て は 不 明 で あ るが,末 梢 観 察 中 で あ る16)残 血 好 酸球 増 多 を19例(26%)に 然 消退 してい る9・ 「1・17).い ず れ も悪 性 化 の報 告 は な い. 認 め,な ん らか の ア レ る4例 は 消 炎 剤 投 与 な どに よ り自 ルギ ー性 機序 が 考 え られ て い る.な お これ らの特 徴 と 合 併症 と して,両 側 下 腿 皮 下 に も硬 化性 脂 肪 肉芽 腫 を して ほ とん どの症 例 で腫 瘤 摘 除 後,あ る い は腫瘤 の 自 伴 った1例18)と,手,足 然 消退 後 に末 梢 血 好 酸 球 が正 常 化 して い るが,詳 細 は が 報告 され て い る. 不 明 で あ る.そ の他 考 え られ る原 因 と して外 傷2例8・9), 陰 茎 。陰 嚢 部 の圧 迫2例10・1D,寒 xacin点 冷暴 露2例12)oflo- 関 節 の腫 脹 を 伴 った1例13)と これ ら異 物 注 入 の 既 往 の な い硬 化性 脂 肪 肉芽 腫 は 本 邦 です で に72例 報 告 され て い るが,い ま だ にそ の発 症 鼻薬 に 起 因 した ア レルギ ー症 状 に伴 って 生 じ 原 因 は不 明で あ り,ま た赤 外 分 光 分 析 な どの生 化 学 的 た と考 え られ る1例13)が 挙 げ られ て い る.従 来,幼 少 分 析 に て 内因 性 脂 肪 壊 死 が 原 因 で あ る と確 診 され て い 時 の 寒 冷暴露 後 に発 症 す る同 様 の状 態 をHinmann る もの は この 内6例5・19)し か な い が,坪 ら12)の指 摘 す ら14)がscrotalfatnecrosisと して報 告 した が,成 人 る様 に新 しい 疾 患 単 位 と して 独 立 され るべ き時 期 に き で は 陰 嚢 皮下 脂 肪が 二 次 性 徴 と と もに 消 退す る こ と よ て い る と思わ れ る.ま た そ の 特 徴 的 な 臨 床 所見 よ り, り発 症 しな い と され て い た.し か し坪 ら12)は成 人 に も 異 物型 肉芽 腫 あ るい は 他 の 陰 嚢 内腫 瘤 病 変 との鑑 別 は 会 陰 部 よ り陰 茎 根 部 まで 皮』ド脂 肪 が 存 在 して お り,こ 比 較的 容易 で あ る と考 え られ る. こに 発 症 すれ ぽ本 疾 患 に特 徴 的 なY字 型 を 讐す る と し た.事 実,彼 らの 報告 した2例 は陰 嚢部 寒 冷暴 露 と密 接 に 関 係 して い る と思 われ る. 病 理 組 織学 的 には,本 症 例 と同様 の所 見 を示 す が, 壊 死 や細 胞 浸 潤 を伴 う時 期,巨 細 胞 を伴 う時 期,繊 維 化 を 示 す時 期 に分 け,こ の 肉 芽腫 か ら繊維 化 へ 主 像 が 移 れ ば腫 瘤 が 自然 消退 す る との報告 もあ る15)。 最 後 に,本 邦報 告72例 の 臨 床 所 見 を ま とめTable lに 示 した が,治 療 は 自然 消 退 す る こ と と,そ の 後 の 再 発 も少 な い とい った こ と と よ り,生 検 に て病 理 組 織 学 的 に確 診 後 は,保 存 的 治 療 に て 自然 消 退 を期 待 し, 経 過 観 察 す べ きで あ る と考 え る. 児 島,ほ か:硬 化 性 脂 肪 肉 芽腫 ・男 子外 性 器 TableLSummaryof72reportedcasesof sclerosingIipogranulomaofthemale 97 5)MatsudaT,ShichiriY,HidaS,etaL三Eosinophilicsclerosinglipogranulomaofthe genitalia. malegenitalianotcausedbyexogenouslip・ ids.JUrol140:1021-1024,1988 年 齢27-79(4L7)歳,30-40代 発生原因 症 状 腫瘤形態 発生地域 に ピ ー ク ア レル ギ ー?(薬 外傷,物 療 藤 伸 二,上 物 ア レル ギ ー を含 む), 理 的 圧 迫,寒 冷 暴 露ctc. ほ とん どが無痛性腫 瘤で4例 に有痛性腫瘤 皿 型4例(6%),不 原 康 雄,中 牟 田 誠 一:陰 尿49'1683,1987 7)佐 藤 直 秀,桜 明1例(1%) 分切 除術4例(6%), 高 位 除 睾 術2例(3%),生 17例(24%) 山 由 利,石 川 尭 夫,ほ か 8)宮 崎 良 春,藤 澤 保 仁,石 井 原発 性 陰 泌43'525-528, 竜1陰 嚢 内硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1例.