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化粧料、特にメイクアップ化粧料、スキンケア化粧 料に好適に配合され

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化粧料、特にメイクアップ化粧料、スキンケア化粧 料に好適に配合され
JP 2005-41827 A 2005.2.17
(57)【要約】
【課題】
化粧料、特にメイクアップ化粧料、スキンケア化粧
料に好適に配合されるハイドロキシアパタイトの結合し
た多孔性粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】
懸濁法等の常法によって多孔性粒子を合成するに当
たり、合成に用いる懸濁液中に所望する粒子径を有する
ハイドロキシアパタイト粒子を添加して多孔性粒子を合
成する。得られた粒子を外用剤や化粧料に配合する。
【選択図】 図5
(2)
JP 2005-41827 A 2005.2.17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空隙率5∼50%、粒子の平均粒径が1∼20μmの有機高分子合成樹脂からなる多
孔性粒子で該多孔性合成樹脂粒子の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパ
タイト粒子が結合していることを特徴とする多孔性粒子。
【請求項2】
ハイドロキシアパタイトが多孔性樹脂の重量に対して10∼50重量%結合している
請求項1記載の多孔性粒子。
【請求項3】
多孔性粒子の形状がほぼ球状である請求項1又は2記載の多孔性粒子。
10
【請求項4】
多孔性粒子の合成にあたり、原料となる合成樹脂モノマーの溶液中にハイドロキシア
パタイト粒子を分散させた後重合反応工程、多孔質化工程、粒子形成工程を行うことを特
徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3記載の粒子を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項6】
皮膚外用剤が、皮脂の不飽和脂肪酸を選択的に吸着するものである請求項4記載の外
用剤。
【請求項7】
20
請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する化粧料。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する皮脂、油脂、脂肪、脂質系
成分の吸着剤。
【請求項9】
請求項1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する脂質系成分担持剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な構造を有する多孔性粒子及びその製造方法に関する。さらに又、本発
30
明は、この多孔性粒子を含有する皮脂の不飽和脂肪酸を選択的に吸着する外用剤又は化粧
料に関する。
【背景技術】
【0002】
ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト ( 又 は ヒ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト 或 い は HAPと も い う ) は 、 Ca1 0 (
PO4 )6 (OH)2 で 表 さ れ る 物 質 で 歯 骨 な ど 人 体 に 存 在 す る 無 機 質 で あ る 。 皮 脂 や 皮 脂 中 の 不 飽
和脂肪酸を吸着させる外用剤、あるいは化粧膜の化粧もち向上のために顔料として配合し
た化粧料が知られている。(例えば特許文献1,2,3参照)
しかしながらハイドロキシアパタイトをそのまま化粧料や外用剤に配合した場合、ざ
らつきなど使用感の悪化を招き、また凝集によって効果的に皮脂の吸着ができないなどの
40
問題が指摘されていた。このためハイドロキシアパタイトを球状に加工する技術(例えば
特許文献4,5,6参照)、顔料表面にハイドロキシアパタイトを沈着させる技術(例え
ば特許文献7参照)が開発されている。しかしこれらの技術はいずれも、物理的な処理(
例えば、静電気処理や混合圧縮処理)によって樹脂や顔料基材の表面にハイドロキシアパ
タイトを析出させたり、あるいはバインディング剤によって接着させたりするため、所望
するだけの量のハイドロキシアパタイトを被覆させることができなかった。又、ハイドロ
キシアパタイトの結合状態が不安定であったり、あるいは粒子の表面にハイドロキシアパ
タイトが不均一に結合する等の欠点があった。このため、皮脂や皮脂中の不飽和脂肪酸を
吸着する外用剤、あるいは化粧膜の化粧もち向上のために顔料としてハイドロキシアパタ
イトを配合した化粧料であっても効果的に皮脂の吸着をすることができなかった。
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(3)
JP 2005-41827 A 2005.2.17
【0003】
又、従来の技術においては、アクリルアミドやポリビニルアルコールポリマーからな
る有機高分子合成多孔性粒子は吸油、吸水速度に優れることから化粧もちの向上のために
化粧料に配合されていた。(例えば特許文献8参照)しかしながら、単に多孔性にしただ
けでは水分の吸着と一部の皮脂を吸収するだけであって、好ましくない。好ましい皮膚外
用剤としては、皮膚にとって刺激になりうる不飽和脂肪酸を効果的に吸着する剤である。
特に、脂肪酸、なかでも不飽和脂肪酸は、酸化されることにより皮膚を刺激するが、
皮脂のみを吸着してもこの不飽和脂肪酸を吸着しないと皮膚刺激低減の効果は低い。又、
吸油量も十分でないため化粧もちについても効果は低かった。このため従来の合成多孔性
粒子のもつ皮脂の脂肪酸吸着性を改良することが望まれていた。
10
【0004】
【特許文献1】特許第173912号公報
【特許文献2】特開昭63−027411号公報
【特許文献3】特開昭62−195317号公報
【特許文献4】特公平4−27203号公報
【特許文献5】特公平6−92288号公報
【特許文献6】特許第2818328号公報
【特許文献7】特許第2914460号公報
【特許文献8】特公平4−51522号公報
【発明の開示】
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【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、肌を正常に保ち、さらには肌荒れ防止、肌荒れ改善に対して有効な方
法がないか鋭意研究した結果、皮脂成分のうち肌に悪影響を及ぼす皮脂老廃物を除去する
ために、ハイドロキシアパタイトを多孔性粒子の表面に結合させたものは皮脂老廃物であ
る遊離脂肪酸および過酸化脂質に対して特に選択的な吸着性を示し、肌荒れ防止、肌荒れ
