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小型漁船のインベントリ分析に関する研究 -A :モデル船の建造・運航状況

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小型漁船のインベントリ分析に関する研究 -A :モデル船の建造・運航状況
小型漁船のインベントリ分析に関する研究
- A : モ デ ル 船 の 建 造 ・ 運航状況調査 -
亀山 道弘*、木原 洸*、林 慎也*、千田 哲也*、
櫻井 昭男*、久津見 都*
深町 得三**、大熊 正造**、田子 廣政**、岡田 一成**、
本多 貴寿**
蒲谷 勝治***
Research on Application of Inventory Analysis
to Fishing Boat
-A: Investigation on ship modelby
Michihiro KAMEYAMA, Takeshi KIHARA, Shinya HAYASHI,
Tetsuya SENDA, Akio SAKURAI, and Miyako KUTSUMI
Tokuzo FUKAMACHI, Shozo OHKUMA, Hiromasa TAGO,
Kazunari OKADAand Takahisa HONDA
and Shoji KABAYA
ABSTRACT
Life Cycle Assessment (LCA) is a technique for assessing the environmental potential impacts associated with
products throughout their life cycle, from raw material acquisition, manufacturing, consumption and to final
disposal. LCA requires LCI (Life Cycle Inventory) analysis as the first step, but there had been no LCI data on a
ship, although, before this research started. A preliminary LCI analysis of two types of scallop fishing boats of 14
gross tonnage (GT), one is made of aluminum-alloy, the other of FRP (Fiber Reinforced Plastic), was performed as
a portion of the research to institute an LCA methodology for ships.
This report comprises three parts: the first part, “A”,provides the specifications and the ways of manufacturing
and operation of the two scallop fishing boats based on field investigations except dismantling of the boats and
recycling of used parts as well as analysis models for inventory analysis; the second part “B”provides the result of
inventory analysis for the aluminum-alloy boat and the last part,”C”,hdoes the inventory analysis of the FRP boat.
*
LCA研究グループ
** ヤマハ発動機㈱
***元ヤマハ発動機㈱
1
目次
1. はじめに ................................................................................... 1
2. モデル船の概要 ..................................................................... 2
2.1 適用規則など .................................................................. 2
2.2 船体の構成 ..................................................................... 2
2.2.1 アルミ合金漁船 ...................................................... 2
2.2.2 FRP漁船 ................................................................... 2
3. 建造 ......................................................................................... 10
3.1 アルミ合金漁船 ............................................................ 10
3.1.1 建造工程と作業プロセス .................................. 10
3.1.2 建造システムデータ ........................................... 12
3.2 FRP漁船 ....................................................................... 13
3.2.1 建造工程と作業プロセス .................................... 13
3.2.2 建造システムデータ ........................................... 14
4. 運航 ......................................................................................... 30
4.1 漁協の組織と事業概要 ............................................ 30
4.2 養殖 .................................................................................. 30
4.2.1 養殖の方法 ............................................................. 30
4.2.2 作業内容 ................................................................ 30
4.3 加工作業 .......................................................................... 30
4.4 操業方法と主機関の運転状態 ............................. 30
4.4.1 ホタテ桁曵網漁法 .............................................. 30
4.4.2 操業手順 ................................................................ 30
4.4.3 主機関の運転状態 ............................................. 31
4.5 保守・修理 ...................................................................... 31
4.5.1 保守作業 ................................................................ 31
4.5.2 修理と整備 ............................................................ 31
4.5.3 検査 .......................................................................... 32
4.6 使用年数 ........................................................................ 32
4.6.1 漁船使用年数 ...................................................... 32
4.6.2 主機関使用年数 .................................................. 32
5. おわりに .................................................................................. 32
6. 謝辞 .......................................................................................... 32
参考文献 ..................................................................................... 32
1. はじめに
世界的に環境問題がクローズアップされる中、環境マ
ネージメントの国際標準規格であるISO (International Standardization Organization)14000シリーズの導入は欧米先進
国のみならず、我が国においても浸透しつつある。特に製
品の環境負荷を天然資源の生産から製品の廃棄までの
一連の流れにおいて定量的に評価する手法であるライ
フ・サイクル・アセスメント(Life Cycle Assessment :LCA)手
法はISO14040において規定され、各種産業界においても
その適用を深める状況にある。
LCAにおいて製品の環境負荷を定量的に評価するため
には、製品製造に対して投入されたすべての資源を入力
とし、また、副産物を含む生産物と環境に影響を与えるす
べての排出物を出力とし、その入出力全体を収支表として
整理したインベントリを作成する必要がある。しかし、船舶
は数多くの素材や部品を使用し、多種多様な加工・組立
作業を経て建造されること、さらには船種や大きさによっ
て運航形態が様々で多様なライフサイクルを有することか
らライフサイクル全般でのインベントリを算出する手法は
検討されてきていない。そのため、著者等は船舶へのライ
フ・サイクル・インベントリ(Life Cycle Inventory: LCI)分析を
適用することを目的とし、モデル船の解析を通じて船舶の
LCI分析手法をモデル化する研究を開始した1)2)3) 。すでに
大型外航船のL C I 分析に関しては、研究成果の一部を報
告している4) 。
大型外航船を含め、船舶の大半は鋼鉄で建造される
が、小型船にあっては鋼鉄以外の素材も種々利用され、
それに従って建造方法も大型鋼船とは異なる。特に小型
漁船では、経済的な理由と思われるが繊維強化プラス
チック(Fiber Reinforced Plastic:FRP)を利用したFRP漁船が
多い。また、近年、保守性の向上あるいは環境への低負
荷性等を目指してアルミニウム合金を利用したアルミ合金
漁船の建造が多く見られるようになった。このように使用
目的、大きさが同じであっても、異なる素材で、しかも異な
る建造方法で作られた船舶の環境負荷がライフサイクル
で見てどのように異なるかは現時点では明らかにされて
いない。
そこで、本研究では研究を進めている船舶のL C I 分析
手法の適用範囲を拡大するために、鋼船とは素材と建造
方法が異なるF R P 小型漁船とアルミ合金小型漁船をモデ
ル船としてLCI分析を試みることにした。LCI分析を実施す
るに当たっては大型鋼船と異なるF R P 漁船とアルミ合金漁
船に特有の素材や中間投入材のインベントリデータ及び
建造と運航段階の各要素行程(プロセス)のデータが必要
になる。そのため、それぞれの建造と運航実態の調査を
行った。ただし、ライフサイクルで評価するためには、解
体・最終処分あるいはリサイクルのデータが必要である
が、小型漁船の再利用、解体及び回収したアルミニウム合
金材あるいはF R P材をリサイクルする一般的な実施方法は
確立されていないため、今回の調査範囲からは除くことに
した。
本調査研究の目標は、小型F R P 漁船と小型アルミ合金
漁船のモデル船としてホタテ桁曳き漁船を選定し、それぞ
れの建造と運航に関するプロセスの詳細と現時点で取得
できるプロセスデータを把握し、その調査結果に基づき
建造と運航段階のLCI分析を実施し、二酸化炭素(CO 2)の
排出量とそのプロセス毎の内訳を把握することとした。
本報告は、まずA 編でモデル船の船体仕様、建造工程
及び運航状態の実績等の調査結果を報告する。B 編及び
C 編においてそれぞれアルミ合金漁船及びF R P 漁船の建
2
造と運航段階に関するインベントリ分析の結果を報告す
る。
2. モデル船の概要
2.1 適用規則など
解析対象のモデル船とした小型漁船は、日本のある漁
業協同組合( 以 下 、「 漁協」 と言う) により、小型機船底引き
網漁業を目的として国内の造船所で建造された船である。
アルミ合金漁船は「漁協」の調査船として、FRP漁船は外海
ホタテ桁曵き漁船として使用されている。総トン数は両船と
も1 4 トンであり、その概要を写真−2 . 1 と写真−2 . 2 にそれ
ぞれ示す。
モデル船は漁船であり、その船体寸法、搭載機関の馬
力については農林水産省の漁船法、漁船法施行規則及
び漁船検査規則が適用される。また、漁船特殊規則では
小型第1種漁船に分類される20トン未満、航行区域12海里
以内の漁船である。船舶の構造、機関及び設備等を規定
する船舶安全法の適用は同法第3 2 条により除外されてい
るが、アルミ合金漁船の船体構造は国土交通省の定める
軽構造暫定基準に基づいて、FRP漁船の船体構造は造船
会社の社内基準に基づいて、それぞれ設計されている。
2.2 船体の構成
モデル船の船体構造、機関仕様及び重量構成等を以
下に示す。なお、以下、本報告では船の大きさ ( 容積) を
表す総トン数の単位には 「 トン」 を使用し、船が運べる貨
物の重量等、物の重さを表す単位には「 t」 を使用する。
2.2.1 アルミ合金漁船
(1) 船体構造
アルミ合金漁船の主要目及び一般配置図を表−2 . 1 及
び図−2.1に示す。本船は、船首部に操舵室、船体中央部
に漁労装置と船倉、そして、船尾部に主機関を備えてい
る。船殻はアルミニウム合金製であり、本船の中央横断面
図を図−2 . 2 に示す。また、使用しているアルミニウム合金
の板厚及び材質を表−2.2に示す。船底、船側及びデッキ
用には厚さ6∼9mm、また、キール部では場所により10mm
又は20mmの板厚のA5083P系アルミニウム合金が使用され
ている。
(2) 主機関と艤装
主機関は出力6 5 0 P S の4 ストロークディーゼル機関
で、燃料はA 重油を使用し、地元の漁協から購入する。燃
料油の消費率は160g/(PS・h)(定格出力)であり、潤滑油の
消費率は約0 . 5 g / ( P S ・h ) である。また、発電機はA C 用
(220V、20kVA)及びDC用(24V、5kW)を各1基持ち、動力源
は主機関である。
漁労装置として本船はトロールウィンチ、カーゴウィンチ、
デリックブーム及びトロールダビット等を有する。
(3) 軽荷重量と載貨重量
漁場へむけて出港する時とホタテ貝を満載して漁場を発
つ時の計画載貨重量を表−2.3に示す。船体重量(軽荷重
量)は25.9tであり、満載時の漁獲物の重量は18tである。
船体重量を船殻、機関、電気、漁労装置及び一般艤装
に分類した場合の重量構成と各部の占める重量比を表−
2 . 4 と図−2 . 3 に示す。船殻重量が船体に占める割合は約
4 2 %であり、大型船舶に比べその割合は小さい。船殻重
量に占める主な構造材の材質と重量を表−2 . 5 に示す。ア
ルミニウム合金の板材、型材及び管材で全体の約9 0 %を
占め、そのうち溶接材料と塗料が各々約6 %と約4 %を占
める。なお、重量構成の詳細を資料1 に示す。
2.2.2 FRP漁船
(1) 船体構造
FRP漁船の主要目及び一般配置図を表−2.6及び図−
2 . 4 に示す。アルミ合金漁船と同様の構成となっているが、
船殻はFRP製である。本船の横断面図を図−2.5に示す。
また、主な部分のF R P の積層数( プライ数) を表−2 . 7 に示
す。船体の船底、船側及びデッキ用に厚さ約7 ∼8 m m の
FRP板を、キール部に板厚約15mmのFRP板を使用してい
る。また、心材や補強材としてウレタンフォーム、アクリルの
発泡体及び木材を使用している。
(2) 主機関と艤装
主機関はアルミ合金漁船と同様の4 ストロークディーゼル
機関であるが、出力は5 5 0 P S と小さい。燃料油消費率は
162g/(PS・h)(定格出力)であり、潤滑油の消費率は約0.5g/
(PS・h)である。また、発電機と漁労装置はアルミ合金漁船と
同様であるが、船倉はFRP製である。
(3) 軽荷重量と載貨重量
F R P 漁船の計画載荷重量を表−2 . 8 に示す。船体重量
(軽荷重量)は26.3tであり、満載時の漁獲物の重量はアル
ミ合金漁船と同じ18tである。
船体重量を船殻、機関、電気、漁労装置及び一般艤装
に分類した場合の重量構成と各部の占める重量%を各々
表−2.9及び図−2.6に示す。船殻重量が船体に占める割
合は、アルミ合金漁船とほぼ同じ4 2 %であった。船殻重量
1 1 . 0 t に占める材料の内訳を表−2 . 1 0 に示す。ポリエステ
ル樹脂やガラス繊維等のF R P 材が全体の約8 5 %を占め、
ラワン材及び固着釘が各々約1 0 %と約4 %を占めた。なお、
重量構成の詳細を資料2に示す。
3
写真-2.1 アルミ合金漁船
写真-2.2 FRP漁船
4
表-2.1 アルミ合金漁船の主要目表
全長
全幅
型深さ
登録長
登録幅
登録深さ
測定長
測定幅
測定深さ
計画総トン数
主機関
21.66m
4.78m
1.21m
17.60m
4.38m
1.20m
19.20m
3.90m
1.20m
14トン
YANMAR 6LX-ET
(定格出力) 650PS
定員
6人
用途
小型機船底びき網漁業
燃料油の種類 A重油
燃料油の消費量 160g/(ps・hr)
発電機動力
主機駆動
図-2.1 アルミ合金漁船の一般配置図
5
図-2.2 アルミ合金漁船の中央断面図
表-2.2 船殻材料表(アルミ合金漁船)
部位
船底板
船側板
デッキ板
キール
ブルワークプレート
上部構造板材
主船体主要型材
上部構造主要型材
材料
溶接πセクション 平板
溶接πセクション 平板
平板
単板部、ボックス部
平板
平板
平板材、バルブプレート材
平板材、バルブプレート材
板厚(mm)
9
7又は8
6
20、10
6
4又は5
─
─
材質
A5083P
A5083P
A5083P
A5083P
A5083P
A5083P
A5083S
A5083S
表-2.3 計画載荷重量表(アルミ合金漁船)
単位(t)
状態 満載出港 満載漁場発
項目
軽荷排水量
25.9
25.9
燃料油
2.5
1.9
乗組員
0.4
0.4
調査道具
1.2
1.2
漁具
─
─
サンプル
─
18.0
漁獲物
─
─
合計
30.0
47.4
(注) 本船は調査船であるため、搭載可能な漁獲物をサンプルと記した。
6
表-2.4 船体の重量構成表(アルミ合金漁船)
1.
2.
3.
4.
5.
項目
船殻
機関艤装
電気艤装
漁労装置
一般艤装
合計
重量(t)
10.7
5.6
1.6
4.9
3.1
25.9
(%)
41%
22%
6%
19%
12%
100%
主な部品
塗料を含む。
主機関、減速機、プロペラ軸、プロペラ等
発電機、バッテリー、電線等
トロールウィンチ、トロールワイヤ、カーゴウィンチ等
門型マスト、デリックブーム、舵板等
一般
艤装
12%
船殻
41%
漁労
装置
19%
電気艤装
6%
機関艤装
22%
図-2.3 船体に占める各部の重量の割合(アルミ合金漁船)
7
表-2.6 FRP漁船の主要目表
表-2.5 船殻の主な構造材の材質と重量(アルミ合金漁船)
構造材の種類
材質 使用重量(㎏) (%)
板材
A5083
7.5E+03
70
型材
A5083
1.9E+03
18
管材
A5083
2.3E+02
2
管材ワイヤー
A5183
5.7E+02
5
溶接棒
A5183
5.0E+01
1
塗料(水線上)
3.4E+02
3
塗料(船底部)
9.1E+01
1
合計
1.1E+04
100
(注)6.塗料(水線上)にはデッキ、上部構造及び船体内部を含む。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
全長
全幅
型深さ(D')
登録長
登録幅
登録深さ
測定長
測定幅
型深さ(Dm)
計画総トン数
主機関
定員
用途
燃料油の種類
燃料油の消費量
発電機動力
図-2.4 FRP漁船の一般配置図
21.66m
4.78m
1.21m
17.60m
4.18m
1.38m
19.20m
3.90m
1.20m
14トン
YANMAR 6LAH-ST
(定格出力)550PS
5人
小型機船底びき網漁場
A重油
162g/(ps.hr)
主機駆動
8
図-2.5 FRP漁船の横断面図
表-2.7 FRP漁船各部のFRP積層数(プライ数)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
表-2.8 計画載荷重量(FRP漁船)
単位(t)
状態 満載出港 満載漁場発
項目
軽荷排水量
26.3
26.3
燃料油
2.5
1.9
乗組員
0.4
0.4
調査道具
─
─
漁具
1.2
1.2
サンプル
─
─
漁獲物
─
18.0
合計
30.4
47.8
部位
キール外板
船底外板
船側外板
上甲板
ブルワークプレート
上部構造
船底縦肋骨
船側縦肋骨
甲板縦肋骨
プライ数
16
9
8
8
8
6
4
4
表-2.9 重量構成表(FRP漁船)
項目
重量(t) (%)
主な部品
船殻
11.0
42 塗料を含む
機関艤装
3.7
14 主機関、減速機、プロペラ軸、プロペラ等
電気艤装
1.3
5 発電機、バッテリー、電線等
漁労装置
5.1
19 トロールウィンチ、トロールワイヤ、カーゴウィンチ等
一般艤装
5.2
20 門型マスト、デリックブーム、舵板等
合計
26.3
100
9
一般艤装
20%
船殻
42%
漁労装置
19%
電気艤装
5%
機関艤装
14%
図─2.6 船体に占める各部の重量割合(FRP漁船)
表-2.10 FRP漁船の船殻重量の内訳表
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
材料名
外装ゲルコート
内装ゲルコート
ポリエステル樹脂
ミッシュマッシュペースト
硬化剤
ガラス繊維
小計(1-6)
ウレタンフォーム
ラワン材
ラワンベニヤ(ラベ)
t 9 ラベ
t12 ラベ
t15 ラベ
t20 ラベ
t30 ラベ
t40 ラベ
小計(9)
BM4(t 4バルーンマット)
t15 KC(クレゲセル)
固着釘
防汚塗料
合計
数量
単位
備考
調合比1%
1.8E+00
8.3E-01
m
m3
3
ρ=0.03
ρ=0.59
4.2E+01
4.7E+00
1.2E+01
2.1E+01
9.5E-01
1.2E+00
㎡
㎡
㎡
㎡
㎡
㎡
ρ=0.60
2.1E+01
8.5E+00
㎡
㎡
9.8E+02
L
副資料
アセトン
ρ=0.79
重量
単位
2.3E+02
kg
2.2E+02
kg
5.2E+03
kg
5.0E+02
kg
5.7E+01
kg
3.1E+03
kg
9.3E+03
kg
5.4E+01
kg
4.9E+02
kg
%
2.1
2.0
47.4
4.6
0.5
28.0
85.0
0.5
4.5
2.3E+02
3.4E+01
1.1E+02
2.6E+02
1.7E+01
2.9E+01
6.7E+02
3.3E+00
1.3E+01
4.0E+02
5.3E+01
1.1E+04
6.1
0.0
0.1
3.6
0.5
100
kg
kg
kg
kg
kg
kg
kg
kg
kg
kg
kg
10
3. 建造
モデル船の建造工程の概要、作業内容および建造に
必要な資材やエネルギーの使用量及び排出物を把握す
るために、国内造船所でヒアリング調査し、システムデータ
としてまとめた。
調査対象とした工場は、現在は専らFRP船の建造を行っ
ており、その生産工場としては世界屈指の規模である。た
だ、1994年から1996年までの約3年間はアルミ合金漁船も
並列して建造され、合計5隻、積算で約100トンの実績があ
る。その建造能力と建造方法は国内の平均的なもので
あったと考えられるので、アルミ合金漁船とFRP漁船両方の
建造プロセスを本工場で調査した。
造船所の組織構成の概要と作業分担の一例を図−3 . 1
に示す。造船所全体の作業者数はF R P 船の設計と建造を
含めて約175名で、この他、外部社員として200名以上が従
事している。造船所全体の配置図を図−3 . 2 に示す。造船
所は土地95,000㎡、工場建屋、事務棟、部品倉庫及び圧
縮空気を製造する動力室等の建物2 0 , 8 0 0 ㎡並びに昇降
進水装置を有する。
生産する主な船種は各種のヨットやボート(60FTクラスま
で) 及び中型・大型漁船( 総トン数5 0 トン) 等である。生産能
力はヨット36フィート級換算で年30∼35隻である。
以下に、アルミ合金漁船とF R P 漁船それぞれの建造工
程と作業プロセス及びシステムデータの概要を順に述べ
る。
3.1 アルミ合金漁船
3.1.1 建造工程と作業プロセス
造船所における建造工程での作業範囲は以下のとおり
である。
・建造船舶の各種設計及び工作機械用のデータ作成
・アルミ合金板、アルミ合金管又は電線等の購入
・素材の切断、溶接、塗装等の加工作業
・部材、部品又は機器類等の取り付け及び調整
・海上試運転
・指定された場所への回航と引き渡し
主機、発電機等の機関部品、計器等の一般艤装品及
びアルミ合金製の漁労装置一式は外注により購入する。
また、型材、階段、扉、ハッチ、タンク等のアルミ合金製品
の製作も外部に依頼する。
モデル船の建造工程で使用される主な生産設備、装
置・機器等の機材を表−3.1に示す。生産設備等の主なエ
ネルギー源は電力、軽油等の燃料及び圧縮空気である。
アルミ合金漁船の建造工程における各作業の流れを図
−3 . 3 に示す。1 隻の建造に要する工数は、アルミ合金板
の工場への搬入から船主への引き渡しまで合計で約8 0 0
工数(時間)になる。
図−3.3 の(1)設計から(11)引き渡しまでの各工程の作
業内容を以下にまとめる。なお、作業工程のうち( 6 ) 小組立
から( 9 ) 塗装までの作業は、専ら建屋内に作成した架台の
上で行われる。
(1)設計
船の基本設計として各種文書や図面の作成及び工作
用N C マシンのデータの作成等を主にパソコン等の計算機
により行う。なお、設計は工場敷地内の事務棟で実施され
る。
(2)資材購入
アルミ合金板、管材、主機、艤装品及び漁労装置等全
ての資材はトラックで工場に搬入する。搬入資材のうち、
部品等比較的小さい資材は建造船舶毎に仕分けし、倉庫
で保管する。搬入資材には木材、塩化ビニル、発泡スチ
ロール及び紙等の梱包材が使用されている。これらの梱
包材は廃棄物として分別し、後述する造船所で定めた方
法で処理を行う。
(3)表面加工
工場に搬入されたアルミ合金板を天井クレーンの先に
取り付けたハッカで掴んで吊り上げ、所定の場所に置く。
アルミ合金板では鋼板に対して行われるショットブラストや
プライマー塗装は行わない。マーキング作業ではポンチ
マークやマジックインクで部材の取り付け位置等をアルミ合
板に記入する。
(4)切断
マーキング作業を終了したアルミ合金板をトラック又は天
井クレーンで切断作業を行う作業場所へ移動する。切断
ではシアリングマシン、エアプラズマ切断機、プラズマアー
ク切断機及び電気丸鋸等が用いられる。直線切断が最も
作業量の多い切断種類であり、作業量全体の8 0 %を占め
ると考えられる。また、厚板を直線的に切り出す作業の
約8 0 %程度で電気丸鋸を使用する。曲線部分の切断には
電気ジグソーを使用する。切断面は電気サンダーでグライ
ンダー掛けを行う。溶接用の開先を取る場合には、主に
ルーター( 別名:ベベラー) を用いる。
(5)曲げ
切断作業を終了した部材をフォークリフトで曲げ作業を
行う場所へ移動する。大型の板材の単純な曲げは四本柱
油圧プレス、小物の曲げはパンチプレスや三本ロール等
の機械曲げを用いる。複雑な形状の曲げではガス加熱を
用いる。曲げ作業に伴う電力消費量は微量で、建造全体
の作業量に伴う電力消費の 1%位と考えられる。
(6)小組立
切断および曲げ作業を終了した部材や板材をフォークリ
フトで小組立を行う作業場所へ移動する。ここでは、加工
された内部構造部材を板材に溶接し、船側・船底部 ( ハ
ル)、船倉、上甲板部 (デッキ)、及び上部構造部のブロック
を作成する。部材の据付けはクレーンや治具を使用して行
う。
溶接作業は作業者の手作業により行う。溶接方法は、
11
アルゴンガスをシールドガスとして使用するミグ(Metal Inert
Gas:MIG)溶接とティグ(Tungsten Inert Gas:TIG)溶接であ
る。溶接作業の主体はMIG溶接であり、板材の突き合わせ
溶接やハルとデッキのブロック接合に用いる場合が多い。
TIG溶接は、水密や気密の保持、または外観上から必要な
箇所に使用される。
MIG溶接とTIG溶接では工場建屋の配電設備から供給
される電力を使用する。
小組立で対象となる板厚5 ∼8 m m 程度の隅肉溶接や板
厚6 ∼9 m m の突き合わせ溶接は1 パスで行う。一方、板厚
10∼20mmのキール板と船底板との突き合わせ溶接では2
∼3パスを必要とする。
溶接の後処理として、歪み取り、グラインダー掛け及び
パテによる修正作業を行う。船の抵抗となるような水面以
下の流れと直交する方向の溶接線については、余盛りを
除去する表面研磨 (サンディング)を行う。
溶接ワイヤーは5kg入りパックを使用し、その梱包材はダ
ンボール部分とプラスチックに分別して処理する。
<架台製作>
ハル、船倉、デッキ及び上部構造を接合するために建
造船専用の架台を鋼材で製作する。架台はチャンネル材
やアングル材等の鋼材を電気丸鋸やボール盤で加工し、
アーク溶接で組み立てる。架台は建造作業が終了した後
L P G ガス切断で解体し、鉄スクラップ業者にリサイクル等
の処理を依頼する。
<型材・パイプ加工>
アルミ合金船ではアルミ合金製の型材・パイプを使用す
る。塩化ビニル製やF R P 製等のパイプは使用しない。ま
た、パイプにはポリエチレン等のライニング処理も行わな
い。
パイプの切断には主に卓上丸鋸を使用し、曲げ加工には
パイプベンダーを使用する。溶接作業は型材ではM I G 溶
接、また、パイプではT I G 溶接が主体となり、いずれも手作
業で行う。
(7)大組立
小組立したハル、デッキ、船倉及び上部構造はクレーン
で架台へ運搬する。各部を架台に設置して仮溶接を行っ
た後、本溶接としてMIG 溶接で各部を接合する。大組立で
対象となる板厚5∼9mm程度の隅肉溶接及び板厚6∼9mm
の突き合わせ溶接は概ね1 パスで行う。
溶接作業を終了した後、スラグを除去し、歪み取り、グラ
インダー掛け及びパテによる修正作業を行う。歪み取りは
油圧ジャッキやガス加熱を組み合わせて行う。しかし、モ
デル船では歪み取りはほとんど行われなかった。また、溶
接線の一部でX 線による非破壊検査を約2 0 箇所程度行
う。
(8)艤装
大組立した船殻に主機関、発電機、舵・プロペラ等の大
型部品、漁労装置、係留装置及び救命設備の取り付けを
行う。また、電線、パイプ及びドアやハッチ等の艤装作業を
行う。なお、主機関等の艤装品はクレーンやフォークリフト
で架台へ運搬する。
主機関や発電機は船殻にボルトで据え付けを行う。ま
た、舵・プロペラ軸の取り付けは、ジグソー、プラズマ切断
機又は電気ドリルでハルに穴あけ等を行い、溶接又はボ
ルトで船体に固着する。各種の艤装品も同様に取り付け
を行う。
機関等で使用するパイプは窒素ガスにより通気 ( パイ
プパージ) を行う。窒素ガスはボンベ単位で使用され、作
業現場までトラックで運搬される。また、パイプを接続した
後に油で洗浄 ( フラッシング) を行う。フラッシングに使用し
た洗浄液は抜き取り、外部の業者に依託して処理を行う。
船主の希望等により、艤装品のメッキ処理を行うこともあ
るが、メッキ処理は外部に依託して行われる。
(9) 塗装
塗装は大組立に引き続いて架台上で行う。塗装の前に
溶接線の不要な余盛りを削り取る。削ったアルミ屑は他のゴミ
と一緒に掃除機で回収し、燃えないゴミとして処理する。
塗装は種類の異なる塗料を3 回塗り重ねる。水線より下
になる船底及び船側部分は3 回目の上塗り塗装に防汚塗
料を用いる。モデル船の塗装場所とその仕様を表−3 . 2 に
示す。主材、硬化材及び溶剤を現場で混ぜ合わせて塗料
を作り、作業員がエアレススプレー、ローラー又はハケを
使って塗る。エアレススプレーは圧縮空気によるエアポン
プ駆動である。圧縮空気は造船所内の設備で製造され
る。
溶剤の種類は、主剤の種類に応じてキシレン、トルエ
ン、エステル系、アルコール系又はケトン系が用いられる。
主剤と硬化剤の入った缶に溶剤を混ぜ合わせ、合計2 0 k g
程度の塗料を作成する。なお、溶剤の使用量は塗装時の
外気温度により変化する。
工場は塗装に伴うミストを回収する装置を設備していな
い。塗装にエアレススプレーを使用した場合、塗料の3 0 %
程度、またローラーでは塗料の約 5%程度がミストとして大
気中に放出される。塗料に混入した溶剤は最終的には全
量が大気中へ放出されると考えられる。
廃棄するシンナー、塗装で使い残した塗料、塗料の
入っていた缶及び使用済みの刷毛等は廃棄物処理業者
に依頼し、処理する。
(10)海上試運転
艤装作業を終えたアルミ合金漁船の海上試運転を行う
ために進水台車ごと建屋から引き出し、移動用の吊り下げ
装置( トラバーサー) で進水用岸壁まで運搬する。岸壁で、
電力駆動の進水装置に移し、海上に進水させる。
海上試運転は積み荷のない軽荷状態に近い重量で、
喫水計測、逓増速力試験、操舵試験、旋回試験、前後進
試験及び燃費計測を行う。海上試運転に要する時間は概
ね 6時間程度であり、燃料には A 重油を使用する。なお、
12
モデル船の場合、海上試運転は、造船所が自主的に実
施するものである。
(11) 引き渡し
海上試運転を終了した後、船主の指定する引き渡しの
海域又は港まで自走する。
3.1.2 建造システムデータ
アルミ合金漁船の建造に関して造船所で消費した資材
やエネルギーの使用量及び排出物の調査結果をシステム
データとして図-3.4に示す。なお、本システムデータには、
素材や部品の製造に関わる排出物等は含まれない。以下
に、建造に関するシステムデータの詳細を示す。
(1)エネルギー等
a)電力
工場で使用する全ての電力は地域の電力会社から購入
し、自家発電は行わない。電力消費量( k W h ) は工場全体
での消費量として把握されており、事務部門や照明・空調
機を含め、使用する機器個別の電力使用量は管理され
ていない。アルミ合金漁船の建造に関する実績数が少
ないため、モデル船 1 隻の建造に必要な電力消費量を溶
接作業や照明等の電気機器の平均的な稼働率を推定し、
建造時の全作業工数(時間)に基づいて算出することにし
た。工場内における電力使用量と架台製作に使用した電
力量を算定するために機器の定格電力、稼働率及び電力
使用量の内訳を表-3.3及び表-3.4に示す。溶接機は作業
時の状況から推察して、負荷率5 0 %及びアークタイム率を
5%と仮定した。
算出した結果からモデル船1隻建造の電力使用量は合
計約5.0×104kWhと推定された。電力を消費する主な機器
は水銀灯、天井クレーン及び工作機械であり、当初多
いと予想した溶接作業に伴う電力使用量は全体の約 6
%であった。
b)燃料(ガソリン、灯油、LPG、軽油、A重油)
工場では燃料として、軽油、灯油、L P G 、ガソリン及びA
重油を使用する。
軽油、ガソリン及びL P G はトラック、乗用車、フォークリフ
ト等の輸送車両用の燃料として使用する。また、灯油は工
場の暖房用に使用される他、パイプの洗浄にも使用す
る。しかし、工場ではこれらの燃料の使用量は不明であっ
た。本調査では、これらの燃料の使用量は少ないと考え、
システムデータでは省略した。
A 重油は海上試運転時の燃料として使用される。モデル
船1 隻の建造に必要なA 重油の使用量を海上試運転の運
転方法及び主機関の定格出力での燃料消費量に基づい
て算出した。
c) 水
水は主に工場内での作業員の生活用水として使用し、
モデル船建造で直接、水を使用する工程はない。水の使
用量は工場内の数カ所で主に工場内の漏水の検知を目
的に計測されているが、その使用量は少ないため、システ
ムデータでは省略した。
(2)素材
a) アルミ合金材
モデル船1隻の建造に使用したアルミ合金材の種類とそ
の使用量を表−3.5(a)に示す。材料の歩留まりを含めたア
ルミ合金材の使用量は約1 2 t で、アルミ合金材の歩留まり
は80∼92%である。
b) アルミ溶接材
モデル船1隻の建造に使用した溶接ワイヤーと溶接棒
の使用量及び歩留まりを表−3.5 (b)に示す。
溶接ワイヤーの使用量は一般にアルミ合金材の発注量
の約5 %程度、また、溶接棒の場合の使用量は約5 . 5 %程
度と考えられており、今回の使用量は、平均的なものと思
われる。
c) 鋼材
鋼材はモデル船の建造に必要な架台にのみ使用され、
船体には使用されていない。架台の製作に使用した鋼材
の種類と使用量の内訳を表−3.6に示す。
d) 塗料及び溶剤
建造に使用した防食塗料と溶剤及び防汚塗料の種類と
使用量を表−3.7と表−3.8に各々示す。また、想定した塗
装方法と付着率に基づいて算出した船体に付着した塗料
の重量を表−3 . 9 に示す。塗装方法は全体塗装にはエア
レススプレー、また、船底塗装ではハケ塗りを想定し、塗料
の船体への付着率を各々8 5 %と1 0 0 %と仮定した。なお、
溶剤は全て大気中に揮発し、塗料には残存しないと仮定
した。
e) アルゴンガス
MIG 溶接でシールドガスとしてアルゴンガスを使用する。
その使用量は建造船毎にボトル数で管理している。モデ
ル船1隻の建造で使用したアルゴンガス量はボトル ( 圧力
150kg/cm2、容量7Nm3) で180本であった。
(3) 艤装部品
アルミ合金漁船の建造に使用する艤装部品の重量構成
は、すでに表−2.4に示した。
(4) 環境中への排出物
a) CO2
C O 2 は海上試運転において、主機関の運転に伴い排出
される。燃料として消費するA 重油に含む炭素分を8 5 %と
仮定し、CO2排出量を算出した。
b)溶剤
塗装作業に伴い塗料に混ぜられた溶剤が揮発し、大気
中に排出される。ここでは、使用した溶剤が全て大気中に
排出されるものとした。
c)その他の排出物
溶接のシールドガスとして使用されるアルゴンガスを排出
するが、アルゴンガスの環境への影響は無視できると考
え、省略した。
d)排水
13
工場で発生する汚水は生活排水であり、排出量が少な
いためシステムデータからは省略した。
(5) 固形廃棄物及びリサイクル品
工場でのリサイクル品及び固形廃棄物の分類を図−3 . 5
に示す。工場ではアルミ合金材等のリサイクル品を除き、
固形廃棄物を工場内で焼却する燃えるゴミ、外部の専門
業者等に処理を依頼する燃やせないゴミ及び産業廃棄物
に分類して処理する。モデル船1隻の建造で排出した廃
棄物の種類、量及び処理方法を表−3.10に示す。なお、シ
ステムデータ中の固形廃棄物は燃えるゴミ、燃やせないゴ
ミ及び産業廃棄物の排出量の合計とした。以下にリサイク
ル品と固形廃棄物の種類とその発生源を示す。
a)リサイクル原料
主なリサイクル原料は、部材の切断時に残ったアルミ材、
使い残した溶接ワイヤー及び電線の端材である。アルミス
クラップの排出量はアルミ合金板及びパイプの歩留まりに
基づいて算出した。
b)燃やすゴミ
燃やすゴミは紙、木くず、ウェス及びダイオキシンを発生
しないプラスチック類で、資材や部品の梱包材から多く発
生する。これらの燃やすゴミは工場内の焼却炉で焼却し、
焼却灰は産業廃棄物として処理する。
c)燃やせないゴミ
ダイオキシンを発生する塩化ビニル系プラスチック類等の
可燃物が対象となる。主な発生源は、燃やすゴミと同様に
資材や部品の梱包材及び電線の被覆材である。
d)産業廃棄物
産業廃棄物の種類と主な発生源を以下に示す。
・スラグ(溶接)
・粉じん( グラインダー作業)
・塗料のミスト
・各種フィルター( ヒュームガス等の収集)
