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地中洞道掘削泥水としてのポリマー代替材料の粘性評価 0 10 20 30 40

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地中洞道掘削泥水としてのポリマー代替材料の粘性評価 0 10 20 30 40
[都市再生研究]
地中洞道掘削泥水としてのポリマー代替材料の粘性評価
H04017
宇佐見
憲彦
指導教員
岡本
敏郎
1.はじめに
粘度計本体
地中洞道掘削は上下水道、電気、ガスなど管路整備で行われている。ボーリン
グや泥水加圧式シールドトンネルを使用した掘削作業では、掘削孔壁の安定性を
保つため、通常ベントナイト泥水が使用されている。一方、地中洞道の場合は水
平掘削となるため、より高い粘性が必要となり、使用される泥水の濃度を高くし
ている。しかし、合成ポリマーには、有毒性モノマーが極微量含有されている可
回転ロータ
ナイト泥水にさらに合成ポリマーなどの加泥剤を混合した掘削泥水が使用され
実験試料
なければならない。このため、現在は地中洞道に用いる掘削泥水として、ベント
能性があり、脱水処理を行った場合、それらが土粒子に付着するなどして濃縮さ
れる恐れがある。そのため、処理・処分方法に十分な検討が必要とされる。そこ
で本研究では、合成ポリマーに代わる代替ポリマー材料の可能性を検討するため、
数種類のポリマー材料の粘性を調べ、代替材料としての可能性を評価した。
C 型回転式粘度計
図-1
2.実験概要
(1)実験に用いた材料
表-1 実験に用いた材料
実験に用いた材料は表-1 に示すように
ベントナイト粉末の他、加泥剤として現在
現在使用
使用されている合成ポリマー、及びその代
分類
主な用途
原材料
ベントナイト粘土粉末
掘削用泥水
岩石
合成ポリマー
加泥剤
化学化合物
グアーガム
食品添加物
替材料候補として入手した 3 種類の材料
である。
(2)粘性測定方法
代替材料候補
図-1 に示す C 型回転式粘度計を用い、
市販もち米粉末
市販トウモロコシ粉末
食品材料
植物
ベントナイト泥水および合成ポリマーや
性(後述①)と比べ、代替材料としての評価を行った。
実験は 1 回の測定時間を 2 分間とし 10 秒毎に測定値をプ
ロットし、混合した試料ごとに 3 回ずつ測定を行い、そ
れぞれの平均値を算出した。
①実施工に用いられるベントナイト泥水の粘性
現場では、ベントナイト泥水と掘削土との混合時の粘
性を 5∼20 Pa・s と設定している。通常、掘削泥水と掘
削土を混合した粘性は、掘削泥水の粘性よりも大きい。
したがって、掘削泥水として 5Pa・s 以上あれば掘削土と
の混合時には十分な粘性が確保できる。そのため、本研
究において 5Pa・s を最低必要粘性と設定した。
-27-
粘 40
性
ベントナイト粘性
30
P
a
・ 20
s
施工粘性
10
)
現場で使用されている泥水として、最低限必要となる粘
50
(
代替材料候補と混合した泥水の粘性測定を行った。現在
0
0
5
濃度(%)
10
15
図-2 ベントナイト濃度-粘性の関係性
②合成ポリマーおよび代替材料候補混合時の泥水の粘性
A:もち米粉末とトウモロコシ粉末の粘性測定結果
代替材料として用いた市販のもち米粉末およびトウモロコシ粉末に関しては、混合濃度 5%において、最低
必要粘性を確保することができなかった。したがって、もち米粉末、トウモロコシ粉末の 2 つの物質について
は代替材料としては不適性と判断した。
B:合成ポリマーとグアーガムの粘性測定結果
25
図-3 には合成ポリマーとグアーガムの 2 種について得られ
た粘性結果を示す。それぞれ現在使用されているものと代替
なった。直線による回帰分析結果も図-3 中に示してある。こ
の結果、合成ポリマーに関しては 0.05%の低濃度において、
︶
グアーガムに関しては 0.15%において最低必要粘性を得るこ
施工粘性
に、0.2%未満の濃度においても最低必要粘性を満たす結果と
︵
材料候補とするものである。合成ポリマーとグアーガムとも
粘 20
性
15
P
a
・ 10
s
グアーガム
(代替材料)
合成ポリマー
(現在使用)
とが確認された。したがって、合成ポリマーとグアーガムの
混合濃度における粘性に大きな差異は見られない。
5
0
0.0%
4.代替材料としての評価
粘性測定結果によると、グアーガムは実施工で用いられて
直線は回帰分析に基づ
0.1%
0.2% 0.3%
混合濃度(%)
0.4%
0.5%
いる合成ポリマーとほぼ同等の粘性を有している。そこで、
経済性と処理・処分時に環境に与える影響の側面から、代替
図-3 粘性度測定結果
品としての適性を評価した。
表-2 に合成ポリマーとグアーガムの市場価格および土壌中分解率を示す。表-2 によると、合成ポリマーに
おいては土壌中で分解されやすく、長期間残る事は無いため、環境に与える影響は少ない。一方、グアーガム
においても、植物の胚乳粉砕粉であるため、土壌中において分解されやすく、長期間残留することはない。し
かし、BOD や COD などの有機物負荷となる可能性がある。さらに、グアーガムは水溶性有機物であるため、バ
クテリアの働きにより腐敗しやすく、夏の施工時においては悪臭を発生する恐れがある。ただし、グアーガム
は植物性の天然物質であり、化学合成物である合成ポリマーに比べて実際の環境負荷を考えた場合は優れてい
ると考えられる。また、経済性の観点においても、市場価格が安いことからグアーガムの方が優れている事が
確認できる。
以上より、粘性、経済性の観点において、合成ポリマーに替わる代替材料として、グアーガムの適性が十分
であると判断できる。しかし、グアーガムが与える環境負荷の観点においては上記のようにさらなる検討が必
要である。
表-2 代替材料として評価(生分解性プラスチック研究会及び食品化学新聞より抜粋)
加泥剤
市場価格(円/kg)
土壌中分解率(1 ヶ月)
現在使用
合成ポリマー
1200∼3500
100%
代替品候補
グアーガム
400∼600
90%以上
5.まとめ
粘性測定結果、経済性評価、土壌中分解率といった観点から、グアーガムに関しては十分に従来の合成ポリ
マーの代替品として提案出来ると考えられる。今後、環境への影響や実施工上の課題について更に検討する必
要がある。
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