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1.都市計画の目標 人と自然と産業が織りなす活力と魅力

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1.都市計画の目標 人と自然と産業が織りなす活力と魅力
1.都市計画の目標
本計画の策定に当たり、
「都市計画の目標」、
「主要な都市計画の考え方」について
は、基準年次より 20 年後となる平成 32 年を想定し、
「人口規模」、
「区域区分の決定
の方針」については、基準年次より 10 年後となる平成 22 年を想定する。
1−1.周南広域都市圏の地域づくりの基本理念
本圏域は、高い工業集積を背景に本県産業の発展をリードする産業集積圏となっ
ているとともに、瀬戸内海国立公園に指定されている室積・虹ヶ浜海岸や笠戸島な
ど優れた自然環境に恵まれ、研究開発機関が充実しているなどの地域特性をもって
いる。
本圏域の魅力を高め、新しい圏域づくりを推進するために、本圏域が誇るこのよ
うな地域特性の優れた面を積極的に活かした地域づくりを推進する。
21世紀初頭の社会を展望して、本圏域における地域づくりの基本理念を以下のよ
うに設定する。
人と自然と産業が織りなす活力と魅力あふれる
にぎわい都市圏づくり
個性ある都市のつながりを深め、それぞれの魅力を高めることにより、にぎわ
いが生み出される圏域づくりを進める。
また、地域で育まれた人々の生活と豊かな自然環境、産業の集積など、これま
での蓄積を最大限に活かしながら、人と自然と産業とが調和した、活力と魅力あ
ふれる中核都市圏*を形成する。
*印のついている用語は巻末に用語解説を掲載している。
1
1−2.周南広域都市圏の将来像
21 世紀初頭の社会を展望して、本圏域における地域づくりの将来像を以下のよう
に設定する。
(1)目標年次における概ねの人口規模
▼おおむねの人口
(単位:千人)
年次
平成12年
平成22年
(基準年)
(10年後)
265.2
261.9
年少人口
38.1
34.3
(0∼14歳)
(14.4%)
(13.1%)
生産年齢人口
174.9
160.2
(15∼64歳)
(65.9%)
(61.2%)
老年人口
52.2
67.4
(65歳以上)
(19.7%)
(25.7%)
区分
広域都市圏人口
年齢階層別人口
※
※
平成12年国勢調査結果をもとに、年齢不詳人口を按分補正した値
2
(2)都市圏整備の方向性
「人と自然と産業が織りなす活力と魅力あふれる
にぎわい都市圏づくり」のための整備の方向性
① 豊かな郷土資源を未来にひきつぐ美しい都市づくり
周南広域都市圏は、瀬戸内海国立公園、石城山県立自然公園に代表される優
れた自然環境をもつとともに、瀬戸内海沿岸には徳山市、下松市、光市、新南
陽市の都市部が連担している。
また、これら4つの都市に隣接して、盆地部の良好な自然環境を活かした住
宅地域として発展を続けている大和町、熊毛町は、快適で利便性の高い均衡の
ある都市圏づくりの中で重要な役割を果たしている。
更に、面積の大半が山地で占められている農山村地域の鹿野町は、豊かでう
るおいのある優良な環境を提供している。
このような都市と自然環境の調和した良好な都市圏を維持・発展させていく
ために、特に次のような都市整備を図り、美しい都市づくりを推進する。
■ 個性とにぎわいをつなぐ中心市街地における都市の顔づくり
圏域の中心としての役割を果たしている徳山駅周辺地区をはじめ、各地域
の中心市街地においては、それぞれの特性を活かしながら、魅力ある都市景
観の形成や安全で快適な都市空間の創出等による都市の顔づくりを行い、都
市のにぎわいをつなげていく。
■ にぎわいの歴史を刻んできた都市空間の充実
臨海部に広がるコンビナート群の景観や戦災復興事業により緑豊かな街