改善さらにはニキビ患者の炎症を抑制する効果のあることを見出した。しかしながらハイ
ドロキシアパタイト粉末をそのまま皮膚外用剤中に配合したならば、ハイドロキシアパタ
イト粉末は凝集性が強いため肌への広がりが不十分で、皮脂老廃物に対する吸着効果が十
分に発揮されない欠点があった。このため本発明者らは樹脂の表面に平均粒子径0.1∼
30
1μmのハイドロキシアパタイト粒子体が強固に結合している新規な多孔性粒子を開発し
本発明を完成させた。したがって、本発明は上記のとおり新規な、多孔性微粒子を構成す
る樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体が強固に結合
していることを特徴とする多孔性粒子を提供することを課題とする。さらにまた、本発明
は、前記粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパタイ
ト粒子体が強固に結合していることを特徴とする多孔性粒子を配合した、外用剤及び化粧
料、特にメイクアップ化粧料、スキンケア化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、本発明者らが見出した新規な、多孔性粒子を構成する樹脂の表面に平
40
均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が結合している多孔性粒
子は、従来のハイドロキシアパタイトや多孔質粒子と比較して、皮脂をより多く吸収し、
且つ効果的に皮脂中の不飽和脂肪酸を吸着することで使用感の悪化や剤型への影響を与え
ずに皮膚刺激の低減や、化粧もちの向上が実現することを見出した。この粒子は従来のハ
イドロキシアパタイトで被覆された樹脂からなる粒子と異なっており、多孔質粒子の表面
にハイドロキシアパタイトが強固に結合しているものである。この多孔性粒子は従来のよ
うな、圧着や接着、静電気的結合ではなく、目的とする高分子樹脂の原料となるモノマー
を重合させ、多孔性粒子を合成する際に、モノマー中にハイドロキシアパタイトを共存さ
せるという、まったく新規な方法を採用することによって得られるものである。従来技術
には開示も示唆もなかった新規技術である。
50
(4)
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【0007】
すなわち、本発明は下記1乃至9に示すとおりの発明である。
1.空隙率5∼50%、粒子の平均粒径が1∼20μmの有機高分子合成樹脂からなる多
孔性粒子で該多孔性合成樹脂粒子の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパ
タイト粒子が結合していることを特徴とする多孔性粒子。
2.ハイドロキシアパタイトが多孔性樹脂の重量に対して10∼50重量%結合している
1記載の多孔性粒子。
3.多孔性粒子の形状がほぼ球状である1又は2記載の多孔性粒子。
4.多孔性粒子の合成にあたり、原料となる合成樹脂モノマーの溶液中にハイドロキシア
10
パタイト粒子を分散させた後重合反応工程、多孔質化工程、粒子形成工程を行うことを特
徴とする1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子の製造方法。
5.1乃至3記載の粒子を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
6.皮膚外用剤が、皮脂の不飽和脂肪酸を選択的に吸着するものである4記載の外用剤。
7.1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する化粧料。
8.1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する皮脂、油脂、脂肪、脂質系成分の
吸着剤。
9.1乃至3のいずれかに記載の多孔性粒子を含有する脂質系成分担持剤。
【発明の効果】
【0008】
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本発明の実施により、新規な、多孔性微粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼
1μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態で結合していることを特
徴とする多孔性粒子及びその製造方法が提供される。
さらにまた、本発明の実施により、前記粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼
1μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態で結合していることを特
徴とする多孔性粒子を配合した、外用剤及び化粧料、特にメイクアップ化粧料、スキンケ
ア化粧料が提供される。
本発明の粒子を配合した外用剤、又は化粧料は従来の外用剤や化粧料に比べて優れた使用
感と炎症抑制作用を有する。
本発明の化粧料は化粧もち及び密着性に優れ、高い吸油性と皮脂脂肪酸の選択的吸着作用
30
を有する。
油脂類を担持する材料として、食品や一般工業材料に添加使用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本 発 明 に 使 用 す る ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト は 、 Ca1 0 (PO4 )6 (OH)2 で 表 さ れ る 物 質 で 、
歯骨など人体に存在する無機質である。ハイドロキシアパタイト粉末は、通常例えば以下
のような湿式法あるいは乾式法によって調製される。
すなわち、湿式法の例としては、水酸化カルシウムとリン酸を水溶液中で反応させて
得る方法、乾式法の例としては、炭酸カルシウムとリン酸カルシウムを空気中あるいは水
蒸気雰囲気中かつ高温下で反応させて得る方法などがある。本発明に使用するハイドロキ
40
シアパタイトの粒子径は0.1μm∼1μmであって、形状は球状または、不定形粒子で
あることが望ましい。このため湿式法での調製が好ましいが所望する条件を満たすもので
あればいずれの合成法であっても支障がない。ハイドロキシアパタイトの粒子径が0.1
μmに満たない場合は、多孔性微粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1μm
のハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態で結合している多孔性粒子の合
成時に凝集が起こりやすく、また目的とする脂肪酸の吸収に効果的ではない。一方ハイド
ロキシアパタイトの粒子径が1μmを超えると、多孔性微粒子を構成する樹脂の表面に結
合困難となる。また、ハイドロキシアパタイトの形状を球状または不定形粒状とすること
