...

カバ リングマシンの自動糸交換装置の開発

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Transcript

カバ リングマシンの自動糸交換装置の開発
88
技術報告
カ バ リ ン グ マ シ ンの 自動 糸 交 換 装 置 の 開 発
(第1報)中
Development
Part
1: Apparatus
空 ス ピ ン ドル へ の 芯 糸 通 し装 置
金沢大学工学部
堀
金沢大学工学部
喜
金沢大学工学部
新
of an Auto-Doffer
for Drawing
for Covering
Spandex
純
也(会 員)
成
年
泰(会 員)
宅
救
徳(会 員)
Machines
into Hollow
Spindles
Junya Hori, Toshiyasu Kinari and Sukenori Shintaku
Faculty of Engineering, Kanazawa
University
Abstract
Double covered yarn is produced by an double covering machine equipped with hundreds pairs of upper and
lower hollow spindles. Drawing Spandex to be a core yarn of covered yarn into the hollow spindles is so
complicated that its automation is especially hoped. So we developed an auto drawing-in apparatus that could
draw Spandex in both upper and lower hollow spindles simultaneously. Results obtained are as follows :
(1) The auto drawing-in apparatus comprises both an injector and an ejector. Spandex was drawn into the
lower spindle by the injection flow driven by the injector and was drawn from the upper spindle by the suction
flow driven by the ejector.
(2) Drawing-in was performed for a model covering machine by the developed auto-doffing
apparatus. It
could draw-in 20D Spandex that was widely used and was too thin to be easily drawn-in even by a manual
doffing operation. So this confirmed that the developed auto-doffing apparatus had practical utility in drawing
-in operation .
(3) The rates of success of Spandex drawing-in is influenced by the supplied air pressure for the injector, the
supplied air pressure for the ejector and the feed rate of Spandex. High certainty of Spandex drawing-in could
be accomplished by the proper arrangement of those conditions.
(Received Dec. 7, 1995)
(Accepted for publicotion July 12, 1996)
摘
要
目的 ダ ブル カバ リング マ シ ンに よる カバ ー ド糸製 造時 に お ける中空 ス ピン ドルへ の芯糸 通 しは作 業上 ネ ックとな って お り,
自動 化 が期待 され て い る。 そ こで上下 の中空 ス ピ ン ドル に一 度 に芯糸 を通 す こ との で きる自動芯 糸通 し装 置を 開発 す る.
成 果(1)一
対 の 空気 噴 き出 し口 と空 気 吸 い込 み 口に よ り構 成 さ れ る芯 糸通 し装 置を 試作 した.装 置 は下 ス ピン ドル下部 よ
り噴 き出 し流 を,上 ス ピ ン ドル上 部 よ り吸 い込 み流 を作 用 させ る こと によ って芯 糸を 中空 ス ピ ン ドルに引 き通 す.
(2) モ デル カバ リン グマ シ ンに対 し試 作 した装置 に芯 糸 通 し作業 を行わ せ,多 用 され て いる20Dの スパ ンデ ッ クスを通 す こ
とが で きた.
(3) 芯 糸通 しの成 功率 は,噴 き出 し口供給圧,真 空 エジ ェク タ供 給圧,芯 糸送 出速度 によ り変 化す るこ とが わか った.適 切 な
条 件 を設定 す る ことで高 い成 功率 を お さめ るこ とが で きた.
(平成7年12月7日
受理)
(平成8年7月12日
審 査終了)
T 24
(論 文 集)Vol.50,No.1
1.