路等が整備されてきた徳山市の市街地などは、都市のにぎわいと発展の歴史
を刻んできた都市空間として充実を図っていく。
また、海商のにぎわいを伝える光市の室積地区等の歴史的な風情が残る地
区については、街並み景観の保全を図る。
■ 市街地内の水と緑のネットワーク*づくりと臨海親水空間の創出
河川や緑地、自然海岸等は臨海部に連担する市街地にとっての貴重なオー
プンスペース*であることから、だれもが利用できる快適な憩いと交流の空
間として整備、保全する。
特に徳山市等の瀬戸内海臨海部に工場等が集積する地域において、親水空
間の創出を図る。
■ 海と緑に恵まれた自然環境の保全と都市近郊レクリエーション空間として
の活用
瀬戸内海国立公園や石城山県立自然公園など海と緑に恵まれた美しく豊
かな自然環境を、人々にやすらぎとうるおいをもたらす貴重な地域資源とし
て保全するとともに、都市近郊のレクリエーション空間としての整備・活用
を推進する。
3
② ゆとりとにぎわいの都市生活を提供するコンパクトな都市*づくり
県内の多くの都市において、人口の停滞または減少が進む中、本圏域も同様
に人口は減少傾向にあり、中心市街地の空洞化や高齢化も進展している。その
一方で、幹線道路沿道や郊外丘陵地等における宅地開発が依然として進行して
いる。
このことから、秩序ある適正な市街地の形成のためには、都市内に蓄積され
た都市基盤施設*のストック*を活用しつつ、中心市街地の再構築と郊外部で
の市街地拡大を抑制し、都市全体としてコンパクトな都市づくりを進める。
山口県東南部における中核都市圏の形成を目指す本都市圏にとって、都市内
のコミュニティ*活動の回復や生活、医療、文化等の施設の集積の進んだまと
まりのよい都市の形成は、地域住民の誇りや来訪者の魅力となり、更なる発展
基盤として不可欠の取り組みである。
このようなコンパクトな都市づくりを進めるために、特に次のような都市整
備を進める。
■ 臨海部の都市が一体となった中心市街地の再構築と活性化
徳山市、下松市等の中心市街地においては、商業・業務機能の活性化と教
育、文化、情報、交流などの高次都市機能*の集積と連携を図り、各市街地
の形成過程や環境に配慮しながら中心市街地の再構築を推進する。
また、利便性が高くうるおいのある居住環境の整備を行い、都心居住の促
進を図る。
■ 地域の活力を支えるユニバーサルデザイン*に配慮した都市づくり
活力の高い中核都市圏づくりをめざした多彩な交流の創出に向けて、ま
た、高齢社会やコンパクトな都市に対応する交通体系づくりの一環として、
徳山駅など主要駅周辺や公共公益施設等を中心に、全ての人々に使いやすい
ユニバーサルデザインに配慮した都市空間の形成を進める。
■ 密集市街地*の環境改善
徳山市や下松市の既成市街地等で防災上危険な密集市街地においては、街
並みの個性に配慮しながら、土地区画整理事業、市街地再開発事業*等の面
的整備事業や都市施設の整備などを進め、環境良好な市街地へ再整備する。
■ 既成市街地の魅力化と併せた新たな市街地形成の適正な誘導と郊外部の開
発抑制
臨海部の既成市街地付近には地形的制約から開発余地は少ないが、下松市
から熊毛町にかけての国道2号沿道周辺等において開発が進みつつある。
既成市街地においては、その魅力を高め、一層の市街化を図るとともに、
このような郊外部の開発が進みやすい地域では、都市計画区域相互や自然環
境豊かな周辺市町村などとの調整を図り、区域区分*制度やその他の土地利
用規制制度の適用等により、新たな市街地形成を適正に規制・誘導する。
4
③ 都市毎の個性を活かし、連携して活力を生む都市ネットワークづくり
周南広域都市圏は、瀬戸内海沿岸部の4つの都市核と内陸部の3つの地域核
が、それぞれに固有の歴史、文化等を有しつつ、独自の地域社会や産業形態を
展開している。これらが相互に連携することにより、均衡ある複合的な広域都