で、皮膚に対するざらつきの少ない使用感の優れた、より多くの不飽和脂肪酸を選択的に
吸着する多孔性粒子とすることができる。
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【0010】
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子は、合成樹脂モノマーの溶液中にハ
イドロキシアパタイト粒子を分散させた後、重合反応、多孔質化反応、粒子形成の各工程
を平行してあるいは単独で行うことによって得ることができる。
以下には、合成樹脂としてアクリレートを例示して、本発明の有機高分子合成樹脂か
ら な る 多 孔 性 粒 子 で あ っ て 、 空 隙 率 5 ∼ 5 0 % 、 孔 の 直 径 が 5 ∼ 5 ,0 0 0 n m 、 粒 子 の
平均粒径が1∼20μm及び多孔性微粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1
μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態で結合していることを特徴
とする多孔性粒子の調製方法を説明する。これに制限されるものではなく、適宜目的にあ
わせて必要な態様を常法に準じて実施できる。
10
【0011】
ア ク リ レ ー ト 樹 脂 は 、 ア ル キ ル ( メ タ ) ア ク リ レ ー ト 5 0 ∼ 9 9 .9 重 量 % 、 分 子 内
に 2 個 以 上 の ビ ニ ル 基 を 有 す る 多 官 能 性 モ ノ マ ー 0 .1 ∼ 3 0 重 量 % お よ び そ の 他 の 共 重
合 性 モ ノ マ ー 0 ∼ 4 9 .9 重 量 % か ら な る モ ノ マ ー 、 及 び 、 ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト 粒 子
の混合物を分散安定剤、多孔質化剤の存在下に共重合させながら、粒状化工程に付するこ
とにより得られる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ
ート、イソノニル(メタ)アクリレート等アルキル基の炭素数が1∼10のものが好まし
い。アルキル基の炭素数が10より大きいと下記に説明する懸濁法等によって粒子を合成
20
した場合に球状の粒子が得られにくい。
【0012】
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、空隙率5∼50%、孔の
直 径 が 5 ∼ 5 ,0 0 0 n m 、 粒 子 の 平 均 粒 径 が 1 ∼ 2 0 μ m 及 び 多 孔 性 微 粒 子 を 構 成 す る
樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設さ
れた状態で結合している多孔性粒子の合成にあたっては、乳化重合、懸濁重合、分散重合
等の方法が用いられる。好ましくは、ハイドロキシアパタイトをモノマー溶液に添加して
懸濁重合を行う。
懸濁重合は粒子形状を安定させるとともに、ハイドロキシアパタイトが多孔性粒子表
面に均一に配置された製品を得ることできる。
30
懸濁重合は、先に述べたモノマー混合物、分散安定剤、界面活性剤、油溶性ラジカル
重合開始剤、多孔質化剤等を用いて行う。
【0013】
油溶性のラジカル重合開始剤及び多孔質化剤は、先に述べたモノマー混合物に予め溶
解または、分散させておくことが望ましい。
前記のアルキルメタアクリレートを用いて調製を行う場合に用いる分子内に2個以上
のビニル基を有する多官能性モノマーとしては、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニルモ
ノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリ
40
オールポリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルイタコネート
等の異なる反応性のビニル基を有するモノマー、その他ウレタンジ(メタ)アクリレート
、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他の共重合性モノマーとしては、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、ウレ
タン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
また、この場合、官能基を持ったモノマーを共重合させることもできる。たとえば、
グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を持つモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を持つモノマー、2−ヒドロキシエチル(メ
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(6)
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タ)アクリレート等の水酸基を持つモノマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト等のアミノ基を持つモノマー等が挙げられる。
分子内に2個以上のビニル基を有する多官能性モノマーとしては、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレートを用いることが望ましい。
【0015】
前記の分散安定剤としては、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリ
コール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸ナトリウ
ム、ポリビニルアルコールの部分ケン化物等の水溶性高分子、酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、二酸化珪素等の無機物などが用いられる。また、これらの分散安定剤は、一種類また
10
は二種類以上を使用できる。
【0016】
界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコ
ハク酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、ポリエチ
レングリコールノニルフェニルエーテル等のノニオン界面活性剤等が用いられる。また、
これらの界面活性剤は、一種類または二種類以上を使用できる。
【0017】
油溶性ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、O−メトキシベン