緒
近 年,水
( 1997
)
89
言
着 ・ス トッキ ン グ ・ス ポ ー ッ ウ ェ ァ な ど
体 に密 着 して使 用 され る衣 料 品 の需 要 が増 えて い
る.こ
の よ うな 衣 料 品 の 材 料 に,ス
パ ンデ ッ ク ス な
ど の 伸 縮 性 の 高 い 芯 糸 の ま わ り に ナ イ ロ ンな ど の 披
覆 糸 を らせ ん 状 に 巻 き付 け た カ バ ー ド糸 と呼 ば れ る
糸 が 用 い られ て い る1).カバ ー ド糸 は,カ バ リ ン グ マ
シ ン に よ り製 造 さ れ る(図1).カ
バ リ ン グ マ シ ンに
よ る カ バ ー ド糸 の 製 造 の ネ ッ ク と な っ て い る 作 業
は,材 料 と な る芯 糸 お よ び カ バ ー 糸 の 交 換 ・取 り付
け作 業 と製 品 の 玉 揚 げ作 業 で あ る.カ
ン は一 斉 駆 動 方 式 の た め,機
バ リングマ シ
台 を 停 止 す る短 い時 間
に な る べ く多 くの 作 業 者 を動 員 して,数
Fig. 2
百 にの ぼ る
Showing
the Way to Draw-in
(a) Drawing-in
(b) Breathing
す べ て の 錘 に 対 し これ ら の作 業 を 手 作 業 で 行 って い
る.
Yarn
with Wire
in from Mouth
れ て い る.
カ バ リン グ マ シ ンに お いて は,他
の 繊 維 機 械 と比
工 程 の 中 で 最 も時 間 と熟 練 を 要 す の は,芯
糸のス
べ て 扱 う材 料 糸 お よ び 製 品 の サ イ ズ が 小 さ い こ と
パ ン デ ック ス を 中 空 ス ピ ン ドル 中 空 軸 へ 通 す 作 業 で
や,カ
あ る.現
バ リ ン グを 行 って い る工 場 の 規 模 が あ ま り大
在 の と こ ろ,こ
の作 業 は完全 に人手 によ り
き くな い こ と な ど か ら,現 在 の と こ ろ工 程 の 自動 化
行 わ れ て い る.人
が 進 ん で い な い.ま
た,こ
示 す よ う に,中
空 ス ピ ン ドル 上 部 か ら金 属 性 の ワ イ
高 齢 化 や 求 人 難,さ
らに,近
ヤ を 通 して,中
空 ス ピ ン ドル 下 部 で 芯 糸 を 引 っか け
の 業 種 の 従 事 者 の急 速 な
年 ます ます 高 ま る 多 品
手 に よ る 芯 糸 通 し作 業 は 図2(a)に
種 少 量 生 産 の 要 求 に対 応 し,生 産 性 を 向 上 す る た め
引 き上 げ る と い う方 法 を と って い る.ま
に も,カ バ リ ン グ マ シ ン と そ の 周 辺 の 自動 化 が 望 ま
の よ う に 中 空 ス ピ ン ドル 上 部 に 口 を 付 け,ス
た,図2(b)
の よ う に 芯 糸 ご と吸 い込 む 作 業 者 も い る.し
トロ ー
か し,
芯 糸 が 数 十 デ ニ ー ル と非 常 に 細 い こ とや 中 空 ス ピ ン
ドル を1錘
場 合,1台
に2本
備 え た ダ ブ ル カ バ リ ング マ シ ンの
当 た り600回 近 い 回 数 の 芯 糸 通 しを 行 う大
変 な 作 業 の た め,こ
の作 業 の 省 力 化 ・自動 化 が 特 に
求 め られ て い る.
本 研 究 で は新 た に 大 規 模 な設 備 の 見 直 し を す る の
で は な く,現 在,現
場 で使 用 され て いるカバ リング
マ シ ン に後 付 け して 用 い る形 で ,人 間 に代 わ って こ
れ ら の 作 業 を 行 う低 価 格 の 自走 式 の 自動 化 装 置 を 最
終 的 な 目標 と して,必 要 な 自 動 化 技 術 の 開 発 を 行 っ
て い る.
本 報 で は ま ず,ダ
ブ ル カ バ リ ン グ マ シ ンの 上 下 ス
ピ ン ドル の 中 空 軸 に芯 糸 を 一 度 で 通 す こ と が で き る
エ ア方 式 の 自 動 芯 糸 通 し装 置 を 提 案 し,試 作,実
験
した 結 果 に つ い て 述 べ る.