・防熱材やロックウール(内装作業)
・燃えがら、灰(紙等の焼却処理)、
・汚泥( 工場内の汚水処理)
・廃油、スラッジ(主機関運転)
・廃缶(塗装)
3.2 FRP漁船
3.2.1 建造工程と作業プロセス
造船所における建造工程での作業範囲は以下のとおり
である。
・建造船舶の各種設計及び工作機械用データの作成
・ガラス繊維、不飽和ポリエステル樹脂及び発泡材等
の素材の購入
・素材によるFRPの成型
・各種部品又は機器類の取り付け及びそれらの調整
・海上試運転
・指定された場所までの回航と引き渡し
なお、主機、発電機等の機関部品、計器等の一般艤装
品及び漁労装置一式は外注により購入する。F R P 漁船の
建造工程で使用する生産設備、装置・機器を表−3 . 1 1 に
示す。
FRP漁船の建造工程における各作業の流れを図−3.6に
示す。モデル船の建造は、樹脂・ガラス繊維を手作業で
型の上に積層し、硬化した後に脱型する整形方法 ( ハンド
レイアップ法) で行う。F R P 漁船1隻の建造に要する工数
は、F R P 素材の工場への搬入以降から船主への引き渡し
まで約510工数である。図−3.6の(1)設計から(15)引き渡し
までの各工程の作業内容を以下にまとめる。なお、F R P の
積層には簡易雌型を使用する。
(1)設計
アルミ合金漁船と同様に、船の基本設計として各種文書
や図面の作成等を主にパソコン等の計算機により行う。な
お、設計は工場敷地内の事務棟で実施する。
(2)資材搬入
工場で使用する主なF R P 積層用の素材とその保管期間
を表−3.12に示す。FRP積層用樹脂のうちポリエステル樹
脂はタンクローリーで工場内の貯蔵タンクに搬入する。使
用量の少ないゲルコート類はドラム缶又は1 8 L 缶でトラック
を使って搬入する。その他のF R P 積層用ガラス繊維、主機
関、艤装品及び漁労装置等の資材はトラックで工場に搬
入する。
(3)型準備
FRP漁船の船穀(ハル)及び甲板部(デッキ)の型を作成す
る。F R P の積層・成形を初めて行う型の場合に限り、簡易
雌型を作成する。簡易雌型の作成は現図作業から始ま
り、上面を正確な水平面に仕上げた型用土台を角材で作
り、その上に骨格を組む。化粧合板を骨格に釘で圧締・接
着し、素地調整やパテ埋めを行った後、サンディング等に
より型表面の仕上げを行う。更に、研磨剤 ( ポリシングコン
パウンド) による表面研磨を行う。
次に、ハンドレイアップ法で積層したハルやデッキ等を型
からはずれ易くするために、離型ワックス ( ミラーグレーズ
練りワックス) を型表面に塗布し、溶剤が揮発した後に研磨
を行う。所定の厚さになるまでこの作業をくり返して行う。
ワックスは椰子から採取したカルナウバ等を主成分とした
固形状のものである。
(4)ゲルコート吹き付け
ゲルコート吹き付けはF R P 船の外装を整えるための表面
化粧法である。ハンドレイアップ法特有の方法であり、作業
員が吹き付け機( アプリケ−タ) を使用してハル及びデッキ
の各々の簡易雌型にゲルコートを塗布する。ゲルコート
は耐水、耐海水性、耐候性、耐クラック性、耐衝撃性等が
要求され、塗布する厚さは0.3∼0.5mmである。
ゲルコート樹脂の配合は、ポリエステル樹脂1 0 0 に対して、
チタンホワイト5∼15、アエロジル2 ∼5 、硬化促進剤0 . 5 ∼1
及び少量の着色顔料である。
14
(5)ガラス繊維の裁断
F R P の積層に使用するガラス基材は、裁断台でガラス基
材裁断機又はハサミを使用して所定の寸法に裁断する。
裁断したガラス基材は積層現場へ搬送する。裁断作業で
発生する裁断屑は回収し、固形廃棄物の燃やせないゴミ
として処理する。
(6)基本積層
積層現場でガラス基材に必要量の樹脂をビーナス機を
使用して塗布・含浸し、樹脂を塗布したガラス基材を所定
の場所に積層し、ゴムヘラ、ローラー等で脱泡する。な
お、船の構造上必要な箇所では板の曲げ剛性等を高める
ため、F R P 表面材の間に心材を挟んで接着するサンドイッ
チ成型を行う。心材にはアクリルフォーム、ラワン又はラワ
ンベニヤ等を使用する。
基本積層でのポリエステル樹脂と触媒の配合比及びポ
リエステル樹脂とガラス繊維の配合比を表−3.13及び表−
3 . 1 4 に示す。積層作業で使用するポリエステル樹脂の原
料はエチレングリコール、プロピレングリコール、無水マレ
イン酸、フマール酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スチレ
ン、添加剤等である。積層現場へのポリエステル樹脂の供
給に際しては、樹脂に予め促進剤( ナフテン酸コバルト) を
所定量配合し、工場内配管で送る。また、ポリエステル樹
脂をガラス繊維に含浸する直前に、メチルエチルケトン
パーオキサイド等の硬化剤を混合して使用する。
作業中の刷毛の乾燥防止、刷毛洗い及び機器洗浄等
のためにアセトンを溶剤として使用する。アセトンの一部は
回収・再生され、再使用されるが、接着部等の脱脂に使
用したアセトンは大気中に揮散すると考えられる。また、樹
脂の硬化反応に伴い、樹脂中のスチレンモノマーが大気
中に揮散する。
(7)補強材接着
縦通材、肋材、隔壁等の構造部材及び船体付きのタンク
等の船殻部品をマット・ロービングクロス積層(MR積層)によ
りハルに接着する。また、これら補強材等とハルとの接着
面は、脱脂、サンディング及びダスト除去等の表面処理を
行う。
(8)脱型
樹脂が硬化した後、ハル又はデッキを天井クレーンでつ
り上げて脱型する。吊り上げのための掴み部を脱型後に
切り取り、廃棄する。使用済みの型は、補修、素地調整及
び離型処理を施して、次の積層作業に再使用する。また、
バリなどの不要部分をナイフや電気サンダーを使用して切
り取る。切り取ったバリ等のFRPくずは燃やせないゴミとして
処理する。
(9)トリミング・サンディング
型の合わせ目、脱型用空気穴の跡、気泡、ゲルコート面
の異物巻き込み等の欠陥箇所があれば、補修作業(トリミ
ング) を行う。また、内部艤装やカップリングで接着面となる
部分の表面研磨(サンディング)を行う。
(10)機関艤装
主機関、発電機、軸管、舵軸受け及び魚倉等をクレーン
又はリフトで船台へ運搬し、ハルへの取り付け作業を行
う。また、漁労機械、係留機械及び救命設備等をデッキへ
取り付ける。
(11)カップリング
ハルと平行して製作したデッキをクレーン等でハル上に
移動し、接着する。
(12)内装艤装
電線、パイプ、扉及び梯子をクレーン等で船台へ運搬
し、ボルト固定、接着又はF R P 積層により取り付ける。パイ
プ類のフラッシングや各種艤装品のメッキ処理等はアルミ
合金漁船と同様に行われる。
(13)塗装
FRP漁船では船底部のみに防汚塗料を塗り、デッキや船
側等の部分は塗装しない。塗装作業では、塗料の付着性
を向上させるために、F R P 表面の油脂分や汚れを洗剤で
洗い落とし、サンディング、水洗い、乾燥及びF R P プライマー
塗料の塗布等を行う。なお、防汚塗料の塗装は2 回行う。
(14)海上試運転
海上試運転前に外観の目視検査、水漏れ検査、射水検
査(300mm/hで30分間)及び浮かべ検査(張水検査 30分間)
を実施する。引き続き行う海上試運転はアルミ合金漁船と
同様に行われる。
(15)引き渡し
船主の指定する海域または港まで自走する。
3.2.2 建造システムデータ
F R P 漁船1隻の建造に関して造船所で消費した資材や
エネルギーの使用量及び排出物の調査結果をシステム
データとして図−3 . 7 に示す。F R P 漁船の建造で使用する
簡易雌型の重量構成を表−3 . 1 5 に示すが、システムデー
タの各項目には、簡易雌型をF R P 漁船5 隻の建造で償却
することとして割り付けを行っている。また、素材や部品の
製造に関わる排出物等はアルミ合金漁船と同様に含めて
いない。
(1)エネルギー等
FRP漁船の建造で消費した電力、水、燃料の使用量を表
−3 . 1 6 に示す。各使用量は工場の1 9 9 4 年度の実績に基
づいてモデル船の平均的な工数で按分して算出した。
(a)電力
工場で使用する電力は工場全体で電力使用量( k W h ) を
管理しているが、アルミ合金漁船と同様に、機器個別の電
力使用量は管理されていないため、電力使用量の内訳は
不明であった。
(b)燃料油(ガソリン、灯油、軽油、A重油等)
工場では燃料として軽油、灯油、ガソリンをアルミ合金漁
船と同様にトラック等の輸送機器に使用する。A 重油は建
屋内の暖房及び海上試運転に使用する。暖房での使用
量は工場実績に基づいて算出し、海上試運転での使用
15
量はアルミ合金船と同様に運転方法と主機関定格出力で
の燃料消費量から算出した。
(c)水
F R P 漁船の建造では、工業用水をサンディングによる研
磨作業後の表面の水洗や海上試運転前の射水試験にお
いて使用する。
(2)素材
a)樹脂
FRP漁船の建造に必要な樹脂の使用量を表−3-17に示
す。
b)ガラス繊維
ガラス繊維の使用量は船殻と簡易雌型に含まれる重量
とし、ガラス繊維の裁断作業で生じる裁断屑は省略した。
c)発泡心材
心材として使用したウレタンフォーム、バルーンマット及
びアクリル発泡体使用量の内訳を表−3.18に示す。
d)ラワン材、合板及び固着釘
心材として使用したラワン材及び合板の使用量を表−
3 . 1 9 に示す。なお、船殻に使用しているラワン材には簡易
雌型の米松の使用量を含めている。
合板等の固着のため、モデル船では釘を約4 0 0 k g 使用
した。
e)塗料
防汚塗料及び溶剤の使用量の内訳を表−3 . 2 0 に示す。
使用した溶剤は最終的には全て大気中に排出されると考
えられる。
f)副材料
船殻重量には含まれない副材料には、離形処理用の
ワックス及び刷毛洗い用のアセトンや溶剤が含まれる。こ
の他、パイプの洗浄用に灯油等の油洗浄剤を使用する。
(3) 艤装部品
F R P 漁船の建造に使用する艤装部品の重量構成は、す
でに表-2.9に示した。
(4) 環境中への排出物
a)CO 2
C O 2 は主に工場の暖房用機器の使用及び海上試運
転により大気中に排出される。A 重油の燃焼に伴うC O 2
排出量は、アルミ合金漁船と同様にA 重油の消費量と燃
料中の炭素分(85%)に基づいて算出した。
b)スチレン
硬化前の樹脂はスチレンモノマーを約4 0 %含有している。
このうち、樹脂の硬化に伴い、樹脂全体の重量の4 %が大気
中へ排出され、残りの3 6 %は硬化時に樹脂中に取り込まれ
ると考えられる。FRP漁船の建造に使用したポリエステル樹
脂量に基づいて、大気中へ排出されるスチレンの排出量
を算出した。
c)溶剤
アルミ合金漁船と同様に、塗装で使用する溶剤の全量
が大気中に揮発すると考えた。
d)排水
サンディング作業等で工業用水を使用するが、使用量が
生活排水に比べ少なく、また、明確に排水量を把握できな
かったため、システムデータでは省略した。
(5)固形廃棄物
F R P 漁船の建造に際して排出される廃棄物の分類を図
−3 . 8 に示す。産業廃棄物の分類はアルミ合金漁船と同じ
であり、ここでは省略した。建造工程で排出される固形廃
棄物の内訳と処理方法を表−3.21に示す。以下にリサイク
ル品と固形廃棄物の種類とその発生源を示す。
a)リサイクル原料
工場外部でのリサイクル対象は梱包材のダンボールと型
枠材として使用された鉄くず等の金属である。これらの材
料の発生量は不明なため、システムデータでは省略した。
また、工場内において、アセトン(比重0.79)の使用量のう
ち9 0 %が回収され、再生処理が行われる。
(b)燃やすゴミ
アルミ合金漁船と同様に、梱包材から多く発生する紙、
木屑、ウェス、ダイオキシンの発生しないポリエチレン及び
プラスチック類で、工場内の焼却炉により焼却する。
(c)燃やせないゴミ
F R P 端材、簡易雌型、焼却灰、アセトンスラッジ、ワックス
等である。F R P 端材は主に積層工程のトリミングで発生す
る。簡易雌型は償却分の重量のみを対象とし、その重量
の20%を参入した。また、アセトンスラッジはアセトン使用量の
10%をスラッジとし、ワックスは使用量の全量が廃棄され
るものとした。
16
発注管理
工
材料管理
購入・管理
保全動力
電力、ガス、廃棄物処理
場
工場管理
内
業
素材加工と小組立
大 組立
ハル接合
船
エンジンルーム以外の艤装
装
機
装
エンジンルーム、ポンプルームの艤装
運
転
電気配線・機器の運転
塗
装
図-3.1 工場の作業分担の例
動 力 室
工 場
ト ラ バー サ ー
危険物倉庫
進水装置
工場
実験場
事務棟
工 場
実験室
部品庫
工場
図-3.2 造船所配置図
海
17
表-3.1 主な機材 アルミ合金漁船の建造に使用した機材
分類
素材加工機器
運搬装置
その他の機器
作業名
切断
機械名
シアリングマシン
エアープラズマ切断機
プラズマアーク切断機
パネルソー
ルーター
電気丸鋸
電気ジグソー
ハンドルーター
卓上丸鋸
ラクソー(竪型ハンドソー)
電動ベベラ
帯鋸
自動鉋盤
堅押し鉋盤
穴あけ
電気ドリル
充電スクリュー
溶接
MIG溶接機(350A)
MIG溶接機(300A)
MIG溶接機(200A)
直立ボール板
表面研摩
電気サンダー
曲げ
4本柱油圧プレス
パンチプレス
スライド式吊ビーム
3本ロール
油圧パイプベンダー
昇降装置
運搬フォーク
クレーン
治具
シャコマン
ターンバックル
ジャッキ
ハッカー
作業環境装置 スポットクーラー
溶接ヒューム除去装置
台数
1
1
2
1
2
7
3
3
3
1
2
1
1
1
5
2
5
4
2
1
10
1
1
3
1
1
1
1
4
30
20
10
6
1
1
18
素
1. 設
計
材
舶 用 機 関、 補 機
装 備 品
アルミ合金板
鋼材
AL型材、パイプ
設 計
設 計
設 計
設 計
設 計
運 搬
運 搬
運 搬
2. 資材購入
運 搬
運 搬
3. 表面加工
原図作業
4. 切
機
発電機
舵、プロペラ
漁労装置
係留装置
救命設備
搬 入
搬 入
搬 入
搬 入
搬 入
げ
曲 げ
切
断
切断、開先
架 台
組 立
曲 げ
搬 入
搬 入
組 付
溶 接
6. 小 組 立
7. 大 組 立
デッキ
ハ
ル
主機
据付
漁労
機械
補機
据付
接 合
8. 艤
内装艤装
断
切断、開先
5. 曲
主
舵、プロ
ペラ
装
係留
装置
救命
装置
仕上
内装
9. 塗
装
サンディング
塗 装゙
進 水
10. 試 運 転
海 上
試運転
11. 引き渡し
引渡し
図-3.3 アルミ合金漁船の建造工程
19
表- 3.2 塗装場所と塗装の仕様
塗装箇所
面積
(㎡)
150
100
90
50
85
55
530
塗装方法
下塗り
エッチングプライマーH
エッチングプライマーH
エッチングプライマーH
エッチングプライマーH
エッチングプライマーH
タールエポキシ樹脂
塗料の仕様
中塗り
ラバックスAC
ラバックスAC
クロマイドNO1000
クロマイドNO1000
クロマイドNO1000
タールエポキシ樹脂
外板(水線上)
エアレススプレー
外板(水線下)
ローラー・刷毛
上甲板
エアレススプレー
上部構造
ローラー・刷毛
船穀内部
ローラー・刷毛
内底部
ローラー・刷毛
合 計
●塗装方法別の内訳
エアレススプレー
240 (外板(水線上)、上甲板)
ローラー・刷毛
290 (外板(水線下)、上部構造、船殻構造、内底部)
(※)防汚塗料(船底2号塗料)
上塗り
ラバックス上塗り
マリンスターA(※)
ノンスリップデッキ
エバマリン 2L
エバマリン 2L
タールエポキシ樹脂
エネルギー等
種類
数量
電力
5.0×10(+4)kWh
A 重油
6.2×10(+2)kg
―
・ ガソリン
軽油
―
LPG 他
―
種類
機関艤装品 35点
電気艤装品 40点
漁労装置 20点
一般艤装品 65点
(艤装品合計 160点)
部品
数量(kg)
5.6×10(+3)
1.6×10(+3)
4.9×10(+3)
3.1×10(+3)
リサイクル品
種類
数量(kg)
アルミスクラップ
2.1×10(+3)
鉄スクラップ
21×10(+2)
図-3.4 建造ステージのシステムデータ(アルミ合金漁船)
種類
数量
アルミ合金漁船 1隻
(総トン数 14トン)
・船殻類
11 t
・艤装重量
15 t
製品
建造
対
象 :アルミニウム合金製の漁船
地 域 時 期 :日本、1990年代
プ ロ セ ス :運搬、切断、曲げ、溶接、据付、塗装等
対 象 範 囲 :固形廃棄物の焼却等の処理は含まない。
:設計、資材の搬入及び事務処理等は含まない。
素材
種類
数量(kg)
アルミ合金材
1.2×10(+4)
アルミ溶接材
6.3×10(+2)
鋼材
1.2×10(+2)
塗料
4.9×10(+2)
● 補助材料
溶剤(シンナー) 9.4×10(+1)
アルゴンガス
―
油洗浄材 他
環境中への排出
種類
●大気中への排出
CO2
・溶剤
●水中への排出
●固形廃棄物
・アルミ合金の削りくず
・木材、ベニヤ
・ビニールシート、紙 他
※:海上試運転によるCO2排出
20
21
表-3.3 工場における電力消費量
定格消費
定格総
稼動時間 稼動率 総使用量 割合
数量
種類
電力(kW)
消費電力(kW)
工数
※
(kWh)
(%)
1.天井水銀灯
4.0E-01
45 灯
1.8E+01
800
0.7
1.0E+04
20.3%
2.ルーフファン
2.2E+00
6台
1.3E+01
800
0.3
3.2E+03
6.4%
3.天井クレーン
3.4E+01
2基
6.9E+01
800
0.3
1.7E+04
33.3%
4.ノビルーン
2.2E+00
3基
6.6E+00
800
0.3
1.6E+03
3.2%
5.電気工具
‐
‐
3.0E+00
800
0.5
1.2E+03
2.4%
6.溶接機
‐
11台
1.6E+02
800
0.025
3.1E+03
6.3%
7.工作機械
‐
‐
5.8E+01
800
0.3
1.4E+04
28.1%
合計
5.0E+04
100%
備考:※:稼働率は推定とし、溶接機の負荷率は50%、また、平均のアークタイム率は5%と仮定した。
表-3.4 架台製作に使用した電力消費量
作業名
種類
切断機
ボール盤
溶接機
合計
備考:※:
定格総
消費電力(kW)
3.7E+00
1.5E+00
1.0E+01
使用時間 稼動率
(h)
※
4
0.7
4
0.7
4
0.025
総使用量 割合
(kWh)
(%)
切断作業
1.0E+01 66.7
穴開け作業
4.2E+00 26.9
組立作業
1.0E+00
6.4
1.6E+01
100
稼働率は推定とし、溶接機の負荷率は50%、また、平均のアークタイム
率は5%と仮定した。
表-3.5 アルミ合金材の使用量
(a) アルミニウム合金材
材質
使用量(㎏) 船体重量(㎏) 残材(㎏) 歩留り(%)
板材
型材
管材
小計
A5083
A5083
A5083
-
材質
ワイヤー
溶接棒
小計
A5183
A5183
-
9.4E+03
2.1E+03
2.6E+02
1.2E+04
7.5E+03
1.9E+03
2.3E+02
9.7E+03
1.9E+03
1.6E+02
3.0E+01
2.1E+03
80
92
88
82
(b) 溶接材
使用量(㎏) 船体重量(㎏) 残材(㎏) 歩留り(%)
5.8E+02
5.8E+01
6.3E+02
5.7E+02
5.0E+01
6.2E+02
1.0E+01
8.0E+00
1.8E+01
98
86
97
22
表-3.6 架台製作に使用した鋼材の使用量
材料名
チャンネル
アングル
アングル
合計
板厚(t)
9
6
5
サイズ
75
65
50
サイズ
150
65
50
長さ(m)
6
5
5
使用料(本)
15
30
30
重量(kg)
7.2E+01
3.0E+01
1.5E+01
1.2E+02
表-3.7 防食塗料と溶剤の使用量
●塗料
1
2
3
4
5
6
製品名
エッチングプライマーH
ラバックスAC-HB SR
ラバックス上塗り 白
クロマイドNO1000
エバマリン 2L 白
ビスコンQL 黒
使用量(kg)
5.2E+01
1.4E+02
5.5E+01
7.5E+01
3.5E+01
4.6E+01
希釈シンナー
エッチングプライマー シンナー
ラバックス シンナー
ラバックス シンナー
塗料用シンナー
塗料用シンナー
ビスコンQL シンナー
4.0E+02
-
小計(塗料)
●溶剤(希釈シンナー)
製品名
7 エッチングプライマー シンナー
8 ラバックス シンナー
9 塗料用シンナー
10 ビスコンQL シンナー
小計(希釈シンナー)
使用量(kg)
1.3E+01
4.2E+01
2.6E+01
1.3E+01
9.4E+01
表-3.8 防汚塗料の使用量
製品名
1 エッチングプライマーH
2 ビニルAC-HB
3 ニューマリンゴールド
小計(船底塗装)
塗料のタイプ
ショッププライマー
ビニル樹脂塗料
非錫系防汚塗料
-
使用量(kg)
塗装回数と膜厚
7.1E+00
5.8E+01
2.6E+01
9.1E+01
1回×8(μ/回)
2回×8(μ/回)
2回×8(μ/回)
-
理論塗布量
(kg/m2)
7.1E-02
2.9E-01
1.3E-01
-
23
表-3.9 船体重量に算入する塗装重量
1. 全体塗装
2. 船底塗装
合 計
塗料の使用量(kg) 付着率(%)
4.0E+02
※1
85
9.1E+01
※2
100
-
塗膜重量(kg)
3.4E+02
9.1E+01
4.3E+02
※1 エアレススプレー(塗装面積240m2、付着率77%)とローラー塗り
(塗装面積190m2、付着率95%)の加重平均値の85%とした。
※2 ハケ塗りのため付着率100%とした。
1 リサイクル原料
鉄スクラップ
アルミスクラップ
2 燃えるゴミ
紙、木屑等
廃プラスチック(梱包材等)(ダイオキシンを発生しないもの)
3 燃やせないゴミ(ダイオキシンを発生する塩化ビニル系プラスチック)
4 産業廃棄物
灰(紙、木屑、等を燃やした残り)
スラグ、フラックス
廃水処理後の汚泥
廃油
スラッジ
廃塗料
廃アルカリ(中和剤)
図-3.5 廃棄物の分類
24
表-3.10 廃棄物の種類、量及び処理方法(アルミ合金漁船)
廃棄物名
寸法
アルミ合金板
A5083
アルミ合金
A5183溶接棒、ワイヤー
アルミ合金
余盛サンディング
アルミ合金
A5083、板材切断
木材(アルミ材梱包)
50mm×50mm×2m
木材(アルミ材梱包)
50mm×50mm×1m
ラベ(アルミ材梱包)
2.5mm×50mm×1.8m
ビニールシート(板・型材) t×2000mm×6100mm
紙(薄い)板材
t×2000mm×6100mm
紙(厚い)型材
t×1000mm×2000mm
※ 排出量及び重量は平均値を示した
量
-
70
70
※ 250
50
※ 75
200
本
本
枚
枚
枚
枚
重量(kg)
2.1E+03
1.8E+01
1.8E+01
7.0E+01
2.1E+02
1.0E+02
3.4E+01
-
表-3.11 FRP漁船の建造時に使用する作業機械一覧
機械名
アプリケータ
ビーナス機
メバリ含浸機
ペースト練り機
天井クレーン
昇降装置
リフト
傾斜板
横切り盤
帯鋸
自動鉋盤
手押し鉋盤
ドリル
サンダー
電気ジグソー
スクリュー
ベルトサンダー
スーパーソー
ホットメルト
卓上丸鋸
電気丸鋸
シャコマン
ジャッキ
台数
1
3
1
1
4
1
1
1
1
1
1
1
5
5
5
5
3
2
2
2
2
10
2
処理方法
リサイクル品として売却
リサイクル品として売却
産廃業者にて処理
リサイクル品として売却
社内焼却
社内焼却
社内焼却
産廃業者にて処理
社内焼却
ダンボール扱い
25
簡 易 め
(1) 設
計
角 材
合 板
設計
設計
(2) 資材発注
運搬
運搬
(3) 型 準 備
切断
切断
型
素
ワックス
設計
運搬
樹 脂
設計
ガラス繊維
設計
材
合 板
設計
舶 用 機 関、 補 機
発泡芯材
設計
運搬
運搬
運搬
運搬
ゲルコート
吹付
切断
切断
切断
主 機
補 機
設計
設計
運搬
運搬
艤
舵・プロペラ
設計
運搬
装 品
漁労機械
係留機械
救命設備
内装艤装
設計
設計
設計
設計
運搬
運搬
運搬
運搬
組立
離型処理
(4) ゲルコ ート吹付
ハル・デッキ
基本積層
組付
(6) 基本積層
組付
補強材
接着
(7) 補強材接着
脱型
(8) 脱 型
トリミング
サンディング
(9) トリミング等
(10) 機関艤装
搬入
搬入
搬入
搬入
搬入
搬入
据付
据付
据付
据付
据付
据付
ハ ル
デッキ
(11) カ ップ リン グ
ハル・デッキ
接着
(12) 内部艤装
(13) 塗
装
据付
塗装
進水
(14) 海上試運転
(15) 引き渡し
搬入
海上
試運転
引渡し
図-3.6 FRP漁船の建造作業フロー
26
表-3.12 FRP素材の保管期間
素材名
ゲルコート
ガラス繊維
保管期間
製造後45∼60日
納入後6ヶ月以内、開梱後2週間以内
ポリエステル樹脂
硬化剤
納入後3ヶ月以内
製造後6ヶ月以内、開栓後1ヶ月以内
表-3.13 ポリエステル樹脂と触媒の配合比
触媒の種類
樹脂重量に対する割合
促進剤
0.5wt%
硬化剤
1.0wt%
表-3.14 ガラス繊維とポリエステル樹脂の配合比
ガラス繊維の種類
樹脂重量に対する割合
マット
50wt%
ロービングクロス
100wt%
数量
2.4×10(+4)kWh
1.9×10(+3)kg
1.4×10(+2)kg
エネルギー等
1.2 ×10(+1)kg
7.7×10(+2)kg
2.0×10(+1)kg
素 材(2/2)
種類
電力
A重油
水
・ガソリン、軽油 他
A重油:工場の暖房用。
●副材料
ワックス
アセトン
溶剤(シンナー)
・油洗浄材 他
部 品
種類
数量(kg)
機関艤装品 29点
3.7×10(+3)
電気艤装品 24点 1.3 ×10(+3)
漁労装置 15点
5.1×10(+3)
一般艤装品 73点
5.2×10(+3)
(艤装品合計141点)
11t 15t
数量
種類
アセトン(※1)
数量(kg)
6.9×10(+2)
リサイクル品
図-3.7 建造ステージのシステムデータ (FRP漁船)
製 品
種類
FRP漁船 1隻
(総トン数 14トン)
・船殻重量 ・艤装重量 建 造
対 象:FRP製の外海ホタテ桁曵き漁船の建造
地域時期:日本、1990年代
プロセス :運搬、切断、積層、据付、塗装
対象範囲:廃棄物の焼却等の処理は含まない。但し、木材の焼却・アセトン処理を含む
:設計、資材の搬入及び事務処理等は含まない。
:簡易め型1台を5隻の建造に使用する。
素 材(1/2)
素 材(1/2)
数量(kg)
樹脂
6.5×10(+3)
ガラス繊維
3.1×10(+3)
発泡心材
7.0 ×10(+1)
ラワン材
2.5 ×10(+3)
合板
1.1×10(+3)
固着釘
4.0×10(+2)
塗料
5.3×10(+1)
※1:アセトンの工
※2:CO2排出量
・ 海上試運転
・ 工場暖房用
環境
種類
●大気中への排
・CO2(※2)
・スチレン
・溶剤
・他
●水中への排出
●固形廃棄物
・FRP廃棄物
・木材燃え殻
・簡易雌型(1/5台
・アセトンスラッジ
・ワックス
27
28
表-3.15 簡易雌型の重量構成
材料名
米松
ラワン
ラワン・ベニヤ
接着剤
パテ
ゲルコート
樹脂
ガラス繊維
使用量(m3)
13.2
6.0
3.6
-
比重 重量(kg)
0.50
6.6E+03
0.59
3.5E+03
0.60
2.2E+03
2.4E+01
2.2E+02
3.5E+01
4.7E+01
2.1E+01
1.3E+04
-
合計
表−3.16 FRP漁船の建造時のエネルギー等の使用量と内訳
項 目
電力
工業用水
A重油
主な用途
全工程
射水試験、生活水
海上試運転
暖房用
使用量
2.4E+04
1.4E+02
5.4E+02
1.4E+03
kWh
kg
kg
kg
表-3.17 樹脂の使用量の内訳
種 類
使用場所
使用量(kg)
1 外装ゲルコート
船殻
2.4E+02
内装ゲルコート
船殻
2.3E+02
ポリエステル樹脂
船殻
5.4E+03
ミッシュマッシュペースト
船殻
5.2E+02
硬化材
船殻
5.9E+01
小計(1)
6.5E+03
2 樹脂
※ 簡易雌型
6.5E+01
合計(1+2)
6.5E+03
備考:簡易雌型は全使用量の20%のみを計上した。
表-3.18 使用した発泡心材の種類の内訳
発泡心材
1 ウレタンフォーム
2 バルーンマット
3 アクリル発泡体
合計
使用量(kg)
5.4E+01
3.3E+00
1.3E+01
7.0E+01
29
表-3.19 ラワン材及び合板の使用量の内訳
種 類
使用箇所
船殻
簡易雌型
簡易雌型
重量(kg)
1 ラワン材
4.9E+02
ラワン材
7.1E+02
米松
1.3E+03
小計
2.5E+03
2 合板(ラワンベニヤ 9mm)
船殻
2.3E+02
合板(ラワンベニヤ 12mm)
船殻
3.4E+01
合板(ラワンベニヤ 15mm)
船殻
1.1E+02
合板(ラワンベニヤ 20mm)
船殻
2.6E+02
合板(ラワンベニヤ 30mm)
船殻
1.7E+01
合板(ラワンベニヤ 40mm)
船殻
2.9E+01
合板(ラワンベニヤ)
簡易雌型
4.3E+02
小計
1.1E+03
備考:簡易雌型は全べての使用量の20%のみを算入した。
表−3.20 塗料の使用量の内訳(FRP漁船)
塗料の種類
1 プライマー
2 船底防汚塗料
小計(1+2)
3 プライマー用溶剤
4 塗料用溶剤
小計(3+4)
数量(kg)
1.8E+01
3.6E+01
5.3E+01
1.0E+01
1.0E+01
2.0E+01
1. リサイクル原料
ダンボール
金属(型枠)
2.燃えるゴミ(工場内で焼却)
木材(端材、梱包材)、布、紙
ダイオキシンを発生しないプラスチック(梱包材)
3.燃やせないゴミ
FRP(端材)
アセトンスラッジ
廃油
焼却灰
図-3.8 廃棄物の分類
表-3.21 固形廃棄物の内訳と処理方法
1
2
3
4
5
種 類
木材燃えがら
FRP廃棄物
簡易雌型
ワックス
アセトンスラッジ
合 計
排出量(kg)
9.0E+02
2.3E+03
2.5E+03
1.2E+01
8.2E+01
5.8E+03
処理方法
産廃業者に委託
産廃業者に委託
工場内焼却
産廃業者に委託
工場内焼却
30
4. 運航
モデル船としたホタテ桁曵き漁船が運航段階で使用す
る資材及び排出物を把握するために、漁協の組織・事業
概要、ホタテ養殖方法、操業方法などの運航方法に関
して 「漁協」でヒアリング調査を行った。調査結果を以下に示
す。なお、本解析で対象としたアルミ合金漁船とF R P 漁船
の運航方法は保守作業として行われる塗装を除いて同じ
である。
4.1 漁協の組織と事業概要
漁協の組織は組合長1名及び組合員300人程度であり、
このうちホタテ漁に関わるのは2 1 0 人位である。主な業務は、
港に近い塩水湖での放流用の稚貝の生産、外海でのホタ
テ貝増養殖、ホタテ桁曵き漁船を使用してのホタテ貝の採
取、加工及び販売である。
主な設備は漁船1 9 隻( 5 トン未満を除く) 及び7つの加工
工場(漁協所有が1 工場、組合員所有が6 工場)である。所
有する漁船のうちホタテ桁曳き網漁を行う漁船は1 3 隻であ
り、このうちF R P 漁船は1 2 隻、また、アルミ合金漁船は1 隻
である。ホタテ貝の生産実績は多い年で年間約3 万tであ
り、生産量の9 0 %は漁協が外海に放流した稚貝が成長し
たホタテ貝である。
4.2 養殖
4.2.1 養殖の方法
漁協は、1979年(昭和54年)より本格的に4輪採によるホ
タテ貝の地撒養殖を、組合員による共同経営として実施し
ている。4 輪採とは図−4 . 1 に示すように港の沖合にある漁
場を4 つの海区に区切り、毎年、年間を通して 1 つの海区
だけを漁の対象として使用し、4 年で漁場全体を1 回りする
ホタテ貝の増養殖漁業の方法である。 1つの海区の大きさ
は約1.5km×8km程度の長方形で、その水深は約20∼80m
である。港からの距離は1 番近い海区で3 ∼4 海里 ( 1海里
=1.852km)、一番遠い海区で15∼17海里である。
漁場での操業に加え、塩水湖での稚貝の育成及び海
区への放流等を行う。
4.2.2 作業内容
ホタテ養殖の作業内容と年間の操業日程を表− 4.1に
示す。操業期間は、流氷の状況にも依存するが、通常
1年の操業開始日は3月25日であり、終了日は1 2 月2 5 日
である。月に2 日の休漁日と約3日の荒天日を除くと、年間
の操業日数は231日(操業率83.7%)となる。春操業と本操
業の年間の平均作業日数を月別に表−4.2に示す。
(1) 稚貝の育成
5 月、塩水湖でホタテの産卵が行われ、ホタテ貝1 匹から
1 ∼2 億の卵が産卵される。受精卵は幼生となって浮遊し、
約1ヶ月で0.3mm程度に成長する。
6月、塩水湖で0.3mm程度に成長したホタテの種苗をメト
ロ紙製の採漁器に吸着させて捕獲し、採漁器を垂下して
育成する。
9月、採漁器を集め、稚貝を採取する。採取した稚貝を外
海の海区への放流用と湖内での養殖用に選別する。選別
した稚貝を養殖かごに入れ、次の春( 5 月) まで湖内で育て
る。
(2) 操業
3 月、春操業として、前年に漁をした海区で残ったホタテ
貝やヒトデを取る等の漁場整備を行う。
5月、大きさが3∼4cmに育った稚貝を塩水湖で集め、指
定された外海の海区に放流する。
6 月∼1 2 月、本操業として外海の海区に放流した4 年目
のホタテ貝を採る。
4.3 加工作業
干し貝柱の製造工程は以下のとおりである。また、加工
に要する日数は約40日である。
a)貝の洗浄を水で行う。
b ) 貝を沸騰したお湯で茹で、貝から身を取る。
c ) 作業員による手作業で身からウロを取る。
d ) 塩分を含んだ水で茹でる。
e ) 乾燥室で乾燥させる。
f)水分を調整し、天日で干す。
g)品質検査を行い、20kg単位で紙箱に詰め、出荷する。
4.4 操業方法と主機関の運転状態
4.4.1 ホタテ桁曵網漁法
ホタテ貝の桁曵網漁法による漁業操業図を図−4.2に示
す5 ) 。ホタテ桁曵き漁船は漁場到着後に桁網(通称、八
尺引き) を投入し、曳網する。頃合を見計らって網を引き上
げ、漁獲を終わる。揚げ網は魚貝巻上装置( ドラム) により
行う。桁曵網漁法では、桁網の爪により地撒きホタテ貝の
約1 0 %前後が破損される場合もある。
ホタテ貝桁曵網の例を図−4 . 3 に示す5 ) 。桁網は鉄製
の桁、チェーン、網及び曵綱で構成され、効率を追求し
て更に改良が行われている。桁網の製作費は約 30万円
である。
4.4.2 操業手順
漁協は共同経営体であり、ホタテ桁曳き網漁に従事す
る1 3 隻が出漁する。各船には船長を含め6 人が乗船し、日
の出と同時に出航する。指定された海区で曳網し、ホタテ
貝の漁獲量が満載搭載量の約18tになると帰港する。漁獲
量が満載に達しない場合でも、1 5 時∼1 6 時で作業を打き
り、帰港する。 1 日の平均的な稼動時間は7 時間程度であ
る。しかし、実際には本操業の開始の初期では漁獲が容
易で、操業時間は短く、後半では長くなる傾向がある。操
業における作業手順を以下に示す。また、桁網の投入、曳
網及び桁網の引揚げ作業の様子を写真−4.1及び写真−
31
4.2に示す。
(1)桁網の投入
漁船のセンタービット( 索類を留める装置) 、に引網を結
び、桁網を作業員の手作業により船側から投入する。
(2)曳網
桁網の曳網時の船速は2 ∼3 k n o t 程度である。しかし、
溜まり網にホタテが入ると船速が低下するため、主機関の
出力を上げて運転する。曳網中の主機関の回転速度は概
ね800∼1200rpm程度である。海区の水深は20∼60mで、
引き綱を約1 0 0 m 程くり出して桁網を曵く。引き綱は直径
6 m m の高密度ポリエチレン繊維( 商品名ハイゼックス) 又は
高強度ポリプロ繊維( 商品名ダンライン) である。また、桁網
を曵く海底の地質はホタテの生育に良い小砂利である。
(3)ドラムでの巻取り
海区で約 1 時間曳網した後に停船し、引き綱をドラムで
巻取る。巻初めは船を前進させながらドラムを回し、網の
直上まで行く。このとき船速と巻取り速度を調節しながら主
機関の回転速度を約800rpm位で運転する。プロペラの回
転を止め、油圧ポンプだけを駆動し、船上にホタテ貝を取
り込む。
(4)クレーンのフック掛け
引き綱をドラムで巻き終えた後、桁網の取り付けロープ
にウィンチのフックを引っ掛ける。
(5)ウィンチによる引き上げ
桁網は爪の部分から上がりはじめ、デッキ上にホタテ貝
を落とす。ウィンチは電動モーター式である。
(6)ホタテ貝の選別
採取した物の中には、ホタテの成貝のほか、貝殻やヒト
デ等も混じっているため、デッキ上で船員が選別し、ホタテ
貝のみを船倉に入れる。ホタテ貝の重量が満載の約1 8 t に
なるまで作業をくり返す。
4.4.3 主機関の運転状態
モデル船の主機関の運転状態、燃料消費量及び排気ガ
ス成分等に関する操業時の実態を以下にまとめる。
1)主機関の負荷率
モデル船の主機関の回転速度rpm、負荷率及び航行速
度等の運航状態を航行状態毎に表−4.3に示す。
往路及び復路に要する航行時間は海区毎に異なる。空
荷状態の往路では、航行速度は約17knotで、航行時間は
1 5 分∼1 時間程度である。復路では満載状態のため約1 3
∼14knotで航行し、航行時間は往路に比べ30%程度増え
る。
1 回の出漁での平均的な曳網の回数は、3 ∼5 月の春操
業では約20回、また6∼12 月の本操業では約10 回程度で
ある。曳網作業は1回約30分程度要する。
1 日の操業パターンに相当する主機関の回転速度と負
荷率の変動パターンを図−4 . 3 に示す。往路及び復路で
は主機関は負荷率100%、回転速度1900rpmの全速力の
状態である。桁網の巻き上げに際しては主機関の回転速
度は1 , 0 0 0 r p m 程度である。しかし、曳網作業では桁網の
投下、曳網及び巻き上げがくり返されるため、主機関の回
転速度は800∼1,200rpm程度の幅を持つと考えられる。ま
た、曵網時の主機関の平均負荷率は、スロットル開度及び
黒煙を上げる直前で操業しているという実態から推定する
と、約55%、出力は300PS程度と考えられる。
2) 燃料使用量
モデル船の運航による燃料使用量を把握するため、漁
協が支払った燃料費の調査を行った。漁協の平成1 0 年度
の稼動日数と燃料費の実績に基づいて算出した燃料の使
用量を表−4.4に示す。なお、FRP漁船の燃料費は稼動し
た12 隻の平均値とした。主機関の形式が同じアルミ合金漁
船とF R P 漁船の1日当たりの燃料使用量が異なる結果と
なったが、機関のセッティング等の仕様の違いにより生じた
と考えられる。なお、ホタテ漁船の年間の稼動日数を表−
4.2に示した231日とした場合、年間の燃料使用量はアルミ
合金漁船で64t、FRP漁船で57tとなる。
3) 排気ガス成分
モデル船の排気ガスは、主機関のターボチャージャー
直後で冷却海水と混ぜ合わされ、そのまま船尾のトラン
サム( 船尾板) の水面近くから空気中に排出される。そのた
め、海水と混ぜ合わされた排気ガスの一部は海水に溶け
込んでいると考えられる。なお、主機関の冷却は間接清水
冷却であり、その清水の冷却には海水を使用する。
モデル船の主機関から排出される排気ガス成分の
データは入手することはできなかった。そのため、モデル
船と同じ4 サイクルディーゼル機関で、ほぼ同じ出力・燃料
消費率のエンジン2 機種のエンジン単体での排気ガスの計
測値を表−4 . 5 に示す。なお、C O 2 の排出量は計測された
燃料消費量からA 重油中に含まれる炭素( C ) 分を仮定して
算出した。C O 2 以外の排気ガス成分の排出濃度は主機関
の調整状態により大きく異なり、燃料消費量や出力には必
ずしも比例しないと考えられる。
4.5 保守・修理
モデル船の保守及び整備の実施状況を以下にまとめ
る。
4.5.1 保守作業
船を使用している操業期間中の3 月∼1 2 月に実施する
保守作業は以下の通りである。
a) 船体:「ダブリングデッキ」と「は擦れ材」として3層程度の
FRPの張り付けを年に1回程度行う。
b) 機関:500∼1,000時間毎にオイルフィルターの交換を
行う。
c) 漁労機械:ベアリング類の交換を年に1回行う。
4.5.2 修理と整備
修理及び機関の整備は冬期の休漁期間に上架して実
施する。
(1)主機関のオーバーホール
32
主機関は運転時間が3年又は10,000時間を目処にピス
トン、ライナー及びメタルの交換を行う。操業時間( 7 時間/
日)と年間の操業日数(約231日)を考慮すると、10,000時間
は約 6年に相当するため、実際には3年でエンジンのオー
バーホールをすると考えられる。また、潤滑油の交換はエ
ンジンのオーバーホールに併せて実施される。
(2)塗装
船底部の防汚塗料の塗装はアルミ合金漁船及びFRP漁
船とも毎年上架して塗り替えを行う。また、アルミ合金漁船
では2 年に1 度、船全体の塗装を実施する。
船底塗装及び全体塗装でも、船殻素材の地肌が露出
する程度まで前の塗膜を落とし、新たに塗装を行う。塗装
前に船体に付着している塗膜の約90∼95%は固形廃棄物と
して処理される。
4.5.3 検査
漁協のホタテ桁曳き漁船は、建造時に都道府県の登録
業務として船の大きさを測る測度の検認作業が行われる。
しかし、定期的な法定検査は船舶検査法の対象船舶では
ないため実施されない。船体の検査は休漁期間の上架時
に自主的に実施する。
使用し続ける場合もある。調査した漁協の主機関の換装