ゾイルパーオキサイド、O−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド 、 ク メ ン ハ イ ド ロ パ ー オ キ サ イ ド 等 の 有 機 過 酸 化 物 、 2 ,2 ′ − ア ゾ ビ ス イ ソ ブ チ ロ ニ
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ト リ ル 、 2 ,2 ′ − ア ゾ ビ ス − 2 ,4 − ジ メ チ ル バ レ ロ ニ ト リ ル 等 の ア ゾ 系 化 合 物 等 が 用 い
られる。また、これらの油溶性ラジカル重合開始剤は、一種類または二種類以上を使用で
きる。
【0018】
多孔質化剤は有機高分子架橋粒子を多孔質化する物質であり、いくつかの種類のもの
を適宜選択することができる。そのうちの1つとして、たとえばトルエン、イソオクタン
、メチルイソブチルケトン等のように、モノマー混合物には溶解するが、その重合後のポ
リマーには溶解しない溶剤があげられる。この場合、溶剤の使用量はモノマー混合物10
0重量部に対し20∼200重量部程度である。
用いた多孔質化剤は、粒子の乾燥工程で除去され、該溶剤が除去された部分が細孔と
30
なる。さらに別の多孔質化剤として、たとえばポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のよう
に、モノマー混合物に溶解する直鎖状のポリマーが用いられる。この場合の直鎖状ポリマ
ーの使用量はモノマー混合物100重量部に対し1∼10重量部程度であり、先に述べた
モノマー混合物が重合を進めて行く過程において、溶解させておいた直鎖状のポリマーと
相分離を起こし、粒子が多孔質化する。用いられる直鎖状のポリマーの種類は特に制限は
ないが、ポリマーの種類により、細孔の形や大きさが異なってくる。これらの表面処理多
孔質球状粉末を得る多孔質化剤は、一種類または二種類以上を使用できる。
粒子の形成は、前記混合溶液に添加する各添加物の種類、添加量、攪拌速度によって
異なってくる。所望する大きさの粒子を得るためには攪拌速度を慎重に制御する必要があ
るが、目的とする樹脂や粒子径にあわせて最適な状態を適宜選択し、決定することができ
40
る。
【0019】
上記の合成操作の過程で、ハイドロキシアパタイト粒子は、合成された多孔性樹脂子
内部には存在せず、樹脂の表面に配向し、ハイドロキシアパタイト粒子体の一部が樹脂に
埋設された状態で強固に結合するのである。このような多孔性樹脂粒子については全く知
られていなかった。
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、樹脂の表面に平均粒子径
0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体が強固に結合していることを特徴とする
多孔性粒子の平均粒子径は、好ましくは1∼20μm、特に好ましくは5∼10μmの範
囲である。平均粒子径が1μmに満たないと、効果的にハイドロキシアパタイトが結合せ
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ず、また脂肪酸の吸着性も低下する。平均粒子径が20μmを超えると外用剤として用い
た場合や、化粧料に用いたときに皮膚にザラつき感が生じ、良好な使用感が損なわれる場
合がある。本発明の粒子における「球状」とは必ずしも真球状のものでなくてもよく、大
きな突起のないほぼ球形に近い粒子状という意味である。また不定形とは、鋭利な先端角
を有しない、多形状のものをいう。
【0020】
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、樹脂の表面に平均粒子径
0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体が強固に結合していることを特徴とする
多孔性粒子は、水銀圧入法で測定したとき空隙率5∼50%で、ハイドロキシアパタイト
を酸溶解法によって溶解させた後、電子顕微鏡で観察したときに観察される孔の平均直径
10
が 5 ∼ 5 ,0 0 0 n m の 範 囲 で あ る こ と が 好 ま し い 。 な お 、 孔 の 平 均 直 径 は 、 電 子 顕 微 鏡
観察を行った結果をもとに画像解析処理等で平均値を求めることができる。なお、孔の直
径が5nm以下では所望する吸収効果が得られず、5000nm以上の場合は、粒子がも
ろく、また、所望するだけのハイドロキシアパタイトが結合しない。
【0021】
本発明の粒子には、球状の多孔性樹脂表面にハイドロキシアパタイトが結合して被覆
している。このハイドロキシアパタイトの樹脂への結合率は、樹脂モノマーの重量に対し
て添加したハイドロキシアパタイトの重量を結合率又は被覆率として本発明においては定
義する。上記に述べたとおり、樹脂の形成工程で添加したハイドロキシアパタイトは、実
質的にすべて多孔性球状粒子の表面に配向する。従ってモノマー当たりのハイドロキシア
20
パタイトの重量百分率は、本発明の多孔性粒子へのハイドロキシアパタイトの結合率とし
て本発明においては定義する。また、このようにして定義した重量換算法で計算したとき
のハイドロキシアパタイトの結合率(被覆率)は、本発明においては10∼50重量%で
あることが好ましく、この範囲からはずれると十分な皮脂吸収性、特に不飽和脂肪酸の選
択的吸着性が得られない。
【0022】
本発明の粒子は、ハイドロキシアパタイト粒子体の一部が樹脂に強固に結合している
ことが特徴である。従来技術で説明したように、従来の方法で得られたハイドロキシアパ
タイト粒子体が結合した球状の合成樹脂製粒子は、樹脂の表面にハイドロキシアパタイト
が物理的な力で接着または圧着しているか、あるいはバインディング剤を介して接着して
30
いるだけである。その結合状態は比較的ゆるやかなもので図2、又は図3のように樹脂表
面にのみ結合しているだけである。これに対して、本発明の多孔性高分子樹脂からなる粒
子においては、ハイドロキシアパタイト粒子体の一部が樹脂の内部に埋設した状態となっ
ている。このため、樹脂とハイドロキシアパタイト粒子体は強固に結合している。この結
合状態は、物理的衝撃では解離させることができない。一方従来の技術で調製したハイド
ロキシアパタイトによって被覆した粒子は、物理的衝撃でハイドロキシアパタイトが解離
してしまう。このような結合状態の相違は、粒子をハンマーミルのような物理的衝撃を与
える装置で粒子を処理した後、粒度分布を測定すると、本発明の粒子は多孔性粒子本来の
もつ粒度分布を示すのに対して、従来技術で調製した粒子は、樹脂粒子の粒度と物理的衝
撃 に よ り 剥 離 脱 落 し た ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト の 粒 度 の 、 2峰 性 の 分 布 を 示 す こ と か ら 確
40
認することができる。