本 研 究 で は,な
るべ く簡 単 な 機 構 で,高 速 か っ 確
実 に 芯 糸 を ス ピ ン ドル に通 す こ とが で き る 自 動 芯 糸
通 し機 の 開 発 を 目 的 に 設 計 ・試 作 を 行 って い る.以
下 に今 回 試 作 し た空 気 流 を 利 用 した 自動 芯 糸 通 し装
Fig.
1
Schematic
View
of Covering
置 に つ い て 述 べ る.
Machine
T 25
繊 維 機 械 学 会 誌
90
い込 み 部 は,そ
れ ぞ れ ス ラ イ ドユ ニ ッ トを介 し1本
の 支 柱 上 に 設 置 され て い る.支
柱 はエ アシ リン ダー
に よ り奥 行 き方 向 に 移 動 し,中 空 ス ピ ン ドル 上 に 到
達 す る.そ
れ ぞ れ ス ラ イ ドユ ニ ッ ト上 に設 置 さ れ,
芯 糸 通 し時 に は,噴
下 部 へ,吸
き出 し 口 は下 ス ピ ン ドル 中 空 軸
い込 み 口 は上 ス ピ ン ドル 中 空 軸 上 部 へ 結
合 さ れ る.
2.1
エ ア 噴 き 出 し部
エ ア 噴 き 出 し 口 を 図4に
示 す.エ
ア噴 き出 し口
は,一 体 構 造 の ブ ロ ッ ク に よ り構 成 さ れ る.ブ
ク 下部 に 管 継 手 を 取 り付 け,管
ー ブ を接 続 す る と と も に,こ
ロッ
継 手 に エ ア供 給 チ ュ
の ブ ロ ック内に エア噴
射 口 か ら管 継 手 に連 通 す る エ ア通 路 を 形 成 し た.
図4に
は,下
示 す よ う にエ ア噴 き出 し口上 面 の噴 射 口
ス ピ ン ドル 中 空 軸 下 部 に 嵌 合 す る よ う な 形 状
に した.そ
して,噴
射 口 の 上 端 面 に は ス ピ ン ドル 中
空 軸 と嵌 合 し た と き に芯 糸 が 通 り抜 け るた め の 案 内
Fig. 3
Schematic
View of Mechanism
tic Yarn Drawing-in
Machine
of Automa
溝 を 設 け た.
ま た,エ
ア 噴 き出 し口 に供 給 さ れ る圧 縮 空 気 は コ
ン プ レ ッ サ ー ・エ ア フ ィ ル タ ー を 経 て,電 磁 弁 の 前
2.
自 動 芯 糸 通 し装 置 の 試 作
試 作 し た 自動 芯 糸 通 し装 置 の 概 要 を 図3に
に 接 続 さ れ た レギ ュ レ ー タ ー に よ り,適 当 な 圧 力 に
調 整 さ れ る.
示 す.
自動 芯 糸 通 し装 置 は噴 き出 し空 気 流 と吸 い 込 み 空 気
2.2
エ ア吸 い込 み部
流 を 組 み 合 わ せ て 用 い,芯 糸 を ダ ブ ル カ バ リ ン グマ
シ ンの1錘
分 のFス
ピ ン ドル お よ び上 ス ピ ン ドル の
図5は
エ ア 吸 い込 み 部 の 概 略 図 で あ る.図
に示 す
中 空 軸 に一 度 に通 す 装 置 で あ り,主 要 部 分 は エ ア噴
よ うに エ ア 吸 い込 み 部 は エ ア 吸 い 込 み 口 ・真 空 エ ジ
き出 し部 ・エ ア 吸 い 込 み 部 と芯 糸 送 出 装 置 の3点
ェ ク タ ー の2点
ら構 成 さ れ て い る.ま
た,エ
か
ア 吸 い込 み 口 は
空 気 の 漏 れ を 防 ぐ た め,市 販 の ゴ ム製 吸 着 パ ッ ドを
ア 噴 き出 し部 と エ ア吸
Fig. 4
よ り構 成 さ れ る.エ
Air Injection
T 26
Unit
(論 文 集)Vol.50,No.1
( 1997
)
91
ジ ェ ク タ ー は,供 給 ポ ー トが 電 磁 弁 と接 続 さ れ て い
る.排
気 ポ-ト は 大 気 に 開 放 さ れ て い て,通
過 した
糸 先 が 排 気 と と もに 排 出 さ れ る.