西 日 泌 尿50=1446,1988 9)田 村 雅 人,古 川 敦 子,宮 本 忠 幸,ほ か=陰 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の4例,日 検後保存的治療 嚢 内硬 本 ア ン ド ロ ロ ジ ー学 会 第9回 学 術 大 会 講 演 抄 録 集llOO-101,1990 堀 能 立,鏑 木 豊,猿 木 和 久,ほ か:陰 10)深 自然 消 退20例(28%),数 再 週 か ら数 カ 月 以 内 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1例.北 発6例(8%) 合 併 症 茎部 日泌 嚢 内 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の2例.臨 1989 沖縄地方 を除 く全国 嚢,陰 のSclerosingLipogranulomaの1例.西 1型50例(69%),ll型17例(24%), 摘 除 術49例(68%),部 治 6)佐 嚢 内硬 関 東 医 学38:175- 182,1988 両 側 下 腿 皮 下 に も硬 化 性 脂 肪 肉芽 腫 が 発 生 した1例 と手,足 11)在 原 和 夫,増 関節 の腫 脹 を伴 っ た1例 田 愛 一 郎,稲 土 博 右,ほ 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1例.日 か:陰 嚢内 泌 尿 会 誌81:658, 1990 12)坪 結 俊 輔,野 語 男子 外 性 器 に 発 生 した原 因 不 明 の硬 化 性 脂 肪 肉芽腫 々 村 克 也,小 155-159,1998 原 優i,清 13)河 水 保 夫,大 の2例 を報 告す る と と もに,本 邦 報 告72症 例 を 集 計 し cin点 若 干 の文 献 的 考 察 を加 えた. 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1例.西 1990 本論文要旨の一 部は第131回 日本泌尿器 科学会 関西地方 会 林 真 也,ほ か:原 陰 嚢 内 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の2例.日 発性 泌 尿 会 誌79: 田 修 平,ほ か:Ofioxa- 鼻 薬 ア レ ル ギ ー 症 状 に 併 発 した 陰 嚢 内 硬 化 日 泌 尿52:1639-1643, 14)HinmanFandJohnsoncMDifferential diagnosisofacutefatnecrosisinthescro- において発表 した. tum.Juro141=726-732,1931 15)鷹 文 巣 晃 昌,畑 献 16)中 1)SmetanaHFandBernhardW・Sclerosing lipogranuloma.ArchPathol50:296-325, 山 忠,濱 認 め た 脂 肪 性 肉 芽 腫.病 田 誠 司,海 老 原 和 典,浦 崎 周 次,ほ か:陰 嚢 内に 院 病 理5:58,1987 野 悦 郎,ほ か:陰 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫.臨 泌42:373-375,1988 17)寺 崎 博,土 岐 直 隆,下 村 貴 文,ほ か:陰 嚢内 嚢 内に 1950 2)西 守 哉:外 の 症 例.日 陰 部 癌 を 発 生 し た 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1例.日 79=1734,1988 うた が わ れ た 非 特 異 性 炎 症 泌 尿 会 誌5811092-1093,1967 18)岡 本 圭 生,福 3)NewcomervD,GrahamJH,SchaffertRR, 山 拓 夫,岡 本 英 一,ほ 泌尿会誌 か:両 側下肢 に も 腫 瘤 を 認 め た 陰 嚢 内 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の1 etal。.Sclerosinglipogranulomaresulting fromexogenouslipids.ArchDermatol73: 例.日 泌 尿 会 誌811332,1ggO 泉 雄 一 郎,石 塚 源 造,山 l9)小 口 哲,ほ か1陰 嚢内 36i-372,1956 4)OertelYCandJohnsonFB:sclerosingli。 pogranulomaofmalegenitalla・Reviewof 23cases.ArchPatholLabMed101:321-326, 1977 硬 化 性 脂 肪 肉 芽 腫 の2例 1989 。 日 泌 尿 会 誌80:978, (ReceivedonFebruary26,1