期間は平均的な長さと考えられる。なお、2 0 トン未満の漁
船の中古ディーゼルエンジンは取引を行う市場は存在す
る。しかし、中古機の輸出はシンプルで頑丈なエンジンを
対象に一部の大手メーカーが実施している程度である。
4.6 使用年数
漁協の漁船や主機関の平均的な使用年数と一般的な
再利用の状況等を以下にまとめる。
4.6.1 漁船使用年数
調査した漁協では建造後1 5 年を経過しているアルミ合
金漁船が現在も現役として活動しており、廃船されていな
い。他の漁協等でのアルミ合金漁船の実績が不明なた
め、一般的な使用年数は不明である。
一方、漁協のF R P 漁船は新造後1 2 年程度使用した後、
刺網船又は延縄船として売却される。売却後も1 0 年以上
刺網船又は延縄船としてそのまま使用され、建造後2 0 年
経過した現在においても廃棄されていない。FRP漁船の漁
船保険加入船舶(平成9年度)の引受実績数6)では、船令19
年(1978年建造)をピークとする山形をしており、最高船令は
30年程度であった。
正確な漁船の使用年数を把握することはできなかった
が、本解析では、モデル船の使用年数を漁船保険加入船
舶の引受実績数を参考に20年とする。
4.6.2 主機関使用年数
調査した漁協の主機関は機令 10∼11年を目処に交換
されている。交換した主機関はメーカーの販売会社等によ
り引き取られる。一部の漁家は性能維持のため3 ∼5 年で
主機関を代替する場合もあるが、2 0 年以上同じ主機関を
ヤマハ発動機シャーシSyS技術グループ木村嘉浩氏に
は溶接作業に関して的確な助言を頂きました。ここに記し
て感謝の意を表する。
5. おわりに
アルミ合金製及びF R P 製のホタテ桁曳き漁船の船舶の
仕様、建造方法及び運航方法に関する詳細な調査を実施
した。調査結果として、対象としたモデル船に関する建造
段階及び運航段階での作業の流れと作業内容及び各段
階で消費したエネルギーや資材の使用量並びに固形廃
棄物等の排出量を把握した。
本調査結果を基に、アルミ合金製及びFRP製のホタテ桁
曳き漁船の建造段階及び運航段階を対象としたインベント
リ分析を実施し、その結果は本論文のB 編 、C 編に報告す
る。
6. 謝辞
参考文献
1)木原 洸 他2名、船舶建造のLCA、第3回エコバランス国
際学会講演集、1998年11月
2)亀山道弘 他2名、船舶の建造工程におけるLCI解析、日
本機械学会第7 回交通・物流部門大会講演論文集、1 9 9 8
年12月、pp397−400
3)千田哲也 他3名、ライフ・サイクル・アセスメント (LCA)−
その概要と船舶への応用、日本舶用機関学会誌、第3 4 巻
第9号 、1999年9月、pp618−625
4 ) 木原 洸 他7名、総合報告「船舶へのLCAの適用に
関する調査研究」、海上技術安全研究所報告、第2巻2
号、平成14年、pp.35-185
5)
金田禎之、日本漁具・漁法図説、初版、成山堂書店
(株)、
昭和52年3月18日 、p p39−42
6) FRP漁船研究会 高速化安全対策検討会、高速化安全
対策検討会事業報告、技術資料、FRP漁船、第227号、平
成11年5月 、pp.18−21
33
図-4.1 ホタテの漁場
表-4.1 操業期間と作業内容
月
漁場での操業
稚貝の育成等
場所:海区
場所:サロマ湖等
3月
1. 春操業 漁場(海区)の清掃、整備
4月
↑
5月
↑(越冬稚貝の放流)
・ホタテ産卵
6月
2. 本操業
・ホタテ苗の採取、垂下作業、育成
7月
↑
8月
↑
9月
↑
・稚貝の採取と選別翌年の5月まで育成
10月
↑
11月
↑
12月
↑
操業開始
3月25日、操業終了
12月25日
備考
34
表-4.2 作業日数
月
暦 操業
休業
日数 日数
日数
3月
7
6
1
4月
25
5
30
5月
31
26
5
1. 春操業の小計 68
57
11
6月
30
25
5
7月
26
5
31
8月
26
5
31
9月
30
25
5
10月
26
5
31
11月
25
5
30
12月
21
4
25
2. 本操業の小計 208 174
34
276 231
45
年間
※ 休業日等の設定:
休業日(2日/月)、荒天日(3日/月)
図-4.2 ホタテ貝の桁網漁法による漁業操業図
35
図-4.3 ホタテ貝桁網
36
写真-4.1(1) 桁網(八尺)の投入
写真-4.1(2) 海へ投入される桁網
写真-4.1(3) 桁網を曳く漁船
37
写真-4.2(1) 引網をドラムで巻取る様子
写真-4.2(2)クレーンのフックを 引網の先端に掛ける様子
写真-4.2(3)桁網の八尺部分が揚がり始め様子
38
写真-4.2(4)桁網の留まり部分が揚がる様子
写真-4.2(5)留まり網をデッキ上に落す様子
写真-4.2(6)デッキ上に落されるホタテ成貝
39
表-4.3 モデル船の運航状態
航行
航行時間(h)
主機関
負荷(%) 速力
第A海区 第B海区 第C海区 第D海区 回転数(rpm)
(knot)
1. 港 → 漁場
0.25
0.5
0.75
1
1900
100
17
2. 曳網
800∼1200
2∼3
0.3(h/回)
約55
6
(1) 3∼ 5月(約20回)
3
(2) 6∼12月(約10回)
3. 漁場 → 港
0.65
0.98
1.3
1900
100
13∼14
0.3
注意:主機関の定格出力は550PSである。
(rpm)
1900
主機負荷 100(%)
主機負荷 100(%)
主機負荷 約55%
10 ∼ 20 回
1200
800
曳
出港
網
図-4.3 1日の操業パターンにおける主機関の回転数と負荷率
表-4.4 ホタテ桁漁船曳きの燃料使用量(平成10年度)
船 種
燃料使用量(kg)
年間
1日
アルミ合金漁船
59,960
279
FRP漁船
47,720
245
備考 A重油の比重0.9とした。
帰港 (時間)
40
表-4.5 主機関の排ガス成分の計測値
(1) ヤマハMD980 (連続最大出力 550PS)
エンジン型式 水冷 4サイクルディーゼル機関
出力
動力
PS
75
275
kw
55
202
エネルギー
kWh
55
202
1kWh=3.6ML
MJ
198
728
排ガス成分 NOx
g/h
720 1.320
CO
g/h
140 1.280
HC
g/h
30
10
燃料消費率 FUEL CON
kg/h
13
43
g/PS・h 170
156
●換算値
MJ
1
1
出力エネルギ PRDUCTS
排ガス成分 NOx
g
3.63 1.81
CO
g
0.705 1.759
HC
g
0.151 0.014
CO2(※)
g
0.200 0.184
燃料消費率 FUEL CON
kg
0.064 0.059
※CO2は燃費からA重油(C分85%)として換算した。
(2)ヤマハMD1250(連続最大出力 495PS)
エンジン型式 水冷 4サイクルディーゼル機関
出力
動力
PS
80
300
kw
59
221
エネルギー
kWh
59
221
PRDUCTS
MJ
212
794
排ガス成分 NOx
g/h
700 1.550
CO
g/h
150 1.820
HC
g/h
50
20
燃料消費率 FUEL CON
kg/h
15
51
g/PS・h 192
170
●換算値
MJ
1
1
出力エネルギ PRDUCTS
排ガス成分 NOx
g
3.31 1.95
CO
g
0.709 2.293
HC
g
0.236 0.025
CO2(※)
g
0.226 0.2
燃料消費率 FUEL CON
kg
0.073 0.064
※CO2は燃費からA重油(C分85%)として換算した。
550
404
404
1455
2.930
250
40
90
164
1
2.01
0.172
0.027
0.193
0.062
600
441
441
1588
2.310
490
80
101
168
1
1.46
0.309
0.05
0.198
0.063
41
資料-1 アルミ合金漁船の重量構成詳細 (1/2)
番号
項目
1.船殻
1 板材
2 型材
3 管材
4 溶接部重量
5 塗料(水線上・内部)
6 塗料(船底部)
1.船殻 合計
重量(kg)
番号
項目
2.機関艤装
1 主機関
2 中間減速機
3 逆転減速機
5 雑用水ポンプ
6 雑用水ポンプ2
7 高圧ポンプ
8 ジェットポンプ
9 海水こし器
10 油圧ストレーナー
11 排気管装置
12 船底弁
13 スターンチューブ
14 プロペラ軸
15 プロペラ
16 F.O.パイピング
17 C.W.パイピング
18 ビルジパイピング
19 G.S.パイピング
20 中間軸カバー
21 レイカーフィルターF.O
22 エンジンリモコン
23 リモコンヘッド
24 メーターパネル
25 モーターファンER
26 E/R排気ファン
27 清水
28 F.P.T.O
29 海水冷却器
30 圧力式ろ過器
31 冷海水循環ポンプ
32 冷海水ポンプ
33 ミストチャンバー
34 ダクト
35 冷海水配管
2.機関艤装 小計
重量(kg)
7,545
1,910
230
615
343
91
10,734
2,150
450
700
40
40
60
5
30
20
180
130
70
300
115
50
150
20
150
20
20
13
3
5
66
30
50
320
90
130
15
15
5
15
100
5,557
番号
項目
3.電気艤装
1 ACジェネレーター
2 DCジェネレーター
3 M.S.B
4 低周波装置
5 トランス
6 リレーボックス
7 AC.AVR
8 DC.AVR
9 ノイズフィルター
10 バッテリー
11 リミッター
12 水温計
13 水温計センサー
14 電線
15 電線パイプ
16 航海灯
17 通路灯
18 船主部室内灯
19 機関部室内灯
20 プロジェクターランプ
21 サーチライト
22 船内指令スピーカー
23 ホーンスピーカー
24 無線スピーカー
25 電線貫通スピーカー
26 スイッチパネル
27 室内スピーカー
28 レーダーヂィスプレイ
29 魚探
30 GPS3100
31 GPS188
32 DSB DR82
33 DSB DK21
34 DSB RV81
35 ホーンユニット
36 船内指令
37 パーソナル無線
38 レーダースキャナー
39 アンテナ
40 ワイヤーハーネス
3.電気艤装 小計
重量(kg)
390
96
80
87
65
40
10
5
10
248
5
2
5
250
50
10
3
10
5
20
10
5
22
5
3
5
5
19
14
13
23
2
5
1
6
11
3
33
10
30
1,616
42
資料-1 アルミ合金漁船の重量構成詳細 (2/2)
番号
4.漁労装置
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
項目
トロールウインチ
カーゴウインチ
ガイウインチ
サイドウインチ
トロールダビット
八尺引き込みアイプレート
投網機油圧ポンプユニット
投網機
投網機油圧配管
油圧配管E/R
油圧配管 甲板下
油圧配管 ウインチ回り
切り替え弁
油圧貫通ピース
油圧回路アクセサリー
張力計
滑車類
動索
トロールワイヤー
油圧油
4.漁労装置 小計
番号
項目
5.一般艤装(1/2)
1 フェアリーダー
2 チャインスレ材
3 コベリスレ材
4 揚網部スレ材
5 八尺カバースレ材
6 ブルーワーク内側スレ材
7 バウレール
8 バウビット
9 魚倉ハッチ
10 バウデッキステップ
11 タイパイプ
12 シューターストレーナー
13 門型マスト
14 デリックブーム
15 ステー
16 モッコフック
17 取り外しハッチコーミング
18 魚倉断熱工事
19 エンジンケーシングドア
20 エンジンケーシングハッチ
4.一般艤装(1/2)小計
重量(kg)
1,950
260
113
70
160
5
120
60
20
200
345
50
180
10
40
20
1
50
400
860
4,914
重量(kg)
20
20
33
61
70
41
30
120
165
30
140
12
430
190
120
5
27
30
12
56
1,612
番号
項目
重量(kg)
5.一般艤装(2/2)
21 舵機室ハッチ
42
22 マリンギア点検ハッチ
20
23 EC入り口ハッチ
5
24 W/H全面窓
30
25 W/H側面引き窓
10
26 W/H側面ドア
30
27 W/H後面ドア
15
28 W/H後面引き窓
7
29 W/H内張り
65
30 ダッシュボード
30
31 コンソール
10
32 ロッカー
15
33 操舵シート
10
34 レーダーマスト
22
35 W/Hトップレール
20
36 航海灯マスト
32
37 ハンドレール
5
38 C/Rフロアー
30
39 C/R内張り
40
40 C/Rベンチ
50
41 C/R入り口ドア
7
42 C/R入り口階段
10
43 E/Cグレーチング
40
44 ベースバッテリー
20
45 ブルワーク内張り
95
46 スターンビット
78
47 プロペラ点検窓
5
48 操舵機台
57
49 舵板
180
50 舵軸
92
51 舵軸管
50
52 ALAP
8
53 操舵機
135
54 操舵油圧ポンプ
20
55 操舵油圧タンク
16
56 操舵油圧配管
30
57 ストーブ
11
58 コンロ
11
59 ヘルムポンプ
10
60 時計
1
61 気圧計
1
62 旋回窓
25
63 操舵機管制器
18
64 魚探センサーボックス
5
65 E/R機器台
50
1,463
5.一般艤装(2/2) 小計
5.一般艤装 小計
3,075
43
資料-2 FRP漁船の重量構成詳細 (1/2)
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
項目
1.船殻
外装ゲルコート
内装ゲルコート
ポリエステル樹脂
ミッシュマッシュペース
硬化剤
ガラス繊維
小計(1? 6)
ウレタンフォーム
ラワン材
ラワンベエニヤ(ラベ)
t9 ラベ
t12 ラベ
t15 ラベ
t20 ラベ
t30 ラベ
t40 ラベ
小計(9)
BM4(t4バルー)
t15 KC(クレゲ)
固着釘
防汚塗料
1.船殻 小計
番号
項目
3.電気艤装
1 ACジェネレーター
2 DCジェネレーター
3 M.S.B.
4 定周波装置
5 ノイズフィルター
6 バッテリー
7 水温計
8 電線
9 電線パイプ
10 航海灯
11 通路灯
12 室内灯
13 プロジェクターランプ
14 スイッチパネル
15 レーダーディスプレイ
16 魚探
17 プロッター
18 デッカ
19 コンセント
20 DSB 27M?
21 ホーンユニット
22 船内指令
23 レーダースキャナー
24 塩ビ管(電)
3.電気艤装 小計
重量(kg)
10,983
231
223
5,212
500
57
3,077
9,300
54
490
226
34
110
256
17
29
672
3
13
400
53
10,985
重量(kg)
230
96
80
85
10
247
1
200
50
5
3
20
2
15
20
15
20
8
10
3
25
10
39
60
1,254
番号
項目
2.機関艤装
1 主機関
2 中間軸
3 逆転減速機
4 雑用水ポンプ
5 KG(キングストンコック)
6 FOウイングポンプ
7 魚倉ビルジポンプ
8 海水こしき
9 排水管
10 ミキシングエルボ
11 シールスタン
12 スタンチューブ
13 プロペラ軸
14 プロペラ
15 カーボンブラシ
16 FOパイピング
17 CWパイピング
18 ビルジパイピング
19 GSパイピング
20 B.P(ビルジポンプ)
21 L.O.P(LOポンプ)
22 中間軸カバー
23 エンジンリモコンボックス
24 リモコンヘッド+ワイヤー
25 メーターバネル
26 モーターファンE/R
27 潤滑油
28 清水
29 kg(キングストンコック)
2.機関艤装 小計
重量(kg)
番号
項目
4.漁労装置
1 トロールウインチ
2 カーゴウインチ
3 バングウインチ
4 キャプスタンF
5 トロールダビット
6 八尺引き込みアイプレー
7 油圧ポンプ+クラッチ
8 同上ベース
9 油圧油タンク
10 油圧配管
11 油圧アクセサリー
12 電動油圧ユニット
13 Vベルト
14 トロールワイヤー
15 油圧油
4.漁労装置 小計
重量(kg)
2,000
60
480
62
10
5
100
10
40
10
20
48
280
80
2
15
30
10
62
10
5
20
30
10
5
28
200
90
10
3,732
1,920
280
180
120
160
5
170
150
80
600
100
100
4
400
783
5,052
44
資料-2 FRP漁船の重量構成詳細 (2/2)
番号
項目
5.一般艤装(1/2)
1 フェアリーダー
2 チャインスレ材
3 コベリ
4 八尺カバー
5 トップレール内側スレ材
6 バウパルピット
7 バウビット
8 2次フェンダー
9 トップレール 足掛け
10 トップレール スレ材
11 バウデッキ
12 バウデッキステップ
13 バウハッチ
14 魚倉ハッチ
15 タイパイプ
16 シュータースワット
17 門型マスト
18 デリックブーム
19 ステー
20 FH フロアー
21 モッコフック
22 取外しハッチコーミング
23 FH ハッチコーミング
24 FHビルジ貫通ピース
25 魚倉BHD断熱
26 エンジンケーシングドア
27 エンジンケーシングトップハッチ
28 E.R小ハッチ
29 工具箱
30 舵機室ハッチ
31 W/H固定窓
32 W/Hコーナー窓
33 W/H側引き窓
34 W/H後面引き窓
35 W/H入り口ドア×3
36 W/H? C/Rドア
37 W/H内張り
38 EC 丸窓
39 C/R丸窓
5.一般艤装(1/2)小計
重量(kg)
20
60
160
70
40
37
80
204
159
60
70
10
10
140
20
10
280
190
140
300
14
18
65
5
10
10
60
10
10
10
15
10
20
15
60
30
50
4
5
2,481
番号
項目
重量(kg)
5.一般艤装(2/2)
40 物入れ
10
41 レーダーマスト
35
42 W/Hトップレール
14
43 W/Hハンドレール
10
44 C/Rフロアー
120
45 C/R内張り
80
46 C/Rベンチ
30
47 C/R入口ドア
20
48 C/R入口トステップ
2
49 C/Rベンチレーター
1
50 C/Rトップレール
8
51 ER/グレーチング
100
52 ステップ
5
53 ベースバッテリー
5
54 スターンビット
80
55 ペラ点検ハッチ
5
56 ペラ点検Box
10
57 プロペラ点検口
10
58 操舵機台
30
59 舵板
150
60 舵軸
67
61 シューピース
190
62 ZAP
30
63 ブルワーク内側物入れ
40
64 操舵機
33
65 舵機
140
66 舵機室油圧タンク
16
67 操舵油圧配管
40
68 舵機室グレーチング
47
69 シューピース
190
70 トップレール
315
71 FOT
160
72 ペースト
400
73 固着釘
365
5.一般艤装(2/2)小計
2,758
5.一般艤装 合計
5,239
小型漁船のインベントリ分析に関する研究
-B : アルミニウム合金漁船の解析 -
亀山 道弘*、木原 洸*、林 慎也*、千田 哲也*、
櫻井 昭男*、久津見 都*
深町 得三**、大熊 正造**、田子 廣政**、岡田 一成**、
本多 貴寿**
蒲谷 勝治***
Research on Application of Inventory Analysis
to Fishing Boat
-B:Inventory Analysis on Aluminum alloy Fishing Boatby
Michihiro KAMEYAMA, Takeshi KIHARA, Shinya HAYASHI,
Tetsuya SENDA, Akio SAKURAI, and Miyako KUTSUMI
Tokuzo FUKAMACHI, Shozo OHKUMA, Hiromasa TAGO,
Kazunari OKADAand Takahisa HONDA
and Shoji KABAYA
ABSTRACT
The inventory analysis of the aluminum-alloy boat is carried out by way of matrix method for simplified and reduced
numbers of processes through the field survey in terms of carbon dioxide emission. The carbon dioxide emission per
unit mass of scallop is estimated to be 77 g-CO2/kg and the proportion of the emission from the processes is provided
as well. It should be remarked, however, that electricity consumption estimated on the basis of the volume of welding
work and the welding process data is much smaller than that according to the actual load and operating factors of
welding machines in the yard.
*
LCA研究グループ
**
ヤマハ発動機㈱
*** 元ヤマハ発動機㈱
1
目次
1. はじめに ................................................................................... 1
2. 対象船舶と調査範囲 ........................................................... 1
2.1 対象船舶 .......................................................................... 1
2.1.1 船体の仕様 ............................................................. 1
2.1.2 運航計画 .................................................................. 1
2.2. 目的と範囲 ....................................................................... 2
2.2.1 目的 ............................................................................ 2
2.3 調査範囲 .......................................................................... 2
2.3.1 機能と機能単位 .................................................... 2
2.3.2 システム境界 ........................................................... 2
2.3.3 環境負荷項目 ........................................................ 2
2.3.4 環境影響、影響評価手法及び結果の解釈 2
2.3.5 負荷分配 .................................................................. 2
3. 解析手法 ................................................................................... 2
3.1 データ収集 ...................................................................... 2
3.1.1 収集方法 .................................................................. 2
3.1.2 データ品質 .............................................................. 2
3.2 インベントリ分析 ............................................................ 2
3.2.1 産業連関表と積み上げ法 ................................. 2
3.2.2 逐次法と行列法 .................................................... 3
3.2.3 船舶への適用手法 ............................................... 3
3.2.4 解析手法 .................................................................. 3
4. 建造工程の解析 .................................................................. 5
4.1 プロセスフローとプロセス行列 ................................. 5
4.2 建造データ ...................................................................... 5
4.2.1 エネルギー .............................................................. 5
4.2.2 素材 ............................................................................ 5
4.2.3 部品 ............................................................................ 5
4.2.4 作業 ............................................................................ 5
4.2.5 排出物・廃棄物 ...................................................... 5
4.2.6 環境中への排出 .................................................... 5
4.3 作業プロセスデータ ...................................................... 6
4.3.1 切断作業 .................................................................. 6
4.3.2 溶接作業 .................................................................. 6
4.3.3 塗装作業 .................................................................. 6
4.4 製造インベントリデータ .............................................. 6
4.4.1 エネルギー .............................................................. 6
4.4.2 素材 ............................................................................ 6
4.4.3 部品 ............................................................................ 6
4.5 インベントリ分析(建造) .............................................. 6
4.5.1 解析結果 .................................................................. 6
4.5.2 経済的入出力(プロセス量) .............................. 7
4.5.3 CO2排出量 ............................................................... 7
4.5.4 海上試運転によるCO2排出量 .......................... 7
5. 運航 ............................................................................................ 7
5.1 プロセスフローとプロセス行列 ................................. 7
5.2 漁業データ ...................................................................... 7
5.3 プロセスデータ .............................................................. 7
5.3.1 運航プロセス ............................................................ 7
5.3.2 船舶状態 .................................................................. 7
5.3.3 プロセスデータ ........................................................ 7
5.4 製造インベントリデータ .............................................. 8
5.4.1 燃料 ............................................................................ 8
5.4.2 潤滑油 ....................................................................... 8
5.4.3 主機関 ....................................................................... 8
5.5 インベントリ分析(運航) .............................................. 8
5.5.1 解析結果 .................................................................. 8
5.5.2 経済的入出力(プロセス量) .............................. 8
5.5.3 CO2排出量 ............................................................... 8
5.5.4 固形廃棄物 ............................................................. 8
6. ライフサイクル ...................................................................... 8
6.1 ライフサイクルインベントリデータ .......................... 8
6.2 プロセス毎の内訳 ........................................................ 8
7. まとめ ......................................................................................... 8
参考文献 ....................................................................................... 9
1. はじめに
「小型漁船のインベントリ分析に関する研究 -A:
モデル船の建造・運航状況調査- 」において、アルミ
合金製及び繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced
Plastic:FRP)製のホタテ桁網漁船の仕様、建造方法
及び運航方法に関して調査を行い、建造及び運航を対
象としたインベントリ分析の解析モデルの作成と解析
実施のための設定条件が明らかになった。1 )
そこで、本研究ではアルミニウム合金製漁船(以
後、「アルミ合金漁船」と言う。)の建造と運航を対
象にインベントリ分析を実施する。本報告(B 編)で
は、アルミ合金漁船のインベントリ分析に適用した解
析手法、解析モデル及びプロセスデータについて紹介
し、その解析結果を報告する。なお、F R P 製漁船に関
するインベントリ分析の実施については、C 編におい
て報告する。
2. 対象船舶と調査範囲
2.1 対象船舶
解析の対象としたモデル船の仕様を以下に示す。
2.1.1 船体の仕様
解析の対象としたアルミ合金漁船は総トン数1 4 トンの外
海ホタテ桁曵き漁船である。モデル船の主要目と船体の
重量構成表を表-1及び表-2に示す。また、一般配置図を
図- 1 に示す。防食用及び防汚用の塗膜重量は船殻重量
に、漁労装置と一般艤装品は船体艤装としてまとめた。
2.1.2 運航計画
(1)生涯計画
モデル船の使用年数等の生涯計画を表- 3 に示す。アルミ
2
合金漁船の使用年数を2 0 年とし、使用期間中の主機の交
換を1回、船体の全体塗装を2年に1回及び船底塗装を年1
回行う。
(2)運航計画
モデル船の年間の運航計画を表- 4 に示す。操業は漁
場の清掃や整備を目的とした春操業を3∼5月の5 7 日 間 、
また、ホタテ貝の収穫をする本操業を6 ∼1 2 月の1 7 4 日間
行う。なお、1 ∼2 月の休漁期間に加え、各操業は土日及
び悪天候による休漁日がある。
(3)航海計画
操業時の航行距離や主機馬力等の航海計画を表- 5 に
示す。モデル船は港を軽荷状態で出航し、漁場の海区で
網を曵網し、ホタテ貝等を満載した状態で港に帰港する。
春操業と本操業では曵網状態を除き、航行時間、主機出
力及び速力を同じとした。なお、モデル船の主機関の定
格出力は表-1に示すように650PSであるが、僚船との操業
上の理由により主機馬力を5 5 0 P S とした。また、航行距離
は、航行時間と速力の実績から求めたため、往路と復路
の距離に違いが表れた。
2.2. 目的と範囲
本インベントリ分析の目的及び範囲を以下にまとめる。
2.2.1 目的
ア ル ミ 合 金 漁 船 の 建 造 及 び 運 航 に伴 う 二 酸 化 炭 素
(CO 2 )の排出量を把握し、単位漁獲量あたりのCO 2 排出を
低減させるための基礎データを把握することを意図する。
2.3 調査範囲
2.3.1 機能と機能単位
ライフ・サイクル・アセスメント(Life Cycle Assesment:
L C A )では、解析対象の機能とその機能を定量的に表現
するため単位を定義することが求められる。本解析で対
象とする機能は漁船を使ったホタテ漁業の実施とした。ま
た、その機能単位は漁船の生涯操業でのホタテ貝1 k g の
水揚げとした。
2.3.2 システム境界
アルミ合金漁船のライフサイクルにおける全体プロセス
フローと本解析の対象とするシステム境界を図- 2 に示す。
アルミ合金漁船のライフサイクルには、アルミ合金材等の
素材、主機関等の部品及び電力、燃料等のエネルギー
の生産に加え、アルミ合金漁船の建造、使用( 運航) 及び
解体並びにアルミ材のリサイクル等のステージが含まれ
る。しかし、アルミ合金漁船は漁船としての役割を終えた
後も、瀬渡し船等として再利用されること、また、現時点で
一般的と認識されている解体方法は確立されていないこ
とから、本解析では解体及びアルミ材のリサイクルは、シ
ステムの対象外とし、漁船の建造及び使用のみを解析の
対象とした。また、部品の造船所等への輸送及び廃棄物
の処理等、建造又は運航に直接関係しない工程は含め
なかった。
2.3.3 環境負荷項目
解析の対象とした環境負荷項目はCO2とした。
2.3.4 環境影響、影響評価手法及び結果の解釈
本解析ではC O 2 排出量のみを対象とするインベントリ分
析を実施する。また、地球温暖化等の環境影響評価及び
感度解析等の解釈は実施しない。
2.3.5 負荷分配
漁船の建造工程では端材や切削屑等として経済的に
価値の有るアルミスクラップが発生する。しかし、建造で
はアルミ合金漁船のみが経済的に有益な製品であるた
め、副産物の生産等に伴う負荷の分配は考慮しない。ま
た、漁船の運航においてもホタテ貝の水揚げのみが経済
的に有益な製品であり、他への負荷の分配は考慮しな
い。
3. 解析手法
本解析で使用したデータ及びインベントリ分析の解析
手法を以下にまとめる。
3.1 データ収集
解析に使用したプロセスデータの収集方法及びデータ
の品質は以下のとおりである。
3.1.1 収集方法
建造や運航で使用する素材、エネルギー及び部品等
の種類と使用量は、実際の使用量の調査結果 1 )に基づい
たデータを使用した。アルミニウム合金等の素材、燃料及
び 電 力 の 製 造 に関 す る イ ン ベ ン ト リ デ ー タ に は 、 各種
データベースや文献等のデータ 2)3)4)5)6)7)を使用し、独自な
調査は実施しなかった。また、主機関及び艤装品等の部
品の製造に関するプロセスデータは、製造工程を省略
し、代表的と考えられる素材として扱った。建造段階の切
断、溶接及び塗装の各作業並びに運航段階の主機関の
運転プロセスデータは、機器のカタログに表示される性
能に基づいて作成した。
3.1.2 データ品質
解析を行ったモデル船の建造や運航は日本の1 9 9 0 年
代の漁業協同組合(以後、「漁協」と言う。)の4 輪採制によ
るホタテ増養殖を対象とし、いずれも当時の日本の平均
的な技術と考えられる。また、使用したプロセスデータやイ
ンベントリデータはデータベース等の中から比較、検討の
上、代表的と考えられるデータを選択して使用した。ただ
し、アルミインゴット製造のインベントリデータは国内デー
タが得られなかったため、欧州のデータを使用した。
3.2 インベントリ分析
3.2.1 産業連関表と積み上げ法
製品等のインベントリ分析を行う手法としては産業連関
3
表を用いる方法とプロセスの積み上げにより行う方法があ
る。産業連関表による解析方法は取り扱い金額に基づい
て産業全体から分析を行うため、所謂、業界全体の平均
値を大局的に算出することができるが、船舶個別の建造
や運航等の解析はできない。一方、最小単位のプロセス
をプロセスフローに基づいて積み上げる積み上げ法は、
船舶個別のプロセスに基づいた解析を行うことができる
が、多くのプロセスデータを収集する必要がある。
3.2.2 逐次法と行列法
積み上げ法の解析方法には計算手法の違いにより逐
次法と行列法がある。逐次法はプロセスの流れに沿って
順次解析していくため、理解しやすい。しかし、発電所の
運転のためには電力が必要といった再帰参照を扱えない
ため、くり返し計算とその条件の設定が必要となる。また、
感度解析や信頼性分析等の高度な解析処理に対応する
ことが難しい。
一方、行列法は対象の製品の生産システム全体を複数
のプロセス行列で表現するため、再帰参照を扱うことがで
き、また、高度な解析手法へ発展させることができる。
3.2.3 船舶への適用手法
本解析では船舶個別の解析を行うため、プロセスの積
み上げに基づく解析方法を適用する。また、本解析では
対象としなかったが、L C A における解釈の実施のために
は、今後、感度解析等を実施できるように準備しておく必
要があること、更に解体した船舶から回収した素材をリサ
イクルし、再び新造船の建造で使用するような解析では、
再帰参照を処理することが必要となること等、解析手法の
今後の発展を考慮して行列法を適用することとした。以下
に行列法の解析手法をまとめる。 8 )9 )
3.2.4 解析手法
(1 )プロセスの列ベクトル表現
行列法ではプロセスは列ベクトルで表現し、列ベクトル
の上部(a 1 , a r )は経済上のインプットとアウトプット、また、
列ベクトルの下部(b 1 , b s )は環境からのインプットとアウト
プットである。ただし、インプットを(- )、アウトプットを(+ )と
する。プロセスは以下の( 1 ) 式のように表すことができる。
 a1 
 