【0023】
また、ハイドロキシアパタイト粒子は、樹脂を構成するモノマーが架橋される過程で
多孔性粒子の表面に配向する。従って樹脂とハイドロキシアパタイトは従来技術と異なっ
た結合状態を呈する。すなわち、従来技術ではハイドロキシアパタイトは、樹脂表面と点
で接することとなるが、本発明の場合には、樹脂表面にハイドロキシアパタイトが面で接
する又は埋設状態で結合することとなる。この状態の相違は、粒子を例えば粒子の中心線
を通る面で切断し、その断面を電子顕微鏡や高解像度の顕微鏡で観察したとき、樹脂とハ
イドロキシアパタイトの接触面が密着しているか、点で接触しているかで確認することが
できる。
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【0024】
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、結合している個々のハイ
ドロキシアパタイト粒子が樹脂に強固に結合していることを特徴とする多孔性粒子を皮膚
外用剤として用いると、効果的に脂肪酸を吸着し、皮膚の炎症やニキビを抑制することが
で き る 。 外 用 剤 や 化 粧 料 へ の 配 合 割 合 は 、 通 常 0 .0 1 ∼ 3 0 重 量 % 、 好 ま し く は 0 .1 ∼
10重量%である。配合割合が0.01重量%に満たないと、十分な皮脂吸収性と不飽和
脂肪酸吸着性が得られない。配合割合が30重量%を越えると、ざらつき感が生じ、良好
な使用感が損なわれる。
【0025】
本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、多孔性微粒子を構成する
10
樹脂の表面に平均粒子径0.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体が強固に結合し
ていることを特徴とする多孔性粒子は、すべての外用剤及び化粧料、特にメイクアップ化
粧料やスキンケア化粧料に広く応用することが可能である。配合に当たっては、従来の顔
料等の配合と同様の方法で外用剤や化粧料に配合できる。特に、このようにして提供され
る本発明の化粧料としては、例えばファンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、ア
イシャドウ、アイブロー、まゆずみ、粉おしろい及びフェイスパウダーなどのメイクアッ
プ化粧料や、顔や頭皮の皮脂をコントロールする為のローション、エッセンス、乳液、ジ
ェル及びパウダーなどのスキンケア化粧料を挙げることができる。
【0026】
また、本発明の有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子であって、空隙率5∼50%
20
、粒子の平均粒径が1∼20μm及び多孔性微粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0
.1∼1μmのハイドロキシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態で結合しているこ
とを特徴とする多孔性粒子は多量の油分を吸収し、選択的に不飽和脂肪酸を吸着すること
ができるので、化粧料に配合して所期の効果を発揮できることはもちろんのこと、安定剤
等の目的と用途で、外用剤や医薬品、食品、塗料など幅広い分野において応用することが
でき、さらに不飽和脂肪酸選択吸着剤として応用できる。
【0027】
本発明の外用剤、化粧料には、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール
、シリコン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面
活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体
30
成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤、
等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロー
ル剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含
有させることもできる。
【0028】
油脂類として、例えば、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナ
タネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリ
セリン、等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロ
ウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、
綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類
40
が挙げられる。
炭化水素類として、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロク
リスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペ
ンタエン酸(EPA)等が挙げられる。
【0029】
高級アルコールとして、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチ
ルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリ
ンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカ
50
(9)
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ノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
シリコンとして、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が
挙げられる。
【0030】
アニオン界面活性剤として、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル
硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールア
ミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩
、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のア
10
ルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げ
られる。