真 空 エ ジ ェ ク ター に 供 給 さ れ る圧 縮 空 気 は コ ン プ
レ ッサ ー,エ
ア フ ィ ル タ ー を経 て,電 磁 弁 の 直 前 に
接 続 さ れ た レギ ュ レ ー タ ー に よ り適 当 な圧 力 に 調 整
され る.
Fig. 5
Vacuum
Unit
2.3
芯 糸 送 出装 置
図6に
芯 糸 送 出装 置 の 概 略 図 を 示 す.芯
糸 の巻糸
体 は糸 面 が 接 触 に よ り崩 れ や す い た め,図
に示 す よ
うに 紙 管 の 内 径 を ドラ ム に 差 し込 み保 持 して い る.
噴 き 出 し流 を糸 先 に作 用 さ せ 張力 を与 え る と同 時
に,巻
糸 体 を ドラ ム に 直 結 した ス テ ッ ピ ン グ モ ー タ
ー に よ り 積 極 的 に回 転 さ せ
,芯 糸 を 解 じ ょす る.ス
テ ッ ピ ン グ モ ー タ ー を 用 い る こ とで 回 転 角 速 度 と回
転 角 度 を 細 か く設 定 す る こ とが で き る た め,芯
糸 の
送 出 速 度 と送 出量 を 条 件 と して あ らか じめ 正 確 に 与
え る こ と が で き る.
2.4
芯 糸 通 しの動 作
上 下 ス ピ ン ドル の 中 空 軸 に対 す る一 連 の 芯 糸 通 し
動 作 を 図7に
Fig.
用 い,こ
6
Yarn
Feed
Unit
1)
れ を ス ピ ン ドル 中 空 軸 上 面 に 密 着 さ せ る.
芯 糸 を 噴 き出 し口 上 端 面 の 案 内 溝 に 沿 う よ う に入
吸 着 パ ッ ドに管 継 手 を 接 続 しチ ュ ー ブを 介 して 真 空
り込 ま せ る.ま た,糸
エ ジ ェ ク タ ー の 吸 い 込 み ポ ー トと 接 続 す る.真 空 工
(1)
(2)
2)
7
Drawing-in
T 27
端 は 自 由 に して お く.
エ ア 噴 き出 し口 と エ ア 吸 い込 み 口 が 糸 通 し位 置
(3)
Fig.
基 づ い て 説 明 す る.
エ ア 噴 き出 し口 が 退 避 位 置 へ 後 退 した 状 態 で,
(4)
Process
(5)
(6)
繊 維 機 械 学 会 誌
92
Fig.
8
Photograph
and Upper
へ 移 動 し,エ
of Yarn
Spindles
Flying
between
Lower
ア シ リ ン ダ ー に よ って そ れ ぞ れ 下 ス
ピ ン ドル 中 空 軸 下 部 お よ び 上 ス ピ ン ドル 中 空 軸 上
部 に密 着 さ せ ら れ る.
3)
Fig.
こ の 状 態 で エ ア 噴 き 出 し 口 に圧 縮 空 気 を 供 給 す
る と,ジ
9
Dimensions
of Model
ェ ッ トエ ア が 噴 射 口 か ら下 ス ピ ン ドル 中
3.
空 軸 中 に 上 向 き に 噴 射 され る.こ の 噴 射 作 用 に よ
り案 内 溝 に 負 圧 が 生 じ,芯 糸 は屈 曲 した 状 態 で 自
試 作 し た 自 動 芯 糸 通 し装 置 の 有 効 性 と実 用 化 の 可
由端 の 方 か ら下 ス ピ ン ドル 中 空 軸 内 に導 入 され,
能 性 を調 べ る た め,モ
芯 糸 通 しの 実 験 を 行 っ た.
送 出 装 置 上 の 芯 糸 パ ッケ ー ジを積 極 的 に 回 転 さ
4)
3.1
糸 を 一 定 量 ず つ 送 り 出 す.