L
a 
 j
L
 
 a   ar 
  =
 b   b1 
 
L
 bk 
 
L
b 
 s
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)
(2 )プロセス行列
全てのプロセスに番号を付ける。ここでは i 番目のプロ
セスを添字i とし、プロセスフロー中のプロセス数をq と
すると、プロセスフロー全体の行列は以下の( 2 ) 式になる。
ここで、列はプロセスを表し、行はプロセスツリーの中の
1つの製品やサービス又は物質の流れを示す。
 a L a1i L a1q 
 11

 L LLL L 
 a La La 
jq
ji
 j1

 L LLL L 


 A   ar1 L ari L arq 
  =
 B   b11 L b1i L b1q 


 L LLL L 
 b L b L bkq 
ki
 k1

 L LLL L 
 b Lb Lb 
sq 
si
 s1
・・・・・・・・・・・・・(2)
(3 )プロセスフロー全体の列ベクトル表現
( 2 ) 式のプロセスフロー全体が、外部からは1つのプロ
セスとしてみなすことができるためプロセスフロー全体を
(1 )式の列ベクトルと同じ形で(3 )式のように表現すること
ができる。
4
 α1 
 
L
α 
 j
L
 
α  αr 
  =
 β   β1 
 
L
 βk 
 
L
β 
 s
等はプロセスフロー中の他のプロセスから供給され、処
理すべき排出物も他のプロセスで処理されることとする。
製品やサービス等を示す各行において物質量、エネル
ギー量又はサービス量等で平衡式(balance equation)が成
り立つと考えられるので、以下の(5 )式が成り立つ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3)
q
∑a
i =1
pi = α j
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (5)
(6)連立平衡式
これは経済的部分の各行で成り立つので、以下の( 6 )
式が成り立つ。
q
∀j = 1,K r : ∑ a ji pi = α j
・ ・・・・・・・・・・・・ (6)
i =1
ここで、( 1 ) 式と同様に列ベクトルの上部(α 1 ・・・αj・・・
αr )は経済上のインプットとアウトプットであり、また、下部
(β1 ・・・βκ・・・βs )は環境からのインプットとアウトプット
となる。
このプロセスフロー全体を表す( 3 ) 式を、ゴールである経
済的な製品又はサービス以外は生産しない仮想的なシス
テムとして設定すると、j 番目のタイプ(製品、材料、サービス)
以外の値は全て 「0」 とおける。また、βは求めるインベントリ
データであり、この段階では未知の値となる。
(4 )プロセスの寄与
プロセスフローでの各プロセスの定量的寄与(プロセ
ス量)をp i とする。ここで、(2 )式を単位プロセスとプロセス
量として表現し直すと(4)式となる。
(7)正則行列
プロセスに副産物がない、又は、プロセスの割り付けが
行われている場合、プロセスの総数q と経済部分の製品・
サービスの数は1 対1 に対応し、行列A はp = q となる正方行
列である。また、プロセスフローに不要な工程又は矛盾す
る工程を含んでいない場合、行列式|A |≠0(d e t ( A ) ≠
0 )であり、行列A は正則行列となり、逆行列A - I が存在す
る。
(8)連立方程式の解法
行列A が正方行列(p = q )で、行列A が特異でない(d e t
(A)≠0)正則行列の場合、(6)式のような線形連立方程式
はCramerの方法による解(p 1,・・・p q)を持つ。Cramerの方
法による解を以下の(7 )式に示す。
pi =
 a11 L a1i L a1q 


 L LLL L 
 a La La 
jq
ji
 j1
 p1 
L
 L L L L  

 L 
 A   ar1 L ari L arq  
pi
  =
 B   b11 L b1i L b1q  L 


 L L L L L  p 
 b L b L bkq  q 
ki
 k1

 L LLL L 


 bs1 L bsi L bsq 
ji
( )
det Ai
, i = 1,K q
det (A)
・・・・・・・・・・・ (7)
ここで、A i は(8 )式に示すi 番目の列をαで置換した行
列である。
・・・・・・・・(4)
(5)平衡式
工程( プロセス) i で使用される製品、材料又はサービス
 a11

L
i
A =  a j1

L

 ar 1
L ai1−1
L
L
L a j1−1
L L
L ar1−1
α1 ai1+1
L L
α j a j1+1
L L
α r ar1+1
L a1q 