両性界面活性剤として、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系
界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪
酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。
【0031】
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸
、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
20
高分子として、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム
、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキ
シメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー(CARBOP
OL等)等のビニル系高分子、等を挙げることができる。
増粘剤として、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキ
ストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト等を挙げることができる。
粉末成分として、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチ
30
レン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チ
タンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ
等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料を挙げることができる。
【0032】
紫外線吸収剤として、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメト
キシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4−ジヒドロキシベン
ゾフェノン、等を挙げることができる。
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオ
リン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
保湿剤として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
40
レングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン
、ジグリセリン、ポリグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビト
ール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸
ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0033】
薬効成分として、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビ
ン等のビタミンB2 類、ピリドキシン塩酸塩等のB6 類、L−アスコルビン酸、L−アス
コルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコ
ルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC
類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD2 、コレカルシフェロール
50
(10)
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等のビタミンD類、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−ト
コフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。
プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、
ぶなの木エキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタ
モール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸
誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン
、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩
化リゾチーム等を挙げることができる。
さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキ
ス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビ
10
ワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バ
ーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、ト
ウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズ
マリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエ
キス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキ
ス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0034】
また本発明の空隙率5∼50%、粒子の平均粒径が1∼20μmの有機高分子合成樹
脂からなる多孔性粒子であって、多孔性粒子を構成する樹脂の表面に平均粒子径0.1∼
1μmのハイドロキシアパタイト粒子が結合していることを特徴とする多孔性粒子は、吸
20
着特性が優れていること、および多孔性であることからクロマトグラフィの担体として分
子篩や吸着剤としても使用することが可能である。
以下に本発明を、実施例および比較例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明
はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
[製造例1]
本発明のハイドロキシアパタイトが結合した有機高分子合成樹脂からなる多孔性粒子
の調製