市圏を形成するとともに、自然公園*地域やその他の自然環境ゾーンと調和し
て、安全で利便性の高い快適な環境良好な広域都市圏が形成される。
周南広域都市圏では、このような沿岸部と内陸部における連携型の都市圏構
造を活かしながら、各都市内及び都市間相互の結びつきを強め、交流や機能連
携を促進するとともに産業を振興し、都市圏全体の個性化と活性化を図る。
さらには、他の広域都市圏とのネットワーク形成や他県との交流連携等を含
めた複合的な都市ネットワークを形成する。
■ 海でつながる活気ある都市の個性づくり
港、産業を共通テーマとして各都市の個性を演出する歴史、文化などの地
域資源を活かした地域形成を図るとともに、それらが相互に適正に機能分担
された一体型・連携型の都市圏構造の形成を推進する。
■ 臨海部の都市間交流を支える交通基盤の整備
本都市圏に隣接する山口・防府、柳井、岩国広域圏など他の広域都市圏や
都市圏内の都市間との交流・連携を促進するため臨海部の東西方向を主とし
た道路、鉄道等の交通基盤*の整備充実を図り、都市間ネットワークの強化
に努める。
また、内陸部との連携についてもバス等の公共交通網の充実を図る。
■ 都市と農山漁村との交流・連携による自然的環境の整備、保全
過疎化、高齢化が進む圏域の北部地域においては、農業等の生産基盤を整
えた上で、広域的な連携によって臨海部の都市に都市機能の一部を依存しつ
つ、豊かな自然環境を活かしたレクリエーション環境や多自然型居住環境*
づくりを行い、都市部との交流・連携を進め、相互に補完関係の強化を図る。
また、臨海都市の周辺部等では無秩序な市街地の抑制と自然的環境の整
備、保全を推進し、既存都市計画区域の周辺等においては、必要に応じて都
市計画区域の拡大等を検討する。
■ 都市施設に関する広域的調整と整備の推進
都市圏間の交流・連携性を高める幹線道路や広域公園、下水道等の都市施
設の整備については、都市間の広域的調整を図りながら、効率的、有機的に
整備を推進する。また、供給処理施設等の公益的施設の整備についても、都
市間の広域的調整を図り、円滑な整備を推進する。
■ 都市の活力を創出する産業の振興
圏域中心都市徳山市からの 30 分圏域を拡大し、臨海部工業地帯の連携を
強化して産業の振興を図るために、道路網や高速通信回線網などの基盤の充
実・整備を行う。
また、産業支援機関と連携した新しい産業の育成、身近にある農林水産業
を活かした体験型観光の展開などにより多様な産業の振興を図り、都市の活
力を創出する。
5
④ 住民と行政が協働し、共創する身近な都市づくり
多様な交流が行われている周南広域都市圏にあっては、住民の都市へのニー
ズやまちづくりへの意識が高度化・多様化し、住民参加による都市づくりの土
壌が形成されてきている。限られた都市の空間的、経済的資源を有効に活用し
た都市づくりを円滑に進め、生みだされた都市施設や空間が住民に充分に活用
され、地域の活性化に結びついていくためにも、住民と行政がそれぞれの役割
と責任を分担しながら、協働して都市整備をすすめることが必要となる。
このため、県及び市町は、地域特性を生かした個性豊かな都市づくりに向け
て、地域に密着した効率的な都市計画執行体制を整備する。また、住民の役割
を踏まえた都市生活と都市づくりへの住民参画をすすめるために、都市づくり
に関する情報をわかりやすく提供するとともに、計画づくり等の都市整備の初
期段階から住民の意見を反映できる仕組みを構築し、都市づくりに活かしてい
く。
さらに、住民・行政の協働の間に入り、意見調整や社会的資源の活用等、都市
づくりに関する総合的な提案やアドバイスを行う民間専門家を育成し、その活
動を支援する。
これらの施策により、次のような住民と行政の協力・共創の都市づくりをす
すめる。
■ 都市づくりに関するわかりやすく利用しやすい知識・情報の提供と収集