L L
L a jq 

L L
L arq 
・・・・・・・・・・・・・・・ (8)
ただし、本解析では逆行列A-1を用いて、piを求めた。
(9 )インベントリーデータ
(7 )式等から得られたp i から(9 )式により、インベントリー
データB(bki)が求まる。
5
q
β k = ∑ bki pi , k = 1,K s
・・・・・・・・・・・・ (9)
i =1
4. 建造工程の解析
アルミ合金漁船の建造工程のプロセスフローを作成
し、建造の実績データに基づいてアルミ合金漁船の建造
に関するインベントリ分析を行った。解析における入力
データ及び解析条件を以下に示す。
4.1 プロセスフローとプロセス行列
本解析で対象としたアルミ合金漁船の建造プロセスフ
ローを図- 3 に示す。建造段階では、切断、溶接、塗装等
の素材加工、照明や製造装置の使用に伴う電力消費及
び建造に必要な架台の使用を含めた。一方、工場への資
材の搬入と廃棄物の処理及び自主的な社内データの取
得が目的である海上試運転は解析対象には含めなかっ
た。また 、各プロ セスで消 費する資材のうち、溶接ワイ
ヤー、塗料及び架台の製造工程は省略し、同じ重量のア
ルミニウム合金の地金、エポキシ樹脂及び鋼材として扱っ
た。
図- 3 のプロセスフロー図に基づいて、造船所の建造デー
タ、作業プロセスデータ及び素材等の製造インベントリ
データを用いて3 . 2 . 4 ( 2 ) 式のプロセス行列を作成した。
アルミ合金漁船の建造に関するプロセス行列を表- 6 に示
す。また、以下に使用したデータの詳細を示す。
4.2 建造データ
解析の入力データとして造船所がアルミ合金漁船の建
造のために投入した電力、素材及び部品の使用量、各種
作業並びに廃棄物の内訳を表- 7 に示す。また、データの
詳細を以下に示す。
4.2.1 エネルギー
造船所における照明等の間接作業での電力使用量の
内訳を表- 8 に示す。電力使用量は造船所におけるアルミ
合金漁船の平均的な建造時間、稼働率等の実績値1 ) に
基づいている。なお、溶接等の直接、作業を行う工程での
電力使用量は各々のプロセスデータとして考慮されるた
め、この入力データには含めていない。また、電力以外の
エネルギーは省略した。
4.2.2 素材
(1)アルミ合金材
船殻の製造には主にアルミ合金の板材、型材及び管
材 を 使 用 す る 。 た だ し 、 溶 接 作 業 に使 用 す る 溶 接 ワ イ
ヤーはプロセスデータで考慮するため、アルミ合金材の
使用量には含めなかった。アルミ合金材の使用量と切断
後の残材量(スクラップ)を表-9に示す。
(2)鋼材
鋼材は建造時の架台に使用される。モデル船の建造
のために製作され、建造後に鉄スクラップとして処理され
る。鋼材の使用量の内訳を表-10に示す。
4.2.3 部品
(1)船体艤装品
門型マスト、デリックブーム、舵板等の一般艤装品とト
ロールウィンチ・ワイヤ、カーゴウィンチ等の漁労装置を含
む。船体艤装品の部品は85品目、合計7.99tである。
(2)機関艤装品
主機関、減速機及びプロペラ等、機関艤装品の部品は
35品目、合計5.56tである。
(3)電気艤装品
発電機、バッテリー及び電線等、電気艤装品の部品は
約40品目、合計重量1.62tである。
4.2.4 作業
(1)切断
切断の作業量をアルミ合金材の切断断面積(m 2 )として
表すこととした。切断断面積は切断長(m)と平均板厚(mm)
の積として算出することを想定したが、工場では切断長は
把握していなかった。そのため、本解析ではアルミスクラッ
プの切断屑の量及び設定した切断条件等からモデル船
の建造時の切断断面積を算出し、切断の作業量とした。
(2)溶接
溶接の作業量を船体の溶着金属の重量( k g ) として表し、
船体重量に記載された溶接部の重量を解析用の入力
データとした。表- 2 の船体の重量構成表に記載されている
溶接部の重量は設計上の重量であり、削除された余盛部
の重量は含まれていない。しかし、溶着金属の重量に比
べ削除された余盛の重量は少ないと考えられるため、本
解析の溶接の作業量には、設計上の溶接部の重量を溶
接の作業量とした。
(3)塗装
塗装の作業量を船体に付着した塗膜重量(k g )として表
した。なお、溶剤は最終的には揮発してしまうと考えられる
ため、その使用量は含めなかった。
4.2.5 排出物・廃棄物
(1)アルミスクラップ
表- 9 に示されたアルミ合金材の残材をアルミスクラップとし
た。なお、溶接ワイヤーと溶接棒の使用後の残材及びア
ルミの切削屑は省略した。
(2)鉄スクラップ
表-10に示した架台作成の鋼材使用量と同じ重量が鉄スク
ラップになるものとした。
4.2.6 環境中への排出
(1)CO2
海上試運転や灯油焚きの暖房装置の使用等は解析
対象ではないため、建造段階で直接C O 2 を排出する工
程はない。
6
(2)固形廃棄物
アルミ合金材の梱包等に使用された木材やラワンベニ
ヤ等が固形廃棄物として排出される。状況調査の結果に
基づくモデル船の建造に係わる固形廃棄物の内訳を表 1 1 に示す。主に溶接部のサンディングにより排出される切
削屑は廃棄物処理業者に、また、木材及びラベル等は社
内で焼却される。
4.3 作業プロセスデータ
解析に使用した溶接等の作業のプロセスデータを以下
に示す。
4.3.1 切断作業
全ての切断作業を電気丸鋸で行うと仮定し、アルミ合金
板の板厚や平均的と考えられる切断条件に基づいてプロ
セスデータを作成した。なお、丸鋸の回転歯の消耗は考
慮しなかった。
4.3.2 溶接作業
全ての溶接をMIG(Metal Inert Gas)溶接で行うと仮定
し 、 平 均 的 と 考 え ら れ る溶 接 条 件 に 基 づ い て プ ロ セ ス
データを作成した。なお、溶接で使用するアルミ溶接ワイ
ヤーや溶接棒は単純化してアルミ合金材として扱い、シー
ルドガスは考慮しなかった。
4.3.3 塗装作業
本解析では全ての塗装作業をエアレススプレーで行う
と仮定した。工場での聴き取り調査の結果に基づいてプ
ロセスデータを作成した。なお、エアレススプレーを駆動
するための圧縮空気の製造で消費する電力は工場全体
の電力使用量に含まれているために除いた。また、塗料
は単純化して全てエポキシ樹脂として扱い、溶剤は考慮し
なかった。
4.4 製造インベントリデータ
アルミニウム合金や鋼材等の素材、電力、燃料及び各
種の部品の製造に関するプロセスデータは、原材料の採
掘から製造までの全てのプロセスを含む製造インベントリ
データとして処理した。解析に使用したエネルギー、素材
及び部品の製造に関するインベントリデータの詳細を以
下に示す。
4.4.1 エネルギー
日本での電力の製造インベントリデータとして、データ
ベース 2 )の全国平均のデータを使用した。使用した電力
データは日本における製造インベントリデータであり、電
源構成はLNG(22%)、石炭火力(11%)、水力(11%)、原子力
(28%)、石油火力(28%)及びその他(2%)である。
4.4.2 素材
(1) アルミニウム合金材
船殻材料にはアルミニウム合金(A5083又はA5183)の
板材、型材及び管材が使用されている。使用したデータ
ベースにはこれらの材料に関する適当な製造インベント
リーデータはなかった。アルミニウム合金材はアルミ地金
から鋳造、圧延、押出及び鍛造等の加工プロセスを経て
製造される。この加工プロセスの段階で消費されるエネ
ルギーは、アルミニウム合金材の製造に要する全エネル
ギーの9%程度であり、本解析では省略できると考えた。 7)
そのため、本解析ではアルミ新地金の製造データを
データベース 4) から選定し、加工プロセスを省略してアル
ミニウム合金材の製造インベントリデータとした。このアル
ミ新地金の製造データには原材料としてアルミスクラップ
は使用されていない。また、欧州のデータベースであり、
電解精錬では欧州平均の電力データが用いられている
が、そのまま使用した。
(2) 鋼材
データベースにはモデル船に使用された鋼材に関す
る適切な製造インベントリーデータはなかった。そのため、
本解析では鋼材の製造インベントリデータとしてデータ
ベース3 )の鋼塊製造に圧延工程のデータを加味して作成
した。なお、鋼塊製造での主な原材料には鉄鉱石や石炭
に加え、鉄スクラップを含んでいる。
(3)塩化ビニル(PVC)
塩化ビニルの製造インベントリデータはデータベース 4)
のデータを使用した。
(4)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂の製造インベントリデータはデータベース 4 )
のデータを使用した。
4.4.3 部品
大型船舶のディーゼル機関に関する製造 10) を除き、船
舶の部品の製造に関する製造インベントリデータ はな
かった。そのため、本解析においては、部品の製造インベ
ントリデータはその製造工程を省略し、構成する素材の
種類を簡略化した素材の製造データとして扱った。
モデル船の建造に使用する素材と部品を船殻材料、船
体艤装品、機関艤装品及び電気艤装品に分類した。艤装
品の分類毎に作成した製造に関するプロセスフローを
図- 4 に示す。なお、各艤装品の分類で想定した製造時に
使用する代表的な素材の種類を以下に示す。
・船体艤装品:全て鋼材。
・機関艤装品:全て鋼材。
・電気艤装品:鋼材と塩化ビニルを各々重量の50% 。
なお、多数の部品から構成される複写機のL C A 1 1 ) で
は、スクリュー、半導体集積回路、電気・電子部品、配線
及び機械部品等の部品の製造工程は無視し、部品の合
計重量の50%の鋼材とHDPE(プラスチック)に置き換える
等簡略化した解析を実施している。こうした簡略化は現時
点で行われるL C A ではやむを得ないものと考えられる。
4.5 インベントリ分析(建造)
アルミニウム合金漁船の建造に関するインベントリ分析
の解析結果を以下に示す。
4.5.1 解析結果
7
表-6に示したプロセス行列(AB)の経済的入出力部(A)
の逆行列から求めたプロセス量行列(P )と環境負荷行列
(Q)を表-12及び表-13に示す。
4.5.2 経済的入出力(プロセス量)
モデル船の建造工程での消費電力量の解析結果は
1.8×102GJ(4.9×104kWh)となり、実績値と一致した。この
うち、溶接作業に伴う電力消費量はプロセスデータに基
づく解析結果(2.8×103kWh)と溶接の負荷率とアークタイ
ム率から求めた実績値が概ね一致した。ただし、建造に
必要な電力消費量のうち溶接作業が占める割合は約 6%
と小さく、大部分は照明やクレーン等の間接作業に伴う電
力消費が占めた。解析結果の信頼性を高めるためには、
これら間接作業の作業量を実績値等から的確に推定す
ることが必要と考えられる。
4.5.3 CO2排出量
アルミ合金漁船の建造に関するCO 2排出量は1.6×10 2 tCO 2 であった。CO 2 排出量のプロセス毎の内訳を図-5に示
す 。アルミ新地金の製造に係わるC O 2排出量が全体の7 5
% 、電力の製造が13%及び鋼材の製造が11%を占めた。
なお、溶接作業に伴う電力やワイヤーの製造を含めた溶
接作業全体のCO 2 の排出量は全排出量の5%を占めた。
4.5.4 海上試運転によるCO 2排出量
本解析では海上試運転は解析対象には含めなかった
が、海上運転で主機を定格出力(5 5 0 P S )で6 時間運転し
た場合、燃料(A重油)の使用量は約5.3×10 2kgとなる。燃
料の製造と主機関の運転に伴うCO 2排出量は約1.8t-CO 2
となり、モデル船建造に関わる全CO 2 排出量の約1 %程度
に相当する。
5. 運航
アルミ合金漁船の運航に関するプロセスフローを作成
し、運航の実績データに基づいて運航に関するインベン
トリ分析を行った。解析に使用した入力データ及び解析条
件を以下に示す。
5.1 プロセスフローとプロセス行列
本解析で対象としたアルミ合金漁船の運航に関するプ
ロセスフローを図- 6 に示す。アルミ合金漁船はホタテ貝増
養殖を目的とした四輪採制の漁業システムの一環として使
用される。運航段階では漁場整備のための春操業及び
収穫のための本操業に加え、塗装や主機関の交換等の
保守・修繕作業を含めた。ただし、発生するスラッジや固
形廃棄物の処理は対象としなかった。なお、塗料や部品
の製造インベントリデータは建造工程と同様に加工工程
を省略し、使用材料を単純化して扱った。
プロセスフローに基づいて作成したアルミ合金漁船の
運航に関する漁獲量1kg当たりのプロセス行列を表-14に
示す。また、以下に使用したデータの詳細を示す。
5.2 漁業データ
解析対象とした運航プロセスは春操業、本操業、保守
作業、修繕及び主機の換装とした。モデル船のライフサイ
クル年数を2 0 年とした場合の春操業や本操業の回数等の
運航計画は表- 3 に示したとおりであり、ホタテ貝の総漁獲
量6.3×104tである。
5.3 プロセスデータ
5.3.1 運航プロセス
解析条件として対象とした運航プロセスを以下に示す。
(1)春操業
春操業は漁場整備を目的として、漁船が軽荷状態で出
航し、漁場の海区をホタテ桁網を曵網しながら低速で走り
回り、漁場からのゴミ等を満載して帰港する。軽荷、曵網
及び満載等の航行状態毎の航行距離は表- 5 の航海計画
に示した。また、春操業で海区から収集した死んだホタテ
貝等のゴミは全て固形廃棄物とし、春操業1 (回)で収集す
るゴミの量はモデル船の最大搭載重量の18tとした。
(2)本操業
本操業はホタテ貝の水揚を目的とし、春操業と同様に
漁船が軽荷状態で出航し、漁場の海区でホタテ桁網を曵
網してホタテ貝を収穫し、漁場からホタテ貝を満載して帰
港する。春操業と同様に、航行状態毎の航行距離は表- 5
の航海計画に示した。
(3)保守作業
保守作業は毎年実施される船底塗装を対象とした。船
底塗装の作業量は船体に付着した塗膜重量とし、建造時
の防汚塗料と同じ重量とした。また、船底の塗装方法は主
にローラー塗りであるが、本解析では全体塗装と同じエア
レススプレーを想定した。
(4)修繕
修繕は2 年に1 度実施する全体塗装を対象とした。全体
塗装の作業量も( 3 ) 保守作業と同様に、船体に付着した塗膜
重量とした。また、全体塗装の塗装方法はエアレススプ
レーとした。
(5)主機換装
主機関の換装はライフサイクルを通じて1 度実施されるこ
ととした。なお、中古となった主機関の再使用や処理等は
解析の対象としなかった。
5.3.2 船舶状態
モデル船の船舶状態を軽荷、満載及び曳網で表すこと
とし、各船舶状態での航行距離1km当たりに必要な船舶主
機力(J)を航海速力及び主機馬力等の運航計画に基づい
て算出した。各航行状態での主機関の運転条件と船舶の
主機馬力を表-15に示す。
5.3.3 プロセスデータ
解析に使用したプロセスデータを以下に示す。
(1)主機関の運転
主機のディーゼル機関の運転に伴う排気ガス中の成
分は運転状態により変化する。しかし、解析の対象とした
8
C O 2 は、燃料の消費量に比例すると考えられることから、主
機関の運転に関するプロセスデータは、定格出力を対象
に型式、運航実態及びメーカーの聴き取り調査に基づい
て作成した。
船舶用のディーゼル機関は主にクランク軸の潤滑を目
的とするシステム油とピストンとシリンダーライナーを保
護するシリンダー油の2 種類の潤滑油を使用する。これら
潤滑油は主機関の使用時間に応じて消費される。なお、
システム油は主機関の使用に伴い、固形廃棄物として排
出されるものとした。
(2)塗装
塗装方法はエアレススプレーとし、プロセスデータは建
造工程と同じとした。なお、塗装作業で使用する圧縮空気
の製造工程は省略した。
5.4 製造インベントリデータ
解析に使用したエネルギー、素材及び部品の製造に
関するインベントリデータの詳細を以下に示す。なお、電
力、鋼材及び塗料は建造と同じ製造インベントリデータを
使用したため、ここでは省略する。
5.4.1 燃料
船舶用のディーゼル機関の燃料としてA 重油を使用する。
本解析ではA重油(Diesel油)の製造インベントリデータとし
てデータベース 4) のデータを使用した。なお、燃料は漁協
から購入するが、漁協までの燃料の輸送等は考慮しな
かった。
5.4.2 潤滑油
本解析では潤滑油の製造インベントリデータとして同等
と考えられるA重油(Diesel油)の製造インベントリデータを
使用した。
5.4.3 主機関
換装する主機関の製造インベントリデータは主機関重
量に相当する鋼材として扱った。また、主機関の換装作業
に必要な電力や諸作業は省略した。
5.5 インベントリ分析(運航)
アルミニウム合金漁船の運航に関するインベントリ分析
の結果を以下に示す。
5.5.1 解析結果
表- 1 4 に示したプロセス行列に基づく解析結果であるプ
ロセス量行列(P )と環境負荷行列(Q )を機能単位(ホタテ
貝の水揚げ1kg)、年間及びライフサイクル毎に表-16及び
表- 1 7 に示す。なお、年間及びライフサイクルのデータは水
揚げ量に比例させて求めた。
5.5.2 経済的入出力(プロセス量)
漁船の運航に伴う燃料使用量の解析結果は年間で約
71tとなった。漁協が平成10年度に支払った燃料代に基づ
いて算出した消費量(約64t) に比べ約10%程度多い結果
となった。
5.5.3 CO2排出量
(1 )プロセスの内訳
モデル船の運航におけるCO 2排出量はホタテ貝1kg当たり
約77g-CO2、運航年数20年で約4.9×103t-CO2であった。プロ
セス毎のCO 2 排出の内訳を表-18及び図-7に示す。主機関
の運転に係わるC O 2 の排出量が全体の約9 1%を占めた。
重油の製造段階でのC O 2 排出量を考慮すると、運航におけ
るC O 2 排出量のほとんどは主機関の運転に伴うことが明らか
になった。
(2)運航の内訳
漁業の運航計画の区分毎の内訳を表- 1 9 及び図- 8 に
示す。春操業に係わるC O 2 排出量が全体の約3 3 %、ま
た、本操業の「水揚作業」が約66 %を占めた。保守作業及
び修繕等に関わるCO 2 排出量は合計で全体の約0.3%程
度であった。
5.5.4 固形廃棄物
固形廃棄物が年間約1 . 0×1 0 3 t 排出されるが、ほとんど
は春操業に伴うホタテ貝等のゴミである。
6. ライフサイクル
モデル船の建造及び運航の解析結果からライフサイク
ルでの環境負荷を算出した。解析結果の詳細を以下に示
す。
6.1 ライフサイクルインベントリデータ
ライフサイクルでの環境負荷項目の建造と運航のス
テージ毎の内訳を表-20に示す。また、CO 2 排出量の建造
と運航のステージ毎の内訳を図-9に示す。
ライフサイクル全体でのCO 2 排出量は約5.0×10 3 t-CO 2
であり、運航によるC O 2 排出量がライフサイクル全体のC O 2
排出量の約97%を占めた。
6.2 プロセス毎の内訳
ライフサイクルでのC O 2 排出量のプロセス毎の内訳を
表-21及び図-10に示す。CO 2排出量の内訳は、主機関運
転約89%、重油の製造約8%、アルミ新地金の製造約2%
及びその他1%であった。
7. まとめ
小型船舶のライフサイクルにわたる環境負荷を把握す
るため、C O 2 排出量を対象にモデル船としたアルミ合金製
のホタテ桁曳き漁船の建造工程と運航に関してインベント
リ分析の解析手法、解析モデル及びプロセスデータを作
成した。また、実績データに基づいてインベントリ分析を行
い、ホタテ貝1 k g 当たりの水揚げに対するC O 2 排出量とそ
の内訳をプロセス単位で明らかにすることができた。小型
船舶へのインベントリ分析の適用方法を作成したことによ
9
り、今後、チタン合金等新しい素材を用いた小型船舶の
環境負荷を評価する手法の基礎ができたと考えられる。
参考文献
亀山道弘他、アルミニウム漁船とFRP漁船のライフサイ
クル・インベントリ分析に関する研究-A:モデルの分析
2)
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テータ提供:(社)産業環境管理協会
3)
工業技術院 資源環境技術総合研究所 NIREデータ
ベース(Ver2.1)
4)
Pre社 SimaPro4.0 データベース(Pre4 database、The
BUWAL250 database、IDEMAT)
5)
実践LCA ISO14000対応、(株)サイエンスフォーラム、
1999年1月、第1版 、ISBN4-916164-19-9 C3050
1)
科学技術庁 金属材料研究所 エコマテリアル設計者・
開発者のためのデータバンク
http:/144.213.11:8080/ecomat/J/ecodb/
7)
(社)未踏科学技術協会 エコマテリアル研究会、「環境
負担性評価システム構築のための基礎調査研究」調
査報告書(別冊)-金属素材インベントリデータ-、平成7
年11月 、p26
8)
戦略LCA研究フォーラム、LCA 製品の環境ライフサイ
クルアセスメント、1995年11月、第1版第2刷、p178
9)
R.Heijungs, etc.、Environmental Life Cycle Assessment
of Products -Guide & Buckgrounds-October
1992 、ISBN 90-5191-064-9
10)
城田英之他、舶用主機の製造工程におけるLCI解 析 、
1999年12月、日本機械学会第8回交通・物流部門大会
講演論文集 P251∼254
11)
International Comparison of LCA Methodologies(LCA
日本フォーラム 平成11年3月 )
6)
10
表-1 アルミ合金漁船の主要目
船
種
構
造
用
途
機
能
主機関
燃
料
外海ホタテ桁曵き漁船、総トン数14トン
全長21.66m、船体重量(軽荷排水量)26t、アルミニウム合金製 小型機船底引き網漁業
ホタテ貝 搭載可能重量18t、最大速力17knot
定格出力650PS
A重油 162g/(PS・hr)
表-2 船体の重量構成表(アルミ合金漁船)
項
目 重量(t) (%)
主な部品等
船
殻
10.7
41 溶接部615kg、塗料434kg(防食343kg、防汚91kg)を含む。
船体艤装
8.0
32 漁労装置及び一般艤装
機関艤装
5.6
21 主機関2,150kg、減速機、プロペラ軸、プロペラ等
電気艤装
1.6
6 発電機、バッテリー、電線等
合
計
25.9
100
図 -1 一般配置図 (アルミ合金漁船)
11
表-3 生涯計画(アルミ合金漁船)
1
2
3
4
5
項
目
載 荷 重 量
使 用 年 数
船底塗装回数
全体塗装回数
主機換装回数
数量
18
20
18
9
1
単位
t
年
回
回
回
備 考
生涯漁獲量 62,640t
春操業 1140回、本操業 3480回
建造時と最終年を除く。
2年に1度、全体塗装を行う。
表-4 年間運航計画(アルミ合金漁船)
日 数
操業の種類
1 春操業(3-5月)
操業日数
悪天候等による休漁日数
2 本操業(6-12月)
操業日数
悪天候等による休漁日数
3-12月の暦日数
57
11
(日)
(日)
174
34
(日)
(日)
276
(日)
(注)1-2月は休漁し、船底塗装等の保守・修理を行う。
表-5 航海計画(ホタテ貝漁)
航路と航海状態
(1) 港→漁場(往路):軽荷状態
漁場:曳網状態(春操業)
(2)
漁場:曳網状態(本操業)
(3) 漁場→港(復路):満載状態
航行時間
(h)
6.00E-01
6.00E+00
3.00E+00
8.00E-01
速度
(kt)
1.70E+01
2.50E+00
2.50E+00
1.40E+01
航行距離
(海里)
1.02E+01
1.50E+01
7.50E+00
1.12E+01
航行距離
(km)
1.89E+01
2.78E+01
1.39E+01
2.07E+01
主機馬力
(PS)
5.50E+02
3.00E+02
3.00E+02
5.50E+02
燃料
エネルギー
艤装品
建造
船舶
使用
漁獲量
主機関
アルミ合金材
の生産
アルミ材
(システム境界)
スクラップ
解体
再利用
鋼材
図 -2 アルミ合金漁船のシステム境界
非鉄
金属
再利用
部品
12
素材・部品
の製造
電力の製造
アルミ合金
の製造
素材・部品
電力
溶接作業
溶接重量
切断作業
切断重量
アルミ合金
電力の製造
建造
エポキシ樹脂
の製造
エポキシ
塗装作業
塗装重量
電力の製造
電力
電力の使用
電力使用
鋼材の製造
鋼材
架台の使用
架台
<素材等の製造
インベントリデータ>
<作業プロセスデータ>
図-3 船舶建造のプロセスフロー
<建造データ>
漁船
8
エポキシ樹脂塗料(kg)
船体艤装品(kg)
機関艤装品(kg)
電気艤装品(kg)
切断断面積(m2)
溶接重量(kg)
塗装重量(kg)
アルミ漁船(1隻:25ton)
5
6
7
8
9
10
11
12
1.17E-01
3.12.E-06
20 CO2(kg)
21 固形廃棄物(kg)
0
-1.10E-02
17 天然ガス(kg)
0
-1.80E-02
16 原油(kg)
19 鉄スクラップ(kg)
-1.20E-02
15 石炭(kg)
18 アルミスクラップ(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
14 鉄鋼石(kg)
13 ボーキサイト(kg)
塩化ビニル(kg)
4
0
0
1
日本全国平均
(注)(+)(-):インプットを(-)、アウトプットを(+)とした。
環境への排出
金属スクラップ
(資源)
環境からの入力
アルミ材(地金)(kg)
鋼材(kg)
2
(製品・サービス)
備考
電力-日本(MJ)
3
1
I
データの種類
経済的入出力
NEC:産環協
出典データ
ABM
1電力の生産
プロセス名
プロセス行列
プロセス行列(建造)
6.43E-01
9.49E+00
0
0
0
-1.43E-01
-1.70E+00
-1.78E-05
-4.81E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
オランダ
I
S:25700027
2.アルミ新地金
1.39E-06
1.17E+00
-3.83E-01
0
0
0
-5.32E-01
-1.10E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
日本:鋼塊+圧延
I
NIRE(v2.1)
3鋼材の製造
エネルギー&素材
1.30E-01
1.94E+00
0
0
-5.20E-01
-5.09E-01
-2.37E-02
-4.00E-04
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
塩化ビニル
I
S:25800211
4.PVCの製造
1.43E-02
1.10E+00
0
0
-3.55E-01
-4.35E+00
0
0
-1.56E-03
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
プラスチック
I
S:25800254
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
-1.00E+00
0
0
鋼材
P
仮定
5エポキシの製造 6.船体艤装品
部品
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-1.00E+00
0
0
鋼材
P
仮定
7.機関艤装品
表-6 船舶建造のインベントリー分析表(プロセス分析)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-5.00E-01
-5.00E-01
0
0
鋼材+PVC
P
仮定
8.電気艤装品
0
0
0
8.10E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
-2.10E+01
丸鋸:AL厚6mm
P
船研データ
9.切断作業
3.000E-02
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
-1.03E+00
-1.63E+01
MIG-Ar
P
船研データ
10.溶接作業
作業プロセス
3
-
ス
船
11
13
14
表-7 建造データ(アルミ合金漁船)
使
用
排
出
項 目
電力 - 日本 (MJ)
アルミ合金材 (kg)
鋼材 (kg)
船体艤装品 (kg)
機関艤装品 (kg)
電気艤装品 (kg)
2
切断断面積 (m )
溶接重量 (kg)
塗装重量 (kg)
アルミスクラップ (kg)
鉄スクラップ (kg)
CO2 (kg)
固形廃棄物 (kg)
数 量
1.67E+05
1.18E+04
1.16E+02
7.99E+03
5.56E+03
1.62E+03
8.64E+00
6.15E+02
5.36E+02
2.07E+03
1.16E+02
0
3.61E+02
表-8 ホタテ漁船(アルミ合金船)建造における電力使用量
作業分類
機器の種類
1. 照明・換気
2. 移動
3. 工作機器使用
4. 架台製作
合 計
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
天井水銀灯
ルーフファン
天井クレーン
ノビルーン
電気工具
工作機械
架台製作
(%)
電力使用量
(kWh)
(MJ)
1.01E+04 3.63E+04 22
3.17E+03 1.14E+04 7
1.65E+04 5.94E+04 36
1.58E+03 5.70E+03 3
1.20E+03 4.32E+03 3
1.39E+04 5.01E+04 30
4.30E+01 1.55E+02 0
4.65E+04 1.67E+05 100
表-9 アルミ合金材の使用量と残材量
アルミ合金材
材 質
使用量(㎏)
船体重量(㎏)
残材(㎏)
板 材
型 材
管 材
小 計
A5083
A5083
A5083
9.42E+03
2.07E+03
2.60E+02
1.18E+04
7.55E+03
1.91E+03
2.30E+02
9.69E+03
1.88E+03
1.60E+02
3.00E+01
2.07E+03
表-10 使用する鋼材の種類と使用量
使用場所
架 台
合
計
内 訳 板 厚(mm) 重 量(kg)
チャンネル
9
7.15E+01
アングル
6
2.98E+01
アングル
5
1.47E+01
1.16E+02
15
表-11 固形廃棄物の種類、量及び処理方法
廃棄物名
重量(kg)
処理方法
アルミ合金(溶接部サンディング)
1.75E+01
産廃業者
木材(アルミ材梱包)
2.07E+02
社内焼却
木材(アルミ材梱包)
1.03E+02
社内焼却
ラベ(アルミ材梱包)
3.38E+01
社内焼却
ビニールシート(板・型材)
-
産廃業者
紙(薄い)板材
-
社内焼却
紙(厚い)型材
-
ダンボール扱い
(合計)
3.61E+02
(平均)361kg
アルミ合金
の製造
アルミ合金
(kg)
船殻材料
(隻)
船 殻
(kg)
鋼材の製造
鋼 材
(kg)
船体艤装品
の製造
(隻)
船体艤装品
(kg)
鋼材の製造
鋼 材
(kg)
機関艤装品
の製造
(隻)
機関艤装品
(kg)
鋼材の製造
鋼 材
(kg)
電気艤装品
の製造
(隻)
電気艤装品
(kg)
PVCの製造
塩化ビニル
(kg)
素材・部品
(kg)
(材料の製造)
製造プロセ
ス
製品又はサービス
点線はいずれも本解析では考
慮しないプロセス又は製品等
図 -4 艤装品の分類ごとに作成した部品の製造プロセスフロー
16
表-12 プロセス量行列(建造)PM
経済的入出力名
(製品・サービス)
1 電力-日本(MJ)
2 アルミ材(地金)(kg)
3 鋼材(kg)
4 塩化ビニル(kg)
5 エポキシ樹脂(kg)
6 船体艤装品(kg)
7 機関艤装品(kg)
8 電気艤装品(kg)
9 切断断面積(m2)
10 溶接重量(kg)
11 塗装重量(kg)
12 アルミ漁船(1隻:25t)
プロセス量
合計
1.78E+05
1.24E+04
1.45E+04
8.10E+02
5.64E+02
7.99E+03
5.56E+03
1.62E+03
8.64E+00
6.15E+02
4.34E+02
1
表-13 環境負荷行列(建造)QM
環境負荷項目名
環境からの入力
(資源)
金属スクラップ
環境への排出
13
14
15
16
17
18
19
20
ボーキサイト(kg)
鉄鋼石(kg)
石炭(kg)
原油(kg)
天然ガス(kg)
アルミスクラップ(kg)
鉄スクラップ(kg)
CO2(kg)
消費/排出量
合計
-5.96E+04
-1.59E+04
-3.09E+04
-7.83E+03
-2.58E+03
2.13E+03
-5.43E+03
1.57E+05
21 固形廃棄物(kg)
8.59E+03
(注)(+)(−):インプットを(−)、アウトプットを(+)とした。
PVCの製造
1%
鋼材の製造
11%
電力の製造
13%
アルミ新地金
の製造
75%
図-5 建造プロセス毎のCO2 の排出量 (アルミ合金船)
17
主機関運転
機械力
航 海
軽 荷
航行
距離
航 海
満 載
航行
距離
航 海
曳 航
航行
距離
春操業
漁場
整備
本操業
水揚
ホタテ漁
塗料の生産
塗料
塗 装
塗装
重量
船 底
塗 装
船底
塗装
ホタテ貝
塗料の生産
塗料
鋼材の生産
鋼材
塗 装
塗装
重量
全 体
塗 装
全体
塗装
主 機
換装
主機
図 -6 ホタテ漁船の使用に関するプロセスフロー
経済的入出力
1
0
0
0
0
0
0
0
12 漁場整備(回)
13 水揚作業(回)
14 保守作業(回)
15 修繕(回)
16 主機換装(台)
17 漁獲量(kg)
27 固形廃棄物(kg)
26 スラッジ(kg)
3.12.E-06
0
1.17E-01
0
25 CO2(kg)
24 鉄スクラップ
-1.10E-02
22 天然ガス(kg)
0
-1.80E-02
23 アルミスクラップ(kg)
-1.20E-02
21 原油(kg)
0
20 石炭(kg)
19 鉄鉱石(kg)
0
0
11 航海(満載)(km)
18 ボーキサイト(kg)
0
10 航海(曵網)(km)
0
0
0
0
7 船舶主機力(MJ)
8 塗装重量(kg)
0
6 主機関(1台)
9 航海(軽荷)(km)
0
0
5 塗料(kg)
0
2.20E-03
0
2.84E-01
0
0
-6.19E-02
-1.03E+00
-5.10E-03
-1.40E-04
-3.20E-04