水555gにポリビニルアルコール(クラレポバール205、(株)クラレ製)5g
30
を溶解させた水溶液に、平均粒子径0.2μmハイドロキシアパタイト粉末50g、メチ
ル(メタ)アクリレート190g、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート1
0g、ラウロイルパーオキサイド1g、メチルイソブチルケトン100gからなる混合液
を加え、これをホモミキサーを用いて撹拌し、モノマー混合液の分散液を調製した。この
際 ホ モ ミ キ サ ー の 撹 拌 翼 の 回 転 数 を 3 ,0 0 0 r p m と し て 撹 拌 し 、 分 散 溶 液 を 調 製 し た
。この分散溶液を撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素吹き込み口を備えた4つ口フラスコ
に移し、窒素気流下で回転速度100rpmで撹拌しながら、60℃に昇温し、そのまま
3時間懸濁重合反応させた。
得られた粒子の懸濁液を室温まで冷却後、粒子を濾別水洗し、フィルター上に回収し
たケーキを110℃で24時間乾燥させて、平均粒径8μmのハイドロキシアパタイト粒
40
子体の一部が埋設された状態で結合している多孔性粒子238gを得た。得られた本発明
の 多 孔 性 粒 子 の 電 子 顕 微 鏡 写 真 を 図 1に 示 し た 。 こ の 粒 子 の 孔 径 は 約 1 0 0 n m で あ っ た
。またハイドロキシアパタイト被覆率は23.2%であった。
【0036】
[比較製造例1]
非多孔性粒子の製造例
樹脂粒子の孔の有無が粒子の吸油性や脂肪酸の吸収に及ぼす効果を確認するため、非
孔性粒子を調製した。すなわち多孔質化剤は無添加にし、以下は同一条件としてハイドロ
キシアパタイト粒子体の一部が埋設された状態の粒子を調製した。調製方法は以下のとお
りである。
50
(11)
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水555gにポリビニルアルコール(クラレポバール205(株)クラレ製)5gを
溶解させた水溶液に、平均粒子径0.2μmハイドロキシアパタイト粉末120g、メチ
ル(メタ)アクリレート190g、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート1
0g、ラウロイルパーオキサイド1gの混合液を加えた。これをホモミキサーを用いて撹
拌し、モノマー混合液の分散溶液を調製した。この際ホモミキサーの撹拌の強さを製造例
1 と 同 様 に 3 ,0 0 0 r p m と し て 撹 拌 し 、 分 散 溶 液 を 調 製 し た 。 こ の 分 散 溶 液 を 撹 拌 機
、還流冷却器、温度計、窒素吹き込み口を備えた4つ口フラスコに移し、窒素気流下で撹
拌しながら、60℃に昇温し、そのまま3時間懸濁重合反応させた。得られた懸濁液を室
温まで冷却後、濾別水洗し、フィルター上に回収したケーキを110℃で24時間乾燥さ
せて、平均粒径8μm、ハイドロキシアパタイト被覆率15.8%の非多孔性粒子を得た
10
。
得られた非多孔性粒子の電子顕微鏡写真を図2に示した。
【0037】
[比較製造例2]
メカノケミカル法による表面処理多孔質球状粉末の調製
ハイドロキシアパタイトの結合状態が脂肪酸の吸収に及ぼす効果を確認するため、従来
技術によりハイドロキシアパタイトを粒子表面に結合させた粒子を調製した。
水555gにポリビニルアルコール(クラレポバール205、(株)クラレ製)5g
を溶解させた水溶液に、メチル(メタ)アクリレート190g、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート10g、ラウロイルパーオキサイド1g、メチルイソブチルケ
20
トン100gからなる混合液を加え、これをホモミキサーを用いて撹拌し、モノマー混合
液 の 分 散 液 を 調 製 し た 。 こ の 際 ホ モ ミ キ サ ー の 撹 拌 翼 の 回 転 数 を 3 ,0 0 0 r p m と し て
撹拌し、分散溶液を調製した。この分散溶液を撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素吹き込
み口を備えた4つ口フラスコに移し、窒素気流下で撹拌しながら、60℃に昇温し、その
まま3時間懸濁重合反応させた。得られた懸濁液を室温まで冷却後、濾別水洗し、フィル
ターケーキを110℃で24時間乾燥させて、平均粒子径8μmの多孔質球状粉末を得た
。得られた多孔質球状粉末を60部に対して平均粒子径0.2μmハイドロキシアパタイ
ト粉末を40部を混合しヘンシェルミキサーで10分間混合し、その後の回転式ボールミ
ルで24時間混合し、目的とする粒子を得た。
得られた従来技術の粒子の電子顕微鏡写真を図3に示す。
30
【0038】
図1、図2、図3から明らかなように、本発明による粒子は、ヒドロキシアパタイト
が密着して結合しているのに対して、従来技術に基づいて得た粒子は、表面に凹凸が出現
したり(図2)、ヒドロキシアパタイトが脱落したりする現象が観察された。
【0039】
[物性測定]
本発明の粒子(製造例1)、比較製造例1、比較製造例2で得られた粒子の粒子形状
、平均粒子径、ハイドロキシアパタイトの被覆状態及び空隙率を測定した。測定結果を表
1に示す。
平 均 粒 子 径 は ( μ m ) は コ ー ル タ ー マ ル チ サ イ ダ ー II( コ ー ル タ ー ( 株 ) 製 ) に よ り
測定し、重量分布の算術径の値を採用した。
合成樹脂粒子に形成された孔の空隙率(%)は水銀圧入法より求めた。
またハイドロキシアパタイトの被覆状態は電子顕微鏡写真で観察し、結合状態に応じ
て○:未付着粒子がほとんどない、△未付着粒子が少しある、×:未付着粒子が多数あり
とした。
結果を下記表1に示す。
【0040】
40
(12)
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【表1】
【0041】
表1に示すように本発明の粒子は、粒子形状が多孔質球状で、平均粒子径が8.2μ
10
m、 空 隙 率 が 2 5 % で あ り 、 か つ ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト の 未 付 着 粒 子 が ほ と ん ど な い 均
一にハイドロキシアパタイトが被覆されているものが得られた。
さらに表面以外の部分にハイドロキシアパタイトが存在するかどうかを確認するため
に製造例1の粒子粉末をエポキシ樹脂中に分散して固めた後、樹脂を切断して粉末の割断
面を図4のように透過型電子顕微鏡にて確認した。白い部分はハイドロキシアパタイトで
あり、球状粉末の周囲のみ均一な状態で被覆されていることが確認できた。
【0042】
[ハイドロキシアパタイトの結合性確認試験]
製造例1、比較製造例1で得られた粒子をそれぞれ100gをハンマーミル(不二パ