ジ ェ ッ トエ ア に乗 っ た 芯 糸 の 糸 先 は下 ス ピ ン ド
ル を 通 過 し,さ
す る.上
図9に 実 験 に 使 用 し た モ デ ル カ バ リ ン グ マ シ ンの
らに 上 ス ピ ン ドル下 部 近 傍 ま で 達
概 略 を 示 す.使
ス ピ ン ドル 中 空 軸 上 部 か ら真 空 エ ジ ェ ク
mm,長
用 し た ス ピ ン ドル は 中 空 軸 内 径5
さ262mmの
実 機 と 同 じ146mmの
の 糸 端 を 上 ス ピ ン ドル 中 空 軸 内 に 導 入 す る(図
ル を 取 り付 け た.
8).
3.2
端 は 吸 い 込 み 流 に乗 り上 ス ピ ン ドル 中 空 軸 を
通 過 し真 空 エ ジ ェ ク タ ー ま で 到 達 し,排 気 ポ ー ト
か ら排 気 と と も に排 出 さ れ る.そ
デ ル カ バ リ ン グ マ シ ン を用 い
実 験 に用 いた モ デ ル カバ リ ング マ シ ン
タ ー に よ り発 生 さ せ た 吸 い込 み 流 を 作 用 させ,こ
5)糸
Machine
実 験 と結 果
中 空 軸 内 の 噴 流 に よ り張 力 を 与 え ら れ る.同 時 に
せ,芯
Covering
芯 糸 通 し作 業 を 終 了 す る.
もの を2個 用 意 し,垂 直 方 向 に
間隔 を お いて上 下 の ス ピ ン ド
実 験 に使 用 し た 芯 糸
東 洋 紡 製 ス パ ン デ ッ ク ス 糸 オ ペ ロ ン20Dの1kg
こで芯 糸 の送 出
巻 を使 用 した.
が 停 止 す る.確 実 に 芯 糸 が 通 る よ うな 長 さ分 を 送
3.3
芯 糸 通 し実 験
出 した 後 に 停 止 す る よ う に ス テ ッ ピ ン グ モ ー タ ー
の 回 転 角 度 量 を 設 定 して お く.
6)
そ の 後,エ
モ デ ル カ バ リ ン グ マ シ ンに 対 し,試 作 し た 自 動 芯
ア 噴 き 出 し口 と エ ア 吸 い 込 み 口 が ス
ピ ン ドル か ら離 れ 退 避 位 置 まで 後 退 して1錘
糸 通 し機 を 用 い実 際 に芯 糸 を 通 す 実 験 を 行 っ た.各
分の
条 件 に 対 し66回 の 芯 糸 通 し試 験 を 行 い.大
T 28
まかな傾
(論 文 集)Vol.50,No.1
( 1997
)
93
で の 流 速 が 不 足 し,張 力 の 低 下 に よ り糸 先 が 逆 に 巻
糸 体 に 引 っ張 られ,巻
さ れ た.送
き付 い て 失 敗 す る こ と が 観 察
出速 度 が 大 きす ぎ る場 合 に も相 対 速 度 の
低 下 が 発 生 し同様 に失 敗 す る こ と が あ る.こ
の現 象
が 芯 糸 通 し失 敗 の 原 因 の ほ と ん ど を 占 め た.
(2) エ ア 吸 い込 み に つ い て
上 ス ピ ン ドル 中 空 軸 上 部 か ら作 用 さ せ る吸 い 込 み
流 は,下
ス ピ ン ドル 中 空 軸 か ら飛 走 す る芯 糸 の 糸 先
を 確 実 に 上ス ピ ン ドル 中 空 軸 内 に 導 入 で き な け れ ば
Fig. 10
Relation between Supplied Air Pressure
for Injector and Ejector and Rates of Suc
cess (1,332mm/sec)
な らな い.上
ス ピ ン ドル ド部 に 飛 走 して 到 達 す る芯
糸 は 空 気 流 の 拡 散 に よ り位 置 が か な りば らつ く.そ
の た め,な
く,吸
るべ く広 い 範 囲 か ら空 気 を吸 い込 む と よ
い 込 み 空 気 流 量 を 大 き くす る必 要 が あ る.