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4 鋼材(kg)
1
3 潤滑油(kg)
0
1 陸上電力(MJ)
2 ディーゼル油(kg)
Diesel I
I
S:25800016
素材
2.20E-03
0
2.84E-01
0
0
-6.19E-02
-1.03E+00
-5.10E-03
-1.40E-04
-3.20E-04
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
同左
I
仮定
0
1.43E-02
1.39E-06
1.10E+00
0
0
-3.55E-01
-4.35E+00
0
0
-1.56E-03
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
エポキシ樹脂
I
S:25800254
0
1.17E+00
-3.83E-01
0
0
0
-5.32E-01
-1.10E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
鋼塊+圧延
I
NIRE2.1-REF
3.潤滑油の製造 4.鋼鉄の製造 5.塗料の製造
(注)(+)(−):インプットを(−)、アウトプットを(+)とした。
環境への排出
金属スクラップ
(資源)
環境からの入力
(製品・サービス)
日本平均
I
データの種類
備考
NEC:産環協
出典データ
ABO
エネルギー&燃料
1電力の製造 2.重油の製造
プロセス名
プロセス行列
①プロセス行列(運航)
プロセス
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
-2.15E+03
0
0
0
鋼材
P
9.02E-05
8.70E-06
1.90E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-2.88E-04
-6.11E-02
0
550(PS)
P
SRIMOT
6.主機関製造 7.主機関運転
部品
3.00E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
-1.3
0
0
0
0
P
SRIMOT
8.塗装
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
-4.63E+01
0
0
0
0
0
0
P
船舶性能
9.航海(軽荷)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
-1.71E+02
0
0
0
0
0
0
P
船舶性能
10.航海(曵網)
船舶状態
表-14 船舶運航のインベントリー分析表(プロセス分析)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-5.82E+01
0
0
0
0
0
0
P
船舶性能
11.航海(満載)
1.80E+04
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
-2.07E+01
-2.78E+01
-1.89E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
P
航海計画
12.春操業
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
-2.07E+01
-1.39E+01
-1.89E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
P
航海計画
13.本操業
運航
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
-9.09E+01
0
0
0
0
0
0
0
船底塗装
P
1回/1年
14.保守作業
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
-3.43E+0
0
0
0
0
0
0
0
全体塗装
P
1回/2年
15.修繕
18
19
表-15 航行距離1(km)の航行に必要な主機関の機械エネルギー
項 目
単 位
主機負荷率
航海速力
船舶の主機馬力
1km当たり航行時間
1km当たり主機関エネルギー
(%)
(kt)
(kW)
(h/km)
(MJ/km)
軽 荷
1.00E+02
1.70E+01
4.05E+02
3.18E-02
4.63E+01
対象機関:4ストローク・ディーゼル機関
定格出力:
1PS
1kt
1kWh
=
=
=
航行状態
満 載
1.00E+02
1.35E+01
4.05E+02
4.00E-02
5.82E+01
550
(PS)
0.7355
1.852
3.6
曳 航
5.45E+01
2.50E+00
2.20E+02
2.16E-01
1.71E+02
kW
km/h
MJ
表-16 年間・ライフサイクルで使用する製品・サービス
経済的入出力
(製品・サービス)
ホタテ貝の漁獲量
機能単位
年間漁獲量
操業日数 174(日)
1kg
3.1E+03
1 陸上電力(MJ)
0.00E+00
0.00E+00
2 ディーゼル油(kg)
2.27E-02
7.12E+04
3 潤滑油(kg)
1.07E-04
3.36E+02
4 鋼材(kg)
3.44E-05
1.08E+02
5 塗料(kg)
1.00E-04
3.13E+02
6 主機関(1台)
1.60E-08
5.01E-02
7 船舶主機力(MJ)
3.72E-01
1.17E+06
8 塗装重量(kg)
7.69E-05
2.41E+02
9 航海(軽荷)(km)
1.39E-03
4.37E+03
10 航海(曵網)(km)
1.28E-03
4.01E+03
11 航海(満載)(km)
1.53E-03
4.78E+03
12 漁場整備(回)
1.82E-05
5.70E+01
13 水揚作業(回)
5.56E-05
1.74E+02
14 船底塗装(回)
3.03E-07
9.49E-01
15 全体塗装(回)
1.44E-07
4.51E-01
16 主機換装(台)
1.60E-08
5.01E-02
17 漁獲量(kg)
1.00E+00
3.13E+06
(注)(+)(−):インプットを(−)、アウトプットを(+)とした。
ライフサイクル
使用年数20年
6.3E+04
0.00E+00
1.42E+06
6.71E+03
2.15E+03
6.26E+03
1.00E+00
2.33E+07
4.82E+03
8.74E+04
8.01E+04
9.57E+04
1.14E+03
3.48E+03
1.90E+01
9.02E+00
1.00E+00
6.26E+07
表-17 年間・ライフサイクルで環境負荷項目の量
環境負荷項目
機能単位
年間漁獲量
操業日数 174(日)
ホタテ貝の漁獲量
1kg
3.1E+03
18 ボーキサイト(kg)
-7.47E-06
-2.34E+01
19 鉄鉱石(kg)
-4.10E-05
-1.29E+02
20 石炭(kg)
-1.35E-04
-4.22E+02
21 原油(kg)
-2.40E-02
-7.51E+04
22 天然ガス(kg)
-1.45E-03
-4.54E+03
23 アルミスクラップ(kg)
0.00E+00
0.00E+00
24 鉄スクラップ
-1.32E-05
-4.13E+01
25 CO2(kg)
7.73E-02
2.42E+05
26 スラッジ(kg)
3.24E-06
1.01E+01
27 固形廃棄物(kg)
3.28E-01
1.03E+06
(注)(+)(−):インプットを(−)、アウトプットを(+)とした。
ライフサイクル
使用年数20年
6.3E+04
-4.68E+02
-2.57E+03
-8.44E+03
-1.50E+06
-9.08E+04
0.00E+00
-8.25E+02
4.85E+06
2.03E+02
2.05E+07
20
表-18 運航のプロセス毎のCO2排出量の内訳
プロセス名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
電力の製造
重油の製造
潤滑油の製造
鋼鉄の製造
塗料の製造
船の建造
主機関運転
塗装
航海(軽荷)
航海(曵網)
航海(満載)
春操業
本操業
保守作業
修繕
主機換装
漁業
合計
ホタテ貝1kg当たりの
CO2排出量(kg)
(%)
0
6.46E-03
3.04E-05
4.02E-05
1.31E-04
0
7.07E-02
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
7.74E-02
0.0%
8.4%
0.0%
0.1%
0.2%
0.0%
91.4%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100%
重油の
製造
8.4%
主機関
運転
91.4%
図 -7 運航のプロセス毎の CO2 排出量の内訳
その他
0.2%
21
表-19 漁業区分毎のCO2排出量の内訳
プロセス名
1
2
3
4
5
6
漁場整備(回)
水揚作業(回)
船底塗装(回)
全体塗装(回)
主機換装(台)
ホタテ貝漁獲量(kg)
合計
ホタテ貝1kg当たりの
CO2排出量(kg)
(%)
2.58E-02
5.14E-02
3.94E-05
9.16E-05
4.02E-05
0
7.74E-02
33.3%
66.4%
0.1%
0.1%
0.1%
0.0%
100%
その他 0.3%
春操業(漁場整備)
33.3%
本操業(水揚作業)
66.4%
図 -8 漁業区分毎の CO2 排出量の内訳
CO2 排出量 77 g -CO2/ kg
22
表-20 ライフサイクルでの環境負荷項目のステージ毎の内訳
ステージ
ライフサイクル
全体
内訳
建造
アルミ合金漁船
環境負荷項目
合計数量
数量
(%)
ボーキサイト(kg)
-6.01E+04
-5.96E+04 99%
鉄鉱石(kg)
-1.85E+04
-1.59E+04 86%
石炭(kg)
-3.93E+04
-3.09E+04 79%
原油(kg)
-1.51E+06
-7.83E+03 1%
天然ガス(kg)
-9.34E+04
-2.58E+03 3%
アルミスクラップ(kg)
2.13E+03
2.13E+03 100%
鉄スクラップ
-6.26E+03
-5.43E+03 87%
CO2(kg)
5.00E+06
1.57E+05
3%
スラッジ(kg)
2.03E+02
0
0%
固形廃棄物(kg)
2.05E+07
8.59E+03
0%
(注)(+)(−):インプットを(−)、アウトプットを(+)とした。
運航
使用年数20年
数量
(%)
-4.68E+02 1%
-2.57E+03 14%
-8.44E+03 21%
-1.50E+06 99%
-9.08E+04 97%
0.00E+00
0%
-8.25E+02 13%
4.85E+06 97%
2.03E+02 100%
2.05E+07 100%
建造
3%
運航
97%
図 -9 ライフサイクルでの環境負荷項目(CO2 排 出 量 )のステージ毎の内訳
23
表-21 ライフサイクルでのプロセス毎の環境負荷項目(CO2)の排出量
プロセス名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
17
18
19
20
21
22
23
24
25
環境負荷項目
CO2
電力の製造
重油の製造
潤滑油の製造
アルミ新地金の製造
鋼材の製造
PVCの製造
エポキシの製造
船体艤装品の製造
機関艤装品の製造
電気艤装品の製造
切断作業
溶接作業
塗装作業
漁船の製造
主機関運転
航海(軽荷)
航海(曵網)
航海(満載)
春操業
本操業
船底塗装
修繕
主機換装
漁業
合計
電力の製造
0.4%
重油の製造
8.1%
(kg)
2.08E+04
4.05E+05
1.90E+03
1.18E+05
1.94E+04
1.57E+03
8.97E+03
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
4.43E+06
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
0.00E+00
5.00E+06
(%)
0.4%
8.1%
0.0%
2.4%
0.4%
0.0%
0.2%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
88.5%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100%
アルミ新地
金の製造
2.4%
鋼材の製造
0.4%
エポキシの
製造
0.2%
主機関運転
88.5%
図 -10 ライフサイクルでのCO2 排出量のプロセス毎の内訳
小型漁船のインベントリ分析に関する研究
−C:FRP漁船の解析−
櫻井昭男 * 、亀山道弘 * 、木原 洸 * 、林 慎也 * 、
千田哲也 * 、久津見都 *
深町得三 ** 、大熊正造 ** 、田子廣政 ** 、岡田一成 ** 、
本多貴寿 **
蒲谷勝治 ***
Research on Application of Inventory Analysis to Fishing Boat
- C : Inventory Analysis on FRP Fishing Boat by
Akio SAKURAI, Michihiro KAMEYAMA, Takeshi KIHARA, Shinya HAYASHI,
Tetsuya SENDA and Miyako KUTSUMI
Tokuzo FUKAMACHI, Shozo OHKUMA, Hiromasa TAGO
Kazunari OKADA and Takahisa HONDA
and Katsuji KABAYA
Abstract
The life cycle of the ship including materials and parts is so complicated that a full-scale LCI (Life
Cycle Inventory) analysis of FRP (Fiber Reinforced Plastics) fishing boat has not been carried out
yet. Therefore, the authors tried to model LCI analysis of FRP fishing boat. The scope of analysis
included the production of energy and materials; shipbuilding; operation. Dismantling and
recycling of used FRP from dismantled ships were not included in the analysis. CO 2 emission was
selected as one of the analyzed loads to the environment.
Process analysis with matrix calculation for the simplified boat parts was used in the execution of
the analysis. It was possible to estimate the amount of CO 2 emission throughout the life cycle of
FRP fishing boat and through the execution of the analysis, the implementation method of LCI
analysis of FRP fishing boat was created.
*
LCA 研究グループ
**
ヤマハ発動機㈱
*** 元ヤマハ発動機㈱
目次
5.3.3 プロセスデータ ................................................................ 7
5.4 製造インベントリデータ ..................................................... 7
1. はじめに ......................................................................................... 1
2. 対象船舶と調査範囲 ................................................................ 1
5.4.1 燃料 .................................................................................... 7
2.1 対象船舶 ................................................................................. 1
5.5 インベントリ分析(運航) .................................................... 8
2.1.1 船体の仕様 ..................................................................... 1
5.5.1 解析結果 .......................................................................... 8
2.1.2 運航計画 .......................................................................... 2
5.5.2 経済的入出力(プロセス量) ..................................... 8
2.2 目的と調査範囲 ................................................................... 2
5.5.3 CO2 排出量 ...................................................................... 8
5.4.2 潤滑油 ............................................................................... 7
2.2.1 目的 .................................................................................... 2
5.5.4 固形廃棄物....................................................................... 8
2.3.2 機能と機能単位 ............................................................ 2
6. ライフサイクル ............................................................................. 8
2.3.3 システム境界 .................................................................. 2
2.3.5 環境影響のタイプ、環境影響評価手法及び結果
6.1 ライフサイクルインベントリデータ ................................. 8
6.2 プロセス毎の内訳 ............................................................... 8
7. まとめ .............................................................................................. 8
の解釈法 ................................................................................. 2
7.1 システム範囲 ........................................................................ 8
2.3.4 環境負荷項目 ................................................................ 2
2.3.6 負荷配分法 ..................................................................... 2
7.2 環境負荷項目 ....................................................................... 8
3. 解析手法 ....................................................................................... 2
7.3 製造インベントリデータ ..................................................... 8
3.1 データ収集................................................................................ 2
7.4 舶用部品と作業プロセスデータ .................................... 8
3.1.1 収集方法 .......................................................................... 2
7.5 建造 .......................................................................................... 9
3.1.2 データ品質 ...................................................................... 2
7.6 運航 .......................................................................................... 9
3.2 インベントリ分析 .................................................................. 3
参考文献 ............................................................................................ 9
3.2.1 産業連関表と積み上げ法 ......................................... 3
3.2.2 逐次法と行列法 ............................................................ 3
1. はじめに
3.2.3 行列法の解析手法 ...................................................... 3
4. 建造工程の解析 ........................................................................ 3
4.1 プロセスフロー ...................................................................... 3
ホタテ桁曳き漁船を対象とした小型船舶のライフサイク
4.2 建造データ ............................................................................. 3
ルインベントリ(LCI)分析の一環として、A編(モデル船の
4.2.1 エネルギー ...................................................................... 4
分析)[1]、B編(アルミニウム合金漁船の解析)[2]に続き、
4.2.2 素材 .................................................................................... 4
本報告ではFRP(繊維強化プラスチック)船のLCIを行った。
4.2.3 部品 .................................................................................... 4
FRP船の場合、主に廃棄やリサイクル性に対する問題が
4.2.4 作業 .................................................................................... 4
近年クローズアップされている。しかし、FRP船の環境調和
4.2.5 資源(環境からの入力) ................................................ 5
性を評価するためには、単に廃棄やリサイクル問題だけで
4.2.6 排出物・廃棄物 ............................................................. 5
はなく、全ライフサイクルを通じた環境負荷を評価を実施
することが求められる。
4.3 作業プロセスデータ ............................................................ 5
4.3.1 サンディング・トリミング作業 ..................................... 5
本研究ではその手がかりとして、FRP漁船の建造及び
4.3.2 塗装作業 ........................................................................... 5
運航における環境負荷の概略を把握するために、インベ
4.4 製造インベントリデータ ..................................................... 5
ントリ分析をモデル船の建造及び運航の実績データに基
づいて実施した。以下に結果を報告する。
4.4.1 エネルギー ...................................................................... 5
4.4.2 素材 .................................................................................... 5
2. 対象船舶と調査範囲
4.4.3 部品 .................................................................................... 6
4.5 インベントリ分析(建造) .................................................... 6
2.1 対象船舶
4.5.1 解析結果 .......................................................................... 6
解析の対象としたモデル船の仕様を以下に示す。
4.5.2 経済的入出力(プロセス量) ..................................... 6
4.5.3 CO2 排出量 ...................................................................... 6
2.1.1 船体の仕様
5. 運航................................................................................................... 7
解析の対象としたモデル船はFRP製で、総トン数14トン
5.1 プロセスフロー ...................................................................... 7
の外海ホタテ桁曳き漁船である(以下、モデル船と称す。)。
5.2 漁業データ ............................................................................. 7
モデル船の主要目と船体の重量構成表を表−1及び表−
5.3 プロセスデータ ..................................................................... 7
2に示す。また、一般配置図を図−1に示す。塗膜重量は
5.3.1 運航プロセス ................................................................... 7
船殻重量に、漁労装置と一般艤装品は船体艤装の重量
5.3.2 船舶状態 ........................................................................... 7
に含めた。
1
2.1.2 運航計画
場への輸送及び廃棄物の焼却等、建造または運航に直
(1) 生涯計画
接関係しない工程は含めない。
モデル船の使用年数等の生涯計画を表−3に示す。使
2.2.4 環境負荷項目
用年数は20年とし、使用期間中の主機の交換は1回だけ
解析の対象とした環境負荷項目は二酸化炭素(CO2)であ
とした。塗装は船底塗装のみを年1回行うものとした。
る。また、以下の資源の消費及び排出物を参考として考慮
(2) 運航計画
する。
モデル船の年間の運航計画はアルミ合金船と同じとし
・消費資源:石炭、原油、LNG、天然ワックス、水、原木、
た。表−4に示すように、年間に実施される操業には、漁
鉄鉱石、ガラス原料、ボーキサイト
・排出物:CO2、スチレンモノマー、固形廃棄物、鉄スクラ
場の清掃や整備を目的として3∼5月に行われる春操業と、
ップ及び運航においてはスラッジ
6∼12月のホタテ貝の収穫をする本操業の2種類がある。
2.3.5 環境影響のタイプ、環境影響評価手法及び結果の
操業のないのは、1∼2月の休漁期間に加え、土日及び悪
解釈法
天候による休漁日である。
本解析では CO2 排出量のみを対象としたインベントリ分
(3) 航海計画
析を実施し、地球温暖化等の環境影響評価及び感度解
操業時の航行距離や主機馬力等の航海計画を表−5
に示す。モデル船は港を軽荷状態で出航し、漁場の海区
析等の解釈は実施しなかった。
で曳網し、ホタテ貝等を満載した状態で帰港する。春操業
2.3.6 負荷配分法
と本操業とでは曳網状態を除き、航行時間、主機出力及
漁船の建造では端材としてのガラス繊維や、トリミング・
び速力は同じとした。航行距離は、航行時間と速力の実
サンディングによるFRP屑が発生する。しかし、本解析では
績から求めたため、往路と復路の距離に違いが表れた。
FRPのリサイクルは解析の対象外であり、また建造では
FRP漁船のみが経済的に有益な製品として製造されるた
め、副産物の生産等に伴う負荷の分配は考慮しなかっ
2.2 目的と調査範囲
た。
本インベントリ分析の目的及び範囲を以下にまとめる。
また、漁船の使用(運航)においては、ホタテ貝の水揚げ
2.2.1 目的
FRP漁船の建造及び運航に伴うCO2の排出量を把握し、
(漁獲量)のみが経済的に有益な製品であり、負荷の分配
将来的な小型漁船の環境負荷の低減等に資することを意
は考慮していない。
図する。
2.2.2 機能と機能単位
3. 解析条件
解析の対象とする製品・サービスは、総トン数14トンの
FRP漁船を使った四輪採制[1]によるホタテ漁業の実施と
本解析で適用したデータ収集及びインベントリ分析等
した。また、対象とする機能単位はモデル船の生涯操業
の解析手法を以下にまとめる。
でのホタテ貝(1kg)の水揚げ量とする。
2.2.3 システム境界
3.1 データ収集
FRP漁船のライフサイクルにおける全体プロセスフロー
解析に使用したプロセスデータの収集方法及びデータ
と本解析の対象とするシステム境界を図−2に示す。FRP
の品質は以下のとおりである。
漁船のライフサイクルにはFRP資材、主機関の部品及び
3.1.1 収集方法
電力、燃料等のエネルギーの生産に加え、漁船の建造、
建造や運航のステージにおける資材、エネルギー及び
使用及び解体並びにリサイクル等のステージが含まれる。
部品等の種類と使用量は、実際の使用量の調査結果に
しかし、今回モデル船とした北海道仕様のFRP漁船は使
基づいたデータ[1]を使用した。FRP資材等各種素材、燃
用後に外国に転売されることが多く、解体、リサイクルの実
料及び電力に関するプロセスデータには、各種データベ
績がほとんどない。そのため、本解析では漁船の建造及
ースの解析結果や参考文献等のデータ[3]-[7]を使用し、
び使用のみを解析の対象とし、漁船の解体及びリサイクル
独自の調査は実施しなかった。主機関及び艤装品等の部
はシステムの対象外とした。
品に関するプロセスデータは部品の製造工程の省略及び
ただし、FRP船体積層用の簡易め型は5回(5隻の漁船)
使用する素材の簡略化を行った。建造ステージでは、サ
の製造に使用して廃棄更新されるものとした。また、樹脂
ンディング・トリミング作業及び塗装作業に関しては、使用
溶剤のアセトンはスラッジとともに廃棄処理されるもの
する機器のカタログ及びそれらの機能等に基づいてプロ
(10%)以外は回収、再生の後再使用するものとした。
セスデータを作成した。漁船の運航ステージでは、主機関
素材、部品及びエネルギー等の生産に関しては各種文