ウ ダ ル 製 ) で 3 回 粉 砕 し た 後 、 粒 度 分 布 を コ ー ル タ ー マ ル チ サ イ ダ ー II( コ ー ル タ ー ( 株
20
)製)により測定した。
製造例1の粒子は1μm以下の粒子は全く存在せず、8∼9μmに集中している。(
図5)。一方比較製造例1の粒子を同様に処理して粒度分布を測定したところ、粒子本来
の 粒 度 で あ る 1 0 μ m の ピ ー ク と ヒ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト の 粒 度 で あ る 0. 5μ m 付 近 の ピ ー
クの2峰性の粒度分布を示した(図6)。これは比較製造例1の粒子は、物理的な衝撃に
よってハイドロキシアパタイトが剥離したためである。
【0043】
[粒 子 の 多 孔 性 確 認 試 験 ]
製造例1で得た粒子10gを10N塩酸で3回洗浄処理し、結合しているハイドロキ
シアパタイトを除去した粒子を得た。得られた粒子を電子顕微鏡で観察し、図 7の像を
30
得た。樹脂粒子は、ハイドロキシアパタイトを被覆しない場合に比べて表面の凹凸がやや
粗く、多孔性粒子を形成していることが確認できた。
【0044】
[吸油量測定]
製造例1、比較製造例1、比較製造例2で得られた粒子のスクワラン、及びオレイン
酸の吸油量を測定した。皮脂に含まれる飽和脂肪酸にはスクワランが知られ、皮脂に含ま
れる不飽和脂肪酸にはオレイン酸が知られており、この2つの油剤に対する吸油量、湿潤
点を測定することで皮脂の不飽和脂肪酸の選択的吸着性について知ることができる。
吸油量の測定は各試料5gをビーカーに精秤し、スクワラン又はオレイン酸を徐々に
滴下しながら、その都度ヘラで十分に練りあわせて全体がパテ状のかたまりになったとき
の量を湿潤点とし、その後流動性が出るまでに必要な油の量を流動点として吸油量=流動
点 − 湿 潤 点 ( ml/100g) と し た 。 湿 潤 点 が 低 い ほ ど 油 に な じ み や す く 、 吸 油 量 が 多 い ほ ど
油を多く保持できる。測定結果を下記表2に示す。
【0045】
40
(13)
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【表2】
【0046】
10
表2に示すように本発明の粒子はスクワランの吸油量が125.3、オレイン酸の吸
油量が220.5と高く、特にオレイン酸の吸油量が高いことがわかった。またオレイン
酸の湿潤点が23.2と低く、オレイン酸とはなじみやすいことが確認された。本発明の
粒子は、従来の粒子と比較して選択的に不飽和脂肪酸特にオレイン酸を吸着することがで
きる粒子であることが確認できた。
【0047】
[実使用試験]
本発明の製造例1の粒子、比較製造例1,2の粒子を配合したパウダーファンデーシ
ョン、クリームファンデーション、アイシャドウを調製し、実使用試験を行った。
【0048】
20
実施例1、比較例1、2の粒子を配合したパウダーファンデーションの組成
【表3】
30
(製法)1∼7をヘンシェルミキサーで5分間攪拌した後、よく混合させた8∼9を徐々
に添加し、ハンマーミルにて粉砕する。その後、中皿にプレスしサンプルとした。
【0049】
実施例1、比較例1、2の粒子を配合したアイシャドウの組成
40
(14)
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【表4】
10
(製法)1∼8をヘンシェルミキサーで5分間攪拌した後、よく混合させた9∼10を徐
々に添加し、ハンマーミルにて粉砕する。その後、中皿にプレスしサンプルとした。
【0050】
実施例1、比較例1、2の粒子を配合したクリームファンデーション組成
20
【表5】
30
( 製 法 ) 1 ∼ 5を ハ ン マ ー ミ ル に て 粉 砕 す る 。 そ の 後 、 6 ∼ 8 を 添 加 し ホ モ ミ キ サ ー に て
均一になるまで分散させる。そこに良く混合した9∼10を添加し、ホモミキサーにて1
0分間攪拌する。その後、脱気してサンプルとした。
【0051】
本発明粒子を用いた配合例1∼3及び比較例1∼6実使用試験の評価結果を表6に示
す 。 試 験 方 法 は 女 性 2 0 名 に 配 合 例 1 ∼ 3 及 び 比 較 例 1 ∼ 6 の サ ン プ ル を 1週 間 使 用 さ せ
、のび、ざらつき、べたつき、化粧もちおよび密着性について評価した。尚、評価点は5
点満点とし、1点を悪い∼5点を良いとして評価し、平均点を算出した。皮膚刺激性につ
いては、自己申告にて1名以上刺激が感じられた場合を×、感じられない、あるいは炎症
の改善やニキビの改善などの改善効果が認められた場合を○として評価した。
【0052】
本発明粒子を用いた配合例1∼3及び比較例1∼6実使用試験の評価結果
40
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【表6】
【0053】
10
表6に示した結果のように本発明の粒子を配合した化粧料は、のびが良く、べたつき
やざらつきもなく密着性と化粧もちに優れていることが確認された。さらに、皮膚刺激を
訴えた人は一人もいなかった。また炎症状態の改善効果を有することが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す
【図2】比較製造例1の粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す
【図3】比較製造例2の粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す
【図4】本発明粒子を、中心を通る面で切断した状態で切断面を透過型電子顕微鏡により
観察した画像を示す。画面の白色に輝いた部分がハイドロキシアパタイト粒子であり、黒
色円形部分が樹脂にあたる。ハイドロキシアパタイトが樹脂に密着していることが確認で
きる。
【図5】本発明の製造例1により得られた本発明粒子をハンマーミルにて3回粉砕した後
の 粒 度 分 布 を コ ー ル タ ー マ ル チ サ イ ダ ー IIに よ り 測 定 し た 結 果 を 示 す 。
【図6】比較製造例1により得られた粒子をハンマーミルにて3回粉砕した後の粒度分布
を コ ー ル タ ー マ ル チ サ イ ダ ー IIに よ り 測 定 し た 結 果 を 示 す 。
【図7】本発明の製造例1により得られた本発明粒子を10N塩酸で洗浄した後の粒子の
形状を観察した走査型電子顕微鏡写真を示す。
20
(16)
【図5】
【図6】
【図1】
【図2】
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(17)
【図3】
【図4】
【図7】
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