実 験 の 結 果,噴
き,真
き 出 し圧 と 送 出 速 度 が 一 定 の と
空 エ ジ ェ ク タ ー に 供 給 す る圧 力 が 高 い ほ ど 成
功 率 が 高 くな る こ と が わ か った.ま
1,019mm/secと
た,送 出 速 度 が
き は1,332mm/secの
と き に 比 べ,
真 空 エ ジ ェ ク ター に 供 給 す る 圧 力 に よ る成 功 率 の ば
らつ き が 少 な くな っ た.こ
れ は,失 敗 の 原 因 の ほ と
ん ど が 空 気 噴 き出 し口 で 空 気 流 に芯 糸 が 乗 ら な い た
め に 発 生 して い る こ と か ら,送 出 速 度 を 抑 え て 芯 糸
Fig. 11
Relation
between
Supplied
for Injector
and Ejector
cess (1,019mm/sec)
Air
and Rates
Pressure
が 下 ス ピ ン ドル を通 過 し や す く した場 合,成
of Suc
功率に
吸 い 込 み 空 気 流 は あ ま り影 響 して い な い た め と 思 わ
れ る.ま
た,観 察 の結 果,下
ス ピ ン ドル を 通 過 した
向 を つ か む こ と が で き た.実 験 の 条 件 と して,各
供
糸 の ほ と ん ど が 上 ス ピ ン ドル を通 過 で き た.使
給 圧 力,芯
ア
る 真 空 エ ジ ェ ク タ ー の 性 能 を さ らに 検 討 す る 必 要 が
糸 送 出 速 度 を 変 え て 実 験 を 行 っ た.エ
噴 き 出 し口 に供 給 す る空 気 圧 を レ ギ ュ レー タ ー に よ
あ る が,本
り0,6MPa(6kgf/cm2),0.5MPa,0.4MPa,0.3
の芯 糸 通 し作 業 の 有 効 性 を 確 認 した.
MPaの4種
(3) 芯 糸 送 出 速 度 に つ い て
類 に,エ
ジ ェ ク ター供 給 空気 圧 を レギ
ュ レー タ ー に よ り0.6MPa,0.5MPa,0.4MPaの3
種 類 に設 定 し た.ま
た,目
用す
装 置の エアを組 み 合 わせて用 い る方法 で
作 業 時 間 の 短 縮 と,圧 縮 空 気 の 使 用 量 の 削 減 の た
標 と す る作 業 時 間 を1秒
め に 芯 糸 の 送 出速 度 は大 き い方 が 良 い.し
か し,芯
以 内 と設 定 し,試 作 した 送 出 装 置 の 能 力 な ど を 考 慮
糸 を 解 じ ょす る力 は 噴 き 出 し流 の 空 気 抗 力 に よ る た
した結 果,送
め,芯
出 速 度 を1019mm/sec(作
sec),1,332mm/sec(作
業 時 間0,8
業 時 間0.6sec)の2通
設 定 し比 較 を 行 った.図10,図11に
りに
条 件 と成 功 率 の
こ と が あ る.実 験 結 果 よ り,同
関 係 を 示 す.
糸 が 十分
じ吸 い込 み 条 件,噴
き出 し条 件 な らば送 出 速 度 が 小 さい 方 が成 功 率 が 高
(1) エ ァ 噴 き 出 しに つ い て
図 か ら,噴
糸 の送 出速 度 が 大 き す ぎ る場 合,芯
な 推 進 力 を得 られず 逆 に 巻 糸 体 に 巻 取 られ て し ま う
くな る こ とが わ か っ た.送
き 出 し 口 に供 給 す る 空 気 圧 が 低 い ほ ど
出速 度 と噴 き 出 し部 お よ
び吸 い込 み 部 に 供 給 す る圧 力 を 適 正 に設 定 す れ ば,
成 功 率 が 低 く な っ て い る こ とが わ か る.一 般 に 空 気
圧 縮 空 気 の 消 費 量 を 最 小 に 抑 え な が ら最 大 の 成 功 率
流 中 を 空 気 流 方 向 に 飛 走 す る糸 に 加 わ る推 進 力 は 糸
を得 る こ とが 可 能 で あ る.ま
速 と流 速 の 相 対 速 度 の 自 乗 に 比 例 す る2).こ の 装 置
で 行 う場 合1錘
で は,ス
ば,時
ピ ン ドル 中 空 軸 内 を 流 れ る 噴 き出 し流 の 流
速 と,芯 糸 の送 出 速 度 との 差 に よ り芯 糸 に 張 力 を 発
生 さ せ 巻 糸 体 か ら芯 糸 を 解 じ ょ し て い る た め,十
な空 気 圧 が 与 え られ な い 場 合,ス
る.
