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学び合いを通したプログラミング学習

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学び合いを通したプログラミング学習
分科会G2
学び合いを通したプログラミング学習
- タブレット端末の撮影・視聴による協働学習の授業実践から -
高森町立高森中学校 教諭 薮田挙美
キーワード:プログラミング学習,タブレット端末,学び合い
1.はじめに
本実践は、中学校技術・家庭科(技術分野)におい
て、3年生を対象に「プログラムによる計測・制御」
について取り組んだものである。この内容は、今回の
学習指導要領の改訂において、選択項目から必修項目
へと変更になった内容であり、社会の変化と照らし合
わせても重要な内容であるといえる。中学校学習指導
要領解説(技術・家庭科編)によると、この単元を通
して、コンピュータを用いた計測・制御の基本的な仕
組みを知り、簡単なプログラムの作成ができるように
するとともに、情報処理の手順を工夫する能力を育成
することをねらいとしている。
プログラミング学習では、授業を進める中で、学習
意欲と内容理解において、個人差が広がり、一斉学習
を進める上で様々な問題が生じていた。そこで、これ
らの課題を解消するために、グループ学習モデル(図
1)による学び合いを基盤としたプログラミング学習
を行うこととした。
今回の実践では、プログラミング学習用ロボットと
専用ソフトウェアを使用した。このプログラミングソ
フトは、フローチャートを用いてプログムを作成する
ことができるため、難しいプログラム言語の学習を行
わなくても、
プログラミング学習をすることができる。
また、今回の学習では、多くのアイディアが生まれ
るようなコートを準備し、校内ロボットコンテストを
開催することとした。「スタートから出発して、コー
ト上の5枚の板を全て倒して30秒以内にゴールに戻
る」というルールを設定し、ロボットが通るルートを
考えるだけでも様々な考えが生まれ、学び合いが活発
になるよう心がけた。
図1 グループ学習モデル
図2 コート上でお互いの考えを話し合う
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3 本実践
5
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1
(1) 生徒の考えやアイディアを記録する
生徒の考えやアイディアを記録するために動画を活
用した。具体的には、自分の考えをワークシート上で
説明したり、コート上でロボットを使って動きを説明
したりする(図2)動画を撮影した。そうすることで、
紙に書く場合と比べて、
多くの情報を残すことができ、
自分以外の生徒に考えを伝えやすくなった。
また、記録として残すことができるので、単元をと
おして数時間に渡って、
動画を確認することができた。
(2) 動画で確認しながらプログラムを修正する
学び合いにおけるプログラミングを促進させるため、
図1のような学習モデルを作り、学習活動を進めさせ
た。生徒たちは、このモデルを繰り返し自分たちのプ
ログラムを改善していった。
その中で、ロボットを実際にコートで動かす様子を
撮影させた。撮影したロボットの動画と作成したプロ
グラムの画面を比べることで、どこのプログラムが間
違っているのかを、見つけやすくすることができた。
また、タブレット端末を活用したことで、教室内の
様々な場所において、繰り返し再生を行うことができ
たので、PCの前で視聴したり、コートの前で視聴し
たりすることができ学び合いが活発になった。
表1 単元の指導計画(10時間扱い)
数
次
分科会G2
2.実践のポイント
内容
プログラミングについて学ぶ
①計測・制御の基本
②身のまわりにあるプログラミング
個人でプログラミングを行う
①タイマーによるプログラミング
②タッチセンサを利用したプログラミング
グループでプログラミングを行う
①各自でルートについて考える
②グループでルートについて考える
③グループでプログラミング制作・修正1
④グループでプログラミング制作・修正2
⑤校内ロボコン大会
グループの考えを発表する
3.実践内容
中学3年技術・家庭科
(1) 実践の概要
今回は中学3年生を対象に実践を行った。表1にあ
るように、初めにプログラミングやフローチャートに
ついて学習した。次に簡単なコートでロボットを走ら
− 90 −
JAPET&CEC成果発表会
5.今後に向けて
タブレット端末で動画を撮影することによって、撮
影した動画が話し合いのコンテンツとなった。このこ
とを上手く活用することで、学び合いがより一層深ま
ることと考えている。これらの実践を積み上げていく
ことで、学習内容の定着や技能の習得が進むと考えて
いる。今後も、他の単元や教科でも実践を行っていき
たい。
図3 ロボットの動きを撮影する
図4 動画を見ながらPC上でプログラムを修正
分科会G2
せることを通して、個人でプログラミングする方法を
学んだ。そして、グループでロボコン大会に向けて、
図1の学習モデルを繰り返し、プログラミングを完成
させ、ロボコン大会を実施した。最後は学習した内容
についてポスター発表を行うこととした。
(2) 実践の様子(グループでの学習)
①ロボットのルート(動かし方)を話し合う
グループでの学習は、図2に示すように、事前に個
人で考えていたロボットのルートについて、互いに説
明することから始めた。全員が説明する様子を動画で
記録しておき、話し合いの中で再生しながら、グルー
プの中で、
誰の考えを採用するのかを決定していった。
②プログラミングの修正と学び合い
ロボットを動かすルートが決定したら、実際にプロ
グラミングを行っていった。プログラムが一通り完成
したら、実際のコートでロボットを動かし、その様子
を撮影させた。
(図3)
コート上でロボットを動かした後、プログラミング
に失敗した生徒たちは、撮影した動画をみんなで見な
がら「ロボットの動きの何がいけなかったのか」
「ロボ
ットをどう動かすべきだったのか」
「プログラムをどう
修正すべきなのか」等を話し合っていき、デスクトッ
プPCのプログラミング画面とタブレット端末の動画
を見比べながら、プログラミングの修正について話し
合っていった。
(図4)
前述の図1に示した学習モデルに従って、活動を繰
り返しプログラムの精度を高めていった。そして、制
限時間内に全ての板を倒し、ゴールする「パーフェク
ト」を達成するグループが表れた。パーフェクトを達
成できるチームが数チームになった場合は、ゴールま
でのタイムが速い方が優勝としていたので、それぞれ
のグループは、
「より速く」ゴールできるプログラムに
ついて考えていった。グループの目標も「全ての板を
倒す」から「速いタイムでパーフェクトを取る」とレ
ベルの高いものとなった。
③校内ロボコン大会の結果
実際に校内ロボコン大会に参加した12チームのう
ち、
8チームはパーフェクトを達成することができた。
この結果は、私の考えを大きく上回るものだった。
4.成果
授業後の生徒へのアンケート(図5)では、「今回
の学習は楽しかった」「プログラミングを今後も学習
したい」の質問に対しては、肯定的な回答をした生徒
は全体の約90%と高い値を示した。一方で「プログ
ラミングは簡単だったか」の質問では、半数以上がや
や難しかったと回答した。このことから、本実践では
学習内容が難しかったにも関わらず、約9割の生徒が
意欲的に学習できたことが分かる。
また、今後もプログラミングを学習したい理由(図
6)としては、「成功した時のよろこびを感じたいか
ら」が最も多く、82%となった。次に「グループで
協力できたから」が32%となっており、学び合いを
通した学習によって成功する喜びを感じることができ、
更なる学習へ意欲的になったことが分かる。
図5 学習後のアンケート結果
図6 今後もプログラミングを学習したい理由
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