都市計画制度等の都市づくりに関する知識・情報・責任を住民にわかりやす
く整理し、広報紙やマスメディア、講習会、インターネットなどのITの活用
等により多様な層にとって使いやすいかたちでの提供を行う。
また、情報を提供するだけでなく、アンケート調査やホームページの掲示板
等により、絶えず住民意見を把握するよう努める。
■ 都市づくりにおける住民参画を促進する仕組みの整備
まちづくり活動の主体形成やサポーターづくりを進めるために、新南陽市
における県道整備に併せたまちなみづくりのワークショップ等の県内外の住
民参加事例を参考に、計画づくり等の初期段階から住民の意見や力を合わせ
た都市づくりを行える仕組みを構築する。
また、都市づくりに参加する住民・企業・大学等研究機関・関係団体(NPO
*
など)等の情報交換の場づくり及びネットワークづくりを図るとともに、山
口市や防府市のようにその活動を支援する制度の整備充実を図る。
さらに、コミュニティビジネス*を組み込んだ市民のまちづくり活動等への
取り組みを促すことで、市民の継続的なまちづくり活動への参加を図る。
■ 県・市町における都市計画執行体制の充実
県・市町は地域特性を活かした効率的な都市づくりの推進に向けて、地域に
密着した都市づくりと広域調整を図るための執行体制を整備・運用する。
■ 都市づくりを支援する民間専門家の育成・活用
住民参画の都市づくりを実現化し、活性化するために、住民や行政と協働
して構想・計画をつくり、事業実施及びその後の管理に至るまでアドバイス
や住民の都市づくりを支援していく民間専門家を育成し、活用していく。
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1−3.都市計画区域等の運用の方針
周南広域都市圏においては、都市圏の将来像に示した都市づくりを広域的に推進す
るため、以下の考え方を基本として都市計画区域等の運用を図る。
この方針は、平成 12 年度末における各行政区域について実施した都市計画基礎調査
等をもとに検討した結果であり、市町村合併が行われた場合は、合併後の市町村区域に
ついて、都市計画基礎調査を実施するなどして、都市計画区域等の運用の方針について
再度検討することとする。
都市計画区域等の運用の方針
区域名
現行区域の面積、
運用の方針
位置及び範囲
土地利用、自然的条件、日常
運用の契機
一体化を促進する広域プロジ
生活圏、社会的・経済的条件等を ェクトの実施等を契機として、
31,114 ha
徳山市
(行政区域の一部)
周
南
都市計画区域
下松市
(行政区域の一部)
光市
(行政区域の一部)
新南陽市
(行政区域の一部)
総合的に検討した結果、熊毛都 当該市町や地域の合意が得られ
市計画区域と一体の都市とし た時点で実施する。
て、整備、開発及び保全するこ
とが望ましい。
また、光市小周防地区につい
ても一体の都市として、整備、
開発及び保全することが望まし
い。
島しょ部については、区域設
定時からの状況の変化等を考慮
して今後、区域除外を検討する
ことが望ましい。
土地利用、自然的条件、日常
熊
毛
都市計画区域
5,244 ha
熊毛町
(行政区域の一部)
生活圏、社会的・経済的条件等を ェクトの実施等を契機として、
総合的に検討した結果、周南都 当該市町や地域の合意が得られ
市計画区域と一体の都市とし た時点で実施する。
て、整備、開発及び保全するこ
とが望ましい。
大
和
都市計画区域
3,209 ha
大和町
(行政区域全域)
一体化を促進する広域プロジ
大和都市計画区域について、
現行の区域を継続する。
※ 都市計画区域面積は、「都市計画年報」による平成 13 年 3 月 31 日現在の値
※ 上記以外の地域は、都市計画区域等の運用の必要性は低い。
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