分
ピ ン ドル 中 空 軸 内
T 29
た,芯 糸 通 しを 手 作 業
当 た り10秒 ほ ど か か る こ と を 考 え れ
間 短 縮 の 面 で も か な り大 き な効 果 が 期 待 で き
繊 維 機 械 学 会 誌
94
ム エ アを 利 用 す る新 し い芯 糸 通 し装 置 を 試 作 した.
3.4
まとめ
(2) 試 作 した 装 置 を 用 い 糸 通 し実 験 を 行 い,ジ
今 回 行 っ た 芯 糸 通 し実 験 で は,条 件 の よ い と き は
成 功 率 が100%近
ェッ
トエ ア と バ キ ュ ー ム エ ア を 組 み 合 わ せ て 用 い る方
くな る こ と も あ っ て,こ
の方 法 が
極 め て 有 効 で あ る こ とが 確 認 が で き た.さ
らに 条 件
(3) 比 較 的 簡 易 な装 置 で 芯 糸 通 しを 実 現 で き た.
を 整 え れ ば 成 功 率 の 向 上 が 期 待 で き る.こ
の装 置 に
(4) 非 常 に難 し い と い わ れ る20Dの
よ る芯 糸 通 し実 験 で は,現
法 の有 効 性 を 確 認 した.
在 の と こ ろ芯 糸 の 糸 先 を
実 験 者 が 手 作 業 で 空 気 噴 き出 し口 の芯 糸 案 内 溝 に セ
ッ トして い る.今
後 は,こ
ケ ー ジの 供 給,ハ
ン ド リ ン グ,糸 先 の 検 出 な ど の作
(5) 運 転 条 件 に よ って 成 功 率 が あ る程 度 変 動 す る こ
の 作 業 を は じめ 芯 糸 パ ッ
業 を 完 全 自動 化 す る必 要 が あ る.ま
た,失
とが わ か った.今
結
敗時の リ
本 研 究 を 進 め る に 際 し,有 意 義 な 意 見 を頂 い た 片
岡 機 械 工 業 の 片 岡 洋 一 氏,広
ま た,実
言
た.成
瀬 光 雄 氏 に 感 謝 す る.
験 装 置 製 作 に ご協 力 頂 い た 金 沢 大 学 工 学 部
工 作 セ ン タ ー の 菊 地 遵 一 氏,野
カ バ リ ン グ マ シ ンの 芯 糸 通 しの 自動 化 の 手 法 に つ
い て 検 討 を 行 い,芯
後 は 適 正 な 条 件 を見 つ け る こ と
が 課 題 で あ る.
トラ イ の 方 法 も検 討 しな け れ ば な らな い.
4.
崎明 夫 氏 に感 謝 す
る.
糸 通 し装 置 の 開 発 と試 験 を 行 っ
文献
果 は 以 下 の 通 りで あ る.
1) 新宅,喜 成;繊 機誌,42,P5(
(1) 芯 糸 を 上 下 の ス ピ ン ドル 中 空 軸 に 一 度 に通 す 技
術 に つ い て 検 討 を 加 え,ジ
ス パ ンデ ッ ク ス
を 簡 単 に通 す こ とが で き た.
1989)
2) 日本繊維機械学会織機 研究会編;"ジ ェッ トルーム織布",
ェ ッ トエ ア ・バ キ ュ ー
p.16,日 本繊維機械学会( 1989)
T 30
Fly UP