の運転に関しては、使用する主機関のカタログ及びそれら
献やデータベースからのインベントリデータを使用し、素
の機能等に基づいてプロセスデータを作成した。
材等の生産工程は対象としない。さらに、資材や部品の工
3.1.2 データ品質
2
解析を行ったモデル船の建造や運航は1990年代の日
分については行列の作成時点では未知数の行列であ
本の漁業協同組合(以下、「漁協」と称す。)が四輪採制で
る。
実施するホタテ漁業であり、いずれも当時の日本の平均
・プロセス行列(AB)の経済的入出力の部分(A)とプロセス
的な技術と考えられる。また、使用したプロセスデータやイ
量行列(P)の積は核プロセス行列(Q)となり、ステージに
ンベントリデータはデータベース[3]-[5]の中から比較及び
関する連立一次方程式、AP=Qが成り立つ。
検討の上、代表的と考えられるデータを選択して使用し
(2) プロセス量行列(P)の解法
た。
・未知数の行列であるプロセス量(P)をプロセス行列(AB)の
経済的入出力の逆行列(A-1)からステージに関する連立
一次方程式AP=Qを解き、プロセス量行列(P)を求める。
3.2 インベントリ分析
・ステージにおけるプロセス毎のプロセス量の内訳を得ら
3.2.1 産業連関表と積み上げ法
れたプロセス量行列(P)とプロセス行列(AB)の経済的入
製品等のインベントリ分析を行う手法としては一般に産
出力(A)の部分の積から求める。
業連関表を用いる方法[8]とプロセスの積み上げにより行う
積み上げ法がある。産業連関表による解析方法は取り扱
・核プロセス行列(Q)の未知数の行列である環境からの入
い金額に基づいて産業全体から分析を行うため、いわゆ
出力等の部分をプロセス行列(AB)の環境からの入出力
る、業界全体の平均値を大局的に算出することができるが、
等の部分(B)と得られたプロセス量(P)の積から求める。
・ステージにおけるプロセス毎のプロセス量の内訳とプロセ
船舶個別の建造や運航等の解析はできない。そのため本
ス行列(AB)の環境からの入出力の部分(B)の積から、ス
解析では、多くのプロセスデータを収集する必要があるが、
テージのプロセス毎の環境からの入出力を得る。
最小単位のプロセスをプロセスフローに基づいて積み上
げ、船舶個別のプロセスに基づいた解析を行うことができ
(3) ステージの区分による分析
る積み上げ法を採用した。
・プロセス行列(AB)の経済的入出力の逆行列(A-1)と核プ
ロセス行列(Q)の積からインベントリデータ表を作成す
3.2.2 逐次法と行列法
る。
積み上げ法の解析方法には計算手法の違いにより逐
次法と行列法がある。逐次法はプロセスの流れに沿って
・プロセス行列(AB)の経済的入出力(A)の最終プロセス名
順次解析して行くため、理解しやすい。しかし、再帰参照
の経済的入出力の部分とインベントリデータ表の環境か
を必要とするプロセスでは繰り返し計算とその条件の設定
らの入出力等の部分の積から、ステージの区分による環
が必要となり、大規模なシステムや高度な解析処理に対
境からの入出力を求める。
応することは一般に困難である。
4. 建造工程の解析
これに対して、行列法は対象の製品の生産システム全
体を複数のプロセス列行列で表現するため、比較的簡単
に再帰参照を扱うことができ、また感度解析等高度な解析
モデル船の建造工程のプロセスフローを作成し、建造
手法へ発展させることができる。このため、本解析では行
の実績データに基づいてFRP漁船の建造に関するインベ
列法を適用した。
ントリ分析を行った。解析における入力データ及び解析条
3.2.3 行列法の解析手法
件を以下に示す。
行列法の解析手法[9][10]は大略以下の通りである。詳
4.1 プロセスフロー
細については、B編(アルミニウム合金漁船の解析)[2]にま
モデル船の建造のプロセスフローを図−3に示す。建造
とめてある。なお、計算処理には表計算ソフト(Microsoft
Excel®)を使用した。
段階では、工場への資材の搬入、切断やトリミング等の直
(1) プロセス行列(AB)の作成
接作業、照明や工場内での資材の運搬等の間接作業並
・建造等の各ステージのプロセスフローに基づいて、プロ
びに製造設備または製造機器の使用及びその償却等が
セス行列(AB)を作成する。経済的入出力の部分の行列
含まれる。しかし、本解析ではエネルギー消費と固形廃棄
を(A)、また環境からの入力及び環境への出力の部分の
物排出の観点から、トリミング、塗装等の直接作業、工作
行列を(B)とする。
機械、コンプレッサや照明等工場全体での電力使用及び
・プロセス量行列(P)はプロセス行列(AB)の経済的入出力
生産設備としての型、架台の使用をインベントリ分析の対
の部分(A)にのみ対応し、行列の作成時点では未知数
象とし、工場への資材搬入等のトラックの使用やFRP端材
の行列である。
のリサイクル及び廃棄物の処理は含まなかった。さらに、
塗料の製造に必要な加工等の製造プロセスは素材の製
・核プロセス行列(Q)はプロセス行列(AB)の全ての行に対
応し、経済的入出力の部分については漁船の製造等イ
造と同様に省略し、同じ重量のエポキシ樹脂として扱った。
ンベントリデータを作成したい項目が「1」である以外、他
また、海上試運転は解析対象には含めなかった。
の項目は全て「0」であり、また環境からの入出力等の部
3
4.2 建造データ
489.7kg を使用量とした。
解析に際し、入力データとして使用した造船所の投入
(7) 合板
電力、素材及び部品の使用量、各種作業の作業量並び
造船所での使用量として、各種板厚のラワンベニアの
に廃棄物の排出量の内訳を図−4に示す。
重量を合計し、使用重量を 670.4kg とした。内訳を表−8
4.2.1 エネルギー
に示す。
(1) 電力
(8) 鋼材
工場で建造時に使用する電力は建造工場の全使用電
固着釘使用量 400kg を鋼材使用量として計上した。
力を当該船の建造工程数で按分して算出し、23,600kWh
4.2.3 部品
= 84,960MJ とした。主に、照明、エアーコンプレッサ、クレ
(1) 簡易め型
ーン等の電力である。
簡易め型の材料内訳表を表−9に示す。米松、ラワンは
(2)重油
ラワン材とみなした。また、接着剤、パテは樹脂とみなした。
工場で建造時に使用する重油は建造工場の全使用重
樹脂は硬化によりスチレンモノマーが排出され、その量は
油を当該船の建造工程数で按分して算出し、2,100L =
硬化前重量の4%とした。
1,890kg とした。ただし、重油の比重を 0.9 とした。このう
1つの型は5回の積層で償却する事とし、1回の製造に
ち、160g/PSh × 550PS × 6h = 528kg が海上試運
は型重量の20%を使用するものとして計算した。5回で償
転で使用されるため、残り 1,362kg が建造工程で主に暖
却するため、1隻建造当たりの使用量は12,647kg / 5 =
房用として使用されるものとした。
2,529.4kg である。これはすべて固形廃棄物とする。
4.2.2 素材
(2) 船体艤装品
(1) ワックス
造船所に部品として搬入する一般艤装品(門型マスト、
離型処理に使用したワックス重量として、12kg を計上し
デリックブーム及び舵板等)及び漁労装置(トロールウィン
た。副資材であるワックスは積層工程で使用するが、製品
チ、トロールワイヤ、カーゴウィンチ等)等が船体艤装品に
には残らず、固形廃棄物となる。
含まれる。船体艤装品の重量は、表−2の船体艤装品の
(2) アセトン
重量と同じ 10,291kg とした。
副資材として積層工程で使用するアセトンは 980L =
(3) 機関艤装品
774.2kg (比重0.79)である。使用したアセトンはスラッジと
造船所に部品として搬入する主機関、減速機、プロペラ
ともに廃棄処理される10%以外は回収、再生の後再使用
等が機関艤装品に含まれる。機関艤装品の重量は、表−
する。このため、廃棄処理される分を建造一隻当たりの使
2の機関艤装品の重量と同じ 3,732kg とした。
用量とし、774.2kg × 0.1 = 77.42kg とした。
(4) 電気艤装品
(3) 樹脂
造船所に部品として搬入する発電機、バッテリー、電線
外装ゲルコート樹脂、内装ゲルコート樹脂、一般積層用
等が電気艤装品に含まれる。電気艤装品の重量は、表−
樹脂並びにミッシュマッシュペーストのいずれも同一のポリ
2の電気艤装品の重量と同じ 1,254kg とした。
エステル樹脂とみなした。樹脂重量には硬化剤の重量も
4.2.4 作業
含めた。したがって、硬化後の樹脂重量は 6,222.9kg と
(1) サンディング・トリミング
した。内訳を表−6に示す。
サンディング・トリミング作業を電気サンダーによるサン
ただし、硬化前の樹脂はその重量の40%をスチレンモ
ディングで代表させた。サンディングはFRP漁船の(全長
ノマーが占めており、硬化に伴って樹脂重量の4%のスチ
+全幅)の2倍長を幅 0.5m、深さ 0.0005m で行うものと
レンモノマーが大気中へ排出される。したがって、船舶建
した。したがって、サンディング・トリミング面積はサンディン
造のために使用する硬化前の樹脂の量は6,222.9kg /
グ幅 0.5m × サンディング長 52.88m = 26.44m2 とした。
(1-0.04) = 6,482.2kg となり、硬化によるスチレンの排出量
(2) 塗装
塗装作業の作業量はFRP漁船の塗装部重量と同じと考
は6,482.2kg − 6,222.9kg = 259.3kg である。
えられる。FRP漁船の塗装部重量は 53.4kg である。
(4) ガラス繊維
4.2.5 資源(環境からの入力)
造船所での使用量として、船殻重量分の使用重量
(1) 水
3,076.5kg を使用量とした。
工場で建造時に使用する工業用水は建造工場の全使
(5) 発泡心材
用工業用水を当該船の建造工程数で按分して算出し、
造船所での使用量として、ウレタンフォーム、バルーン
マットおよびアクリル発泡体を同一の発泡心材とみなし、
144,300kg とした。
使用重量を 69.7kg とした。内訳を表−7に示す。
(2) その他資源
造船所では、石炭、原油、天然ガス、天然ワックス、原
(6) ラワン材
木、鉄鉱石、ガラス原料及びボーキサイト等の資源は直接
造船所での使用量として、船殻重量分の使用重量を
4
使用することはない。
力 0.278MJ
4.2.5 排出物・廃棄物
=0.998MJ
(1) 二酸化炭素
(2) 重油
工場で使用した重油の燃焼により 1,362kg × 0.85(C
データベース[4]のHeavy Oilの解析結果を使用した。
分) × 44/12 = 4244.9kgのCO2が排出される。
(3) 軽油
(2) スチレンモノマー
データベース[4]のDiesel Oilの解析結果を使用した。
樹脂の硬化の過程で樹脂中に溶解しているスチレンモ
(4) ブタンガス
ノマーが排出される。排出量は硬化前の樹脂重量
調査したデータベース[3]-[5]にはブタンガスに関する
6,482.2kg の4% (259.3kg)とした。
直接のインベントリデータはなかった。そのため、データベ
(3) 固形廃棄物
ース[4]のLPGの解析結果を使用した。
FRP漁船の建造に係わる造船所における固形廃棄物の
4.4.2 素材
種類、量及び処理方法は表−10のとおりである。なお、処
(1) ワックス
理作業は解析対象に含めていない。
ワックスに関する直接のインベントリデータを入手できな
かった。このため、表−12に示すワックス成分のうち、プロ
4.3 作業プロセスデータ
セスデータが入手できた代表的成分(天然ワックス、石油
解析に使用した、サンディング・トリミング等の作業プロ
系溶剤、水)の混合物として、データベース[4]により解析
セスデータを以下に示す。
を行い、その結果を使用した。
4.3.1 サンディング・トリミング作業
(2) アセトン
すべてのサンディング・トリミングを電気サンダーで行うと
データベース[4]のトルエン(Toluen)の解析結果を使用
仮定した。500W の電気サンダーにより5分間で 1㎡ の
した。
サンディングができるものとして、プロセスデータを作成し
(3) 樹脂原料
た。電気サンダーによるサンディング・トリミングのプロセス
ポリエステル樹脂原料に関するインベントリデータを入
データにはサンディングディスクの消耗は考慮されていな
手できなかったので、酸成分55%、グリコール成分45%の
い。
混合物とみなした(表−13)。樹脂原料成分のうち、酸成
4.3.2 塗装作業
分をテレフタル酸と仮定し、またグリコール成分をエチレン
FRP漁船の塗装は船底塗装のみであり、ローラー塗りが
グリコールと仮定して、それぞれの混合比をもとに、データ
行われる。付着量は使用量の95%である。塗装で使用す
ベース[4]により解析を行い、その結果をインベントリデー
る塗料は全てエポキシ樹脂と考え、シンナー類は省略した。
タとして使用した。
付着しなかった塗料は固形廃棄物とする。以上のデータ
(4) 樹脂
をもとに塗装作業のプロセスデータを作成した。(表−11)
当該樹脂の製造会社に問い合わせた結果、以下の情
報を得た[11]。
4.4 製造インベントリデータ
・ 硬化前の樹脂には重量の40%のスチレンモノマーを含
樹脂やガラス繊維等の素材、電力、燃料及び各種の部
有している。
品の製造に関するプロセスデータは、原材料の採掘から
・ 1kg の 樹 脂 生産 に つ き 、 製造 エ ネ ル ギ ー と し て 原 油
製造までのすべてのプロセスを含む製造インベントリデー
0.077L を 要 す る 。 こ の と き の 二 酸 化 炭 素 排 出 量 は
タとして処理した。解析に使用したエネルギー、素材及び
0.026kg である。
部品の製造に関するインベントリデータの詳細を以下に示
・ 1kg の樹脂生産につき、廃棄物焼却エネルギーとして
す。なお、それぞれの解析においては、本報告で対象と
原油 0.056L を要する。このときの二酸化炭素排出量
する資源、CO2 等排出物及び固形廃棄物のデータのみを
は 0.011kg である。
計算し、他の消費資源や排出物等は省略した。
・ 1kg の樹脂生産につき、スチレンモノマー 0.0002kg を
4.4.1 エネルギー
大気中に排出する。
(1) 電力
・ 1kg の樹脂生産につき、固形廃棄物 0.0005kg を排出
日本における電力の製造インベントリデータとして、デ
する。
ータベース[3]の全国平均のデータを使用した。電力構成
以上のデータを元に、プロセスデータを作成した。
は以下のとおりである。残り0.2%の電力の詳細は不明で
(5) ガラス繊維
ある。
当該ガラス繊維の製造会社に問い合わせた結果、製造
電力 1MJ
工程について以下の情報を得た[12]。なお、ガラス繊維は
=LNG 0.223MJ + 石炭火力 0.11MJ + 水力発
番手、繊維長、織り方により多様な種類があるが、ここでは
電 0.105MJ + 原子力発電 0.282MJ + 石油火
すべて同一の一般的なEガラス繊維とみなした。
5
・ 1kg のガラス原料は、溶解の工程で 0.15kgが蒸発消失
鋼塊(Steel Ingot) 1kg の製造に鉄鉱石 1.1kg とスクラッ
する。このとき、エネルギーとして電力、重油、ブタンガス
プ 0.38kg 及び石炭 0.53kg を使用するとされ、また圧延
を必要とする。
工程(Hot Rolling)では、熱エネルギー、電力及び酸素の
・ 紡糸の工程で 0.05kg は再生産に戻される。このとき、
使用が考慮されている。
エネルギーとして電力を必要とする。
(12) PVC(塩化ビニル)
・ 乾燥の工程でエネルギーとして電力を必要とする。
データベース[5]のPVC Iの解析結果を使用した。
・ 加工の工程で 0.04kg が売却され、0.01kg が再生産
4.4.3 部品
に戻され、0.002kg が埋め立て処分される。さらに、1kg
(1) 簡易め型
のガラス繊維生産につき、固形廃棄物 0.0005kg を排
簡易め型の材料内訳は、4.2.3 部品 (1)簡易め型の項
出する。このとき、エネルギーとして電力、ブタンガスを
で記述した(表−9)。それを元に表−16に示すプロセス
必要とする。
データを作成した。
・ したがって、1kg のガラス原料から 0.748kg の製品とし
(2) 艤装品
て出荷される。
現時点では、主機関等主な船舶用部品の製造に関す
・ 全工程での消費エネルギーは製品 1kg 当たり、電力
るインベントリデータはない。したがってB編(アルミニウム
1.0 ∼ 2.0kWh 、 重 油 300 ∼ 400L 、 ブ タ ン ガ ス 100 ∼
合金漁船の解析)[2]と同様に、モデル船の建造に使用す
200kg である。
る素材と部品を船殻材料、船体艤装品、機関艤装品及び
以上のデータを元に、プロセスデータを作成した。
電気艤装品に分類した。各艤装品の分類で想定した製造
(6) モノマー
時に使用する代表的な素材の種類を以下に示す。
モノマーに関する直接のインベントリデータを入手でき
・船体艤装品:全て鋼材とみなした。
なかったため、データベース[4]のスチレン(Stylene)の解析
・機関艤装品:全て鋼材とみなした。
結果を使用した。
・電気艤装品:鋼材と塩化ビニルを各々重量の50%とみな
(7) 発泡心材
した。
当該発泡心材の製造会社に問い合わせた結果、アクリ
ル発泡材のプロセスデータ[13]を入手し、これを解析に使
4.5 インベントリ分析(建造)
用した(表−14)。ここで、重油比重=0.9とした。また、原
FRP漁船の建造に関するインベントリ分析の解析結果を
料はモノマー、発泡剤、添加剤であるが、すべてモノマー
以下に示す。
とした。
4.5.1 解析結果
(8) ラワン材
プロセスフロー、プロセスデータ及び素材等の製造イン
原木 1kg に対して、ラワン材 1kg が生産されるものと
ベントリデータに基づいて作成したモデル船の建造に関
して、データベース[4]の木材の解析結果を使用した。
するプロセス行列(建造)(AB)を表−17 に示す。また、プロ
(9) 合板
セス行列(建造)(AB)の経済的入出力部(A)の逆行列から
当該合板の製造会社に問い合わせた結果、表−15に
求めたプロセス量行列(建造)(P)と環境負荷行列(Q)を表
示す合板製造の実測データを得た。
−18 及び表−19 に示す。
こ こ で は 、 軽 油 の 比 重 は 0.84 と し 、 原 木 の 比 重 は
4.5.2 経済的入出力(プロセス量)
0.59 として換算した。合板は板厚 15mm の定尺物に換
モデル船の建造に必要な総電力量は 114GJ であり、
算した数値であり、合板1枚は 18.58kg とした。廃材焼却
このうち、造船所の建造工程で消費される電力は 85GJで
は合板を製造する際の単板の乾燥用熱量として使用し、
あった。また、その内訳はサンディング・トリミング作業に使
廃材焼却によるCO2発生量は焼却した廃材重量の25%と
用される 150kJ 以外は工場内での照明、クレーン及び工
した。また、廃材焼却による固形廃棄物発生量は焼却量
作機械の使用等の間接作業に伴う電力消費であった。
の50%とした。これらの情報を元にプロセスデータを作成
4.5.3 CO2 排出量
FRP漁船の建造に関するCO2 排出量は 57.3ton-CO2
した。
であった。CO2 排出量のプロセス毎の内訳を表−20及び
(10) 塗料
図—5に示す。鋼材の生産に係わるCO2 排出量が全体の
塗料に関するインベントリデータとして、データベース
[5]のエポキシ樹脂(Epoxy Resin)のデータを使用した。
31%、電力の生産が23%、ガラス繊維の生産が18%、樹
(11) 鋼材
脂及びモノマーの生産が8%を占めた。部品の製造プロセ
モデル船に使用された鋼材に関する製造インベントリデ
スを素材の重量のみ考慮したため、CO2排出は主として電
ータを入手できなかったため、本解析では厚板鋼板に相
力製造等のエネルギー及び素材の製造に関するプロセス
当するデータベース[4]の鋼塊(Steel Ingot)に圧延工程
から排出される結果となった。
(Hot Rolling)を加味してデータを作成した。これによると、
6
5. 運航
底塗装の作業量は船体に付着した塗膜重量とし、入力デ
ータは建造時の塗装重量と同じ 53.4kg とし、塗装方法
モデル船の運航に関するプロセスフローを作成し、運
はローラー塗りとした。なお、塗装の前処理として前の塗
航の実績データに基づいて運航に関するインベントリ分析
膜を除去する必要があり、この除去量は塗膜重量の 90%、
を行った。解析に使用した入力データ及び解析条件を以
すなわち、53.4kg × 0.9 = 48.06kg とした。これはすべて
下に示す。
固形廃棄物となる。
(4) 主機換装
5.1 プロセスフロー
主機関の換装はライフサイクルを通じて1度実施され、
モデル船の運航に関するプロセスフローを図−6に示
主機関1台が新たに使用される。入力データは主機の重
す。モデル船はホタテ貝養殖を目的とした四輪採制の漁
量 2,000kg に相当する鋼材のみとし、換装に必要な電力
業システムの一環として使用される。運航段階には、漁場
や諸作業は省略した。それまで使用した主機関は中古品
整備のための春操業及び収穫のための本操業に加え、
としての再使用は解析の対象とせず、全て固形廃棄物とし
塗装や主機関の交換等の保守・修繕作業を含める。ただ
た。
し、発生するスラッジや固形廃棄物の処理は分析対象と
5.3.2 船舶状態
はしない。なお、塗料や部品の製造は製造工程を省略し、
モデル船の船舶状態を軽荷、満載及び曳網の航行状
使用材料を単純化して扱った。
態で表すこととし、各船舶状態での航行距離 1km 当たり
に必要な船舶主機力(MJ)を航海速力及び主機馬力等の
5.2 漁業データ
運航計画に基づいて算出した。各航行状態での主機関の
解析対象とした運航プロセスは春操業、本操業、保守
運転条件と船舶主機力を表−21に示す。
作業、修繕及び主機の換装とした。モデル船のライフサイ
5.3.3 プロセスデータ
クル年数を20年とした場合の春操業や本操業の回数等の
解析に使用したプロセスデータを以下に示す。
運航計画は表−3に示したとおりであり、ホタテ貝の総漁
(1) 主機関運転
獲量は 62,640ton である。また、解析の機能単位はホタ
本解析では対象とする環境負荷項目をCO2としたため、
テ貝の漁獲量 1kg とし、入力データも機能単位に合わせ
主機関の運転状態は定格出力の状態だけを対象とした。
た形としている。
主機関の運転に関するプロセスデータは主機関の型式、
運航実態及びメーカーからの聞き取り調査に基づいて作
5.3 プロセスデータ
成した。主機関の運転における経済的な入力項目は燃料
5.3.1 運航プロセス
のA重油及び潤滑油であり、環境中への排出はCO2、スラ
ッジ並びに一定の運転時間で交換する潤滑油である。ス
運航プロセスの詳細を以下に示す。
ラッジ及び交換した潤滑油は固形廃棄物とした。
(1) 春操業
(2) 塗装
春操業は漁場整備を目的として、漁船が軽荷状態で出
塗装方法はローラー塗りとし、プロセスデータは建造ス
航し、漁場の海区をホタテ桁網を曳網しながら低速で走り
テージと同じとした。
回り、漁場からのゴミ等を満載して帰港する。そのため、春
操業の経済的入力項目は漁船の航行距離とし、軽荷、曳
5.4 製造インベントリデータ
網及び満載の航行状態毎に、運航計画に基づいたデー
タを使用した。また、春操業で海区から収集したゴミ等は
解析に使用したエネルギー、素材及び部品の製造に関
経済的な価値はないと考え、すべて固形廃棄物とし、春
するインベントリデータの詳細を以下に示す。なお、電力、
操業 1回 で収集するゴミの量はモデル船の最大搭載重
鋼材及び塗料は建造と同じ製造インベントリデータを使用
量の 18ton とした。
した。
(2) 本操業
5.4.1 燃料
本操業はホタテ貝の水揚げを目的として、春操業と同
船舶用のディーゼル機関の燃料としてA重油を使用す
様に漁船が軽荷状態で出航し、漁場の海区でホタテ桁網
るものとした。A重油に関する製造インベントリデータとして
を曳網してホタテ貝を収穫し、漁場からホタテ貝を満載し
は、データベース[5]のディーゼル油(Diesel Oil)のデータ
て帰港する。そのため、本操業の経済的入力項目は春操
を選定して使用した。なお、船への供給のための燃料輸
業と同じとし、各入力データは運航計画のとおりとした。な
送等のプロセスは省略した。
お、本操業で直接排出される固形廃棄物等の廃棄物や
5.4.2 潤滑油
船舶用のディーゼル機関が使用する潤滑油にはシステ
排出物はない。
ム油とシリンダー油の2種類がある。検討したデータベース
(3) 保守作業
には潤滑油に関する直接のインベントリデータはなかった。
保守作業は毎年実施される船底塗装を対象とした。船
7
そのため、上述したA重油の製造インベントリデータを使
のステージ毎の内訳を表−27に示す。また、CO2 排出量
用することとした。
の建造と運航のステージ毎の内訳を図−9に示す。
ライフサイクル全体でのCO2排出量は約 4,900ton で
5.5 インベントリ分析(運航)
あり、その98.8%が運航ステージから排出されたことにな
FRP漁船の運航に関するインベントリ分析の結果を以下
る。
に示す。
5.5.1 解析結果
6.2 プロセス毎の内訳
プロセスフロー、プロセスデータ及び素材等のインベン
ライフサイクルでのCO2排出量について、プロセス毎の
トリデータに基づいて作成したモデル船の運航に関する
内訳を表−28及び図−10に示す。CO2排出量の主なプロ
プロセス行列(運航)(AB)を表−22に示す。また、解析結
セスの内訳は、主機関運転90.5%、重油の製造8.3%であ
果のプロセス量行列(運航)(P)と環境負荷行列(Q)を機能
った。
単位、年間及びライフサイクル毎に表−23及び表−24に
7. まとめ
示す。なお、年間及びライフサイクルのデータは水揚げ量
に比例させて求めた。
本解析ではFRP漁船の建造や運航の実績に基づいて、
5.5.2 経済的入出力(プロセス量)
インベントリ分析を実施し、ライフサイクルでの CO2 排出量
漁船の運航に伴う燃料使用量の解析結果は年間 7.12
×104kg となった。一方、漁協の平成11年度(稼動日数
とその内訳をプロセス単位で明らかにした。
231日)に支払った燃料代に基づいて算出した燃料使用
FRP漁船のインベントリ分析を的確に実施するために
量は一日当たり 248kg 、年間で 5.65×10+4kg であった。
はさらに以下の課題がある。
このとき、A重油の価格は 45円/L、比重は 0.9 と仮定し
て計算した。したがって、燃料使用量は、解析結果の方が
7.1 システム範囲
燃料代からの推測値より26%程度多い結果となった。
FRP漁船の解体及びリサイクルを含めた解析を行う必
5.5.3 CO2 排出量
要がある。また、今回の解析では無視したトリミングで発生
(1) CO2のプロセス毎の排出量(運航)
するFRP端材、春操業に伴うゴミの処理等、建造や運航
モデル船の運航に関するCO2の排出量はホタテ貝1kg
に伴う廃棄物の処理についても考慮することが重要であ
当たり 77.3g 及び運航年数20年で 4,840ton であった。
る。
プロセス毎のCO2排出の内訳を表−25及び図−7に示す。
主機関の運転に係わるCO2 の排出量が全体の約92%を
7.2 環境負荷項目
占めた。重油(ディーゼル油)の製造段階でのCO2排出量
本解析で対象とした環境負荷項目はCO2であった。FR
の8.4%を加えると、運航におけるCO2排出はほとんど主機
P漁船の建造で考慮すべき他の環境負荷項目としては、
関の運転に係わる排出であることが明らかになった。
積層時に揮散するスチレンモノマー、塗装作業で大気中
(2) 運航の内訳
に排出される溶剤等である。また運航では、NOX等の排出
量、春操業で収集されるゴミ等の固形廃棄物である。
漁船の運航計画の区分毎の内訳を表−26及び図−8
に示す。春操業の「漁場整備」に係わるCO2排出量が全体
の約33%、また本操業の「水揚作業」が約67%を占めた。
7.3 製造インベントリデータ
保守作業及び主機換装に関わるCO2排出量は合計で約
本解析では、FRP漁船に係わる素材、燃料及びエネル
0.1%程度であった。
ギー等の製造インベントリデータを各種のデータベース等
5.5.4 固形廃棄物
から使用した。個々のデータのシステム境界や割り付け等
固形廃棄物が年間約 1,030ton 排出されるが、ほとん
の詳細については検討できなかった。漁船のLCAを的確
どは春操業に伴うホタテ貝等のゴミである。
に実施するためには、素材個々の製造インベントリデータ
を収集する必要がある。
6. ライフサイクル
7.4 舶用部品と作業プロセスデータ
モデル船の建造及び運航の解析結果からライフサイク
船舶の艤装品に関する製造インベントリデータ及び建
ルでの環境負荷を算出した。解析結果の詳細を以下に示
造段階の素材加工及び運航段階の機関の運転等のプロ
す。
セスデータの整備を図ることが必要である。CO2排出量の
多くを占める主機関の運転では負荷率の違い等により燃
料消費量や排ガス成分が異なるため、運転状態に応じた
6.1 ライフサイクルインベントリデータ
プロセスデータの整備が不可欠である。
ライフサイクルでの環境負荷項目について建造と運航
8
イクル・インベントリ分析に関する研究−B:アルミニウム合
7.5 建造
金漁船の解析−
サンディング・トリミング、塗装等の直接作業に係わる作
[3] NEC LCAサポートデータベース(以下、「NEC」と称
業量を設計段階で把握できることが必要である。また、本
す。)、データ提供:(社)産業環境管理協会
解析では考慮しなかったが、工場への資材の搬入や工場
[4] 工業技術院資源環境技術総合研究所 NIREデータ
内での運搬及び照明や暖房等の間接作業によるCO2 排
ベース(Ver.2.1)
出量は無視できない大きさになると考えられるため、燃料
[5] P re 社 SimaPro4.0 デ ータ ベー ス (Pre4 database 、
やエネルギーの使用量を的確に把握し、評価することが
The BUWAL250 database、IDEMAT)
重要である。
[6] 実践LCA ISO14000対応、㈱サイエンスフォーラム、
1999年1月、第1版、ISBN4-916164-19-9 C3050
7.6 運航
[7] 科学技術庁金属材料技術研究所、エコマテリアル設
解析により得ら れた燃料消費量は実績値に比べ約
計 者 ・ 開 発 者 の た め の デ ー タ バ ン ク
26(%)程度多くなった。主機関の運転のプロセスデータの
http://144.213.11.8080/ecomat/J/ecodb/
整備とともに、負荷率等の運航条件を的確に設定すること
[8] 南齋規介他、産業連関表による環境負荷原単位デー
が重要である。また、数十年に渡って使用する船舶では、
タブック(3EID)−LCAのインベントリデータとして−、2002
経年変化に伴う主機関の燃費または航海性能の変化を
年3月
考慮することが必要となる。
[9] 戦略LCA研究フォーラム、LCA 製品の環境ライフ
サイクルアセスメント、1995年11月、第1版第2刷、p178
[10]
参考文献
R.Heijungs,
etc. 、 Environmental
Life
Cycle
Assessment of Products-Guide & Buckgrounds-October
[1] 亀山道弘他、アルミニウム漁船とFRP漁船のライフサ
1992、ISBN90-5191-064-9
イクル・インベントリ分析に関する研究−A:モデル船の分
[11] 樹脂メーカー内部資料
析−
[12] ガラス繊維メーカー内部資料
[2] 亀山道弘他、アルミニウム漁船とFRP漁船のライフサ
[13] アクリル発泡材メーカー内部資料
9
図−1 一般配置図(FRP漁船)
燃料
エネルギー
燃料
エネルギー
艤装品
主機関
FRP資材の
生産
漁船の製造
(1隻)
船舶
(1隻)
漁船の使用
(km)
漁獲量
(ton)
FRP
資材
(システム境界)
FRP
廃材
漁船の解体
(km)
リサイ
クル材
再利用
部品
金属
図−2 FRP漁船のシステム境界
10
燃料
エネルギー
電力
(MJ)
照明
ワックス
(kg)
ワックスの生産
アセトン
(kg)
アセトンの生産
樹脂原料の生産
樹脂原料
(kg)
モノマー
(kg)
樹脂
(kg)
原油
(kg)
簡易雌型
(kg)
電力
(MJ)
重油の生産
重油
(kg)
ブタンガス生産
ブタンガス
(kg)
電力の生産
ガラス繊維
(kg)
FRP漁船の製造
(LWT)
電力
(MJ)
重油
(kg)
モノマーの生産
発泡心材
(kg)
FRP漁船
(1隻)
モノマー
(kg)
電力
(MJ)
ラワン材
(kg)
軽油
(kg)
軽油の生産
合板
(kg)
電力
(MJ)
切断・サンディング
トリミング
塗料
(kg)
塗料の生産
塗装作業
船体艤装品
(kg)
鋼材の生産
鋼材
(kg)
プラスチックの
生産
PVC
(kg)
機関艤装品
(kg)
電気艤装品
(kg)
図−3 FRP漁船建造のプロセスフロー
11
資材
種類
樹脂
6,482(kg)
ガラス繊維 3,077(kg)
発泡心材
70(kg)
ラワン材
490(kg)
合板
固着釘
塗料
副資材
種類
数量
数量
ワックス
アセトン
溶剤(シンナー)
部品
種類
12(kg)
770(kg)
20(kg)
数量
船体艤装品 88点 10,291(kg)
機関艤装品 29点 3,732(kg)
電気艤装品 24点 1,254(kg)
670(kg)
400(kg)
53(kg)
大気中への排出
種類
数量
エネルギー等
種類
数量
電力
84,960(MJ)
A重油
1,890(kg)
水
144,300(kg)
対
象
地域時期
プロ セス
対象範囲
建造
:FRP製の外海ホタテ桁曳き漁船の建造
:日本、1990年代
:運搬、切断、積層、据付、塗装
:廃棄物の焼却等の処理は含まない。但し、木材の焼却、アセトン処理を含む
:設計、資材の搬入及び事務処理等は含まない
:簡易雌型1台を5隻の建造に使用する
:海上試運転(A重油535(kg))は含まない
製品
種類
FRP漁船
(総トン数14トン)
リサイクル品
種類
数量
アセトン 693(kg)
数量
1(隻)
図−4 建造段階における造船所の入出力データ
PVCの製造
2.1%
FRP漁船の製造
7.4%
重油の製造
0.6%
軽油の製造
0.9%
モノマーの製造
7.9%
その他
1.0%
鋼材の製造
30.8%
樹脂原料の製造
8.0%
ガラス繊維の製造
17.9%
電力の製造
23.3%
図−5 建造プロセス毎の CO2 排出量
12
CO2
スチレンモノマー
溶剤
4,245(kg)
259(kg)
100(kg)
固形廃棄物
種類
数量
FRP廃棄物 2,300(kg)
木材燃え殻
900(kg)
簡易雌型
アセトンスラッジ
ワックス
2,529(kg)
77(kg)
12(kg)
重油の生産
重油
(kg)
潤滑油の
製造
潤滑油
(kg)
主機関運転
(MJ)
機械力
(MJ)
塗料の生産
塗料
(kg)
塗装作業
鋼材の生産
鋼材
(kg)
主機の製造
航海(軽荷)
(km)
航行距離
(km)
春操業
(回)
航海
(km)
航海(曳網)
(km)
航行距離
(km)
本操業
(回)
航海
(km)
航海(満載)
(km)
航行距離
(km)
ディーゼ
ル機関
漁業
(kg)
船底塗装作
業(回)
船底塗装
(kg)
主機換装作
業(回)
換装主機
(台)
図−6 FRP漁船の運航プロセスフロー
その他
0.1%
重油の製造
8.4%
主機関運転
91.5%
図−7 運航プロセス毎の CO2 排出量の内訳
13
ホタテ貝
(kg)
主機換装
0.1%
漁場整備
33.4%
水揚作業
66.5%
図−8 漁業区分毎の CO2 排出量の内訳
建造
1.2%
運航
98.8%
図−9 ライフサイクルでの CO2 排出量の内訳
14
ガラス繊維の製造
0.2%
電力の製造
0.3%
鋼材の製造
0.4%
樹脂原料の製造
0.1%
モノマーの製造
0.1% 漁船の製造
0.1%
その他
0.1%
重油の製造
8.3%
主機関運転
90.5%
図−10 プロセス毎の CO2 排出量
15
表−1 FRP漁船の主要目
船種
外海ホタテ桁曳き漁船、総トン数 14 トン
構造
全長 21.66(m)、船体重量(軽荷排水量)26(t)、FRP製
用途
小型機船底引き網漁業
機能
ホタテ貝 搭載可能重量 18(t)、最大速力 17(kt)
主機関
燃料
定格出力 550(PS)
A 重油 162(g/PS・h)
表−2 船体の重量構成表
項目
重量(t)
(%)
主な部品等
船殻
10.99
42 防汚塗料 53.4(kg)を含む。
船体艤装
10.29
39 漁労装置及び一般艤装
機関艤装
3.73
電気艤装
1.25
合計
26.26
14 主機関、プロペラ軸、プロペラ等
5 発電機、バッテリー、電線等
100
表—3 生涯計画
項 目
数量
単位
備 考
載荷重量
18
(t)
使用年数
20
(年)
春操業 1140 回、本操業 3480 回
船底塗装回数
19
(回)
建造時を除く。
主機換装回数
1
(回)
漁獲量
62,640
(t)
常に満載で帰港すると仮定した。
表—4 年間運航計画
操業の種類
操業日数(日)
操業内容
春操業(3∼5 月)
57
漁場の整備を行う。
本操業(6∼12 月)
174
ホタテ貝の収穫を行う。
年間の操業日数
231
(注)1∼2 月は休漁し、船底塗装等の保守・修理を行う。
3∼12 月の操業期間のうち、土日及び悪天候による休漁日がある。
16
表—5 航海計画(ホタテ貝漁)
航路と航海状態
航行時間
速度
航行距離
航行距離
主機馬力
(h)
(kt)
(海里)
(km)
(PS)
春操業(漁場の整備)
港→漁場(往路):軽荷状態
0.6
17.0
10.2
18.9
550
漁場:曳航状態
6.0
2.5
15.0
27.8
300
漁場→港(復路):満載状態
0.8
14.0
11.2
20.7
550
港→漁場(往路):軽荷状態
0.6
17.0
10.2
18.9
550
漁場:曳航状態
3.0
2.5
7.5
13.9
300
漁場→港(復路):満載状態
0.8
14.0
11.2
20.7
550
本操業(ホタテ貝の収穫)
表−6 樹脂の内訳
樹脂
重量(kg)
外装ゲルコート
231.2
内装ゲルコート
223.2
ポリエステル樹脂
5212.0
ミッシュマッシュペースト
500.0
硬化剤
56.5
計
6222.9
表−7 発泡心材の内訳
発泡心材
重量(kg)
ウレタンフォーム
53.7
バルーンマット
3.3
アクリル発泡体
12.7
計
69.7
表−8 合板の内訳
合板
厚さ(mm)
重量(kg)
ラワンベニア
9
225.6
ラワンベニア
12
33.6
ラワンベニア
15
109.9
ラワンベニア
20
255.6
ラワンベニア
30
17.1
ラワンベニア
40
28.6
計
670.4
17
表−9 簡易雌型の内訳
材料名
使用量
比重
(m3)
重量
内訳
(kg)
米松
13.2
0.50
6600.0
ラワン
6.0
0.59
3540.0
ラワンベニア
3.6
0.60
2160.0
接着剤
24.0
パテ
220.0
ゲルコート
35.0
樹脂
47.0
ガラス繊維
硬化後
重量(kg)
ラワン材
10140.0
10140.0
合板
2160.0
2160.0
樹脂
339.6
326.0
→
21.0
合計
硬化前
重量(kg)
ガラス繊維
12647.0
合計
21.0
21.0
12660.6
12647.0
排出スチレンモノマー
13.6
表−10 固形廃棄物の種類、量及び処理方法
内訳
重量(kg)
処理方法
木材燃えがら
900
産廃業者
FRP廃棄物
2300
産廃業者
簡易雌型
2529.4
社内焼却
ワックス
12
産廃業者
アセトンスラッジ
77.42
社内焼却
計
5818.82
表−11 塗装作業のプロセスデータ
建造時の使用量
FRPプライマー
マリンスター30G
(二回塗り)
プロセスデータ
使用量
付着量
1隻
(kg)
(kg)
当たり
18.53
17.6
37.68
35.8
エポキシ
→
18
換算
56.21
1.053
塗装(kg)
53.4
1
固形廃棄物(kg)
2.81
0.053
(kg)
表−12 ワックスの成分内訳
実成分(%)
プロセスデータ(%)
天然ワックス
15∼25
石油系溶剤
35∼45
カオリン
1∼5
水
20∼30
天然ワックス
25
キシレン
45
カオリン
0
水
30
→
表−13 樹脂原料の成分内訳
実成分(%)
酸成分
プロセスデータ(%)
55 →
グリコール成分
45
テレフタル酸
55
エチレングリコール
45
表−14 発泡心材製造のプロセスデータ
電力
重油
2.53
(MWh)
2.76
(kL)
モノマー
1464
(kg)
発泡心材
1000
(kg)
排出CO2
50
(kg)
固形廃棄物
410
(kg)
表−15 合板製造のプロセスデータ
1ヶ月(22.2 日)
電力
152800
換算
(kWh)
550080
(MJ)
軽油
2800
(kL)
2352000
(kg)
原木
2513
(m3)
1482670
(kg)
641567.4 (kg)
合板
641567.4
(kg)
廃材焼却量
201900
(kg)
201900
(kg)
廃材焼却CO2
50475
(kg)
固形廃棄物
100950
(kg)
表−16 簡易雌型のプロセスデータ
ラワン材
0.802
(kg)
ラワンベニア
0.171
(kg)
樹脂
0.0269
(kg)
ガラス繊維
0.00166
(kg)
簡易め型
1
(kg)
0.00107
(kg)
排出スチレンモノマー
19
表−17 船舶建造のインベントリ分析表(プロセス分析) 1/2
① プロセス行列(建造)
エネルギー
プロセス名
プロセス行列
ABM
出典データ
データの種類
経済的入出力
(製品・サービス)
環境からの入力
(資源)
素材
1.電力の 製 2.重油の 製 3.軽油の 製 4.ブタンガスの 5.ワックスの 製 6.アセトンの 製 7.樹脂原料の 8.樹脂の 製 9.ガラス繊維 10.モノマーの製
造
NEC:
産環協
I
造
造
製造
造
造
製造
造
の製造
造
NIRE
NIRE
NIRE
NIRE
NIRE
NIRE
メーカー
メーカー
NIRE
P
P
P
I
I
I
P
P
I
酸 55%グリコール
備考
日本平均
Heavy oil
Diesel oil
LPG
仮定
Toluen
電力-日本(MJ)
1
-2.82E-03
-2.82E-03
-2.82E-03
-3.54E-02
-7.86E-02
-1.88E-01
0
-5.40E+00
-3.20E-01
重油(kg)
0
1
0
0
0
0
0
0
-4.21E-01
0
stylene
45%
軽油(kg)
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
ブタンガス(kg)
0
0
0
1
0
0
0
0
-1.50E-01
0
ワックス(kg)
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
アセトン(kg)
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
樹脂原料(kg)
0
0
0
0
0
0
1
-6.00E-01
0
0
樹脂(kg)
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
ガラス繊維(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
モノマー(kg)
0
0
0
0
0
0
0
-4.00E-01
0
1
発泡心材(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ラワン材(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合板(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
塗料(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
鋼材(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
PVC(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
簡易め型(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
船体艤装品(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
機関艤装品(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
電気艤装品(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
サンディング・トリミング(m2)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
塗装(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
FRP 漁船(1 隻:26ton)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
石炭(kg)
-1.20E-02
-8.42E-05
-8.42E-05
-8.42E-05
-1.06E-03
-2.35E-03
-5.61E-03
0
0
-9.56E-03
原油(kg)
-1.80E-02
-1.01E+00
-1.01E+00
-1.01E+00
-5.48E-01
-1.22E+00
-8.12E-01
-7.18E-02
0
-1.42E+00
天然ガス(kg)
-1.10E-02
-8.18E-05
-8.18E-05
-8.18E-05
-1.03E-03
-2.28E-03
-1.12E-02
0
0
-9.29E-03
天然ワックス(kg)
0
0
0
0
-2.50E-01
0
0
0
0
0
水(kg)
-1.05E+01
-7.64E-02
-7.64E-02
-7.64E-02
-1.18E+00
-1.95E+00
1.09E+02
0
0
-1.23E+00
原木(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
鉄鉱石
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
ガラス原料
0
0
0
0
0
0
0
0
-1.20E+00
0
ボーキサイト(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
金属スクラップ
鉄スクラップ(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
CO2(kg)
1.17E-01
1.26E-01
1.26E-01
1.26E-01
4.47E-01
9.93E-01
1.16E+00
1.56E-02
3.33E+00
1.66E+00
環境への排出
スチレンモノマー(kg)
0
0
0
0
0
0
0
1.20E-04
0
0
固形廃棄物(kg)
0
5.95E-09
6.32E-09
6.32E-09
7.93E-08
1.76E-07
4.21E-07
3.00E-04
2.03E-01
7.17E-07
20
表−17 船舶建造のインベントリ分析表(プロセス分析) 2/2
① プロセス行列(建造)
素材
部品
11.発泡心材 12.ラワン材の 13.合板の製 14.塗料の製 15.鋼材の製 16.PVC の製
の製造
製造
造
メーカー
NIRE
メーカー
P
I
P
木材
造
S:
25800254
造
NIRE
造
S:
25800211
I
P
I
エポキシ
鋼塊+圧延
プラスチック
17.簡易め型
作業プロセス
18.船体艤装 19.機関艤装 20.電気艤装 2I1.サンディン
建造
22.塗装作業
品
品
品
グ・トリミング作業
メーカー
仮定
仮定
仮定
仮定
仮定
P
鋼材
鋼材
鋼鉄+PVC
P
P
Sander
23.漁船の製
造
ヤマハ
蒲郡
P
26ton
-9.11E+00
0
-8.57E-01
0
-6.18E-01
0
0
0
0
0
-1.50E-01
0
-8.50E+04
-2.48E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-1.36E+03
0
0
-3.67E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-1.20E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-7.74E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-2.69E-02
0
0
0
0
0
-6.48E+03
0
0
0
0
0
0
-1.66E-03
0
0
0
0
0
-3.08E+03
-1.46E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-6.97E+01
0
1
0
0
0
0
-8.02E-01
0
0
0
0
0
-4.90E+02
0
0
1
0
0
0
-1.71E-01
0
0
0
0
0
-6.70E+02
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
-1.05E+00
0
0
0
0
0
1
0
0
-1.00E+00
-1.00E+00
-5.00E-01
0
0
-4.00E+02
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-5.00E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
-2.53E+03
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
-1.03E+04
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-3.73E+03
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
-1.25E+03
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
-2.64E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
-5.34E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
-5.32E-01
-2.37E-02
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-4.35E+00
-4.27E-02
-5.09E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-3.55E-01
-2.02E-02
-5.20E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-3.70E-02
-1.68E+01
-1.90E+01
0
0
0
0
0
0
-1.44E+05
0
-1
-2.31E+00
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-1.10E+00
-4.00E-04
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-1.56E-03
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-3.83E-01
0
0
0
0
0
0
0
0
5.00E-02
1.09E-01
7.87E-02
1.10E+00
1.17E+00
1.94E+00
0
0
0
0
0
0
4.24E+03
0
0
0
0
0
0
1.07E-03
0
0
0
0
0
2.59E+02
4.10E-01
0
1.57E-01
1.43E-02
1.39E-06
1.30E-01
0
0
0
0
7.50E-01
5.26E-02
5.82E+03
21
表−18 プロセス量(建造)
経済的入出力名
プロセス量
製品・サービス
合計
電力-日本
1.14E+05
(MJ)
重油
2.83E+03
(kg)
軽油
4.04E+03
(kg)
ブタンガス
4.62E+02
(kg)
ワックス
1.20E+01
(kg)
アセトン
7.74E+01
(kg)
樹脂原料
3.93E+03
(kg)
樹脂
6.55E+03
(kg)
ガラス繊維
3.08E+03
(kg)
モノマー
2.72E+03
(kg)
発泡心材
6.97E+01
(kg)
ラワン材
2.52E+03
(kg)
合板
1.10E+03
(kg)
塗料
5.62E+01
(kg)
鋼材
1.51E+04
(kg)
PVC
6.27E+02
(kg)
簡易雌型
2.53E+03
(kg)
船体艤装品
1.03E+04
(kg)
機関艤装品
3.73E+03
(kg)
電気艤装品
1.25E+03
(kg)
サンディング・トリミング
2.64E+01
(m2)
塗装
5.34E+01
(kg)
1
(隻)
FRP 漁船
表−19 環境負荷行列(建造)
経済的入出力名
環境からの
入力(資源)
金属スクラップ
環境への排出
消費/排出量
(製品・サービス)
合計(kg)
石炭
-9.44E+03
原油
-1.83E+04
天然ガス
-1.98E+03
天然ワックス
-3.00E+00
水
-1.18E+06
原木
-5.07E+03
鉄鉱石
-1.66E+04
ガラス原料
-3.71E+03
ボーキサイト
-8.77E-02
鉄スクラップ
-5.76E+03
CO2
5.73E+04
スチレンモノマー
2.63E+02
固形廃棄物
6.75E+03
22
表−20
CO2 排出量のプロセス毎の内訳
プロセス名
CO2 排出量(kg)
電力の製造
1.34E+04
重油の製造
3.58E+02
軽油の製造
5.11E+02
ブタンガスの製造
0.00E+00
ワックスの製造
1.03E+04
アセトンの製造
7.69E+01
(%)
塗装作業
0.00E+00
FRP 漁船の製造
4.24E+03
23.3
0.6
0.9
0.0
0.0
0.1
8.0
0.2
17.9
7.9
0.0
0.5
0.2
0.1
30.8
2.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
7.4
合計
5.73E+04
100.0
樹脂原料の製造
4.56E+03
樹脂の製造
1.02E+02
ガラス繊維の製造
1.03E+04
モノマーの製造
4.51E+03
発泡心材の製造
3.49E+00
ラワン材の製造
2.74E+02
合板の製造
8.67E+01
塗料の製造
6.18E+01
鋼材の製造
1.76E+04
PVC の製造
1.22E+03
簡易め型の製造
0.00E+00
船体艤装品の製造
0.00E+00
機関艤装品の製造
0.00E+00
電気艤装品の製造
0.00E+00
サンディング・トリミング作業
0.00E+00
表−21 1(km)の航行に必要な主機関の機械エネルギー
項 目
単 位
航行状態
軽荷
満載
曳航
主機負荷率
(%)
100
100
54.5
航海速力
(kt)
17
13.5
2.5
船舶主機力
(kW)
405
405
220
距離 1(km)当たりの航行時間
(h/km)
3.18E-02
4.00E-02
2.16E-01
距離 1(km)当たりの機械エネルギー
(MJ/km)
4.63E+01
5.82E+01
1.71E+02
対象機関:4 ストローク・ディーゼル機関
定格出力:
23
550
(PS)
1(PS)
=
0.7355
(kW)
1(kt)
=
1.852
(km/h)
1(kWh)
=
3.6
(MJ)
表−22 船舶運航のインベントリ分析表(プロセス分析) 1/2
①プロセス行列(運航)
エネルギー&燃料
プロセス名
プロセス行列
出典データ
ABO
データの種類
素材
船舶
作業プロセス
1.電力の
2.重油の
3.潤滑油の
4.鋼鉄の
5.塗料の
6.船の建
7.主機関
製造
製造
製造
製造
製造
造
運転
仮定
NIRE
建造
SRIMOT
仮定
P
NEC:
S:
産環協
25800016
I
I
I
S:
25800254
P
I
P
鋼塊+
エポキシ
出力
圧延
樹脂
FRP漁船
8.塗装
備考
日本平均
Diesel I
同左
陸上電力(MJ)
1
0
0
-6.18E-01
0
0
0
0
ディーゼル油(kg)
0
1
0
0
0
0
-6.11E-02
0
潤滑油(kg)
0
0
1
0
0
0
-2.88E-04
0
鋼材(kg)
0
0
0
1
0
0
0
0
550(PS)
塗料(kg)
0
0
0
0
1
0
0
-1.05E+00
FRP漁船(1 隻)
0
0
0
0
0
1
0
0
船舶主機力(MJ)
0
0
0
0
0
0
1
0
経済的入出力
塗装重量(kg)
0
0
0
0
0
0
0
1
(製品・サービス)
航海(軽荷)(km)
0
0
0
0
0
0
0
0
航海(曵網)(km)
0
0
0
0
0
0
0
0
航海(満載)(km)
0
0
0
0
0
0
0
0
漁場整備(回)
0
0
0
0
0
0
0
0
水揚作業(回)
0
0
0
0
0
0
0
0
船底塗装(回)
0
0
0
0
0
0
0
0
環境からの入力
(資源)
金属スクラップ
環境への排出
主機換装(台)
0
0
0
0
0
0
0
0
ホタテ貝漁獲量(kg)
0
0
0
0
0
0
0
0
石炭(kg)
-1.20E-02
-5.10E-03
-5.10E-03
-5.32E-01
0
-9.44E+03
0
0
原油(kg)
-1.80E-02
-1.03E+00
-1.03E+00
-4.27E-02
-4.35E+00
-1.83E+04
0
0
天然ガス(kg)
-1.10E-02
-6.19E-02
-6.19E-02
-2.02E-02
-3.55E-01
-1.98E+03
0
0
天然ワックス(kg)
0
0
0
0
0
-3.00E+00
0
0
水(kg)
-1.05E+01
-2.10E-01
-2.10E-01
-1.68E+01
-3.70E-02
-1.18E+06
0
0
原木(kg)
0
0
0
0
0
-5.07E+03
0
0
鉄鉱石(kg)
0
-1.40E-04
-1.40E-04
-1.10E+00
0
-1.66E+04
0
0
ガラス原料(kg)
0
0
0
0
0
-3.71E+03
0
0
ボーキサイト(kg)
0
-3.20E-04
-3.20E-04
0
-1.56E-03
-8.77E-02
0
0
鉄スクラップ(kg)
0
0
0
-3.83E-01
0
-5.76E+03
0
0
CO2(kg)
1.17E-01
2.84E-01
2.84E-01
1.17E+00
1.10E+00
5.73E+04
1.90E-01
0
スチレンモノマー(kg)
0
0
0
0
0
2.63E+02
0
0
スラッジ(kg)
0
0
0
0
0
0
8.70E-06
0
固形廃棄物(kg)
3.12.E-06
2.20E-03
2.20E-03
1.39E-06
1.43E-02
6.75E+03
9.89E-05
5.26E-02
24
表−22 船舶運航のインベントリ分析表(プロセス分析) 2/2
①プロセス行列(運航)
航海
運航
9.航海(軽
10.航海(曵
11.航海(満
荷)
網)
載)
船舶性能
船舶性能
P
P
漁業
12.春操業
13.本操業
14.保守作業
15.主機換装
16.漁業
船舶性能
航海計画
航海計画
1回/1年
1回/生涯
漁業
P
P
P
P
P
P
船底塗装
主機交換
ホタテ貝
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-2.00E+03
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-4.63E+01
-1.71E+02
-5.82E+01
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
-5.34E+01
0
0
1
0
0
-1.89E+01
-1.89E+01
0
0
0
0
1
0
-2.78E+01
-1.39E+01
0
0
0
0
0
1
-2.07E+01
-2.07E+01
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
-1.82E-05
0
0
0
0
1
0
0
-5.56E-05
0
0
0
0
0
1
0
-3.03E-07
0
0
0
0
0
0
1
-1.60E-08
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1.80E+04
0
4.81E+01
2.00E+03
0
25
表−23 年間・ライフサイクルで使用する製品・サービス
経済的入出力
(製品・サービス)
陸上電力
年間漁獲量
ライフサイクル
操業日数 174(日)
使用年数 20 年
漁獲量 1(kg)
漁獲量 3,132(t)
漁獲量 62,640(t)
1.98E-05
6.20E+01
1.24E+03
プロセス単位
(MJ)
ディーゼル油
(kg)
2.27E-02
7.12E+04
1.42E+06
潤滑油
(kg)
1.07E-04
3.36E+02
6.71E+03
鋼材
(kg)
3.20E-05
1.00E+02
2.00E+03
塗料
(kg)
1.70E-05
5.33E+01
1.07E+03
FRP漁船
(1 隻)
0
0
0
船舶主機力
(MJ)
3.72E-01
1.17E+06
2.33E+07
塗装重量
(kg)
1.62E-05
5.07E+01
1.01E+03
航海(軽荷)
(km)
1.39E-03
4.37E+03
8.74E+04
航海(曵網)
(km)
1.28E-03
4.01E+03
8.01E+04
航海(満載)
(km)
1.53E-03
4.78E+03
9.57E+04
漁場整備
(回)
1.82E-05
5.70E+01
1.14E+03
水揚作業
(回)
5.56E-05
1.74E+02
3.48E+03
船底塗装
(回)
3.03E-07
9.49E-01
1.90E+01
主機換装
(台)
1.60E-08
5.01E-02
1.00E+00
漁獲量
(kg)
1.00E+00
3.13E+06
6.26E+07
表−24 年間・ライフサイクルでの環境負荷項目の量
石炭
年間漁獲量
ライフサイクル
操業日数 174(日)
使用年数 20 年
漁獲量 1(kg)
漁獲量 3,132(t)
漁獲量 62,640(t)
-1.34E-04
-4.19E+02
-8.38E+03
プロセス単位
環境負荷項目
(kg)
原油
(kg)
-2.36E-02
-7.39E+04
-1.48E+06
天然ガス
(kg)
-1.42E-03
-4.45E+03
-8.90E+04
天然ワックス
(kg)
0
0
0
水
(kg)
-5.54E-03
-1.74E+04
-3.47E+05
原木
(kg)
0
0
0
鉄鉱石
(kg)
-3.85E-05
-1.21E+02
-2.41E+03
ガラス原料
(kg)
0
0
0
ボーキサイト
(kg)
-7.34E-06
-2.30E+01
-4.60E+02
鉄スクラップ
(kg)
-1.22E-05
-3.84E+01
-7.67E+02
CO2
(kg)
7.73E-02
2.42E+05
4.84E+06
スチレンモノマー
(kg)
0
0
0
スラッジ
(kg)
3.24E-06
1.01E+01
2.03E+02
固形廃棄物
(kg)
3.28E-01
1.03E+06
2.05E+07
26
表−25 運航プロセス毎の CO2 排出量の内訳
プロセス名
ホタテ貝 1(kg)当たりの
CO2 排出量(kg)
(%)
電力の製造
2.32E-06
0.0
重油の製造
6.46E-03
8.4
潤滑油の製造
3.04E-05
0.0
鋼鉄の製造
3.75E-05
0.0
塗料の製造
1.87E-05
0.0
船の建造
0
0.0
主機関運転
7.07E-02
91.5
塗装
0
0.0
航海(軽荷)
0
0.0
航海(曵網)
0
0.0
航海(満載)
0
0.0
春操業
0
0.0
本操業
0
0.0
船底塗装
0
0.0
主機換装
0
0.0
漁業
0
合計
7.73E-02
0.0
100.0
表−26 漁業区分毎の CO2 排出量の内訳
プロセス名
ホタテ貝 1(kg)当たりの
CO2 排出量(kg)
(%)
漁場整備
2.58E-02
33.4
水揚作業
5.14E-02
66.5
船底塗装
1.87E-05
0.0
主機換装
3.98E-05
0.1
ホタテ貝漁獲量
0
0.0
合計
7.73E-02
100.0
表−27 ライフサイクルでの環境負荷項目のステージ毎の内訳
内訳
ライフサイクル
建造
運航
環境負荷項目
全体
FRP漁船
使用年数 20 年
合計数量(kg)
数量(kg)
(%)
数量(kg)
(%)
石炭
-1.78E+04
-9.44E+03
53.0
-8.38E+03
47.0
原油
-1.50E+06
-1.83E+04
1.2
-1.48E+06
98.8
天然ガス
-9.10E+04
-1.98E+03
2.2
-8.90E+04
97.8
天然ワックス
-3.00E+00
-3.00E+00
100.0
0
0.0
水
-1.53E+06
-1.18E+06
77.3
-3.47E+05
22.7
原木
-5.07E+03
-5.07E+03
100.0
0
0.0
鉄鉱石
-1.90E+04
-1.66E+04
87.3
-2.41E+03
12.7
ガラス原料
-3.71E+03
-3.71E+03
100.0
0
0.0
ボーキサイト
-4.60E+02
-8.77E-02
0.0
-4.60E+02
100.0
鉄スクラップ
-6.53E+03
-5.76E+03
88.2
-7.67E+02
11.8
CO2
4.90E+06
5.73E+04
1.2
4.84E+06
98.8
スチレンモノマー
2.63E+02
2.63E+02
100.0
0
0.0
スラッジ
2.03E+02
0
0.0
2.03E+02
100.0
固形廃棄物
2.05E+07
6.75E+03
0.0
2.05E+07
100.0
27
表−28 プロセス毎の CO2 排出量
CO2 排出量
プロセス名
(kg)
(%)
電力の製造
1.35E+04
0.3
重油の製造
4.05E+05
8.3
軽油の製造
5.11E+02
0.0
ブタンガスの製造
0.00E+00
0.0
ワックスの製造
5.36E+00
0.0
アセトンの製造
7.69E+01
0.0
樹脂原料の製造
4.56E+03
0.1
樹脂の製造
1.02E+02
0.0
ガラス繊維の製造
1.03E+04
0.2
モノマーの製造
4.51E+03
0.1
発泡心材の製造
3.49E+00
0.0
ラワン材の製造
2.74E+02
0.0
合板の製造
8.67E+01
0.0
塗料の製造
1.24E+03
0.0
鋼材の製造
2.00E+04
0.4
PVC の製造
1.22E+03
0.0
潤滑油の製造
1.91E+03
0.0
簡易め型の製造
0.00E+00
0.0
船体艤装品の製造
0.00E+00
0.0
機関艤装品の製造
0.00E+00
0.0
電気艤装品の製造
0.00E+00
0.0
サンディング・トリミング作業
0.00E+00
0.0
塗装作業
0.00E+00
0.0
漁船の製造
4.24E+03
0.1
主機関運転
4.43E+06
90.5
航海(軽荷)
0.00E+00
0.0
航海(曵網)
0.00E+00
0.0
航海(満載)
0.00E+00
0.0
春操業
0.00E+00
0.0
本操業
0.00E+00
0.0
船底塗装
0.00E+00
0.0
主機換装
0.00E+00
0.0
漁業
0.00E+00
0.0
合計
4.90E+06
100.0
28
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